【北アルプス】冬の唐松岳 大雲海の絶景と暴風 夜行バスで行く日帰り雪山登山

【北アルプス】冬の唐松岳 大雲海の絶景と暴風 夜行バスで行く日帰り雪山登山

1月初旬に北アルプスの唐松岳(標高2696m)へ日帰りで雪山登山してきました。

冬でも白馬八方尾根スキー場のゴンドラとリフトを使えるので、文明の利器を駆使して一気に標高1850mまで上がってからのスタート。ゲレンデトップから展望の良い八方尾根をひたすら登って山頂を目指すことになります。

夏場であれば豊富な高山植物が咲く穏やかなトレッキングルートですが、冬はまるで別世界。特に今回は天気こそ良かったものの、身体が吹き飛ばされそうなほどの暴風に直面して、中盤以降はなかなか過酷な状況下での登山となりました。

それでも冬の北アルプスのスケール感はやはり別格で、八方尾根から眺める真っ白な白馬三山と五竜岳~鹿島槍ヶ岳の展望、さらに見渡す限りの雲海が敷かれた光景は、まさに絶景でした。

【北アルプス】冬の唐松岳 夜行バスで行く日帰り雪山登山


白馬岳と五竜岳の間にそびえる標高2696mの唐松岳(からまつだけ)

日本を代表する豪雪地帯・白馬エリアに属する山ですが、白馬八方尾根スキー場のゴンドラとリフトを使って標高1850mまで一気に登れてしまうので、冬季の雪山シーズンでも”北アルプスの中では”比較的登りやすい山とされています。

……とは言っても、あくまで北アルプスの中ではのお話。日本海側特有の冬の嵐を強く受ける場所で、余程の好条件に恵まれない限りは、夏場とは比べ物にならないほど過酷な山行となります。

冬の唐松岳には4年前に一度登りに行ったことがあるのですが、よく覚えているのは台風並みの暴風にさらされて危うく途中撤退しかけたこと。(2014/3/22-23 唐松岳登山の記録

そしてそれは今回も同じで、特に前回が小屋泊だったのに対して、今回は日帰りという時間的制約もあったので、条件的には結構厳しかったです。

暴風吹き荒れる唐松岳へ、4年越しに再び挑むことになった山旅の記録。

2018年1月7日 北アルプス・唐松岳 日帰り雪山登山

例によって今回も公共交通利用。

唐松岳に至っては、冬場でも白馬八方までの夜行バスがあるので、アクセス面で言えば八ヶ岳や南アルプスなんかよりも格段に楽です。

新宿~白馬八方 夜行バス

正月明けもまだ間もない1月3連休の1月7日。バスタ新宿から白馬八方行きの夜行バスに乗車。登山の恰好した人が少なかったの少々意外ですが、冬季は白馬八方尾根スキー場までのスキーツアーバスも利用できるので、公共交通手段でも行く手立ては豊富に用意されています。

白馬八方バスターミナル

翌朝6時30分に白馬八方バスターミナルに到着。スキー場としても人気のエリアなので、各方面から夜行バスが押し寄せて、早朝でもバスターミナルはかなりの賑わいを見せます。

それと、長野オリンピックが開催された地でもあるので、”世界のHAKUBA”として外国人スキーヤーも多かったです。

白馬三山のモルゲンロート

バスターミナルでゆっくりと準備している間に、麓から白馬岳のモルゲンロートを見ることができました。予報通り、この時期にしては恵まれた青空が広がって、早くも気分が高まるぜ!

バスターミナルのすぐ近くにはローソンがあるので、そこで買い出しも可能になっています。

白馬八方バスターミナルから八歩尾根スキー場へ

バスターミナルから白馬八方尾根スキー場へと歩いていく。標識で言うとゴンドラアダムの方へ向かいます。

唐松岳登山はゴンドラとリフトを乗り継いで行くので、ゴンドラの始発便まで待つことになります。冬の始発便は土日祝だと7時30分。夜行バス到着の1時間後と言うことで、準備を考えたらちょうど良い時間帯。

白馬八方スキー場 ゴンドラアダム

バスターミナルから徒歩10分ほどでゴンドラ乗り場に到着。始発便を待つ列はすでにできていましたが、思っていたほどの行列でもなかったです。

ここからゴンドラ1回、リフト2回と乗り継いでゲレンデトップを目指すことになります。リフト券は登山者用に山頂までの往復券・八方アルペンライン(2900円) というのが用意されています。ただ、始発便だったからなのか、上のリフトがまだ動いていないということで販売してもらえず、ゴンドラとリフト乗り場それぞれで都度チケットを買う必要がありました。

