東京の最高峰・雲取山へ1泊2日の山小屋泊で登ってきました。
ルートは三峯神社~雲取山荘(泊)~雲取山~鷹ノ巣山~奥多摩駅。1日目が雪だったので、翌朝の山頂で見た霧氷の雪景色が絶景!朝日と富士山の眺めも素晴らしかったです。
石尾根の縦走路は距離が長くて大変でしたが、冬の雪山登山を大いに楽しめた2日間でした。
2025年1月6日~7日【奥多摩】雲取山 山小屋泊で雪山登山
1月6日~8日が平日の正月休みだったもんで、久しぶりに行ってきました東京都の最高峰「雲取山」。
雲取山荘も多分空いているだろうという目論見もあってのことでしたが、まさかの宿泊登山者が自分だけという……。夜間に降雪もあって部分的にラッセルも強いられましたが、なかなか稀な状況での雲取山登山が楽しめました。
ルートは埼玉側の三峯神社からスタートして東京の奥多摩駅まで歩く2日目がやや長めの行程。
三峯神社に行くには西武秩父駅からのバスを利用します。
月曜日だしバスも空いているだろうと思っていましたが、関東屈指のパワースポットとも言われている三峯神社。初詣にも人気とあって1月6日でも混んでました。
私は先頭の方に並んでいたので座れましたが、写真右奥にまで並んでいるのが乗客の列です。1台満車で全員乗れていたのかはわかりません。増便は特になかったので、座りたいのであれば早めに並んでおきましょう。
1時間20分の乗車時間で朝の10時30分に三峯神社に到着。
ツアーバスも停まっている通りなかなか賑わっていましたが、幸い道が渋滞することはなく定刻通りの到着となりました。他の方の記録では、週末は渋滞に巻き込まれて途中でバスを降りて林道を歩いた、なんてものもたまに見るのでヒヤヒヤしてました。
到着早々に雪がパラついていてきたので、久しぶりにレインウェアフル装備で11時ごろに出発。
標識に従い三峰ビジターセンターを抜けて、こちらの鳥居が雲取山登山口。
1日目は山頂までは行かずに雲取山荘まで。ここから山荘までは距離10km弱、標準タイムで5時間半程度。土日祝日であればもう1時間早いバスがあるので、多少時間に余裕が持てます。
平日は空いている反面、時間との勝負。
序盤は比較的なだらかな道が続きます。
雪も一部残っていましたが、結果的に1日目はアイゼンは履かずに行けました。
しばらく登って地蔵峠に到着。
ここが最初の展望スポット。ベンチもあるので休憩するにはちょうど良い場所です。
ただし今日はあいにくの天気……。
午後から雪が降る天気予報でしたが、それは承知で登りに来ているので1日目の展望は諦めてます。2日目にすべてを賭けているのが今回の雲取山登山よ。
登山道途中にあった秩父宮両殿下のレリーフ。
そのすぐ先にあったのが霧藻ヶ峰。
先ほどのレリーフにあった秩父宮雍仁親王が命名された山だそうです。
脇の休憩所は絶賛改装中で、通常であれば土日祝日に不定期で小屋番が入って飲み物などを販売してくれます。
お清平。先が長いので記事も巻きで行きます。
ここまでも登ったり下ったりのアップダウンがありましたが、ここから先が登りの本番という感じ。
雲取山荘まで2つほどピークを越えて行きます。
まず最初のこちらが前白岩山。標高は1776m。
途中、鎖の手すりが付けられた岩場などがあるので凍結時は要注意です。
スタートしてから7km歩いてきました。
次の白岩山までもなかなかのアップダウンで、道も凍結し始めたのでペースが落ちる。
正月太りでお腹回りが気になるところ。この縦走登山で身体を絞りたいという思いもあります。
ベンチの置かれた山頂が白岩山。標高は1921m。
展望はほとんどないピークですが、このあたりから急に天候が悪化して吹雪いてきたので、樹林帯に囲まれていた方が安全なのだ、と前向きにとらえました。
雲取山荘の標高が1891m。白岩山よりも低いので、ここからは下りメイン。
写真は芋ノ木ドッケの巻き道ルートで、御覧のように階段や狭いトラバース路があるので、ここも要注意ポイントです。
