ゴールデンウィークに北アルプス・白馬岳へ1泊2日の山小屋泊(白馬山荘)で雪山登山に行ってきました。
ルートは栂池高原からの往復。GW期間中もロープウェイとゴンドラが営業してくれているので、これを利用して登ることができます。
雪の稜線から眺める景色はもう絶景!五竜岳~鹿島槍ヶ岳や立山~剱岳など近隣の名峰たちを一望できました。山荘から見た夕日も素晴らしかったです。
まだ3000m級の山では雪が残る4月~5月のゴールデンウィーク期間。
北アルプスでも登るとなれば雪山装備が必要ですが、4月中旬の上高地開通を皮切りに、いくつかの山小屋は営業を開始してくれます。
白馬山荘もその1つ。
一度は泊まってみたかった白馬山荘を利用して、満を持して北アルプスの白馬岳へ!1泊2日のGW残雪登山に行ってきました。
2023年5月2日~3日 白馬岳 山小屋泊登山
数年前からGW期間中に登りたいという話は出ていたものの、天気とのタイミングが合わずになかなか行けなった白馬岳。
2023年にようやくチャンスが巡ってきました。
スタートは栂池高原。(上は吹雪か、雲の圧がすげぇ……)
ゴンドラとロープウェイを使って、栂池高原スキー場から往復するルートで行きます。文明の利器を駆使して標高は稼げるものの、山頂までの距離はやや長め。
ゴールデンウィークの時期であれば、ここ以外にも白馬大雪渓や白馬岳主稜から登る人もいます。白馬山荘に泊まるのであれば、栂池よりも雪渓ルートを選択する人が多いかもしれません。
始発便のゴンドラを待つ。登山者3割、バックカントリー勢7割という感じ。
登山者もこの日に白馬山荘まで目指したのは自分たち以外ではたぶんお一人だけだったと思います(このお一方とは同じペースで登りつつ、山荘に着いてからも色々とお話させてもらいました)。
8時半にゴンドラ運行開始。
例年であればゴールデンウィーク期間中はまだスキー場が営業しているのですが、今年は少雪で早々に営業終了(一部のコースだけ開放)。下の方は全く雪が残ってない……。
スキー客がいないのもあって、駐車場もそれほど混んでいなかったです。
ロープウェイも乗り継いで、朝の9時過ぎにゲレンデトップから登山開始。
ロープウェイを降りたところにある栂池山荘も例年であればゴールデンウィーク期間中に営業開始となるのですが、今年はまだ営業していませんでした。(栂池ヒュッテは2023年営業休止)
スタートからアイゼン装着して登っていく。
最初がいきなり急登で、この坂が結構しんどい。一気に息が上がります。
夏道はまだ完全に雪に覆われているので、雪の斜面を九十九折りにひたすら登っていきます。
前後にいるのは同じロープウェイで上部まで来た人たち。ここら辺はトレース泥棒も織り交ぜながら、いかに楽に登るかを模索する。
誰かが敷いたレールの上を歩く登山、自分は全然嫌いじゃない。
最初の急斜面を登り切ったところが天狗原。夏は木道の湿原が広がる場所ですが、今は当然雪に覆われてます。
目の前に立ちはだかる壁が白馬乗鞍岳。この栂池ルートで一番の急登を強いられる箇所があそこです。
そして、雪崩がよく発生する危険ポイントでもあります。
バックカントリー勢が滑る斜面中央部が良く雪崩れるので、そこは避けて比較的傾斜が緩やかなところを登っていく。
