【蔵王山】不忘山~刈田岳~熊野岳~地蔵山 日帰り縦走登山 満開のハクサンイチゲと神秘のドッコ沼

【蔵王山】不忘山~刈田岳~熊野岳~地蔵山 日帰り縦走登山 満開のハクサンイチゲと神秘のドッコ沼

6月初旬に不忘山~刈田岳~熊野岳~地蔵山と、蔵王連峰を日帰りで縦走登山してきました。

公共交通アクセスの利点を最大限に活かして、蔵王山を南から北に一気に縦走。6月の蔵王は花の最盛期で、特に不忘山の稜線にはハクサンイチゲの大群生を見ることができます。

高山植物ももちろん良かったですが、東北ならではの雄大な稜線、エメラルドグリーンの御釜、そして秘境とも言える神秘のドッコ沼と、最初から最後まで見どころの尽きない登山で、夏の蔵王を大いに堪能できた1日でした。

蔵王連峰縦走登山 御釜


夏の蔵王連峰縦走登山。今年の6月に絶対に決行したかった山行です。

蔵王山については冬の樹氷が有名ということもあって、自分も過去に3度ほど雪のシーズンに訪れているのですが、夏に来たことは一度もなく……。エメラルドグリーンの池で有名な御釜も冬場は雪と氷に覆われているので、雪が溶けた蔵王の姿って知らなかったんです。

そんなわけで気分としては初めて訪れるような感覚で臨んだ今回の山行。コースも欲張って、南の不忘山から北の熊野岳・地蔵山まで宮城県から山形県へ一気に駆け抜ける縦走路。日帰りとしてはギリギリの距離でしたが、高山植物から火山地帯、神秘の沼と景色の変貌が目まぐるしくて、至る所にハイライトが待ち受ける登山となりました。

おそらく日帰り登山としては過去にないくらい長い記事になっちゃう気がしますが、今回の記録は特に公共交通手段で山登りをするスタイルの人にお勧めしたい縦走ルートなので、良ければ参考にしてください。

2018年6月2日 蔵王連峰縦走登山

稀なほど計画段階からワクワク感に満ちた今回の山登り。

蔵王連峰を余すことなく満喫するため、今回は南の不忘山から屏風岳、刈田岳、熊野岳と繋いで北の地蔵山までを一気に駆け抜ける南北縦走ルート。宮城県~山形県をまたぐ、全行程20km弱の日帰りとしてはなかなかの長丁場となります。

白石蔵王駅

朝イチから万全の状態で動き出したいというのもあったので、前日のうちに宮城県入り。仕事をフレックス退社させてもらって、夕暮れ時に宮城の白石蔵王駅にやってきました。

ベネシアンホテル白石蔵王

白石蔵王駅の目の前にあるベネシアンホテルでこの日は前泊。

駅のすぐ近くにファミマ、徒歩10分くらいの所にセブンイレブンがあったので、そこで買い出しを済ませて早々に就寝。白石蔵王駅周辺には飲食店などがほとんどないですが、徒歩3分くらいのところに『うんじゃらげ』というラーメン屋があるので、夕食の選択肢として参考にしてくだされ。(味はごく普通のとんこつラーメンでした)

白石蔵王スキー場

たっぷり7時間の睡眠を確保して、駅前からタクシーに乗ってやってきたのは『白石蔵王スキー場』。駅から乗車時間20分、5000円くらいでした。

タクシー代は高くつくけど、これから始まる大縦走にこの程度のお金を払う価値は大いにあります。というか、今回のルートは登山口と下山口がまるで反対側で、マイカーではまず無理なコース取りなので、公共交通利用だからこそできるプランでもあります。

