北アルプスの乗鞍岳へ登ってきました。
標高3026mある日本百名山の1つですが、標高2700mの乗鞍畳平までバスで行けてしまうので、最も簡単に登れる3000m峰とも言われている乗鞍岳。
今回は登りはバスを使わずに、標高1800mほどの三本滝レストハウスから登るルートで行ってきました。
滝や草紅葉、火山帯の稜線や雲海、美しい池など、景色の変化に富んだコースでなかなか面白かったです。バスを使う人が嫌な方は、このコースはお勧めかもしれません。
2020年のシルバーウィークは北アルプスの乗鞍岳へ。
標高3000mを超える山ですが、山頂近くまでバスが通っているので、半ば観光地化されている山。
日帰りで登れる北アルプスで、なおかつ空いていそうな山を探していたところ、バスを使わない三本滝コースを思いつきました。ここだったら、駐車場も空いてそうだし。
山頂は行列もできていてかなりの混雑っぷりでしたが、登山道自体は空いていて結構快適に登れました。
それと、下山後に立ち寄った白骨温泉。ここの野天風呂が最高に気持ち良かったです。
2020年9月21日【北アルプス】乗鞍岳(三本滝コース)
スタート地点は標高1800m地点にある三本滝レストハウス。乗鞍エコーラインにあるレストラン併設の駐車場ですが、ここまではシーズン中もマイカーで入ることができます。
三本滝から上はマイカー規制区間。バスに乗り換える必要があります。
早朝の三本滝レストハウス。
まだ店は営業していなかったですが、外のトイレは使えました。自販機もあります。
駐車場は割と広く、6時時点ではまだ空きもありました。
意外と多いな、と思ってましたが、良く見たら半分近くは自転車勢。登山者の中にもバス停に並んで上を目指す人たちが結構いました。
なのでここから歩いて登ろうという人は意外と少なめだった気がします。
レストハウス脇のこちらが登山道入り口。
明るくなった6時過ぎに出発しました。
まず最初は、コース名にもなっている三本滝という景勝地があるので、そちらに寄り道。
標識に沿って整備された道を歩いて行くと、豪快に流れる沢沿いに出ます。
この階段と橋を渡っていけば三本滝。登山口から15分ほどでした。
こちらが乗鞍岳の麓にある三本滝。日本の滝百選にも選ばれている県内名勝の1つです。
その名の通り、三本の滝が流れているのですが、写真に映っているのは右側の滝と真ん中の滝。
左側の滝はやや水量少な目。前日までの降雨量によってその見栄えがだいぶ変化するようです。
水源の違う三本の滝がここで合流し、1本の川となって麓へ流れていきます。
三本滝の見学が終了したら登山道に復帰して乗鞍岳山頂方面へ。
このルートは7月の大雨で一時的に閉鎖されていたのですが、9月21日時点では復旧して通れるようになっていました。
部分的に大雨による崩壊の面影が残っていたものの、全体的にはよく整備されていて歩きやすかったです。
しばらくは樹林帯の中を進んで行きますが、時折林道と交錯して道路を歩いて行くシーンもあります。
ここはマイカー規制がかかっていますが、自転車は通れるようになっていて、シーズン中はサイクリングロードとしてなかなか人気な模様。
追い抜いていく自転車、多かったです。
所々、こんな感じで登山道への復帰ポイントがあるので見逃さないように。林道をひたすら突き進んでももちろん上に行けますが、登山道歩いたほうがだいぶショートカットできます。
植物のことなんて全然詳しくないので、この時期に見れる赤い実は全部ナナカマドだと思っている。
秋が近づいてきたなぁ~としみじみ。
倒木こそたまにあるものの、木道なんかも整備されていて、三本滝ルートは思っていた以上にしっかりしていました。
藪漕ぎ箇所なんて皆無で、道も最初から最後まで明瞭。ここならナイトハイクでも問題なさそう。
エコーラインのヘアピンカーブ。
ここを自転車で下ったらさぞ気持ち良いだろうなぁ~とずっと思いながら登ってた。
下山だけ自転車レンタルしたい……
朝の8時、冷泉小屋に到着。
現在休業中ですが、ホームページを見たら新しく再生させるためのプロジェクトが始動しているようです。