最初のゴンドラのチケット売り場で登山届が必須となるので、事前に用意しておきましょう。

白馬八方スキー場 リフト

ゴンドラに乗って、お次はリフトへ乗り継ぎ。

リフトはゴンドラよりも運行開始時間が遅いので、ここでも少し待つ必要があります。

見ての通り、この時は青空が広がっていたんだけども……

白馬八方スキー場 リフト(雲の中)

2本目のリフトに乗る頃には真っ白なガスの中……。

明け方の寒さに加えて日差しもなく、動くこともできないので、このリフトに乗っているときが一番寒かったです。

八方池山荘

ゴンドラとリフトを乗り継いでゲレンデトップにある八方池山荘に到着。時刻は8時30分、ゴンドラとリフトの開始時間を踏まえると、最速で登山開始できるのがこの時間になります。

4年前の登山では、この八方池山荘に宿泊したのでいくらでも早く登山開始できましたが、今回は日帰りなので時間も多少気にしなきゃならない。

白馬八方スキー場リフトトップ

始発便に乗って多くの登山客、バックカントリー目当てのスキーヤー・ボーダーが続々と到着。各々自分の登山スタイルに合わせて準備に余念がない感じ、程よい緊張感もあっていいね。

リフトトップから唐松岳登山開始

自分は途中で装備変えるのが面倒だったので、最初から12本アイゼンとピッケルで行きました。

雪が締まっていて埋まることもなかったし、先行者も多かったので持ってきたワカンの登場シーンはこの日はなかったです。

ワカンって毎度持ってくるけど、滅多に使ったことがない。。お守りみたいなもんになっちゃってます。

八方尾根から眺める冬の白馬三山

そして、スタート地点からすでに絶景が広がる。

目の前に広がるのは、真っ白く雪に覆われた白馬三山! 左から白馬鑓ヶ岳杓子岳白馬岳。八方尾根からの展望と言えば、やっぱりこの景色。迫力は言わずもがな、そこらの山とはスケール感が全然違う。

雲海

傍目にはほとばしる雲海

リフトの途中でガスに包まれながらトップに到着した時に青空が広がっていたので、この展開は予想できたけど、この日は雲海の迫力もキーポイントでした。

八方尾根のケルン

道なりに進んでいくと最初の八方山ケルンが見えてくる。八方尾根にはいくつものケルンが建てられていて、この先もいくつか出てきます。

登山客も多く、道も踏み固められているので歩きやすい。風もこの時点ではほとんどなく、何とも平和な陽気。

この時点ではね……

雪の五竜岳と鹿島槍ヶ岳

右手に先ほどの白馬三山が聳えているのに対して、左手にはこちらの五竜岳鹿島槍ヶ岳のコンビ。

雪で真っ白に覆われていても、岩々しい山であるのはそのゴツゴツ感から良くわかる。白馬岳とはまた違った迫力があります。

双耳峰の鹿島槍ヶ岳は、ここから見ると猫の耳みたいに2つピークがあるのでよくわかりますね。あと少し小さいけど、そのはるか奥には爺ヶ岳も見えてます。

雪の五竜岳と鹿島槍ヶ岳と登山者

被写体を入れると、山の偉大さが際立って迫力感が増す。雪山に挑んでいる感じがひしひしと伝わってくるし、雲海というオプションがまるで極地にでもいるかのような臨場感。

人も多いので、この先も近くを歩いている人に勝手にモデルになってもらいました。

冬の唐松岳 雪山登山

雪の白馬八方尾根

八方尾根の特徴の1つが、尾根伝いに歩いているとはとても思えないこの広さ。

先ほどのケルンの存在理由も、この広さによるところが大きくて、ガスってホワイトアウトでもしようものなら途端に方向感覚が狂うんでしょうね。道しるべとしてのケルン。

晴れていれば、ここら辺は好き勝手歩きたい放題。

雪の白馬三山と登山者

白馬三山と登山者。やっぱり人を入れると絵になるぜ。

横に広いので、八方尾根はスノーシューフィールドとしても有名。僕も最初に冬の八方尾根に訪れた時は、唐松岳山頂までは行かずに、ここら辺をスノーシュー履いて歩き回って楽しんでました。

白馬八方尾根からの雲海

雲海と登山者。こちらも絵になる風景。

実際歩いているときは、すぐ近くに雲がいたのでこちらまで湧いてこないか気になって仕方なかったけど、こうして見ている分には煌びやかで美しい。雲の上を歩いている感覚、ここは天国か!

