鳩待峠~尾瀬ヶ原~燧ヶ岳~御池のルートを電車・バスを使って日帰り登山してきました。
今年はワタスゲの当たり年ということで湿原に咲く大群生が本当に素晴らしかったです。天気も良く、燧ヶ岳山頂からは尾瀬沼や至仏山、新潟方面の雪山も一望できました。
御池ルートの熊沢田代もチングルマなどが咲く花の楽園でおすすめです。
2025年6月22日【尾瀬】初夏の湿原ハイキングと燧ヶ岳登山
今年も夏山シーズン到来。
前日までそんな気は全然なかったのですが、梅雨の合間の晴れマークを見て尾瀬行きの夜行バスにダメもとで連絡。
空席ありますよ、なんて返されたもんだから慌てて予約してそこからルートを検討。ワタスゲが凄いと聞いていた尾瀬ヶ原は必須として久しぶりに燧ヶ岳も登りたくなったので、群馬から福島へ突き抜けるコースで行ってきました。
バスタ新宿からの尾瀬行き夜行バスに乗車して早朝4時半過ぎに尾瀬戸倉に到着。
最も陽が長い6月とあって、4時台でもすでに明るかったです。
ここから鳩待峠行きのマイクロバスに乗車します。片道1300円、5時半の始発便に無事に乗れました。
30分ほどの乗車時間で6時前に鳩待峠に到着。
日曜日でしたが思っていたほど混雑していなくて、バスも2台くらいで済んでました。
ところで夜行バスって実は久しぶりで、昔ならのび太くん並の速さで寝れたのですが、今回はあんまり寝れずに現地入り。
やや寝不足ながらも、身支度を整えてこちらの登山口からハイク開始。
今日はこの後、燧ヶ岳に登ってそこから福島側の御池に下山するので、もうここには戻ってきません。
入口の標識をしっかり撮っておきます。
鳩待峠からしばらくは平坦な木道ハイキング。
直近だと、尾瀬は2年前の至仏山登山で来ているのでここら辺は久しぶりな景色。
綺麗な清流が流れる森の雰囲気が心地よかったです。
2年前の至仏山と時期はほとんど同じなのですが、その時見た記憶がないのがこちらのコバイケイソウの群生。
この後ご登場いただくワタスゲは当たり年と聞いていたのですが、もしかしたら今年はコバイケイソウも当たり年なのかもしれません。
北アルプス登山が待ち遠しい。
50分ほど歩くと山ノ鼻に到着。
ビジターセンターの他、山荘やキャンプ場もある尾瀬ハイキング拠点の1つです。
今日は前半が尾瀬ヶ原ハイキングで後半が燧ヶ岳登山。前半は途中途中に山小屋が点在しているので、水やトイレの心配もほとんどありません。
山ノ鼻からいざ尾瀬ヶ原の大湿原へ。
正面奥に見えている山が燧ヶ岳ですが、あの麓までひたすら湿原が広がっています。
一口の尾瀬と言ってもその範囲は広いですが、尾瀬と聞いて多くの人がイメージするのはこの尾瀬ヶ原。
雄大な湿原の中に敷かれた木道、これこそ遥かな尾瀬の風景です。
開放感に満ちた空間ですが、先行く人たちの視線は足元に。
早速、姿を見せてくれたのがワタスゲ。
今日の尾瀬行きを決めたのも、このワタスゲが今年は当たり年と聞いたから。全国各地で白いホワホワが絶好調ということで半ば強行で乗り込んできましたが、確かに凄かったです。
しかも、この辺りは湿原入口のほんの序盤。奥に行くにつれて、その群生の規模も増し増しになっていきます。
木道近くにもたくさん咲いているワタスゲ。
間近で見れる真っ白なホワホワが可愛げ。
進んで行くとひときわ目を引いたのがレンゲツツジ。
白いワタスゲの隣で咲く真っ赤な花は存在感強烈です。
このレンゲツツジもちょうど今が最盛期で、所々に群生箇所がありました。
初夏の尾瀬と言えば水芭蕉(ミズバショウ)も有名ですが、こちらはもう終盤という感じ。
