念願でもあった冬の磐梯山に登ってきました。
ルートは裏磐梯スキー場からの往復。降雪直後ということもあってかなりのラッセルを強いられましたが、登山道の樹氷が美しく、稜線に出てからの雪の磐梯山が最高にカッコ良かったです!
個人的にはここ最近の雪山の中でもかなり満足感の高かった登山。冬の磐梯山はやはり素晴らしい山でした。
冬の磐梯山、登ったのは年の暮れも近い12月29日。
記事の順番は前後しますが、これが2019年最後の登山となりました。
磐梯山については半年前の6月にも登っていたのですが、一番登りたかったのは冬の時期。なかなか天気とのタイミングが合わずに、毎年のように持ち越し企画となっていましたが、2019年の最後でようやくチャンスが巡ってきました。
結果としては、もうこれ以上ないくらいの満足感!これまで登った雪山の中でもかなり上位に食い込む感動があって、磐梯山を一層好きになれた1日でした。
2019年12月29日 冬の磐梯山 日帰り雪山登山
2019年ラスト登山。
暖冬少雪のさなか、念願の寒波到来で前日まで雪予報が続いていた福島の名峰・磐梯山に向けて、久しぶりのお仲間さんたちと繰り出しました。
事前の天気予報では、曇り時々晴れというやや微妙な感じでしたが、到着してみたら朝から雲1つない快晴。
久しぶりの本格雪山登山、凛と冷え込んだ朝の空気感がどこか懐かしかったです。
写真は裏磐梯スキー場の駐車場。今日はここからスタートします。
もう間もなく日の出を迎える朝の6時50分に登山開始。今回は4人の仲間と5人体制で挑む。
この人員なら多少のラッセルも余裕でしょ。
スノーシュー?そんなのいらんわ。
……って意気揚々と出発したけど、結果的にはなかなか手強かったっす。
まずは裏磐梯スキー場のゲレンデをまっすぐ登っていく。
遥か正面には、目指す磐梯山の頂がすでに見えています。
ゲレンデは営業開始前なので当然リフトは使えませんが、大した距離じゃないので、ここは歩きで全然問題ないと思います。
そもそもこの日はまだ雪不足で、スキー場も1コースしか開放されていませんでした。
スキー場からすでに景色は素晴らしいことになっていて、後ろを振り返ると夜明けの空に雪化粧をした西吾妻山がお目見え。
裏磐梯スキー場は磐梯山の北側からアタックすることになるので、西吾妻山の展望が特にいいです。
少雪と言いながらも、意外にも西吾妻山は真っ白でした。
30分ほどゲレンデを歩いて、こちらの標識から登山口へ。噴火口方面に歩いていきますが、銅沼の方へ行けば、有名なイエローウォールを見ることもできます。
今回は銅沼自体がまだ完全凍結していないのもあったので、イエローウォールはスルーしました。
登山口からしばらくは樹林帯(細かなアップダウンあり)が続きますが、視界が開けてくれば、もう迫力ある景観が!
火山たる磐梯山、その岩壁が目の前に見えてきます。
そして突如、あたりが開けて目の当たりにする景色がこれよ!
火口原の雪原から見上げる磐梯山の岩壁。進撃の巨人さながらの高い壁。ドーム型に覆われており、実際にそこに立って感じる圧力は半端ないものがあります。
個人的にですが、何となく八ヶ岳の行者小屋あたりの景観に似ている気がするんだな。周囲を岩山で囲まれているあたりが。
まずはあの壁の上に立つべく、ひたすら前進。
ただの雪原ですが、積雪量がここから一気に増えて、序盤の序盤からラッセルさながらの行軍になりました。
ツボ足でズボズボ埋まりながら進みますが、まだこの程度なら大丈夫。
噴気口分岐を過ぎてから一気に稜線までの登り開始。
ここからさらに積雪が増えて、踏み込む足が埋まるわ埋まるわ……。
写真の通り、まだ登山道に設置されたU字の手すりは見えている状態でしたが、降り積もったばかりの雪は厄介でした。
ここらあたりから急登に入るのでアイゼンが必要かと思いきや、実際そんなことは全くなく、ただひたすらモフモフとの格闘。
こういうのって、急登に入る前にワカン着けないと駄目ですね。。
装備切り替えるタイミングも失って、ひたすらツボ足で5人交代で登っていく。
吹き溜まりが激しい樹林帯は難儀しますが、それでも見上げる樹々は徐々に樹氷になってきました。
時間はかかりますが、それでも着実に標高を上げているのはしっかりと分かって、振り返れば徐々に展望も開けるようになってきます。
