【南アルプス】上河内岳~聖岳~光岳 畑薙ダムからテント泊縦走登山(前編)

【南アルプス】上河内岳~聖岳~光岳 畑薙ダムからテント泊縦走登山(前編)

2泊3日で南アルプス南部の上河内岳~聖岳~光岳をテント泊縦走してきました。

長野側登山口の易老渡が林道崩壊中でアクセス困難なので、今回は静岡側の畑薙ダム(沼平ゲート)を基点に、聖岳まで登っては戻り、光岳まで登っては戻るという、放射状登山のような変則ルートを取りました。

今年最初のテント装備というのに加えて、1日目の茶臼小屋までの急登がとにかく長く展望もないので、過去最高レベルに辛い登山となった今回。かなり大変ではありましたが、3000m級の山の迫力はやはり桁違い!稜線に出てからは素晴らしい景色の連続で、久しぶりに奥深い南アルプスを堪能できました。

まずは1日目の畑薙ダムから上河内岳~聖平小屋までの記録です。

 

急登の果ての上河内岳の大絶景―――

 

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2016年から策定された8月11日の『山の日』

特にこの日を狙っていたわけではないけども、今年中にどうしても歩いておきたかったのが、南アルプス南部の聖岳~光岳。北、中央、南の日本アルプスに鎮座する日本百名山の中で最後に残った2座となります。

もともと昨年の9月のシルバーウィークに登る予定だったんだけども、こちらの記事にも書いてある通り、出発する直前に易老渡登山口までの林道が崩壊し、あえなく断念。

現在もその林道は通行止めで、一部指定車両(タクシー)のみ予約制で通行可能になってますが、このタクシーも道路状況によって運行見合わせになることもあるらしく、、、やはりとことんアクセスがものをいう南アルプス南部領域。

長野側の易老渡から登れば、聖岳~光岳を綺麗に周回できるのですが、そんな道路事情もあるので、今回は確実に登るべく静岡側の畑薙ダムから登ることにしました。

 

畑薙ダムを基点にする場合、聖岳・光岳それぞれを登っては戻っての繰り返しになるので、正直なところ無駄が多いのは事実……。あまり強くお勧めはできないですが、それなりに頑張れば2泊3日でも歩けるコースですし、色々と制約が絡む東海フォレストのバスを利用する必要もなし。道中は危険個所もなく、何より上河内岳の稜線は往復しても十分に楽しめる開放感に満ちた登山道でした。

 

こんなコース滅多に歩く人いないんだろうなぁ~と思って、いざ現地入りしてみたら、まさかの同じルートを同じ日程で歩くお仲間さんと出会う奇跡もあり……(笑)

今年最初のテント泊縦走登山。心底疲れ果てた2泊3日の山旅でした。

 

~~ 2016月8月11日~13日 上河内岳~聖岳~光岳縦走登山(1日目) ~~

南アルプス南部は登山口までが遠い上に、畑薙ダムからは東海フォレストが運行するバスに乗り換えないといけない。しかもこのバスが、指定の山小屋に宿泊という条件付きなので、これが南アルプス南部の敬遠されている理由だったりもする。。。

今回のルートの利点は、そんな一癖あるバスを利用しなくて済むところ。

 

畑薙第一ダムから少し奥へ行ったところの沼平ゲート。このゲートまで一般車両で来ることができます。

「大浜までいけいけ♡!」という垂れ幕が目に飛び込む。

 

ご存知の方も多いと思うけど、ちょうど「トランスジャパンアルプスレース(TJAR)2016」が開催中。2年に一度開催される日本海の富山湾から太平洋の駿河湾へと抜ける、超過酷なトレイルレース。

この日は開催5日目で、ちょうど選手たちが南アルプスに入ったあたりなので、この山旅の過程で何人かのランナーとすれ違うことになりました。

 

沼平ゲートの駐車場はこんな感じ。これからお盆休みへと入る時期。駐車場は満車で、途中の畑薙臨時駐車場もすごいことになってました。

初めての山の日。北アルプスは当然混むだろうから、あまり人気のなさそうな南アルプス南部にしよう……、という考えもやや安直なのかもしれない。そう考える人も当然たくさんいるわけで、南アルプス南部だって盛況する。

ただ後述するけど、テント場が割と空いていたあたりは、やはり山深い南アルプス南部だな~という気がしました。

 

6時20分スタート。

沼平ゲートからはしばらく林道歩き。畑薙ダムを横目に、登山口となる畑薙大吊橋まで道なりに進んで行きます。

この手の単調な林道歩きは、ある程度距離が長くても行きは不思議と苦にならない。しんどいのは帰り……

 

