冬の谷川岳へ雪山登山に行ってきました。
天神平スキー場のロープウェイを使って冬でも日帰りで登れる谷川岳。過去3回ほど積雪期に登っていますが、年末の休み期間ということもあって過去最高に混んでいました。
稜線の途中では一部行列もできるほど。トレースバッチリで天気も良く、いつも以上に楽に登れましたが、やはり冬の谷川岳の展望は素晴らしかったです。
何度登ってもいい山。
もう何度目かの谷川岳。年1回は登りに来てるんじゃないかってくらい、すっかり馴染みのある山域になりました。
冬の時期も何度か登りに来ていて、ブログを見返してみたらこれが4回目。12月に登るのは初めてでしたが、2021年シーズンは前年とは打って変わって豪雪となったので、雪はたっぷりとありました。
これが2020年最後の登山。
人も雪もたくさんだった冬の谷川岳へ。
2020年12月29日 谷川岳 雪山登山
夏とは危険度も全然違う冬の雪山登山。危ないとはわかっていても、グリーンシーズンとはまた一味違う白銀の景色を見に行きたくなる。
日帰りで登れる雪山というのはそれなりに選択肢は限られますが、スキー場併設の山だとロープウェイやリフトを使えるので、時間と体力をある程度節約できます。
今回の谷川岳もまさにその1つ。
そんなわけで、また懲りずにやってきてしまった天神平スキー場の谷川岳ロープウェイ。
すっかり見慣れたものになりましたが、今年は異常な大雪がニュースにもなっていた通り、麓の町もなかなかの積雪でした。
時期は年末の12月29日。お仲間さん達と都内を朝発で向かったのですが、年末の帰省渋滞に巻き込まれてしまい、現地に到着したのは9時ごろ。
すでにロープウェイが動き出して1時間経とうかというところで、ようやくチケット売り場にやってきたので、この時点では閑散としてました。
チケット購入と入山届を済ませてロープウェイへ。誰も並んでおらず待ち時間なく乗車完了。
コロナの影響で1台の乗車人数を絞っていましたが、ここは回転が早いので行きも帰りも特に影響はありませんでした。
ただ、上に着いてみてビックリ!
物凄い登山者の数ではないかっ!
ロープウェイを降りたところで、多くの人が出発の身支度を整えてました。
駐車場がそれほど混んでないから下手したら空いてるんじゃないかって思ってたけど……、なるほど、スキー客が全然いないだけでした。
誰も滑っている人がいない。
この日は9割以上が登山者だったと思います。こんなことは初めて。
とりあえず自分たちもアイゼン履いてスタート。もう時刻は10時近くになってました。
前方にすでに登山者の列ができているので、スノーシューやワカンの出番は限りなくなさそう。
今シーズン初アイゼンになります。冬靴も1年ぶりだったので、足が重いわ重いわ。
身体も鈍ってるし、登り慣れてる谷川岳くらいがちょうどいい。
背後を見ると白毛門〜朝日岳が真っ白く輝いてました。
白毛門はまだ1回しか登りに行ったことがないから、近々行きたい山の1つです。あそこから眺める谷川岳がめちゃくちゃカッコいい!
