7月末に北アルプスへ上高地〜南岳〜槍ヶ岳というルートで1泊2日のテント泊登山に行ってきました。
南岳山荘のキャンプ場に宿泊した翌日、山頂からのご来光と岩の稜線ハイク、そして槍の穂先へ。裏銀座方面の展望が特に素晴らしかったです。
毎度のことながら槍沢から上高地までが長かったですが、途中の徳沢で食べたカレーに救われました。
2023年7月31日【北アルプス】南岳〜槍ヶ岳〜上高地 夏山登山
前日は上高地から天狗池ルートで逆さ槍を拝み、苦労の末に南岳山荘に到着。久しぶりにテント装備を背負っての3000m級アタックで死ぬかと思いました。
ヘトヘトになったおかげで寝つくのは早く、睡眠時間はバッチリ!テント泊だと夜間に何度も目が覚めてしまうタイプなのですが、それがゼロという奇跡の夜でした。
そのせいで星空は見れんかったけど……
そんなわけで稜線からおはようございます。
今いるのは南岳山荘。朝の4時半でだいぶ明るく、穂高岳のゴツゴツしたシルエットが目の前にありました。
小屋から10分もかからず南岳に到着。
山頂からすぐ近くという好立地物件。南岳山荘のロケーションは本当に素晴らしい。
ここで日の出を待ちます。
ご来光まで少し時間がありましたが、空の色が刻々と変わるこの時間は同じ風景を見ていても全然飽きない。
遠くの方まで雲海が敷かれていました。
朝の5時ちょうど、待望のご来光。
久しぶりに山の上から見た日の出。美しかったです。
北側にはこれから目指す槍ヶ岳。
どれだけ遠くにいても目立つ尖がったシルエット。距離もだいぶ近づいたので、余計に鋭さが増しております。
反対側には穂高連峰。
モルゲンロートのように山頂部分が少し赤みがかっていました。
太陽の反対側には笠ヶ岳。
少し遅れてあちらにも光が届く。そのはるか後方には薄っすらですが白山も見えました。
陽が昇りきるまで山頂に滞在。
日の出の瞬間は山頂に5,6人の人がいましたが、みんな続々と散らばって行きました。
稜線を南へ行けば北穂高岳への「大キレット」が待っていますが、岩場オンチの自分は当然そちらには向かわずに槍ヶ岳方面へ。
あの尖った穂先を目指していきます。
人も少ない朝の静かな空間がたまらなく心地よい。
寒くもなく暑くもなく、風も吹いていなくて穏やかな朝でした。
先ほどまでいた南岳。
本当に良い山です。穂高岳、槍ヶ岳に挟まれて目立ったピークではないですが、個人的には推していきたい山の1つ。
前日登ってきた天狗池分岐を過ぎて、そのまま稜線を直進。
槍ヶ岳までは基本的に岩場ですが、技術的に難しいところはほとんどなくて非常に歩きやすい区間です。岩場オンチの自分が言うんだから、信じてもらって大丈夫です。
岩稜帯にも花は咲く。
ところどころに見られる高山植物がまた綺麗でした。
次に目指すのが左に見えている中岳。
綺麗な三角形してますね。あのピークまでの登りが地味にきついので頑張りどころ。
少し登っては一休みして、歩いてきた稜線を振り返る。
わかりづらいですが、遥か左奥の雲海の果てに見える三角形の山は富士山です。
この日は全国的に午前中までは良い天気でした。
中岳に登頂。ここも360℃の展望が望める素晴らしいピークです。
目指す槍ヶ岳も徐々に大きくなってきました。
中岳からはいったん急な下り坂。
鎖やハシゴが設置されているので慎重に下りましょう。そこまで難しいところはなかったです。
ラスボスまでに立ちはだかる最後のピークが目の前の大喰岳。
一度下って登り返します。
ここら辺も難しいところは全然なくて、ひたすら体力勝負の区間。
槍ヶ岳山荘に泊まっていたと思われる人たちとすれ違うようにもなってきました。
そういえば、右の残雪のところにライチョウの親子がいました。距離が遠かったのでGRⅢでは姿を収められず、、、こういう時だけ望遠機能がほしい。
左手に並走するのは笠ヶ岳の稜線。
振り返って見る中岳。
この山も南岳と同様にそれほど目立って取り上げられないピークですが、どっしりとした姿は迫力絶大。
場所が違えば名山に選定されていてもおかしくはないと思います。
登り切った先で再び見えてきた尖がった角。
やっぱり槍様は存在感が桁違いだぜ。
その槍ヶ岳の手前にある大喰岳に登頂。「おおばみだけ」と読みます。
ここにきて、ついに槍ヶ岳の根元とそこに建つ槍ヶ岳山荘までが見えるようになりました。
誰も写っていないですが、海外のツアー団体客がいて山頂はかなり賑わってましたよ。
歩いてきた稜線を振り返って一息。
南岳を出発して2時間くらい。ここから槍ヶ岳までが最後の登り返しです。
下った鞍部が飛騨乗越。
槍ヶ岳を眺める絶好の場所で、そのとんがり具合をまざまざと感じることができます。
遠目から見るとスタイリッシュですが、ここまで近づいてみると意外とずんぐりむっくりしているのがわかります。
眺めもさらに良くなってきて、特に裏銀座の山々が見えるようになってきました。
北アルプスの中でも特に山深くて、そう簡単には登られせてくれないエリア。
日本最後の秘境と呼ばれる「雲ノ平」もあちらにあります。
なかなか近づかない槍ヶ岳の角。
見下ろされてる感が半端ない。ラスボスの風格この上ない迫力を感じます。
登った先にまず見えてきたのが、槍ヶ岳山荘のテント場。
こんな感じで番号付きの区画が定められていて、受付時に場所を指定されます。
事前予約はできずに先着順。全部埋まると当然泊まれないので、これはもう早い者勝ちのスピード勝負です。
テント場の先にあるのが槍ヶ岳山荘。
ここまで来ればとりあえず一安心。水場はないので買うしかないですが、ジュースや食料を補給できます。
槍ヶ岳山荘に来たらいつもやってしまう、ライブカメラとのご対面。
山小屋ホームページからいつでも見れる槍ヶ岳の中継映像。家にいるときに理由もなく眺めることも多くて、非常に助かっているライブカメラです。
これからも槍ヶ岳の状況を全国にお伝えください。
不要な荷物は置いて、槍ヶ岳にアタック開始。
片道20分程度ですが、急な岩場が続くので慎重に。登りと下りで順路が決まっているので、それに従って行きましょう。
岩場ポンコツですが、頑張って登っております。
登りはまぁいいんです。下りが本当に苦手で、こういう岩場を登っていても頭の中は「ここ、下れるかな」ということばかり考えてしまう。
最後のハシゴ。
これを登った先が山頂ですが、山頂がそこまで広くはないので混雑時はここら辺のハシゴで渋滞することもあります。
7時過ぎという槍ヶ岳山荘に泊まっている人たちはあらかた登り終わった時間帯だったので、今回は特に混雑はしてませんでした。
こうして午前7時半、槍ヶ岳山頂に登頂!
