今年の大一番となる山旅。日本最後の秘境”雲ノ平”を巡る北アルプス縦走登山。
テントを担いで裏銀座から入り、雲ノ平とその周辺の7つのピーク(烏帽子岳、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳、薬師岳)を3泊4日で歩いてきました。
北アルプス三大急登の1つ”ブナ立尾根”からスタートした時には、4日間無事に歩き通せるか不安だったけど、天気にも恵まれ百名山4座、二百名山1座、三百名山2座と名峰を制し、あこがれの雲ノ平も散策できて文句なしの旅となりました。
見るものすべてが新鮮で、1つ1つの山に思い入れができ、同じコースは歩かなくともいつの日かまたこの山々は巡ってみたい、そんな場所でした。
憧れの日本最後の秘境、雲ノ平を目指して―――
日本最後の秘境と言われる北アルプス「雲ノ平」。ここに憧れを持ったのはいつだったか……。「日本最後の秘境」なんていう響きも良いし、その周辺を囲む名峰もめぐりたい。標高2500m超に広がる北アルプスの楽園へいつかは行きたいと思っていた。
昨年も狙ってはいたんだけど、なかなかタイミングが合わずに遠くから見るだけに終わった雲ノ平。北アルプス最深部にあるので、日帰りはもちろん1泊でも少々キツイ場所。
今年こそはと思っていたけど、8月の悪天候で結局流れて、、、それでも諦めきれずにチャンスが巡ってきたのが9月の第2週。当初の時期とずれて、色々ルート工作の練り直しとかあったけど、結果的に雲ノ平含めその周辺の名峰をほぼ回ることができたので良かったよ。
個人的には密かに興味を抱いていた烏帽子岳をこの機会に登れたのが良かった。当初8月の計画ではなかったルートだったし。
自分の登山歴の中でも一つの節目になる、充実した3泊4日の旅でした。
当然ながら1つにまとめ切れなかったので、2日ずつに分けて記事にします。過去最高に長くなるかもしれませんが、良ければ気長にご覧くだされ~
~~前半戦 烏帽子岳・野口五郎岳・水晶岳・雲ノ平・鷲羽岳~~
雲ノ平へ行く場合、一般的なのは富山側登山口の折立から入って、薬師岳や黒部五郎岳を周回するコースだと思います。自分ももともとはそのつもりでした。
だけど、8月を過ぎて折立までのバスの本数が減り、どうにも折立基点に動くのが難しくなってしまいまして。それで地図を見ていて練ったルートプランが、裏銀座から入って折立へ降りるコース。これだと名峰を一気に回れるし、何より自分がいまだに歩いたことのない道ばかりだったので、、、思いついた瞬間、これしかないと思った。
裏銀座から入る場合、北アルプス三大急登の1つ”ブナ立尾根”からスタートしなきゃいけないわけだけど、まぁ気合で何とかなるでしょ。
そんなわけで、雲ノ平を目指すべく、まずは裏銀座縦走コースを歩きます。
【1日目】
9/11:高瀬ダム~ブナ立尾根~烏帽子岳~野口五郎岳~野口五郎小屋
9月の3連休を2日ほどずらして9月10日の夜行バスで長野入り。平日ではあったけど、バスは満員御礼でした。
高瀬ダムから登山を開始するので、信濃大町駅で下車。
午前4時半。まだ真っ暗の中、1人信濃大町駅に降ろされる。ここからタクシーを使うので、心の片隅で乗合を期待してたんだけど、だ~れもいないわ(笑)
みんな扇沢か栂池方面へ向かう登山客ばかりでした。
バス停の目の前にタクシー会社があって、事前に電話しておいたので休憩所を開放してくれました。しかも買い出しのためにコンビニまで連れて行ってくれたし、、、VIP待遇、ありがとうございます(涙)
高瀬ダムはこの時期だとゲートが6時半に開くので、それまではタクシー使っても行けんのです。。。スタートが遅くなるのは厄介だけど、こればかりは仕方ない。ちなみに、お盆あたりまでは1時間早い5時半にゲートが開くので、もう少し早くスタートできます。
6時に信濃大町駅を出発して、高瀬ダムに着いたのが6時45分。ゲートが開くタイミングを待って乗り込んできたタクシーは計4台だったけど、自分以外は高瀬ダム手前の七倉に前泊してたっぽい。
タクシー乗ってる間に運転手さんとずっと話してたけど、やっぱり今年の夏は雨にやられてタクシーも山小屋も閑古鳥が鳴くような状況だったそうで……。
こちら高瀬ダムの湖。エメラルドグリーンの大きな湖はダム湖百選というのに選ばれているらしい。
7時、身支度整えていよいよ出発。このトンネルが今回の山旅の入口。気が引き締まるぜ!