まだいくつか咲き残ってくれていましたが、水芭蕉がお目当てあれば5月下旬~6月初旬ごろが良いと思います。
尾瀬の名物と言えば、木道のあちこちに用意されているこの熊よけの鐘もその1つ。
出会いたくはないですが、熊の存在を察知したら鐘を鳴らしましょう。幸い、この日は下山するまで熊とはノータッチで済みました。
進むにつれてどんどん群生の規模を増していくワタスゲ。
これは確かに凄いです。当たり年というのも納得の咲きっぷり。
後ろを振り返ると目の前には至仏山。燧ヶ岳とセットで語られることが多い、尾瀬を代表する山の1つです。
至仏山の注意点として、6月末までは高山植物保護のために山ノ鼻からの登山コースが通行止めになっています。この日もまだ開山前なので、至仏山に登る場合は7月以降に訪れましょう。
進んで行くと池塘も多くなってきます。水が豊かな尾瀬の湿原。
そこら中でカエルがゲロゲロ声を上げてました。
進むにつれてさらに咲き出すワタスゲの大群生。
もはや一番咲いているところがどこなのかわからないくらい、尾瀬ヶ原の広範囲に渡って咲いています。
湿原に咲くタテヤマリンドウ。
ワタスゲ以外にも多くの高山植物が咲いてましたが、全部載せると長くなるので省略。
ワタスゲの群生規模で一番見応えあったのが中盤のこの辺りか。
奥行きが本当に凄くて、遥か彼方までワタスゲのお花畑が広がっている感じ。燧ヶ岳と合わせて見事な景色でした。
レンゲツツジもそこら中に咲いています。
ワタスゲとシーズンが重なるので、白と赤のコラボも素敵でした。
その後もひたすらワタスゲロードを歩いて龍宮小屋に到着。
公衆トイレあります。(協力金100円)
龍宮小屋を過ぎると、燧ヶ岳がいよいよ目の前に迫ってきます。
尾瀬ヶ原の木道路も終点間近。
ワタスゲ鑑賞もあって2時間以上かけてののんびり尾瀬ヶ原ハイキング。
後ろを振り返れば、至仏山もだいぶ遠くに感じました。
木道の終わったところが見晴という山小屋、キャンプ場がひしめく登山拠点。
桧枝岐小屋、弥四郎小屋、尾瀬小屋など山小屋もたくさんあって、しかもどこも綺麗。宿泊すればお風呂に入れるところも多いです。
尾瀬ヶ原入口にあるので、ここでゆっくり一泊して登山やハイキングをするのもありだと思います。私はいまだに尾瀬は全部日帰りで、一度も泊まったことがないのだ……。
ここで前半のハイキング編が終了。
すでに距離としてはだいぶ歩いてますが、ここからガッツリ山登りになるので気合いを入れなおします。
この先、水の補給も満足にできないので、弥四郎清水の水場で2リットル汲んで向かいました。
水が重いぜ……
10分ほど歩くとこちらの分岐に到着。右は尾瀬沼へ抜けるルートで、左が燧ヶ岳山頂へ向かう見晴新道。
左へ向かいます。
ここから本日の登山開始。
山頂までの高低差約1000mほどをガッツリ登って行きます。
燧ヶ岳登山ルートの1つ見晴新道。道中あるのが、この〇合目の標識。
これが良い目安になりますが、先に言っておくと7合目までは展望もほとんどなく、ひたすら登りを強いられるので頑張りましょう。
見晴新道は無駄なアップダウンがほとんどなくて道も比較的明瞭ですが、このルートは泥濘が激しいことで有名。
というか、燧ヶ岳登山のほとんどのルートが泥濘との闘いともいえるくらい足元の泥が凄いです。
幸いここ数日間は晴れだったのでそこまで酷くはなかったですが、雨上がりの特に下山は滑りやすいのでお気を付けください。
このルートは初めて歩くのでどんなもんかと思ってましたが、思っていたよりも整備されている印象でした。
ただ、樹林帯のジメっとした暑さに加えてハエなのかブヨなのか、虫も多くて不快指数は高め。
