8月の終わりに八ヶ岳でのんびりテント泊登山してきました。
ルートは美濃戸口を起点に赤岳~横岳~硫黄岳を縦走する南八ヶ岳の定番ルート。早朝から頑張って登れば日帰りでも歩けるコースですが、今回はそこをあえてテント泊。
何度も歩いたことのある縦走路でしたが、久しぶりに山から見る朝日と雲海は絶景で、稜線上からは北アルプスや南アルプスを一望!硫黄岳ではまだコマクサも咲いていて、夏の花もしっかり味わうことができた2日間の登山でした。
このルートは1泊であれば時間に余裕をもって歩けるので、初めての山小屋泊やテント泊の登山にもおすすめのコースだと思います。
今年の夏は御多忙な日々が続いて、山に2日間以上費やすチャンスがなかなか作れず悶々とする日々……。日帰りしか無理な以上、当然テント泊もできておらず、大型ザックやシュラフも押入れの奥で泣いておりました。
そんな中でようやくチャンスが巡ってきたのが8月の最後の週末。ただ、前夜発が無理という制約だったのでアルプス界隈の高山へは足が向かず、手軽に登れる八ヶ岳にしました。
こういう時の八ヶ岳の存在って本当にありがたいです。都内からも近くてしかも公共交通機関も特に予約必要なしで突発登山が可能です。
南八ヶ岳の赤岳~横岳~硫黄岳縦走。冬の時期にも日帰りで歩いたことのある、馴染みあるコース。今回はテント泊をすることに意味がある八ヶ岳登山でしたが、その甲斐あって過去にないくらいじっくりと八ヶ岳を味わえた2日間となりました。
8月26日~27日 夏の八ヶ岳テント泊登山
夏山登山と言うとだいたい夜行バスなんかを使って、夜のうちに移動して早朝から登り始めるのが定番だけど、冒頭で書いた通りこの週末はそれが不可能。
朝発でテント泊がそれなりに楽しめるフィールドっていうと、やっぱり八ヶ岳になるよなぁ。
そんなわけで朝発で電車に乗ってJR茅野駅に移動。茅野駅到着も10時過ぎというかなりゆっくりしたスタートですが、この日は行者小屋まで行ってテント張るだけなので、この時間からでも何ら問題なし。
10時25分発の美濃戸口直行便のバスに乗車しました。片道930円ナリ。
夏の期間だけ運行されている美濃戸口直行便。昼の中途半端な時間ということもあって、車内は比較的空いていました。
行く先の八ヶ岳は雲の中だったので、遅めのスタートがちょうど良かったのかもしれない。
11時過ぎに美濃戸口に到着。写っている建物は八ヶ岳山荘で、小さいお風呂ですが入浴もできます。(帰りに入りました)
下山者がザックカバーしていたところを見ると、明け方はずっと雨が降っていたようです。
登山届を提出して11時20分に登山開始。この美濃戸口からスタートするのは4年前の冬の八ヶ岳縦走以来。
日中の一番暑くなる時間帯ですが、この日は比較的涼しくて歩き出しにはちょうど良い天候でした。
しばらくはこんな感じの林道歩き。車であれば、この先の赤岳山荘まで入ることができるので、1時間の林道歩きを短縮できます。
40分ほど歩いて赤岳山荘に到着。八ヶ岳山荘にもあったソフトクリーム。
さらにその先の美濃戸山荘。こちらにもソフトクリームがっ!夏の暑い時期、帰りがけにこの計3回のソフトクリーム誘惑に耐えれるかも美濃戸口コースの勝負所。
と、まぁこんな感じで序盤は山荘が点在しているので、冷たいドリンクやらソフトクリームなんかがいくらでも手に入る環境です。
水場も各山荘にあるので、行者小屋までであればとりあえず1Lも持てば十分です。
美濃戸山荘がルートの分岐点。北沢へ行けば赤岳鉱泉、南沢へ行けば行者小屋へとそれぞれ繋がっています。
行者小屋を目指すので南沢ルートへ。沢と名がつく登山道らしく、豊かな水が流れる沢沿いを進んでいきます。
八ヶ岳の苔むす森は、何となく他とは違う洗練された雰囲気があって心地良く歩ける。雨上がり後だったので、いつも以上にマイナスイオンが充満している気もする。
