奥秩父の和名倉山へ日帰り登山に行ってきました。
ルートは山梨側の三ノ瀬(民宿みはらし)からのピストン。日帰りではやや長丁場で一部藪漕ぎゾーンもありますが、富士山の展望にも恵まれて静かな山歩きが楽しめます。
何より圧巻だったのはカラマツの紅葉!山一面を黄色く染める光景が凄まじく、この山を登るなら秋がおすすめかもしれません。
今回は久しぶりの奥秩父。そして久しぶりのお初の山。
標高2036mの和名倉山(白石山)へ登ってきました。
日本二百名山にも選定されている山ですが、そこまで知名度は高くない気がします。私も誘われるまでは、その存在をすっかりと忘れてました。
人気が出ない理由の1つが、やや健脚向きというところかもしれません。日帰りでも登れる山ですが、山梨側、埼玉側どちらから登っても往復8時間以上はかかります。
自分たちが選んだのは山梨側の三ノ瀬ルート。距離は長めですが、南側からのアプローチなので展望は良さそう。
気合を入れて行ってきます!
2021年10月24日 和名倉山(三ノ瀬ルート)日帰り紅葉登山
時期は10月下旬。東北やアルプスでは早くも雪がちらつく時期で、この頃になると紅葉もだいぶ下まで降りてきます。
都内近郊でいえば奥秩父あたりがまさに紅葉ハイシーズン。そんな時期に選んだものだから、和名倉山も結構人がいるのかと思いましたが、全然でした。
スタート地点となるのは民宿みはらし。人当たりの良いおばあちゃんが営んでいる小さな民宿で、下山後にはお茶や果物をご馳走してくださいました。
名前の通り見晴らしが良いこの場所が本日のスタート地点。
三ノ瀬ルートで登る場合、この民宿の駐車場をお借りすることになります。(1日500円)
4,5台ほどしか停められないので、満車の場合は少し離れた路肩のスペースに停めることになりそうです。
ちなみに、この民宿みはらしに来る途中に隣の笠取山の登山口があるのですが、そちらの駐車場は物凄い車の数でした。
秋の笠取山ってこんな人気なのか、とかなり驚いた。
一方、こちらはなんとも静かな登山口。
民宿みはらしのすぐ近くにある将監登山道入り口からスタートします。
しばらくは緩やかな林道歩き。
久しぶりに登山口までの道で車酔いしてしまったので、この林道歩きで体調を整える。
途中の分岐を左にそれて登山道へ。
右に行けば将監小屋へと行きます。テント場もあるので、この小屋を利用すればゆっくり1泊2日で登ることも可能です。
ここからしばらく登り坂。
全体的に傾斜はきつくなく、笹もしっかりと刈り取られていて地面もフカフカ。なんとも歩きやすい。
そう、この時点ではこんな感じで全部が綺麗に刈り取られているんだと思ってた……。
登るにつれて周りの景色が黄色に染まってきました。
見渡せば、あたり一面カラマツの紅葉!
秋の和名倉山といえばまさにこのカラマツが最大の見どころで、ここら辺と山頂付近が特に凄い色づきになってましたよ。
カラマツの合間から見事な富士山も。
山梨側からのルートの醍醐味といえば、序盤から富士山が眺められるところか。南側なので日も当たって暖かいです。
ある程度登ると開放感抜群の草原に出ます。
ここら辺が地図上の牛王院平というところかな。こういう景色に奥秩父っぽさを感じます。
展望も抜群で、遠くには南アルプスも望めます。
今年は初冠雪が早くて、10月にしてすでにアルプスの稜線は真っ白でした。
しばし穏やかなカラマツロードをゆく。
稜線上にある山ノ神土という分岐点に到着。
左が唐松尾山を経て笠取山へ続く道。右が我々が向かう和名倉山方面。
この先、本コースで一番厄介な区間に入っていくので、ここで気合を入れるべし!