慎重に、かつスピーディーに。
でも、急ぎたいけど急げない。いつの間にか自分たちが先頭に立ってしまい、トレース泥棒ができなくなったから。。。
実際、バックカントリーの人たちはこの白馬乗鞍岳の斜面がお目当てで、ここを目的に登っている人が多いです。お目当てのポイントに到着だから、みんな先は急がない。
写真ではわからないですが、振り返ると天狗原の雪原でみんなのんびり休憩しとるぞ。
自分たちはまだ先が長いので、休憩もそこそこに登っていく。もっと登山者いるもんだと思ってたけど、そんなにいないんだね。
急登を無事に登り切って白馬乗鞍岳に到着。
山頂とは思えない平坦な台地の中央にケルンと標識があります。
ここら辺は岩がたくさん出ていてアイゼンつけての歩行が非常にしづらかったです。例年だったら、もっと雪が積もっていたのかもしれません。
そして、この白馬乗鞍岳のすぐ近くにあるのが白馬大池。
この時期は当然ながら白馬大池も雪の下。あの白い大地へひとまず下ります。
ちなみに夏はこんな感じ。(2019年夏の白馬岳登山より)
この上なく美しい青い湖が広がる場所です。
ゴールデンウィークの白馬大池に到着。一面雪に覆われて、これまでとは別世界の景色が広がっています。
この景色一つにも白馬岳のスケールの偉大さを感じ取る。ちょっと衝撃を受けた景色で、ただひたすら感動しておりました。
全面凍結しているとはいえ、部分的に溶けかかっている箇所もあるので、池の横断は自己判断で。
白馬大池の雪原に一人たたずむ男。
そうです、まさきです。
今年もこの男とこうしてアルプス登山にやってきました。
白馬大池のほとりにあるのが白馬大池山荘。
この山小屋もゴールデンウィークの時期はまだ雪に埋まった状態で、営業も当然していません。
テント泊登山の場合は、初日にここで1泊して2日目に山頂アタックする人が多いようです。
時刻は12時。まだ先が長いので軽く休憩して先へ進む。
まず目指すのは右奥に見えている小蓮華山。あそこまでが近いようで結構遠い。
少し登ったところから眺める白馬大池。
稜線上はだいぶ雪も減ってきてますが、あの池の雪が溶けるのはまだ1ヶ月以上先のこと。
さすが、北アルプス最北の地。豪雪ですね。
登るにつれて右手に見えてくるのが雪倉岳~朝日岳方面の展望。
例年に比べると少雪の冬だったとは言え、あちらもまだまだ真っ白です。
小蓮華山へと続く稜線。
ここら辺は急登と呼べる箇所も少なく、両サイドも比較的なだらかなので危険箇所は少ないです。
それでも、久しぶりの冬靴+アイゼンに重い荷物で結構バテてきてる。
白馬大池から1時間ほどで船越ノ頭に到着。
山頂の雪はほとんど吹っ飛ばされて、砂地が出ていました。
この先の稜線区間もこんな感じが多く、アイゼン脱ぐか履くか非常に悩ましい道が続きました。終わってみれば、最後の急登以外はチェーンスパイクが正解だったかもしれません。
1つピークを越えてまた次なるピーク。
ここら辺も見た目はなだらかですが、結構辛かったポイント。
何より写真では伝わらないですが、ここら辺から風がかなり強くなって押し返すような強風の圧が厄介でした。
たまに出てくる雪の急斜面。
照り付ける日差しは強烈なのに吹き付ける風は冷たい。
俺は今、暑いのか寒いのか、どっちなんだぃ!