トンネルの上の展望台は、晴れていると槍ヶ岳が見えるそうなので良ければご覧くだされ。
入口から見た感じ、トンネルの中は真っ暗かと思ったけど、電灯あって意外に明るかった。トンネルくぐってからの幕開けってのも、どこかのジブリ映画っぽくっていいな。
トンネルを出たら、長いつり橋を渡る。なかなかアドベンチャー要素が詰まってる序盤。
つり橋を越えた先に無人のキャンプ場あり。ここで前泊っていう手もあるけど、見た感じあまり利用されてない雰囲気でした。水場とかトイレは確認できず。
キャンプ場からさらに歩いてブナ立尾根の登山口へ向かう。すでに前方に見える稜線、あそこまで高低差1300mを一気に登る。
7時15分、北アルプス裏銀座登山口に到着。ここから北アルプス三大急登の一角、ブナ立尾根がスタート。
まずはご覧のような階段が少しばかり続く。
ブナ立尾根はこんな感じで目安となる番号が振られてます。スタートの登山口が12で、そこからゴールの烏帽子小屋までカウントダウンしていく。
どんどん登る。1つの区間はだいたい10~15分くらいかな。各番号の地点は開けていて休憩ポイントにもなってます。
朝日が差し込む奥深い森。平日ということで他に登山客もあまりいなく、静かな森の世界が広がる。
樹林帯で展望は効かないけど、木や葉を見ると早くも色づいていて、秋の訪れを感じられた。
その後もしばらく登る。時間的にもここは結構長かったけど、あんまりネタにするようなこともないのですっ飛ばします。
三大急登と言われるだけあって、ひたすら登り一辺倒。なかなかの歩き応えなので要覚悟。
9時半、地図上にも載っている三角点に到着。この三角点が番号で言うと4番。
三角点から小屋までも意外と長かった記憶あり。時間的にはそうでなくても、番号が全然見つけられなかったのよ。3番と2番が見つけられず、気づいたら1番の標識を目の当たりにして、あと少しかぁ~~、、なんて思ってたらようやく展望も開けてきた。
10:45、烏帽子小屋に到着。ブナ立尾根自体は正味3時間ってとこでした。思っていたよりは長くはなかったけど、体感的には同じく北アルプス三大急登の1つ、合戦尾根よりは疲れた。
小屋にザックをデポって、まずはサクッと烏帽子岳山頂を目指す。小屋からは片道40分くらい。
この時期でも意外と咲いてたお花畑ゾーンを越えてると、、、
一気に展望開けて白砂の世界。ちょうど青空も見えてきた。
目の前に見えるのが烏帽子岳の前衛、前烏帽子岳。白砂と合わせると、何となく燕岳のミニチュア版に見えなくもない。雰囲気は結構似てたよ。
そして、この前烏帽子岳を登ると、ようやく有名な尖がった烏帽子さんが姿を出してくれる。
ほぃ。こちらが烏帽子岳!このアングル、このビジュアルは北アルプスの中でも見たいと思っていた山景色の1つ。あの尖がり具合、なかなか見応えあるでしょ。北アルプスの中でも槍ヶ岳の次に尖ったやつと言ってもいいくらい。
烏帽子岳へ向かう。真下から眺めると、また違った迫力あるよ。思ってた以上にデカい岩。
この巨岩、なかなかのもん。烏帽子岳自体は二百名山に選定されているんだけど、百名山に選ばれていないのは標高が低いからだと思った。標高2628mは、この界隈では少し見劣りしてしまうか。
標高2800m超えの山が当たり前のようにそびえ立つのがこのエリア。
烏帽子岳は一見どう登るのかわからないけど、裏側に回り込むと鎖がついているのでそれを頼りに登れます。
ここは全然危険じゃなくて、足場もしっかりしてる。岩場苦手の自分でも楽に登れたから、おそらく誰でも登れるかと。
11:40、まずは1つ目のピーク烏帽子岳山頂に到着。山頂は見た目通り尖がってて狭いので、長居する場所ではないな。
岩場から顔をのぞかせると、こんな感じの岩壁。
こちらは南沢岳方面へと続く稜線。池塘も広がっていて、なかなか良い雰囲気でした。こっち方面へもちょいと歩いてみたいと思った。
こちらが登ってきた前烏帽子岳方面。雲多めだけど視界は良好。
目の前に見えるのが赤牛岳へと続く読売新道。文字通り、山肌が赤いその稜線も気になっているルートの1つ。来年あたりに挑戦しようかね。
こんな感じで烏帽子岳からの展望もまぁまぁ良かったけども……
やっぱり烏帽子岳はこうやって傍から見る山だなぁ~と思った。この形、しばらく見てても飽きなかったよ。ホントかっちょええ山でした。
小屋に戻って少し休憩。こちらは小屋のテント場にあったヒョウタン池。ブナ立尾根通過があまりに遅ければここで1泊するつもりだったけど、まだ先へ行けそうだったので野口五郎小屋を目指すことにした。
