【北八ヶ岳】天狗岳 日帰り登山 苔むす森と八ヶ岳~アルプスの大展望

【北八ヶ岳】天狗岳 日帰り登山 苔むす森と八ヶ岳~アルプスの大展望

北八ヶ岳の天狗岳(標高2646m)へ日帰り登山してきました。

個人的に八ヶ岳の中でも一番気に入ってる天狗岳。夏の日帰り登山はもちろん、冬の雪山も割と手軽に登れる親しみやすさがあります。

久しぶりの夏の八ヶ岳でしたが、梅雨の合間の快晴に巡り合えて稜線に出てからの展望は抜群!八ヶ岳の峰々はもちろん、南・中央・北アルプスまで近隣の山並みを一望できました。序盤に広がる、北八ヶ岳特有の苔むす森もなんとも言えない美しさ。

さらにこの日は雲の躍動感が素晴らしくて、夏ならではのダイナミックな雲海も見渡せて夏の八ヶ岳トレッキングを存分に味わえた1日でした。

 

夏の北八ヶ岳・天狗岳へ―――

 


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久しぶりの夏の八ヶ岳。登山年表を振り返って見たら、夏場に八ヶ岳を訪れたのは初めてテント泊縦走をした2012年以来、実に4年ぶり。

八ヶ岳は通年営業している山小屋もいくつかあるし、冬場の日帰りとしても比較的登りやすいので、最近は雪山登山としてばかり利用させてもらってました。

主峰の赤岳を筆頭に編笠山、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳、蓼科山……、八ヶ岳の個々の山は日帰りとしても登りやすいし、都内からも比較的アクセスが良いので、オールシーズン登れるのが最大の魅力。

そんな八ヶ岳の中でも個人的に一番好きなのが天狗岳。初めてテント泊縦走した時に、根石岳から眺めた天狗岳の雄姿は今でも忘れられない。

天狗岳は唐沢鉱泉から登ればコースタイムもそれほど長くなく、周回ルートを組めるうえに途中に山小屋もあるので、初心者を連れていくにもおすすめの山だと思います。そこそこの歩き応えのある入門の山ながら、そこから眺める展望は一級品!北八ヶ岳ならではの苔の森も堪能できる、八ヶ岳のゴールデンルートの1つです。

 

~~ 2016年7月18日 北八ヶ岳・天狗岳 ~~

前週に北アルプスの針ノ木岳~蓮華岳を登って、7月の3連休は南アルプスへ繰り出したかったところだけど、あいにく2日目までが悪天候。。。

毎年7月の3連休は梅雨空に泣かされている覚えがあるので、海の日は最終週に持ってきてほしい……

 

そんなことを嘆きながらも、最終日だけは晴天予報を出してくれたので、都内からも手軽に登れる八ヶ岳へと向かう。

夏の登山は夜発が基本なので、こうして行く間に朝を迎えるのはどこか新鮮。中央道からの八ヶ岳の姿が早くも素晴らしかったです。

 

6時過ぎ、登山口となる唐沢鉱泉に到着。下山時には路駐している車もありましたが、この時間帯では駐車場にもまだ空きがあって難なく止められました。

駐車場は無料。隣の渋の湯登山口の駐車場は駐車料金1000円かかるので、無料は大変助かる。

 

スタートとなる八ヶ岳名湯・唐沢鉱泉。日帰り入浴することもできます。

ここの温泉は入ったことがないけど、年に数日だけ温泉の色が乳白色に変わるという不思議な現象が起こるらしい。敷地内に源泉があって、それがまた泉のように綺麗なので必見!ぜひ見ておくべし。

 

源泉は帰りに見るとして、西尾根登山口からスタート。

目指す山頂が標高2646m、すでに1880mの地点にいるので、登り慣れている人にとってはかなり楽な行程だと思います。

 

天狗岳は唐沢鉱泉を基点にすると、こんな感じで周回できます。今回は何となく反時計周りで登ってみましたが、逆でも何ら問題なし。

早く展望にありつきたいなら、途中に展望台が用意されているので反時計周りがおすすめです。

 

展望台に出るまではひたすら森の中。展望は一切ないけど、苔の北八ヶ岳というだけあって緑が物凄く綺麗です。

 

北八ヶ岳の苔とか。

実際に歩いてみるとわかりますが、晴れていても日差しがあまり届かないので、しっとりとした雰囲気の森になってます。苔好きにはたまらない道だと思う。

前日まで雨が降っていたので、瑞々しさも増してました。

 

最初の1時間ほどはひたすら森の中を登っていく。夏の八ヶ岳はかなり暑いと思ってたけど、思いのほか涼しい快適なトレッキング。

苔の森にも飽きてきた頃、突然展望が開けます。

 

第一展望台に到着。第一というからにはこの先に第二もありますが、この第一展望台からの眺めがとにかく素晴らしい!