スキー場なので駐車場は広めのものが用意されていますが、リフトなどは当然動いていないので文明の利器に頼ることはできません。

白石蔵王スキー場 入山届ボックスとトイレ

スキー場脇に立てられたピンクの建物が目印。この右側のゲレンデコースを登って行きます。

建物には登山届カードやトイレが併設。白石蔵王スキー場からは不忘山の周回ルートも組めるようになっていて、大半の人はそのコースになるかと思います。

自分ははるか先の蔵王温泉に下山となるので、もうここには戻ってこないです。

白石蔵王スキー場登山

6時半ごろに登山開始。まだ早朝の時間帯ですが、雲1つない青空で日差しが強烈。

おまけにこの最初のゲレンデ歩きが思いの外長くて、いきなり汗だくになる展開でした。 。

コースに関しては何となく踏み跡をたどっていけばわかるかと思います。何度かゲレンデが枝分かれしてますが、感覚としては向かって左上に進んでいく感じですかね。

白石蔵王スキー場 不忘山登山道入口

しばらくゲレンデを登っていくと、不忘山登山道入口に到着。小さいですが、入口脇には看板があるのでそれを目印に。

不忘山登山道

ここから本格的な登山開始。まずは樹林帯に入りますが、日差しが和らぐので体感的には楽になりました。

そして、いきなりピンクの花のお出迎え。

不忘山登山道のヤマツツジ

スタート早々、ヤマツツジが登山道わきに綺麗に咲いていました。

ツツジの群生はかなりの規模で、初見ではビックリするかもしれない。今回の登山はもともと不忘山のハクサンイチゲがお目当てで時期もそれに合わせたのですが、5月下旬から6月上旬にかけてはツツジも綺麗に咲く時期。

序盤から花を楽しめています。

白石蔵王スキー場登山道から見上げる不忘山

細かく書いていると全然進まないので、ここら辺は端折っていく。

地図に書かれていた白石女子高小屋跡というのは気づかずにスルー。弘法清水という場所も通り過ぎて、ようやく不忘山を視界に捉えたのがここ。

開始からここまでひたすら登りが続いてますが、本当にきつくなるのがここから先。

不忘山山頂までの急登

不忘山山頂まではご覧のような急登がしばらく続きます。距離的にはそこまで長くはないですが、朝の8時を過ぎてさらに気温が上がってきたので、ここら辺はペース落ちました。

今回の縦走の注意点が、刈田岳に行くまで途中に水場が一切ないこと。先ほどの弘法清水も名前的に水場っぽいですが、水の1滴もない場所なので、水は多めに。

不忘山のシラネアオイ

急登ですが、ここから高山植物が徐々に見れるようになってきます。

特に見逃せないのがシラネアオイ。紫色を綺麗に輝かせて咲いておりました。それほど花の数は多くなく、登山道わきにひっそりと咲いているので見逃さないように。

不忘山のヤマザクラ

ヤマザクラも綺麗に咲いていました。

桜については蔵王連峰の特徴なのか、これから歩く屏風岳周辺や終盤の地蔵山近辺でもたくさん見ることができました。

不忘山 日帰り登山

標高1500mあたりを超えると、早くも森林限界に出る。2000m行かずしてこの展望も東北ならではの魅力。

そしてここから高山植物ラッシュが始まる。

不忘山のハクサンイチゲ

いきなり姿を現してくれたのが、今回の縦走登山のお目当てでもあるハクサンイチゲ。まさに満開になりたてという頃合いだったので、純白な花を生き生きと咲かせていました。

白石蔵王スキー場から登る場合、山頂手前でもこのハクサンイチゲの大群生を見ることができます。

不忘山 カエル岩分岐

ハクサンイチゲのお花畑に感動しながら進んでいくと、岩が点在したポイントに到着。

不忘山のカエル岩

こちらが不忘山の名物、カエル岩

確かに良く見るとカエルのように見えなくもない。

不忘の碑

この巨岩は不忘山のシンボルとも言える不忘の碑

石に刻まれた文字を読んでみるとわかりますが、1945年の太平洋戦争の最中に、この地にアメリカ空軍の戦闘機が吹雪によって墜落した時の慰霊碑らしい。戦争の敵対国に対してこのような石碑を残すに至った経緯は良くわからないですが、色々と事情があるんでしょうね、きっと。