野口五郎小屋を目指して出発。ここからが裏銀座縦走コースの醍醐味かな。稜線ハイクの始まり始まり~
まずは前方に見える三ッ岳を目指す。
平日ってのもあるだろうけど、表銀座とは比べ物にならないくらい静かな裏銀座の縦走路。
振り返ってみる烏帽子岳。左の尖がった山が烏帽子岳なんだけど、見た通り標高が周りに比べてそんなに高くないから、鋭利な姿してる割にはあんまり目立たない。
烏帽子さんは、立ち位置を間違えたな。。。関東にあれば一級品だったろうに。
三ッ岳に到着。だだっ広い山頂で、正面には読売新道からの赤牛岳が見ごたえありでした。
ここから適度なアップダウンの稜線。稜線フェチとしては待ちに待った時間!この稜線を歩きたくて、1日目はブナ立尾根を頑張って歩いてきたようなもん。
……なんだけどさ。大して歩いてないはずなのに、結構バテたのよ。。。
例えばこの写真、ルートが2つあって左に巻く”お花畑ルート”と山を登る”稜線ルート”。
予定なら当然稜線ルートを歩くつもりだったんだけど、この時は登り坂はお腹いっぱいで、逃げのお花畑ルートを歩かせてもらいました…。
初夏の時期であればお花畑ルートだろうけど、この時期は花なんて咲いてないだろうからね。稜線ルート一択だと思ってた。
でも、意外に花咲いていた(笑)
秋のチングルマ。秋を迎えるこの時期の代表的な花ですな。
イワギキョウ。秋に移り変わるこの時期は紫色の花が多いってテレビで見たけど、ホントその通りだった。お花畑ルート、9月でも結構見ごたえあったよ。稜線に登る気失せたら、迷わずお花畑ルートへ!
ハイマツは秋を感じさせる色。オレンジいいよね。オレンジ最高よ。(自分のマムートオレンジも、まだまだしぶとく現役)
裏銀座コースは表銀座の燕岳~大天井岳間に比べるとアップダウンは少ない気がする。でも、表銀座よりも疲れる。
ブナ立尾根でもそこまで体力消費した感じはしないんだけどな……。単に体力落ちただけか…orz
ちなみに右奥に見えるの双耳峰の山が水晶岳。2日目にアタック予定。
この白砂と花崗岩の点在した光景が最高に綺麗でした。何より誰もいなくて独占してる感が心地いいし、雲の移り変わりで岩の陰影が映えるのも良かった。
野口五郎岳まではひたすら展望のイイ稜線ハイク!ここを疲れなしに歩けたら最高だろうけど、テント泊装備だと後半は嫌に長く感じる。
無事に歩けたから良かったけど……、実は野口五郎小屋までのコースタイム、計画してた段階ですでにミスってて、地図を見誤って1時間短く見積もってしまってたのよ。ある程度巻いたはずなのに、この辺りで地図を見返してみたら、16時ギリギリ到着っていう算段…。
ここが裏銀座の難しいところで、烏帽子小屋に泊まると時間を持て余して、野口五郎小屋まで行くとシビアになるっていう。。。登り終えた自分からしたら、一気に野口五郎小屋まで行ってしまうのが良いと思ったけど、野口五郎小屋にはテント場がないんで、テント泊にこだわるなら烏帽子小屋に泊まるしかない。
歩いてきた縦走路。距離以上に長く感じた不思議な道。表銀座よりも平坦で歩きやすかったけどね。
全然野口五郎小屋に着く気配がしなかったけど、15時ごろにようやく残り300mの示しがっ!!
小屋の前に見えてきたのが野口五郎岳。丘のように穏やかな稜線を描く山容でした。
15時半、予定よりも余裕を持って野口五郎小屋に到着。見た目ぼろいけど、小屋の中は結構綺麗で、何よりスタッフさんが物凄い親切な方で居心地良かった。
この日はかなり空いていて、4人部屋に2人で泊まる感じでした。
翌日は暗い中出発するので、夕方に野口五郎岳に登っておくことに。小屋から山頂までは15分ほど。
ガレ場を越えて白砂の稜線に出ると、そこが山頂。
標高2924mの野口五郎岳。三百名山に選定されている山で、その名を聞けば山を知らない人でもピンとくる「野口五郎」。何か一部ではタレントの名前が先で、この山が名づけられたなんて話もあるみたいだけど、とんでもない。この山の名前から野口五郎さんというタレントが誕生したんだからね。間違えないように。
こんな感じで1日目は野口五郎岳に登って翌日歩く稜線を確認して終わり。烏帽子岳と野口五郎岳、これから登る名峰に比べたら前座的な立ち位置かもしれないけど、2つとも見て楽しい、登って楽しい山でした。
この日の夜はかなり冷え込んで、北アルプスのあちこちで初霜を観測した日。体力温存する意味でも、1日目が小屋泊は正解だったかもしれんな。
こうして暖かい布団にくるまってヌクヌク天気予報でも確認してたら、、、2日後に雪マークがっ!?
