中央アルプスの木曽駒ヶ岳へ年末締めの雪山登山に行ってきました。
ルートはいつも通りロープウェイを使って山頂までの往復。千畳敷カールの壮大な雪景色と、強風吹き荒れる稜線から眺める宝剣岳と三ノ沢岳の神々しい姿が絶景でした。
降雪直後ということもあって登山道はなかなかの積雪量。先行者のトレースがなかったらラッセル地獄と化してヤバかったかもしれません。
2024年12月30日【中央アルプス】木曽駒ヶ岳 登り納めの雪山登山
中央アルプスの主峰、木曽駒ヶ岳。標高2956mにして日本百名山の1つ。
雪山登山も含めて過去に何度も登っている慣れ親しんだ山で、ここで2024年の山納めをキメてきました。
これが今年最後の登山です。
やってきたのは菅の台バスセンター。
木曽駒ヶ岳ロープウェイ乗り場までは通年マイカー規制がかかっているので、ここからバスに乗る必要があります。
直近でここに訪れたのは大混雑した3年前の紅葉の千畳敷~空木岳縦走でしたが、今回も年末年始の貴重な晴れ間とあってまぁまぁな列が伸びていました。
前回と多く変わっていたのがチケットのバス・ロープウェイのチケットがオンライン購入できるようになっていたこと。
チケットの事前購入が可能になり、チケット販売時間を待つことなくバス待ちの列に並ぶことができたので非常に有難かったです。
始発便のバスにギリギリ乗車できて、そのままロープウェイも始発便で乗車。
こんな感じで最速のバス、ロープウェイを乗り継いでも冬の登山開始は9時過ぎになります。
9時10分にロープウェイ山頂駅の千畳敷に到着。すでに標高は2612m。
そこで目の当たりにする景色がこれよ!雄大な千畳敷カールがお出迎えしてくれます。
中央アルプス屈指の観光スポットにもなっている「千畳敷カール」。
四季折々の素晴らしい景気を見せてくれる場所ですが、冬の雪景色もとてつもなく美しいです。
前日まで雪が降っていましたが、すでに先行者がいてトレースがバッチリできていると知り、ほくそ笑みながらアイゼン装着やらの準備を始めます。トレース泥棒できるぞ、と。
千畳敷カールとは反対側には南アルプスの山なみを一望できます。
中央正面に顔を出している三角形の山が富士山。
あの富士山を遮るほどの高さを誇る南アルプスの山たち、やっぱりスケールが大きいです。
文明の利器を駆使してコースタイムが短いとはいえ、そこは3000m級のアルプスの雪山。
木曽駒ヶ岳もそう安易に登らせてくれる山ではないので、スタート地点の駒ヶ岳神社で安全祈願をして挑みます。
いざ、久しぶりに雪山フル装備で冬の千畳敷カールへ入山。
見ての通り、スタート早々から積雪量が半端ないことを知る。場所によっては腰くらいまでありました。
千畳敷カールへとアプローチしていきます。
しばらくは緩やかな道ですが、トレースを辿ると終盤がかなりの急斜面であることがわかります。あれが八丁坂。
あそこが本ルートで一番危険なポイントであり、滑落や雪崩要注意です。
八丁坂を目指して先行者が敷いてくれた登山道を進んで行きます。
このモフモフの雪をもたらしたのは2日前のこと。それで千畳敷カールも積雪量100cmを優に超えて、しっかりとした雪山になりました。
ここら辺は自分が先陣を切るのであれば、間違いなくスノーシューかワカンが必要なところですね。
横を眺めてみると素晴らしい雪山の山岳風景。
見えているのは中央アルプスのシンボルともいえる宝剣岳。あの宝剣岳は稜線に上がってからも絶大な存在感を放つ山です。
手前の小枝にも前夜の霧氷が残って輝いておりました。
急斜面の区間に突入。
積雪量はこんな感じで、トレースがなければ腰下ラッセル必死な状況。
先人たちが切り開いた道を有難く使わせてもらいながらラッセル泥棒のわたくしめが登って行きます。
八丁坂に突入。なかなかの傾斜です。
特にこの右に見える尖った岩のあたりが斜度が最もきつくて、雪崩ポイントでもあるので早めに通過したいところ。
とはいえ急登なので一気には登れず、小休止しながら進んで行く。久しぶりの冬山登山靴とアイゼンが重くてヒィヒィしますが、辺りの景色はもう最高の一言。
アルプスらしい美しい雪景色が目の前に広がっています。
稜線に出るまでが勝負所。
ここら辺は本当に急斜面で、上から見下ろすとかなりの斜度というのが感じ取れます。
実際、ここは登りよりも下りの方が個人的には怖い区間。数時間後にへっぴり腰になって下りましたよ……
八丁坂を登りきった先が乗越浄土。
写真では当然伝わらないですが、ここにきて強風が一気に吹き荒れて、体感温度が一気に低下しました。バラクラバもして顔を完全防備。
視線を右に向けると伊那前岳方面の稜線の向こうに蓼科山や浅間山が見えました。
あちらも前日まで降雪があったようで白く輝いています。
登りきった先に見えるのが数軒の山小屋。
正面に見えている青屋根は宝剣山荘で、冬場も泊まれるようで営業していました。(※小屋の中で休憩する場合は有料)
稜線に立ってから強風が吹き荒れてきたので、サクッと木曽駒ヶ岳山頂へアタック。
正面に見えている山は中岳で、あの奥に山頂があります。
そしてこの稜線に立って最初の絶景が南西の方角の景色。
三角形の鋭利な山容の三ノ沢岳。
あの山は積雪期に一度登ったことがありますが、本当に素晴らしい山でした。見て良し、登って良しの中央アルプスの穴場な名峰だと思っています。
そしてもう1つ忘れてならないのは宝剣岳。
あの尖がった鋭利なシルエットがここでは随一の存在感!