橋を渡ったり。前日までの大雨で多少水の量は増えてましたが、それでも登山道は全体的によく整備されているので問題なく歩けます。
行者小屋まで緩やかな登りが続きますが、急登と呼べるようなところはほとんどないので登山と言うより森林トレッキングと言った感じ。
先ほどまで降っていた雨のおかげで、草木が瑞々しくてとても綺麗。
八ヶ岳の森はキノコが多かった。
苔と合わせて可愛いやつです。
途中はかなり端折って、美濃戸山荘から2時間も歩けばこんな感じの涸れた河原のような場所に出ます。
目の前に赤岳~横岳の稜線が広がる絶好のビューポイント。ここまで来れば行者小屋もすぐです。
14時過ぎ、行者小屋に到着。なんかここに来るのも久しぶりで懐かしい感じがします。
行者小屋前の広場。ベンチがたくさん置かれ、目の前には赤岳が聳えるロケーション。
八ヶ岳の登山拠点とも言える場所。北アルプスで言うところの涸沢のような立ち位置か。
今回はここでのんびりテント泊。久しぶりにマイテント張れたぜ~
行者小屋は毎回日帰りでしか立ち寄ったことがなかったので、ここのテント場を利用するのは初めてです。微妙に傾斜があって、思っていたほど広くもなかったですが、ちょうど空きが出たスペースに場所確保できました。
まだそこまで標高も上げておらず、なおかつ近くに沢もあるので、水はとにかく豊富。物資も充実していてドリンクはもちろん、売店の品ぞろえも豊富でした。
そのせいか、トイレのイマイチ感が目立った気がする……(^_^;)
ラーメン、生ビールともに800円。お腹空いてそそられたけど、時間が中途半端なので自重。
何たってまだ3時間ほどしか歩いてないんでね……。のんびりテント泊とはいえ、さすがにもう少し動き回りたい。
ということで、軽身になって15時に地蔵尾根から赤岳までお散歩に繰り出すことにしました。
翌日はおそらく真っ暗なうちにここを歩くことになるので下見も兼ねてだったけど、明瞭な一本道なので迷う心配もない地蔵尾根です。
樹林帯も半分ほどで、後半は展望の良い岩稜帯になっていきます。
地蔵尾根のハシゴ。いくつか用意されていますが、すれ違いに注意する以外は特に問題なく通行できるしっかりしたものです。
少し上ったところから見下ろす行者小屋。行者小屋までは軽いハイキングと言った緩やかな道で、この地蔵尾根で一気に標高を上げる感じ。高度感もなかなかのもので、八ヶ岳の大自然に浸れる展望が用意されています。
若干わかりづらいけど、右奥の森の中に見える建物が赤岳鉱泉。翌日はあちらにも行く予定。
地蔵尾根は中盤に差し掛かると鎖場も出てきます。
とはいえ、足場もしっかりしているので鎖に頼らずとも登れるレベル。これまでの森の登山道とは一変しての岩場フィールド、この変化が気持ち的にもかなり楽しくなってくるところです。
展望もどんどん迫力を増す。特に息を呑んだのがこの横岳方面の展望で、目の前に現れた鋭利な岩峰は自分の記憶にはなかったのも。
何度も登っている山でも全てを覚えているわけではないので、やはり登る度に新鮮な感傷に浸れるシーンと言うのは必ず出てくる。だから登山はやめられんのよね。
地蔵尾根の途中に鎮座するお地蔵様。稜線までもう間もなくではあるけど、もうしばらくは岩場が続くポイント。
「お前、岩場苦手なんだし気を抜くなよ」って言われてる気がした。
こちらは地蔵尾根から望む赤岳。
赤岳という名前の由来とか全然知らないけど、この辺りの赤みがかった土を纏う姿が本当の赤岳なのかもしれない。夕日に照らされると、さらに赤く染まってました。
しばらく続く地蔵尾根のガレ場ゾーン。
ここを夏に歩いたのはもうかなり前のことだから、正直この地蔵尾根の記憶はあまり残っていなかったです。
何となく雰囲気としては那須岳の朝日岳山頂付近に似てる気もします。
うーん、やっぱりカッコいいこの姿!こんな迫力ある岩峰だったっけか、、