3日目は黒部五郎岳に登る日なんだけど、どうなることやら。。。とりあえず天気予報は見なかったことにして就寝Zzz
【2日目】
9/12:野口五郎小屋~野口五郎岳~水晶岳~祖父岳~雲ノ平~祖母岳~鷲羽岳~三俣キャンプ場
2日目は4時半に起床。この時期のご来光は5時15分頃。スタート時はまだ真っ暗で、野口五郎岳を過ぎたあたりでようやく空が明るくなってきた。
野口五郎岳から先の裏銀座の稜線。ここからも割と穏やかな稜線が続いて、かなり歩きやすい。
5時すぎ、鷲羽岳のモルゲンロート。ちょうど背面から太陽が登る感じなので、目の前の山脈がどんどん赤く染まるのは壮観でしたぜ。
水晶小屋へ向かう途中からご来光。この日の朝はかなり冷え込んで、ここらでも初霜が降りた日だったんで、陽の温かさはうれしかった。
この日はどピーカンな一日で、槍ヶ岳もバッチリ。野口五郎小屋で一緒の部屋になった人と話したんだけど、その方は裏銀座で槍ヶ岳まで登って、表銀座で燕岳へ抜けるって言ってた。
僕も今回予定通りに歩ければ、あとは西鎌尾根さえ歩ければ裏銀座と表銀座が繋がるんだよな。来年にでも歩いてみたい西鎌尾根、そしていつか挑戦したい北鎌尾根。
水晶小屋手前は岩場が多くて、若干歩きづらい。地図上にある「足元注意」ってのはここら辺の浮石のこと。荷物重いとこういうとこが地味に時間かかる。。
稜線の北側に赤牛岳と立山連峰。北アルプスの北部と南部を同時に見渡せる裏銀座は表にはない魅力。
東沢乗越。ここから目の前の坂を登りきれば水晶小屋。1日目が小屋泊だったんで、疲れも全然残ってないから、ここら辺はまだ余裕。
陽も昇って、鷲羽岳の白い山肌がカッコええ。あの山の裏手にある三俣キャンプ場が今日の目的地。野口五郎小屋から距離的には近いけど、雲ノ平を先に散策する予定なんで、あの山に登るのは今日のラスト。
水晶小屋が建つ山。正式名称はないけど、この赤い山肌から赤岳なんて呼ばれているらしい。納得のネーミング。
7時過ぎ、水晶小屋に到着。野口五郎小屋からは2時間半くらい。軽身でもの凄い飛ばせば、1日目で高瀬ダムから水晶小屋までも行けなくはないかも。この小屋の立地がかなり良かったんで、いつか泊まってみたいと思った。
ここで朝ごはん休憩しているときに、小屋から出てきた方と話したんだけど、この日マッターホルンに3回も登ったことがある女性がここに泊まってたらしい。そういうすごいお方と、一度でいいから話してみたいもんだな。
小屋にザックをデポってまずは水晶岳へ。
4日間のうち、行動時間が一番長いのは今日だけど、ザックを置いて歩ける時間も長いのでピークハントは楽なもん。
そして、ここまで来ると今回の旅の目的でもある雲ノ平が眼下に!!左奥にはこちらも名峰、黒部五郎岳。
山の合間に広がる標高2500mの台地。ここから見るとどこかの闘技場にも見える平坦な場所。水晶岳側から見るとこんな風に見えるんだな。
こちらは3日目に登る予定の黒部五郎岳。五郎のカールが有名で、前日の雪予報が心配だったけどぜひそれを間近で見たいと思ってた。
黒部五郎の姿も良かったけど、個人的にテンションがさらに上がったのが、その背後に見える白山。飯豊山を制した今、次に最も登ってみたい山があの白山。来年の目標確定済み。
この水晶岳までの稜線も短いけど好きだったな。水晶小屋に泊まってた人は全員の登り終わった後らしく、ここも無人でした。
山頂に近づくにつれて岩場が多くなり、ハシゴもあったり。
水晶岳、別名「黒岳」。山肌が黒く見えるからその名がついたらしいけど、まぁ黒岳より水晶岳のほうが圧倒的にオシャレなネーミング。
7:45、水晶岳山頂に到着。標高2986m。今回予定しているコースの中では最高峰の山。
