10月上旬、秋の安達太良山へ電車とバスを使って日帰り登山に行ってきました。
紅葉で有名な山ですが、秋に登りに行ったのは今回が初めて。噂には聞いてましたが、確かに凄かったです。
特にくろがね小屋付近の色付きが見事で、山頂の大火口と合わせて圧巻の風景が広がっていました。隣の箕輪山の紅葉も真っ赤に染まって綺麗だったので、時間があれば縦走もおすすめです。
数ヶ月に一度は登りに行きたくなる東北の山。
1つ1つの山のスケールがでかくて、アルプスとはまた違った魅力を備えている山々がここにはあります。
毎年欠かさず遊びに行かせてもらってますが、そんな東北の山の中でも群を抜いて登っているのが今回の安達太良山。
過去5回登りに行っていて、そのうち冬が3回、夏が2回。安達太良山といえば紅葉で有名な山ではありますが、実は秋には一度も訪れたことがなく……。
今回初めて行ってきました。
ルートは昨年の夏と同様に、奥岳登山口からスタートして反対側の沼尻へと縦走するコースで行きます。
遥々東北までやってきて、去年と同じコースをそのまま辿るんだ。(モッタイナイカ?)
2021年10月4日 安達太良山 紅葉登山
そんなわけでやってきたのは奥岳登山口までのバスが出ている二本松駅。
これまで秋の安達太良山を避けていたのは、登山道が大渋滞するっていうのを聞いてたからでして。
それなら月曜日に休みが取れたこのタイミングならいいんじゃね?ってことで電車を乗り継いでやってきたわけですが、初っ端からバスの行列を見て先制パンチを食らいました。
秋の安達太良山、恐るべし。
それでもギリギリ最後部座席に座れて、バスに揺られること50分。
公共交通勢に混じって、朝の9時に奥岳登山口へと降り立ちました。
平日にもかかわらず、駐車場がほぼ満車という状態にここでも驚かされる。
案の定、ロープウェイもすごい行列ができていました。
もともとロープウェイに乗るつもりはなかったので軽く眺めるだけでしたが、いったい待ち時間はどれくらいだったのだろうか。
というか、平日でこれなら土日はいったいどうなってるんだ……!?
登山開始前から秋の安達太良山の人気っぷりをまざまざと見せつけられましたが、気を引き締めて奥岳登山口から登山開始。
ここを歩くのも、もう6回目になります。
今回はくろがね小屋経由で行くので、しばらくは緩やかな遊歩道歩き。
途中、旧道(左)と馬車道(右)が何度か交錯しますがお好きな方で。旧道は一応ショートカットコースですが、道がぬかるんでいて滑りやすいので個人的には馬車道をお勧めしておきます。
だいぶ省略して、空が開けてきたのは登山を開始して1時間くらい経った頃。
ここら辺も馬車道の延長で歩きやすい道が続きます。
この道を歩いていて常々思っていた。馬車道とはいえ人が歩くならまだしも馬車は通れんやろ、と。
そう思っていたら……
突如、後ろから轟音と共にジムニーが追い越して行った……。
ジムニー、やべぇ。。。仮にもここは登山道。地面には岩の凹凸も激しいのに、物ともせずに突き進んでいきました。
なるほど、この馬車道はちょうどジムニーサイズになっていたんですね。
登るにつれて、登山道脇の木々も徐々に色づいてきました。
澄んだ秋晴れ、登山には絶好の日でしたが、実際のところは秋とは思えない暑さが襲っております。
そして景色が一変したのがここ。
もう間もなくくろがね小屋に着こうかってところで、目の前が一気に色づいた。
こちらが最初に目にした安達太良山の紅葉風景!