霧氷もどんどん綺麗に。
北側からのアプローチなので、日中のほとんどは日陰にあたるコースですが、朝の凛とした空気と澄んだ青空に映える霧氷は素晴らしく綺麗。
前回の飯縄山であれだけ待ち焦がれた霧氷が、ここ磐梯山ではもう簡単に見れてしまうっていうね…
1歩1歩踏みしめるごとに埋まるラッセル山行。
これも思えば懐かしい感覚で、雪山の楽しさを思い出させてくれる。精神的には全然苦じゃない。
景色が開けるたびに上を見上げて、稜線との距離感を知る。
夏場ならあっという間にたどり着く距離でも、冬だとえらく時間がかかる。
登山道で出迎える霧氷群。
その合間を縫って少しずつ進んで行く。
さらに登っていくと、向かって右手にひときわ目立つ尖った岩峰が見えてきます。
これが磐梯山の1つのシンボルともいえる天狗岩。
この先、磐梯山を拝める絶景ポイントがあるのですが、その絶景に多大なる貢献をしているのがあの天狗岩。磐梯山を語る上で欠かせない存在です。
そんな天狗岩を横目に、我らはひたすらラッセル登山。
周りを取り巻く樹々もあらかたなくなり、背後の景色も一望できるようになってきます。
こちらは北側、山形県方面の展望。
右に見えている大きい湖は桧原湖。左奥に見えている真っ白な山は、我らが飯豊山ではなかろうか。
見てくだされ、この圧倒的な純白の輝き。さすが、日本屈指の豪雪山域なだけあります。
目指す稜線も徐々に近づいてくる。
竜巻のような雪煙が気になりますが、日中は風が弱まる予報って聞いていたので、とりあえずは見なかったことにします。
悪戦苦闘しながらのラッセル大会 in 磐梯山。辛くもあり楽しくもある時間。上から見下ろす霧氷がまぁ綺麗ですね。
それにしても、これだけ晴れているのに他の登山者が全然いなかったのが不思議。年末だからでしょうか、一応日曜日ですが静かなもんでした。
ちなみに上の写真を見て、「あっ、銅沼凍ってない」って気づいた方はプロだと思います。
その後も黙々と登り続け、目の前に現れたのがこれよ!
雪煙纏う神々しき岩峰、登頂が許されていない櫛ヶ峰でございます。もう、この段階でカッコ良すぎ!
あの櫛ヶ峰については、稜線に出てからの雄姿も見ものであります。
見れば周りの景色も霧氷から樹氷へと変貌。
樹々が凍り付き、不思議なモニュメントと化しています。
櫛ヶ峰と樹氷群。
想像以上の降雪があったようで、意外にも発育していた樹氷たち。小柄なスノーモンスター。
稜線に近づくころにようやく陽の光が届く。
ここに来てわかったけど、太陽の光ってすごく大事ですね。特にメンタル的に。
日陰でのラッセルは精神的に追い込まれるけど、光が届けばもう安泰。一気に元気出ます。
こうして9時20分、磐梯山の稜線に到着。
スキー場をスタートして2時間半ほどかかりました。
そして目にしたこの景色!『冬の磐梯山』
これよ、これ!これこそが見たかった景色。
ドン!と目の前に磐梯山の本峰。火山らしい岩峰、右の尖った天狗岩が鋭さに磨きをかけています。
もう今回に限っては、登頂よりもこの景色が見たいがために登ってきたようなもの。天気が心配でしたが、無事に晴れてくれて本当に良かったです。
ちなみに夏の時期だとこんな感じ(2019年6月13日)
半年前に訪れた、まだ記憶が新しい夏の磐梯山。その景色との対比も面白い。
こちらは櫛ヶ峰。登山ルートが通わない未踏のピーク。
夏場来た時は通行止めのロープが張られていましたが、今はそれも見当たらず、知らなければ立ち入ってしまいそう。
櫛ヶ峰はもう少し離れたところから見ると、より存在感が際立ってカッコ良く見えます。
磐梯山を眺めながらしばし休憩。
稜線に立って強風にあおられるかと思いきや、思っていたほど風も強くない。
何より日差しが届いて暖かいくらい。雪山あるあるですが、一番寒く感じるのは稜線でも山頂でもなく、スタート時の駐車場ね。
流れる雲を纏う磐梯山
聳え立つ城のような堂々たる風格、カッコ良すぎです。
いざ、冬の磐梯山の頂目指して登頂開始。
流れる雲のスピードが速く、この段階では天気が持つか微妙なところ。
どうにか山頂に着くまで晴れていてほしい。
こちらは磐梯山の表ルート側。
ここに来て初めて稜線の反対側が見えたわけですが、遠目に見ても霧氷が綺麗なのがわかりました。