標高高いだけあって、この山頂からの展望は抜群でした。
まずこっちが赤牛岳方面。奥の立山はさっき見たけど、ここに来るとその裏にある剱岳も見える。
こっちは薬師岳。4日目、この旅のラストを飾る予定の山。あの山まで無事に登ればいいな~と、この時は本当に思ってた。
そしてこちらがさっきからずっと眺めてた雲ノ平と黒部五郎岳。雲海の果てにぽっかりと島のように浮かぶ白山。
東側は昨日歩いてきた尾根が見える。野口五郎岳は平べったいので少しピークがわかりづらいけど、中央右のこんもりした丘。烏帽子岳は尾根の裏に隠れて見えなかった。
The 山!!を感じられたのがこの南側の展望。正面に鷲羽岳、左に槍ヶ岳・穂高、右奥に見える綺麗なおにぎり型の山が笠ヶ岳。さらに奥には焼岳、乗鞍岳と、北アルプスの名峰が勢ぞろい。
写真ではうまく撮れなかったけど、槍ヶ岳の背後には富士山や八ヶ岳も見えました。空気が澄んでて本当に遠くまで見渡せた。
水晶岳からの展望を満喫していったん小屋へ戻る。
今のところまだ各ピークでは誰にも会わなくて独占できたけど、被写体がないのでただただ風景ばっかりを撮ってる感じ。。。こんな感じで人が歩いてきてくれると、少し有難く思えてくる(笑)
槍をバックに水晶岳を目指す登山客。
小屋に戻ってザック回収。これほどの快晴は久しぶりらしく、小屋のスタッフフル稼働で絶賛布団干し中。
続けて鷲羽岳方面へ。この日は一日中森林限界のところを歩けるから、終始ニヤニヤが止まらんでしたよ!おまけに高低差もそんなにないから疲れ知らず。
だんだんこの手の景色が当たり前になってきて感覚がマヒしてきてたけど、改めてこうやって写真見返すと、このあたりの平坦な稜線も自分好みで楽しかった。
しばらく道なりに歩いて行くと、ワリモ北分岐っていうところがあるので、そこで再びザックをデポる。
ここから裏銀座コースからいったんはずれて、雲ノ平を目指す。ザックは降ろすけど、往復4時間くらいかけて歩くので、アタックザックにはある程度の装備品は入れておく。
いよいよ秘境か……
まず目の前に見えるのが祖父岳。”そふだけ”ってずっと読んでたけど、”じいだけ”が正式名称らしいね。
特に名山には指定されてないけど、この祖父岳の火山活動によって雲ノ平という広大な台地が形成された。秘境の生みの親ってわけよ。
ワリモ岳分岐から30分くらいで祖父岳到着。ケルンが建ち並ぶ、広い山頂でした。ここのピークでようやく先客がおった。
標高2825m。背後には鷲羽岳とか。ここからの眺めもとにかくすごいけど、流石に写真がたくさんになってきたので省略。
360℃、どこを見ても名峰が目に入る絶景ポイントなので、ぜひ登ってみてください。
そして、ついに手の届くところまできた日本最後の秘境。このままサクッと降りれれば良かったんだけど、道が通行止めで無駄に迂回させられることになるんで、そこだけ注意。それ知らなくて、一瞬道間違えたかと思ったし。
グルッと回り込んで木道を歩いていく。いよいよ北アルプス最深部へ。
そして……
ついにやってきた雲ノ平。木道広がる標高2500m超えの高原地帯、日本最後の秘境。
昨年はタイミングを逃して、今年は雨にやられて、また来年に持ち越しになりそうだったけど、何とか来れたよ!
夏山の締めのつもりできたけど、雲ノ平はすっかり秋の風景でした。
黄色い草原の背後に建つ名峰たち。左の笠ヶ岳は登るのは辛いしそんなに面白い山でもないけど、そのシルエットは遠くからでも一発でわかる綺麗なおにぎり。個人的に苦い思い出のある山なんだけど、こうして見てると、また登ってもいいかなと思える。
黒部五郎岳に関してはワクワクが止まらない。3日目の最大のお楽しみ!(前日の雪マークが気になって仕方ないけど、とにかく晴れてくれっ!!)
