【南アルプス】冬の仙丈ヶ岳 山小屋泊で行く正月の雪山登山(前編)

【南アルプス】冬の仙丈ヶ岳 山小屋泊で行く正月の雪山登山(前編)

2017年最初の登山は、冬の南アルプス・仙丈ヶ岳(標高3033m)へ登ってきました。

夏であれば北沢峠までバスが出ているので日帰りでも登れる山ですが、冬季は林道が完全閉鎖。登るには戸台口駐車場から長い河原歩きを経て北沢峠まで自力で登り、そこから仙丈ヶ岳山頂を目指すことになります。

冬の時期は日帰りが困難となりますが、嬉しい具合に正月期間だけ北沢峠の山小屋が営業してくれるので、冬のテント泊をせずとも登ることが可能です。

今回は正月休みが取れたということもあって、2泊3日で時間に余裕を持たせてのんびり登ってきました。

 

まずは1日目、戸台川の河原歩きを経て北沢峠「こもれび山荘」へ

 


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南アルプスの女王”と称させる標高3033mの仙丈ヶ岳

その穏やかな山容から、標高3000m級がひしめく南アルプスの中では冬季でも比較的登りやすい山として、しばしば雪山登山として雑誌なんかでも紹介されています。もちろん登りやすいと言ってもそれは南アルプスの中での話で、仙丈ヶ岳も3000mを超える高峰。到底、入門レベルというわけにはいかない。

それでも、穏やかなカールが作り上げる雪景色に惹かれていつかは登ってみたいと思っていた山でした。それがまさか今年の1発目になるとは正直自分も思ってもみなかったけど、今回に限ってはすべてタイミングと勢いが功を奏した形。

この山に登ろうと思ったのは、一般の正月休みから少し遅れて1月5日~8日に休みを取れたこと。加えて6日が高気圧にすっぽりと覆われて快晴無風予報が出ていたので、山小屋に電話して食事付きの連泊をオーダーしたのがこの旅の始まりです。

 

そんなわけで2017年の山登りは南アルプスからスタート。

 

~~ 2017年1月5日~7日 仙丈ヶ岳(1日目) ~~

冬の仙丈ヶ岳の登山口は戸台口駐車場。夏場なら山梨県側からバスを乗り継いで北沢峠まで行けますが、この時期は林道が封鎖になっているので、長野県側の戸台口側に回り込む必要があります。

冬の南アルプスはアクセス面でも一苦労ですが、この仙丈ヶ岳に限っては実際に調べてみるとわかるけど、公共交通利用で行く人も実は結構いたりします。

首都圏から公共交通で行くなら、電車は使わずにバスをフル活用するのがおすすめ。通年で新宿から伊那市までの高速バスが出ているので、これを利用するのが安上がりだしおそらく一番時間もかからない。

 

1月5日の早朝第一便で新宿を出発し、10時前に伊那市バスターミナルに到着。都内からこの伊那市まで遥々やって来ると、もはやそこは南というより中央アルプスの領域。木曽駒ヶ岳が近くに見えました。

ここからのアクセス方法としては、伊那市駅から高遠まで路線バス、さらにそこから別のバスに乗り換えて仙流荘まで行くのがおそらく最安値です。ただ、この時間からだと乗り継ぎ時間の兼ね合いから戸台口駐車場に着くのが14時近くになってしまうので、現実的じゃない。第一便の高速バスでは間に合わないので前泊が必要になります。

 

なので、自分は伊那市駅からタクシーを利用して一気に移動。

こうして11時前に冬の仙丈ヶ岳の登山口である戸台口駐車場に到着しました。ちなみに前泊して路線バスを乗り継いて仙流荘まで行ったとしても、そこから1時間ほど歩いてこの登山口まで来ないといけないので、値段と労力が見合うかは微妙なところだと思います。前泊もお金かかるしね……

 

こちらは駐車場わきの登山指導所。年末から正月にかけてはここに警察の方がいるそうですが、もう三が日が過ぎて一般的な正月休みは終わった後だったので誰もいませんでした。

ここで登山届を提出。さらに今回は初めて会社のチームの人たちにも登山開始の報告を。「正月休みの間に山に行くなら一報入れるように」と事前に上長からの通達。こんなことを言われたのは初めてだったけど、山登りを趣味にしているのを公にしたことで、割と休日の融通が効くようにもなったし、こちらとしても迷惑はかけられないので無茶はしないというストッパーにもなる。有り難いことです。

 