こちら側には、猪苗代湖という磐梯山に登ったらぜひとも見たい湖があります。
この位置からではまだ見えない。
ここら辺は積雪量も大してないので、ぐんぐん進んで行く。アイゼンも特に履かなくて大丈夫なコンディションでした。
後ろ振り返えれば櫛ヶ峰。
前後に迫力ある名峰あり。
どんどんと磐梯山の本丸が近づいてくる。
ここら辺は本当にテンション上がったなぁ~。先ほどまでのラッセルの疲れも吹っ飛ぶほどの感動する景色。
稜線に出てから雪の量も減ったので、もうこの先は楽勝だろうと思っていたけど、それがまさかあんなことになるとはこの時は思っても見なかった……
少し離れたところから見る櫛ヶ峰。
こうしてみると、個人的には八ヶ岳の阿弥陀岳によく似てると思うんだけど、どうだろうか。
磐梯山・猪苗代コース(表ルート)側の沼ノ平の湿原。今現在は御覧のような霧氷の樹々が立ち並んでおります。正面に見える小高い山が赤埴山。
6ヶ月前の夏山登山の時にはこちらのルートから登ってきました。こうして、歩いてきたルートを再び眺めて、懐かしい記憶を振り返る。
磐梯山に近づいてくるにつれて、登山脇の霧氷もたくさん見られるようになってくる。
白く凍り付く樹々ってのは、なぜこうも美しいのか。
こうして10時過ぎ、沼ノ平分岐に到着。表ルートとの交差地点、標識はまだ見えていました。
冬は裏磐梯ルートから登る人が多いですが、表ルートから登る人も多少います。この日も帰ってからヤマレコやヤマップを見返してみたら、数人が表ルート側から登ってきていたようです。
近いようで遠い冬の磐梯山
強風で雪が飛ばされた箇所は岩も露出。
ツルツルの凍結箇所はほとんどなかったので、ここら辺もノーアイゼン。
迫りくるダイナミックな雲も迫力ある風景画。
どうにかあれが山を覆う前に登頂したい。
さらに進んで磐梯山を正面に捉えると、さらに美しい霧氷風景!
磐梯山北面は木々も多く、先ほどまでの火山たる岩々しいその姿とは一味違った風景を楽しめます。これこそ、冬山っていう景色。
登山道脇には樹氷のモニュメントが立ち並ぶ。
ここら辺から、また積雪量も増えてきて、1歩1歩進むごとにズボズボと足が埋まるようになってきました。
だいぶ離れた櫛ヶ峰。
標高も櫛ヶ峰より高い位置まで来ました。
これはまさに、雪のサンゴ礁や~~
そんな具合で10時35分、山頂直下にある弘法清水小屋に到着。
冬の時期は当然ながら営業はしていないです。
ここから山頂までは夏道であれば20分ちょっと。
雪があるとはいえ、30分程度で着けるだろうと考えていたけど、実はここからがきつかった……
弘法清水、この標識の脇から登っていく。
そしてすぐに気づく……
樹が低くて進みづれぇ……!
雪がたっぷり積もってしまい、ちょうど目線の高さを木の枝がガードしている感じ。こんな状態がしばらく続く。
おまけに足元はズボズボ埋まるもんだから、埋まるわ、ほふく前進で進むわの二重苦。
久しぶりに本格的な雪山登山って感じが出て、これはこれだ悪くはないんだけど、とにかく体力勝負で暑かった……
汗だくになり、ゴーグルもすぐに真っ白に曇ってなんのこっちゃわからない。
たまにこんな感じで開けた時には休憩できるけど、先行く雪の斜面はどんどん急になっていく。
こんなラッセル久しぶり。
もうここら辺はカメラ構える余裕もなかったけど、樹々のトンネルの先に1筋の光がっ!
これは確か山頂だと思って撮った1枚。
全然違った……
山頂はまだ先だった。そういやこんな感じに偽ピークが1つあったかもと思ったけど、全然思うように前に進まない。
スノーシューがあればもっと楽だったんだろうけど、あいにく余裕ぶっこいて持ってきておらず。完全な判断ミスだわな。
それでも着実に標高は上げていて、いつの間にか雲の上に出ていた。
先ほどからずっと眺めていた櫛ヶ峰も雲の中から顔を出す程度に。
後ろからやってくるはずの仲間たちもかなり苦戦しているようで。
こうしてラッセルは最後まで続き、本当の山頂がようやく目の前に見えたっ!
太陽がまぶしいぜ。
11時45分、磐梯山山頂に到着。
山頂の売店小屋も見えたぞ。
山頂の標識。
凍り付いておりますので、本日のゴシゴシ権は私が頂きます。
ゴシゴシ……
では改めて、念願でもあった冬の磐梯山に登頂完了!
