山梨の棚横手山〜甲州高尾山へ電車を使って日帰り登山に行ってきました。
この山は見どころが多く、特に冬の時期は大滝不動尊の「氷瀑」が圧巻の光景でぜひ見てほしいところ。稜線に上がってからの富士山と南アルプスの展望も素晴らしかったです。
さらに下山後には鉄道遺跡の「大日影トンネル」も合わせて巡ることができて、非常にお勧めしたいコースです。
勝沼ぶどう郷駅から周回コースが組めます。
2025年1月13日【山梨】棚横手山〜甲州高尾山~大日影トンネル 登山と遺跡巡り
山梨県にある高尾山、甲州高尾山に行ってきました。山梨百名山の棚横手山と合わせて登ることができて、稜線からは富士山や南アルプスの絶景を堪能できる素晴らしき山です。
さらに今回は麓の鉄道遺跡・大日影トンネルが通れるようになっていたので、そちらの廃線ウォークもコースに組み込んでみました。
実に12年ぶりの来訪だったのですが、前回とは山の面影も変わって月日が経つのを感じました。
スタートとなるのは勝沼ぶどう郷駅。この駅を基点に今回のルートは周回できます。
駅から登山ではあるのですが、ここから登山口までの舗装路歩きがやや長いので、短縮したければタクシーを使うのも手です。自分も前回はお仲間さんと来たのでタクシー使いました。(登山口の大滝不動尊までは約2500円)
タクシーは駅前に常駐してくれています。
駅から歩く場合は大滝不動尊方面へひたすら歩いていきます。
これがまぁ長いですが、駅から登山の醍醐味の1つが麓の街並みを見て回れるところ。
探してみたら色々と面白い発見があったりもします。
駅からしばらくはそこら中にぶどう畑。あいにくこの時期は実がついていませんが、8月ごろに来ればぶどうの香りに包まれそう。
勝沼ぶどう郷というあたり、やっぱりぶどうが有名でワインの名産地でもあります。帰りに駅の売店で買って帰りました。
道なりに進んで行くと、こちらの神社脇のゲートから廃道となった林道へと入って行きます。
ここまで駅から約30分。林道歩きはまだまだ続くうえに、それなりに登らされます。
途中にあった意味深な看板。撃ち急ぎをす……、で切れてましたがその続きはいかに。
想像を膨らませてくれるじゃないか。
廃道から林道に合流してまだまだ舗装路歩き。
ここら辺は車も通れる道になっています。
しばらく歩くと右手に南アルプスの展望が広がってきます。
林道歩きは高低差をあまり意識しないで歩いてますが、いつの間にかだいぶ山の上まで登ってきました。スタート地点の麓の街があんな下に見えます。
こうして歩き続けること1時間半ほど。
登山口の大滝不動尊に到着。御覧のようにここまでなら車やタクシーで来れちゃいます。
写真奥の建物はトイレですが、冬季は閉鎖になっているので駅で済ませておきましょう。
こちらの立派な仁王門から入山。
門をくぐってすぐに最初の見どころポイントが現れます。
参道の階段の脇に現れた氷瀑。
滝が全面凍って氷の造形が出来上がっていました。
この氷瀑はまだ小さい方で、奥にさらにでかいのが待っています。
大滝不動尊の拝殿。右奥から回り込んで登山道に入って行きます。
少しわかりづらいですが、拝殿左上の岩場に氷が張っているところもたぶん滝。
入口の壊れかけた橋。
問題なく渡れますが、橋の状況を見るに不安定感は否めないので静かに渡りましょう。
そしてこの橋の左手に、また見どころスポットが現れます。
それがこちらの大氷瀑。
雲竜渓谷を思わせる……、と言ったら言い過ぎですが、低山とは思えない迫力ある氷の滝を見ることができます。
実際、この辺りは冷気が滞留しているのか、ものすごく寒かったです。
あの氷瀑までは近づくことができて、この社の階段を登った先に道があります。
こちらから入場。
正面奥に見えている滝が先ほどの氷瀑。
鋭利な氷柱となって落ちる滝と滝つぼの氷の塊。
なかなか迫力ある景観が望める場所なので、ここはぜひ立ち寄ってほしいところです。
大滝という名の通り、ここら辺は大小様々な滝を見ることができて面白い。
そこからしばし樹林帯を登って行くと分岐点に出ます。
写真奥が展望台になっているので、ここも立ち寄っておきましょう。
眼前に見えるのは南アルプスの山なみと甲州市の街並み。
南アルプスはこの先の稜線からも素晴らしい景色が見れます。
ここからしばらくは再び林道。
CARTAの森、という標識がありました。
こちらに矢印に従って右の道から再び登山道に入って行きます。
樹林帯が続きますが道は比較的緩やか。
しばらく登ると稜線の分岐点に到着。
まずは棚横手山へと向かいます。
ここから1本道の稜線ですが、前回と大きく変わっていたのがこのあたりの景色。
12年前は山火事によって南斜面(向かって右)が草原のように開けていたのですが、今では樹々が生い茂ってかつての面影はありませんでした。
森の復活が進むのは良いことである反面、かつての展望が消えていることへの一抹の寂しさもあり。
再び林道と交錯して写真の階段を登って山頂方面を目指します。
このでかい岩は天然ものなんですかね?中央に見える茶色っぽいものは実はスズメバチの巣で、駆除された一部が残ったもの。
残っていなくてよかったです。
このあたりまで登ってくると、南アルプスの展望が一層素晴らしいものになってきます。
雲もすっかり取れて、正面には北岳、間ノ岳、農鳥岳の白根三山。左の方には塩見岳や赤石岳も見えました。
稜線が真っ白に輝いとるじゃないか。
こうして明るい稜線を歩いて棚横手山の山頂に到着。標高は1306m。
ここまで数人とすれ違いましたが、山頂には誰もいませんでした。
棚横手山からは富士山を一望!
