山梨県の乾徳山へ電車とバスを使って登山に行ってきました。
国師ヶ原あたりの穏やかな草原風景と富士山の展望、そこから一転して山頂までのデンジャラスな岩場と鎖ゾーン。
変化に富んだコースが面白くて、奥秩父の魅力が詰まっている山だなと改めて思いました。
ちょうど8の字を描くように周回ルートが組めます。
2025年9月6日【奥秩父】乾徳山 8の字周回登山(電車・バス利用)
13年ぶりの乾徳山。
登山歴もだいぶ長くなってきたもんで、ここ最近は十数年ぶりの山を語ることも多くなってきました。
乾徳山と言えば奥秩父の日本二百名山で、電車・バスでの公共交通アクセスも可能とあって人気の山の1つ。特に有名なのがラストに待ち構える垂直の岩場で、1本の鎖を頼りに登って行く絵は雑誌なんかでも良く紹介されています。
久しぶりに奥秩父の雰囲気を味わいたく、3回目の乾徳山へ行ってきました。
乾徳山へアクセスするにはJR塩山駅から西沢渓谷行きのバスを利用します。
時期は9月初旬。紅葉前なので空いているかと思いきや結構な登山者がいて、すでにバス停は行列ができていました。
ちなみにこの写真は、バス職員さんがザックを並べて日陰で待っていてくださいという指示の下でみんな身体だけ退避させている図です。だいたい30Lくらいの日帰りメインですが、60Lくらいの大型ザックもあって、西沢渓谷から甲武信ヶ岳あたりを縦走するのかな、なんて考えたりしてバスが来るのを待ちました。
乗客を数えてバスの台数を用意してくれているようですが、この日はギリギリ1台で済む感じだったので超満員で乗り込んで1台のバスが悲鳴を上げながら発車。バスに自我があるなら「ふざけんなよ!」って思ったでしょうね。
運転手さんも重そうにしながら走行を進めて、40分ほどで乾徳山登山口バス停に到着。ここで降りたのは20人ほどで残り40人は終点の西沢渓谷でした。
バス停すぐ近くの駐車場に公衆トイレあります。
日焼け止め塗ったり装備品整えて、9時過ぎに登山開始。
乾徳山登山口バス停と言っても、実際の登山口までは林道を30分以上歩くことになります。
炎天下ではありましたが、台風一過のカラっとした天気のおかげか、そこまで蒸し暑くもなかったのが幸い。
しばらく道なりに歩いて、こちらが登山口。
右わきの細い道から登山道に入って行きますが、入口にはでかい標識もあるのでまず見逃すことはないと思います。
ここから本格的な登山開始。
乾徳山はこれが3回目でこの道も過去に登りで利用してますが、いかんせん2011年、2012年のお話なもんで、登山道がどんな感じだったとか全然覚えてなかったです。
基本的にはずっと登りが続く道。部分的に急登もあるので体力的には厳しいところですが、乾徳山は終盤のコースの変貌っぷりが最大の魅力なので、この序盤~中盤は我慢と思って頑張りましょう。
まだ見上げる樹々は緑ですが、もう1ヶ月もすれば紅葉シーズン。乾徳山も西沢渓谷も一番混むシーズンだと思われます。
行きのバスは混んでましたが、それでも1台で済んだと思えば9月初旬のこの時期はまだ空いている方だと思います。マイカー組の駐車場も割と空きがありました。
ひたすら登って錦晶水に到着。
ここが乾徳山登山ルートにおける唯一の水場。右奥を見てもらうとわかる通り、ドバドバと水が出ていました。前日が台風による大雨だったというのもあるかもしれませんが、キンキンに冷えた水がとても美味しかったです。
たらふく水を飲んで、タプタプのお腹で先を目指します。
水場から少し先へ行くとようやく景色が開けて、あたりは穏やかな草原風景に。
奥に見えている岩山は乾徳山の山頂というわけではないですが、ここでようやく山頂部の岩稜帯を捉えることができます。
ただ、岩場との格闘になるのはもう少し先のこと。しばらくは穏やかな登山道が続きます。
たどり着いたのが国師ヶ原。ここが登山道の交差点になっています。
今回は8の字ルートで回ることにしたので、登りは手前から奥へ。帰りは左から右へ行くことになりました。
国師ヶ原あたりは広い平原なので休憩ポイントとして最適です。
そこから先へ行くと再び登りになりますが、ここからいよいよ展望も開けてきます。
しばらく登ると、辺りはススキがたなびく穏やかな草原地帯に。
気温は高いですが吹く風は涼しく、少しずつ秋の気配を感じるようになってきました。
ここら辺はのどかな雰囲気で非常に快適に歩けてます。
登り切ったところにある巨岩が月見岩。
ここも休憩ポイントとして最適で、しかも展望がまた素晴らしい!