大ダワを過ぎれば、あとは緩やかな登り坂。このような笹の風景が広がり始めたら山荘も近いです。
結局この日は、登山口近くで数名の下山者にすれ違って以降は誰とも会いませんでした。
こうして雪が舞う中、雲取山荘に到着。
入口はまだ正月仕様でしたが、人の気配が全く感じられないほど静まり返っていました。
小屋で受付をして部屋へ。雲取山荘はどの部屋にもこたつが用意されているので、冬は特にうれしい。
混雑時は相部屋が基本ですが個室に通してもらえました。……というか、この日宿泊した登山者は自分だけでした。他には2名の従業員関連者(レスキュー?)のみ。
空いているとは思ってましたが、まさかこんなに人がいないとは……。個室貸し切りで快適やら寂しいやら。
しんと静まり返っている山小屋。こんな誰もいない山小屋、初めてです。
外はどんどん雪が強くなってきて、明日の朝のラッセルがちょっと心配になりました。
雲取山荘の夕食。ここは昔から変わらないハンバーグです。
1泊2食付きで9500円。昨今の山小屋宿泊料金を考えたら、まだ安い方だと思います。
予約必須なので、事前に雲取山荘ホームページからメールか電話で予約しましょう。
こちらは朝食。5時30分だったので、朝食食べてから登り始めても日の出に間に合うのでうれしい時間設定でした。
水やお湯は朝食時に無料でもらえます。
朝食を食べて朝の6時15分に小屋を出発。昨夜降り続いた雪は思っていたよりも積もっていなく、10cm程度でした。
ここから山頂までは約30分。この時期の日の出時刻は6時45分ごろなので、それに合わせてのスタートです。
途中雪が深いところがあって時間ギリギリでしたが、ノートレースの雪道を登ること30分、どうにか予定通り6時45分に雲取山に到着。
……が、周囲を雲に囲まれて日の出も富士山も見れず。。。
幸い風もなく、そこまで寒くもなかったのでしばらく待ってみましたが、晴れそうで晴れない。
いや、上空は晴れてるんですが、周りの邪魔している雲が一向にどかない。
ジッとしているのもつまらなかったので、山頂直下の避難小屋までとりあえず向かおうとしたところ……
急に雲が流れて太陽のお出まし。
雲の合間から朝日が顔を出してくれました。
ということで、すぐに山頂まで戻る。
時刻は7時15分。予定よりも30分遅い朝日とのご対面になりましたが、これが2025年最初の山で見るご来光ということにします。
東京の一番高いところから眺める日の出。素晴らしい!
改めて雲取山に登頂。標高は2017mで東京の最高峰です。
富士山方面の雲も消えて、バッチリ顔を出してくれました。
ご来光と同じく、こちらも今年最初の山から見る初富士。ありがたや~
東京最高峰から眺める日本最高峰。
雲取山は過去に2回登っていますが、前回がもう12年前。久しぶりの雲取山から眺める景色は新鮮に映りました。
こちらが山頂のすぐ下にある雲取山避難小屋。ロケーションは最高で小屋自体もそれなりに広くて綺麗です。
この避難小屋を利用して登りに来る人も多く、この日も誰かいるんじゃないかと思ってましたが誰もいませんでした。
そんなわけで、モフモフの雪道を一人歩き回る。
先ほどまでのガスのおかげなのか、山頂部には綺麗な霧氷ができていて、ご来光と合わせて幻想的な風景。
これが見たくて1日目に吹雪の中登りに来たようなもの。すべてが報われました。
降雪直後の霧氷が本当に美しい。
冬の雪山シーズンに1回はしたくなる霧氷登山。狙ってもなかなか見れない景色なだけに本当にうれしかったです。
朝日と霧氷の神々しい風景に浸りながら、しばし山頂でのんびり過ごす。
富士山側は完全に晴れてくれました。
右側に見えているのは大菩薩嶺あたりかな。あちらも山頂部だけが白くなっていました。
手前の樹々は霧氷になっておらず、山の斜面が異なるだけでこうも霧氷ができたりできなかったするのか。
