夏の鳥海山へ1泊2日の山小屋泊登山。
鉾立登山口から山頂の御室小屋まで登ったのが1日目。2日目は夜明け前に七高山へ登り、ご来光と海の展望を満喫しながらの下山路となりました。
やっぱりこの山は凄いです。ご来光に照らされた稜線と高山植物のお花畑、最初から最後まで見所の尽きない山歩きができました。
2日目は山頂直下の御室小屋からのスタート。なにぶん、山の上で朝を迎えるっていうのが久しぶりだったもんで、かなり浮足立っておりました。
季節は7月下旬。
1年を通しても陽が長く、4時半ごろにはご来光を迎える時期とあって3時には目を覚まして身支度を整える。
まだ薄暗い中ヘッドライトを付けて小屋を後にしました。
2021年7月24日~25日 鳥海山 山小屋泊登山(2日目)
前日の一コマ。
海に沈む夕陽を眺め、夕焼け時の景色を楽しんでから小屋に戻ったのが1日目。
そこからすぐに寝たので、20時には就寝していたと思います。
そして、日付は変わって7月25日。
起床したのは3時半ごろ。普段の生活だったらおそらく一番眠りが深い時間帯だろうけど、寝るのも早かったので十分な睡眠時間は確保できました。
素泊まりで宿泊していたので特に食事の時間なんかを気にする必要もなく、ザックにシュラフやマットを突っ込んで、まだ薄暗い中で小屋を出発。
夜空に浮かぶ満月の月が綺麗でした。
思っていた以上に外が明るい。
夜でも街灯が照らされる街中にいたら決して気づけない、月の明るさを感じられるのも、日常では味わえない感覚の1つ。
雪渓を越えて外輪最高峰の七高山を目指します。
小屋に泊まっている人は、ほぼ全員がご来光目当てなところがあるので、夜明け前とは言え行動開始時間はほぼ同じでした。
外輪山の稜線に出る。
この日、小屋に泊まっていたのはだいたい30人くらい。みんな好きな場所で太陽が昇るのを待つ。
月明かりが本当に綺麗で、この薄暗い雰囲気も何だか良かったです。遥か左奥に薄っすらと見えているのは月山か。
もう間もなくご来光という時間帯。
東の空が明るくなってきました。
こちらが七高山の山頂。
鳥海山の中でも最も東に位置するピークなので、日の出を眺めるには最適な場所です。
雪渓を挟んで対面にあるのが鳥海山の最高地点・新山。ほとんど高さは変わらないです。
向こうにも数人の登山者が登っているのが見えました。
そして4時40分、地平線から待望のご来光。
「きたきた!」とそこら中から歓声が上がる瞬間。
私も山から見る朝日というのも久しぶりでした。
太陽とは反対の西側に広がるのは日本海。
鳥海山は海に面しているので、山の上から間近に大海原を見渡せます。
夕暮れ時に登れば、海に沈む夕陽も見れますよ。
陽が昇り、新山にまで光が届くと、岩山が真っ赤に染まるモルゲンロートも見れました。
夜から朝に切り替わる瞬間。太陽と入れ替わるように満月が沈んで行く。
朝日に照らされて黄金色に輝く山肌も美しい景色。
稜線上には花もたくさん咲いていて、朝露に濡れた姿がまたセクシーでした。
朝日を楽しんでから行動開始。
円弧を描くように延びる外輪山の稜線をこれから歩いて行きます。
こんな感じで壁のように立ちはだかる鳥海山の外輪。
それが下の方まで続いている。
久しぶりに山で迎える朝。
1年を通しても1泊以上の山行というのはそんなにできるわけではないので、この時間帯に稜線を歩くって言うのは最近なかなかできていない。
夏の早朝ハイクはやっぱり気持ちいいです。本当だったらこういう登山をもっとやりたいんだけどねぇ……
大半の人が朝食のために小屋に戻ってしまい、あっという間に静かになった外輪。
こちらに歩いてくる人は誰もいませんでした。
鳥海山の山頂直下に建つ御室小屋。
山頂まで15分程度の好立地なロケーションなので、良ければ泊まってみてください。
海側が開けているので、小屋にいながら海に沈む夕陽を見ることができますよ。
誰もいない静かな稜線を歩いて行く。