不忘の碑からの展望

不忘の碑からの展望。

さすが、東北の山。標高1500m程度でこれだけ開放的な眺めを用意してくれています。

不忘の碑から不忘山山頂へ

不忘の碑から山頂へ。最後まで登りは続きますが、ここら辺はもう展望を楽しみながら歩けるので、気分的には全然ラク。

不忘山から屏風岳への稜線

山頂に行きつく前に見えたのが、これから歩くことになる不忘山~屏風岳の稜線。

見てくだされ、このフラットで何とも身体に優しそうな稜線美!残雪のコントラストも綺麗で、気分がいっそう高まります。

不忘山 展望豊かな登山道

不忘山山頂までのビクトリーロード。ここら辺からお花畑も一層華々しくなってくる。

不忘山のハクサンイチゲの群生

ハクサンイチゲの群生も俄然勢いを増してくる。

事前に入手した情報では、稜線上に群生地があるって聞いてたけど、山頂直下の登山道もすごいことになってました。

不忘山のハクサンコザクラとイワカガミ

ハクサンコザクライワカガミ

ハクサンコザクラの群生も目を見張るものがあって、ハクサンイチゲと競い合うように咲いていました。

不忘山のミヤマキンバイ

黄色い花のミヤマキンバイ

花を見るのに立ったりかがんだりを繰り返すさなか、ふと立ちくらみしかけたのが確かここら辺。

不忘山山頂

不忘山山頂

こうして8時10分、不忘山山頂に到着。ややペース速めで登ってきたので、2時間かからなかったですが、ひたすら登り続きだったので結構疲れました。

太ももがプルプル言っているのは、おそらく花を見るために屈伸運動を繰り返したせいだ、きっと。

不忘山山頂から眺める屏風岳への稜線

ちょうどタイミングが良かったのか、山頂には誰もおらずに独り占め。

まず目に飛び込んでくるのは、これから歩くこの稜線!東北らしい緑豊かで雄大なシルエット、残雪のコントラストもたまらない。

不忘山山頂からの展望

こちらは登ってきた側とは反対の山形側の展望。

写真では良くわからないですが、はるか奥には真っ白く連なる東北アルプスの姿を発見。

不忘山からの飯豊連峰

いまだに雪がたっぷり残る飯豊連峰

6月にしては視界がクリアな日だったので、肉眼では飯豊山の姿を容易に捉えることができました。

不忘山山頂から宮城県側の展望

こちらは宮城県側の展望。

一般的に蔵王山と言えば刈田岳の火山風景がイメージとしてありますが、不忘山あたりの南蔵王の領域は緑豊かな森が広がる正反対の風景になっています。

不忘山山頂

誰もいない不忘山山頂でしばし休憩。南の福島側には吾妻連峰も見えたりと、360℃の展望が用意されている素晴らしい山頂でした。

比較的広いので、多少混んでも窮屈に感じることはなさそう。

不忘山から屏風岳へ

ここからいよいよ稜線歩き開始。見たところそこまで大きなアップダウンもないので、これなら高山植物を愛でながらゆっくり歩いて回れそう。

不忘山のハクサンイチゲの群生

稜線に入ってから再びハクサンイチゲの群生地に突入。

登山道のすぐ脇に咲いているので、じっくり見ることができます。

不忘山のハクサンコザクラの群生

ハクサンコザクラの規模もなかなかのもの。

1つ1つの花がちっこいので、ハクサンイチゲの脇で畏まって咲く姿が健気に見えます。

不忘山から刈田岳まで8km

刈田岳までは8kmの道のり。さらにその先の熊野岳~地蔵山まで行くとなると、まだまだ登山は序盤と言ったところ。

距離的にはかなりのロングルートになりますが、ここから先は高低差がそこまで激しいわけでもないので、そんなにビビる必要なし。

不忘山から屏風岳への稜線ハイク

少しだけ標高を下げて、次に目指す屏風岳までは登り返し。

高山植物で言うと、不忘山と屏風岳の鞍部にあたるこの辺りが一番の見どころポイントになっています。

不忘山登山 稜線のお花畑

不忘山 ハクサンイチゲの大群生

登山道の両脇に咲き乱れる色とりどりの高山植物。

不忘山のハクサンイチゲ

不忘山=ハクサンイチゲ、というのも良くわかる。ハクサンイチゲの群生が凄まじいことになっています。

不忘山稜線から西側の展望

切り立った稜線というわけでもなく、なだらかな斜面が広がるので危険個所も特になし。

遠目には並走するように聳える飯豊連峰。飯豊に負けず劣らず、蔵王山の懐も深く広い。

不忘山登山 稜線のお花畑

ここら辺からチラホラと前方から登山者がやってくる時間になってきました。

不忘山は自分みたく白山スキー場から登るルートの他に、この先の刈田峠から不忘山までを往復するルートがあります。高低差が少ない刈田峠ルートの方が人気あるのか、この先も次々と登山者とすれ違いました。

