3月にお勧めしたい登山。
高い山にはまだ雪がたっぷり積もる中でも、徐々に春の兆しが垣間見える季節。厳冬期に比べると天候も安定してきて、低山では花の開花も始まり……。
徐々に選択肢も増えてくる季節になります。
雪山に春の低山ハイキング、主に関東近郊の過去に登った3月のお勧め登山のご紹介。
山の世界において、3月を冬と言っていいのか春と言っていいのかは迷うところですが、アルプスなどの高山でも徐々に天候が安定してきて登りやすい時期になってきます。
特に日本海側は晴天率も上がって、山に行けるチャンスが増えてくるのも3月。
標高の高い山では残雪登山。反対に近場の低山などでは早くも花が咲きだして、春の息吹を感じられたり。
雪あり、雪なし、選択肢が多い分、3月の登山は色々と悩んだりもします。過去に登った山も、振り返ってみたら結構バリエーションに富んでました。
【北アルプス】唐松岳/八方尾根
2014/3/22-23 唐松岳(北アルプス) 八方池山荘泊の雪山登山
3月になると、特に日本海側の天気が安定してくる季節。
そうなってくると雪山に慣れ親しんでいる人にとって登りたくなるのが北アルプス。中でもお勧めしたいのが、まずはやっぱり唐松岳。登山雑誌でも良く紹介される、冬の北アルプス屈指の人気を誇る雪山です。
流石の豪雪山域とあって、3月でも雪はたっぷり。むしろ一番多い季節かもしれません。唐松岳は白馬八方スキー場のゴンドラとリフトを利用できるので、比較的標高の高いところからスタートできます。そういうのもあって、北アルプスの中では比較的冬でも登りやすいとして紹介されているんでしょうね。
ここの凄いところはスタート早々からすでに絶景が広がっているところ。目の前にそびえる白馬三山の雪景色なんて、もう絶景ですよ!これがゴンドラとリフト使って簡単に見れるんだから、もう贅沢なロケーションです。
視線を南側に向ければ五竜岳や鹿島槍ヶ岳も一望!唐松岳山頂まで行かずとも、白馬八方尾根の散策だけでも十分すぎる景色が広がっています。
白馬八方尾根であれば、初めてのスノーシューハイクとしてもいいかもしれません。実際、私も最初に訪れた時は唐松岳山頂までは行かずに八方尾根のスノーシューハイクで景色を楽しみました。
白馬八方尾根に心奪われた方には、ぜひともお隣の遠見尾根もおすすめ。ここも五竜スキー場のゴンドラとリフトを使えて、なおかつ正面には五竜岳、すぐ左手には鹿島槍ヶ岳の絶景を望める極楽の雪の尾根が待っています。
八方尾根と遠見尾根、どちらも好きなので今後も登りに行きたいです。
【新潟】守門岳
新潟界隈の山も3月に入って登りやすくなる山域の1つです。ここも2月に比べると晴れの日が多くなってくるので、結構ねらい目。
中でもお勧めしたいのが、雪庇(せっぴ)で有名な守門岳。
「東洋一」とも称されるほどの大雪庇が待っている冬の守門岳。人と照らし合わせると、その巨大さは一目瞭然。本当に圧巻の光景!
厳冬期の凍てつく過酷な環境を一目で感じ取れる自然の芸術品です。
4年前に一度しか訪れていない山ですが、本当に感動したのを覚えています。位置的に周囲が豪雪の山ばかりなので、もうどこもかしこも真っ白。雪庇はもちろん、展望としても素晴らしい山です。
ただ、大雪庇があるが故に稜線に着いてからの立ち位置は慎重に。自分の立っている場所が雪庇の上なんてこともありえるので、深入りはしないように。
こちらの写真を見てもらうとわかりますが、右の足跡のラインは完全にアウトです。底がない雪の上を思いっきり歩いています。 (もしかしたら動物のものかもしれんけど……)
守門岳ほどの分厚い雪庇だから耐えてますが、いつ崩壊してもおかしくはない状況。実際にその場に立つと、どこまでが地面なのか本当にわからないのでくれぐれも慎重に。
【鳥取】伯耆大山
天候が安定してくる日本海側。そういう意味では伯耆大山も含まれます。
鳥取県ですがここも立派な雪山。西日本と言って舐めていると痛い目に合うほどの雪景色が待っています。
自分が登ったのはもう6年前ですが、この時はたまたま前日に降雪があったおかげで見事な樹氷まで見ることができました。
これはもうタイミング次第ですが、尾根を登っていくと徐々に伯耆大山の大岩壁(北壁)が迫ってくるので、1歩登るごとに迫力も増してきます。
そして何よりも稜線に着いてからのこの雪景色よ!この絵だけ切り取ったらアルプスの高山に引けを取らないほどのインパクトがあります。タイミング良く雲海も広がってくれていたおかげで、自分が高みにいるかのようなえらい高揚感を与えてくれました。
この山の凄いところはすぐ目の前に海が広がっているというところ。雪山にいながらこれほど近くに海が見れる山なんて早々ないと思います。
雲海の向こうに、本当の海。なんか不思議な感じでした。
初見でこの絶好のタイミングで登れてしまったので、次に行くときのハードルがかなり高い状況ではありますが、ここも時間があればまた行きたい山ではあります。
登山口までバスも出ているので、公共交通機関でアクセス可能です。
【新潟】日向倉山
雪山としては最後の紹介になりますが、冬の時期しか登れない山というのも日本にはいくつか存在します。普段は藪や樹々が邪魔をして登山道がなく、雪が積もっている期間だけ歩けるような。
その1つがこの日向倉山。
冬しか登れない山というのは一般的に登山道が通っていないので、GPSなんかを頼りに自分でルート開拓する必要がありますが、この日向倉山に限って言えば道は比較的わかりやすいです。
取り付いた尾根を登って稜線についたらあとは山頂まで直進というシンプルなもの。
日向倉山のいいところは人が少ないところ。そして何よりも周囲の展望!