結果的に雲との追いかけっこになることもなかったので良かったです。

八方尾根から眺める雪の不帰キレット

目の前に見えてきたのは、V時に鋭利に切れ込んだ岩稜部。白馬岳と唐松岳の間にある不帰キレットで、北アルプスの大キレット八峰キレットと並んで日本三大キレットの1つに数えられる場所。

周りで登った人の感想は、「大キレットに比べたら大したことない」という意見が大半なんだけど、実際のところどうなんだろ。大キレットも歩いたことないからよくわからん……(岩場苦手だし)

冬の八方尾根 雪山登山

第2ケルンに到着。次のケルンも少し先に見えています。

まだまだ風も弱くて穏やか。前回はここら辺からすでに暴風で撤退者続出している状況だったので、今回はすんなり山頂まで登れてしまうと思っていた。

この時は行く末の暴風圏突入なんて知る由もなく、ニコニコ顔で登っております(^^)

シュカブラ

八方尾根のシュカブラ。強風が作り上げる雪紋で、厳しい環境でないと造られない雪の造形物。

人と対比すると少しわかるかもしれないですが、稀に見る巨大さで、これはこれで見応えある景観でした。

八方尾根 スマイルマークのケルン

八方ケルンに到着。

出た!この憎めないスマイルケルン。一度見たら忘れられない、おそらく八方尾根の中では一番印象に残るケルンだと思います。

八方尾根から眺めるほとばしる雲海

ダイナミックな雲海は相変わらず。まさに海のごとく山を飲み込むように波打つ感じがすごい光景でした。

位置的にもすぐ真下まで迫っていたので余計に迫力あったけど、考えようによっては瀬戸際の景観で、あれが稜線まで立ち昇ってきてしまうと、途端に面白味もへったくれもない残念なガスガス登山になってしまう。夏に良くありがち。

登っている最中は「頼むからそこでジッとしてろ!」ってどれだけ念じたことか…(笑)

冬の唐松岳 雪山登山(八方尾根)

八方ケルンを越えたあたりから、徐々に風を感じてくる。

まだ歩くのには全然支障のないレベルだけど、ここに来て上の方で舞っている雪煙が少しずつ気になってくる。

凍結した雪の八方池と白馬三山

こちらは八方尾根の1番の名スポットとも言える八方池

…とは言っても、冬はご覧の通り雪に覆われて水の1滴もない雪原が広がっています。八方尾根っていまだに冬しか訪れたことがないので、八方池は実はまだ一度も見たことがないんだよね……。

夏場であれば池が鏡のように白馬三山を映し出して、誰がとってもインスタ映え間違いなしの絶景が見れます。写真ではもう飽きるほど見ているので、そろそろ自分の目で見ておきたい。