不忘山登山 ハクサンイチゲの大群生

蔵王連峰・不忘山

鞍部から振り返って見ると、不忘山がなかなか立派な形をしておったぞ。

剣ヶ峰とはいかないまでも、意外と突き出た峰の姿をしてました。

不忘山登山 ミヤマキンバイとハクサンイチゲ

不忘山登山 稜線のアップダウン

しばしお花畑を堪能しつつ、屏風岳の登り返しへ。ここは割と急斜面で、地面も滑りやすいので手すりが設置されていました。

ハクサンイチゲなどの群生はこの手前で終了となるので、しっかり見納めしておきましょう。

不忘山から眺める朝日連峰

稜線を北に進んでいくと、はるか前方に新たな雪山が見えてくる。

飯豊連峰と並んで東北のアルプスと称される朝日連峰昨年の秋に登った山で、あちらもまだまだたっぷりと雪が残っておりました。

蔵王連峰縦走 屏風岳への稜線登山

急斜面を登り切って、南屏風岳までは再び穏やかな稜線。

ここら辺まで来てしまうと足元のお花畑はなくなりますが、代わりの花が用意されています。

屏風岳稜線に咲くシャクナゲ

こちらのシャクナゲ

ここから先はしばらくシャクナゲゾーンで、登山道を彩ってました。

南屏風岳山頂

不忘山から40分ほどで南屏風岳に到着。

こちらも開けた山頂で広めなので居心地抜群。この先の屏風岳よりも展望に恵まれているので、休憩するならここがおすすめです。

南屏風岳山頂からの展望

南屏風岳から北側の展望。

ここに来て初めて蔵王の本丸とも言える刈田岳~熊野岳の火山帯が見えてきます。肉眼で見ると、あの部分だけ樹々がなく荒涼地となっているので、遠目からでも良く目立ちます。

距離的にはまだまだ離れている地点。

南屏風岳から眺める朝日連峰と月山

さらに奥を見つめると、朝日連峰と並んで月山の姿も見えました。若干わかりづらいけど、写真右の雪山が月山。

月山も去年の夏に登りに行った山。こうして眺めていると、東北って毎年頻繁に訪れてるんだな~と思った。

蔵王連峰 南屏風岳から刈田岳へ稜線登山

まだまだ続く稜線ハイク。

景色が横に広くて雄大なので、あまり稜線を歩いている感じはしないですが、ハイマツ帯の中に敷かれた一本道をひたすら進んでいきます。

ここら辺はフラットなので、ほとんど疲れ知らず。

南屏風岳から屏風岳へ稜線ハイク

草原風景の中にたまに背の高い樹に包まれることもありますが、これが冬には樹氷・スノーモンスターとなって登山者を出迎えてくれる存在になったりする。

6月でもなお雪が残る蔵王。

右に見える山が先ほどまでいた不忘山で、ここら辺は弧を描くように稜線が連なっています。

南屏風岳から屏風岳の稜線

湧き上がる雲が夏らしい風景。

照り付ける日差しが強烈なので、道が緩やかなのは本当に助かります。

屏風岳手前の白石蔵王スキー場分岐点

屏風岳の手前に白石蔵王スキー場へ下る分岐点があって、ここから下山することも可能。

スキー場を基点に登れば、こんな感じで周回ルートを組むことができるようになっています。

不忘山から屏風岳にかけて咲くヤマザクラ

屏風岳あたりで見応えあったのが再びヤマザクラ。

6月に桜というのも少し違和感ありますが、時期としてはハクサンイチゲと重なるようで、こちらも稜線上の至る所に咲いていました。(さらに言えば、ヤマザクラは最後の地蔵山付近もすごかったです)

