中央アルプスの将棊頭山へ日帰りで登ってきました。
ルートは桂小場登山口からの往復。コースタイムはやや長めですが、道中に危険個所はほとんどなく、ルートも明瞭で歩きやすい道が続きます。
そんなつもりはなかったのですが、ちょうど前夜に雪が降ったおかげで、森林限界を超えた稜線は一面の雪景色!予期せぬタイミングで今シーズン最初の雪山登山を楽しむことができました。
初冬のアルプス風景、すごく良かったです。
11月中旬のお話。
まだ長野市街地では所々で紅葉も残る季節でしたが、山の上はすでに冬の景色が広がっていました。
場所は中央アルプスの『将棊頭山』(しょうぎがしらやま)。
これまで中央アルプスへは何度も登りに行ってますが、そのほとんどが木曽駒ヶ岳なもんで、山の数としてはそんなに多くはない山域。
この将棊頭山も今回初めて登った山でした。初登頂が雪の中というのはいかがなものかという気もしますが、真っ白に雪を纏った稜線とアルプスの山並みが素晴らしかったです。
2020年11月23日【中央アルプス】将棊頭山 雪山登山
なかば成り行きで決定した今回の山行。
出発の段階では群馬県の妙義山に行こうとしてたんだから、結構な方針転換でした。紆余曲折あっての11月のアルプス登山でございます。
将棊頭山の登山口はここ、桂小場。
山頂までは登り5時間弱の道のり。高低差も1500mほどあるので、そこまで楽な行程ではないです。
登山口前にはこんな感じで10台ほどは停められる駐車場があります。
6時前には到着していたのですが、明け方は雨が降っていたのでしばらく待機。7時過ぎにスタートとなりました。
そしてこの雨が、山の上に雪をもたらしていたのを数時間後に知る。
小雨が降る中でのスタートでしたが、すぐに雨も上がって瞬く間に気温上昇。
この日は結構暖かくて、半袖で十分なほどの陽気でした。だからこそ、上で雪が降っているなんて思っても見なかった。
登り始めてすぐのところにぶどうの泉という水場がありました。
水量豊富です。この先の野田場というところにも水場がありますが、そちらはチロチロ程度なので、水を汲むならここで。
桂小場ルートの序盤はひたすらなだらかな登りが続く単調な道。ルートも明瞭ですごく歩きやすかったです。
前にいるのはいつものまさき先生。群馬側の天気が微妙と聞いて、この将棊頭山の名を出したのもこの男。毎度、良い山を引き当ておる。
しかし妙義山に行くつもりだったから、お互いかなりの軽装です…。
1時間半ほど登ったところにある馬返し。
ここまで本当に道が緩やかなもんだから、正直あんまり登ってきている気がしない。トレランでもものすごく走りやすい道ではなかろうか。
この先も急登と呼べるようなところはあまりなし。
明瞭な1本道がひたすら続くだけ。下山は一気に駆け抜けて速いもんでした。
登山口から2時間ほど登ったところにあったのが、大樽避難小屋。
日差しが差し込む、長閑な雰囲気の場所に建てられた小屋でした。
中はこんな感じ。
ここで少し休憩。この小屋ではドコモの電波は入りました。
なかなかすっきりと晴れないもんだから木曽駒ヶ岳のライブカメラ見てたけど、あっちはすでに青空が広がってたので、それに期待する。
それでも9時を過ぎると少しずつ日差しも強くなってきました。
木漏れ日差し込む森の雰囲気がどこか幻想的。
胸突八丁というポイントに到着。
この日は3連休の最終日でしたが、ここまでまだ誰とも会っていません。
ここら辺からようやくしっかり登っていく感じに。
雲行きが再び怪しくなり、行く先には真っ白なガスも見えていて体感温度も一気に下がってきた。
唐突に現れた六合目。
一合目から五合目までは見ていません。標識の類はどこにもなかった気がする。
ちなみに、このカウントは木曽駒ヶ岳(西駒ヶ岳)までを示しています。八合目は将棊頭山の先になるので、次の七合目が今回の区間としては最後。
この後もひたすら単調な道。
ただ、良く見ると足元に白いものが混じってきた?
津島神社に到着。社らしきものはありません。
先ほどの六合目から10分ほどですが、ここら辺からはっきりと雪が積もり始めました。
七合目。ここで完全に雪道に変わる。
この段階で山の上の雪景色に期待を込めると同時に、自分たちの装備が不安になる。
なんたって今日は冬靴じゃないんだ……
胸突ノ頭に到着。
ここで長かった登り坂がひと段落して、いよいよアルプスの稜線に入っていきます。
標識は駒ヶ岳になっていますが、将棊頭山もその方向に行けばOK。山頂まではもう1時間切ってます。
景色が開けたと同時に絶景が見れるのかと思いきや、そこは辺り一面濃い霧の世界……。
ウソだろ、、、真っ白で何も見えやしない。
10時半ごろに稜線に出る。
ここは晴れていたら凄い景色が見れたんだと、帰りに知ることになりました。
先ほどの稜線から夏道と冬道に分かれていましたが、まだ積雪がそんなになかったので夏道を通れました。
こんな感じで稜線の陰をトラバースする感じで進んで行きます。
そして、前方についに青空がっ…!
