福島県の西吾妻山へ電車とバスを使って雪山登山に行ってきました。
グランデコスキー場のゴンドラとリフトを利用して西大巓~西吾妻山を往復。広大な稜線と、そこに乱立する無数の樹氷・スノーモンスターがまさに異世界空間で素晴らしい景色でした。
今回でもう3回目になりますが、ここは何度でも登りに行きたくなります。
これで3度目となる冬の西吾妻山。
目的はもちろん樹氷・スノーモンスター。日本有数の樹氷の聖地と言われている山ですから。
3度目になるとだいぶ目も肥えてきたもんで、「今年の樹氷は過去に比べるとうんぬんかんぬん…」とその出来栄えを偉そうに批評したくなったりもします。
前回登ったのが3年前。
その時と比べると今年はやや雪が少なめでしたが、それでも稜線には無数のモンスターが点在して圧巻の景色が広がっていました。
そして、今回は初めて電車とバスを利用してのアクセス。麓のグランデコスキー場までシャトルバス(要予約)があるので、冬でも公共交通利用で行くことが可能です。
2021年2月28日 冬の西吾妻山 日帰り雪山登山
グランデコスキー場までのシャトルバスが出ているのはJR猪苗代駅。郡山駅から始発の磐越西線に乗って移動。
車窓の風景を眺めていると、目的の西吾妻山よりも先に見えてくるのが磐梯山。
福島の盟主とも言える磐梯山。相変わらず綺麗な三角形、その佇まいが最高にカッコいいです。
今回は眺めるだけの山ですが、磐梯山の雪山登山もタフでありながら絶景の連続なのでおすすめしたいところです。
猪苗代駅に到着。電車には結構な登山者が乗ってましたが、ほぼ全員がここで降ります。
この駅に来るのももう3度目。1度目は夏の磐梯山、2度目は夏の安達太良山、そして今回が西吾妻山。福島の名峰3兄弟、これで一通り公共交通利用登山も網羅したことになります。
猪苗代が「野口英世のふるさと」という情報もすっかり頭に入ったわい。
始発便で来るとシャトルバス1便にちょうど間に合うようになっています。
このバスは事前予約が必要になるのでご注意ください。グランデコスキー場のホームページから予約できます。
スキー場まで乗車時間1時間以上あるのに運賃が無料という太っ腹!マイクロバスかと思ったら普通の高速バス仕様で、乗り心地も良かったです。
バスの中で一眠りしつつ、予定時刻通り8時55分にグランデコスキー場に到着。スキー場のゴンドラが8時30分に運行開始なので、やはり公共交通利用だと多少はスタートが遅れます。
まぁ、後発組ということでトレース泥棒して楽に登ってやりますよ。
チケット売り場でゴンドラとリフト券を購入するのですが、登山パック(3000円)というものがありました。3年前にはこんなのはなくて回数券を4枚買っていたのですが、登山者が多いからなのか、こんなものができたんですね。
ちなみに3年前に比べると500円値上がりしてました。
更衣室で着替え等を済ませて、いざスキー場へ。
なんだ、あんまり滑ってないじゃないか、って思ったけど違った。
ゴンドラが大行列。。。
すでに運行開始して30分以上経っていますが、まさかこんなに並んでいるとは…。係員の人いわく、「こんなに混むのは異例」とのことで、乗車まで実に45分待ちでした。
これはちょっと想定してなかった……。新型コロナ対策で乗車人数を少し絞っているのもありますが、それでも乗るまでに時間かかったわ。大半が登山者なんじゃないかってくらい、ザック背負った人が多かったです。
10時頃にようやく乗車できました。ゴンドラを下りたら、続いて第4クワッドリフトに移動。
やはり登山者が多いようで、ゴンドラの賑わいとは逆にゲレンデはガラガラでしたよ。
グランデコスキー場からの磐梯山。
文明の利器を駆使して、楽に磐梯山の中腹あたりまで登ってきました。
第4クワッドリフトはすぐに乗れたので良かったです。
リフトを下りたところが登山口。すでに時刻は10時40分になっていました。
帰りのゴンドラ終了が15時30分。登山の場合はその時間までに下りてくる必要があります。下山はリフトが使えず、ゲレンデコース1本分歩いてゴンドラ乗り場まで行かないといけないのでご注意ください。
スキー場ゲレンデトップから登山開始。
この日は春のような陽気で、スタートからすでに半袖で行けてしまうほど。踏みしめる雪も湿っていて、なんだかゴールデンウィークの残雪登山という感じでした。
先行者は多数。地面も踏み固められていてツボ足でも問題なく行けたと思いますが、せっかく持ってきたので一応最初からスノーシュー履きました。
ここから景色が開けるあたりが一番の急登で、もうスタート序盤から汗だく……。すごく暑かったです。
30分くらい登ると徐々に景色が開けてきます。
雪が多い時期はここら辺からすでに樹氷が始まっているのですが、今回はしばらく雪が降らなかったのか、樹々は黒々としていました。
前回登った時はあーだこーだ、と通っぽい経験談を仲間に言い散らしながら進んでいく。(数回登っただけで常連のように立ち振る舞うのが俺流だ)
早くも見えてきた西吾妻山の山頂。
樹氷の出来が少し心配でしたが、稜線上を見ると白くなっていたので、あちらでは立派に育ってそう。
この暑さで溶ける前に少しでも早くたどり着きたい。
まずは西大巓(にしだいてん)へ。奥の小高い丘がそれです。
そして、前方を見ると登山者が列になっている様が見える。年末の谷川岳のデジャヴじゃないかっ!