標高は3180mで日本で5番目に高い場所です。
展望はもう最高の一言。
改めて眺めてみる裏銀座方面の展望。
鷲羽岳、水晶岳、黒部五郎岳……色々な山がありすぎますが、一つ一つがどれも名峰。間違いなく北アルプスの中枢です。
正面奥にはこの前登った立山・剱岳も見えております。
山頂から見下ろす槍ヶ岳山荘。こうして見ると、本当にすごいところに山小屋を建てたなぁ~と思います。
奥に見えるのは笠ヶ岳。あちらも久しく登っていないので、そろそろ再訪したいところ。
穂高岳方面。
今朝から歩いてきた稜線を一望できます。道中ずっと眺めていた穂先に立っていると思うと感慨深い。
今この瞬間も、北アルプスに限らずきっと色々な山からこの槍ヶ岳が見られてるんでしょうね。富士山に次ぐ日本のシンボルと言ってもいい存在、それが日本のマッターホルンこと「槍ヶ岳」。
登ったはいいものの、自分にとっては下りが正念場。
帰るまでが遠足というのは本当にその通りで、槍ヶ岳山荘まで慎重に岩場を下って行きました。
8割へっぴり腰スタイルだったとは思いますが、登ってくる人がほとんどいなかったのが幸い。人に見られていると余計に下手くそになるのは自覚しております。
無事に槍ヶ岳山荘まで下りてきたところで一安心。
緊張も解けてしばらく朝食休憩にしました。
これから下る槍沢の雄大なカール。
左奥に見えている三角形の山が常念岳、眼下に見えている山小屋が殺生ヒュッテ。少し曇ってきましたが視界は良好で、南アルプスや八ヶ岳、富士山もまだ見えていました。
下山開始。
もう登りはなくてひたすら下り坂ですが、時間とともに暑さも増してきて結構つらかったです。
人気の槍ヶ岳ということで、道中のすれ違いも多かった。
上高地までがとにかく長い……。行きも歩いた梓川ほとりの道をひたすら戻ります。
透明度の高い、透き通った清流が癒し。暑すぎて川に飛び込みたくなる。
槍沢ロッヂ、横尾を過ぎて、足がガクガクになりながら徳沢まで戻ってきました。
ソフトクリームを食べるつもりでしたが、ちょうどお昼時でお腹ペコペコだったので食事休憩。
徳沢カレーで身も心も復活。
このカレーがなかったらやばかった。。上高地までの道のりは行きは楽しく歩けますが、帰りは苦行ですね。。。お腹が空きすぎて精神的に参ってました。
胃が満たされると気分も上がる。なんだか先ほどまでより森の緑がフレッシュに見えるぜ。
まだ上高地まで2時間ほどあるので頑張ります。
途中で猿と遭遇。
目が合ってもすぐにそらされて無関心。上高地の猿は人間慣れしてますな。
河童橋まで戻ってきました。
上高地の人気スポット。ここら辺まで来ると観光客が一気に増えて、橋も川岸も売店もどこも賑わってました。
こうして上高地バスターミナルまで歩いて登山終了。時刻は14時、槍の穂先にいたのが7時半だったので6時間以上かかりました。
帰りはバスと電車で東京へと帰りましたとさ。
2日間かけて歩いた上高地~南岳~中岳~大喰岳~槍ヶ岳の周回ルート。
久しぶりにガッツリ登ったテント泊縦走でしたが、天気にも恵まれて素晴らしい展望が見れました。1日目に見た天狗池からの逆さ槍とか、初めて出会えた景色もあって満足です。
楽しい夏の北アルプス登山でした。
【日程】
2023年7月31日
【コースタイム】
4:40 南岳小屋
4:50 南岳
6:15 中岳
6:50 大喰岳
7:30 槍ヶ岳
10:20 槍沢ロッヂ
11:20 横尾
12:20 徳沢
14:00 上高地バスターミナル
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