前週の雲取山に続いて新年2発目の富士山。しっかりと拝んでおきます。
棚横手山から20分ほど先へ行くともう1つピークが踏めるということで行ってみました。
道中は多少アップダウンはありますが比較的緩やかです。
こちらが宮宕山(大滝山)の山頂。
標高は1362mで先ほどの棚横手山よりも高いです。ただし、展望はなかったのですぐに引き返しました。特に無理して寄らなくてもよい山頂かなと思います。
引き返す道のりが絶景の連続。
富士山を見ながらの稜線歩きとなるので、立ち止まっては富士山を撮影しておりました。
雲一つない青空で、この時間帯になると気温も上がってきて暖かかったです。
棚横手山に戻ってきました。
例によって誰もいません。甲州の高尾山界隈は静かな登山が楽しめるのも魅力の1つ。
東京の高尾山の賑やかさも嫌いではないですが。
登ってきた稜線分岐をそのまま直進して、お次は富士見台・甲州高尾山方面へと向かいます。
ここからしばらくは枯れ草の稜線。部分的に道幅が狭いですが、踏み跡は明瞭です。
この稜線区間の素晴らしいところが景色が開けるポイントが多いことで、特に右手には南アルプスを一望できるところがあります。
3000m級の日本を代表する高山地帯。麓の街と合わせて見るとわかりますが、まさに壁のように立ちはだかっています。
少し登った先が富士見台。
草原広がる穏やかな場所で、名前の通り富士山の絶好の展望台になっています。
富士見台からの富士山の展望。
写真だとわかりづらいですが、左奥には三ッ峠山の山頂の鉄塔が見えたりします。
富士見台から眺める棚横手山の展望。
こうして俯瞰して見るとよく分かる、山火事の面影がだいぶ薄れたところが。
古い写真ですが12年前はこんな感じで、山の片側が山火事によって樹々がない状態でした。
皮肉なことに山火事の影響で展望が優れる山となった棚横手山~甲州高尾山ですが、森が復活してからも展望の良いポイントはそれなりに多いので良かったです。
さらに進むと富士山が望める絶好の芝生エリア。昼寝するには最高の場所かもしれません。
富士山に向かって進む稜線歩道、とても気持ち良く歩けます。
稜線は多少のアップダウンがありますが、この先の坂を登ったところがまた1つの絶景ポイント。
氷瀑を見ていたころは寒さでダウン羽織ってましたが、このあたりになってくると日差しも暖かくて登り坂はやや暑いくらい。
登った先のこちらが甲州高尾山・東峰。
標識には東峰(仮称)と書かれていたので正式なピークではないのかもしれませんが、この見事な眺め!