その冷泉小屋から15分ほどで位ヶ原山荘に到着。
こちらは絶賛営業中で、私も5年前の雪山登山の時に宿泊したことがあります。夕食のシカ鍋が凄く美味しかった記憶あり。
この時点で標高2350m。まだ高度的には半分も登っていないですが、ここら辺から徐々に眺めも良くなってきます。
目指す山頂の火山帯もすでに見えてる。
途中、観光客を乗せたアルピコバスが連続して10台も追い抜いて行ったので、今ごろ上は大混雑。10台ってどんだけ客を乗せたんだ……。
振り返って見ると、左後方に穂高連峰が見えました。
今年のシルバーウィークは4連休でしたが、アルプス界隈は2日目まで天気悪かったので、今日から登り始めている人が多そう。
後々知りましたが、この日の上高地は相当混んでいたようです。
ここら辺からようやく火山っぽい登山道になってくる。
今年は紅葉が少し遅めですが、標高3000mが近づいてくると赤みがかっている樹々もちらほらありました。
足元にはチングルマの穂も。
なるほど、秋だ。
登山道からの展望。
一応北アルプスに属してはいますが、他の連峰からは独立しているような乗鞍岳。単体で大きく、懐も深い。
これが一面紅葉したら凄いことになりそう。
だいぶ山頂が近づいてきた。
林道に出てバスに追い越されるたびに、アルプスの登山感が失われていきますが、この観光地化された北アルプスこそ乗鞍岳。割り切るしかない。
さらに上に行けば、普段着で登っている人なんてたくさんいます。
乗鞍岳から眺める北アルプス。
写真の左奥、穂高連峰のさらに向こうには槍ヶ岳も見えました。
登山道から眺める乗鞍岳(剣ヶ峰)。
ここからの白い山肌は綺麗でした。まだ周りに人もいなくて、一番山岳感あったところだったかもしれない。
紹介遅くなったけど、前を歩いているのは久しぶりのまさき先生です。
林道と交錯する最後の地点、肩の小屋口に到着。
右に見えている小屋はトイレです。ここにもバス停があって、観光客の中にはここで降りて山頂を目指す人もいます。
なので、ここから一気に賑やかになる。
肩の小屋口から眺める乗鞍岳の山頂。
目の前のカール地形には夏でも大雪渓が残る場所ですが、流石に9月中旬にもなれば雪はほとんど残っていませんでした。
夏に訪れると、この大雪渓で夏スキーしている人もいます。
一気に人が増えた登山道を登っていく。
正面に見える建物が肩の小屋です。
肩の小屋が近づいてくると、登山道脇には草紅葉が目立つようになりました。
朝晩はだいぶ冷え込むようになったので、ここからは色づきも早そうです。最近自宅でも、シャワーだけで済ませずにしっかりとお湯に浸かりたくなってきた。
9時40分、肩の小屋に到着。
小屋の前は広場になっていて、ベンチもあるので良い休憩ポイントになっています。
ここで山頂バス停の畳平ルートと合流するので、雰囲気としてはもう観光地。
軽く休憩。
観光客に入り混じってますが、何だかんだスタートから標高差1000mは登ってきたので、まぁまぁな歩き応え。
思えば標高3000mを超えるのは、これが今年初めてでした。
肩の小屋から山頂の剣ヶ峰目指して登っていく。
山頂付近は晴れたりガスったりの繰り返し。
おかしい、晴れ予報のはずだったんだが……
後ろを振り返ると御覧のような登山者の列。
まだ朝の10時前ですが、畳平バス停から山頂までは1時間半もあれば登頂できてしまうので、すでに下山している人も多かったです。
目線の高さに浮かぶ雲。
あのガスが来ないうちに登頂したいけど、ここから先は登山者が多いのでそうもいかない。
渋滞とまでは行かないものの、前の人たちのペースに合わせて1列になって登っていく。晴れた日のシルバーウィークじゃ、こうなるわな。
家族連れも多く、チビッ子たちも頑張って登ってましたよ。自分が初めて標高3000mを超えたのは大学生の時だっていうのに、おチビたちはすごいのぅ。
稜線に出ると1つの絶景が待っていて、それがこちらの池。
権現池という剣ヶ峰の懐に広がっている、乗鞍岳の見どころポイントの1つです。良く見ると透き通ったブルーでなかなか綺麗。