時期としては若干早めでしたが、それでも色とりどりで何ともカラフル。
黄色主体、赤と緑が点在するパッチワークな景観。すごく綺麗です。
紅葉のトンネルを進んでいく。
ロープウェイ組もここは通らないので渋滞も全くなし、ゆっくり見て回れます。
安達太良山の岩壁に広がる紅葉、その中にたたずむくろがね小屋が見えてきた。
10時20分、くろがね小屋に到着。
温泉湧き出る人気の山小屋。通年営業していて、冬場も泊まりに来ることができます。温泉あるから、冬こそ泊まりに来るべき小屋だろうか。
先ほどのジムニーが「遅かったな」と言わんばかりに、こっちを見ていました。
くろがね小屋からの紅葉。
いやいや、すごい!これは人気が出るわけだわ。
岩山と紅葉の相性ってやっぱりいいですね。岩の白さが紅葉を一層引き立ててる感じがします。
小屋を出発して山頂へと向かう。
ここから再び登り坂ですが、あたりの景色はすっかり開けて火山らしい風景に変わります。
山頂側の山肌も見事な色付きで、こっちはどちらかというと赤色が目立ってました。
何度も振り返ってしまう鉄山の紅葉。
今回の登山ではここら辺の紅葉がピークでした。
二本松市街地方面。
この日は全国的に快晴予報。だから登りに来たわけだけど、この安達太良山界隈(磐梯山や吾妻山)の天気は結構な確率で裏切られるから、登ってみるまで安心できない。
無事に晴れてくれてよかったです。
紅葉の中を進んでいく。
くろがね小屋経由のルート選択は正解だったようで、こちらは人も少なくて終始快適に登れました。
秋の渋滞を避けたいならくろがね小屋ルートをどうぞ。
山頂手前の広場、峰の辻に到着。
左奥に見える岩山が安達太良山の山頂・乳首でございます。
他の登山者に教えてもらいましたが、左に写っているグループは雑誌かテレビの取材クルーだったようで、後ほど大火口あたりで撮影している姿も見えました。
いざ、山頂の乳首へ。
ここら辺は夏や冬に登りに来たときはなんて事のない道でしたが、秋は一面ススキがたなびくメルヘンロードになっていました。
真っ白なススキが群生していて、ちょっとしたお花畑みたい。遠目から見たらワタスゲにも似てるな。
奥に見えるのが鉄山。
先ほどに比べるとだいぶ離れてしまいましたが、今日もあちらまで縦走しますよ。
こうして11時すぎに安達太良山に到着。予想通り人が多くて、この誰もいない標識を撮るのも難しかったです。
山頂は広いので休憩場所には困らないですが、奥の乳首のピークはしっかりと渋滞していたので今回はスルーしました。
山頂から見下ろす景色。
こうしてみると、まだ緑が多いですね。10月第2週あたりがピークなのかもしれません。
山頂は混んでいたので、大火口方面へ行くことにしました。
ここから大火口までの平坦な稜線は牛の背と呼ばれているのですが、強烈な風が吹き抜けることでも有名。
この日は奇跡的な無風で、ご覧のように傘をさしながらだって歩けちゃうくらいでしたよ。
地面が粘土質になってくると、それは突然左手に現れる。
こちらが安達太良山のシンボル、大火口。
安達太良山と言ったらやっぱりこの景色。先ほどまでの穏やかな紅葉風景とは一変して、違う星にでもきたかのような異世界空間が広がっています。
ここは何度見ても迫力あるわ。
ところで、火口を見下ろすこの小山の周りにいたのが先ほどの取材班。
トップに立っているのがモデルさんで、名前はド忘れしましたがランドネとかでたまに見かける人でした。
ドローン使って空撮していたので、自分も小さく映り込めたかもしれない。
大火口を後にして引き続き鉄山方面へ稜線を縦走。
ここから先は馬の背と呼ばれる区間。ここら辺も普通なら強風が吹き荒れる場所ですが、拍子抜けするくらいの無風。
ドローンも普段の風だったら無理だったでしょうね。絶好の撮影日和だったようで。
人が映り込む山の景色も絵になる風景。
登山者のシルエットがカッコよく見えます。
鉄山と安達太良山のちょうど中間地点くらい。
奥に見えてきたのは吾妻連峰。西吾妻山とか一切経山とか、もう何度も登りに行ってるけど、そういえば吾妻山も秋の紅葉シーズンにはまだ行ったことがなかった。
安達太良山のとんがった山頂乳首。
撮影クルーたちのドローンはまだ上空を旋回中でした。
安達太良山は方面によって姿が全く違って、西の沼尻側こそ、この山が火山たる所以をまざまざと感じることができます。
大火口の淵を囲む絶壁、この荒々しい姿もぜひ見ておきたい景色です。
鉄山までは多少のアップダウンがありますが、砂地が滑りやすいことを除けば特に危険箇所もないです。
自分はこのまま鉄山を抜けて沼尻温泉へと下山しますが、奥岳登山口からのピストンでも、朝早く出発すれば鉄山まで往復することは十分可能だと思います。
安達太良山から40分ほどで鉄山に到着。
名前から尖ったイメージを持たれますが、山頂は意外にも平坦で穏やか。
端まで行くと切り立った崖になっていますが、休憩するには最適の場所となっています。
鉄山から眺める歩いてきた稜線。
火山に登ってるなぁ〜とひしひしと感じられる風景です。序盤の紅葉とはまるで違う世界観。
中央奥に立つ山は和尚山。遠目からですが、あの山の斜面も真っ赤に染まっていたので、紅葉登山の穴場なのかもしれません。
少しアングルを変えての大火口。
奥に見える尖った山は福島の盟主・磐梯山です。実を言えば、今日は磐梯山にしようか安達太良山にしようか少し迷いました。
磐梯山の紅葉もなかなか綺麗なので、ぜひまた行きたいところ。
鉄山からさらに先の稜線へ。
そして前から、屈強な男集団が一列になって歩いてきました。警察学校とかそんな感じだったのかな。
すれ違いざま、軍隊のように勇ましい挨拶の嵐を頂きました。
鉄山から少し下ったところにあるのが鉄山避難小屋。
朱色の扉がトレードマーク。
中は驚くほど綺麗で清潔感に溢れてます。
ここなら泊まるのも十分あり。
そして、ここからが実は今回一番行きたかったところ。
少し北側の箕輪山方面へ寄り道してみます。
しばらく平坦な稜線を行くと鞍部に差し掛かるので、ぜひそこまで行ってみてほしい。
こちらが箕輪山。
ご覧のように山の斜面が真っ赤!
