北アルプスの白馬岳へテント泊登山に行ってきました。
新宿から夜行バスを利用して栂池高原へ。ゴンドラとロープウェイを利用して、山頂までを1泊2日でゆっくり往復。1日目は鏡のように美しい白馬大池と、夕日に染まる白馬三山が絶景でした。
チングルマ、ハクサンイチゲ、コマクサなど、稜線に咲く高山植物も尽きることがなく、花の名峰を満喫。今シーズン最初の夏山テン泊を最高の形で迎えられました。
長かった梅雨もようやく終わり、夏山登山のチャンス到来。
例年であれば、7月が自分にとって夏のテント泊縦走のピークなのですが、今年は長雨に泣かされて8月から始動。
今シーズン1発目は足慣らしもかねて、久しぶりに北アルプスの白馬岳へ行ってきました。
やっぱり白馬岳は最高!北アルプスの中で一番好きな山です。
2019年8月2日~3日 北アルプス白馬岳 テント泊登山(1日目)
前週の尾瀬に続いて、今回もバスタ新宿から夜行バスを利用。
去年の唐松岳~五竜岳でも利用した白馬大池・栂池行きのバスに乗車。 上高地行きのバスもそうですが、夏シーズンは予約ですぐに満席になるくせに、当日になると空きが出て意外と乗れたりするもんです。この日も自分の隣の席が空いていて、快適なバス生活でした。
翌朝6時に終点の栂池高原に到着。この日は金曜日なので、ゴンドラリフト営業開始は7時から。登山計画書書いたり朝ごはんを食べたりして時間つぶします。(ゴンドラの運行時間は日程によって違うのでこちらを参考に。土日であれば6時半から動かしてくれます)
平日なのに朝から長蛇の列。これまでの鬱憤を晴らすかの如く、梅雨明け早々みんな解き放ってるね~
予定通り7時運行開始のゴンドラリフトに乗って、その後さらにロープウェイに乗り換え。ロープウェイは20分間隔ですが、ギリギリ1本目の便に乗れました。
乗車時間はゴンドラ約20分、ロープウェイ約5分。上に行くまでに30分はかかります。
7時40分、山頂駅の栂池自然園に到着。栂池山荘や栂池ヒュッテなど宿泊施設があるので、ここで前泊も可能です。
登山者にはうれしいソフトクリームの売店もあり。
小屋の裏手に登山口があるので、トイレなどの準備を済ませていよいよスタート。7年前に初めて白馬岳に登った時、下山でこの栂池ルートを利用しましたが、正直どんな道だったかあまり覚えてません。
気分的には初めて歩くような感覚で参ります。
最初は樹林帯の中をひたすら登っていく。文明の利器を利用して標高1850mの地点からスタートできていますが、白馬岳までは結構距離があります。
まず目指すのは標高2469mの白馬乗鞍岳。
単調な樹林帯はすっ飛ばして、1時間ほどで天狗原に到着。久しぶりのテント泊装備ですが、バスの中でたっぷり寝れたので割と快調。
マイカー登山と違って公共交通登山は色々と不便な点が多いですが、登山前にしっかりと睡眠が取れるというのは大きなアドバンテージ。夜行バスで寝れないんだよ!って人は、、、場数をこなして慣れるしかない。
天狗原は木道敷かれた湿原が広がる美しい場所。休憩するには最適です。
花も結構咲いてました。
個人的にうれしかったのがワタスゲがまだ多く残ってくれていたところ。
標高が高いからなのか、8月に入ってもまだホワホワ~でした。
天狗原から再び急な登り坂。
ここら辺から岩場も多くなってきて、徐々に視界も開けてきます。この岩が下山時に結構ヒザに来るんだよな……
こういうゴツゴツした岩が多い道はあまり得意ではないです。
8月になっても雪を多く残す白馬岳。
雪田が見えてくると森林限界。この先に待っている白馬乗鞍岳も近いです。
そしてここら辺から花も多くなってきます。
チングルマは穂の姿になっていました。
ミヤマキンバイ
雪渓を渡る。大した距離はないですが、滑れないように注意。
ロープが1本垂らされているので、特にアイゼンつけなくても通過できます。
雪渓を通過すればいよいよ乗鞍岳山頂。
見上げれば気持ちの良い青空。
乗鞍岳山頂は広く、平原のようになっています。
ここに来るのも7年ぶりなので、とても懐かしい場所。
