大菩薩嶺に近い石丸峠から牛ノ寝通りを経て大マテイ山~小菅の湯を歩いてきました。
あまり有名ではないかもしれませんが、牛ノ寝通りは都内近郊では隠れた紅葉の名所となっていて、11月初旬ごろに訪れると稜線上の紅葉が凄まじいことになっています。縦走路も平坦で歩きやすいので、秋の低山ハイキングには打ってつけのルート。首都圏から電車とバスでアクセスも可能になっています。
久しぶりに近場の山域を登りましたが、低山ならではの紅葉風景も良いものですね。石丸峠からの富士山と南アルプスの展望も素晴らしかったです。
御嶽山、木曽駒ヶ岳、焼岳、浅間山といういわゆる日本百名山の有名どころの紅葉登山を終えて、今回は久しぶりに近場の山。
かつて頻繁に登った秀麗富嶽十二景エリアにある、”牛ノ寝通り”という縦走路を歩いてきました。位置で言うと大菩薩嶺から奥多摩方面に延びる稜線になります。
都内から電車とバスだけで歩き通せる場所ですが、合間に有名な山があるわけでもないのであまり馴染みのない場所かもしれません。自分も今回歩くのが初めてでした。
未知のルートの新開拓、そこに広がっていた紅葉が凄まじかったです!
2018年11月2日 石丸峠~牛ノ寝通り~大マテイ山 紅葉登山
時期は11月初旬。もうこの頃になると高い山では軒並み紅葉が終わって、メインは近場の低山へ。
金曜日の平日仕事休みという貴重な時間が作れたので、前々から気になっていた牛ノ寝通りってとこを目指しました。
久しぶりの都内朝発、電車とバスで行く公共交通登山。過去、何回か訪れているJR甲斐大和駅から上日川峠行きのバスに乗車します。平日でしたが、8時過ぎの第1便は続々と登山者が訪れて、出発する頃には満車となりました。
小一時間バスに揺られて降り立ったのは、終点の1つ手前の小屋平(石丸峠入口)バス停。
終点の上日川峠まで行けば日本百名山の大菩薩嶺に簡単に登れますが、今回の目的はそっちじゃないのでここからスタート。
バス停からすでにこの良い景色。カラマツの紅葉が見事でした。
11月にもなると紅葉はだいぶ下りてきていて、標高1500m付近のバス停辺りもそろそろ終わりかけってところ。
この小屋平バス停からは自分が向かう牛ノ寝通り以外にも、大菩薩嶺や小金沢山方面の縦走路に向かうことができるので、ここで降りる人も結構いました。
9時ごろにバス停を出発。まず目指すのは1時間くらい登った先にある石丸峠。
ここの道は過去に何度か歩いていますが、割と眺めが良くて好きなルートです。序盤は落葉松を見上げながら標高を上げていく。
少し登ると今は使われているのかいないのか、林道に一度出ます。
右の方に歩いていくとまた登山道に復帰する標識があるのでそれを目印に。
石丸峠が近づいてくると、道もどんどん明るくなってくる。
ここら辺の雰囲気がすごく好きで、いかにも近場の山っていう感じがする。夏から秋にかけては基本的に高山巡りだから、こうして久しぶりに近場の低山を訪れると、懐かしい気持ちがありつつどこかホッとします。
やがて登山道から見えてきたのが富士山。樹々がおしゃれなフレーム。
この数日前に降雪があったので、富士山の頭も白くなってそれらしい姿になっていました。
見上げる落葉松が綺麗。
牛ノ寝通りの紅葉に時期を合わせると、ここら辺の落葉松の紅葉は終盤に差し掛かっているので、もう少し早い時期に訪れたらもっと綺麗だと思います。
これまであまり意識してなかったけど、大菩薩嶺周辺も落葉松豊富ですな。
石丸峠が間近に迫ってくると、樹林帯を終えて草原の登山道に入ります。
ここら辺はいかにも大菩薩っぽい雰囲気。展望も一気に開けて最高に気持ち良いポイントです。
改めて眺める晩秋の富士山。
眼下に見えているのは大菩薩湖です。
山梨の山なだけあって、やはり富士山の展望が見事。
左手前に見える山が秀麗富嶽十二景No2の小金沢山。秀麗富嶽の中でも特におすすめの一座です。
少し北の方を見れば南アルプスもばっちり。