青空の下でひときわ輝く霧氷たち。ムヒョ~!って叫びたくなります。
特に東側斜面の樹々が綺麗に仕上がってました。
ひとしきり霧氷を楽しんで山頂を後にします。
名残惜しいですが、今日はこの先の行程も長いので気合い入れて行きます。
ここから先は南へ延びる石尾根を下ります。
今回の登山の目的の1つが、この石尾根を雲取山から奥多摩駅まで全て歩き通すこと。
今までいっぺんに歩き通したことがなかったので初チャレンジです。
久しぶりの石尾根縦走。
序盤は展望も良く、富士山が常に見える天空回廊です。
誰も登ってこないのでひたすらノートレースでしたが、ここら辺は大した積雪量でもなく軽アイゼン(チェーンスパイク)だけで難なく歩けました。
ラッセルと呼べるくらいの積雪は山頂付近のごく一部だけでしたね。
富士山へ向かうように進んで行く。
ここら辺の急坂もアイゼンがあればなんてことはない道です。逆に冬の時期は雪がなくても凍結箇所があったりするので、雲取山に登るのであればアイゼンはあった方が無難。
朝日が差し込む樹林帯も気持ち良い。
石尾根もここら辺は傾斜も緩やかでとても歩きやすいです。
石尾根は途中にいくつものピークがありますが、その多くは巻き道が用意されているので余計なアップダウンを省略することもできます。
ただ、今回はせっかくなのでなるべく1つ1つのピークも登ることにしました。写真は標高1813mのヨモギノ頭。ここも富士山の展望が素晴らしいです。
そこから下ったところにあるのが奥多摩小屋。柵は鹿よけ用で通ったら必ず扉を閉めましょう。
この奥多摩小屋は数年前に閉鎖になってしまったのですが、現在絶賛改装中で今年2025年の春ごろにテント場として復活するそうです。
立地が良いので、ここを拠点にできると雲取山登山もしやすくなりますね。
小屋前のヘリポート。
このヘリポートはよく覚えています。懐かしい景色。
さらに石尾根で有名なのがこのダンシングツリー。
1本だけクネっと腰を曲げて登山道わきでポーズ取ってます。その知名度の高さから、ある意味では雲取山のシンボル的存在ともいえるカラマツの木。
ダンシングツリーを過ぎると鴨沢分岐に到着。
東京側からの雲取山最短ルートはこの鴨沢バス停からで、日帰りで往復している人も多いです。
自分は毎回1泊2日の山小屋泊で、いまだに雲取山の日帰りはしたことがありません。
鴨沢分岐を直進してしばらく登ると七ッ石山に到着。
標高1757mで立派な標石が建てられていました。
南側の展望が特に開けていて、富士山も見ることができます。
まだまだ続く石尾根縦走路。
雪がだいぶ減りましたが、部分的に凍結箇所が残っていたのでアイゼンを外すタイミングが難しかったです。
次の鷹ノ巣山まで巻き道を使えば基本的には緩やかな道を歩けますが、今回のテーマはなるべくピークを踏むことなので取りこぼさないように分岐は尾根ルートで行きます。
高丸山。標高1733m。
独立峰のように突き出たピークなので、ここの山頂までの急登が結構きつかったです。坂の途中にシカが2頭いて、木陰から自分がゼェゼェ言いながら登っている姿を凝視してました。
巻き道あるのでスルーできます。
続いてこちらが日蔭名栗山(ひかげなぐりやま)。標高は1725m、標識は木に打ち付けられているので見逃さないように。
ここも巻き道で回避可能なのでお好みでどうぞ。
そうしていくつかのアップダウンを経て、次に目指す鷹ノ巣山が見えてきました。
中央左のピークがそれで、右側に伸びる尾根がこの後下山する石尾根です。
尾根の向こうには奥多摩では珍しい、雲海が広がっていました。
いったん下って鷹ノ巣山避難小屋に到着。
見た目も内部も綺麗な避難小屋で、森の中の静かなロケーションもグッドです。
ここから鷹ノ巣山までは30分ですが、それなりの急登になるのでここで小休憩。
鷹ノ巣山まで登り坂。
ここら辺も前夜は雪のようでしたが、湿雪だったようでだいぶ溶けて泥濘も多かったです。