登ってきた方面を見ると、正面には富士山。
手前に雲がかかっているので頭半分しか見えていなかったですが、晴れていれば正面にドン!と構える富士山を拝むことができます。
ここら辺は扇平と呼ばれる広々とした草原地帯。
穏やかな雰囲気がもう最高で、正面奥に見えている大菩薩嶺あたりと似ているものを感じます。
奥秩父らしい景色。
月見岩から先へ。
標高としてはだいぶ登ってきましたが、この先がいよいよ岩場ゾーンとなる区間で、山頂まではもうしばらくかかる道のりです。
何度も振り返ってしまうこの景色。
乾徳山と言えばやっぱり山頂の岩場がメインですが、この草原広がる穏やかな雰囲気が個人的には一押し。
これを見たくてこの山域に登りに来たようなところもあります。
再び樹林帯に入ると、いよいよ乾徳山の醍醐味ともいえる岩場ゾーンに突入。
早速鎖場なんかも用意されちゃってますが、ここら辺は足場もしっかりしているので特に問題なし。
一部、やすりで磨いたかのようなツルツルの岩肌があったりもするのでそこだけ注意して進みましょう。
髭剃岩という奇岩を発見。
人が一人通れるかどうかというわずかな隙間。この巨大な岩は少しだけ見覚えがありました。
さらに進むと樹林帯を抜けて岩稜帯を登って行くルートになります。
ここら辺も特に難しいところはないですが、左側が断崖絶壁になっているので特に雨上がりなんかは滑らないようにご注意ください。
岩場なだけあって開放感は抜群。
正面奥に見えるのが大菩薩嶺、眼下に見えているのは大平高原かな。
続けて鎖場登場。
ここら辺は正直なところ全然記憶になくて、こんなに鎖場多かったっけという感じ。
足場はしっかりしているので、自分みたく岩場オンチでも楽しく歩けるコースです。もちろん、ここを下るとなれば話は別ですが……。
その後も岩場を進んで行く。
今回は山頂からは別ルートで下って行くので、ここは登るだけ。「あぁ、ここ下れるかな」とか余計な心配はせずに突き進んでやります。
胎内という巨岩。
こんな感じの大きな岩がゴロゴロしています。
何本目かのロープ。
台風一過の晴れた週末でしたが、9月初旬は乾徳山のハイシーズンというわけでもないので比較的空いていて、こういった岩場も特に待ちが発生することもなくスムーズに登れたのは良かったです。
時折現れるこういった断崖絶壁の展望台が一休みするのにちょうど良い。
正面奥には晴れていれば南アルプスあたりが見えるんでしょうが、この日はあいにく雲がかかっていて見えませんでした。
そしてついに最後の関門、鳳岩(おおとりいわ)に到着。
乾徳山と言えば、この山頂直下の巨岩が超有名。
垂直に近い岩の壁を1本の鎖を頼りに登って行くデンジャラスゾーンです。
迂回ルートもありますが、他に誰もおらずにすぐに取り付ける状況だったので突っ込んでみました。
言うても7月に不帰キレットを踏破した男だぞ。舐めるよな、と。
こ、怖い……。
実際のところ、岩の割れ目に足掛かりがあるので登るだけなら大して難しくはないですが、振り返って見ればなかなかの高度感。
山に登っているくせに高いところが苦手なのは昔から。どうにも克服しがたい……。
こうして12時少し前に乾徳山に登頂。
実に13年ぶりです。日本二百名山というブランド力もあって人気の山ですが、タイミングが良かったのか山頂には誰もいませんでした。
あたりが若干ガスってきたものの展望は素晴らしくて、北側には甲武信ヶ岳から雲取山へと繋がる稜線が見えてました。
あの区間はまだ歩いたことがないので、いつか縦走したいところです。
富士山も頭だけ顔を出してくれました。
おそらく富士山自体は晴れているんでしょうが、その間の雲が全然取れなくてこの日はこれが限界でした。
山の天気はやっぱり難しい。
山頂から奥へと進むと少し開けた岩場があるので、休憩するならあちらがおすすめです。
見るからに断崖絶壁の岩場。
実際に来てみるとなかなかの迫力があります。
こういう岩場の下に豊かな森が広がる光景は、どことなく瑞牆山山頂からの展望にも似ている気がします。
やっぱりここは奥秩父だなぁ~としみじみ。