今回の2日間で赤岳~横岳~硫黄岳と縦走することになるけど、一番印象に残ったピークは間違いなく横岳。特に翌日の雲海に囲まれた中で歩いた岩の稜線は最高の一言でした。
行者小屋から50分ほどで地蔵ノ頭に到着。登り切ったところにもお地蔵様がおりました。
ここでようやく八ヶ岳の稜線に出る。
稜線に立ってさらに迫力をます横岳の岩峰。横岳本来のピークはここからでは見えないけど、まぁこの岩峰一帯が横岳ってことで。
こちらは明日のお楽しみに取っておきます。
今日はとりあえず赤岳へ。
地蔵ノ頭に出てすぐのところにあるのが赤岳天望荘。”展望荘”ではなく”天望荘”としているところにこだわりを感じます。星空がさぞ綺麗なんでしょうね。
ここは山小屋では珍しく五右衛門風呂があるので、宿泊すればお風呂にも入れます。初めての山小屋泊にも良いんじゃなかろうか。
夕食の準備で大忙しと思われる赤岳天望荘は軽くスルーして、赤岳山頂へ。
ここから山頂までは1時間もかからないですが、この最初のガレ場が滑りやすいのと、他の人が上から落石を発生させる危険があるので、それだけ要注意。実際、自分が歩いているときにも、上でゴロゴロと石の転がる音が聞こえてきました。
ガレ場を過ぎるとこんな鎖の手すりが付けられた岩場もあったり。
特に難なく登れるけど、「よく雪のある時期にここ登ったな……」とか少し思った。特にここの下りは積雪時は割と危険なんじゃなかろうかと。
登っている途中から振り返ってみると、またそこが絶景。
先ほどの赤岳天望荘、その奥には横岳と硫黄岳、さらに左奥には北八ヶ岳の端っこである蓼科山まで見えます。
時刻も16時過ぎということで陽が西に傾き始め、日陰の陰影がより景色を綺麗に見せてました。
影富士ならぬ、影赤岳も。
こちらは稜線の東側にあたる斜面で、こちらにも真教寺尾根、県界尾根、杣添尾根などのルートが用意されていますが、いまだにどこの尾根も歩いたことがないという未知の領域。
どのルートも興味あるので、次はこちらから登りに来たいところです。
しばしの岩場登山を楽しんで赤岳頂上山荘に到着。
その名の通り、本当に赤岳頂上に建てられた山小屋です。
小屋から山頂まではすぐ。八ヶ岳の中でも屈指のロケーションを誇る山小屋だと思います。
16時20分、赤岳山頂に到着。標高2899m、八ヶ岳最高峰の赤岳。このピークを踏むのは4回目かな。
時間も遅めだったので、山頂は空いてました。
こちらはキレットを挟んで権現岳~編笠山へと通じる縦走路。
ここで少し語らせてもらうと、自分が初めてテントを買って初めてテント泊縦走をしたのがこの八ヶ岳だったんです。もう5年も前の話。あの時は編笠山から権現岳と登ってキレット小屋にテント泊、翌日に赤岳~横岳~硫黄岳~天狗岳縦走と言う、初めてのテント泊にしては過密プランだったけど、テント泊ならではの厳しさと楽しさを体感できた2日間でした。
この時の経験は5年たった今でもしっかりと自分の中に根付いていて、いつかもう一度八ヶ岳にテント泊しに来たいとは思っていました。
慣れてくると八ヶ岳くらいなら日帰りが当たり前のように感じられてしまって、なかなかその機会がなかったけど、こうしてあの時歩いた道を眺めていると、初めてテント泊をした頃の初々しい自分が思い出されたりもして、このタイミングで登りに来て良かったな~と思えたりします。
そしてあの頃の体力が欲しいとも思ったり……
赤岳から望む中岳と阿弥陀岳。赤岳~中岳~阿弥陀岳についてはさらに遡ること6年前、初めて八ヶ岳に足を踏み入れて歩いたのがこの3つの峰。
八ヶ岳って自分の中では登山のベースにもなっているフィールドなんだなと改めて気づかせてくれた気がしました。
横岳~硫黄岳~天狗岳~蓼科山と、南八ヶ岳と北八ヶ岳を一望できるこの眺望。他の峰々が小さく見えるあたり、流石は八ヶ岳の最高峰にして主峰の赤岳!