午前11時に鷹ノ巣山に到着。標高は1736mでこちらにも立派な標石が用意されてました。
自分が前回鷹ノ巣山に登りに来たのが2013年。雲取山と同じくもう12年も前です。そしてこの標石は2016年の山の日の制定の記念で建てられたので、前回登りに来た時にはなかったもの。
鷹ノ巣山は奥多摩では中級くらいのレベルで、日帰り登山としては多少長めのルート。
それでも山頂からの展望が良いので人気の山でもあります。
この日は晴れていたものの、再び雲が出てきて富士山は隠れてしまいました。
山頂でしばし休憩して石尾根を下って行く。
鷹ノ巣山はこの山頂直下の草原風景がいいですね。奥多摩の中でも好きな場所の1つです。
奥多摩駅まではまだまだ距離が長いので、引き続き頑張ります。
鷹ノ巣山からは下りメイン。
ここら辺は前日は雨だったのか、泥濘激しいところがたくさんあって滑らないように要注意でした。
ちなみにこの日すれ違った登山者はソロの方3名で、最初の一人は七ッ石山手前、もう一人は鷹ノ巣山山頂で、最後の一人はこの写真の坂を下りているあたりですれ違いました。
平日とはいえ、ここまで空いている奥多摩も珍しい。
この後はひたすら樹林帯の下り坂。
例によって1つ1つ丁寧に登って行きます。
写真は石尾根城山の標識。標高は1523m。
続けて将門馬場。
こちらはメインルートから少し外れたところに山頂がありますが、標識は用意されていました。
途中で分岐を折れて六ッ石山に寄り道。標高1478mで同様に立派な標石がありました。
この六ッ石山はたぶん初めて登った山です。開けた山頂で晴れていれば展望も良さそうですが、あいにく雲が立ち込めてきたのですぐに下山しました。
ところで今日何度も見たこの立派な山頂標石。気になって調べたところ、2016年の山の日制定に合わせて、雲取山、七ッ石山、鷹ノ巣山、六ッ石山、長沢山、川苔山、三頭山、御前山、大岳山に設置されたそうです。この中で登っていないのは残り長沢山だけ。アクセス悪いから行くことないだろうな……
雲の中へダイブするように下山。
途中で見つけたダンシングツリー再び。霧が立ち込めた中では少し不気味でした。
三ノ木戸山。
このピークも巻き道が用意されているうえに、山頂経由のルートは落ち葉で一部コースが不明瞭でした。
若干迷いやすいので普通に下るのであれば回避して良いと思います。
さらに下りに下って最後のピーク、絹笠山に到着。
久しぶりの石尾根でしたが、やっぱり長かったです。特に鷹ノ巣山以降の下り道で膝がガクガクブルブルになりました。
どうにか登山口まで下山完了。
あとはこの林道を下って行けば駅まで着きます。駅直結のコースっていいですね。
余談ですが、奥多摩にはもう1つ駅まで下れる登山道として鋸尾根というのがあります。御前山や大岳山で使えるルートですが、この石尾根と鋸尾根、毎回混同してしまうのは私だけでしょうか。
こうして奥多摩駅まで歩いて無事に石尾根踏破。
明るいうちに下ってこれて良かったです。お疲れさまでした。
三峯神社~雲取山~奥多摩駅という縦走ルートで挑んだ今回の雪山登山。
まさかの雲取山荘貸し切り状態という稀な経験ができた上に、起死回生の天候回復によって見れたご来光と富士山、そして霧氷の絶景。
色々なことがありましたが、楽しい1泊2日の山登りでした。
【日程】
2025年1月6日~7日
【コースタイム】
・1日目
10:45 三峯神社
11:50 地蔵峠
12:00 霧藻ヶ峰
13:00 前白岩山
13:35 白岩山
14:40 雲取山荘
・2日目
6:15 雲取山荘
6:45 雲取山
8:30 奥多摩小屋ヘリポート
9:00 七ッ石山
11:00 鷹ノ巣山
12:20 六ッ石山
14:50 奥多摩駅
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