歩き始めこそ、紅葉が綺麗になってきて期待が高まったところだったのですが……
急に藪漕ぎに突入。「あれ?道間違えたか?」と一瞬思いましたが、これで合ってました。
胸の高さまで覆う藪、しかもトラバース箇所なので地面も斜めになっているからとにかく歩きづらい。
足元が見えないので、くれぐれもお気をつけください。踏み跡は明瞭なので道迷いはないと思いますが、雨上がりなんかはおそらく悲惨なことになるので避けましょう。
藪と格闘して稜線が見えてきたら、藪漕ぎゾーンも終わりです。
展望も再び開けるポイント。
見渡す先にはしっかりと富士山の姿を見ることができました。
その手前にある山脈は大菩薩嶺とかかな。
ここら辺の笹の稜線雰囲気なんかもいかにも奥秩父っぽい。
アルプスや東北といった遠出を終えて、ようやく近場の山に帰ってきた感じがします。
細い稜線を進んでいくと、西仙波というピークに到着。
簡易的な標識が置いてあるだけの展望のない場所ですが、ここから少し行くと本ルートで一番ともいえる展望ポイントに入ります。
それがこの岩場が出てきたあたり。
振り返ってみると、これまで歩いてきた稜線を一望。
ここに来て初めてわかる、「山一面が真っ黄色やん!」
稜線から中腹に広がるカラマツの紅葉。黄金色に染まってすごい規模に色づいてました。
富士山の展望ももちろんあり。
澄み切った青空の向こうに輝く、冠雪した富士の山頂が眩しいぜ。
redsugarさんの赤装備も良く映える。
西側には奥秩父の名峰、瑞牆山・金峰山とか。
しばし展望の稜線を満喫。
ここから東仙波までの区間が、このルートで一番面白いところかもしれません。どうぞ心ゆくまで楽しんでください。
さらに北側の展望が開けると、ようやく目指す和名倉山(白石山)が見えてきます。
正面奥の平らな山がそれ。テーブルマウンテンのようで、ぱっと見はどこが山頂なのかがよくわからない。
距離はまだだいぶ遠いですが、大きなアップダウンがなさそうなのが幸い。
こうして東仙波に到着。登山口から3時間弱でした。
今回の縦走路の中で一番展望の良いピークがここです。
開けていて平らで、それなりにスペースもあるので休憩するにも打ってつけのポイント。
いやいや、本当にカラマツの紅葉と富士山の展望が見事すぎるわ。
特に唐松の色づきは、こうして俯瞰してみることで初めてその規模の大きさがわかります。
しかもここはまだ序の口で、紅葉のハイライトは和名倉山の山頂付近にありました。
この先にさらなる紅葉が待っているとも知らず、北側へ稜線沿いに進んでいく。
なんせまだ距離があるので、下山が暗くならないように休憩もそこそこに。
遠くから眺めていた通り大きなアップダウンもなく、特に中盤あたりは平坦になって歩きやすくなります。
展望が再び遮られていくのはご愛嬌。
稜線に広がる森の中へ。
苔むす森がちょっと神秘的。先ほどまでの笹の草原とは一気に世界観が変わりました。
そしてこの森歩きが少し要注意で、横に広くてルートも不明瞭なので道を見失いやすいです。
ピンクテープは所々にありますが、GPS頼りに進みましょう。
見上げてカラマツの紅葉が再び見えるようになってくれば、それが山頂に近づいた合図。
ここら辺は遠目から見るとすごい色づきになっていて、それを見れるポイントがこの先にありました。
所々に赤い紅葉も点在。
少し時期が早かったようで真っ赤というわけではなかったですが、グラデーションがかかっててこれはこれで華やか。
ひたすら北へ直進していくと、やがて二瀬分岐というところに着きます。
左の二瀬方面は埼玉の秩父側から登ってくるルート。距離的には確か秩父ルートの方が短かったはずですが、ひたすら展望のない急登と聞いたことがあるので修行登山になるかもしれません。お気をつけください。
埼玉側から登る人も割といるようで、ここら辺で何組かとすれ違いました。
分岐を右に折れて山頂方面へ。
ここら辺に生えてる木々は、ほぼ全てが唐松です。見上げればどこもかしこも真っ黄色。
そして一瞬でも展望が開けると、もうあたり一面がカラマツの紅葉風景。
もっと高いところからこの紅葉を見下ろしたい欲求に駆られる。
途中、カラマツの枝が密集するところを通過することになりますが、これがチクチクするので長袖推奨。
すれ違うのも困難なほどの狭さですが、距離は大して長くないです。
そして途中、左に折れて高台に登れそうなポイントがあったので帰りに立ち寄ってみることに。
こうして再び樹林帯に包まれ、そして展望が開けることなくそのままゴール。
どこがピークなのかもわからないまま進んだ先に、この光り輝く標識を見つけました。
標高2036mの和名倉山。日本二百名山にも選定されている名峰ですが、噂通り山頂からの展望は皆無です。
14年後の2036年にもしかしたら人気が出る山かもしれませんね。
自分はおそらくもう登りに来ることはないと思うので、せめて標識だけはじっくり見ておきます。(フォントが非常に上品に感じました)
ところで、この山は白石山という名前も持っているそうですが、呼び名の使い分けはよく知りません。(甲斐駒ヶ岳と東駒ヶ岳のようなもん?)