くろがね小屋付近が黄色主体だったのに対して、こちらは赤がメイン。
東北の紅葉というと私としてはこちらのイメージなので、この景色を見て改めて「あぁ、東北の山に来たなぁ」という感じがしました。
安達太良山6回目にして、初めて箕輪山を間近でみたけど本当にすごい色づきでしたよ。
すぐ向こうは吾妻山。
広い開放的な稜線がいかにも東北の山という感じ。火山の面影も、ここまで来ると全くないです。
箕輪山、ここも間違いなく紅葉の名峰。
たぶんこちらは時期としては少し遅かったようで、9月下旬頃がピークなのかもしれません。
山頂までは登り返しがあるので片道1時間ほどかかります。時間的に厳しいのでここで引き返しますが、紅葉を見るだけであればここまででも十分堪能できるので、よければぜひ立ち寄ってみてください。
箕輪山の紅葉ポテンシャルに感動しながら来た道を引き返す。
先ほどの避難小屋まで戻ったら、あとは前回と同じく沼尻温泉までの下山路を行きます。
途中にあった、よく覚えているこのウサギの耳オブジェ。
大火口と安達太良山の乳首を同時に見れるのがこのアングル。
景色の迫力具合は、やっぱりこちらの沼尻側が抜き出ていると思います。
正面には壁のように立ちはだかる外輪山。
今から向かうのは真下に見える底の谷間。
おそらく向こうの外輪山から見れば、こちらも切り立った岩壁に見えるんでしょうね。
すぐ左手は断崖絶壁になっているのでお気をつけください。
一見するとどこから下りるのかわからないですが、ちゃんと左の谷底に下りていく道が用意されています。
そしてここら辺の紅葉も素晴らしい。
標高が少し下がるので、ピークまではもう少し先といったところでした。
左奥の川沿いが沼尻登山口へと続くルートです。
断崖絶壁から降りるところにあるのが胎内岩の岩くぐり。
いくら細身の人であってもザックを下ろさないと通れない狭さなので、頭をぶつけないように気をつけながら通過しましょう。
谷底まで降りてくると、一変して清らかな水が流れる沢沿いルートへ。
川の名前は硫黄川。よく知らないですが、おそらく硫黄成分が入っていると思われるので飲むのは適さないです。
序盤が少し入り組んでいてルートが分かりづらいかもしれませんが、途中から向かって右岸を歩いていくことになるのでそれを意識しながら進みましょう。
こうして川沿いを歩いていくと見えてくるのが、安達太良山の湯畑。
木道敷かれた天然の温泉街でございます。
先ほどまで横を流れていた川も、いつの間にかいい湯加減の温泉となっていました。
秋の時期にはちょうどいい温度、足湯に最適です。
ちなみに下流の方では全裸になって豪快に露天風呂を楽しんでいるおっちゃんがいました。山頂で撮影中だったモデルさんがこの場に来ないことを祈るばかりです。
このお湯がまさしく源泉。
パイプを伝って麓の温泉街まで届けられます。これを見ちゃったからには、下山後の温泉は避けられないぜ。
湯畑からは対岸の稜線へと登り返し。
ここが割と急斜面で、最後の頑張りどころです。
ここら辺の紅葉も見事なもんでした。
安達太良山の紅葉、序盤のくろがね小屋付近だけでなく随所に見所が散りばめられていて、その人気っぷりに納得がいきました。
確かにここは紅葉の山だ。
白糸の滝展望台も通過して、沼尻登山口に下山完了。
やはり奥岳登山口に比べるとこちらから登る人は少ないようで、駐車場もまばらでした。
車できてたらここで終わりなんだけど、バスの場合はもうしばらく歩くことになります。
沼尻スキー場の林道をひたすら下っていく。
スキー場を下ったところにあるのが沼尻温泉・田村屋旅館。