下る場合、右側が断崖絶壁になっているのでそこだけ注意ですが、大したアップダウンもなくかなりゆったりした気分で歩けます。
稜線上には高山植物も豊富で、コバイケイソウの群生が特に見事でした。
朝日を浴びるように東側斜面に多く咲いています。
ヨツバシオガマの群生も。
途中、小屋で自分の隣に宿泊していた方が追い抜いて行きました。
「天気、最高っすね」と挨拶交わしたけど、確かに最高だわ。
6年前の登山も晴れてはいたけど、これほどの快晴ではなかった。
湯ノ台ルートとの分岐点が伏排岳の山頂。
鳥海山の南側から登ってくるコース。この湯ノ台ルートもぜひ一度は歩いてみたいところです。
徐々に見えてきた鳥海湖エリアの山風景。
東北らしい雄大な山容、奥に広がる日本海と合わせて凄い景色です。
至る所にコバイケイソウの群生あり。
2021年はどうやら各地で当たり前だったようですね。北アルプスでも今年はかなり綺麗に咲いていたようです。
3,4年に一度しか咲かない花と聞くので、来年のコバイケイソウはあまり期待しないでおこう。
稜線をどんどん下っていく。
いくつかピークを踏んで行きますが、基本的には下るだけなので楽なもんです。
文殊岳に到着。
時刻はまだ朝の6時過ぎ。ここら辺で早くも日帰り勢とすれ違うようになってきました。
雲1つない快晴で自分も余裕しゃくしゃくと歩いていたのですが、実はこの2時間後には雲が出てガスってきてしまったので、早朝アタック組は正解だったかもしれません。
だいぶ下りてきて、雪渓ルートとの分岐点に到着。
外輪山ルートと雪渓ルート、どちらを歩いても山頂まで行くことができますが、日中歩くのであれば涼しい雪渓ルートの方がいいかも。
外輪を歩いているとあまり気づかないですが、本当に凄い岩の絶壁になっていて、雪渓ルートを歩けばその迫力をまざまざと感じることができます。
雪渓から見上げる外輪の壁、この迫力は一見の価値ありですぜ。
鳥海湖エリアの穏やかな風景が近づいてきた。
東北らしさ全開の、自分好みの稜線があそこ。1日目はあんまり天気が良くなかったので、あちらに行くのが楽しみ。
木道や階段が出てくると外輪稜線も終了。
ここら辺から再び花も増えてきます。
特に目を見張るのがハクサンイチゲの群生。
自分の中では6月にピークを迎えるイメージの花ですが、ここ鳥海山であれば7月下旬にしてもまだまだ綺麗に咲いています。
御苗代に到着。
開けた場所で休憩するにも最適なポイント。
ここではチングルマの穂が凄かった。
7月下旬、世間的にはまだまだ夏はこれからですが、花にとっては終盤を迎えるものも結構あります。
やっぱり高山植物を楽しむなら6月、7月あたりが最適なんでしょうね。
そしてやってきました、癒しの稜線区間。
初めて鳥海山に登りに来た6年前も、一番感動したのがこのあたり。
ちょこっと残る雪も緑と良いコントラストになって心地よい風景です。
鳥海湖が近づくと多くなってくるのがハクサンシャジン。
ブルーの花もシャレオツです。
トンボもたくさん飛ぶ花の楽園。
ブヨ撃退のほう、よろしくお願いします。
横に広い登山道。この日唯一の登り返しがここくらい。
なんてことのない坂道ですが、鉾立ルートのハイライトともいえる景色がここらあたりから見れます。
振り返って見る鳥海山。
このアングルからの鳥海山が個人的には一押しで、もう少し離れたあたりからがベストポイント。
坂を一登りして平坦な稜線へ。
少し進んだあたりからぜひ振り返って見てほしい。
稜線の果てに聳える鳥海山。
山の上にいながら、山を見上げる壮大なスケール感。
城のように佇む感じが凄く神々しく、そこに向かう登山者の後姿がまたカッコいい。戦いに挑んで行く勇者って感じ。
御田ヶ原に到着。
この辺りが一押し絶景ポイントになっていて、前後で全く違う景色が広がっております。
向かう先にはまだまだ続く稜線、そしてその向こうは一面の海。
青空と相まって空と海の境目がわからないほど。
少し先には小屋も見えてます。
そしてこちらが鳥海山のシンボル、鳥海湖。
