冬の平標山(谷川連峰) 電車とバスで行く日帰り雪山登山

冬の平標山(谷川連峰) 電車とバスで行く日帰り雪山登山

谷川連峰の西に聳える、平標山(標高1984m)へ登ってきました。

初夏の時期には仙ノ倉山との稜線上に美しいお花畑が広がる平標山。木道敷かれた雄大な稜線は自分の好みとするところでもあるので、谷川岳以上に気に入っている山でもあります。これまで夏、秋と登ったことがあるので、次はぜひとも冬の時期に登ってみたい思いがありました。

厳冬期を迎えてしまうとラッセル地獄が目に見えていたので、初冬の11月中旬を狙っていってきましたが、それでも流石は豪雪地帯。天気にも翻弄されつつ、初冬とは思えない雪の深さに悪戦苦闘しながらの山行となりました。

これが今シーズン1発目の雪山登山。

 

冬の平標山への挑戦―――

 


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紅葉登山の記事もあらかた書き終わり、今回からいよいよ雪山へ。その第1弾が兼ねてより贔屓にしている谷川連峰の『平標山』。

2年前の谷川主脈縦走以来ですが、確かその時の記事にも書いたと思うけど、自分の稜線フリーク魂の根源ともなったのが実はこの山だったりする。初めて平標山に登って、その山頂から仙ノ倉山への稜線を見た時の感動は今でも忘れられない衝撃があります。

平標山という名の通り平らで穏やかな山容でありながら、ちゃっかり谷川岳より標高が高いという太々しさも可愛げがある(笑)

 

これまで初夏のお花畑、秋の紅葉と見てきたので、次はぜひとも冬の雪景色と思ってはいたのですが……

この山は冬に公共交通を利用して登るとなるとそう簡単に日帰りというわけにはいかなくって、ただでさえ豪雪地帯の谷川連峰であることに加えて、本峰の谷川岳よりも圧倒的に入山者が減り、かつ厳冬期のこの山は専らバックカントリーや山スキーが主流となるので、雪山登山をしようものならラッセル地獄は目に見えてました。電車、バス利用だとおそらく途中で時間切れ。

 

ということなので、狙っていたのが11月中旬の初冬の時期。まだ雪も小麦粉まぶした程度にしか降ってないだろうし、いい感じで雪景色を見れると思っていたけども、、、

 

良い形で因縁を残す山行となった1日でした。

 

~~ 2016年11月19日 平標山日帰り雪山登山 ~~

今回も安定の公共交通機関を利用しての登山。

特に平標山へは過去2回、いずれも電車バスを利用しての登山なのでだいぶ慣れてきたもんです。

 

朝一で越後湯沢駅へ向かって、8時過ぎの浅貝行きのバスに乗車。

このバスを利用して途中の平標山登山口で降りるのですが、このバスの区間にはゲレンデがいくつもあるので、ゲレンデオープンを迎える冬季(12月中旬以降)はダイヤが変わって増便されます。

僕が登った11月はまだ増便前だったので本数が少なかったですが、公共交通利用の場合、平標山は夏より冬の方がアクセス面では良くなります。冬は大抵の山はアクセスが悪くなるので、これはこれで貴重な存在なんだけど、12月以降は天気も安定しないし積雪量も多くなるので登頂が難しくなるのが悩ましい所……

 

9時過ぎに平標登山口に到着。中途半端な時期だったので、バスはがら空きでした。

この数日間で雪が割と降ったようで、麓からご覧の雪景色。意外に上は積もっちゃってるんじゃないかってビビッてたけど、駐車場に10台ほど車が停まっているのを見た時には少し安心しました。

 

道なりに登山口へと向かいます。

9時過ぎのスタートなのでほとんどの人はもう登り始めて、自分はかなりの後発隊。トレースを有り難く頂戴していきます。

 

平標山登山道に入るといきなり階段の急登が待ち構えています。最初に登った時は、この登りにげんなりした記憶がある……。

序盤は積雪も大したことはなく、快調に登れました。

 

ある程度、急な坂を登っていくと前方に鉄塔が見えてきます。最初の目標となるのが、あの鉄塔。

写真で見ると近くに見えますが、これが見た目以上に時間がかかる。

 

登るにつれて登山道の雪が厄介になってくる。まだそこまで深くはないけど、この日は春のような気温だったのでとにかく暑い……

足元の雪もグズグズで崩れやすいので、標高上げるのに一苦労でした。

 

それでも、このコースの良い所が序盤である程度標高を稼ぐと、すぐに展望が良くなるところ。

写真に見えているのはオープン前の苗場スキー場

 