八方尾根 雪山登山

八方池を過ぎると、いよいよ道幅もやや狭くなってきて尾根らしい登山道に入っていきます。

お気軽なスノーシュー目的であるなら八方池をゴールにするのがちょうど良いかもしれません。

八方尾根唯一の樹林帯

八方尾根で唯一樹林帯と呼べる場所があるとすればここ。と言っても、葉っぱもなくスカスカなので展望が遮られることはないです。

風の強い八方尾根では逆にここがオアシス的な存在にもなったりして、ほんの少しだけ風避けになる場所。休憩したり装備切り替えたりするならここが最良。

八方尾根から眺める雲海と八ヶ岳・南アルプス

自分もここで朝食休憩。近くに聳える五竜岳や鹿島槍ヶ岳に目が行きがちでしたが、果てしなく敷かれた雲海の果てに目を向けると、八ヶ岳や南アルプスの影も見えてました。

八方尾根登山と雲海

登山再開。樹林帯のすぐ先が結構な急斜面で、太ももがプルプル言い始めるのを感じる。

長く続くわけじゃないので、体力的にそこまでキツイところでもないけど、この急斜面を登り切ってから状況が一変する…

強風で雪煙舞う八方尾根

いきなり暴風が吹きつける。ホント、いきなり……

先ほどまで穏やかだった道が一変して、激しい雪煙を舞い上げる八方尾根。

冬の八方尾根登山と雲海

はて?どういうことでしょうかね……

来た道を振り返ってみるけど、やっぱり後ろは穏やか。

雪の八方尾根 唐松岳雪山登山

どうもここが暴風圏突入の境界線っぽい。

立ち止まっていても仕方ないので、とりあえず先に進む。

北アルプス唐松岳 日帰り雪山登山

まだ心強いのは、前回と違って先を歩く人がいること。

ボード背負ってる人なんて、この強風をもろに受けるだろうに、しっかりとした足取りで進んでいる。

こんなところでビビッていられんぜ。

雲海と五竜岳~鹿島槍ヶ岳

ほとばしる雲海と雪山

幸い天気は相変わらず良いので、まだこの時点では引き返そうっていう気にはならなかったな。

雲海も綺麗だし、まだまだ頑張れる。

八方尾根から眺める雪の白馬三山

白馬三山。

景色を楽しんでいる振りをしているけど、実際のところは強風で立ち往生していると言った方が正解かも。

雪煙舞う強風の八方尾根

登るにつれて風の強さが増してくる。

雪紋が綺麗っちゃ綺麗だけど、ここから先、徐々に景色に目を向ける余裕がなくなってくる。

とりあえず目の前の坂を登り切ることに専念。

八方尾根とバックカントリー

坂を登り切ったところ。

ここら辺から続々と撤退者が出始める。前を歩いる人がどんどん減っていくのは心細くなるし、不安にもなるけど、それでもまだ前方には山頂目指す猛者たちが見えた。

八方尾根でラッセル

ここら辺から踏み抜きが激しくなってきたのが、また何とも間が悪い。

前後を歩く人はみなスキーヤーだったので、ワカンも付けてない自分はプチラッセル状態。先行者もズボズボ埋まった形跡があります。

冬の北アルプス唐松岳(八方尾根) 雪山登山

もうこの先、風を凌ぐ場所がないので、突風が来たら耐風姿勢で凌ぐしかない。目の前に見えている丘が丸山なんだけど、この距離でも結構遠く感じた丸山。トレースも瞬く間に消えてなくなる。

何度立ち止まって風をやり過ごしたかわからないけど、本当にヤバい状況になるのはあの先。

冬の不帰キレット

眼前に迫ってくる不帰キレット

雲海の果てに浮かぶ富士山と八ヶ岳と南アルプス

雲海の果てに見える八ヶ岳と南アルプス。よく見ると富士山も見える。

状況的に結構しんどくなってくるけど、この写真があるってことは、まだカメラを操作する程度の余裕はあるってことで。

実際はゴーグルと手袋外せないので、適当にシャッター押しているだけですが……

八方尾根の丸山ケルン

どうにか丸山ケルンまで到着。

夏場であれば、山頂まであと1時間もかからないところだけど、ここから先をみて絶望感……。

冬の北アルプス・唐松岳 日帰り雪山登山

先ほど以上に激しい雪煙が舞う八方尾根。

それなりに防寒はしているので寒さは大丈夫でも、風が轟音のように吹き付けて氷の粒を飛ばしてくるので、メンタル的に辛くなってくる。

ハードな登山は別に求めているわけじゃないけど、どうしても雪の剱岳~立山連峰を見ておきたいので、まだここでは引き返せない。

雪の北アルプス白馬岳

少し不思議だったのが、ここがけたたましい暴風圏内なのに、白馬岳の稜線は雪煙が全く舞っていないところ。

理由はよくわからないけど、この歴然とした風の差は後ほど自分自身も体感することになりました。

強風の八方尾根雪山登山

見れば、さっきよりもさらに人が減っている。。。

ここら辺まで来ると、さすがにボードを背負っている人はいなくなりました。

帰りのリフト時刻もあるので、12時までに登頂できなそうならそこで切り上げるってことで、もう少し頑張ってみる。

強風の八方尾根

ここら辺が一番きつかった。

雪煙が舞うと瞬間的にホワイトアウトになって何も見えなくなる。四方から氷の粒も飛んできて身体にビシビシ当たってきました。

これじゃ、前回の唐松岳登山と同じ状況。。スタート時が穏やかだったから今回は余裕だろうなんて思ってたけど、結局最後はこうなる……。

特に今回はソロなだけに、前を歩く人が引き返したら自分もそこでやめちゃうかもしれない。

雪の白馬岳の稜線と岩壁

不気味に静観する不帰キレットの岩壁。

なんで、あっちはあんなに静かなんだ!