北岳あたりにわずかだけ降雪がありましたが、まだまとまった雪は降っていないようで黒々としてました。
快適な草原風景を行く
石丸峠に到着。標識のある通り、左に行けば大菩薩嶺方面、右に行けば小金沢山方面。
目の前の熊沢山を越えれば大菩薩の稜線に繋がります。
そちらに行けばおそらく人もたくさんいると思いますが、こちらは毎度のことながら全然静か。こっちもすごく快適で良い場所なのに何でこうも人が来ないんだろ、とはいつも思う。
いったん小金沢山方面に歩きますが、すぐにこちらの分岐があります。
右に行けば小金沢山ですが、今回はここから初めて左の道へ。
過去何度もスルーしていた牛ノ寝通りへいよいよ突入。
ここから縦走路をひたすら直進して、最終的には奥多摩駅へバスで戻る予定です。もうここには戻って来ず、この先富士山が見えるポイントもほとんどないので、ここらでしっかり見納めしておきます。
久しぶりに秀麗富嶽界隈から見た富士山。
馴染みある山域に戻ってくると、高山にはない安心感ってのがありますな。
未知なる牛ノ寝通り。
まずしばらくは標高を下げていきます。
だいたい1400mくらいまで来ると、道もご覧の通り平坦に。この牛ノ寝通りのすごいところがこのフラットさ。石丸峠から歩くと、下りが所々にあるくらいで登りはほとんどありません。
歩きやすくてなおかつ日差しも降り注ぐので、気分的にもかなり気持ち良く歩けます。もっと薄暗い道かとも思ったけど、全然そんなことなかった。
さらに少しずつ標高を下げると、いよいよ紅葉ゾーンへ。
目の前が一気に華やかになり、足元もフカフカの落ち葉ロードに変わる。
低山らしい樹林帯に包まれた紅葉風景。
こういうのもすごくいい!色とりどりで、見上げる紅葉がとても綺麗です。
誰もいない静かな縦走路。
紅葉を独り占めできる贅沢な時間ですが、牛ノ寝通りの紅葉はまだまだこんなもんじゃない。
しばらく歩いて榧ノ尾山(かやのおやま)というところに到着。
一応山頂ということになっていますが、石丸峠側から歩いてくると平坦な道の途中という感じで、そこまでピーク感がないところ。開けているので休憩するにはちょうど良いです。
平坦な道はなお続く。
そして紅葉もこの先からが本番という感じに。
登山脇に広がるモミジが素晴らしく綺麗。
途中途中には標識も用意されていますが、特に分岐のない一本道なので気にせず直進すればOK。
ゴール地点の小菅の湯はまだまだ先。
素晴らしく綺麗な紅葉の尾根道。
道が驚くほど平坦でほとんど標高を変えないので、先へ進んでも進んでも紅葉が広がっています。
ちょっとこれは凄まじいぞ!
低山とは思えない迫力と華やかさ。
もはや登山というよりもハイキング。ちょっとくらい登りがあってもいいのに全くない。
最初のバス停から石丸峠までの登りを終えてしまえば、この日の登山は終了したようなものでした。まっすぐ続くトレイルはまだまだ続きます。
うひょーー!と叫んでしまう美しさ。
牛ノ寝通り、名だたるピークがあるわけでもないですが紛れもなく紅葉の名所の1つ。都内近郊の中では隠れた穴場だと思います。
先へ進んでも進んでもひたすら紅葉トレイル。
見上げるモミジも赤や黄色など色々と変化して雰囲気が変わるのも面白い。
稜線でありながら、所々横に広い場所もあって、公園のように樹のベンチが用意されていたりもします。
ここら辺からたまに前方から人とすれ違うようにもなりましたが、それも数人だけで相変わらず静かな山歩き。
牛ノ寝通り、本当の名前の由来はよくわからないですが、牛のように深い眠りに落ちそうになるほど平坦な1本道。
アップダウンがまるでないので、かなり身体に優しい道になっています。
もはや笑うしかない牛ノ寝通りの紅葉。
都内近郊の登山エリアでこのレベルの紅葉はなかなかないかもしれない。初見で歩けば唸ること間違いなしの穴場スポットなので、ここはぜひ訪れてみてほしいところです。
牛ノ寝通り終盤の開けたところ。