 

ここに来て初めて開けた展望。

雲海が綺麗に敷かれており、その隙間からは麓の街並みも見渡せた。

 

そして、雲海の果てには中央アルプス。八ヶ岳から中央アルプスは意外と距離が近い。

 

こちらは南八ヶ岳南アルプスの展望。左に見えてる尖がった山が八ヶ岳の主峰・赤岳。右奥に見える山が南アルプス。

 

南アルプス三銃士、北岳~甲斐駒ヶ岳~仙丈ヶ岳。南アルプスの中でも人気トップ3の日本百名山トリオ。カッコよく横に並んでくれてます。

南アルプスの展望に関しては、ここから先は徐々に南八ヶ岳の背後に隠れてしまうので、この第一展望台からが一番よく見えます。

 

断崖絶壁の展望デッキ。高度感も凄まじい。

 

こちらは北八ヶ岳方面。奥にこんもりとした山が蓼科山

天狗岳は一応北八ヶ岳に属してますが、八ヶ岳のほぼ中央に位置しているので、南北の両方をほぼ同距離で見ることができます。

八ヶ岳の中枢とも言える存在。

 

蓼科山アップで。手前に見えるのが北横岳。小さくロープウェイ駅も見えます。

北横岳に関しては夏場よりも冬場のほうが人気あるかもしれない。ロープウェイも通年営業しているので、八ヶ岳の中でも最も入門レベルで登れる雪山です。

 

蓼科山のはるか奥には北アルプスも見えました。ここからでも尖がった槍ヶ岳は良くわかる。

今日はどこのアルプスも天気良いようで、梅雨の合間の登山日和ですな。

 

展望を楽しんでさらに先へ。

ここまで来てしまえば山頂まではあと1時間もかからない。

 

青空が気持ちいい。

夏の八ヶ岳は本当に久しぶり。酷暑というイメージがあったのでやや敬遠しているところもあったけど、驚くほど涼しくて快適に登れてます。

何よりここの道は、初めてテント泊縦走をした時の下山路。慣れない重たいザックを背負って歩いた初々しい当時を思い出すのも、また感慨深いものがあります。

 

第一展望台から数分で第二展望台に到着。

 

第一展望台と違うのが、ここまで登ってくると南八ヶ岳の山々が徐々に姿を現してきます。

 

特に目立つのがこちらの南八ヶ岳三兄弟、赤岳~中岳~阿弥陀岳

あの三山を縦走したのはテント泊縦走よりもさらに遡ること5年前。5年前なんて登山駆け出しの頃で、山の知識なんて全然なく気力と体力だけで登ってた気がする。

当時の貪欲な体力がほしい。。。

 

登山道には花もちらほら。

展望台脇にはヨツバシオガマが綺麗に咲いてました。

 

第二展望台から先は山頂までひたすら岩場。

 

豊富な目印に沿って登っていく。

特に危険もないけど、この岩場は良く覚えてる。4年前のテント泊縦走の際に天狗岳から下山する時のこの岩場は膝に来て結構厄介だった。。。

 

岩場からの眺めもまた素晴らしい。

蓼科山方面へと通じる雄大な稜線が見えてきます。岩のイメージが強い南八ヶ岳に対して、緑豊富な穏やかな山容の北八ヶ岳。同じ八ヶ岳に属していながら、雰囲気はまるで違います。

そこもまた魅力の1つ。

 

岩場を越えたら山頂はすぐそこ。

登り慣れている人にとってはあっという間の登頂かもしれません。

 

9時30分、西天狗岳に到着。

山頂はそれなりに広いので窮屈感はないですが、すごい数の人が休憩してました。

 

まず圧巻だったのがこの南八ヶ岳方面の展望。先ほどから見えていた南八ヶ岳三兄弟を正面から捉えることができます。

 

赤岳~中岳~阿弥陀岳、再び。

赤岳についてはその後も雪山として登りに来たりもしたけど、中岳~阿弥陀岳については5年前の初回の1回きり。そろそろまた登りに行きたくなってきた。

 

登ってきた方とは逆側の景色がこちら。

次に登る東天狗岳が目の前に見えます。天狗岳は双耳峰になっていて西と東にピークがあります。高いのはこちらの西天狗岳。

 

雲海をバックにそびえる東天狗岳がカッコいい。

あちらの山頂もなかなかの盛況っぷり。さすがは登りやすくて展望も良いだけあって、天狗岳の人気はすさまじいです。

 