目前で沸き立つ雲がダイナミック。夏山感が非常に出ています。
あまり写真には映っていないですが、前後を歩く登山者は非常に多く、白馬岳の人気っぷりを感じずにはいられない。
自分もこの山のファンの1人。
9時40分、白馬乗鞍岳に到着。山頂とされるところにケルンと標識が立っています。
ここで小休憩。去年から導入したULザック。
今年1発目なので、なんかやたらパンパンで荷物が入ってる気がするけど、当初は2泊の予定だったからこんなもんかな。
個人的にソーラー充電可能なランタン「ソーラーパフ」は折り畳み式の軽量で電池いらずなのでお勧めアイテムです。ニュージーランド旅行でも大活躍でした。
乗鞍岳からすぐ近くに見えている巨大な池は白馬大池。
鏡のように空の青を投影する美しい池。
山の上に広がる池としてはかなりの大きさで、白馬岳の1つのシンボルでもあります。
素晴らしく綺麗だ……
乗鞍岳からは白馬岳山頂に至る稜線も見えます。
白馬岳と言えばあの稜線こそが醍醐味。穂高岳や剱岳のような岩山とは違う、穏やかな稜線が山頂まで続いています。
まさにワシ好み。
乗鞍岳からいったん下って、対岸に見える赤屋根の白馬大池山荘へ。
池の淵に沿って進んでいきます。
シンメトリーな景観を創り出す白馬大池
白馬岳の雪解け水が流れ込む山の上の泉。
水も驚くほど透き通っていて綺麗です。
池の周りにたくさん咲いているのがチングルマ。
先ほどは穂の姿になっていましたが、ここまで上がってくればまだ綺麗に花咲かせていました。
小屋の入り口にはハクサンイチゲの群生も。
6月、7月で見れなかった花たちをここ白馬で取り返す。
10時20分、白馬大池山荘に到着。
小屋前のテント場はすでにかなりの数が張られていました。
夏の日差しが強烈で、山荘の水場が重宝しました。今だったらいくらでも水が飲めるんじゃないかってくらい喉が渇いていたので、グビグビ頂く。
そして小屋前のお花畑がまたすごい。
チングルマの大群生が広がっていました。
紫色のハクサンコザクラ。こちらも信じられないくらいの数が花咲かせています。
ブルーな輝きが美しいタテヤマリンドウ。
カラフルで色々な種類の花が咲く白馬岳。序盤でこれだけの花が見れるんだから、さすが白馬さんだわ。
大池の湖畔に広がる山小屋とテント場。奥に見えるとがった峰が乗鞍岳。
なんだかここだけゆったりと時間が流れている気がする。ロケーション的にもこのテント場はかなり魅力的なので、いつか泊りに来たいとは思っています。
白馬大池山荘からいよいよ稜線に入って白馬岳山頂を目指す。
青空に雲、緑の草原に残雪、これぞ夏山と言える景色。ここからが我ら稜線フリークにはたまらない至福の時間でございます。
この先はひたすら展望の良い稜線天国。
初めてここを歩いたときは本当に感動したもんです。こんな雄大で歩きやすい稜線が日本にあったのかと。
7年前の自分は北アルプスも数えるほどしか登ってなかったので、目にする景色すべてが新鮮でした。
稜線上にも至る所にお花畑。高山植物の女王・コマクサも、ここではそう珍しいものでもなく、普通に咲いています。
放電しているかのような目立った出で立ちのタカネナデシコ
稜線にもチングルマの群生。穂と花が共存するのもこの時期ならでは。
ひたすら続く縦走路。
天気はややガスってきたものの、花が尽きないので足が全然進まない。
ミヤマダイコンソウ
ハクサンフウロ
歩いてきた道を振り返っては、また1つ感動の溜息。
夏山が始まった感じで、気持ちがすこぶる高まっております。私は断然冬より夏が好き派。
ヨツバシオガマ
白馬岳は花の山とも言われており、高山植物の数がとにかく豊富。北アルプスのほかの山と比べても群を抜いており、ここに来れば有名どころの花はたいてい見ることができます。
この記事で載せている花も、その中のほんのごく一部にすぎない。
稜線の中盤にあるどっしりとした山容のピークが小蓮華山。
白馬岳と言えば長野というイメージがありますが、この小蓮華山は新潟と長野にまたがる山。標高2766mは何気に新潟県の最高峰でもあります。