八方尾根と雲海

気づけば後ろを歩く人もすっかり減ってる。

振り返って景色を見ているというより、正面からの暴風がきつくて前を向けない状態。ふひぃ、、、

雪煙舞う暴風の八方尾根(唐松岳登山)

湯気のように沸き立つ雪煙。少し先にお一人歩いているのに、トレースは当然ながらほとんど消えてる状態。

後々冷静になって思ったけど、よくカメラが無事だったなぁ~と思った。バッテリーの減りも特になかったし、カメラのタフさだけは心強かったです。

雪煙の中で見る五竜岳

雪の煙に常時包まれるので、特に五竜岳方面はこんな感じで薄っすらとしか見えない。

体感的には、進んでいるより立ち止まって風に耐えている時間の方が多い気がしました。

唐松岳雪山登山

横から巨大扇風機で吹き付けられてるような状況が続く。

中盤を過ぎると逃げ場がないだけに、こんな感じで雪の隙間に身をかがめて少しでも風を凌いでいる人もいたり。

冬の北アルプスは当然ながら厳しいっすね。

冬の白馬岳の稜線

相変わらず不気味なほど静かな白馬の稜線。

すこぶる鈍行な歩みながらも、稜線の高さが目線の位置に来るのを見て、だいぶ登ってきたのを実感する。

冬の唐松岳登山

八方尾根上で唯一危険個所があるとすれば、最後のこの岩場かな。

ナイフリッジとはいかないまで、これまでの道に比べるとかなり狭いので要注意。向かって右側が崖になっているけど、幸い右から左に向かって風が吹いていたので、どうにか渡り切る。

ずいぶんきつかったけど、どうにかここまで来れた。

八方尾根・丸山から眺める五竜岳

11時20分、どうにか後立山連峰の稜線に到着。

強風の中を頑張って登ってきたのも、ここがある意味で目標地点。

丸山から眺める雪の剱岳~立山連峰

「よう頑張った」とご褒美とばかりに目の前に広がったのは、剱岳~立山連峰!! これが見たいがために唐松岳に登りに来たようなもの。スタート時は楽勝かと高を括ってたけど、瀬戸際の山行になっちゃいました。まぁ、それでも来れたんだからよかったよかった。

下に見えている小屋が唐松岳頂上山荘。冬季は営業しておらず、避難小屋としても開放してないので(確か)当てにはできません。

雪の唐松岳

ここまで来て、ようやくはっきりと見えた唐松岳山頂。こんな感じで立派な三角形をしているので、見栄えはとてもいい山です。

そしてここに来て味わった不思議体験……

風が全然強くない!!

雪の白馬岳

稜線から眺める白馬岳。登っている最中に不思議に思っていた白馬岳の平穏さは見間違えなんかじゃなかった。

八方尾根は暴風なのに、稜線に着いた途端に拍子抜けするほどの微風。

雪の立山連峰~剱岳

なので、ゆっくり景色を楽しむ余裕もありました。

もう、この雪に覆われた白き剱岳~立山連峰方面を何枚写真に収めたことか。

丸山から唐松岳山頂へ

これなら山頂アタックも余裕と言うことで、唐松岳山頂まで行くことに。

ちょうど同じタイミングで一人の男性ハイカーが向かうところだったので、後ろをマークするように着いていきました。

唐松岳山頂直下の急登

唐松岳山頂直下の直登。

時折、風が吹くものの先ほどまでと比べたら全然マシ。この日の唐松岳のツンデレっぷりはなかなかのものでした。

唐松岳登山 えびの尻尾

壊れかけのえびの尻尾

冬の唐松岳山頂へ

冬の唐松岳山頂

こうして11時40分、唐松岳山頂に到着。お疲れさまでした。

先行者が数人いましたが、皆さん入れ替わるように下山していったので、山頂到着時は自分と男性の2人だけでした。

唐松岳山頂から眺める雪の剱岳~立山連峰

例によって、剱岳立山

惚れ惚れしちまうよ。1月にこの白馬界隈で1日中晴天というのは稀だと思うので、本当にこのタイミングで登れて良かったです。

冬の唐松岳から眺める北アルプス・槍ヶ岳

南の方を見ると、鋭く尖った槍ヶ岳も確認することができました。

その他、北アルプスの名峰がずらり。やはり北アルプスの積雪量は圧倒的で、真っ白に覆われた山なみが壮観な眺めでした。

唐松岳から眺める五竜岳と雲海

こちらはお隣の五竜岳。八方尾根からずっと見えてはいたけど、暴風圏内に入ってからは雪煙が邪魔をしてあまりはっきりとは見えておらず、ここに来てようやく穏やかな表情を見せてくれた感じ。