ここから山頂までは稜線を伝ってすぐ。
行列に従ってのんびり歩いてきたので、あいにくガスってきてしまいました。
稜線の西側は晴れていて、ブルーな池と雲海が素晴らしく綺麗。
池を取り囲むようにお鉢が巡っていますが、あいにくあちらは登山ルートがなく立ち入り禁止になっています。
山頂直下に建つのが頂上小屋。
トイレもなく売店のみの営業ですが、この小屋限定品のアイテムも売られています。登山バッチも売ってますが、山頂に立つ奥ノ院の社でも買うことができます。
そしてもうすぐ山頂というところで、列が止まった。
山頂標識との記念撮影待ちのようです。こればかりは仕方ないのでゆっくり待つ。
山で並んだのなんて久しぶりだったかも。密ですね。
並んでいる間は記念撮影者を凝視する形になるので、どことなくみんなポーズが控えめな気がする。
待っている間は退屈でしたが、ガスが取れてきて青空が見えてきたので、結果オーライと思うことにします。
こうして10時40分に乗鞍岳・剣ヶ峰に到着。人生3度目の登頂です。
山頂の列は結局15分ほどの待ちでした。案外早かった。
山頂からの稜線風景。雲が多いけど、山頂部だけはどうにか雲の上に顔を出せていました。
……というか、後ろの行列すげぇ。さっきよりはるかに長くなってる。
山頂になる乗鞍本宮頂上本殿。
ここでも登山バッチが売られていました。頂上本殿限定品だったかは見なかった。
光の加減によって色彩を変える池が美しい。
火山にある池や湖って、どこも本当に綺麗ですね。
山頂はどんどん人が押し寄せてくるので、さっさと下山。
稜線に沿って登ってきた道を引き返していきます。
何だかんだ晴れてくれた乗鞍岳。
朝晩は寒くなってきましたが、陽が出てしまえば標高3000mでもまだ半袖でいられるほど暖かかったです。
向こうの山の上に見える建物は(太陽の方の)コロナ観測所。
一般の人は立ち入りできないので、残念ながらあちらの山には登れません。
下山も途中は20人くらいの即席パーティーになって1列で下山。
肩の小屋に戻ってきたのは11時30分頃でした。
肩の小屋から眺める乗鞍岳・剣ヶ峰。
やはり草紅葉が綺麗。
肩の小屋の登山バッチは種類豊富。
あんまり種類が多すぎてもなぁ~という気がするけど、これも観光地ならではなんですかね。
北アルプス界隈はいつでも来れると思っているので、いまだに登山バッチは買ったことがないです。
ここからは遊歩道を歩いて畳平方面へ。
こちらにも乗鞍岳の見どころポイントがあります。
振り返って見る乗鞍岳・剣ヶ峰。
すっかり晴れた。
畳平の方にやってくると、小さい山々がポコポコとたくさん見えてきます。
そして新たな池も。
登れる山というのは限られていますが、この富士見岳は遊歩道から短時間で登れます。
眺めもいいので時間があればぜひ登ってほしいところ。
真横の山岳風景を眺めながら登っていく。
眼下にある池は不消ヶ池(きえずがいけ)。山頂にあった権現池とはまた違う、エメラルドグリーン色の池でした。
反対側の山は不動岳ですが、登山ルートがなく立ち入り禁止になっています。
乗鞍岳にもライチョウはいるんだけど、この日は残念ながら会えませんでした。
標高2818mの富士見岳に到着。
ここからだと剣ヶ峰の尖がりっぷりが良くわかります。
こちらが乗鞍岳・畳平。立山で言うところの室堂のような場所。
眼下に見える開けた場所がバスターミナル。建物がたくさん見えますが、レストハウスの他にも宿泊施設や神社、郵便局なんかもあります。
下に見える小高い丘は大黒岳。あの山も登ることができますが、今回はパスしました。
ここら辺も遊歩道さえ開拓されてなければ、3000m級のアルプスの山岳風景なんでしょうね。白砂の稜線が綺麗でした。
富士見岳から眺める乗鞍岳の山頂・剣ヶ峰と不消ヶ池。
時刻は12時15分。13時5分のバスに間に合いそうだったので、下山は畳平からバスを使うことにしました。
三本滝ルートを登る人が下山だけバスを使う理由が良くわかったわ。ここまで来てしまうと、確かに歩いて帰る気になれない(笑)