ここは薄っすらと覚えていて、6年ほど前に秀麗富嶽No5の奈良倉山に登った時にきたところ。その時は反対側から登ってきて、確かここで引き返した気がする。
この稜線をひたすら直進すれば奈良倉山まで行くこともできます。
ここら辺まで来れば小菅の湯へ下山もできますが、ちょいと大マテイ山を登ってみることに。
標識の通りに進んでいきます。
しばらく登って、大マテイ山に到着。
ここも初めて訪れましたが、広い山頂でした。
山頂にはこんな感じでベンチが用意されていて、おじいちゃんおばあちゃんが休憩中。のどかな雰囲気でしたよ。
樹々の合間から山なみは見渡せますが、そこまで展望に恵まれた山頂というわけでもなかったです。
しかし大マテイ山の紅葉も綺麗。まさに錦秋に相応しい風景が広がっていました。
ただ1つ注意としては、大マテイ山付近は特に落ち葉がフカフカで、道がほとんど隠れた状態。ピンクテープとかもなくて油断すると道に迷う恐れがあるので要注意。
高い山よりもこういう近場の山の方が道迷いしがち。実際、軽く迷いかけたぜ……
一部ウロチョロしつつ、登山道に復帰して小菅の湯の標識発見。
松姫峠までは向かわず、ここで下ります。
落ち葉が敷き詰められた登山道。
小一時間の下山路ですが、ここにも1つ見どころポイントが用意されています。
それがこちらのトチノキの巨樹
屋久島の杉を彷彿させる巨大な大木です。
ごく普通の森に突然こいつが現れるので、かなり目立って余計に大きく感じられました。意外と迫力あるので、時間があればトチノキの巨樹ルートを歩いてみてください。
異彩を放っているので、歩いていればすぐに気づきます。
登山道の最後は綺麗な小川の架け橋。
この手前に畑があって、そこのおっちゃんから「若い兄ちゃんとは珍しいね」って言われたけど、やっぱりここら辺はあまり歩かれていないのかな。
個人的には猛烈に人に勧めたくなったルートなんだが。
最後は林道歩き。
この林道が少し長く感じましたが、これも近場の低山らしいところ。
道なりに歩いていって、昼過ぎに小菅の湯に到着。
だいぶ速い到着で帰りのバスまで余裕があったので、温泉にゆっくり入れました。平日登山の良いところは温泉が空いているところ。この小菅の湯も前回訪れた時は激混みでしたが、この日はほとんど貸し切り状態。
珍しく1時間以上の長湯で、日ごろの仕事疲れをリフレッシュできました。
14時半ごろの奥多摩駅行きのバスに乗車して帰途へ。平日は山も温泉も空いていますが、その反面でバスの本数が少ないのでそこだけ注意してください。休日もそこまで多くはないですが、奥多摩駅行きと大月駅に加えて、休日は四方津駅行きもあるので便利です。
1時間ほどの乗車時間で奥多摩駅に到着。
これまで秀麗富嶽エリアの登山は山梨側で完結していたので、山梨側からスタートして東京の奥多摩側に下りるってなんだか少し新鮮でした。
こうして気になっていた牛ノ寝通りの縦走登山が完了。
序盤の石丸峠の落葉松の紅葉と富士山・南アルプスの展望も良かったですが、それが霞むほどの牛ノ寝通りの紅葉でした。
このレベルの紅葉は都内近郊の山では珍しい気もするので、個人的にはかなりお勧めの場所です。登山口と下山口が全然異なるので、電車・バスでの公共交通登山向けのルートでもあると思います。
機会があればぜひ歩いてみてください。
【日程】
2018年11月2日
8:50 小屋平(石丸峠入口)バス停
9:40 石丸峠
10:30 榧ノ尾山
11:45 大マテイ山
12:45 小菅の湯
コメント
こんばんは。
牛の寝通りの紅葉、綺麗ですね~。
私も一度歩いた事があるのですが、ちょっと紅葉終盤だったので、紅葉最盛期にぜひ歩いてみたいです。
次の記事も楽しみにしています。
ゆかぽんさん、こんばんは。
おぉ、牛ノ寝通り歩かれたことありましたか。初めて歩いたのですが、とても快適な縦走路ですね。久しぶりに近場の穴場を見つけた感じで嬉しかったです!紅葉も見事でした。
高い山もいいですが、こういう低山も色々と開拓していきたいです。