1日目は曇っていたので、水の輝きがまるで違う。
鏡のように空を映す濃いブルーが素敵でした。
山頂方面は相変わらずの迫力ある景観。
こうしてみると、だいぶ下りてきた感じがします。
続々と勇者がラストダンジョンへと向かっていました。
山頂から下ること2時間半、御浜小屋に到着。
収容人数は少なめですが、ここも予約すれば泊まることができます。
まだ時刻は朝の8時前。
時間もあるので、少しだけ湖の周りを散歩。
ここら辺はニッコウキスゲが特に綺麗に咲いています。
ニッコウキスゲロードを行く。
ここは笙ヶ岳へと向かうルートですが、こちら側に来ると鳥海湖越しに鳥海山を見ることができるので、時間があれば立ち寄ってみてください。
こんな感じで。
美しき風景。実際に歩くとそこまでの高低差は感じないのですが、こうしてみると山頂が限りなく遠くに感じます。
日帰りでも登れる山だけど、じっくり1泊して良かったなぁと改めて思える。鳥海山は本当に広くて、ルートもまだまだたくさんあるから、季節やコースを変えてぜひともまた来たいです。
御浜小屋の鳥居をくぐって鉾立へ下山。
2日間、お邪魔しました。
ここから先はもう遊歩道のように整備された道を下っていくだけ。
目の前に海を見据えながら、美ヶ原とか霧ヶ峰にも似た高原風景の中を歩いて行きます。
鉾立ルート唯一の水場ポイント、賽の河原まで戻ってきました。
この日は4連休の最終日でしたが、快晴というのもあってたくさんの人が登りに来てました。
チングルマの群生。
賽の河原付近も高山植物の楽園。雪解け水が流れるオアシスです。
賽の河原を過ぎれば、後はこんな感じの緩やかな道。
時刻はまだ9時前。頭の中はすでに下山後の温泉と飯で占められています。
鉾立登山口から少し登ったところにある展望台からの眺め。
先ほどまでの穏やかな高原風景とは真逆の、目の前には切れ落ちた断崖絶壁が迫っています。
そして、山頂方面は早くも雲の中でガスり始めました。夏の天気は本当に変わりやすい。
こうして9時15分、鉾立登山口に下山完了。
登山者用の駐車場はこの日も満車で大盛況でございました。
標識に書いてある通り、登山の場合は停める場所が指定されているのでご注意ください。
鳥海ブルーラインを走らせて、やってきた下山後の温泉はこちら。鳥海温泉「あぽん西浜」。
日帰り入浴400円とリーズナブルでありながら、なんと営業時間が朝の6時から。早朝入りした場合、この温泉に浸かってから登山開始、なんてことも可能です。
温泉後のご飯は、すぐ近くの道の駅「鳥海 ふらっと」へ。
ここもかなりの混雑っぷりで驚きました。
海の近くということで、やっぱり海鮮が食いたくなる。
海鮮丼美味しゅうございました。
鳥海山と言えば名物の天然岩牡蠣も食べたかったのですが、これがまた凄い行列だったので断念しました。
何でか購入する場所と殻をむいてもらう場所が別々で、どうにも手際が悪く一向に列が進まなかった。牡蠣が食べたいなら象潟の道の駅・「ねむの丘」の方がいいかもしれません。
前回はそこで食べましたが、めちゃくちゃ美味しかったですよ。
こんな感じで1泊2日の山小屋泊登山が終了。
下山後にいくつか観光名所も巡ったのですが、それはまた次のお話ということで。
夏の鳥海山。花の百名山にも選定されているだけあって、高山植物はかなりの数見ることができました。
そして何よりも景色の変貌が著しくて、色々な景観が楽しめたところ。これが最高に面白かった!
雄大な稜線と火山湖、雪渓に外輪山、アルプスにも匹敵する岩場に海の展望。もう見所が尽きないです。
それでいて山小屋泊であれば、朝日と夕日の絶景にも出会えます。
東北の鳥海山、アクセスの遠さがネックではありますが、ゆっくり時間をかけての山小屋泊登山もいいですよ。
【日程】
2021年7月25日
【コースタイム】
4:00 山頂御室小屋
4:20 七高山
5:40 伏拝岳
7:40 御浜小屋
9:15 鉾立
コメント