素晴らしい展望です。
山頂のすぐ脇に建つ赤岳頂上山荘。
八ヶ岳も稜線にテント場があれば、もっとたくさん登りに来るんだけどな~と思うけど、こればかりは仕方ないか。
天望荘と比べるとずいぶん静かな山小屋でした。
山頂の展望をひとしきり楽しんで行者小屋へと下山。
下山時に改めて思ったのは、「よくこの道を雪のある時期に歩いたな~」と。昔の方が岩場に対する耐久力はあったのかもしれないと思うと少し情けないぜ……
地蔵ノ頭まで戻ってきた道を下っていく。だいぶ陽も西に傾いてきた時刻。天望荘を過ぎるあたりで「えっ?この人今から下山するの?」とかいう視線を感じたけど気にしない。
この時間帯になると、稜線上を歩いているのは僕くらいでした。
サヨナラ、赤岳。
短い時間でしたが色々と感傷に浸れて、意義のある登頂でした。
もう誰も歩いていない地蔵尾根を下山。ピカッと輝いているのが行者小屋。
小屋の屋根にソーラーパネルが設置されていて、それがものすごい眩しかったです。存分に充電できているようでなにより。
やっぱり1日目のハイライトはこの景色なんだよな~
地蔵尾根から眺める横岳の岩峰の展望。素晴らしい迫力があるのでぜひ見てみてください。
こうして17時半過ぎに行者小屋まで戻ってきました。
8月末とはいえ、まだまだ陽は高い時期。ヘッドライトを使う必要もなく赤岳までの散歩を終えられました。
行者小屋から眺める赤岳。陽が沈むにつれてアーベントロートとなって赤岳が赤く染まっていく様が美しかったです。
さらに感動したのがその1時間後。陽が沈みかける瞬間、西の空が真っ赤に染まって綺麗な夕焼けの空を見ることができました。
この時はテント泊の人も山小屋泊の人もみんな外に出て必死に写真撮ってました。
夕焼けの彼方に見えた北アルプスのシルエット。とてつもなく綺麗な情景でした。
北アルプスについては、翌朝にまた素晴らしい景色を見せてくれたのでそちらで。
そんなわけで1日目が終了。朝発で大して歩いてないと思ってましたが、久しぶりのテント装備で身体は疲れていたのか、すぐに寝落ちしましたとさ……
【2日目】
2日目は4時に行動開始。最初はテント背負って出発するつもりでしたが、なんか結露したテントと向かい合っていたら片づけるのが面倒になったので、軽身で硫黄岳まで縦走して戻ってくることにしました。それまでに乾いていてくれマイテントよ!
真っ暗な中、前日歩いた地蔵尾根を再び登って行きます。
稜線に出る頃に空が白み始める。
振り返ってみると見事なまでの雲海で、その果てには北アルプスの山なみが浮いているようにそびえ立っていました。
5時に地蔵ノ頭に出る。赤岳は前日のうちに登ったので、今日は横岳方面へ。
ここから先はハシゴや鎖場がたくさん出てきます。
ご来光を赤岳山頂で見ようとする人が多いのか、横岳方面へ行く人はまだ少なくて静かな登山道でした。
稜線の途中から待望のご来光。この日は雲の躍動感がものすごくて、ちょうど視線の高さに雲海が敷かれていました。
波打つ雲でなかなか太陽が出てこなかったけど、5時半ごろに雲の合間から見事な朝日の光が差して、心地よいおはようございますが言えました。
朝日によって赤岳も赤く染まる。赤岳のモルゲンロート、名前の通り赤く染まる峰に変貌しました。
こうして見ると稜線の左側は緑ばかりなのに、右側は禿げたガレ場という対照的な姿をしてますね。
引き続き横岳目指して岩稜帯を進んでいく。
ここら辺の岩場が見た目は豪快だけども、足場はしっかりしているので登りやすいです。
なかなかの岩の斜面も手すりが付けられたりしているので、特に問題なし。
しかし何度も思うけど、雪の時期にここを自分が歩いたのがにわかには信じられない……。しかも雪山を初めて割と間もない頃っていうのがね。
岩がひしめく登山道でも、意外と花は豊富。
8月の終わりの時期でも、岩陰には色々な花が咲いていました。
1つピークを越えても、またその先に新たな岩場が出現。岩場あるあるの1つ。
見た目近そうに見える横岳も、実際に歩いてみると多少時間はかかります。
うーん、それにしてもこの赤岳の姿が本当に美しい!
ご来光の前後は数分の間に色々と景色が変わるから面白い。わざわざテント泊したのも、この時間に稜線を歩きたかったからというのが強く、良い景色に出会えて満足しとります。
稜線を境に雲海の高さが異なっていて、西側は視線よりもだいぶ低く落ち着いた雲の流れ。
雲海の果てには御嶽山や北アルプス・乗鞍岳などもはっきりと見ることができました。
岩陰の細い道を進んでいく。すれ違えないような狭い場所もたくさんありますが、この時間帯はまだ反対側から歩いてくる人がいないので、無駄な神経使わずに済みます。
この岩場だけ切り取ってみたら、穂高連峰のそれと何ら遜色ない迫力!
横岳ってこんなに大きい山だったっけ……?