30分ほど歩いて畑薙大吊橋に到着。ここは聖岳と光岳のちょうど中間の位置にある茶臼岳登山口

茶臼岳自体も日本三百名山に選定されているブランド力のある山です。

 

この登山口のシンボルになっている巨大なつり橋。全長181mの畑薙大吊橋。そこまでの揺れはないけど、かなりの高度感なので高所恐怖症には少しきついかもしれない。途中すれ違い困難なので、向こうから歩いてくる人いたら通過するまで待った方がいいです。

初っ端からなかなかのスリル味わえました。

 

吊り橋を越えたら、いよいよ登山道。ここから先、稜線に出るまで展望のない道がひたすら続きます。

登山史上、精神的にも体力的にも一番きつかったんじゃないかっていう登りがこれから始まる……。

 

序盤はフシグロセンノウというオレンジの花が目立って咲いてました。

重たいザック背負っていると、足元に咲く花を撮るのも一苦労だったりする……(^^;

 

少し登ってヤレヤレ峠に到着。

ヤレヤレなのはここからいったん下るから。つまり帰りは登り返さないといけない。

┐(´д`)┌ヤレヤレだぜ……

 

沢まで降りる。スタート地点の沼平ゲートよりも低い900mほどまで標高を下げて、ここから登り一辺倒になります。

 

急登に差し掛かる前に小さい吊り橋をいくつか渡ります。

先ほどの大吊橋と違って、こちらは揺れが大きくて、足元に穴も開いてるトラップもあったり。

沢沿いは涼しいはずなのに、久しぶりの重たいザックで、汗が滝のように流れ落ちる……。

 

標高1000m。スタート地点と全然変わってない……

ここから無慈悲のカウントアップが始まります。

 

沢から離れると傾斜も徐々にきつくなってくる。

南アルプスの森を無心になって登る。

 

ウソッコ沢小屋に到着。避難小屋としてもあまり利用したくはない、見た目荒れ果てた小屋。

内部はそれなりに綺麗でした。

 

軽く休憩して先へ。そしてこの吊り橋を渡ろうとした瞬間、前からTJARの選手がやってきました。

 

オレンジのヘルメット持ったこのお方。この時は気づかなかったんだけど、後々聞いてみたら今大会優勝者の望月さんでした。大会4連覇で、今回に至っては大会新記録樹立で全コース踏破5日間切るという……

脅威としか言いようがない。すれ違ったとき、登り始めてまだ2時間も経っていない自分のほうが明らかに足取り重かったな(^^;

 

長いハシゴが連続する箇所もあったり。

ここは標高を一気に上げてくれるから、個人的にはうれしかった。

 

それでもまだ1300m……。無慈悲に突き付けられる。

なんだここは。。。体力的には倍くらい登った疲労感なんだが。

 

中の段に到着。辛いのが、こういうチェックポイントに到着しても、何一つ展望が開けないところ。

 

たまに森の合間から稜線が見えたけど、厳しい現実を突きつけられるだけ。

目指す稜線はまだはるか先……

 

途中端折るけど、これ以降も頑張って登ってます。(樹林帯の頑張りは写真では伝わりづらいのが惜しい…)

 

歯を食いしばって登って、何とか横窪沢小屋に到着。沼平ゲートを出発して3時間、ペースは悪くないんだけどとにかく汗びっしょり。

久しぶりに打ちのめされております……

 

水が豊富だったのでガブ飲みしてやろうと思ったら、小屋の方から麦茶を頂けた。これが身に染みるほどうまかった。

本当にありがとうございます(´;ω;`)

 

小屋もスタッフも雰囲気がすごい良くて、とても居心地が良かった横窪沢小屋。入口に掲げられた「一期一会」の文字も温かみがあってなんだかいい。

今回のルートが無事に登れれば、もしかしたらこの登山道は二度と登らないかもしれない。この小屋へ来る機会もないかもしれないので、下山時はここでゆっくり休憩しようと決めた瞬間でした。

 

小屋で少し休憩して先へ。樹林帯の急登はまだまだ続きます。

ここら辺まで来ると、だいたい同じペースで登る人が2,3人ほど周りにできて、抜きつ抜かれつの繰り返し。小屋でも少し話したりしたけど、みんなかなり辛そうでした。

 

樺段という場所に到着。相変わらず展望一切なし。

ここまで潔く展望を遮られると、逆に吹っ切れてくる。もう稜線に出るまで展望なくていいよ(笑)

 

重たいザックも徐々に慣れてきたのもあって、終盤のほうがむしろペースは良かったかもしれない。

無慈悲な標高カウントは見ないようにしてたけど、この標識が見えた時は心底嬉しかった。あと10分で、ようやくこの苦しみから解放される……

 

突然開けた展望。すぐに茶臼小屋と色とりどりのテントが飛び込んできた。

ごく普通の山小屋風景が、楽園にさえ見えたこの景色。空が見えるって素晴らしい!