登り始めて40分ほどで鉄塔下に到着。

到着したと同時にさらに先のピークが見える典型的ながっかりパターン┐(´д`)┌

次の松手山目指して、再び急登が始まります。

 

おぼろげながらも覚えている登山道。それが雪に覆われた斜面を登っていく。

序盤から急登が続くが故に、標高を上げるスピードは速いです。

しかしこの雪の量を見るに、一番先頭だった人は意外とラッセル強いられたんじゃなかろうか……

 

午前中は晴天予報だったこの日、近隣の山岳エリアも軒並み天気が良かったようで、平標山登山道からでも富士山を薄っすらと拝めました。遠くに北アルプスの影もあったりと、午前中は上々の天気でした。

午前中はね……(ッケ!)

 

松手山手前にだけ岩が露出しているところがありましたが、特に危険という感じもしなかったです。

この日は結局、山頂まで軽アイゼン(チェーンスパイク)だけで行けてしまったのですが、もう一降りしていたらワカンが必要だったかもしれません。

部分的にはそれくらい深い積雪がありました。

 

10時20分、松手山山頂に到着。

 

松手山山頂から見る平標山山頂方面。ここから先はひたすら展望の良い尾根道となります。

この時から薄々感ずいてはいたけども、山頂部に忍び寄る雲の存在にこの後やられていきましたとさ。。。

 

後ろを振り返って一望できるのが、ご覧のテーブルマウンテン・苗場山。ピシッ!と絵に描いたような直線美の特徴ある山容です。

この日に関して言えば、この界隈ではあの苗場山が最後まで雲に包まれることなく見えていたので、当たりだったのかもしれません。

 

いざ平標山山頂目指して突き進む。

ここから先、日当たりが良くなるので積雪量は減りますが、風が一気に強くなる。汗ばんだ身体が急速に冷やされて、物凄い寒かった……

雪山1発目は身体が寒さに全然慣れてない。

 

終盤にかけて現れる木の階段。

夏場では有難い存在だけども、この時期は中途半端に見え隠れして踏み抜いたり、凍結していて滑ったりと、結構危険を感じました。

 

登ってきた松手山コースの尾根道。

開放的な眺めだけども、周りを見回す度に雲が多くなっていくのがわかるので、精神的には急かされる一方でした。

 

木の階段を登り切って、ようやく正面奥に見えてきた平標山山頂。

今にも山頂を覆いそうな怪しげな雲が気になって仕方なかった……。ここまで登ってくると風も一層強くなってくるので、雲の流れるスピードも速かったです。

 

終盤に入ると登山道の傾斜はむしろ緩やかになっていきます。

ただ、暴風が襲ってきても逃げ場がないので、体感温度は一気に低下。。。序盤「暑ぢぃ、暑ぢぃ、、」言いながら登っていたのが嘘なくらい。

今シーズン1発目の雪山登山なんだから、もうちょっとお手柔らかに迎えてほしかったぜ。。。

 

笹に積もった雪が波のよう。

 

初冬の山ならではの霧氷

山頂へ近づけば近づくほど綺麗でした。

 

近いようでなかなか近づかない平標山山頂。

目線を上げる度に山頂部の雲の量が多くなってる気がするんだ……。

 

雲の覆われ具合は周りを見ても体感するところで、南側から瞬く間に雲が押し寄せてきました。

 

綺麗な樹氷を愛でつつも、足早に山頂を目指す。

 

ようやく間近に迫った平標山山頂。

オーラを放つように背後に雲が沸き立つ。

 

そしてついにガスの中に突入~

一気に周りが真っ白い世界に包まれましたが、雲の流れが速いのでまだこの時は晴れたりガスったりの繰り返し。

 

ひとたび青空が見えれば、この雪のサンゴ礁

これも冬山登山ならではの絶景。厄介な強風もこういった綺麗な樹氷を作り上げてくれるから、無下には憎めない。

 

こうして11時30分、平標山山頂に到着。

見たところ天気がよさそうに見えるけども、、、

 

お目当ての仙ノ倉山への稜線はすっかりガスの中。。。

山頂到着が遅すぎたようです。

 

それでも立ち止まっているのはただ風にさらされて寒いだけなので、天気回復を願って仙ノ倉山へ向かってみます。

 

……が、、、

 

暴風でトレースが消え去ったのか、そもそもみんな平標山で引き返したのか、行く先に足跡が全くなくまさかの膝下ラッセル。。。

初冬の11月の平標山~仙ノ倉山を完全になめておりました。豪雪地帯の本領発揮と言わんばかりに、雪がたんまり積もっておりましたとさ……

 

こうして仙ノ倉山への縦走を諦めて潔く平標山へと戻る。

相変わらず誰もいない広々とした山頂。

 

どうしようかと思っていたら……

 

おぉ!?!?