何度見てもカッコいいです。
そんな展望を見ながら中岳に到着。
木曽駒ヶ岳アタックまでの中継地点ですが、標高は2925mという立派な山です。
ここからの眺めがもう最高!
余裕があればじっくりと眺めを楽しみたい場所ですが、あいにく強風が吹き荒れているので手短に済ませるしかないのが惜しいところ。本当に寒かった……。
ただこんなコンディションだからこそ、波打つ雲海をまとう宝剣岳と三ノ沢岳の姿が一層神々しく見えました。
木曽駒ヶ岳山頂はあちら。左奥に見えているのは御嶽山です。
いったん下っての登り返しですが、ここも風が吹き荒れててしんどいポイントでした。
眼下に見えている雪に埋まった山小屋は頂上山荘ですが、冬季は営業していなく中にも入れないので頼ることはできません。
ここら辺にきて体感的には強風を通り越して暴風領域。
つま先から頭のてっぺんまでフル防備しているはずなのに巻き上げられる氷の粒が痛く感じました。
強風に耐えながら突き進む。
下ってくる登山者がちょうどよろけてくれて強風演出に一役買ってくれてました。
ここら辺はガスったり晴れたりの繰り返し。
雲の流れが目まぐるしく、その雲を纏う宝剣岳と三ノ沢岳が本当に美しくて視界が晴れては後ろを振り返ってカメラのシャッターを連打してました。
これはこれで晴天下では見れない貴重な景色だと自己満足。
こうして木曽駒ヶ岳に到着。
風は依然やまず、ひたすら強風が吹き荒れております。
まず目が行ったのは西側の御嶽山の展望。
距離的にも近くて、雪をかぶったその独立峰の存在感が別格でした。
こちらは北側の展望。
北アルプスはややガスっていたものの、正面に見える将棋頭山の稜線や右奥に見えている八ヶ岳の雪景色が綺麗でした。
山頂の鳥居も凍結して、スノーモンスターのようになっていました。
蔵王のあの鳥居を思い浮かべてしまいます。
あまりに風が強かったので、すぐに下山開始。
ほとばしるように波打つ雲海が怖くもあり美しい景色です。
三ノ沢岳が中央アルプスの稜線から突き出た形で独立しているので、こういう山頂部だけが見える状況では存在感が際立ちます。
過酷な状況ですが、こういう景色もいいですね。
完全にホワイトアウトした状態で来た道を戻る。
風も強くてこれが一人だったら心細いですが、行き交う人が多いのが安心材料。たくさんの人が登っていました。
乗越浄土まで戻ってくると再び晴れたので、伊那前岳方面へ少し寄り道。
あの尖がった峰が山頂、、、というわけではありません。
振り返って眺めてみる宝剣岳。
やはりこの界隈での存在感は別格です。
突き出たピークが伊那前岳手前の2911峰。
伊那前岳はここからさらに稜線を進んで、少し下った先。写真の右奥辺りの山です。
展望が最高の稜線ですが、暴風が吹き荒れてたのでここで引き返すことにしました。八ヶ岳や富士山、南アルプスが良く見えるポイントなので時間があれば寄り道してみてください。
圧巻はやっぱりこちら側の景色。
宝剣岳から南へと続く中央アルプスの稜線風景。左奥に見えているのは空木岳あたりか。
アルプスらしい雪の壮大な風景が最高でした。
帰り際、宝剣岳の天辺を見ると登山者が一人立っていました。
この雪と強風のコンディションで登頂とはやりおる。
乗越浄土から千畳敷カールへと下山。
登りが大変な急登でしたが、下りも下りで大変。
かなりの急斜面なので滑落しないようにお気を付けください。昼を過ぎたこの時間でも登ってくる人がいて、すれ違いも要注意です。
平らなところまで下りて来れば一安心。
ここら辺の積雪量はやっぱりすごくて、スノーシュー持ってきたらバフバフ遊べそうでした。
傍らでラッセル練習している人もいましたね。
こうして往復4時間程度のトレッキングで千畳敷駅へと戻ってきました。
ロープウェイ乗り場に併設されているのはホテル千畳敷。通年営業しているので、冬の雪山シーズンでも泊まることが可能です。
宝剣岳の標識と千畳敷カールという、お馴染みの風景を目に焼き付けて終了。
もう何度見たか、この日も何度同じ写真を撮ったかわからない絵ですが、やはり素晴らしい景色でした。
その後、ロープウェイとバスで下山して「早太郎温泉郷・露天こぶしの湯」へ。
中央アルプス登山後の日帰り温泉と言えばやっぱりここになります。
帰りにご当地グルメのソースカツ丼を食して完パケです。
お疲れさまでした。
こうして2024年最後の登山が中央アルプス・木曽駒ヶ岳で終了。
年末でもしっかりと雪があって、久しぶりに本格的な冬山登山が楽しめました。
千畳敷カールの眺めはもちろん良かったですが、強風の稜線の中で見た雲をまとう宝剣岳、三ノ沢岳がこの日一押しの景色!過酷でしたが良いもの見れました。
来年もいろいろと登りに行きたいと思います。
皆様、良いお年をお迎えください。ありがとうございました。
【日程】
2024年12月30日
【コースタイム】
9:10 千畳敷駅
10:40 乗越浄土
11:00 中岳
11:20 木曽駒ヶ岳
12:30 2911峰
12:45 乗越浄土
13:30 千畳敷駅
コメント