そんなわけで畳平へ下山。ここから見ると、どことなく建物がジオラマっぽく見える。
右に見える池は鶴ヶ池。池の色で言ったら、この鶴ヶ池が一番鮮やかで綺麗に見えました。
12時25分、畳平に下山完了。
ここに来るのは実に8年ぶり。登山を始めて間もない頃やってきた、懐かしい場所です。
バス出発の時刻までまだ30分以上ありますが、御覧のような長蛇の列ができていました。100人近くいるんじゃなかろうか。
その登山者を全員乗せるだけのバスが待機していました。
書き入れ時ということで、臨時便もフル稼働。13時台の便は10台くらい出していました。
畳平のレストハウス。
乗車券売り場は中ですが、この日は列に並んで係の人から買うシステムでした。三本滝まで片道1650円。
ほとんどの人は往復チケットをあらかじめ買っているようで、下山だけバス使うという人は全然いなかったです。
こうしてバスに乗って13時45分に三本滝レストハウスに戻ってきました。
駐車場は満員御礼。まだ昼過ぎということで、自転車の人がたくさんいました。
下山後の温泉は、乗鞍岳の麓にある有名な温泉街「白骨温泉」へ。
前から名前だけは知っていましたが、来たのは今回が初めてです。温泉宿はたくさんありますが、14時過ぎで日帰り入浴を受け付けているところはそう多くはないです。
あと、駐車場がめちゃくちゃ混んでた。何とかギリギリ空いてるスペースに入れられました。
やってきたのは、こちらの公共野天風呂。日帰り入浴は16時まで受け付けています。
……が、ここもかなり混雑してました。
入場規制していましたが、他に選択肢があまりなかったので待つことに。1時間待ちと言われましたが、実際は40分くらいで入れました。
日帰り入浴520円、露天風呂はまぁまぁ広くて男女別です。(白骨温泉は大半が混浴露天風呂)。
待った甲斐あって、ここの露天風呂は最高に気持ちよかった。「これぞ温泉」というにごり湯が良かったです。
下山後は松本インター近くまで戻って夕食。
このインター近くにある「ものぐさ太郎」、旨くて好き。
ボリュームある山賊焼き定食頂きました。
PayPayのキャンペーン中で30%戻ってきたのも良かった。ごちそうさまでした。
これにて乗鞍岳登山も終了。
三本滝ルートは今回初めて登りましたが、登山道は思っていた以上に整備されていて歩きやすかったです。
どうしてもエコーラインと並走するように登っていくので、途中に林道歩きがあったりバスに抜かされたりと、北アルプスの山岳感はやや物足りない気もしますが、残念ながらシーズン中の乗鞍岳とはそういうもんです。
バスを使わないルートとしては、少し長丁場になりますが平湯温泉から登るコースもあります。
三本滝ルート、バスを使わずに自分の足で乗鞍岳に登りたいという人にはお勧めです。合わせて白骨温泉も!
9月下旬からはいよいよ紅葉も本格的に始まるので、次に乗鞍岳に登る機会がある場合も三本滝ルートを使いたいと思います。
乗鞍岳を終えて、翌日は八ヶ岳エリアへ。
続く……
コメント
みやっちさん
こんにちは。
乗鞍岳は、下から登っていけるルートがあるのですね!
それだと登山したという充実感が味わえて良いですね(^^♪
しかし、まぁ、すごい人だったのですね、びっくりしました。
今年8月に奥穂に行ったんですけど、人が少なくガラガラで、いつもだったら渋滞しているであろう岩場の道もノーストレスで行けたので良かったのですが、今年はコロナで皆来ないのかと思っていたら、、、人出は戻ったのですね。
また次の記事楽しみにしています!
ゆかぽんさん、こんばんは。
そうなんですよ。三本滝から登るルートであれば、バス待ちのストレスからも開放されて自由に登り下りできます。
途中途中で林道歩きがあるのが少し雰囲気崩れますが、登山道自体はよく整備されていて歩きやすかったです。乗鞍岳を自分の足で登りたい方にとってはお勧めかと思います。
シルバーウィークの1日目と2日目が天気悪かったので、3日目に集中したのかもしれませんね。これからは紅葉シーズン突入なので、晴れた日の週末はまだまだ混雑しそうです。