越後駒ヶ岳や八海山、さらに北の方には飯豊連峰など。新潟界隈の名峰を一望できる絶好のロケーションです。
残雪期限定の雪山登山。「もう人が歩いたトレースを辿るなんて物足りねぇよ」って方にはぜひともお勧めしたい山です。
【丹沢】大山~不動尻のミツマタ
2020/3/20【丹沢】大山~不動尻のミツマタ群生 日帰り登山
ここからは雪なしの春の花の山へ。まず紹介するのは去年登った丹沢の大山。首都圏在住で登山にある程度慣れ親しんだ人なら「何をいまさら大山」って思うかもしれませんが、3月のこの時期は他では見れない絶景が待っています。
それがこのミツマタの大群生。文字通り「大」が付くほどの規模で広がっています。初見で見た時は本当に驚きました。
もう畑!栽培してるんじゃないかってくらい。そこら中に黄色いホワホワが花咲かせてます。
3月は残雪登山に忙しい時期かもしれませんが、こういう近場の低山に足を運んでみると早くも春を感じられていいもんです。
去年はこの前後で雪山に登っていたので、このミツマタが余計に緊張感からも開放されてリフレッシュできた景色でもありました。
大山からの富士山。富士山も例年であれば3月は雪がたっぷりと積もっている季節なので、その展望も余計輝かしく感じられます。
登山道も全体的によく整備されているので、誰にでもお勧めしたいハイキングコースです。
【栃木】三毳山
3月の花の登山で外せないのが三毳山。ここは3月中旬以降になるとカタクリの群生地となります。
とにかく規模が凄まじいです。健気な紫の花がそこら中に咲く様は圧巻!人気が出るのも良くわかりました。
このカタクリの群生は三毳山の麓に広がっているので、山に登らずとも見ることができます。観光客でも歩きやすいように道もしっかりと整備されているので、カタクリだけ見るのも全然OK。
平日でも結構人がいました。
公共交通で行く場合は、佐野アウトレット行きの高速バス(マロニエ号)がかなり使えるので、ぜひ参考にしてほしいです。
登山口行きというわけではないですが、佐野アウトレットから三毳山までは歩いて行ける距離なので。
【湯河原】幕山と湯河原梅林
日本でも比較的温暖な箱根・伊豆地方。3月ともなればすでに花爛漫の季節になっているわけで、幕山なんかはお勧めしたい山の1つです。
ここの名物は何といっても麓に広がる「湯河原梅林」。満開の梅の花が出迎えてくれます。
菜の花と合わせて、もうカラフルな景色!山に登る前にこの景色に出くわしてしまうので、もう幕山に登らなくてもいいんじゃないかってくらいの満足感が得られてしまいます。
登山道はかなり整備されていて歩きやすく、山頂も広場のように展望が開けています。
ただ、なにぶん人気の山なので週末ともなれば大混雑は必須。自分が登ったのはもう8年も前ですが、このご時世では考えられないくらい密な状況だったなと写真を見返して思います。
幕山はすぐ近くが海なので、下山後には露天風呂や海鮮料理など、旅行的な要素も絡めて遊べるのがいいです。
そこまで激しい山登りは求めてない方にお勧めです。
【三浦半島】大楠山
東京からもほど近い神奈川県の三浦半島。その最高峰が大楠山です。最高峰と言っても標高241mしかないですが。
この山の特筆すべきは、山頂に広がる菜の花畑!3月には満開を迎えて一面を黄色く染める景色が広がっています。
一緒に咲く河津桜も良いアクセント。
標高も低いので、のんびり春山へハイキングをするには打ってつけの山。都心からもアクセスは良く、電車・バスの公共交通利用でも容易に登れます。
山頂は開けていてベンチもたくさん。展望デッキからは海も眺められるので、どうぞ肩の力を抜いてピクニック気分で登ってください。
時期を3月後半にすれば、麓の衣笠山公園の桜まつりと合わせて楽しめるので、なおお勧めです。
【伊豆大島】三原山