記憶にある横岳より圧倒的なスケール感で出迎えてくれる岩山。数年という時間をおいて登れば、2回目だろうが3回目だろうが楽しめるってもんですね。
岩の印象が先行する横岳ですが、花が意外なほど多いです。
少なくとも今回の登山で言えば、稜線上に一番花が咲いていたのがこの岩稜帯の部分。岩場は手元を見て登ることが多いので、小さい花でも気づきやすい。
稜線上に立つ先行者。下から見るとすごい所に立っているように見えますが、ナイフリッジのように立ち止まるのが困難な場所は特にないので、そこらへんの登りやすさはいかにも親しみある八ヶ岳と言った感じ。
稜線に出ればこの絶景!
左奥のピークが横岳の本峰になります。両サイドに広がる雲海がまた良い引き立て役になっています。
稜線に立った時からずっと見えて入るけど、北アルプスの展望が絶品です。
というか、この日は稜線の四方八方に雲海が敷かれていたので、西側には北アルプスしか見えない状態。穂高連峰から大キレットを挟んでの槍ヶ岳、さらに北には白馬岳あたりまでくっきりと見えました。
ここから先の稜線もまだまだ楽しい。写真だけ見るとどこをどう歩いていくのか全然わからないけど、その場に立てば道は明瞭なのでご安心ください。
危なそうなところにはちゃんとハシゴも用意されてます。
何ヶ所か夏道と冬道で分かれる部分もあるので、そこだけ間違わないように。冬季用に設置されてるハシゴもあったりします。
雲の下から伸びてくる杣添尾根。雲の下はまだ薄暗く、反対に上は眩しいほどに明るく天国のような幻想的な光景。
雲海を境に全く違う世界観、それを同時に見れるというのも面白い。
ここら辺は穏やかな縦走路。やはり朝一は登山道も静かなので、のんびり歩けます。
わし、すぐ後ろを歩かれるのが苦手で、特に困るのがペースは自分の方が早いけど、写真を撮って立ち止まる度に追い抜かれるという無駄なデッドヒートを繰り返すパターン。
たまに訳も分からないところでコケたりもするので、醜態を晒さない意味でも前後に人がいないと気楽です。
これ、チングルマですよね?
八ヶ岳にチングルマっていうイメージあんまりなかったから少し意外なものを見た気がしました。
→これ、チングルマではありません!コメントしてくれた方々からチョウノスケソウと教えていただきました。ありがとうございます!
これはチョウノスケソウです!結構貴重な花のようで、カメラに納めておいて良かったです。
歩いてきた赤岳~横岳区間の稜線
横岳へと向かう稜線。どちらを見ても素晴らしい展望!
稜線好きにはたまらない場所です。雲海の果てに浮かぶ北アルプスがまたいいのですよ。
6時15分、横岳山頂に到着。標高は2829mで八ヶ岳の中では赤岳に次ぐ高さを誇る第2の峰になります。
陽もだいぶ昇ってきて、気持ちの良い朝日。
相変わらず雲の流れが幻想的です。
こちらは次の硫黄岳へと続く稜線。左奥には北八ヶ岳の北端に位置する蓼科山が雲の中に浮いているように見えます。
横岳の山頂に立ったらぜひとも見るべき景色。赤岳~中岳~阿弥陀岳の三兄弟、その合間から権現岳や編笠山、さらにその奥には南アルプスの高峰群が立ち並ぶ絶景ポイント!
ここからの景色は冬に登った時にもよく覚えているシーン。雪のある時期のこの眺めもまた素晴らしいのなんのってね。
この時間になってようやく富士山も顔を出してくれました。
八ヶ岳の展望と言えば富士山も欠かせない存在。雲が邪魔で1日目からここまでは全く見れなかったけど、無事に見れてホッとしとります。
軽く朝食休憩をしてさらに先へ。硫黄岳まではいったん狭い岩場を下っていきます。
やや高度感のある鎖場のトラバース路も。
ホント、積雪時期に良くここら辺を歩いたな~と。
横岳の断崖絶壁。急峻な地形で岩々しいけど、緑も多いのも八ヶ岳らしい。
緑があるだけで怖さも軽減されるのが不思議です。落ちても緑がクッションになって助かるんじゃないかとか思ったりもするけど、それは大きな勘違いなので間違っても足を滑らせて落ちないようにしてください。
下から見るとこんな感じ。断崖絶壁ですが手すりが設けられているので、それを頼りに進めば特に難しい所はないです。
