山梨の秀麗富嶽十二景・笹子雁ヶ腹摺山へ秋の登山に行ってきました。
ルートは電車を使って甲斐大和駅から笹子駅までを縦走。
稜線の紅葉がとても綺麗で、笹子峠の歴史あるトンネル(笹子隧道)や矢立の杉など見どころも豊富で面白かったです。お坊山からの南アルプスや八ヶ岳、富士山の展望も見事でした。

2025年11月1日【山梨】笹子雁ヶ腹摺山 秋の紅葉登山
お馴染みの秀麗富嶽十二景シリーズです。
山梨県大月市周辺に散らばる、富士山の展望に恵まれた12の山域。
今回のターゲットはNo4の笹子雁ヶ腹摺山。「ささごがんがはらすりやま」と読みます。長くて難しいので、ササガンという通称名を勝手に設定。
秀麗富嶽十二景はもう10年ほど前に一巡していて、その後も何度も登りに行っている山域ではあるのですが、ササガンに関しては最初に登りに行った2012年以来。13年ぶりに登ってきました。
紅葉がとても綺麗な山でしたよ。

スタートはJR甲斐大和駅。
秀麗富嶽十二景の良い点は、なんたって電車のみのアクセスで駅から直接登れるところ。ササガンも例外ではなく、甲斐大和駅から笹子駅へ縦走できるようになっています。
距離がやや長くなるので、もう少しお手軽に登りたければ笹子駅からの周回ルートもあるのでお好みで。

駅で準備をして出発。
目指すのは景徳院というお寺で、駅から徒歩30分ほど。周りを歩いている人は誰もいなくて、甲斐大和駅で降りたたくさんの登山者は上日川峠行きのバスに流れ込んで行きました。
途中、そのバスにも抜かれましたが、3連休の割には空いていた感じです。11月の大菩薩嶺は狙い目なのかもしれません。


道路沿いを歩き続けて景徳院に到着。バス停脇にトイレありました。
ここから登山ルートが2つ伸びているのですが、今回は13年前とは別のコースで行ってみることにします。

こちらが登山口。
ここからササガンを目指す場合は、大鹿山~お坊山~米沢山を経てのササガンとなるため、ややロングルートにはなります。
道中はそれなりにアップダウンも多め。頑張ります。

あまり歩かれていなさそうなコースだったので少し不安でしたが、入口こそやや荒れていたものの、すぐにしっかりとした登山道になったので一安心。
しかも、急登と呼べる箇所もあまりなくて、緩やかに標高を上げていく感じだったのでとても歩きやすかったです。

1本道をひたすら登り続けて稜線の分岐に到着。
標識が欠けていますが、右に行けば大鹿山。左に行くと今年6月に登った大谷ヶ丸~滝子山に続いています。

分岐から一登りして大鹿山に到着。
展望は特になく、朝方は冷たい風が強めに吹いていたので立ち止まらず先へと進みました。
晴れ予報だったのに曇天という空模様、身も心も冷え気味だ。。

この先、山を一つ越えてはガッツリ下ってまた登り。その繰り返しなのでアップダウン多めでまぁまぁ歩き応えあります。
足元も落ち葉多めで滑らないようにご注意ください。


お坊山に向けて標高を上げ行くと、少しずつ紅葉が綺麗に色づいてきました。
11月初旬のこの時期は山頂付近の紅葉が見ごろ。この日に関してはお坊山~米沢山の間と、ササガンの山頂直下の紅葉がピークでとても綺麗でした。

お坊山までもう間もなくというところでこの標識。
順路は右ですが、左へ5分ほど行くと1つピークがあったので寄り道してみました。
そして、紅葉のこの時期は行っておいて損はないかと思います。

東峰というピークに到着。
正規ルートからは外れた山ですが、立派な標識が用意されていました。

そして驚いたのが東峰の周りの紅葉風景。
ここら一帯が平らな空間になっていて、辺りの樹々がカラフルに色づいていました。
ここはちょっとした穴場スポットかもしれない。東峰、時間があればぜひお立ち寄りを!

正規ルートに戻って、その後もひたすら稜線を歩いていきます。
時折現れる紅葉のトンネルがとても綺麗。
比較的地味な山域とはいえ、3連休の初日だし誰かしらはいるだろうと思ってましたが、駅からここまで誰一人すれ違わず。
結果的に、この日は笹子駅まで他の登山者と会うことはありませんでした。

細かいアップダウンを経てお坊山に到着。標高は1430mで、この日の縦走コースの最高地点がここになります。
ササガンよりも実は標高が高かったお坊山。

そして展望もこの山が一番恵まれています。
特に西側の展望が素晴らしくて、南アルプス~八ヶ岳、金峰山・瑞牆山など奥秩父方面の山域を一望!