雲海も相変わらずで、遠くには八ヶ岳富士山南アルプスも見えてます。

唐松岳から眺める雪の白馬岳

唐松岳から望む白馬岳。八方尾根からはずっと壁のように見えていた白馬岳も、ここから見るとずいぶんと違って見える。

雪の毛勝三山~猫又山

こちらは富山側の毛勝三山猫又山かな。

毛勝三山は登りたいと思いつつ、いまだに登れていない山。山頂までの道のりは大変そうですが、人も少なそうだし妙にそそられます。

唐松岳山頂からの日本海

北陸地方の貴重な快晴ということで、日本海も見渡すことができました。

海まで見渡せて、文句なし!

雪の唐松岳山頂

いや~、風がなくて本当に良かった。風が収まってしまえば寒さもそれほどでもなく、いくらでも長居できてしまいそうでした。

自分と同じタイミングで登頂したこちらの男性の方に写真撮ってもらったりもして、ありがとうございました。

唐松岳山頂の標識

帰りのロープウェイの時間もあるので、ひとしきり展望を楽しんで唐松岳とお別れ。

今回はソロと言うこともあって、3人で登った前回と比べると途中はしんどい局面もあったけど、山頂に限って言えば今回の方が風が弱くて恵まれたコンディションだったと思います。

時間も多少の余裕を残した状態で登れたので、自分としては上出来でした。

唐松岳山頂から唐松岳頂上山荘へ

下山開始。撤退者もたくさんいましたが、それでも後から登ってくる人もチラホラいます。

皆さんニンマリ顔しつつ、やはりこの突然の風の弱まり具合を不思議がっていました。

冬の唐松岳頂上山荘

冬季は無人の唐松岳頂上山荘。

基本的にはここも風が吹き抜ける場所で、それを物語るように、ここら辺一帯は雪もあらかた吹き飛ばされてガレ場が露出している状態でした。

冬の北アルプス・唐松岳

稜線から唐松岳を振り返る。

必死の思いで登ってきたので、いつも以上に下山するのが名残惜しかった。

八方尾根のナイフリッジ

稜線から再び八方尾根へ。

登りの時に語った危険個所は、こんな感じ。部分的に道幅が狭く、岩も露出している箇所があるので、少々注意が必要です。

強風で足元がホワイトアウトする八方尾根

そして八方尾根に入って、再び暴風圏内に突入した。。。ここも少しは風が弱まってるのかと期待したけど、全然そんなことはなく、絶好調な吹き荒れっぷりでした。

足元に見えるのは雲ではなく、巻き上げられた雪と氷がガスのように流れて行ってる状態。ドライアイスという平和なものじゃないけど、通過するときは足元だけが全く見えなくなるという不思議体験ができました。

暴風の八方尾根

八方尾根の中でも台風並みに暴風が吹きつけていたところ。唐松岳のツンツンっぷりが半端ない。

あそこはいったい何だったんだ……

冬の北アルプス・唐松岳 山頂から下山

下山は雲海を常に眺めながらという贅沢時間。

雪山に雲海って、それこそ景色が真っ白で思わず天国という言葉が出てきてしまう世界。あの雲が稜線を覆いだしたら、間違いなく即下山していたコンディションだったので、雲が昇って来なくて本当に良かったです。

冬の北アルプス・唐松岳登山(八方尾根)