この日は東側の雲の躍動感も素晴らしかった。

稜線を覆うようなことはなくて、すぐ近くで雲が沸き立っている感じ。こういう景色は狙おうとしてもなかなか見れないものだから、思わず見入ってしまう。

 

南アルプスも天気が良くてずっと姿を見せてくれてました。

写真は載せないけど、中央~北アルプスもこの日は終日快晴でずっと見ることができました。(本当ならこの日は西穂高岳に日帰り登山する予定だったのはここだけの話……笑)

 

南八ヶ岳三兄弟をバックに、sonyミラーレスのα6000を構えるしのぶ君。

 

この西天狗からの景色が素晴らしすぎてシャッターを切る手が止まらなかった。

青空はもちろん、夏らしいダイナミックな雲が本当に綺麗でした。

 

山頂に一輪だけ咲いていたクルマユリ

 

西天狗岳を後にして続けて東天狗岳へ。

距離にして300m程度なので15分もあれば行き来できます。

 

ちなみに冬の東天狗岳はこんな感じ。

西天狗岳よりも岩々しい山です。

 

夏の東天狗岳へ。

同じ山でも季節を変えて登れば全く違う楽しさがある。それが登山のいいところであり、やめられないところ。

 

10時20分、東天狗岳に到着。西天狗とは違って岩の山頂。

こちらの山頂も割と広いので、盛況してても休憩スペースには困らない。

 

山頂から再び南八ヶ岳の展望。稜線伝いに見える少し低い山が根石岳

あの根石岳は地図上でもあまり大きく取り上げられていないので、スポットライトをあまり浴びていない感じの山ですが、天狗岳を眺める絶好の展望台!あそこから眺める天狗岳は本当に素晴らしいものがあります。

 

2012年6月、自身初めてのテント泊登山となった八ヶ岳縦走の時の写真。こんな感じで二つの双耳峰とアルプスに匹敵するカールを一望できます。

4年前の縦走で一番記憶に残っているのもこの景色。それくらい衝撃を受けて好きになった場所でした。根石岳、個人的にも強く勧めたい山なので、ぜひ時間があれば立ち寄ってみてください。

 

ダイナミックな雲の躍動は相変わらず。夏の雲は本当に綺麗。

東側に来たので、より雲を近くで見ることができました。

 

西天狗岳の展望と違う点が、この硫黄岳の迫力。角度的に西天狗からだと見えづらかった硫黄岳の岩壁を間近に見ることができます。

 

東側の雲海。晴れていれば奥秩父の山々も遠くに見渡せたんだろうけど、この日は標高2000m以下の山は軒並み雲に飲み込まれてました。

それゆえの、この遠くまで続く雲海。雲海は山に登っていれば幾度となく目にする景色ではあるけど、何度見ても飽きない。これもまた山でしか味わえない素晴らしい景色。

 

蓼科山へと通じる八ヶ岳主稜も西天狗岳より綺麗に見れる景色。

蓼科山は第一展望台からずっと見えてはいたけど、ここに来てはるか遠くまで続く八ヶ岳の縦走路を見渡すことができます。

4年前の縦走ではこの天狗岳で下山してしまったけど、いつの日か時間があれば編笠山から蓼科山まで一気に縦走してみたい。

 

こちらは東天狗から見る西天狗岳。東天狗岳に比べるとこんもりとした丸い山容になっているのがわかります。

 

せっかくなので冬の西天狗岳の写真も。

山頂直下がやや急斜面ですが、比較的危険個所も少ないので冬でも登りやすいと思います。12本アイゼンとピッケル装備してどこかの雪山に登ったことがある人なら、まず間違いなく登れる。

 

東天狗岳山頂脇には黄色いミヤマダイコンソウの群生も広がってました。

良いタイミングで蜂が止まってくれたので、なかなか良い絵が撮れた。

 

東天狗岳から黒百合ヒュッテ方面へ下山。八ヶ岳の主稜線を少しだけ歩きます。

冬の天狗岳を登る場合、唯一危険個所となるのがこの東天狗岳山頂直下の岩場。慎重に歩けば特に問題はないですが、岩が多いのでアイゼン履くとなかなか歩きづらいところになります。

 

ここら辺一帯は天狗の奥庭と呼ばれている岩場地帯。

岩がひしめく登山道なので、意外と通過に時間がかかるところ。

 

