冬の雪山登山、そこでしか見れない景色というのもたくさんあって、その中の一部をまとめてみました。
夏の花、秋の紅葉、それと同じように冬の雪山にも絶景というのはたくさんあります。
ここ最近は暖冬傾向にあって、雪の景色に出会うのはなかなか難しいものがありますが、だからこそ余計に感動するのかもしれません。
まずいきなりですが、自分は「夏と冬、どっちが好き?」と聞かれたら、迷わず「夏」と答える人間です。断然、夏派!
暑いのが好きというわけではないですが、それ以上に寒いのが苦手。乾燥するし風邪は引くし、色々と着込むのも面倒くさい。
陽が短いのも物寂しい。遅くまで遊べない……などなど。
他にもいろいろ理由はありますが、まぁ冬嫌いのエピソードは他で語るとして。
雪山についても正直なところ、色々と防寒着とか着なきゃいけないし、アイゼンやらピッケルやらワカンやら、かさばる道具も必要、冬靴も重たい…などなど。面倒なところが多いのも事実です。
そんな冬苦手な自分でも、やっぱり雪山には登りたくなるし、そこで見る景色に感動する心は持っています。
今回載せるのは、過去に出会ったそんな景色たち。
スノーモンスター(巨大樹氷)
まず紹介するのはやっぱりこれ。冬の雪山登山と言えば、一度は見ておきたい「スノーモンスター・アイスモンスター」
東北の限られた山でのみ見ることができる巨大な樹氷。度重なる降雪と吹雪によって樹氷が雪の塊となりモンスター化した景色は、もう摩訶不思議な世界観。圧巻です!
スノーモンスターが見れる山はこれまでいくつか登りましたが、やはり大きさでいえば今のところ蔵王山が圧倒的でした。
山頂に神社がある蔵王山。その鳥居でさえ、真冬の吹雪にさらされたらこれだけ巨大な雪のモニュメントになります。
全てが規格外のスケールで本当に圧倒的な光景でした。場所柄、冬の時期はなかなか晴天にならないので、 余計に快晴の中訪れた2015年の時は感動しました。
リトルスノーモンスター
スノーモンスターでもう1個。蔵王山と並んで人気なのが福島の名峰、西吾妻山。ここも巨大なスノーモンスターは存在しますが、それ以上にちっこいリトルモンスターの大群が印象的。
不思議な雪の迷宮に迷い込んだかのような、モンスターを横目に雪原を縫って歩くのがとても面白かったです。
凍り付く滝・氷瀑
過酷な冬の環境が創り出す自然景観と言えば、氷瀑(ひょうばく)も外せない。
滝が凍りついてできるものですが、特に有名なのが日光の雲竜渓谷。ここの氷瀑の大きさはとにかく桁違い!
凍った滝に雪が纏わりつき、見上げるほど巨大な氷瀑になります。過去に何度か訪れていますが、自分が見た中で一番の大きさだったのは最初に訪れた2013年。繊細なので暖かい日が1日でもあると一気に溶けてしまうのでタイミングが難しいです。
氷瀑はもちろん、そこに行くまでに現れる巨大な氷柱も見もの。
大雪庇
激しい吹雪によって風下に張り出た雪の塊・雪庇(せっぴ)。森林限界を超えた雪山の稜線で多く見れるものですが、特に有名なのが新潟県の守門岳。
ここの雪庇は”東洋一”とも言われるほどで、大岳から守門岳山頂にかけての稜線にひたすら巨大な雪庇が構築されます。
雪庇自体は見る分には迫力ありますが、知らずのうちにその上を自分が歩いている可能性もあるので、雪山登山においては要注意ポイントの1つ。
張り出た雪の塊でしかないので、脆く崩壊しやすい雪庇。巨大になればなるほど登山道との境界線がわかりづらく、雪道を歩いているかと思いきや実は雪庇の上で、崩壊→滑落、なんてことにはならないように。
私も気を付けます。
霧氷
雲に覆われた樹々が凍り、真っ白に輝く霧氷。
氷点下の中、ガスった後に見れる起死回生の美しい景色で、これも好きな冬の風景の1つ。