 

振り返ってみたら、少しだけガスが薄くなってきた。

こりゃ、もしかしたらがあるかもしれん!ってことで、強風の中山頂で粘ってみることに。

 

稜線を境に、北側はまだ割と青空が多め。

稜線の雲よ、どっかいけ……

 

おぉ……!

 

おぉーーー!!

すげぇ、、、

これこそ見たかった稜線の雪景色。仙ノ倉山までの全容は見えなかったけども、だいぶ回復してくれました。

大好きな稜線が真っ白!

 

雲の位置がちょうど目線の高さなので、山頂はガスったり晴れたりの繰り返し。

晴れると今にも溺れそうな雲海が広がってました。

 

一時、山頂はすっかり雲が取れた。

西の苗場山を見ると、あちらには雲が全くかかってなかったです。

 

結局、この日の稜線の展望はこれが限界。

真っ白で諦めモードだったので、これが見れただけでも十分満足。粘ってみるもんですね。

良く見ると稜線途中から薄っすらとトレースも確認できたので、次回はぜひあちらまで歩きたい。

 

雲海がどんどん迫ってくる。雲を挟んで空と麓の景色が見えるのもなんだか不思議な感じがします。

見ている方面は平標山ノ家を経て平元新道へ下るルート。こちらにもトレースがありましたが、不安なので来た道を戻ることにしました。

 

最後はどうにか巻機山方面の山まで見渡せた。

仙ノ倉山の雪景色はまた次の機会に取っておきます。

 

本日はここまで、と言わんばかりに瞬く間にガスに覆われたので下山。

夕方頃から崩れる予報だったけど、それよりだいぶ早く雲行きが怪しくなってきました。

 

帰りは来た道を戻るだけなので楽。途中の階段の下りがやや滑りやすかったですが、結局この日はチェーンスパイクだけで乗り切れました。

 

いよいよ雲の色が怪しくなってきた……

速攻で樹林帯まで避難。

 

13時半に下山完了。

雪があると樹林帯に入ってからは速かったです。

 

いい具合に越後湯沢駅行きのバスが来たのでそれに乗車。バスは相変わらずがら空きでした。

この時間になると雪もチラついて来ていたので、早めに降りてきて良かった。

 

越後湯沢駅に到着。

もう数週間するとこのあたりのスキー場が続々とオープンしてくるので、この駅ももっと賑やかになってくるはず。スキーヤーも同じバスを使うことになるので、空いているのを狙うなら11月中が狙い目かと思います。

 

予想外に身体が冷えたので温泉に入りたかったけど、駅構内にあるぽんしゅ館のお風呂は一時営業休止してました。

(おそらく現在は営業再開していると思います)

 

仕方ないので駅近くで入浴できる湯沢東映ホテルを利用しました。駅近辺には温泉宿がいくつかあって、日帰り入浴を受け付けてくれるところもありますが、大抵は入浴料1000円です。

もう少し安く済ませたいなら、徒歩15分と少し遠いですが「駒子の湯」(500円)もあるので良ければ参考にしてください。

 

こうして今シーズンの雪山登山第1弾が終了。

軽アイゼンで手軽に行けるくらいのコンディションを想定していたんだけども、実際はなかなかの積雪と強風で、雪の重たさと寒さを大いに感じた1日でした。

 

個人的にもかなり気に入っている平標山。序盤の樹林帯の急登さえ超えてしまえば、あとはひたすら展望の良い尾根道が続くので、やっぱりこの山は歩いていて楽しいです。

特に今回は山頂手前で見事なサンゴ礁樹氷も見れたし。

 

唯一の心残りはやっぱり仙ノ倉山への稜線。冬の平標山に登る最大の目的が、この稜線の雪景色でもあったのでね、、、

まぁ今回はこれが限界でしたが、6~7割くらいはその稜線美をチラ見させてくれました。

初冬の平標山がどんなものかの偵察はできたので、来年も懲りずに登りに来ようかと思ってます。平標山だけであれば、多少ラッセルが必要になっても、バスの制限時間内に十分収まるのもわかったので。

 

いつか青空の下、この稜線が一面雪に覆われた景色を見てやろうと思います。

この山への執着心を一層強めた雪山登山でした。

 

 

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【日程】

2016年11月19日 晴れのち曇り

【コースタイム】

平標登山口(9:10) — 松手山(10:20) — 平標山山頂(11:30~12:20) — 平標登山口(13:30)

 

 

 

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