乾徳山の山頂を見ながらしばし休憩。
こうして見ると、立派な山頂という出で立ち。序盤の樹林帯、中盤の草原風景と変化に富んだルートでしたが、このゴツゴツした岩肌こそが乾徳山の本当の姿。
バス停からの高低差も1300mほどあったので、なかなかの達成感がありました。
山頂からは来た道は戻らずに奥へと進むと、国師ヶ原へと戻るルートがあります。
「※ガレ場の急下降あり」という危険な標識もありますが、そこに向かう前にここはいったん直進。
5分ほど行くと乾徳山北峰というピークがあります。
こちらが乾徳山北峰。初めて来たところです。
てっきり展望が良い岩場かと思っていましたが、樹林帯に包まれた山頂でした。
眺めもないので来た道を戻ります。
先ほどの分岐まで戻って国師ヶ原へと通じる下山路へ。
ガレ場の急下降に注意という標識がありましたが、その意味がすぐにわかります。
樹林帯に入ったものの、足場は岩だらけの急斜面が続く道。
これが結構神経使うところで、ランダムに配置された岩が歩きにくいのなんのって。
写真だとわかりづらいですが、部分的にロープを頼りに下った方が良い箇所もあったりします。
こんなに登ってきたっけ、というくらい下らされて結構疲れました。
道が緩やかになってきて斜面のトラバース路に入ったら国師ヶ原も近いです。
ここら辺は展望こそないですが、苔むす森が広がる独特の雰囲気。
これもまた、何となく奥秩父らしい。
こうして国師ヶ原の脇に立つ高原ヒュッテに到着。
昔は有人小屋だったらしいですが、今は避難小屋となっています。
小屋の内部。
清潔感あって綺麗でしたが、ムワァ~と暑かったので外で休憩しました。
この日は気温こそ高かったですが、湿度が低くてカラっとした暑さったので不快指数は低め。吹く風も涼しくて心地よかったです。
こうして国師ヶ原の穏やかな草原を歩いて十字路の分岐に到着。
登りは右から来て左へ進んだわけですが、帰りは手前から奥へと進んで行きます。
ちょうど8の字ルートの中心点がここ。
こちらは大平高原へと向かうルートになります。意外と歩く人が少ないのか、結局この先誰とも会うことはありませんでした。
しばらくは車が通れるほどの道を進んで行きます。
大平高原には向かわずに途中の分岐を入って道満尾根へ。
ここら辺もしばらくは緩やかで歩きやすい道が続きました。
こちらが道満山。
展望はないですが山頂はそれなりの広さがあるので、休憩ポイントとして使えます。
少し厄介なのが道満山から先の下山路。
部分的に急登ポイントがあって、足場も岩と土のミックスでここも滑らないように神経使います。
こういう道は変に力んでしまうので、結果翌日以降の筋肉痛に繋がってしまうわけで……。もっとスマートに下山できるようになりたいです。
ひたすら下って登山口に下山。
道満尾根では結局誰にも会わなかったです。昨今の熊ニュースもあってクマ君との遭遇が怖かったので、熊鈴鳴らしつつ独り言多めで下りました。
後は道なりに林道を下って行くだけ。
見えているのは山間に広がる徳和集落。下山してから出会う山麓の長閑な風景がまた好きなんです。
こうして乾徳山登山口バス停まで下山完了。
最終バス1本手前の15時台に間に合ったので、帰りのバスは空いていて座って帰ることができました。
奥秩父の日本二百名山・乾徳山。
3回目でしたが緑豊かな森から草原フィールド、そして岩場と鎖場のデンジャラスゾーン。変化に富んだコースはやっぱり面白かったです。
高低差があるので体力的にはなかなかきつかったですが、秋の気配が感じられる涼しい風のおかげで快適に歩けた1日でした。
電車・バスの公共交通でもアクセス可能なので、良ければ行ってみてください。
【日程】
2025年9月6日
【コースタイム】
9:10 乾徳山登山口バス停
9:35 乾徳山登山口
10:40 国師ヶ原
11:00 月見岩
11:50 乾徳山
13:10 高原ヒュッテ
13:50 道満山
14:40 乾徳山登山口バス停
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