あまり場所を選ばず、東京近郊でも丹沢とか大月界隈とか、低山でも十分に見ることができます。前夜から天気が悪く、当日明け方にかけて回復模様、なんて時がねらい目か。
鳥取の伯耆大山も、ガスからの晴天というコンディションだったので、序盤の樹林帯では綺麗な霧氷を見ることができました。
伯耆大山については山頂にも素晴らしい景色が待っていて、雲海の果てに聳える尖った剣ヶ峰が最高にカッコ良かったです。
この日は明け方まで天気が悪くて、そこから急激に天候が回復したので、樹氷と合わせて雲海やブロッケン現象など、絶好のコンディションで登れた1日でした。
ぜひまた行きたい雪山の1つです。
日本のマッターホルン
剣ヶ峰繋がりで言うと、その見栄えが一番好きなのが冬の上州武尊山の剣ヶ峰。
雪に覆われた白き峰は、まさにマッターホルンとも呼べる尖がりっぷり。稜線に広がる樹氷と合わせて、絶景の雪景色を堪能することができます。
もう4年経ちますが、いまだに自分の中では色褪せない風景。
白羽の雷鳥
冬になれば雷鳥の姿も変わる。その体は真っ白な白羽で覆われて、夏とは全く違う姿を見せてくれます。
冬の雷鳥はなかなか見る機会がないので、出会えたらかなりラッキー。
雪と同化するので、雪のアルプスに訪れたら目を見開いて探したいと思います。
雪山登山に勤しむワンコ
動物でいえば、雪山で出会うワンコはどうしてこれほど可愛く見えるのか。
雪山を軽快に登る柴犬が印象的だったのが冬の守屋山。比較的簡単に登れて展望も良いので、雪山入門としてもおすすめ。
寒くなったら飼い主に了承を得て、モフモフさせてもらいましょう。
積雪期しか登れない山
雪のある時期しか登れない山というのもあって、その1つが新潟県の日向倉山。
夏場は藪に覆われて登山道が閉ざされてしまう場所。雪があるときのみ、その道が開かれるという特殊なケース。
わずかな期間でしか登れないからこそ、そこで見る景色というのは目に焼き付くものがあります。
雪のテント村
雪の上のテント村も冬山らしい景色の1つ。GWの涸沢は人気のテント場になります。
GWというと時期的には春になりますが、北アルプスはまだまだ雪の世界。涸沢もまだ雪がたっぷり残っていて、夜になるとテントの光が雪上に灯って、何となく温かみのある風景を創り出してくれます。
ラッセル行軍
雪山登山の苦しいところでもあり、醍醐味ともいえるのがラッセル。雪をかき分けて少しずつ進んで行く苦行。夏場なら30分もあれば登れてしまう木曽駒ヶ岳の千畳敷カールも冬場なら1時間も当たり前。
ただ辛いだけでしかないけど、ラッセルしながら前に進む登山者の姿っていうのは、傍から見ていて格好いいものがあります。
雪煙舞う猛吹雪
ひとたび天候が荒ぶれば、冬山登山は地獄。これまで登山中に吹雪に合ったことは何度かありますが、特に記憶に残っているのが富士山側火山の宝永山。
冬の富士山はとにかく風の強い場所。この日も晴れてはいたのですが、山頂から吹き降ろす風が凄まじく、雪煙が正面から吹き付けて、実際に登っている時は視界がほとんどない状態。
雪山の厳しさを思い知った1日として記憶に留めています。
果てしない雪原風景
美ヶ原も冬になると独特の世界観を見せてくれる場所。夏は緑豊かな草原が広がっていますが、それが雪に覆われると一面が銀世界。
樹々が全くない広大なフィールドなので、遥か彼方まで雪原が広がっているような不思議な感覚。
スノーシューハイクにも打ってつけの場所で、雪原を好き放題歩いて回れます。
雪に覆われた大火口
冬に登れる火山というのもいくつかあって、その中でも人気が高いのが東北・福島の安達太良山。
冬の時期だけですでに3回登りに行っていますが、ここの大火口も雪に覆われると神秘的な景色に変貌します。