風が通るたびに揺れる秋の草原。一足先に秋を感じる旅になりました。
まだ世間は金曜日。明日から3連休が始まるのでこの雲ノ平も混むだろうけど、この日はがら空きで本当に静かな場所でした。
木道を道なりにゆっくり歩く。池も点在して、この辺りは○○庭園と名前が付けられてる。写真のところはたぶんギリシャ庭園あたりなんだろうけど、標識が特に見つからず、よくわからなかった。他にもスイス庭園、アラスカ庭園、アルプス庭園とか、、、いちいち名前が欧米的でオシャンティ。(もちろん、日本庭園もありまっせ)
雲ノ平の中心に建つ、雲ノ平山荘。数年前に建て替えられた新築の山小屋で、見た目はもちろん陽気なBGMが流れてリゾート地を思わせる雰囲気でした。
山荘の中も軽く見たけど、スタッフも客も誰もいなかった。(あり??平日とはいえ雲ノ平ってこんなに空いてんの??)
あまりに人がいなさすぎて、若干寂しくなる…。
山荘からもう少し足を延ばして先へ。目指しているのが小屋の裏手にある祖母岳。
ここは、山友さんから勧められた場所で、北アルプスの中枢とも言える山だから登っておいた方がいいと。
木道が敷かれた広い平原。一見山の山頂には見えないけど、これが祖母岳。木道の周辺一帯はアルプス庭園。
一応、木道の終点に標識あり。祖父岳が”じいだけ”なんで、祖母岳も”ばあだけ”って読むらしい。
雲ノ平に属する山がこの祖父・祖母の2座で、どちらもとにかく展望が素晴らしい。
なんたって日本最後の秘境と呼ばれる場所にある山。周囲どこを見渡しても山が広がる。
標高が一段低いので、山を見上げる感じがまた迫力あっていいのよ。真っ白な薬師岳も目の前。
北アルプスのホントど真ん中に位置するのがこの場所。北アルプスの南部と北部、両方の山の展望を拝められる。
山間の奥には槍ヶ岳も。9月の3連休の槍ヶ岳と言えば、毎年山頂に長蛇の列ができるのは有名で、今年も3時間待ちだったらしい。山で行列待ちをするなんて、自分じゃ考えられないわ。
この雲ノ平からの一番の眺めはこの水晶岳だった。ほんの3時間前はあの山のてっぺんにいたけど、今度は下から見上げる。
なるほどな、、こちら側から見ると確かに岩が黒っぽく見えなくもない。
山友さんが言ってた、北アルプスの中枢って意味が良く分かった。名峰に囲まれた楽園でした。
せっかくの天気もいいし、誰もいないし、時間もあるので、その後も雲ノ平をゆっくり散策。
う~ん、、過去最高に贅沢な散歩かもしれん。
雲ノ平キャンプ場にも寄ってみた。テント2張りだけで空いてたけど、思ってたよりは狭いテント場だったな。
目的は水場だったんだけど、今回のルート上ではここが初めての天然の水場。裏銀座の序盤は水場が全然なくて、烏帽子小屋も野口小屋も水は買うしかないのよ。
やがては黒部川へ流れるであろう、豊富な水、旨かった!!500ml、一気飲みさせてもらいました。
今回はとにかく歩き通したかったんで雲ノ平キャンプ場での宿泊は捨てたけど、いつかは泊まりに来たいと思える場所でした。夜の星空とか最高に綺麗なんだろうね。
雲ノ平散策も満喫して、ザックをデポったワリモ北分岐まで戻る。次に目指すのが写真にある鷲羽岳。
ザックを回収して再び裏銀座縦走路を歩く。今日の半分くらいは軽身で移動してるし、高低差がそんなにないんで、10時間超えのCTでもかなり楽チン。
まずは鷲羽岳の手前にあるワリモ岳へ。
岩がゴツゴツしたワリモ岳。この日は午後から雲が多くなる予報だっただけど、予想に反して晴天が続いてくれてる。
本日ラストのピーク、鷲羽岳。見た目、げんなりする登り返しに見えるけど、実際歩くとそこまで登らされた感はなかった。
逆に裏側から登るほうが急登で辛いと思う。
途中から振り返ってみるワリモ岳がなかなか迫力あった。この山も、周りが豪華すぎて立ち位置が悪かっただけに名峰になれなかった山だな。
14時過ぎ、鷲羽岳山頂に到着。標高2924m。
何とか青空のうちに山頂に来れたけど、槍ヶ岳方面はすでにガスに包まれてました。
ここからの眺めも素晴らしいけど、特に良かったのがこれまで歩いてきた裏銀座縦走ルート。左奥の水晶岳(黒岳)、中央の通称赤岳、そして右の真っ白な野口五郎岳。
この色とりどりの山の風景は滅多に見れるもんじゃないからぜひ見ておくべき。特に野口五郎岳の白さが際立ってた。薬師岳より全然真っ白。