ある程度下ると、耐風姿勢を取って凌ぐようなシーンはもうなくなる。

下山時は精神的ゆとりもあるし、「おっとっと……」って身体揺らいでも変に立ち止まるよりズカズカ突き進んだ方が楽だと学びました。

雲海へダイブ

下山時にも絶景は隠れていた。雲の中へ今にも飛び込まんとする登山者。

雲海が織りなす景色が絶品で、被写体が加わると色々面白い絵が撮れました。

八方尾根からの雲海

雲海が一面に敷かれて、それこそ雲の上に立っている感じ。

これが2018年初雲海!新年早々、いい体験させてもらえました。

八方尾根から眺める北信五岳

下山時には新潟方面の雲も取れてきて、妙高山高妻山など『北信五岳』の山々が綺麗に見えました。

北アルプスの雪の量もすごいけど、新潟方面の白さも尋常じゃないですね。

雪の八方池から眺める白馬三山

あっという間に八方池まで降りてきた。

ここまで来てしまえば、登ってきた時と同様に、風も全然気にならないレベルまで落ち着いてくれました。

雪の北アルプス・白馬岳

やっぱり冬の唐松岳登山で印象的な眺めと言ったら、この八方尾根から見る白馬三山だな~

八方尾根だけが唯一、冬3回、夏0回という極端な偏りを見せている場所なので、いい加減夏にも来ないと。冬の景色との対比がしてみたい。

八方尾根のシュカブラ

八方尾根のシュカブラ

行きでも見たはずなのに中盤以降の風との戦いが全部持って行った感じで、序盤の景色は印象が薄れちゃっていました。

改めてじっくり見ておく。

雪の五竜岳~鹿島槍ヶ岳と登山者

五竜岳と鹿島槍ヶ岳、そしてその奥に小さく爺ヶ岳。雲を纏うその姿が神々しい!

すでに時刻は昼過ぎですが、この時間になってもバックカントリーの人たちはまだまだ登ってきてました。

白馬八方スキー場リフト乗り場へ下山

終点のリフト乗り場が見えた。

雲も晴れて白馬の街も一望。天気に関しては申し分ない1日でした。

冬の北アルプス・唐松岳登山 八方尾根からの白馬岳

白馬三山ともお別れ。

唐松岳は北アルプスの中では冬でも公共交通で日帰りで登れる貴重な雪山。天気が良いときにまたいつか登りに来ようと思います。

いい加減、次は風が弱いときに巡り合いたい(笑)

八方池山荘に下山完了

八方池山荘に下山完了。

風が弱まってからの下山は暑くて、汗びっしょりでした。

白馬八方スキー場リフトで下山

帰りもリフト2本とゴンドラを乗り継いでゲレンデ麓へ。

来たときと同様、リフトに乗っているときに汗冷えしてしまって、えらく寒かったです。。

白馬八方スキー場に下山完了

無事に麓に到着。14時だったので、まだスキーヤーもゲレンデで楽しんでいる頃。

あまり混まないうちに温泉に入ってしまいます。

白馬八方温泉・郷の湯

温泉は特にこだわりがなかったけど、空いていそうな白馬八方温泉・郷の湯にしました。

露天風呂はないですが、案の定空いていて快適に入れたので問題なし。

白馬八方バスターミナル

帰りも新宿までの高速バスを予約してあったので、白馬八方バスターミナルへ。

バスターミナルの2階にモンベルがあるんだけど、これって最近できたのかな?前来たときはなかった気がします。

バスの時間まで1時間ほどありましたが、近くにローソンで買い出しもできるし、時間つぶしには困らなかったです。

白馬岳と夕日

帰りに白馬の山に沈む夕日を眺めて東京へ。

2回目の唐松岳暴風雪山登山がこうして無事に終了となりました。

特に過酷な雪山と求めているわけでもなく、事前の予報でもそこまで風が強い感じではなかったので決行したのですが、案の定というか、雪山は一筋縄ではいかないですね。

唐松岳山頂に行きたいというより、雪の剱岳~立山連峰を見たいという執着心があったおかげで、登頂できたようなもんでした。

【北アルプス】冬の唐松岳 夜行バスで行く日帰り雪山登山

風を抜きにすれば天気に関して文句なしで、特にこの日は雲海が素晴らしく綺麗で、ただでさえ迫力ある北アルプスの山々が余計に神々しく見えました。

唐松岳山頂まではしっかりとした雪山装備が必要ですが、八方池あたりまでであればスノーシューハイクも楽しめる場所なので、天気さえ良ければ真っ白な白馬三山、五竜岳、鹿島槍ヶ岳の絶景を手軽に見ることができます。

スキー場までのバスも運行しているので、公共交通利用でも登ることが可能。冬の北アルプスを体感する場所として、八方尾根はおすすめです!

【日程】
2018年1月7日

【コースタイム】
8:35 八方池山荘
10:25 丸山ケルン
11:20 唐松岳頂上山荘
11:40 唐松岳
12:30 丸山ケルン
13:40 八方池山荘

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