お疲れさまでした。
雲もちょうど取れてくれて、南側の猪苗代湖も一望!
日差しも暖かく、先ほどまでのラッセル格闘が嘘のような平穏な空間が広がってました。
お仲間さんたちも無事に登頂。
予想よりもだいぶ時間かかっちゃったけど、何とか昼前には登ってこれました。
その後も続々と登ってきた。どうやらお仲間さんたちの後ろにさらに後続が何組かいたようで。
「ラッセルありがとうございました!」って最高の褒め言葉を頂きました。久しぶりで気持ちよかったわぃ。
山頂の祠も凍り付く。
スタート地点のスキー場は雪が少なかったからどうなのかと思ってたけど、山の上は雪たっぷりの世界でした。
西側にはアルツ磐梯スキー場
あのスキー場のトップにある猫魔ヶ岳も一度登ってみたい山の1つです。ここから見る限り真っ白で、綺麗な霧氷風景が広がっているように見えました。
東から北側にかけては雲が多くて雲海模様。
火口壁に囲まれた沼ノ平の平原も眼下に見えております。
山頂で30分以上休憩して、12時半ごろに下山開始。
登りとは打って変わってモフモフの雪をバフバフ踏み荒らしていく。自分たちが作った足跡を豪快に崩していくのもたまりませんな!
下山は信じられないくらいあっという間。
わずか20分で弘法清水小屋まで戻ってこれました。これが雪山マジック。
その後は来た道をそのまま戻る。
再び櫛ヶ峰の眼前まで戻ってきたけど、御覧のようにずいぶん雪が解けて山肌が見えてきてました。
ほんの数時間のことなのに、こうも景色が変わるもんかね。
突然、前を歩く熊のような男まさきが立ち止まり「あれ、熊かな…?」と見ている図。
黒い影がのっそのっそと歩いていて、確かに大きさ的には熊っぽかったけど、後々確認したら太ったカモシカでした。
この時期、熊に遭遇したらやばい。冬眠前の食い溜めに専念しているだろうし、カモシカで良かったです。
櫛ヶ峰から火口原へも一気に下山。
ラッセルしてきた急坂の下りっていうのは本当に早いですね。バフバフ楽しかったです。
帰り際、磐梯山で有名な銅沼(あかぬま)に立ち寄ってみました。
ここも夏とはまるで違う景色。沼の水は凍結し、一面雪原が広がっています。
足跡の方向の先にイエローウォールがあると思うんだけど、今回はやめました。というのも、沼がまだ全面凍結していなく、地面の雪も水っぽかったので。むしろ足跡の主、よく行ったなぁ~と。
ちなみに夏の銅沼はこんな感じでございます。
こうして15時に裏磐梯スキー場に戻ってきて無事に下山完了。
予想に反して8時間以上のガッツリ登山になりましたが、充実した山歩きができた1日でした。
下山後の風呂は、磐梯山周辺は高い日帰り温泉しかなかったので、少し車で移動して郡山ユラックス熱海というところで済ませました。日帰り入浴400円、露天風呂あり。良ければどうぞ。
念願の冬の磐梯山登頂、無事に成し遂げられて大満足でございます。
山頂からの景色以上に、磐梯山はやっぱりこのアングルからの風景!
雪を纏った福島の名峰は一筋縄では登らせてもらえなかったけど、苦労しながら登るのも最高に楽しく、そして最高の景色を見せてもらえました。
福島のトップスリーと勝手に称している西吾妻山、安達太良山、そして磐梯山。これで冬の時期に3つとも登ることができましたが、それぞれで全く違った風景、全く違った面白さがありました。
冬の磐梯山も大のお気に入りとなったので、また時間が経った頃に登りに行きたいと思います。
【日程】
2019年12月29日
【コースタイム】
6:50 裏磐梯スキー場
9:20 櫛ヶ峰分岐
10:35 弘法清水小屋
11:45 磐梯山
12:55 弘法清水小屋
14:30 銅沼
15:00 裏磐梯スキー場
コメント
こんにちは。
本年も様々な記事楽しみにしています。
冬の磐梯山、素晴らしいとしか言えませんね。
年末の本当に良い時に登られましたね。
たくさんの素晴らしい写真ありがとうございます!
ろっぴさん
こんばんは。コメントありがとうございます!
おっしゃる通り、本当にタイミングの良い時に登ることができました。
火山の山でありながら、霧氷・樹氷も綺麗で最後まで素晴らしい雪景色を堪能できましたよ。
まだ冬シーズンは続くので、タイミングを見計らって色々と登りに行きたいです!