野口五郎岳、名前は男っぽいけど女性的な美白を持ち合わせた山でした。
山頂には他にも何人かいたので、写真撮ってもらったり話したりしてゆっくり過ごした。
この日も割と時間に余裕を持てたので、15時半ごろにはキャンプ場に到着できそう。自分の中では15時台にテント場に到着できるのがベストだから、この日も予定通りに歩けた。
登ってきた道とは逆側の急坂を下って三俣キャンプ場へ。
15時過ぎ、三俣山荘に到着。金曜日の割には結構混雑してました。テント場もそこそこ埋まってた。
鷲羽岳が目の前に構えるテント場。(※写真のテントは自分のじゃないっす)
個々のキャンプ場は水はけが悪いところもあるので、テント張るところはよく場所を選んだ方がいいです。
2日目にしてようやく利用できたテント。やっぱりテントが一番落ち着くわ。前日がかなり冷え込んだから寒さが少し心配だったけど、まぁテントの中は暖かい。問題なく18時過ぎには寝てたな。
こうして前半の2日間が終了。本当ならもっと語りたいことや載せたい写真もあったけど、あまりに長くなりすぎたんで所々端折らせてもらいました。
1日目と2日目については、いずれのピークでも青空が広がってくれてたんで本当に良かった。展望についても烏帽子岳以降は森林限界をずっと歩けたので、最高の景色に触れられ、終始ニヤケっぱなしの登山でした。
憧れていた雲ノ平も無事に行けて良かったよ。そこはやっぱり楽園だった。
前半戦を終え、残るピークとしては三俣蓮華岳、黒部五郎岳、薬師岳の3つしかないけど、黒部五郎と薬師については、かなり期待している山だったので、後半戦も楽しみ。
三俣キャンプ場では電波が入らなかったので、天気が確認できなかったけど、きっと翌日も晴れるでしょ!
そう信じて後半戦へ。
無事にたどり着けた秘境、素晴らしき雲ノ平―――
後半へ続く……
【日程】
2014年9月11~12日
【コースタイム】
・1日目
高瀬ダム(7:00) — 三角点(9:30) — 烏帽子小屋(10:45) — 烏帽子岳(11:40) — 三ッ岳(13:40) — 野口五郎小屋(15:30)
・2日目
野口五郎小屋(4:30) — 野口五郎岳(4:45) — 水晶小屋(7:15) — 水晶岳(7:45) — ワリモ北分岐(8:50) — 祖父岳(9:30) — 雲ノ平山荘(10:30) — 祖母岳(10:45) — ワリモ北分岐(13:00) — 鷲羽岳(14:10) — 三俣山荘(15:15)
コメント
あぁうらやましい(^-^;
僕もこの夏に予定していた雲ノ平・・・。
ちゃんとした感想は後編に書きますね(笑)
にっしーさん
僕も夏に予定してたんですがね、、、今年の夏の天気はダメダメでしたよ。
ずいぶん引き伸ばされましたが、ようやく報われた感じです。
この界隈は、またルートを変えて歩きたいです!
みやっちさん
こんばんは。あこがれの雲ノ平で快晴&すきよう。めちゃくちゃうらやましいです。
折立からのルートよく聞きますがこのルート すごく良さそうですね。自分もいつかは行ってみたいので真似させていただこうと思います。
ブログでのお裾分けとてもありがたく思ってます。後半も楽しみにしてます!!
こうさん
こんばんは!無人の雲ノ平は秘境感たっぷりでした。周りを北アルプスの名峰に囲まれ、北ア中枢と言ってた友達の気持ちがよくわかりました。
僕も最初は折立からスタートしようと思ってたのですが、バスがなくなってしまったので今回のルートに変更になったんです。
ただ、それが結果的に良かったかもしれないですね。前から気になっていた烏帽子含め、裏銀座ルートも楽しかったですよ!
後半は数日後にアップします~
待ちにまった”雲ノ平”を巡る北アルプス縦走登山編!!
もぅー、魅せられっぱなしのみやっちさんのレポに満腹!!
いつもながらに写真も素敵です
山の合間に広がる標高2500mの台地、雲ノ平らが見えたとは
レポ見ながら、期待感でゾワゾワしたくらいです^^
雲ノ平山荘、ホントにかっこいいですね笑
陽気なBGMが流れてリゾート地さながらとは!!しかも、独り占め?!
みやっちさん、後半も楽しみにしていまーす♪
あっ、今回はソロだったんですか?
ゆみたさん
こんばんは~!今回は色々とお世話になりました。
ゆみたさんのおかげもあって大一番を大成功で終われましたよ!
