北アルプスの三大キレットの1つ「不帰キレット」を目指して白馬岳に登ってきました。
ルートは栂池高原~白馬三山~唐松岳~八方で白馬山荘に宿泊しての1泊2日の縦走登山。
1日目は栂池から白馬岳まで。美しい白馬大池や高山植物のお花畑に加えて、登山道のど真ん中でライチョウと出会えたり、山小屋から見た夕日や雲海の果ての北アルプスの絶景など、見どころが豊富な1日目でした。
2025年7月30日~31日【北アルプス】栂池~白馬岳 山小屋泊登山
ようやく行けました、夏の北アルプス縦走登山。
1年の中で最も楽しみにしているのがこの季節で、特に7月は高山植物も満開で大好きなシーズン。
毎年この辺りで1つ大きなイベントを用意したいというのが自分の中にあって、今回は白馬岳~唐松岳を縦走してきました。
どちらのピークも過去に何度も登っていますが、その間の不帰キレットが未踏区間でいつかは繋ぎたいなと思っていたところ。
メインの不帰キレットに挑むべく、まず1日目は栂池高原から白馬山荘まで頑張ります。
アクセスは今年2回目の毎日アルペン号を利用。夜行バスに乗って、早朝5時過ぎに栂池高原に降り立ちました。
ここからゴンドラとロープウェイに乗って行くわけですが、夏のシーズンは始発が7時。のんびり朝食食べたり付近を散歩したりして時間つぶしました。
7時の始発を迎えてゴンドラに乗車。文明の利器を駆使して、一気に標高を上げてやります。
ゴンドラの乗車時間は20分ほど。その後、ロープウェイに乗り継ぐ必要がありますが、ロープウェイも7時30分の始発便に乗れました。
この日は平日でしたが、まぁまぁな登山客が列を成していました。
ロープウェイを下りたところにあるのが栂池山荘やビジターセンターが立ち並ぶ登山拠点。
トイレもあるのでここで出発の準備を整えます。
水場もしっかりあるので、ここで水を汲んでおきましょう。
ここから白馬岳を目指す場合、途中の白馬大池山荘にも無料の水場があるので、そこまでの分を持っておけば大丈夫です。
こちらが登山口。
色々と書かれていますが、白馬岳界隈は山小屋もテント場も予約必須なのでそれだけお気をつけください。料金も結構お高めで、特にテント場の値段は自分が初めて白馬岳に登った時(2012年)に比べるとずいぶん値上がりしちゃいましたが、まぁこのご時世仕方ない。
ちなみに今回はテントではなく山小屋泊です。不帰キレットにビビッて少しでも荷物を軽くしたく、小屋泊で行かせていただきます。
登山口からしばらくは単調な樹林帯の登り坂。
周囲は遮られてはいるものの、すでに標高は2000m近く。木々の背丈がちっこいが故に頭上から太陽がガンガン照り付けて、開始早々なかなかの灼熱登山でした。
1時間ほど登ると天狗原に到着。
木道敷かれた高層湿原で、ここに来て景色が一気に開けます。ベンチもあるので休憩ポイントにするのが良いかと。
湿原ではワタスゲがホワホワと咲いていました。
2025年の今年はワタスゲの大当たり年で、6月に歩いた尾瀬~燧ヶ岳登山を思い出します。
天狗原を過ぎると岩場の急登が待っています。
ここが結構疲れるので焦らず頑張りましょう。目指すのは前方に見えているあの雪渓の上。
7月末のこの時期でもまだ雪はたっぷり残っていて、一部で雪渓を渡る箇所があります。
ここはそこまでの傾斜もないので、この程度であれば登りはアイゼンなしで行けます。下りも見たところアイゼン履いている人はいなかったですが、ストックがあれば安心という感じ。
こうして雪渓を登った先が、本日最初のピークである白馬乗鞍岳。
残念ながら登頂時はガスってあたりの展望は見れなかったですが、夏のこの時期は雲の変化が目まぐるしい。
先へ進むと瞬く間に雲が流れて景色を一望!そこに現れたのは綺麗な青の輝きを放つ白馬大池。
この美しい湖こそ、このルートの見どころの1つ。
過去に何度も見てはいますが、このルートを歩くからにはやっぱり見ておきたい白馬大池。良いタイミングで晴れてくれました。
湖畔沿いをグルっと回って奥に見える赤屋根の白馬大池山荘を目指します。
光の加減によって色彩を変える水面が本当に美しくて、まさに山の上のオアシス的存在。
白馬界隈も一層グローバル化が進んでいるのか、すれ違う人たちも海外勢が多くて色々な言語で絶叫が飛び交っていました。
こうして白馬大池山荘に到着。
湖畔に建てられた山小屋でテント場も併設されている白馬登山の重要な拠点。ロケーションが良いのでここのテント場も大人気で夏山シーズンは平日でも満員御礼になることが多いです。
この日も確か直前に見た限りでは空きがなかったです。
白馬大池山荘の水場。
無料で飲み放題というのが嬉しいところ。煮沸推奨と書かれていたので気になる方は煮沸した方がいいですが、自分はそのままがぶ飲みしました。
ここから先、白馬山荘まで水場がないので多めに汲んでおきます。
そして白馬大池の周りは一面のお花畑!