おっ…?
おぉっ……!?
おぉーーー!!
一気に晴れた。本当にガスが切れてからは一瞬。
この日登山を開始してから初めて見た青空でした。
晴れ渡ると景色も劇的に変化。
先ほどまでなんてことのない道だと思ってたところが、見事な霧氷ロードに切り替わっていました。
見てくれ、この見事な霧氷を。
毎年、冬の登山シーズン到来を告げる霧氷風景。11月中旬、予期せぬ形で見ることができました。
気温もそんなに低くはないので、なんだかこの状況で霧氷を見れるのが少し不思議な感じ。自分自身が冬装備じゃないってのもあるだろうけど……
数時間後にはこの霧氷もすっかり消えていました。
霧氷のトンネルを抜けると見えてきた1軒の山小屋。
そして、ここで初めて他の登山者の姿も見えました。
将棊頭山の山頂直下に建てられた西駒山荘。
今シーズンは新型コロナの影響で営業休止になっていましたが、冬季小屋は解放されて入れるようになってました。
将棊頭山の名にちなんで、過去にプロの将棋棋士の対局も行われたことがある山小屋です。俺、将棋好きなんでここに来れて少し嬉しい。(日曜日の朝は家にいればNHK杯もしっかり見るぜ)
天気が良いうちに色々と回ってみる。
すぐ近くの小高い丘に登ってみると、中央アルプスの名峰が一望できました。
右奥の一番高い山が木曽駒ヶ岳、中央の尖がった山が宝剣岳。
下に見えるのが先ほどの西駒山荘、その奥に見えるピークが将棊頭山になります。
登山道が雪で埋まっているのでわかりづらかったですが、左からグルっと迂回して登る感じです。
頭上はすっきり晴れてるのですが、周囲はまだ雲だらけ。
目の前に立ち込める雲海が凄くて、うごめくように波打ってました。
あの雲に再び覆われないうちに色々と見ておく。
稜線を伝って山頂へ。
踏みしめる雪の感覚が懐かしい。予想外の降雪だったものの、こうして今シーズンの雪山も開始でございます。
奥に見えるピークが将棊頭山の山頂。
そして、その少し手前のここら辺からの景色が凄すぎた。
稜線の先に見える木曽駒ヶ岳。三角形の中岳も意外な存在感を放っている。
ほんのり雪をかぶった稜線とアルプスの山並みが絶大な迫力!
周りを取り囲む雲海もすごい。
文字通り雲の海が広がっていて、山全体が海に浮かぶ島みたい。
このアングルから木曽駒ヶ岳を眺めたのは初めてですが、結構どっしりとしてますね。
こうして11時半に将棊頭山に到着。標高2730mの地点、初めての登頂です。
空は宇宙さえ感じさせる濃いブルー。
登り初めは小雨も降ってどうしようかと思ってたけど、その雨のおかげで結果的にはいいもん見れたので万々歳です。
将棊頭山から眺める木曽駒、宝剣方面の展望がもう格別よ。
将棊頭山から見下ろす西駒山荘。
奥から迫る雲の圧が凄い。
そしてこちらが登ってきた方面。雲の隙間から天に突き出た1つの岩が唐突に見えてきました。
オベリスクのような角の岩、あれが行者岩。雲のベールを纏う姿が神々しくて、それはもうカッコ良かったです。
あの岩の存在感は下山時にも体感することになりました。
その奥には薄っすらですが、雪をかぶって真っ白になった御嶽山の姿も見えてます。
まるで生きているかのように辺りを浮遊する雲。
もう何度も見ている景色ではありますが、この日の雲海は一味違う圧力を感じた。
将棊頭山から木曽駒ヶ岳にかけての稜線。
このまま木曽駒ヶ岳に登って千畳敷へと下る縦走も、少し頑張れば日帰りで可能なようです。
山頂は冷たい風が吹き付けていたので、展望をある程度楽しんで下山。
将棊頭山、良き山でした。
雲も次第に引いてきて、宝剣岳の三角形が再びはっきりと見えるようになってきた。
写真には映っていないですが、稜線に出たら登山者も割といて、10人くらいとはすれ違ったと思います。
この天気であれば宝剣岳~木曽駒ヶ岳も結構人がいそう。
木曽駒ヶ岳を北側から見たのは今回が初めてだけど、なかなか険しいですね。
普段はロープウェイ側から登るので、だだっ広い南側しか見ていなくて気づかなかったけど、このアングルが一番アルプス感ある気がする。
時間もあるので、少しだけ木曽駒方面へ行ってみることにしました。
ここら辺の稜線は平坦だからかなり歩きやすい。
自分好みの平和な稜線ハイク。
稜線上にも点在する霧氷の樹々。
風がなければ日差しは暖かく、雪と氷も急速に溶けているのがわかりました。