西大巓の手前あたりでようやく周りの森も樹氷っぽくなってきました。
奥に見える磐梯山、その背後には猪苗代湖も見えてます。
11時50分に西大巓に到着。ゲレンデトップからノンストップで1時間くらいでした。
山頂にはすごい数の登山者が休んでましたが、平坦で広い山頂なので休憩場所には困らないです。
そして、ここからの景色が素晴らしい!
周りに点在する樹氷のモンスター、その奥にひときわ白く輝く山が飯豊山。
この日は周囲どこも晴れていましたが、飯豊山の白さは尋常ではなく、流石日本屈指の豪雪山域という感じがしました。
一度でいいから真冬の飯豊山の稜線に降り立ってみたい。
こちらは山形側。朝日連峰や月山なども一望。
2月のこの時期にこれだけ東北全域が晴れているのも珍しい。山座同定が捗るぜ。
こちらは西吾妻山山頂へと続く稜線。
写真だと少しわかりづらいですが、稜線上の至る所にスノーモンスターが待ち構えています。
見ての通り山頂までの傾斜も緩やかなので、ここまで登ってしまえば、もう後は快適なスノーハイクです。
チビスノーモンスター越しの磐梯山と猪苗代湖。雲一つなく絶好な眺めです。
はるか奥には那須岳とか尾瀬あたりの山があるんだろうけど、高温による霞のせいなのか、良く見えませんでした。
左奥に見える山が安達太良山。福島の名峰3兄弟と勝手に呼んでるのが、吾妻山、磐梯山、安達太良山。
いずれも三角形を描くように近くに聳えているのですが、どこか1つは必ず天気が悪いというのが自分の中の定説になってまして。こうして全域晴れているのは結構珍しかったりする。
そこまで時間もないので、軽く休んで西吾妻山の山頂へ。
ここからが西吾妻山の本領発揮というお時間。いよいよスノーモンスターの本陣へ足を踏み入れます。
稜線上を自由に歩き回りたいのであれば、ここから先はスノーシューかワカンはあったほうがいいです。
ちなみにこの山にピッケルは不要。持って来たって使うところがありません。
やはり前回に比べると雪が少ないものの、稜線を進むうちの徐々にスノーモンスターの群れが見えてきた。
ここからが気持ちも一気に昂るところ。
3年ぶりの西吾妻山スノーモンスター!