蔵王連峰・屏風岳山頂

南屏風岳から30分ほどで屏風岳に到着。

桜の樹などが周りにあるので、展望に関しては先ほどの南屏風岳の方が恵まれていますが、こちらは山頂脇にベンチが用意されていました。

標高1825mの南蔵王の中では主峰とされる山で、実は宮城県の最高峰でもあります。

屏風岳から刈田岳へ稜線登山

屏風岳からはご覧のような石の階段をしばらく下っていく。

先ほどから写真では誰も写っていないですが、前方からは引っ切り無しに登山客がやってきます。

芝草平の湿原と木道路

石段を下ってたどり着いたのが、こちらの木道が敷かれた湿原地帯。

芝草平の湿原と木道

ここが芝草平という湿原。初夏にはチングルマが咲く湿原ですが、まだこのときはちょっと時期が早かったようで、特に花の姿は見れませんでした。

休憩スペースも用意されているので、一休みするにはちょうどいいポイントになっています。

蔵王連峰縦走登山 残雪

ここから先は割と残雪が多くて雪の上を歩くことも何度かありましたが、アイゼンを着けるほどではなかったです。

むしろ天然クーラーとなって涼しい風が来るので気持ちいい。

蔵王連峰 芝草平と屏風岳

蔵王連峰・杉ヶ峰

芝草平から1kmほど歩いて、杉ヶ峰に到着。

刈田岳までは残すところあと3km。

杉ヶ峰山頂からの展望

だいぶ火山帯が近づいてきた気がする。

ここからまた下り坂ですが、急激なアップダウンというのは少ないので、本当に優しい稜線。

杉ヶ峰から刈田岳への稜線ハイク

前山という登山道の途中にあるような山頂も通過。

これくらい平坦なら走っちゃうこともできそうだな~とか思っていたら、トレランの人が後ろから抜いていきました。

蔵王連峰・不忘山から刈田岳へ縦走登山

いよいよラストスパート。

ここまで来ると、刈田岳山頂まで続く有料道路・蔵王ハイラインまで見えるようになってきます。

鞍部の砂地の少し右に見える建物っぽいのが刈田峠避難小屋。特に立ち寄りませんでした。

不忘山登山口・刈田峠

こうして10時50分、刈田峠登山口に到着。

不忘山登山口・刈田峠駐車場

この道路は山形~宮城を横断する蔵王エコーライン。やや見えづらいですが、登山口から宮城県側に少し行った路肩に駐車場があって、車があればそこからスタートできます。ただ10台くらいしか止められないので、週末は争奪戦になるらしい。

不忘山登山口

不忘山登山道入り口はこの看板が目印。刈田峠登山口は標高1585mにあるので、ここからスタートすればそこまでの高低差なく、不忘山山頂を目指せます。ただ距離はそれなりにあるので、早出のスタートが良いかと。