7合目を過ぎると展望がやや開けてきて、それと同時に雪も出てきました。
この細い雪渓を登って行きます。
初夏の燧ヶ岳はこんな感じで随所に雪が残っているので、7月上旬ごろまではアイゼン必須と思っていた方がいいです。この先、下り方面のルートでも雪渓が残っていて、私もアイゼン(チェーンスパイク)履いての下山となりました。
雪渓を越えると一気に展望が開けて、高山帯の風景に早変わり。
景色は素晴らしいですが、ここまでの登りがかなり辛くてバテバテだったのでここらの岩場で小休止。
何だか身体が暑さに慣れていないような感じ。2Lはさすがに持ちすぎでしたが、いつもよりも水分消費量は多かったです。
山頂が近づくにつれて咲いていたのがミヤマキンバイ。
燧ヶ岳は至仏山に比べると山に咲いている花は少ないですが、それでもお花畑が見れるだけで癒されるってもんです。
こうして11時過ぎに燧ヶ岳に到着。実に12年ぶりの登頂です。
こちらは柴安嵓(しばやすぐら)という呼ばれるピークになります。
燧ヶ岳は双耳峰になっていて、もう1つのピークがあちらの俎嵓(まないたぐら)。
柴安嵓と俎嵓、どちらも漢字が難しいですね。初見じゃ読めません。
標高はわずかにこちらの方が高いです。
山頂からは360℃の大展望!
南側に見えたのがブルーの輝きを放つ尾瀬沼。尾瀬の中でもひときわ大きい池で、あの周りにも花の楽園が広がっています。
奥に見える山は日光白根山とか男体山とか、日光の名峰たち。
こちらは西側の展望。正面には至仏山、眼下には午前中歩いてきた尾瀬ヶ原を一望できます。
あのワタスゲの群生であれば山頂からでもちょっと白く見えるんじゃないかって期待してましたが、さすがに無理でした。
ここからでは確認できないですが、今この瞬間も多くの人があの湿原でワタスゲと戯れているのでしょう。
こちらは巻機山、平ヶ岳、越後駒ヶ岳などの新潟方面の展望。
もうじき7月なのにいまだに雪が多く残ってます。さすが豪雪地域。
梅雨とは思えない貴重な晴れ間で山頂からの展望も見事なもんでした。
軽く休憩して、隣のピークへ移動します。
下っての登り返しで、距離こそそこまでないですが、この時期はこの区間も要注意ポイントです。
出だし早々、雪がガッツリ残っているところがありました。しかもなかなかの急斜面。
部分的でしたが、ビビりで体幹の悪い私はここでアイゼン装着。
鞍部に来ると木道があったのでここで一息。
木道が濡れているところからもわかる通り、この区間も泥濘が激しかったです。
登り返して2つ目のピーク、俎嵓(まないたぐら)に到着。
こちらの方が岩場多めの山頂でした。
俎嵓から柴安嵓を眺める。
山頂直下に雪が残っている部分がアイゼン使ったところ。結構な斜度でもう少し雪が多い時期だと、ピッケルもあった方がいいかもしれません。
南側の展望は先ほどと似たようなものですが、こちらからの方が尾瀬沼を広範囲に渡って見渡せました。
12年前はあの尾瀬沼から長英新道というルートで登ってきましたが、やはりこちらのルートも途中にはぬかるみが激しいポイントがあった気がします。
今回は尾瀬沼へは下山せずに、北側の御池ルートを行きます。
ここも今回初めて歩くところで、右下に見えている湿原がそれはそれは素晴らしい花と水の楽園でした。
ただ、そこに行くまでがなかなか危険。
北斜面なので登りよりも雪の残っている量が多くて、下山早々にアイゼン履きました。
右奥に見えているのは会津駒ヶ岳で、あの山に向かう感じで下って行きます。
ここら辺のトラバース路も雪が溶けてくれていたから良かったものの、最近までは雪に埋まって結構危険な道だったかもしれません。