昨年登った時はここで入浴を済ませましたが、今回はバス停のある中ノ沢温泉に入りたかったのでもう30分ほど頑張って歩きます。
中ノ沢温泉までの道は少し分かりづらいですが、この林道の分岐を左に入っていくと近道です。
前回は通行止めの看板を見て直進してしまいましたが、車が入れないだけで歩く分には問題なかったです。
こうして辿り着いた中ノ沢温泉。
ここでようやく下山完了。温泉街らしく、いくつもの旅館が立ち並んでいました。
今回入ったのはこちらの旅館・花見屋。大露天風呂という文字に惹かれました。
源泉掛け流しの温泉宿。日帰り入浴700円とコスパも良く、ほぼ貸し切り状態で気持ちよく入れました。
ここ、お勧めしておきます。
こうしてバスに乗って猪苗代駅へ。この駅を利用するも、もう4、5回目でだいぶ見慣れたものになってきました。
あとは電車に乗って自宅まで帰りましたとさ。
以上、秋の安達太良山登山でした。
青空のもと、見たかった紅葉を存分に堪能できたので大満足!くろがね小屋に始まり、山頂の大火口、箕輪山の紅葉、そして最後の湯畑。
見所も多く、この奥岳から沼尻へと突き抜けるコースはやっぱり面白いです。
電車・バスの公共交通利用こそ歩けるルートでもあるので、良ければ縦走してみてください。
【日程】
2021年10月4日
【コースタイム】
9:10 奥岳登山口
10:20 くろがね小屋
11:10 安達太良山
12:05 鉄山
12:20 鉄山避難小屋
14:50 沼尻登山口
15:35 中ノ沢温泉
コメント
みやっちさん、こんにちは
秋の安達太良山、キレイでしたね!
私は一昨年の10月に登りました。この年は台風の多い年で、千葉ではゴルフ場のネットが倒れ
全国でも大きな被害があった年でした。
そんな中でも山の木々に大きな影響はなくキレイな紅葉を見ることができましたが、登山道はぐちゃぐちゃのぬかるみでしりもちをつかないように恐る恐る歩いたことを思い出します。
奥岳登山口からくろがね小屋、山頂、薬師岳展望台とめぐり奥岳登山口のルートでした。ロープウェイの駅を過ぎたところで、ロープウェイを降りて山を登る人たちを狭い道ですれ違いながら下るのも気を使いました。ここで転んだら恥ずかしい(汗)
山頂は風は強くなかったですか?
2年前はお天気はよかったものの風の強い日で、少し下りた岩陰でお昼にしましたが、凍らせて持って行った缶ビールが寒さで溶けずシャーベットのままでした。
あの時はほぼ初心者が怖いもの知らずの勢いで登りましたが、また今度はいろいろ味わって登りたいです。
みやっちさんは雪山も登られるんですよね。お気をつけてくださいね。
いつか私も挑戦したいです。
次の記事も楽しみにしています。
(先日の記事のコメント名前を入れ忘れてお送りしてしまいました。
あれは私です^^;、失礼しました。)
rai-raさん、こんばんは。
前回の記事へのコメントもありがとうございます。
安達太良山は6回目でしたが、秋の紅葉シーズンは今回が初めてでした。
人気なだけあって色づきは素晴らしいものがありますね。特にこの日はくろがね小屋周辺がピークを迎えて綺麗でしたよ。
安達太良山は強風がつきものなので私も覚悟して登ったのですが、この日は奇跡的に無風で稜線上はむしろ暑いくらいでした。同じ10月でもタイミングによって全然違いますね。半袖で登っている人も多かったです。
もう紅葉シーズンも終わり山の上では雪が降り始めていますが、ここ最近は体力低下が著しいのであまり無理をせずに手軽な雪山から再開して行きたいと思っております。
rai-raさんも怪我に気を付けて山登りを楽しんでください。