天狗の奥庭からの天狗岳。二つのピークをこの日初めて同時に見渡せたポイント。

先ほど写真に乗せた通り、根石岳方面からだと穏やかなカールが広がりますが、こちら北側から見ると緑豊かな景色になります。見ごたえあるのはやっぱり南の根石岳方面からかな……。

 

12時、黒百合ヒュッテに到着。冬の天狗岳の時にお世話になった山小屋。

通年営業していて、八ヶ岳の中でもかなり人気の山小屋です。テント場もあります。

 

このオシャレな「Cafe Chocolate Lily」の看板が印象的。来るたびに撮ってしまう。

 

山小屋の売店メニュー。豊富なラインナップでラーメン700円あたりはかなり良心的な価格じゃなかろうか。

骨付きチキンカレー(1500円)がどれほどのものなのか食べてみたい……

 

黒百合ヒュッテで軽く休憩して、唐沢鉱泉へと下山します。

 

樹林帯に入れば再び苔むす森。北八ヶ岳の苔は本当に綺麗です。

唯一の難点は、こういった岩がゴロゴロした登山道なので、非常に歩きづらいです。特に下山は足にくる……

苔の岩は滑りやすいので要注意。

 

途中の分岐を唐沢鉱泉方面へ。標識があるので間違うことはないだろうけど、誤って渋の湯方面へ行かないように。

 

展望がなくなっても楽しめるのが北八ヶ岳のいいところ。森の中は稜線に出てからの開放的な空間とはまた全然違う雰囲気。

最初から最後まで移り変わる景色を楽しめます。

 

13時30分、登山口に到着。

橋を渡って少し先へ行けば駐車場へと戻りますが、この先にまた1つ絶景が待ってます。

 

突然現れた透明感のあるブルーの泉。

これが冒頭でも語った唐沢鉱泉の源泉。硫黄臭が立ち込めてブヨも飛び交ってましたが、見た目としてはなんとも美しい景色。

 

これほど美しいと感じた源泉は見たことがない。

水の透明度が半端なく綺麗なので、唐沢鉱泉へ訪れる際はぜひ見てみてください。この源泉だけ観光スポットとして成り立つほどの見事な景観となっています。

 

源泉も無事手中に収めて唐沢鉱泉へ下山完了。往復7時間弱の短い行程でしたが、朝発の日帰り登山としてはちょうどいいコースタイムだと思います。

登山初心者を連れてきても、きっと山の魅力に取りつかれるはず!短いながらも山の魅力が凝縮されたコースでした。

 

下山後は唐沢鉱泉へ入っても良かったけど、駐車場に飛び交うハエだかブヨだかが鬱陶しかったので、そそくさと麓の街まで降りました。

で、結局やってきたのは冬の天狗岳でも利用した『尖石温泉・縄文の湯』。日帰り入浴600円、露天風呂もあり。訪れた時間が早かったからなのか、比較的空いてました。

八ヶ岳って意外と麓の温泉の選択肢が少ない気がするけど、探せば色々あるのだろうか……。できれば今後のためにも温泉のレパートリーは増やしていきたいところ。

 

こんな感じで昼過ぎに登山を終えた、夏の北八ヶ岳・天狗岳でした。

 

コースタイムも短くて緩い登山ではありましたが、なんだか夏山を思いっきり堪能できた1日だったと思います。まだこの時点では梅雨明けはしていないけども、目にした景色は間違いなくハイシーズンの夏山風景。

 

北八ヶ岳ならではの苔むす森も良かったけど、今回は稜線に出てからの雲の躍動感がとにかく印象的でした。

夏の雲はやっぱり綺麗。積乱雲に変われば悠長なことは言っていられないけど、この日に限っては低い位置で沸き立って見事な雲海を見せてくれたので、雲を眺めるには最高のコンディションだったと思います。

 

八ヶ岳のほぼ中央に位置しているが故に、南北に広がる八ヶ岳を存分に堪能できる天狗岳。今回のように唐沢鉱泉からの周回ルートであればゆとりを持った日帰り登山が可能なので、ぜひ夏山登山の息抜きにでも登ってみてください。

登る前と変わらず、今のところ八ヶ岳の中では天狗岳が一番好きなので自信をもっておすすめできます。日本二百名山にも格付けされているので、ブランド力もなかなかのもんですよ。

 

夏ののんびりトレッキング、北八ヶ岳・天狗岳日帰り登山でした。

 

おしまい

 

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【日程】

2016年7月18日 快晴

【コースタイム】

唐沢鉱泉(6:50) — 第一展望台(8:00) — 西天狗岳(9:30~10:00) — 東天狗岳(10:20~10:45) — 黒百合ヒュッテ(12:00) — 唐沢鉱泉(13:40)

 

 

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