東側の雲がだいぶ下がって、ようやく見えたのが南アルプス。
左は仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳、そして北岳から、右は南部の赤石岳や聖岳まで3000m級のオールスターを一望。
2020年は新型コロナの影響で立ち入れなかった南アルプス、今年はチャンスがあれば登りに行きたいところ。
花崗岩が点在する良さげな広場があったので、ここで折り返すことに。
ここも展望地としては最高で、宝剣岳、中岳、木曽駒ヶ岳をより近くで見ることができました。
登ってきた時よりも、すでにだいぶ雪が溶けてる気がする。
稜線を引き返して西駒山荘へ。
天気も何とか持ってくれて良かったです。下山して知ったけど、この日は妙義山も天気が良かったらしい。別に山を変える必要はなかったわけだけど、まぁ結果オーライ。
西駒山荘の冬季小屋が開放されていたので、中でお昼休憩。
かなり綺麗な造りでした。
12時半ごろに下山開始。
まだ昼過ぎなのに、陽が短くなってきているのが良くわかる。もう太陽が西に傾いている感じでした。
初冬の季節は陽が沈むのも早いので、早めの下山が理想的ですね。
登りで見た霧氷のトンネルはすっかり消えてなくなっていました。
冬であれば見れるとも限らない霧氷。繊細なやつだからこそ、見れた時がすごくうれしいんだ。
そして帰りに待っていた最後の絶景がこちら。
行きは真っ白で何も見えなかったところ。戻ってみたらそこは、天を貫く岩峰を正面から捉えられる絶好の展望地でした。
中央アルプスのオベリスク、行者岩。
山頂からも雲の隙間からチラ見できた尖がったピーク。こうして改めて見ると、最高に絵になる岩ですね。
ここら辺はさっきまで雲の中にいたからなのか、霧氷がまだ残っていました。
稜線から樹林帯に入ってからは一直線に下山。
特に雪がなくなって序盤の緩やかな道に入ってからは早かった。1本道を駆け抜けてやりましたよ。
14時半に駐車場に到着。下山は2時間ほどでした。
下山後の温泉は伊那市の「みはらしの湯」へ。
日帰り入浴500円でありながら、綺麗で広くて、しかも露天風呂からは南アルプスを一望できたので文句なし。
将棊頭山下山後の温泉にお勧めです。
帰りに食べた中央道辰野PAのチャーシュー麵が意外と旨かったので載せておきます。小さいパーキングエリアもなかなか侮れないと思った。
こうして初冬の中央アルプス・将棊頭山の雪山登山が終了。
思いがけない形になりましたが、これが今シーズン最初の雪山登山となりました。
霧氷に始まり、雪の稜線と雲海。
冬景色のいいところが詰まった山登りができました。
コースタイムは少し長めですが、ルート上に危険個所もほとんどなくて歩きやすい道なので、体力さえあれば安心して歩けると思います。余裕があれば木曽駒ヶ岳まで縦走するのもありかと。
初登頂となった将棊頭山の記録でした。
おしまい。
【日程】
2020年11月23日
【コースタイム】
7:05 桂小場登山口
8:50 大樽避難小屋
11:00 西駒山荘
11:30 将棊頭山
12:10 西駒山荘
14:30 桂小場登山口
コメント
みやっちさん
こんにちは。
今年もみやっちさんのブログを楽しみにしています(*^-^*)
将棊頭山、初めて知りました。
棊という字も初めて見ました(^^;)
木曽駒に続いている山なのですね。
写真を見る限り確かに登りやすそうですね、でも標高差1500mってかなりキツそう。。
下りは2時間で下りたって驚きました(^^;)
霧氷も綺麗ですね!
ちょっと穴場な山ですね、紹介ありがとうございました。
また次のブログも楽しみにしています!
ゆかぽんさん、こんばんは。
今年もどうぞよろしくお願いします!
将棊頭山は特に〇〇名山には指定されていないので、あまり知名度は高くないかもしれませんね。私も仲間に言われるまで、その存在をすっかり忘れていました(笑)
木曽駒ヶ岳から眺めると、将棊頭山周辺はかなり平坦で歩きやすそうな稜線が続いているんですよ。登山口からの高低差はきついですが、稜線まで頑張ってしまえばそこから先は至福の展望が待っています。
特に今回はタイミングも良かったので霧氷と雲海が素晴らしく綺麗でした。
中央アルプスはまだ登ってない山が結構あるので、時間を見つけてこれからも遊びに行きたいと思います!