雲がだいぶ多くなってきつつも、わずかにのぞく稜線から北アルプス感をひしひしと感じる。
まだまだ至福の稜線天国は続きます。
一か所、コマクサの大群生が広がっている場所がありました。
ピンク色のコマクサが広範囲に咲く景観はなかなか見れたもんでもないので、ぜひ足を止めて見てみてください。
白馬岳という名にマッチしている、白砂に覆われた純白の山肌。
日本屈指の豪雪山域でもあり、8月になっても至る所に雪が残っています。
富山、長野、新潟の3県の県境が交わる三国境。
そこから眺める前方の山が雪倉岳。ここら辺は翌日すっきり晴れてとてつもない絶景を見せてくれたので、後半の記事にでも書こうと思います。
タカネツメクサ
白馬岳山頂付近にたくさん咲いていました。
白馬大池から稜線を4時間近く歩いて、白馬岳山頂がようやく見えた。
最後のビクトリーロード。
14時、7年ぶりの白馬岳山頂に到着。山頂はあいにくの虚無な世界でしたが、翌朝綺麗に晴れてくれたので、展望はそのときに。
ガスりつつも、見れた景色にどこかラピュタ感あり。
こういう景色が見れるのも面白い。
白馬岳山頂直下に見えるのが白馬山荘。
国内最大規模の山小屋で、レストランや売店はもちろん、宿泊部屋も大部屋から和室までいろいろ。山頂から15分ほどの好立地物件というのもあって、かなり人気の山小屋です。
モクモクした雲が夏らしい景色。
14時を回ってもまだまだ気温は高い。
14時15分、白馬山荘に到着。
平日でも大賑わいの山小屋。ここのテラス席は有名で宿泊した際はぜひ夕日を見ながら黄昏てみてください。
テント泊スタイルの自分ですが、こういったロケーションの良い山小屋には一度は泊まってみたいです。
今回はテントのご身分なので、もう少し先へ。さらに下るともう1つの山小屋・白馬岳頂上宿舎があって、そこにキャンプ場が併設されています。
タカネシオガマ
山頂付近で特に目立って咲いていた花。
こちらは旭岳。
白馬岳のすぐ近くにそびえるどっしりとした山。山頂まで登ることはできませんが、ここから眺めるだけでもすごい迫力!
この後、テント場についてから日が暮れるまで、あの旭岳ばっかり眺めていた気がします。
14時30分、白馬岳頂上宿舎のテント場に到着。ここが山頂から一番近いテント場になります。
金曜日ですが、すでにかなりの数が張られていました。
白馬岳頂上宿舎でテント受付。1泊1200円なので、テント場としてはなかなかのお値段ですね。
ここもかなり大きめの山小屋ですが、先ほどの白馬山荘に比べるとやや人気が劣るようで。この日もテント場は大混雑でしたが、小屋は半分も埋まっていなくて快適だったそうです。
すぐ上の白馬山荘とはかつてライバル関係にあったようで、過去の熾烈な山小屋合戦の話はなかなか面白いです。(Wikipediaでもその概要が載ってます)
こちらは白馬大雪渓方面のルート。
7年前はこちらから登ってきました。今回も大雪渓を選択しても良かったのですが、例年にないくらい雪の崩壊が進んでいて、すでに一部が秋道ルートになっていると聞いたのでやめました。(この件以降、雪渓に対してややナーバスになっておるのだ)
すでに大盛況のテント場でしたが、奥のほうがまだ空いていたので問題なく設営完了。久しぶりのマイホームを建てたぞ。
この後も続々と登山者が押し寄せて、自分の両隣もくっつくくらいまで埋まりました。
お腹空いていたので16時には早めの夕食を食べてしまい、そこからは特にやることなし。
暇だったので17時くらいから散歩に行きました。テント場からすぐのところに丸山というちょうどよい展望台があります。
まだ雲が多かったものの、富山側は比較的晴れていて、陽の光を浴びる旭岳のシルエットが猛烈にカッコ良かったです。
旭岳との間に広がる湿原。
神々しい光が差し込む風景、これはこれでエモいワンシーン。
丸山から杓子岳~鑓ヶ岳方面の縦走路を眺める。
この時はまだ雲がかかっていましたが、もうやることもないのでここに居座って、ひたすら稜線を眺めていました。