特に火口部は氷が張って、どことなくスケートリンクにも見えるような……
硫黄臭立ち込めるあたりは火山らしいですが、夏とは全くの別世界が待っています。
豪雪に見舞われた高尾山
ちょいと番外編で……
これまで高い山ばかり紹介してきましたが、低山でも時と場合によっては思いがけない雪景色に遭遇することもあります。
覚えていますかね、2014年の東京の大雪。その翌日、高尾山に行ってみたら腰まで埋まるほどの積雪量。山頂の自販機も雪に埋まり、スコップで取り出し口を掘り返したのをよく覚えてます。
今後、高尾山がこれくらい積もる日はやってくるのだろうか……
冬の北アルプス
冬の北アルプスで、おそらく一番馴染みある山が唐松岳ではなかろうか。スキー場のゴンドラとリフトを利用できるので、冬場でも日帰りで登ることができる山。北アルプスの中では貴重な存在です。
展望も一級品で、山頂まで登らずとも八方尾根から眺める白馬岳が圧倒的なスケール!
冬の時期は過去に3回ほど訪れていますが、何度でも行きたくなります。
冬の中央アルプス
冬の中央アルプスと言えば木曽駒ヶ岳が一番人気ですが、三ノ沢岳もぜひ覚えておいてほしい存在。
特に雪をかぶったシルエットがカッコ良くて、その見栄えの良さは木曽駒ヶ岳よりも上。千畳敷ロープウェイを利用してスタートできますが、こちらは明らかに人が少なく、途中には道幅狭い稜線箇所もあるので、登る際は要注意。
冬の南アルプス
南アルプスの女王・仙丈ヶ岳。この雪山登山はいまだに自分の中では5本の指に入るくらい思い出深いもので、優美な雪のカールがとても綺麗で本当に感動しました。
冬の南アルプスについてはロープウェイやリフトといった文明の利器は存在しないので、自力で登るしかありません。日帰りで登れる山もほとんどないですが、だからこそ山を目の前にした時の充足感と言ったら計り知れないものがあります。
ここ最近は南アルプスでも少雪傾向にありますが、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山あたりもいつか登りに行ってみたいです。
ダイヤモンド富士
最後は冬の竜ヶ岳。時期的にはちょうどタイムリーな景色で、クリスマスから正月にかけて、竜ヶ岳からは見事なダイヤモンド富士を見ることができます。
この時期は特に竜ヶ岳が混雑するシーズンで、撮影ポイントはずらりとカメラマンが並ぶことでも有名。
富士山という縁起物、自身の年末の山納め、あるいは年始の山開きにもちょうどよいと思うので、ぜひ一度は見てみてください。
こんな感じでざっと冬しか見れない景色のご紹介。一部春に差し掛かる時期のものもありますが、まぁそこはご愛敬で。
色々と大変なことが多い雪山登山ではありますが、こういう景色が待っていると思うと、やはりまた登りに行きたくなります。
まだ見ぬ冬の景色を求めて、これからも色々と巡っていきたいと思います。
そして、寒さに強くなりたい……
コメント
いつも素晴らしい記事と写真拝見しています。私が行き先を決めるのはいつもみやっちさんの記事を参考にしてから。こんな素晴らしい風景ばかりではありませんが、山行計画を立てるときからみやっちさんの写真のような風景に憧れてワクワクしています!来年も良いお山に出会いますように!
イノさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。また、ブログ参考にしてくださってありがとうございます!
ここ数年は暖冬傾向で、数年前に見たこれらの雪景色がなかなか見づらくなっているのが辛いところですが、今シーズンも何回かは雪山に繰り出したいです。
イノさんもどうか素敵な山登りを!