不忘山登山口から眺める屏風岳

刈田峠からこれまで歩いてきた方面を振り返ってみる。

不忘山~屏風岳を経てここまで、いわゆる南蔵王と呼ばれる山域ですが、火山の面影はほとんどなく緑豊かでなだらかな山容をしていました。

刈田峠から刈田岳へ 縦走登山

不忘山登山だけであればここで終わりというところですが、この日の縦走はまだまだ続く。

刈田峠から登山道を登って刈田岳を目指します。

登山道は蔵王ハイラインを突っ切るような直登ルートなので、何度かこんな感じで道路と交錯しながら登って行きます。

刈田峠から刈田岳までの登山道

細い登山道を黙々と登って行く。

昼に差し掛かって夏日模様と化した炎天下、ほんの20分ほどの登りでしたがここが結構きつかったです……。楽々と山頂を目指す車にすがりたい思いでしたよ。。

刈田岳山頂

どうにか登山道を登り切って刈田岳山頂に到着。

先ほどまでとは打って変わって砂地の世界。そして目に飛び込んでくるのが、蔵王の名物↓

蔵王連峰・刈田岳の御釜

蔵王山の御釜

蔵王山の代名詞とも言える御釜。エメラルドグリーンに染まる池はあまりにも有名ですが、この目で見たのはこれが初めて。

いつも冬に訪れているもんで、凍結した御釜しか見たことがなく、ようやくお目にかかることができました。

刈田岳山頂の鳥居

刈田岳山頂の鳥居と神社。あれも冬に訪れてみたらまるで違う姿をしています。

冬の蔵王山 凍結してスノーモンスターと化す鳥居

2015/2/21 冬の蔵王登山 凍結してスノーモンスターと化す鳥居

刈田岳山頂

刈田岳山頂の標識。不忘山から3時間ほどかかりましたが、とりあえず無事にここまで来れました。

ここは車で簡単に来れるので登山者よりも観光客の方が多いくらい。汗だくになりながら登頂を果たしているのなんて自分くらいなもんでした……

刈田岳山頂からレストハウスへ

刈田岳まで来てしまえば、もうここは観光地。登山道というよりも遊歩道と言える整備された道が続きます。

いったん左に見えるレストハウスで休憩することに。

蔵王の御釜を見学する観光客

御釜を眺める人たち。

天気も良い週末ということで、たくさんの観光客が押し寄せてました。意外と海外の方も多かったです。

蔵王山頂レストハウス

蔵王山頂レストハウスに到着。クーラーが効いていて中は涼しく、トイレももちろんあります。

水場ではないけど、今回の縦走路で唯一水分補給ができるポイント。

蔵王山頂レストハウスの駐車場とバス停

有料道路にはなりますが、刈田岳山頂直下までは車で上がれるので、観光地として誰でも簡単に来れる場所になっています。

山形駅までの路線バスもあるのですが、登山をするとなると良い時間設定がないのがもったいない。ここで終わらず、熊野岳~地蔵山と歩いて蔵王温泉へと下山します。

蔵王山頂レストハウスで休憩

まだ先は長いのでしばし休憩。ここまでの縦走路で水の補給場所が一切なかったので、レストハウスがオアシスでした。

レストランもあるので食事も可能。

蔵王連峰縦走 刈田岳から熊野岳へ

一息ついて登山再開。お次は熊野岳を目指すわけですが、ここの道も広すぎる!一応「馬の背」と呼ばれる宮城県と山形県の県境を歩いているわけですが、稜線というよりも高原のような世界。

ここも雪がない時期に歩くのは初めてなので、とても新鮮な感覚で歩けます。どことなく立山連峰の室堂に似てますね。

蔵王連峰縦走 刈田岳から熊野岳までの稜線ハイク

御池周辺は遊歩道が敷かれているので、観光客も気軽に散策できるようになっています。

一時、蔵王の噴火レベルが上がった時はここら辺も入山規制がかかったようですが、今はレベルも下がったので普通に歩ける状態です。

蔵王連峰縦走 馬の背カルデラの火山注意看板

ただ、蔵王はいまだに活動を続けている活火山。いつ噴火するともわからない場所であることは確かで、登山道にはこういった注意書きが至る所に設置されています。

蔵王連峰・馬の背の稜線

あまりにも穏やかな風景なので、火山にいることを忘れてしまいそうだけど、そこら辺はあくまで自己責任で。

奥に見えている山が次に目指す熊野岳ですが、熊野岳自体も山というよりも丘に近い伸びやかな山容してます。

蔵王連峰縦走登山 エメラルドグリーンの御釜

馬の背から眺める御釜。

先ほどの刈田岳よりも近づいて見ることができます。入浴剤で着色したかのような、自然のものとは思えないエメラルドグリーンの池ですな。

馬の背から眺める刈田岳

馬の背から眺める刈田岳。距離はそこそこ離れていますが、平坦なのであっという間。

蔵王山にいたワンコ

散歩中のワンコも結構おりました。

前半のストイックに登りつめた不忘山に比べると、ここら辺は時間の流れがゆったりしているように感じた。

蔵王山・熊野岳 噴火避難方向指示の看板

噴火の注意書きと合わせて、もし噴火が発生した場合の避難方向が随所に記されています。

この矢印のお世話に頼る状況にはなりたくないですが……

蔵王連峰・熊野岳登山

熊野岳が今回の縦走で歩いた山の中では一番火山っぽい風貌をしています。

岩と砂の荒涼とした登山道。傍らには残雪もまだ残っています。

蔵王連峰 御釜

蔵王連峰・熊野岳山頂

蔵王連峰・熊野岳山頂の標識

こうして12時15分、熊野岳山頂に到着。丘のようにのっぺりした山容なだけあって、すごく広々とした山頂になっています。

この標高1841mの熊野岳が蔵王連峰の最高峰。先ほどの蔵王山頂レストハウスから1時間もかからず来れるし、山形側の蔵王温泉からはロープウェイを使っても登って来れるので、東北の日本百名山の中では比較的登頂が容易な山になっています。