 

11時30分、茶臼小屋に無事に到着。ここまで5時間、展望のない樹林帯の登りがようやく終わりました。

 

小屋のテラスからの展望!有名な山が見えるってわけじゃないけど、この日初めて開放的な気分に浸れた瞬間。風も心地よくて序盤の辛さが一気に報われました。

 

小屋の湧水、これがまた冷えててものすごいうまい!

今年の夏は雨が少なくて、山小屋でも各所で水不足が発生してました。その心配もあって水を多めに持って登りはしましたが、結果的にはどこの水場でも水が汲めました。後々書く、光岳小屋手前の静高平の水場でさえ豊富に流れてたので、水はもう少し軽くできたなと、少し後悔。。。

 

茶臼小屋のテント場。こんな感じで山の斜面に小さいスペースが点在しているテント場です。それほど多くは張れず、昼前にしてすでにかなりの数のテントが張られてました。

ここにテントを張りっぱなしにして茶臼小屋をベースに聖岳と光岳をそれぞれ往復する人もいるみたいですが、その場合、日数としては余程健脚でもない限り3泊4日が必要になると思います。

今回はお休みが3日間しか取れなかったので、もう少し頑張って歩いて聖平小屋を目指します。

 

小屋に張られていた、現時点でのTJARの選手状況。これを見て、途中ですれ違った方が1位の選手だと知り、さらにこの後2位以降を大きく突き放しているのを知って、驚きを隠せなかった。

まぁ、聞いてみたらこの大会にエントリーするだけでも相当大変なことらしいので、ここに書かれている人みんな鉄人の集まり。挑戦するだけですごいこと。

 

茶臼小屋まで来たら稜線はすぐそこ。聖平小屋目指して出発します。

この出発の直前、まさかのこの場所で久しぶりなお仲間さん(後々登場する日傘野郎)に遭遇。話してみたら、まさかの同じ日程、同じコースをたどるそうなので、要所要所でご一緒することに。

 

小屋の周りにはお花畑が広がってます。特に綺麗に咲いていたのがトリカブト。聖岳方面にもたくさん咲いてました。

 

コバノコゴメグサ

 

12時ちょうど、ついに稜線に出る!

登山口から1500mの標高差を登り切って、ようやくありつける至福の時。奥には目指す聖岳もバッチリ見えました。

 

こちらは明日歩く予定の光岳方面の稜線。明日はここまで戻ってきて、さらに光岳まで長い道のりを歩かなきゃいけないけど、こっちもなかなか面白そう。

光岳は南アルプスの中では標高が低いので、遠目で見るとそこまで目立たない山です。

 

今日はひとまず聖岳方面へ。ずっと森の中を黙々と歩いてきたから、この開放感と言ったらたまらなかった!

やっぱり山歩きは稜線に限る。広々とした稜線は、想像していた通りの素晴らしい道でした。

 

目指す上河内岳が見えてきた。今回、聖岳と合わせて楽しみにしていたのがあの上河内岳。

去年、笊ヶ岳に登った時に正面に見えていた山。あれ以来、憧れが強くなって聖岳に登るときには絶対に合わせて登りたいと思ってた。

 

優雅な稜線が続く。今回のルートで一番穏やかな稜線が広がっているのが、この茶臼岳から上河内岳の区間。

そう何度も来れる場所じゃないので、ここを往復するというのも、あながち間違ったルート選択ではなかったかもしれない。

 

少し稜線から標高を下げたところに広がる草原地帯。

この草原も雄大な山岳風景の1つとして、歩いていて気持ち良い場所でした。

 

目の前にそびえる上河内岳。ここからのアングルが一番迫力ありました。

左側からぐるっと回りこむように登ります。一見するとかなりの標高差あるように見えますが、実際歩いてみるとそこまで苦ではなかったです。

 

ずっと見えている聖岳がまたカッコいいし、恐ろしくでかい。鋭利な山容が多い北アルプスに対して、南アルプスの山はどっしりとおおらかに構えているイメージがある。

今年初の3000m超えとなる山。

あれに登るのかぁ~と感傷に浸っていたころ、後ろから奴が現れた(笑)

 

日傘野郎め~!茶臼小屋で久しぶりに会ったお仲間、ウルトラライトたかし。荷物軽いっていうのはかなりのアドバンテージだなぁ~と今回猛烈に思わされた登山でもあった。

軽々と抜かれていきましたとさ……

 

近づいてくると上河内岳もまた少し違って見える。穏やかなカールを帯びた山容。

右が山頂、左の少し低いところが上河内岳の肩

 

歩いてきた稜線を振り返る。明日、ここを通るときはガスってしまったので、初日に見たい景色を見られて良かったです。

 

上河内岳の肩から山頂へ。登り10分ほど。短い区間ではあるけども、荷物を置いてアタックできるのが大変ありがたい!