この山頂直下の岩場を過ぎてしまえば、岩稜帯はもうおしまい。
登山道は一転して、広く緩やかな道になります。冬山登山でもここらへんでホッと一息つけたのはよく覚えてます。
硫黄岳は名前の通り、かつての火山の面影を色濃く残す山。
登山道も火山特有の砂地になります。
急峻な横岳と阿弥陀岳。写真では見切れているけど、阿弥陀岳の西側には中央アルプスも控えていて、北・中央・南アルプスの展望総なめでした。
横岳とは反対に丸い穏やかな山容の硫黄岳。基本的に急峻な峰が立ち並ぶ南八ヶ岳の中では硫黄岳が少し変わり者なのかもしれないですね。
硫黄岳に向かう途中で、まさかの発見がコマクサ。高山植物の女王とも呼ばれているピンクの花。
普通は7月下旬ごろにはピークを迎えていますが、まだチラホラと残って花咲かせてくれていました。
この時期にコマクサを見れたのはラッキーでした。
雲海を望むように建てられた硫黄岳山荘に到着。山小屋に宿泊していた人たちが続々と横岳に向けて出発した後だったので、営業中とは思えないくらい静かでした。
5年前の初めてのテント泊縦走の時、稜線上で水が全く手に入らずにこの山小屋でジュースを2本買ったのはよく覚えている。
7時過ぎ、硫黄岳山頂に到着。一応、今回の縦走の終着点。
横岳から硫黄岳までは距離も短いので、さほど時間もかからずに到着できます。
広い山頂で有名な硫黄岳。
平らで広い分、目標物が少ないのでガスった際は行くべき方向を間違えないように要注意です。
こちらは硫黄岳の爆裂火口。切り立った崖になっているのでロープが張られています。
過去の火山爆発の威力を垣間見れる貴重な場所。
いまだに行ったことがないけど、硫黄岳の麓には本沢温泉という日本最高所の露天風呂もあります。
こちらは北八ヶ岳の天狗岳~蓼科山の展望。5年前はここからさらに天狗岳まで縦走したけど、今回はここまで。ホント、初めてのテント泊にしてはよくやったと思うよ、5年前のみやっちさん(笑)
一般的に硫黄岳までが南八ヶ岳に分類されて、ここから先の山が北八ヶ岳と呼ばれるエリア。(厳密にいうとこの先の夏沢峠が南北の境界線とされてるんだっけか…?)
歩いてきた縦走路。ほんの2時間ほどの稜線歩きだったけど、過去にないくらい時間に余裕があったのでじっくり景色を見て回れました。
こういう時間を全く気にしない登山もたまにはいいですな。
硫黄岳のケルンと雲海。
この日は最後まで雲海が綺麗に敷かれていた1日でした。
硫黄岳からは赤岳鉱泉方面へと下山。
山小屋に泊まっていたと思われる人たちが続々と登ってきてました。
赤岩の頭へと向かうこの下山路も展望良くていい道です。
目の前には赤岳~中岳~阿弥陀岳の三兄弟、その背後には南アルプス。ここから一度樹林帯に入るともう展望スポットはないので、ここが最後の見納めポイントになります。
樹林帯に入る手前から硫黄岳方面の眺め。これから登頂を目指す方、頑張ってくだされ~
この後、樹林帯に入って赤岳鉱泉まで降りたわけだけど、赤岳鉱泉から硫黄岳までの登りって結構きつい気がする。赤岳鉱泉はいつも下山路でしか使ったことないから良くわからないけど、地蔵尾根の方がよっぽど登りが楽に思えました。
1時間ほど下って赤岳鉱泉に到着。
朝8時という時間だったので、ここも人が出払った後で静かでした。
赤岳鉱泉のテント場。行者小屋よりも広くて場所も平坦なので快適な感じがしました。次に泊まりに来るときはこっちでもいいかも。
ちなみに赤岳鉱泉の名物と言えば、冬のアイスキャンディー
アイスクライミングの練習場として人工的につくられた氷の滝。
小屋自体も通年営業しているため、冬でも人が絶えない場所です。
赤岳鉱泉の裏手から行者小屋へと通じる道を使って、行者小屋に帰還。赤岳鉱泉~行者小屋区間も地味に登りがあるので、気を抜かないように。
行者小屋はいつ来ても賑わってるな。
スタートしてから戻ってくるまで4時間ほどの縦走登山でしたが、天気も持ってくれて最高の景色に出会えた時間でした。
大満足でニヤニヤしながらテントを撤収。テントが完全には乾ききってなかったけど、まぁ良し!