本ルートの中でも特に高山植物が咲き誇るポイントで、ハクサンコザクラやチングルマ、さらにはハクサンイチゲやタテヤマリンドウなど色々と咲き乱れておりました。
白馬大池でしばらく休憩して登山再開。
ここから山頂までは白馬岳登山の醍醐味ともいえる、美しい稜線ハイクが続きます。
危険個所もほとんどなくて北アルプスの中でも特に自分が好きなルートの1つ。日中になると雲が湧きたってきましたが、これも夏山らしい景色です。
この辺りはコマクサの群生地になっていて、足元を見るとそこら中に高山植物の女王様が咲いていました。
コマクサについては2日目の白馬鑓ヶ岳~天狗山荘の稜線でも凄い規模の群生を見せてくれます。
船越ノ頭を過ぎるといよいよガスに突入。
展望は遮られてしまいますが、吹く風が涼しくて体感的には歩きやすくなるのが幸い。
そしてガスったことで、アルプスで大人気のあのご当地アイドルが登場。
登山道のど真ん中にまん丸の鳥を発見。
あ、あのわがままボディーは……!
ライチョウさんでございます。
先ほどの白馬乗鞍岳あたりでも遠くにいたりはしたのですが、こんな近づいて見れたのは珍しい。警戒心があまりない個体なのか、向こうから近づいて真横を通り過ぎていきました。
相変わらずのずんぐりむっくりしたシルエットがとにかく可愛い。お腹が地面に擦れそうじゃないか。
雷鳥との出会いも果たして引き続き山頂目指して進む。
この白くて美しい稜線が本当に自分好みなんです。最初に白馬岳に登ったのはもう10年以上も前ですが、初めてこのルートを歩いた時の感動は今でも忘れません。
この辺りは晴れていると白馬岳に加えて五竜岳や鹿島槍ヶ岳まで見渡せるのがまた最高。
昨年の朝日岳~雪倉岳の縦走登山で見た稜線からの白馬岳山頂方面の展望。
何度でも見たくなる景色よ。
稜線には高山植物も多くて、チングルマの穂がそこら中で風になびいていました。
7月末のこの時期のチングルマは花と穂がだいたい半々くらい。まだまだ夏は続きますが、1つ1つの花の開花シーズンというのは本当に短いですな。
小蓮華山に到着。新潟と長野の県境にある山で標高2766mは新潟県の最高峰でもあります。
ここは昨年の朝日岳~雪倉岳の縦走登山でも立ち寄ったので1年ぶり。
何気に北アルプスの中では登っている頻度が高い山だと思います。
相変わらず雲が多いものの、青空が見れるタイミングも多くてその瞬間に見える稜線風景に心が躍る。
北アルプス中でも特に雪が多い山域というのもあって、7月末にしてなお雪がたっぷり残っています。
その後の稜線区間も素晴らしいトレイルですが、当ブログで何度も語っているので省略。
スタート時にゴンドラとロープウェイを使ったとは言え、山頂までの高低差は1000m以上になるのでこの辺りになるとまぁまぁ疲れてきます。
目の前に見えている山頂直下の岩場が最後の登りなので頑張りましょう。
こうして白馬岳に登頂。北アルプスの名峰は色々と登らせてもらっていますが、やっぱりどの山よりもこの白馬岳が一番好きです。
到着時は雲が多くて展望もほとんどなかったので、お楽しみは後に残して今日泊まる山小屋へと向かいました。
白馬岳から5分ほど下ったところにあるのが白馬山荘。
日本最大級の規模を誇る山小屋で、ロケーションがとにかく最高!