11時ちょうどに戸台口駐車場を出発。看板にも書いてあるように、本来ならここは鋸山の登山口として利用されるのが一般的。仙丈ヶ岳を目指すとなると、結構遠い……。

 

まずは道なりに工事用の車道のようなところを歩いていきます。

スタート時点では雪は一切なし。

 

いきなり前方奥に見えたのが雪を被った甲斐駒ヶ岳。ひとまずはあの甲斐駒ヶ岳の懐を目指して、この河原をひたすら進んでいきます。

一見快晴で登山日和のようにも見えるけど、この日は山の上は暴風。前日も暴風だったようですが、それでも後々山小屋に行ってみると、小学生の女の子が8合目あたりまで頑張ったって聞いて驚きました。小学生の頃から冬の仙丈ヶ岳に挑むとか、将来はどんな大物になるんだか……

 

しばし道なりに歩いていく。雪も多少見える程度で、雰囲気としては秋口の山とさして変わらない。

 

ものの数分で河原に出る。

正直なところ、今回の登山で一番気になったのが仙丈ヶ岳そのものよりも序盤のこの河原歩き。だだっ広いが故に、意外と迷いやすいポイントだそうで、渡渉も何度かあるから気が抜けない。

ここからしばらく長い河原歩きが続きます。

 

広い河原には所々に赤テープがあるので基本的にはそれを目印にしながら進んでいきますが、このテープも一応の目印なだけで、水量によって渡渉ポイントは変わります。この写真の箇所も、もっと上流に進んだ方が渡りやすかったし、ある程度は手探りで進んでいく必要がありました。

2度ほど本流を渡る箇所があって、雨上がりの増水時は結構苦戦するんじゃないかと思ったりもした。

 

断崖絶壁の戸台川を上っていく。

歩き始めて30分ほどで、この日初めての登山客とすれ違いました。後々山小屋で話に上がった小学生の女の子は、どうやらこの時すれ違った子だったようです。家族の先陣を切って渡渉しているあたり、大物感を感じました。

 

しばらく歩くと見えてきた白岩堰堤。水は凍りつき、どことなく廃墟感漂う堰堤はなかなかノスタルジックな雰囲気。これはこれで見どころの1つとなりえる場所だったと思います。

 

一見平坦に見える河原歩きも着実に標高を上げているようで、奥に進むにつれて雪も増えてきました。

谷間の陽の光が届かないところなので、日中でもやや肌寒い。

 

前方に見える甲斐駒ヶ岳は相変わらずの美しさ。

この前日だった気がするけど、残念なことにあの甲斐駒ヶ岳で1件死亡事故のニュースが流れてました。

 

さらに進んだところに、また堰堤。

 

階段を登って堰堤を越えていく。

ここに来てようやく北沢峠の文字が見えましたが、まだ先は長い。

 

1つ堰堤を越えたらまた河原歩き。暗いうちからアタックして、この序盤の河原で迷ったっていう記録を良く見たけど、自分が真っ暗な中でここを歩いたら、間違いなく迷う自信があります。

中途半端に雪が積もっているのでトレースらしきものも見当たらず、適当に進んでいく。中盤以降は左岸(下流から見て向かって右側)を意識して進むといいかも。

 

河原歩きも中盤に差し掛かり、登山道らしき道に入った。

この後も河原に再び出たりしますが、この先はそれほど迷うようなポイントもなく進めました。一番迷いやすいのは駐車場をスタートしてすぐの、戸台川本流を渡渉する付近だと思います。

 

年末年始は人がたくさん入っていたであろう道も、1月5日ともなれば静かなもん。

道行く人もほとんどおらず、静かな河原を進んでいく。

 

気持ち甲斐駒ヶ岳も近づいてきた気がする。

目指す仙丈ヶ岳については、ここからだと見えない位置にあります。実際にその本丸を目の当たりにするのは翌日の小仙丈ヶ岳まで登ったところ。

 

雪が増えるほど道が明瞭になるので逆に助かる。正月休みが終わった直後は大いにトレースも期待できるので、厳冬期の仙丈ヶ岳としてはかなり難易度も下がって、狙い目ともいえるタイミングだと思います。

ちなみに河原は日陰箇所が多くて凍結しているところが多数あるので、この河原のためにもチェーンスパイクあると役立ちます。

 

鋸山・角兵衛沢の分岐点に到着。ここまで来れば迷うようなポイントもほとんどないと聞いていたので、この標識を見た時には一安心。

歩き始めてまだ1時間20分程度だったので、長いと聞いていた河原歩きも時間的にはそれほどでもなかったです。

 