ちなみにテント場や山小屋付近では携帯の電波は入りませんでしたが、この丸山では入りました。翌日の天気もここで確認。
すっきりと晴れてきたのは18時40分ごろ。気づいたら1時間以上も時間が経っておった。
白馬岳にかかる雲も一切なくなり、その全貌を初めて見れました。尖った峰がカッコよく、下のテント場がなんともカラフル。
ここからの怒涛の展開が凄まじかった。
もう間もなく夕暮れ時を迎える時刻。
淡い空の下に浮かび上がる旭岳。奥に見える2つの山は右が雪倉岳、左奥が朝日岳。
西の空に沈んでいく太陽。
夕日を見るために、丸山にも続々と人が来ました。
ここからの景色の変貌ぶりが、これまであまり見たことのないもので……
雲の中からようやく顔を出してくれた杓子岳と鑓ヶ岳。太陽の光が雲に溶け込んで、景色全体が黄色く染まる不思議な情景。
あの2つの山と白馬岳を合わせて白馬三山と呼ばれています。7年前はここにテントを張った後に杓子岳~鑓ヶ岳を往復してきたんだから、昔の自分はフットワーク軽いなぁ~と思った。あの頃はとにかく動けるだけ動きたかったお年頃。そんな貪欲な時期は誰にでもあるよね。
白馬岳もオレンジ色に染まり始める。見ている山は同じでも、この時間の空は刻々と変化するので、その移り変わりが非常に面白い。
左奥に見えるのが雪倉岳。
旭岳のはるか後方で夕日が沈むのが見えました。
丸山に集う宿泊客。みんな写真撮影に大忙し。
ここで立ち話を聞いて、小屋が意外なほど空いていることを聞く。やっぱり白馬岳で小屋泊となると、みんな上に見えてる白馬山荘の方に流れてしまうようですね。
夕焼けに聳える白馬岳
19時を過ぎて景色は黄色から紫色へ。空の色がそのまま山に投影された不思議空間。あまり見たことのない色合いでした。
そして、この時間になって杓子岳方面から歩いてくるご年配の登山者発見。どうにか明るいうちに小屋に着けたようで良かったです。
夕焼けを望む。
名前も知らない、どこの誰かもわからない人たちと同じ景色を共有する。
ピンク色に染まる白馬岳~雪倉岳~朝日岳。日本百名山、二百名山、三百名山にそれぞれ選定されている白馬三兄弟。
本当は自分も明日は雪倉岳~朝日岳と縦走して2泊3日で歩くつもりだったのですが、この夕暮れ時の景色に心底満足してしまい、翌日下りることにしちゃいました。
陽が沈み、空は夜へと移り変わる時刻。
結局2時間以上丸山に滞在して、ずっと空と山の景色を眺めていました。こういうまったりとしたテント泊登山もたまにはいいですね。
夕暮れ時が終わろうかという頃、空に沸き立つ巨大な積乱雲を発見。ラピュタ雲と呼べるほどの、なんともわかりやすい積乱雲。
あの雲はなかなかのクレイジー野郎で、この後すぐに雷が鳴り始め、空も光りだしました。
良い景色が見れたので満足。最後は雷が合図となるように、皆さん撤収していきました。
この後、あの積乱雲が押し寄せて、夜はずっと雷雨でした。空がピカピカ光るのがテントの中からもよくわかって若干怖かったけど、特に何事もなくて良かったです。
こんな感じで1日目が終了。最後はひたすら夕暮れ時の画ばかりになってしまいましたが、個人的には序盤の白馬大池もなかなかの絶景でした。
高山植物も一体何種類見れたんだってくらいたくさん見れたので良かったです。
稜線はややガスってしまいましたが、2日目が見事に晴れ渡って絶景を見ることができたので、次の記事にでも書こうと思います。
白馬大池と無数のお花畑、夕焼けの絶景を堪能できた白馬岳登山1日目でした。
【日程】
2019年8月2日~3日
【コースタイム】
7:50 栂池自然園登山口
8:50 天狗原
9:45 乗鞍岳
10:20 白馬大池山荘
14:00 白馬岳
14:30 白馬岳頂上宿舎テント場
コメント
いつも素敵な山旅の写真をありがとうございます。
花の写真で気になるものがあるとつい口だしする習癖があって済みません。
ミヤマキンバイ(2つ目)は、葉っぱの形からミヤマダイコンソウのように見えますがいかがでしょうか?
違っていましたら申し訳ありません。
コメントありがとうございます。
そのようですね。修正しました。