改めてですが、6月中の燧ヶ岳はアイゼン必須です。
さらに進むと、今回の登山で一番長い雪渓ポイントに出ました。
ここからしばらく雪渓を下って行きます。下りは滑りやすいのと、部分的に雪が不安定になっているので神経使いました。
見えているよりもさらに下まで雪渓が続いているので、そこそこ距離もあります。
こうして雪渓を下りきって樹林帯を抜けると、一転して穏やかな湿原に到着。
ここが熊沢田代。
実は今日の登山で尾瀬ヶ原よりも気に入ったのがこの熊沢田代でした。
ここにもワタスゲがモリモリ咲いていて、そこから眺める燧ヶ岳がまた素晴らしかったです。
さらに傍らにはチングルマの群生もありました。
尾瀬ヶ原では見なかったので、チングルマに出会えただけでもこのルートを歩いた甲斐があります。
毎年この花を見ると、いよいよ夏山到来って感じがするんだな。
美しい池も点在していて、空を映し出すブルーな景色が最高でした。
緊張感強いられた雪渓下り、その先に突然広がる穏やかな湿原風景というのもあってオアシスにさえ感じた熊沢田代。
熊沢田代は強くお勧めしておきます。
ワタスゲロードの木道を行く。
前からこのブログでも語っていますが、こういう横に広くて開放感ある道がとても好きなんです。
スタートは群馬県でしたが、もうここは福島県。東北の山の雰囲気をとても感じます。
立ち去るのが惜しいくらいの素敵な空間でした。
この時間、他に誰もいなくて尾瀬とは思えない静けさ。それも良かったです。
ここから一度樹林帯に入りますが、右下には再び別の湿原が見えました。
次に向かうのがあちら。
樹林帯は熱帯雨林のような暑さでしたが、湿原に出ると吹く風が心地よい。
標高を下げて行くとシャクナゲも咲いてました。
2つ目の湿原に到着。
こちらが広沢田代。例によってワタスゲの群生が広がっていましたが、ここまで来ると若干見飽きてる自分がいるから恐ろしい。
ワタスゲずくしのルートでございました。
登山口までの道はぬかるみよりも岩場が多めで、これはこれでまた歩きづらかったです。
雪渓やここら辺の下りで変に力んだからなのか、翌日以降の筋肉痛がひどいことになりました。このブログを書いている今現在も足がプルプルです。
こうして御池登山口まで下山完了。鳩待峠から御池まで、無事に歩き通せました。
左に見える建物が御池ロッジ、右の建物が山の駅・御池で売店や食事ができます。
バスの時間まで1時間以上あったので、土日限定のカツカレーを頂く。
揚げたてご用意するので15分くらいかかりますと言われて出てきた一品、美味しゅうございました。
御池から路線バスに乗って会津田島駅へ。高速バスタイプの座席で乗客は7割ほどでした。
2時間ほどの乗車時間でしたが、座って早々爆睡したので道中の記憶はほとんどありません。
会津田島駅から特急リバティに乗って東京へと帰りましたとさ。
初夏の尾瀬へ湿原ハイキングと燧ヶ岳登山。
お目当てのワタスゲはもう本当に素晴らしかったです。当たり年というだけあって、凄まじいほどの群生が広がっていました。
尾瀬ヶ原も良かったですが、個人的には熊沢田代がとても気に入りました。
ここはぜひともまた行きたいです。
【日程】
2025年6月22日
【コースタイム】
5:50 鳩待峠
6:40 山ノ鼻
6:50 尾瀬ヶ原
8:30 龍宮小屋
9:00 見晴
11:15 燧ヶ岳(柴安嵓)
11:45 燧ヶ岳(俎嵓)
12:40 熊沢田代
13:30 広沢田代
14:20 御池登山口
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