熊野岳山頂からの展望

熊野岳から刈田岳方面。もう序盤に歩いた南蔵王の山々ははるか遠く。

結構な距離を歩いてきましたが、最初の不忘山以降は極端な高低差もないので、疲れよりも楽しさ先行で歩けています。

熊野岳から地蔵山へ

熊野岳から次に目指す地蔵山方面の展望。

ここからは緩やかに標高を下げていきます。

熊野岳から地蔵山までの登山道

ここも登山道が整備されていますが、中途半端に石が敷き詰められているので、道を外した方が歩きやすいっていう。

北アルプスの折立から太郎平へ向かう途中にも、確かこんな道ありましたね。

蔵王連峰・熊野岳登山

こちらから熊野岳を見てみると少し印象が違って、火山の主峰らしい切り立った岩壁を見ることができました。

蔵王山・地蔵山への登山道

地蔵山までの登りも緩やかな階段。

刈田岳に比べるとこちらはずいぶん静かでした。ロープウェイ方面から登ってくる人は思ったよりも少ないのかな。

蔵王山・地蔵山の木道

地蔵山の最後は木道路。ここも山頂とは思えないほど広々とした場所です。

蔵王山・地蔵山山頂

今回の縦走の最後のピーク、地蔵山に到着。

予定よりも早く着けたのでホッとしたのもありつつ、縦走終盤を迎えて少し寂しい気もしつつ。

地蔵山から蔵王ロープウェイ山頂駅へ

眼下に見えている建物が蔵王ロープウェイの山頂駅。夏場でも運行しているので、あそこまでロープウェイを使って登ってくることができます。(※運行日は要チェック)

蔵王ロープウェイ山頂の木道

蔵王ロープウェイ山頂駅まで降りる。

ここら辺も散策用の木道が設置されていて、周りにはヤマザクラが綺麗に咲いていました。

蔵王山・地蔵尊

ロープウェイ山頂駅のすぐ近くに祀られていた地蔵尊

地蔵山から樹氷原コースへ

標識が見上げるほど高い位置にあるので見えづらいですが、あれは冬場にあそこまで積雪があるから。そう考えると、どんだけ積もるんだよって感じですね。

ここからロープウェイに乗って下山もできますが、今回どうしてもこの先で行きたい場所があったので、もう少し歩き続けます。

夏の蔵王スキー場 樹氷原コース登山道

スキー場のゲレンデ標識に従って樹氷平コースへ。

冬場はゲレンデとなる斜面ですが、一応登山道にもなっていて道が続いています。

夏の蔵王スキー場

リフト2つ分くらい降りてきたところ。

夏のゲレンデを歩き回るって少し不思議な感覚。花も咲いていてのどかな景色だけど、それ以上に物凄く暑い……

スノーシーズンなら営業しているレストハウスとかも、当然今の時期は閉まっているので、日陰に逃げ込む場所がないです。

紅葉峠・中央ロープウェイ方面へ

目指しているのは標識にも書いてあるドッコ沼。

そこまで行くと、帰りは中央ロープウェイを使って下山できます。

蔵王山登山 ドッコ沼へ

途中、舗装路なども歩きつつ、ドッコ沼までの最後の下り坂。これが結構げんなりするポイントで、ロープウェイに乗るにはここを再び登って来ないといけません。

ゲレンデコースって登山道より倍くらい疲れるのってなんでだろ……

蔵王・ドッコ沼

途中かなり端折ったけど、やっとの思いでやってきたのがドッコ沼

すでに奥にチラッと見えていますが…

蔵王・ドッコ沼

エメラルドグリーンの美しい水が広がる場所。沼というよりも泉と言ってもいいくらい神秘的な雰囲気に包まれています。

蔵王連峰縦走登山 エメラルドグリーンのドッコ沼

特にこの時期は新緑に囲まれているので、余計に水が緑に見えてまさに絶景!