特に南アルプスが綺麗に見えて、山頂付近の稜線には雪が降って白くなり始めていました。
手前の甲府盆地には雲海が敷かれていて、それもまた幻想的な光景でしたよ。

富士山もここに来てようやく綺麗に見えました。
この後のササガンからも一応富士山は見れるのですが、木々の合間から眺める感じになるので、富士山の展望もお坊山の方が恵まれています。
こっちが秀麗富嶽十二景に選ばれてもいいんじゃないか、とちょっと思ったりもした。

山頂からはいったん下ってまた尾根歩き。
相変わらず誰もいない静かな登山道。紅葉はここら辺からが本番という感じで、部分的に最高潮の色付きを見せてくれます。


特に西側斜面の色付きが半端なくて、お坊山~米沢山の間には綺麗に色づいている樹々がたくさんありました。
秀麗富嶽十二景は紅葉の名所と呼ばれている山はそれほどない印象ですが、ササガンに関しては紅葉の山と言ってもいいかもしれない。秋がベストシーズンなのは間違いない。

米沢山に到着。展望はそこまでなし。
標高は1357mとササガンと同じですが、ここからまたガッツリ下って登り返しになるので、まだ先は長いと思っていた方がいいです。

そしてここに来て、ようやく標識に笹子雁ヶ腹摺山の文字が現れます。
さすがにササガンまで行けば誰かしらいるだろうと思ってましたが、誰にも会わなかったんだから驚いた。
静かな山は好きですが、秀麗富嶽十二景フリーカーとしては人気のなさに若干寂しい思いもしたぞ……。

米沢山から先が少し注意点で、秀麗富嶽十二景には珍しい鎖場が待ち構えています。
ここが意外と長くて、米沢山からササガンに向かう場合は下りになるので特にご注意ください。
鎖場の存在こそ覚えていたものの記憶にあるよりもだいぶ長くて、しばしのへっぴり腰スタイルお披露目タイムとなってしまった。

決して派手とは言えない紅葉ながらも、ほんのりと色づく山肌が雅な景色。
この前の八海山の華やかな紅葉はもちろん、こういう雰囲気も好きです。

ササガンへ向かう途中、少し道を外れたところに絶好のビューポイントがあるのでお見逃しなきよう。
写真のような突き出た展望台のような場所があります。

その展望台から眺める景色が絶景!こちらは最終ゴールの笹子雁ヶ腹摺山。
俯瞰して見る紅葉がまた素晴らしい。全山紅葉とまではいかないまでも、中腹辺りまで広範囲に色づいるのがわかりました。

特に綺麗だったのが断崖絶壁の真下の景色。
直視するのが少し怖かったですが、赤、黄、緑とカラフルな紅葉がとても美しかったです。

こちらは先ほどの米沢山かな。
こうして見ると、山頂部よりも中腹辺りの方が赤が目立っていますな。

展望台からは富士山も一望。
ササガンと富士山を同時に眺められるのはここだけなので、ぜひこの岩場の展望デッキは立ち寄ってみてください。

その後も静かな登山道は続く。傍らにあったのはローリングツリー。
「クネッてるなぁ~」とかブツブツ言いながら歩くのも、あまりに人気のなさに熊との遭遇が地味に怖かったから。
特に昨今の熊出没ニュースを見ていると、ここら辺の低山でも熊が出るんじゃないかと不安になります。本音を言えば、多少の登山者はいてほしかった。

こちらの斜面がササガンまでの登り返し。
ここが本日一番の急登に感じました。距離こそそこまで長くはないですが、ここまでのアップダウン疲労が蓄積してだいぶしんどかったです。

牛歩戦術でゆっくり登って行く。
気になったのが途中のあちらこちらの木に掲げられていたこの「水造」という標識。
これは一体何だったんだろうか。

こうして12時にササガンこと、笹子雁ヶ腹摺山に登頂。
山頂にはこれでもかと標識が乱立。この写真の背後にも別の標識があって、まさに「俺こそが笹子雁ヶ腹摺山だ」と言わんばかりの自己主張っぷり。カッコいいぜ、ササガンの旦那。
ブランド力も兼ね備えており、秀麗富嶽十二景のNo4であり、山梨百名山にもラインナップする名峰でございます。

山頂にはベンチが一つ。紅葉を愛でながらのランチタイムが至福の時間でした。
それにしてもササガンの山頂まで来ても誰もいないとは。
甲斐大和駅以降、人の姿を見ることがありませんでした。