今回は久しぶりのソロです。ソロもやっぱりいいもんですね。自分のペースで常に歩けるので、序盤のブナ立尾根以外はほとんど疲れなかったです。
雲ノ平を平日歩けたのが正解でした。周りを名峰で囲まれた静かな台地は”日本最後の秘境”の名に相応しかったです。
後半の黒部五郎岳、薬師岳からの展望は前半を超えるくらいの感動を味わえました。ゆみたさんが薬師岳を勧めてくれた理由がよくわかりましたよ。
後ほどアップしますね~!
紅葉登山シーズン到来ですね~♪
10月もよろしくお願いします!
村ポチ☆
はたぼーさん
こんにちは。10月もどうぞよろしくお願いいたします。
きゃー!!!
裏銀座、やっぱりすごく素敵ですね〜♡
日数の必要な縦走がなかなかできないので、みやっちさんの素敵レポでお腹いっぱいになりました〜!
烏帽子、かっこいい〜!
雲ノ平のんびり歩いてみたいなぁ〜^^
そして陽気なBGMにすごく心奪われました。笑
みやっちさんのオレンジぞうさんジャケも久々に見た気がしますww
後編も楽しみにしています〜!
ちゅーたさん
こんばんは!裏銀座の稜線、すごい良かったですよ。平日というのもありましたが、誰もいなくて独り占めさせてもらいました。
雲ノ平も3連休前だったので誰もいなくて静かな場所でした。秘境感漂ってて、ゆっくり散歩できましたよ!
裏銀座は一度入ると抜けづらいので、表ほどは手軽に歩けないかもしれないですが、いつかぜひ!野口五郎岳がおすすめです。
後半も書いたので良ければどうぞ!後半は黒部五郎のカールが迫力ありすぎでした!
http://bluesky.rash.jp/blog/hiking/kurobegoroudake.html
オレンジマムート、いい加減ボロボロなのでそろそろ新しいのに変えたいのですが、なかなかないんですよね。いっそ、同じものを新調しようかと思ってます(笑)
野口五郎岳を検索して貴サイトに出会いました。素晴らしい写真と行程記録ですね。昔々、表銀座を歩き、槍ヶ岳、双六を経て三俣山荘(泊)、雲の平から高天原小屋(泊)、岩苔乗越から水晶小屋を過ぎたころから雨になって、野口五郎小屋に逃げ込み、翌日も風雨が収まらず、ブナ立尾根をひたすら下って、七倉山荘に着いてほっとしたことを思い出します。
「山の日」記念で昔々の山旅を思い出し、ホームページに「わが山旅」のタイトルで古い写真の掲載を始めたのですが、野口五郎岳からの下山は雨中で写真も撮れませんでした。できれば、野口五郎、ブナ立尾根の画像、お借りできればと思っています。よろしくお願いします。
セッポーさん、こんばんは。
表銀座から裏銀座まで歩き通したとはかなり長丁場でしたね。しかも雲ノ平も高天原も立ち寄ったとは、素晴らしいコースだと思います。羨ましいです。
写真に関しては当サイトから引用したことを明記していただけたら問題ありません。
よろしくお願いします。
「今日という日を忘れずに」
http://bluesky.rash.jp/blog/hiking/kumonodaira.html
1945年生まれのオジーサンです。終括用に自分の過去写真を整理してました。
半世紀前になります。大学1年の1965年8月5日~8月9日の間、高校仲間3人と裏銀座の
一部と雲ノ平に山行しました。
大町駅からバスで七倉まで。以後は、帆布テントを背負い歩きでした。
湯俣にテントを張り置き、ワンゲル並の重装備から解放されて三俣山荘と雲の平山荘に泊まり、
雲ノ平を充分に満喫してきました。当時の白黒写真では高瀬発電所の貯水池の青・雲ノ平のお花畑・すぐ手の内に入りそう山々は全てセピア色ですが、5日間の快晴に恵まれた景色は私の脳裏にしっかりと鮮やかに蘇ってきます。コメントの機会をありがとう。
元ワンダーフォーゲル部員さん、初めまして。
コメントおよび、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございます。1965年ですと僕が生まれるずっと前のことですね。当時の登山事情がどのようなものだったか全く分からないですが、おそらく1つ1つの装備品も今に比べたら重く登るにも一苦労だったのではないでしょうか。
三俣山荘や雲ノ平山荘は当時もあったのですね。おそらく現在は建て替えられたものでしょうけど、きっと雲ノ平あたりは現在よりも手つかずの自然が広がっていたことと思います。
今はブログという便利なものもあるので、こうして記録として残していますが、やはり思い出深い山行というのは、写真を見ずとも当時の光景が脳裏に焼き付いています。
そういった記憶に残る登山を今後もしていきたいものです。