これが見たいがために、わざわざここまで歩いて下山してきました。紅葉も美しい場所と聞きますが、新緑のこの時期も素晴らしく綺麗な場所です。

美しいドッコ沼の水

水の透明度も高いので、御釜とはまた違ったエメラルドグリーンの色。

本当にここは一見の価値ありなので、ぜひともお勧めしたいところです。長き縦走の最後にも相応しい!

新緑のドッコ沼

池の周りの新緑も綺麗で、ロープウェイからも少し離れているので、穴場の場所かもしれません。

誰もいなく秘境感さえ感じられる癒しスポットでした。

ドッコ沼から中央ロープウェイへ

難点としては、帰りに再びゲレンデを登らなければいけないところ。

あと1点注意としては、ドッコ沼から蔵王スカイケーブルへの標識も出ていますが、スカイケーブルはロープウェイよりも夏の運行開始日が遅いので、営業状況は事前に調べておいてください。

6月上旬のこの日は、まだスカイケーブルは営業開始前でした。

蔵王中央ロープウェイ乗り場

こうして13時45分、蔵王中央ロープウェイに到着。今回の縦走のゴール地点に無事に来れました。

この中央ロープウェイも営業日は事前にチェックしておきましょう。ここまで来て運行してないってことになると詰むので。

蔵王スキー場が広いというのもあって、ロープウェイやケーブルカーも色々とあるので、そこもお間違いなく。

蔵王中央ロープウェイで下山

中央ロープウェイは山頂ロープウェイよりも安く、片道800円。20分間隔で運行していて、自分と同じ時間に乗ったのは、観光客と思われるマダムたちだけでした。

蔵王温泉 新左衛門の湯

下山後の温泉はロープウェイ乗り場の目の前にある新右衛門の湯へ。

時間もやや早めだったので空いていました。日帰り入浴700円、露天風呂の種類豊富、設備綺麗、ドライヤー・アメニティ充実、牛乳の自販機あり、隣の売店にソフトクリーム売ってる、申し分なしの温泉でした。

蔵王温泉バス停

蔵王温泉バスターミナルへ。ここはもうスタート地点の白石蔵王スキー場とは真逆の場所。宮城県から山形県へ突き抜けてきました。

公共交通で来ると、こういった全然別の場所に降りてこれるっていうのが一番の利点だと思います。本当に充実した縦走でした。

山形駅で食べた天ぷらそば

バスに乗って山形駅まで帰ってきて、締めの天ぷらそば。

下山後の自分に冷たいそばを食べさせたくなったら、季節はもう夏ですよ。美味しゅうございました。

こんな感じで、日帰りとしてはかなり欲張った蔵王連峰縦走登山が終了。

これまでの登山の中でも個人的にはかなり上位に入るほど楽しかった1日で、最初から最後まで飽きることのない山歩きができました。

もともとのメインは不忘山のハクサンイチゲでしたが、終わってみれば屏風岳の稜線や刈田岳の御釜、熊野岳の火山帯、神秘的なドッコ沼と、高山植物以外にも目白押しで、夏の蔵王もいいもんだなぁ~と心から思えました。冬の樹氷だけじゃないんだなと。

蔵王連峰縦走登山 御釜

今回のルート取りは公共交通利用でないと難しいですが、蔵王で長距離縦走がしたい場合には猛烈におすすめしたいコースなので、ぜひ機会があれば歩いてみてください。

6月の初夏らしい花に満ちた登山を楽しめつつ、稜線、湿原、火山、沼と目まぐるしく変化する蔵王の自然風景を大いに堪能することができます!

【日程】
2018年6月2日

【コースタイム】
6:20 白石蔵王スキー場
8:10 不忘山
9:20 屏風岳
10:50 刈田峠

11:15 刈田岳
12:15 熊野岳
12:45 地蔵山

13:30 ドッコ沼
13:45 蔵王中央ロープウェイ

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