あとは来た道をそのまま戻ります。
下山はあっという間。美濃戸口に戻ってきたのは朝の10時半過ぎでした。
次の帰りのバスが11時20分だったので、八ヶ岳山荘で入浴して帰ることができました。
JR茅野駅行きのバスに乗って、今回の登山もおしまい。前日に乗ってきたバスの折り返し便だったので、ちょうど24時間現地にいたわけか。
まだ昼前の便だったので、登山客もそれほど多くはなく座って帰ることができました。
こんな感じで5年前の初テン泊以来の、八ヶ岳でのテント泊登山。行程で言えば2日間かけるほどでもないのかもしれないですが、じっくりと八ヶ岳を味わえた登山だったので、自分としては大満足で終わることができました。
前夜発が無理と言うことで、半ば妥協しての八ヶ岳山行ではあったけども全然そんなことはなかった。過去に歩いた縦走路でも十分楽しむことができたし、新鮮な風景にも出会えました。
特に今回は横岳のダイナミックな岩稜帯が印象的でした。あと雲海も。
今回のコースであれば山小屋泊であれテント泊であれ、かなり時間に余裕をもって歩けるので、初めての1泊2日の登山にもおすすめかと思います。赤岳~横岳~硫黄岳、それぞれ全く雰囲気の異なるピークなので変化に富んだ山歩きが楽しめますよ。
以上、夏の八ヶ岳テント泊縦走登山の記録でした。
おしまい
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【日程】
2017年8月26~27日 両日晴れ
【コースタイム】
・1日目
11:20 美濃戸口バス停
12:00 赤岳山荘
14:15 行者小屋 (~15:00)
16:20 赤岳
17:40 行者小屋
・2日目
4:00 行者小屋
6:15 横岳
7:10 硫黄岳
8:10 赤岳鉱泉
8:30 行者小屋
10:40 美濃戸口バス停
コメント
はじめまして、にほんブログ村から来ました。おひかりです。
すごくわかりやすい記事でした。写真もきれいです!!
読んでいて楽しかったです♪登った気になってしまいました!!
横岳側から見る赤岳の写真をよくネットで見るのですが
見るたびに胸がザワザワします。憧れです…赤岳。
途中で出てくる白いお花ですが、あれはチングルマではなく
チョウノスケソウですね♪葉っぱの形と花びらの数が
チングルマとは違うようです♪
これからも山の記事楽しみにしています。
おひかりさん、初めまして。
コメントありがとうございます!
そして花のご指摘ありがとうございます。訂正させていただきました。
チョウノスケソウとは初めて聞きました。チングルマとそっくりに見えますが、葉っぱと花びらの数が違うのですね。また1つ勉強になりました!
八ヶ岳は都内からでもアクセスがしやすいので、もう何回も登りに行っていますが、登る度に感動を与えてくれる素敵な山域です。四季を通じて登れるので、また時間が経ったら遊びに行きたいと思います。
ブログはたまに更新してますので、またコメントお待ちしております!
いつも楽しい山旅の記事をありがとうございます。
チングルマ?のことでコメントしようとしたら、すでにおひかり様から入っていますね。
チョウノスケソウにはなかなか出会えません。
少し前に白馬岳-朝日岳で沢山の花を見てきましたが、そこでも逢えませんでした。
私には貴重な花です。
谺 拓山さん、こんばんは。
チョウノスケソウのご指摘ありがとうございます。やはり皆さんすぐにわかるのですね。チングルマにしか見えなかった自分はまだまだのようです……
貴重な花と言うのを聞いて、ブログに載せておいて本当に良かったと思いました。チングルマだと勝手に解釈して省略しようかとも考えていたので。
花ももう少し覚えていこうと思います。
八ヶ岳!~赤岳のモルゲンロートが素晴らしく美しいですね。
正直なトコロあまり興味がある山ではなかったのですが、みやっち
さんの記事を拝見して、猛烈に行きたくなりました(笑)
すごく地形の変化に富んだ山で、次から次へとこれでもかってくらい
の景色が用意されていますね。
お天気の良い日を狙って、まずは日帰りで行ってみたいと思います。
今夏は本当にお天気に泣かされましたが・・・三度目の正直、明日
の夜行バスで上高地入りして、明後日西穂登ってきますW
初めてみやっちさんの記事を拝見したのが、西穂日帰りで行かれた
ときのもので、そのときからずっとずっと「新宿発の上高地行きの
夜行バスで行って、がんばって登れば、ロープウェイの始発前に
岩稜帯にアタックできるんだ」と思い描いていました。
やっと念願が叶いそうですw
みうさん、こんばんは。
赤岳のモルゲンロートの写真、なかなか反応も良くてうれしいですしテント泊ならではの景色が見れて良かったです!