富士山と南アルプスを同時に眺められる絶好の場所で、ここは非常にお勧めです。
東峰から少し下って登り返すと甲州高尾山の山頂がありました。
こちらが本峰ですが展望はなく、休憩するのであれば先ほどの東峰が良いと思います。
そして甲州高尾山からの下山路が結構厄介。
いったん林道に出て再び登山道に入って行くのですが、そこから先がかなりの急坂で落ち葉と砂地で非常に滑りやすかったです。転げ落ちないように要注意。
ずっと急坂が続くわけではなく、合間にはこんな快適な尾根道もあったり。
急登と緩やかな道が交互に繰り返されます。
そしてやってきたのが鉄塔のある山頂、柏尾山。
先ほどから気になってましたが、この界隈の山の標識にはてるてる坊主が飾られてます。
柏尾山からも急坂が続きますが、獣害対策の柵が見えてきたら終わりも近いです。
奥に開閉できる扉があるので、それをくぐって大善寺へと下山します。
大善寺まで下りて下山完了。
ここから勝沼ぶどう郷駅へ戻る場合は道路を正面に進んで行くのが最短ルートですが、ここはあえて逆へ行くのがおすすめ。
こちらの標識にある「大日影トンネル遊歩道」という有名な観光スポットを経由しても駅へ戻れます。
標識に書かれている通り、奥の信号を左折してしばらく進むと遊歩道入口が見えてきます。
徒歩30分くらい。
こちらが大日影トンネル遊歩道の入り口。
ですが、反対側にワインカーヴを見学できるところがあるので寄ってみることに。
こちらが勝沼トンネルワインカーヴ。かつてのトンネルを再利用したワイン貯蔵庫。
重厚な扉で閉ざされていますが、見学自由です。
見学する場合は入口の受付票に氏名を記載して入場しましょう。
特に係員がいるわけでもなく、無料で見学できます。
こちらがワインカーヴ。
トンネル内に貯蔵されたワインを見ることができますが、入口から少し行ったところまでが見学範囲なので、奥まで見ることはできません。
なるほど、こういう環境下でワインが保管されているのかと学んで戻ります。
改めてこちらが大日影トンネル遊歩道の入り口。こちらも入場無料です。
ここを突き抜けて行くと勝沼ぶどう郷駅に行けますが、全長1.4km。通り抜けるのに30分ほどは要する長いトンネルで、御覧の通り出口ははるか先で光の点が奥に見える程度。
いざ入場。
トンネル内は等間隔で電灯が点けられているので、ヘッドライトなどは特に不要で歩けます。
そして冬は特に気温が低いので、防寒対策はしておきましょう。
かつて使われていたであろう1本の線路が敷かれたトンネルが続きます。
周りの壁は古びた雰囲気で遺跡感満載。こういう廃線ウォークは大好きです。
遺跡のようであり、随所に当時を物語る説明書きもあって博物館のようでもあり。
レンガ造りの壁がノスタルジーを感じさせる独特の空間を作っています。
想像以上に面白いトンネルじゃないかっ!
かつての鉄道標識の名残。
良く探してみると鉄道の面影を色々と発見できます。
ちょうど中間地点。
まだまだ先は長い。これだけのトンネルをよく掘ったなぁ~と当時の写真を見ながらつくづく思います。
現代のような重機や運搬技術も整備されてなかっただろうし、勝沼ぶどう郷がワインの名産地になりえた歴史も垣間見れたので、色々と勉強にもなりました。
30分ほどのトンネル歩きを経て勝沼ぶどう郷駅側に脱出。
このあたりでは有名な観光スポットのはずですが、トンネル内ですれ違ったのは数人だけ。インバウンド客が来るような知名度でもないので、比較的静かな中で楽しめる場所だと思います。
駅前にはかつて中央線で使われていた機関車、EF64形18号機が置かれていました。
鉄道に詳しくないのでこれがどれほど価値あるものなのか正直わかっていないですが、一応写真撮っておきます。
こうして勝沼ぶどう郷駅まで戻ってきて本日の登山が終了。
なかなかの歩き応えでした。
下山後に温泉に入りたい場合は、駅の正面に見えているぶどうの丘に「天空の湯」という温泉施設があるのでそこがお勧めです。駅から徒歩で行く場合は20分ほど。
前回、甲州高尾山に登った帰りに私も利用しましたが、今回はあそこまで行くのが面倒になってしまったので立ち寄りませんでした。
ワインの名産地に来たということで、せっかくなので駅構内の売店で白ワイン、赤ワイン、ロゼの全種を購入。
登山と廃線ウォークを楽しんだ1日が終了しました。
電車で行く棚横手山~甲州高尾山の周回登山。
氷瀑に始まり、稜線から眺める富士山と南アルプスの展望、草原広がる風景など、見どころが多くて面白かったです。12年前とは山の面影がだいぶ変わっているのも驚きでした。
そして何より下山後に立ち寄った大日影トンネル遊歩道!ここがもう面白かったので、ぜひ登山と合わせて観光してほしい場所です。
なかなか面白いコースを発見できたので、機会があればまだ行きたいと思います。
【日程】
2025年1月13日
【コースタイム】
8:10 勝沼ぶどう郷駅
9:30 大滝不動尊
10:30 棚横手山
11:50 甲州高尾山
12:50 大善寺
13:15 大日影トンネル遊歩道
14:00 勝沼ぶどう郷駅
コメント