やはりこの雪のモニュメント、摩訶不思議な形が面白く、そして美しい。
首を垂れるスノーモンスター
なんか中央で抱き合ってキスをしているようにも見えるスノーモンスターカップル。
そしてそれを見つめるソロモンスター。
下からこぶしを突き上げるモンスター。
一口に樹氷と言っても、その姿は様々。
雪の量や風の受け方によって形状も大きく変わるので、そこら辺がスノーモンスターの面白いところだったりもします。
樹氷が密集するゾーンへと足を踏み入れる。
登山者はたくさんいるのですが、山頂までのルート取りは様々でみんな自由に歩いています。
ぱっと見かくれんぼをしているかのように、樹氷の陰に隠れて人の姿が見当たらない。
後ろを振り返ってもまた絶景。
モンスターの奥に、先ほどまでいた西大巓が綺麗に見えました。
御覧のように穏やかな山容。吾妻連峰は全体的になだらかで、磐梯山や安達太良山に比べるとだいぶ優しい印象を受けます。
飯豊連峰の真っ白さは相変わらず。
この日、周りの景色で一番目を奪われたのは、間違いなくあの飯豊山の白き山脈です。
進むにつれて樹氷の背丈も増してきた。
人と比べるとこんな感じ。
これでもまだ小さい方で、コンディション次第ではこの倍近くになることもあります。
ちなみに自分がこれまで一番巨大なスノーモンスターと出会ったのは蔵王。
樹氷で有名な山はいくつか回りましたが、やはり蔵王は別格でした。本当に驚くほど巨大。蔵王もまた行きたい冬山の1つです。
背丈を大きく超えるようなモンスターがいたかと思えば、その子供たちとも思えるちっこいミニチュアサイズもあったりと。
まさにモンスター家族の群れという感じ。
樹氷の門からゲートイン。
場所によっては樹に近づきすぎるとツリーホール(落とし穴)になっている場合もあるのでご注意ください。
私も最初に西吾妻山を訪れた時は、「わ~、樹氷だぁ~」とかはしゃいでモンスターに近づいたらズボッと床が抜けたことがあります。
前後どちらを見てもスノーモンスターの雪景色。
道も平坦で、疲れることなくただ景色を堪能しながら歩けるというのが最高です。
細身タイプのスノーモンスター。
自分は「つくし」と呼んでます。
西吾妻山の稜線は横に広くて、スノーシューハイクにも打ってつけの場所です。
スノーシューやワカンを持ってきたなら、トレースをただ辿るだけではなく非圧雪なフィールドをバフバフと歩いてやりましょう。
目印がないので、ガスってホワイトアウトになった場合は要注意。
今回出会った中でも最大級の握りこぶし型モンスター。
ドラ〇もんの手にも見えるな。
西吾妻山山頂までもう少し。
山頂直下はモンスターの背丈こそ小さいですが、チビモンスターが密集する樹氷の森になっています。
山頂直下でワンコとすれ違い。
この日は登山者も多かったですが犬も結構見かけました。こんな雪道を素足で歩くとは頼もしいワンコだけど、タンクトップという飼い主も頼もしい。
何度も振り返って見てしまう飯豊山。中央に見える黒い物体は稜線上に唯一建てられた避難小屋です。
帰りに立ち寄ってみます。
何度かのスノーモンスターゲートを潜り抜けて、突如開けた場所が山頂。
標識的なものは何もないですが、ここが西吾妻山山頂でございます。
山頂の南側に移動してみると、磐梯山と猪苗代湖が良く見えました。
周りにはチビモンスターも点在。
東方面には安達太良山も。ここ西吾妻山からだと、磐梯山に比べるとそれほど存在感はないですが……
周りに樹氷が点在している辺り、雪のない時期は山頂は森に囲まれて展望がないそうですね。
基本的に冬山に登る場合は雪のない時期にも来ているもんですが、この西吾妻山に限ってはいまだに冬しか来たことがありません。なので、雪が消えると山頂がどんな感じになっているのか知らんのだ。
山頂はかなり広いので好きなところで休憩できます。
人の過ごし方も様々で、何やら長い棒をもって高アングルから撮影しているかたもいらっしゃいましたよ。(YouTuberかな?)
ちなみにドローン撮影している人もいました。
山頂にもいたワンコ。
犬って日差しとか雪の照り返しが眩しくないのかな?たまにゴーグル着けて登っている犬もいるけど。
こちらは北側の展望。
奥に見える山々は同じ吾妻連峰の一切経山方面になりますが、この西吾妻山に比べると全然雪がない。
ほんの少しの距離なのにえらい違いです。
山頂で軽く休憩して、飯豊山に向かって下山開始。
目指しているのは避難小屋ですが、目の前にそびえる飯豊山が本当に美しくて少しでも近づきたくなってしまう。
こちらが西吾妻山避難小屋。
稜線上の唯一の目印ともいえる存在です。御覧のように冬季でも入れるように2Fに入口が用意されています。
ここで1泊して、夕暮れ時やご来光時にスノーモンスターの風景を撮影するのもかなり面白そう。
いつかやってみたいけど、冬季の山泊はどうしても躊躇する。基本的に寒がりなもんで……