山頂からは一応、木の合間から富士山を眺めることができます。
ただ、この感じだと緑生い茂るシーズンではあまり見れなさそうな。
やはりササガンのベストシーズンは秋かと思います。

ここから下山路が二つあって笹子駅へ最短距離で降りるルートと笹子峠を経由するルート。
前回は笹子駅直ルートで行きましたが、今回は笹子峠ルートへ。
何を隠そう、今回ササガンを選んだのも、紅葉に加えて笹子峠の史跡を見たいというのがあったから。

笹子峠方面へ下りて行くと、すぐに華やかな紅葉ゾーンに突入。
山頂からも少し見えていましたが、山頂直下の西側斜面一帯が見事なまでに色づいて凄いことになってました。


やっぱり赤色は映えますな。
この日一番の色付きは間違いなくここでした。
ササガンの山頂直下に綺麗に色づくポイントがあるので、ぜひここを目当てに登ってきてください。

途中にあった鉄塔。
得てして鉄塔というのは周りが開けるので展望が良いのが良いところですが、ここらではカラマツの樹々が黄色く色づき始めてました。
こんな場所がササガンにもあったんですね。

途中でルートが二手に分かれます。
左が新道、右が尾根道。どちらへ行っても30分くらい先で再び合流するのでここはお好みで。
自分は右の尾根道へ行きました。

尾根道コースは多少アップダウンがありましたが、全体的に歩きやすくて紅葉が綺麗なポイントもいくつかありました。
傾斜もそこまできつくはなくて、緩やかに標高を下げて行く感じです。


笹子峠の標識を左に折れて、笹子峠に到着。
ご覧のように甲斐大和駅と笹子駅を結ぶ峠ですが、ここのメインはこの少し下ったところにあります。

10分ほど下って舗装路に到着。
そこで待っていたのこちらのいにしえのトンネル。

笹子隧道(ささごずいどう)。
大月市と甲州市を結ぶ昭和30年代に造られたトンネル。この遺跡のような出で立ちが趣深く、今回の登山でどうしても見たかったのがこれです。
ベタな表現ですが、ジブリの世界に出てきそうな独特な雰囲気ありました。
標識の説明を読んでみると登録有形文化財でありながら、今なお現役で車でも通れるようです。

ここから舗装歩きになりますが、笹子駅まではまだ1時間以上かかる道のり。
途中、再び登山道に入って行く箇所もあるので先は長いです。

途中、見上げる山肌がまた綺麗でした。
標高1000m以下はまだ緑だったので、来週以降もしばらくは紅葉ハイキングを楽しめると思います。

途中、こちらの矢立の杉という標識から再び登山道に入って行くのですが、この矢立の杉というのがまた凄かったです。

こちらが矢立の杉。
樹齢1000年を越している巨大な杉。この杉が本当に大きくて、遠目からでもわかるほどの異質な存在感を放っていました。
この杉の木は事前知識なしで訪れたので、目の当たりにした時の感動はかなりもの。笹子峠のトンネルと合わせておすすめです。

周囲には石碑や仏様も祀られています。
観光地の1つにもなっているそうで、すぐ近くに林道が走っているので車でも来れるようになっています。

その後も何度か林道に出たり登山道を歩いたり。
最後まで人に会うことのない静かな登山でございました。

民家脇の登山口に下山。あとはひたすら舗装路歩きですが、駅まではさらに40分ほどの道のりなので頑張りましょう。
一応バス停があって、日に数本だけ大月駅行きのバスが出ているので、時間が合えばそれに乗って帰るのも良いと思います。
自分は2時間先までバスがなかったので笹子駅まで歩きましたが。

途中にあったのが大月市と言えばのハッピードリンクショップ。
割安な自販機が立ち並ぶ、秀麗富嶽十二景登山には欠かせない給水ポイントです。
13年前にもここにあったのはよく覚えています。

こうして笹子駅まで歩いて本日の登山が終了。
甲斐大和駅~景徳院~大鹿山~お坊山~米沢山~笹子雁ヶ腹摺山~笹子峠~笹子駅。なかなかのロングルートで駅に着くころには足がプルプル言い始めてましたが、無事に歩き通せてよかったです。

山梨県の笹子雁ヶ腹摺山。
そこまで人気の高い山ではないのかもしれませんが、ここは紛れもなく紅葉の山でした。秋のハイキングとしておすすめです。
笹子峠の史跡トンネルと合わせて、良ければ登ってみてください。
【日程】
2025年11月1日
【コースタイム】
7:45 甲斐大和駅
8:15 景徳院
9:15 大鹿山
10:15 お坊山
10:55 米沢山
12:00 笹子雁ヶ腹摺山
13:00 笹子隧道
14:20 笹子駅

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