今日はここに宿泊します。平日というのもあって直前でも相部屋は空きがありました。
白馬山荘の内部。とても清潔感あります。
2年前のゴールデンウィークでもここに泊まったことがありますが、あの時は残雪期で山小屋の営業範囲も限られていたので、こちらの相部屋棟に入ったのは今回が初めてです。
収容人数800人を誇るだけあってさすがの広さ。到着順に部屋が割り当てられていく感じでした。
相部屋はこんな感じで布団が敷き詰められた大部屋。
幸いこの日は平日ということもあって、両隣は空けられて1つ飛ばしで配置してくれたので快適空間が確保されてました。
部屋の人たちとしばし談笑しましたが、関西方面から来ている人もいたり連泊している人もいたり、思い思いに山を楽しんでいるなぁ~と良い刺激を受けます。
17時の夕食を待つ間に雲も徐々に取れてきてくれて、小屋のすぐ目の前に現れたのは旭岳。
正規の一般ルートはないですが登っている人はチラホラいて、山頂や雪渓あたりに人の姿が見えました。
雲をまとった姿がかっこいいです。
白馬山荘の夕食。
特別豪華というわけでもなく、ごく普通の山小屋の食事という感じ。味噌汁とご飯はおかわり自由で、味噌汁が具だくさんの豚汁だったのは良かったです。
夕食を食べ終えて外に出て見るとガスも取れて、明日登る杓子岳と白馬鑓ヶ岳が姿を見せてくれました。
あの2つの山と白馬岳を合わせて白馬三山。白馬岳には何度も登りに来てますが、あちらの2つのピークは最初の白馬岳登山以来。もう13年も前なので山頂がどんなものだったかすっかり忘れてます。
2日目は行程も長いので真っ暗なうちからスタートして、あの杓子岳でご来光となりました。
杓子岳に至る稜線も穏やかで美しい景色。眼下に見えている山小屋は白馬頂上山荘で、テント泊の場合はあちらに泊まることになります。そして正面奥に見えている三角形のシルエットは剱岳。
澄んだ青空と沸き立つ真っ白な雲がいかにも夏山らしい。
夕食後に再び白馬岳まで登頂。そこで目にした景色がもう圧巻でした。
登ってきた方面に見えたのは雲海の果てに聳えたつ雪倉岳と朝日岳。
雲の上に敷かれた稜線トレイル含めて素晴らしき絶景!
この景色が見たかったのよ。
夕日間近というのもあって、輝く雲の上に広がる大地がもう天国かっていうくらい神秘的な眺めでした。
長野側はまだ雲が多く、山頂からは久しぶりにブロッケンも見れました。
ライチョウと並ぶガスった時の恩恵、ブロッケン現象。
狙って見れるものでもない景色に出会えるのはやっぱりうれしいです。
この時期の日没は19時近く。夕食後もしばらくは明るいので、山頂でボーっと景色を眺めたりして時間つぶしました。
雲が流れていく様子が幻想的でいつまででも見入ってしまう。
気温もまだ20℃以上はあったので、立ち止まっていても涼しくてちょうどいいくらいでした。
そして山小屋から眺める夕日。
実はこの直前までガスってしまって見れるか不安だったのですが、急に雲が引いて太陽が現れたときには歓声が上がりました。写真撮ったらビックバンでも起きたかのような絵になってしまいましたが……。
こういう、宿泊者全員で同じ景色を共有するってのもいいですね。
旭岳の肩に沈む夕日を眺めて1日目が終了となりました。
栂池高原から白馬山荘までもなかなかの距離でしたが、今回の縦走のメインは2日目。
杓子岳~白馬鑓ヶ岳を越えて核心部の不帰キレットに挑むべく、20時前には眠りについて翌日に備えましたとさ。
2日目に続く……
【日程】
2025年7月30日
【コースタイム】
7:45 栂池高原(ロープウェイ山頂駅)
9:30 白馬乗鞍岳
10:00 白馬大池
11:50 小蓮華山
13:15 白馬岳
13:40 白馬山荘
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