避難小屋見学も済ませてスキー場方面へと下山。
時間に余裕のある方は、ぜひ山頂から北側の吾妻神社にまで行ってみてください。
そこからの景色がまた格別なので。
再び樹氷の森を抜けて、西大巓へ。
気温が高いということで、樹氷の雪がみるみる崩れていくのがわかりました。
やはりスノーモンスターを見たいなら遅くとも3月上旬頃までがギリギリなのかもしれません。
西大巓への登り返しがものすごく暑くて疲れたぜ……
太陽の日差しと雪の照り返しが強烈でした。
西大巓まで戻って西吾妻山を見納め。
何度もこのブログで語っていますが、こういう広大で緩やかな稜線は好きな部類なので、西吾妻山はまた今後も登りに来ようと思います。
何年後かわからないけど、次に会う時までさよなら西吾妻山さん。
スキー場へ向けて下山。
1本道を下りるだけですが、下山は意外と迷いやすいのでご注意ください。特にこの日はトレースがたくさんあったので、登ってきたルートとは若干違うコースで下りてしまいました。
14時40分にゲレンデトップに下山完了。
下りのリフトは乗れないので、左のゲレンデコースを歩いてゴンドラ乗り場まで下ることになります。
スキー・スノボー客の邪魔にならないように端っこを歩いて下りますが、本当にこの日はゲレンデ客が少なくて登山者の方が多勢でした。
ゴンドラに乗って無事に麓まで下山完了。
帰りのバスまで1時間近くありましたが、麓がスキー場だと更衣室やレストハウスなんかの設備が充実しているので、いくらでも時間潰せて楽なもんです。
16時過ぎの最終便のシャトルバスに乗って猪苗代駅へ。この帰りのバスも事前予約必須なので、あらかじめ予約しておきましょう。
猪苗代駅に着くころにはだいぶ陽も西に傾いてました。
この駅は周りにコンビニなどの商店が何もないですが、1軒だけ時間潰せる場所がありました。
こちらの万平という喫茶店。昭和の香りが残る古き良き佇まいですが、中もかなりレトロな雰囲気でかなり居心地良かったです。
おばあちゃんの入れるブレンドコーヒーを飲みながら読むべきは、本棚にある”落書き帳”。これがもう必見!
昭和50年代の頃のものまで残っていて、昔の人の思いを書き残した文書とか読み入ってしまった。携帯なんてない時代の若者の純真な思いとか、なんか響いたわ。
そんなノスタルジーな感傷に浸って今回の西吾妻山の雪山登山は終わりました。
3回目の西吾妻山ということで、もうだいぶ親しみが沸く山にはなりましたが、樹氷・スノーモンスターは何度見ても心揺さぶられます。
年一で見たい山の景色なので、来年もきっとどこかに行ってると思います。
電車・バスで行く雪山登山でした。
おしまい。
【日程】
2021年2月28日
【コースタイム】
10:50 ゲレンデトップ
11:50 西大巓
13:00 西吾妻山
14:00 西大巓
14:40 ゲレンデトップ
14:55 ゴンドラ乗り場
コメント
いつもブログ参考にさせて頂いてます。同じ日に磐梯山に登ってました。
この日は東北&上信越全域快晴予報で何処へ行くか悩みましたねー。
みやっちさんのブログを読んでから冬の磐梯山は一度は行ってみたい場所でした。自分の力量では天候が安定してある程度人が入っている時期を狙っていたのでドンピシャでした。白毛門も考えていたのですが前日、谷川で雪崩のニュースをみて磐梯山に。結果最高でしたね〜。
磐梯山からみる西吾妻山は真っ白で何度も振り返っては眺めてしまう存在感でした。
みやっちさんが行った時のようにラッセルすることはなかったですが急登あり、見惚れる稜線あり、麓には湖あり充実した山行でした。ワカンはずっとお荷物になってしまいましたが。
人の多さもイエローフォールまでの人が多いのかそれほどでもなく(磐梯山にしては多かったとは思いますが人気の山岳に比べると空いてるかと)自分のペースで満喫でき始終ニヤニヤしてたかも。山頂では何がの撮影らしきものをしていたので後日何かあるのかもしれません。
またあのレベルの快晴も願って(次こそは白毛門か飯豊も行きたいな)
みやっちさんも次は何処へいくのか、ブログも楽しみにしてますね^_^
いちさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
おぉ、私が西吾妻山から眺めていた磐梯山に登られてましたか!終日快晴でこれ以上ないくらいのタイミングでしたね。
天候を選んで登るのは大事だと思うので、楽に登れたならそれに越したことはないと思いますよ。稜線に湖に火山特有の荒々しさ、本当に磐梯山は色んな表情を見せてくれます。素晴らしい景色を見れたようで何よりです!
コメントを読んでいて驚いたのですが、実はこの日は我々も白毛門を候補の1つに上げていたんです。結局、西吾妻山になりましたが、谷川エリアを選んでも晴天が約束されていたので本当にどこに行くか悩ましい週末でしたね。
いつの日か、どこかの山ですれ違える日を楽しみにしております!