このブログで興味が湧いてくださったのであれば、これ以上嬉しいことはないです。自己満足的に書いているところも大きいので、少しでも他の方の参考になっているのを知ると、やはり書いてよかったと思えます。
西穂高岳、日付で言えば今日登ったんですかね?ロープウェイ組を追い抜くにはコースタイム以上で歩く必要はありますが、静かな稜線に立った時の爽快感と言ったらたまらないので、ぜひ楽しんできてください!
みやっちさん♪コメント3回目です。今回も美しい写真の数々と楽しい文章をアップしてくださってありがとうございます。お天気に恵まれてよかったですね。雲海もモルゲンロートもとってもきれいです。私の野望は“おひとりさまテン泊”をすることです!体力的に年々きつくなってはいるのですが、ご紹介くださったルートだったら荷物重くてもなんとか行けそう?あんまり怖いこともなさそう?夢がふくらんでおります。ぐふふww
はせまささん、こんばんは。
東北を飛び出て八ヶ岳記事にまでコメントして頂きありがとうございます!
“おひとりさまテン泊”という素敵な野望を実現するなら、このコースはかなりお勧めだと思います。序盤は水場が豊富にあるので、そこまで水を担いで登る必要もないですし、何より行者小屋を基点にテントを置いて回れるのがいいところです。
縦走となるとそれなりに時間はかかりますが、赤岳だけでも十分楽しめると思いますよ。野望が実現したら、ぜひとも教えてください!
みやっちさん、こんにちは。
私もみやっちさんの翌週に逆回りで硫黄岳~阿弥陀岳を歩きました。八ヶ岳は初めてだったのですが、森あり、岩場ありで変化も楽しめ、赤岳山頂は雲ひとつない絶景で、また来たい!!と思いました。みやっちさんのキレイな写真を見ていると、すでに八ヶ岳が懐かしいです…(笑)
次の記事も楽しみにしております\(^^)/
ゆずさん、こんばんは。
八ヶ岳行かれたんですね。しかも硫黄岳から阿弥陀岳まで登ったとは、南八ヶ岳の有名どころ総なめですね!
おっしゃる通り、八ヶ岳は稜線の岩場も楽しいですが序盤の森も独特の雰囲気があった楽しく歩けます。
比較的アクセスも良好な山域なので、僕も近いうちにまた登りに行きたいと思いますー
こんにちは。
15:00から赤岳登るって、すごい(^_^;)さすがですね。
アルプスに行こうと思うと、アクセスに時間がかかってしまったり、前夜発しなければならなかったりですが、八ヶ岳なら余裕を持って1泊2日の山旅が出来て良いかも!改めて思いました。
一度、硫黄岳~赤岳は行きましたが、みやっちさんの素晴らしい景色の写真を見て、また行きたくなりました!
また次の記事も楽しみにしています。
ゆかぽんさん、こんばんは。
テント泊だからこそできた芸当です(笑)
1日目は昼前からの行動だったので、できる限り陽が沈むまで歩きたかったので。おかげで静かな稜線も堪能できました。
この縦走ルートは王道なので、みなさん歩かれてるようですね!僕も何度か歩いた道でしたが、手軽に登れてこれだけの絶景を拝められる八ヶ岳はやっぱり貴重だと思います。
改めて八ヶ岳が好きになれた登山でした!また時間をおいて登りに行きたいと思います。
みやっちさん、こんにちは。
お忙しい中、良い天気に恵まれた登山をされたんですね。
チングルマ、わたしもつい最近自分のブログでみやっちさんと全く同じ間違いをしたところで今、即訂正しました。葉っぱが違うんですね~。今までわたしがチングルマだと思っていたのは多分、すべてチョウノスケソウだったみたいです(-_-;) 花が咲いたあとフワフワの綿毛になるあたりも同じなんですけどね。
赤だけは本当に赤いんですね。朝日でさらに赤くて素敵です。朝の雲海は、山に1泊した甲斐があったなーって実感ですよね。とってもきれいな写真ですね。
みよんさん、こんばんは。
チョウノスケソウも綿毛になるんですね!それじゃほとんどチングルマと変わらないので、僕が間違えるのも無理はないと納得しました(笑)
花に関してはようやく有名どころを覚え始めたところで、細かい違いはまだ全然わかりません。こういうのが見分けられるようになれば、もっと登山も楽しくなりそうなんですけどねぇ……
久しぶりのテント泊でしたが、赤岳のモルゲンロートから雲海に至るまで日帰りでは見れない景色を堪能できたので、本当に1泊した甲斐がありました。
登ったことのある山でも1泊すると全然違って見えますね。あえて1泊してのんびり歩く登山も今後は積極的に取り入れていこうと思います!
Thank you for this post! It is very helpful to plan our hike!