2019/3/27 【伊豆大島】三原山 登山と桜と温泉の島旅
最後がこちらの三原山。伊豆大島の離島ですが、住所は東京ということで、首都圏に住んでいる方ならアクセスはしやすい山です。
広大な黒砂漠と荒涼とした火山帯が織りなす摩訶不思議ワールド、それが伊豆大島・三原山。
日帰りで登る場合は夜行便の大型客船で行くのがお勧めです。
のんびりと船に揺られて明け方に伊豆大島に上陸できます。
夜行客船用に早朝便のバスも用意してくれているので、レンタカーなしでも移動可能。登山口でもある大島温泉ホテルでは朝風呂も入れちゃいます。
そこから島の最高峰である三原山へ向かうわけですが、もうそこに至るまでのフィールドが異世界空間!黒砂漠という、本土ではお目にかかれない摩訶不思議な世界に足を踏み入れることになります。
砂漠を抜けた先に待っている山頂の火山帯がまた凄い。大昔の大噴火によって作られたであろう巨大なクレータが目の前に現れます。
もうここは本当に東京なのかと。。。山登りをしているというよりは、日常とはかけ離れた別の惑星を探検しているという感じ。
なかなか迫力ある景色が続きますが、登山道はしっかりと整備されているのでご安心を。高低差も大してないので、そこまで体力が求められるわけでもありません。
この山を3月に推した理由は、ちょうど桜の開花と重なるからです。伊豆大島に自生するオオシマザクラ。真っ白な桜が山の麓や街中に綺麗に咲いていました。
砂漠と花、なかなか相見れない自然美を一気に楽しめます。
さらに島旅というだけあって、海はもちろん温泉や食事も素晴らしい。
特にお勧めなのが島の西側にある大島温泉・浜の湯。すぐ目の前に海を望める絶好のロケーションです。風呂上がりには島名物のべっこう寿司や磯ラーメンと合わせてどうぞ。
雪山も春の花旅も楽しめるのが3月登山の魅力。
花粉という天敵がつきものではありますが、少しずつ暖かくなってきて、山に登るのも最適な時期になってきます。
自分自身、1年のうちでも登山回数が比較的多めの3月。今後も雪山、低山にこだわらずに色々と繰り出していきたいところです。
3月おすすめの山登り。
おしまい。
コメント
こんにちは、ドイツに住んでいます。
昨日 インターネットで NHK BS の番組「グレートトラバース」で雨飾山を見ました。
雪崩の起きる頃、春先の特集でした。
私が登ったのは夏でしたが、何しろ45年も前、どういう山だったか記憶があまりないのです。
それで 時々見ているこちらのブログで確かめようと探しました。
ああ、そういう感じだったかなぁ とぼんやりと思い出しましたよ。
で、最後の最後にびっくりしたのは立派な雨飾荘。
私は山の仲間と5人くらいで「国鉄」を使い、なんとかという駅で下車して
ひたすらこの露天風呂を目指し、その日はここで1泊しましたが
平屋のまさしく小屋で宿泊施設はここだけでした。
下から登りつくと、入り口の前に大きな池という感じの温泉で囲いも何もなし
どういう風にお湯に浸かったのか記憶にありません。
のりこさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
雨飾山の記事、読んでくださって嬉しいです。「国鉄」ということは、相当昔ですね。もしかしたら私が生まれる前のことかもしれません。(調べてみたら雨飾荘は昭和46年にオープンしてました)
振り返って見たら私が登山に行ったのはもう7年前のことで、下山時に立ち寄った雨飾荘の温泉についてはあまり覚えていません。
ただ、紅葉が素晴らしく綺麗だったのは鮮明に記憶してます。今住んでいるところからだと遠いのでなかなか行く機会がありませんが、もう7年も経つのでそろそろ再訪したいところです。
雨飾荘はまだ営業しているそうなので、下山後の温泉はぜひともそこで。