山頂の周りはこんな感じの森の中。
登頂の余韻に浸るよりも、先ほどのカラマツゾーンが気になって仕方なかったので軽く休憩してきた道を戻ります。
そして行き着いたのがここ。
先ほどのチクチクカラマツゾーンを少し登ったところが開けていて、周囲を一望できるようになってました。
すんごい色づき!
まさに見渡したかったのがこの景色、この色。
数分前の和名倉山山頂がすっかり陰に押しやられるくらいのインパクト。一面が黄金色に変貌しました。
遥々歩いてきた稜線も見渡せます。
そして雲が出てきましたが、富士山もまだしっかり見えてました。
いや〜、この景色を見れたのでもう大満足。
秋の和名倉山に登るのであれば、お目当てはこのカラマツの紅葉しかないと思う。
ぜひタイミングを合わせて訪れてみてください。
あとはひたすら来た道を戻る。
展望の良い東仙波を経て、問題の藪漕ぎゾーンをやり過ごせば、後は早いもんです。
14:50、登山口に下山完了。
往復8時間ほどの行程でした。多少巻けたかな。
ここ最近の日帰り登山からすると、久しぶりにガッツリ歩いた感じで結構疲れました。
民宿みはらしに到着。
ここで宿のおばあちゃんがお茶や果物を御馳走してくれたので、しばしご歓談。煮物なんかもいただけて疲れ吹っ飛びました。
もてなして頂き本当にありがとうございました。
下山後の温泉は「丹波山温泉のめこい湯」。日帰り入浴900円。広さ、綺麗さ十分。道の駅併設なので、風呂上りに買い物も楽しめます。
こうして2021年最後の紅葉登山となった奥秩父・和名倉山が終了。
久しぶりにお初の山で、道中で見た全ての景色が新鮮でした。
個人的に気に入ったのは、途中の東仙波から見た富士山とカラマツの紅葉風景!秋らしい澄み切った青空に冠雪した富士の姿が印象的でした。
日本二百名山に選定はされてますが、やはり人が少なかったので週末でも静かな登山が楽しめます。
日帰りで登る場合、ルートは山梨側からと埼玉側からの2つありますが、どちらも長丁場になるので、時間に余裕を持ったスケジュールで登りに行ってください。
奥秩父・和名倉山へ日帰り紅葉登山。
おしまい。
【日程】
2021年10月24日
【コースタイム】
6:40 民宿みはらし
8:00 牛王院平
9:20 東仙波
11:00 和名倉山
12:40 東仙波
14:50 民宿みはらし
コメント
お久しぶりです。
和名倉山に注目されるとはさすがです。そしてこのコースは、これぞ奥秩父という感じがします。
10年前のほぼ同時期に歩きました。みやっちさんと違い、将監小屋で1泊しましたよ(笑)
仰るとおり、途中の展望や静かな稜線歩きが印象に残っています。途中で会った唯一のパーティーは、南北に縦走すると言ってました。
こういうご時勢だから、文句を言っちゃいけないのでしょうが、1泊13,000円とか予約せよとか、山ノボラーには不自由な状況になってきました。
みやっちさんはまだまだ体力があり余ってらっしゃるでしょうが、名実ともに高齢者になった私は、山麓の温泉でも泊まって、日帰りの山歩きのほうが楽しそうかなと考えるこのごろです。
お久しぶりですね。
コメントありがとうございます。
和名倉山はなかなか渋い山でした。紅葉真っ盛りでありながら、人も少なく富士山の展望と笹の稜線。仰る通り、これぞ奥秩父の山という感じでした。
事前に聞いてはいましたがなかなかのロングルートで、久しぶりにたっぷりと歩いた1日でしたよ。
最近は登山の回数がめっきりと減って、体力も著しく落ちている状態です。。今年は天気もイマイチで、なおかつ山小屋やテント場も事前予約が必要なところが増えているので、直前に思い立って山に行くというのがしづらくなってきましたね。
このご時世である以上、仕方のないことかもしれませんが、過去の自分の記録を振り返ってみると、色々と好き放題登り歩けていた時代が懐かしく感じます。