歩いてきた稜線を振り返る。左奥に見えているのは火打山、妙高山などの北信五岳か。
歩いているのは雪の上でも、記憶にある夏の穏やかな白馬の稜線は確かに感じ取れます。
やっぱりここは歩きやすい。
展望もさらに凄みを増して、目指す白馬岳山頂はもちろん、その先の五竜岳、さらにその奥に連なる北アルプスの名峰群がどんどん見えてきました。
被写体になっていただいたのは自分たちと同じペースで登られていたソロハイカーさん。
稜線上は自分たち3人だけ。GWの白馬岳ってもう少し人がいると思ったけど、全然でした。
船越ノ頭からさらに1時間ほどかけて小蓮華山に到着。
標高2766m。白馬岳登山の中間地点という位置づけのピークですが、ここは何気に新潟県の最高峰でもあります。
新潟県の一番高いところでしばし休憩。
だいぶ疲れてきたけど、徐々に白馬岳山頂も近づいてきました。
景色が最高なので、いくらでも眺めていられる。
雪倉岳~朝日岳方面の展望。
あちらの稜線もずいぶん前に歩いたっきりだし、そろそろまた行きたくなりました。
小蓮華山から先へ。
この先もしばらく穏やかな稜線は続きますが、何より風が強い。暴風とは行かないまでも、顔を出していると凍傷になるんじゃないかってくらいキンキンに冷えた風が吹き付けてました。
足元は砂利道でも、今やっているのは紛れもなく雪山登山。
神々しさを感じずにはいられない白馬岳と五竜岳の展望。
山頂からの展望はもちろん良かったですが、ここら辺からの眺めが非常に山岳感あって、迫力は随一だったと思います。
稜線での一枚。
こんなに人のいない白馬の稜線は初めて。
平坦で駆け抜けたくなるような稜線も、強風で全然前に進まないのが情けない。
振り返って見る小蓮華山。
まさきも自分も、ここら辺はポンコツっぷりを遺憾なく発揮してスローペースで行きました。
山頂がだいぶ近づいてきた。
正面に見えている雪の斜面が本日最大の傾斜だったと思います。
距離は短いし、滑り落ちたところで広い稜線が受け止めてくれるけど、すり減った体力の中であの登りは結構きつかったです。
景色を眺めて気を紛らわす。
ここら辺まで来るとおにぎり型の旭岳が見えてきて、さらにその左奥には岩の殿堂・剱岳も見えてきました。
ここら辺からもう一段テンションが上がるところ。
後ろを振り返って見ても絶景。
雪倉岳~朝日岳の稜線と合流して、歩いてきた道と合わせて一望できます。
眺める奥は日本海。
ここは北アルプスの中でも最北のエリア。海も非常に近くに感じます。
白馬岳最後のビクトリーロードに突入。
ここまで来ればもう怖いところもなし。あの突き出たピークまでスキップしてやりましょう。
こうして何とか無事に白馬岳に登頂。
本当に疲れた……。高低差よりも距離にやられた感じ。あと風。
ずっと天気が良かったのだけが幸いです。
山頂からの展望。
正面奥に見えている山は立山~剱岳。
あちらもGWに合わせて立山黒部アルペンルートが開通されたので、今頃賑わっているんでしょうね。
登ってきた方面。
奥は日本海、空の濃いブルーには宇宙を感じます。
本日のお宿は山頂のすぐ近く。
下っていくと、頼もしい建物が見えてきました。
白馬岳山頂直下にある白馬山荘。
オシャレなテラスがあることで有名。北アルプスの中でも非常に人気で大型の山小屋です。
あいにくテラスは雪に埋まっていましたが、念願の白馬山荘、ようやく泊まることができます。
初めて足を踏み入れた白馬山荘。
廊下一つでもう驚き。ここは下界の旅館かっ!ってくらい清潔感に溢れてました。
宿泊者も意外と少なかったようで、有難いことに個室が使えました。
こうして残雪期に白馬岳に登れるのもこの小屋がゴールデンウィーク期間中に営業してくれてるから。
本当に感謝です。
山荘から眺める夕日が本日最後の絶景。
旭岳に陽が沈んで行くのをずっと見ていた。
久しぶりに山から眺める夕日は格別でした。
白馬山荘から眺める夕陽
5月ともなれば陽が沈むのもだいぶ遅くなって、19時過ぎにマジックアワー。
淡い色に染まる五竜岳や剱岳が美しかったです。
居心地最高だった白馬山荘。
自炊場では他の登山者とも色々と話せて、久しぶりに山小屋らしい過ごし方ができました。
コロナの影響で色々と山界隈も変わってしまったけど、なんだか懐かしさも感じて嬉しかったです。
こうして1日目が終了。
真っ白な白馬大池に稜線から眺める白馬岳~五竜岳の展望、山頂から眺める立山~剱岳、そして山荘から眺める夕陽。
どれも素晴らしい景色で、充実した1日を過ごせました。
2日目に続く……
【日程】
2023年5月2日~3日
【コースタイム】
9:10 栂池高原ロープウェイ乗り場
11:20 白馬乗鞍岳
12:00 白馬大池
13:00 船越ノ頭
14:10 小蓮華山
16:00 白馬岳
16:20 白馬山荘
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