森を抜けて、最後に待っていたのがこの凍結した丸太の橋。これが河原歩きの終点ともいえる目印です。

凍結具合によってはかなり危険なので、アイゼン履いた方が無難。見ての通り、下は激流とも言える水の流れなので……

 

氷の丸太橋を越えたら河原歩きも終了。ここまで長い距離は歩いたものの、所詮は河原歩き。

大して標高は稼いでいないので、ここからがっつり登っていきます。

 

この先に待っているのが八丁坂と呼ばれる急登。その入り口にあったのが、こちらの丹渓山荘跡

おそらく北沢峠までの林道が開通して用済みとなったであろう山小屋の残骸。少し不気味でもありましたが、戸台口から河原を歩いてきた身としては、確かにこのあたりに山小屋があると、その有難さが少しだけわかりました。

 

八丁坂については斜面は急ですが、九十九折りになっているのでそれほど負担はないです。ジグザグに道なりに登っていけば、やがて東大平の平坦な森に出ます。

 

冬の森に生きる緑の息吹。

ここら辺は展望はないものの、雪と緑のコントラストが絶妙で歩いていて気持ちの良い場所でした。

 

さらに登って行くと林道と交錯し始めます。夏場には車が通るのであろう道、今は雪にすっぽり覆われてました。

 

林道と登山道の交錯地点には親切に標識が立てられているので、それに従って登山道を進めばOK。

 

14時15分、北沢峠手前の大平山荘に到着。冬季は営業休止しています。

ここから本日泊まる「こもれび山荘」までは約15分。16時までには到着するように言われてたけど、余裕で間に合いそうなので安心しました。

 

林道わきの登山道に入って北沢峠へ。

 

14時30分、北沢峠に到着。駐車場から標高差1000m、3時間半かけて歩いてきました。

夏場のバスの有難みが良くわかったぜ。。。

 

本日のお宿、「こもれび山荘」。とりあえず本日はここまで。

 

仙丈ヶ岳の登山口。明日はここから登って行きます。

ここ数日は降雪がなかったので、積雪量も大した事なさそう。

 

時間があったのでチェックイン前にテント場を見学。年末年始はすし詰め状態になるほどテントが張られてたみたいですが、この日は3張りだけ。

 

北沢駒仙小屋。こちらは冬季は営業してないです。

はるか上に白く輝いているのは甲斐駒ヶ岳の摩利支天かな。

 

テント場の水場は凍結しておらず、使える状態でした。

見るからにキンキンに冷えてそう……

 

15時過ぎにチェックイン。2日間お世話になります「こもれび山荘」。

ちょうど山岳会の方たちが仙丈ヶ岳から降りてきたところでした。話を聞いたところ今日はやっぱり暴風だったらしい。

 

お正月ということで山小屋にも鏡餅。

 

ストーブと飲み放題の温かいお茶が有り難かった。

 

山小屋の食堂兼、休憩スペース。この日の宿泊客は9人。がら空きだったので広々と道具干したりできました。

ちなみに奥に座っている赤い服の方は、僕と全く同じ日程で今日山小屋に泊まりに来て明日仙丈ヶ岳を目指すとのこと。

 

こちらが寝床。カーテンで仕切られているので、半個室のような感じで使えます。

電灯も一区間ごとについてました。

 

夕食のハンバーグとシチュー!ハンバーグが肉厚で美味しすぎました。シチューとご飯はお代わりし放題。

山小屋の食事としては贅沢すぎる内容で、翌日の夕食も豪勢でした。正月に泊まりに来てたらおせち料理が出たそうですね。

 

人も少なかったので、夕食は1テーブルを囲んでみんなで食べました。山岳会の方たちは明日は下山するだけということで、明日も泊まるのは自分以外にソロの方2名。明日はまだ金曜日なので登ってくる人もそんなにいないだろうと思ってたら、翌日の方が宿泊客は多かったです。(と言っても、15人くらい)

 

こんな感じで1日目は終了。登山口から山小屋までの行程だったのでそこまで疲れもなかったけど、正月の山登りはこれくらい緩いのがちょうどいい。

いよいよ明日、仙丈ヶ岳の山頂へ。南アルプスの女王らしい、壮大な雪景色を目の当たりにすることになりました。

 

後編へ続く……

 

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【日程】

2017年1月5日~7日

【コースタイム】

戸台口駐車場(11:00) — 丹渓山荘跡(13:00) — 北沢峠・こもれび山荘(14:30)

 

 

 

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