朝日岳に至ってはいまだに未踏です。
谷川岳の天神尾根コースで一番の急登って、たぶんスタート早々のこの斜面よね。
足慣らしも大してできない状態でこの坂に入るので、いきなり息が切れ始める。
そして汗もかく。
だから、登り切ったところでみんな着替える(笑)
ちょうど坂の上が開けているので、だいたいここが一息つくポイントになります。
ここでしばらくスキー場とはお別れ。
この日、自分たちは後発隊だったとは思いますが、それでも後ろを振り返ればまだまだロープウェイに乗ってきて登山者が入場してくるのが見えました。
ここからしばらくは緩やかな尾根道になります。
展望も開けて、前方には早くも谷川の稜線が見えてくる。山頂は雲がかかってますが、このあと次第に取れてきました。
そしてそれ以上に気になる、前方の行列。。。
最初はどこかのツアー団体かとも思ったけど違った。
谷川岳天神尾根は、冬季でも比較的登りやすい雪山コースとして紹介されてますが、部分的に片側斜面が切れ落ちている箇所もあるのでお気をつけて。
この日はしっかりと踏み固められたトレースをただ辿るだけでしたが、状況によってはスノーシューやワカンが必要なラッセル大会を強いられることもあります。
正面に見えている尾根は日本三大急登にも数えられている西黒尾根。
こちらは悠々快適な山歩きですが、今あそこを歩いている人がいたらきっとラッセルの死闘になってるでしょうね。
自分もいつかは冬の時期に歩いてみたい。
個人的に天神尾根コースで一番危ないかなと思う箇所がここ。
短いですが急な下り坂になってます。この日はステップが切ってあったのでなんて事のない道でしたが、トレースがないと少し厄介かも。
スノーシューやワカンだと少し歩きづらい傾斜でもありますので、お気をつけください。
引き続き、しばらくは平坦で緩やかな尾根道。
前の列との距離が少しずつ近づいてきた。
そして、天神尾根のチェックポイント、熊穴沢避難小屋に到着。
いつものように雪に埋まった小屋から、目印となる赤茶色の柱が顔を出してました。
この避難小屋は1月、2月になると完全に埋まってしまいますが、12月のこの時期ではまだわずかに小屋の上部が見えてました。
小屋を使う場合は、入り口まで自分の手で掘り起こすしかありません。
ここでしばらく休憩。
冬の谷川岳は雪山としてもかなり人気のエリアで、なおかつ絶好の天気を狙ってしか来たことがないので、今のところそこまで苦しい思いをさせられたことはありません。毎度、他の人のトレースにお世話になってました。
しかも、今回はいつも以上に人が多いのでレールのようにはっきりと道ができておる。
後ろからまだまだ人がたくさんくるので、ここでも小休憩に止めて出発したけど、ついに前方の行列が迫ってきた。
そして、追いついた……(笑)
ここからは名前も知らない人たちと即席パーティーを組んで進んでみます。
行列と合流したポイントあたりですっかり稜線の雲が取れてくれたのが幸い。
左手には見事な谷川稜線の山岳風景が見えました。
後方には赤城山とか上州武尊山も。
立ち止まるほどのスピードではなかったけど、前との間隔が迫りすぎてもあれなので、景色見ながらゆっくり進む。
はるか前方にも別の即席ツアー隊様ご一行。
ウネウネと列をなして進んでいる様が、なんか生き物のようで面白かった。
端から見ると蜜だけど、実際は似たようなペースで進んでいるのでそこまで渋滞している感じではなかったです。
実際、前に連なる列には山頂に着くまで追いつけませんでした。
天神尾根コースの景色といえば、やっぱりこの中盤に見える美しい山岳風景。
少し勘違いすやすいけど、見えてる稜線は谷川主脈ではなく俎嵓(マナイタグラ)山陵。一般登山道は通ってない道で、主脈縦走では通らない箇所です。
自分も最初はこれが主脈だと思ってました。「あの突き出たピーク、かっこいいなぁ」とか思ってたけど、いざ主脈縦走してみたら通らないでやんの。
山座同定とかもあんまり得意じゃなくて、現地でもいまだに間違った解釈してることがよくある。わざわざその場で地図を広げてみるのも億劫なので、誤っていても自分なりに納得して景色を楽しんでます。
そんなこんなで、尾根道も横に広くなっていよいよ終盤戦。
天狗の溜まり場に到着。
写真には映ってないですが、あの岩場の裏側にもたくさんの人が休憩してました。
最後の登り道。