 

登るにつれて聖岳の背後に見えてくる、赤石岳荒川岳。あちらも標高3000mを超える巨大な山。

1つ1つがどっしりとそびえるこの景観こそ南アルプス。

 

13時30分、標高2803mの上河内岳に到着。日本二百名山にも選定されている山です。

2016年の『山の日』は、ここ上河内岳に登頂となりました。

 

驚くほど空いた山頂。畑薙ダム駐車場はすごいことになってたけども、登山道自体は比較的静かなもんでした。

 

上河内岳から眺める聖岳~赤石岳~荒川岳。いずれも3000mを超える山々。南アルプスの山は1つ1つが本当にでかい。

たくさんの山が連なっている北アルプスとはまた違う世界観。1つ1つが大きいので登るのはかなり苦労させられるけど、山の存在感、迫力と言ったら凄まじいものがあります。

 

特に上河内岳は聖岳の絶好の展望台!良く見ると左下に小さく聖平小屋も見えました。

小屋からずいぶん距離があるけども、明日はあの山頂で今日以上の絶景を目にすることになりました。

 

まだ聖平小屋まで時間がかかるので、展望をしばらく楽しんだら下山。2日目に戻るときは、ここらへんに雷鳥がいたようです。

 

荷物を回収して引き続き稜線ハイク。

この先、南岳までの区間にお花畑が広がってます。

 

マツムシソウ

 

トリカブト

 

タカネナデシコ

紫系の花が綺麗に咲いてました。

 

南岳到着。山頂はそこそこ広かったです。

明日、戻るときにこの南岳までの登り返しが結構つらかった。。

 

ここから聖平小屋まではひたすら下り坂。もったいないくらい標高を下げます。後半は再び樹林帯に入っていく…。

途中ガレ場もありますが、危険個所は特になし。今回のコースは全体的に道も明瞭で危険区間もなく、単純な体力勝負なルートだと思います。

 

樹林帯に入る前に聖岳を目に焼き付けておく。

どうか明日も山頂に行くまでは晴れていてほしい……

 

樹林帯の中を黙々と下っていき、突然開けた場所に出たら小屋もすぐそこ。

この小屋に着く直前でも、選手の一人とすれ違いました。TJARの応援なのか、登山道には選手以外にもトレランの軽装の人が結構多かった気がします。

 

木道を伝って本日の宿へ。枯木が立ち並ぶ光景は、大台ヶ原あたりを彷彿させる不思議な空間でした。

見上げる聖岳が絶望的なほどでかく遠い……

 

15時20分、聖平小屋に無事に到着。6時20分にスタートしたから、実質歩いたのは9時間程度。12時間以上歩いたような疲労感がありました……

 

こちらが聖平小屋名物、フルーツポンチ!ウェルカムサービスということで、宿泊者(テント泊も)全員に振る舞ってくれます。

火照った体に冷たいフルーツは最高に美味しかった!紙コップ一杯にもらえるので、なかなか贅沢な量を頂けます。横窪沢小屋の麦茶もそうだったけど、今回訪れた山小屋はどこもサービス精神が素晴らしい!山小屋はどこも居心地最高でした。

 

こちらが聖平小屋のテント場。なかなか広くて、まだ十分にスペースはありました。

混んで張れなかったらどうしようかと思ってたけど、全然杞憂に終わって良かった。

 

偶然出会えた旅の仲間とささやかな祝杯!

 

明日は朝一で聖岳を登って、光岳小屋まで行かないといけないので、今日以上のロングコース。ヘトヘトに疲れていたので、早朝3時に目覚ましをセットして、19時には眠りにつきました。

 

とりあえず、1日目の記録はここまで。2日目も続けて書こうとしたら、かなり長くなってしまったので、分けることにしました。引き続き2日目の怒涛の聖岳~光岳編へ。

 

続く……

 

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【日程】

2016年8月11日~13日

【コースタイム】

・1日目

沼平ゲート(6:20) — ウソッコ沢小屋(8:00) — 横窪沢小屋(9:20) — 茶臼小屋(11:30) — 上河内岳(13:30) — 聖平小屋(15:20)