この先も特に難しい箇所はありません。毎度、天神尾根でも一応ピッケルは持ってきてるけど、正直言うとストックで事足りるよね。
最後に見えてくるこの広大な雪原。
いつもであれば大抵スノーボーダーの一人や二人が滑って綺麗なシュプール描いているのですが、この日に限っては自分の見た範囲では誰も滑ってませんでした。
そういえば、ボード担いで登ってる人も見かけなかったな。
ここら辺までくると、人の列も逆に綺麗に見えてくるから不思議。
あたり真っ暗にして全員でヘッドライト付けたら、かなり綺麗な光の道ができあがりそう。
稜線がだいぶ近づいてきた。
奥には新潟方面の山も見えてきました。
最後も急登なので頑張りどころ。
コンディションが良すぎるので、持ってきた雪山装備のほとんどがお荷物と化しています。
こうしてスタートから2時間ほどで肩の小屋に到着。
例年にないくらいの混みようでしたが、特に立ち止まるようなことはなくほぼ自分のペースで登ってこれました。
なので、コースタイムもいつもと大して変わらなかった。
肩の小屋からの展望。右奥に進む道が谷川主脈、途中で左に折れているのが登ってくる途中にずっと見えていた山陵です。
谷川主脈を歩いていけば、仙ノ倉山・平標山へとつきます。右奥に見えている平坦なテーブルマウンテンは苗場山、左奥にはうっすらと浅間山も見えてます。
昼休憩の前に山頂まで登ってしまうことに。
道らしき道はできておらず、広い斜面をみんな自由に歩いておる。
薄曇りが広がってきましたが、頭上を見上げると太陽の周りにまん丸の虹(日暈)ができてました。
これが見えると雨の前触れとか言われますが、翌日の天気がどうだったかは覚えてない。
こうして12時20分に谷川岳山頂(トマの耳)に到着。
あれだけ登山道に人がいたのに、山頂は不思議と並ぶようなことにはなってませんでした。
この標識も登ってくる時期によって埋まり具合が全然違います。この時は、まだトマの耳という表記まではっきりと出ていました。
そして谷川岳の展望といえばやっぱりこれ!トマの耳から眺めるオキの耳。
スパッと切り裂くようなこの斜めのラインがね、見ていて気持ちいいんだ。
谷川岳のもう1つのピークがあちらになります。
突き出たピークもさることながら、その間に作りあげられた巨大な雪庇にいつも度肝を抜かれる。
ここが普段過酷な環境であることを教えてくれる雪の造形。12月の段階でもかなり巨大に育っていましたが、1月、2月になればもっと大きくなります。
行き交う人たちがいるから、今回の雪庇は余計に大きく見える。
トマの耳から眺める主脈稜線。
何度眺めても良い景色。
トマの耳で写真撮ったら、もう1つのピークであるオキの耳へ。
標高はわずかに向こうのほうが高いです。
オキの耳までは片道10分ほど。
ここはほんの少しだけ順番待ちがありましたが、それでも数分。
人は多かったですが、紅葉時期と違ってみんなそれなりに登る人なので(おそらく)、うまくローテーションできていたようです。
谷川岳の最高峰、オキの耳に到着。標高は1977m。
こちらは標識がだいぶ隠れてました。
オキの耳から眺めるトマの耳と谷川主脈。
谷川岳としては珍しく、風もほとんどなくて登りやすいコンディションでした。
尖り具合としてトマの耳も負けてはいない。
ここから見るとよくわかりますが、山頂はどちらも片側が切れ落ちた崖になっているのでお気をつけください。
雪があると、どこまで地面があるのかわかりづらいこともあるので。
こちらはオキの耳から先、一ノ倉岳〜茂倉岳へと続く谷川馬蹄形の稜線区間。
夏と冬合わせれば、谷川岳にもう7,8回はきてると思うけど、いまだにこの先は歩いたことがない。
今回も眺めるだけにして引き返します。(いったいいつになったら歩けるのか谷川馬蹄形……)
トマの耳へと引き返す。
若干人も減ってきた印象。まだ午後1時ごろですが、1年で一番昼が短い時期とあって、陽もだいぶ傾いてきました。
そして、戻る途中で出会ったアイドルがこちら。
標高1900m地点まで登ってきたモフモフたち。どちらも大人しくて、飼い主さんに御断りして写真撮らせてもらいました。
眠たそうな猫が特に可愛かったなぁ〜
日が西に傾き始めると山の印象もだいぶ変わってくる。
人が少なくなったのもあってか、ほんの数分前に通った道なのに雰囲気が全然違いました。
そしてトマの耳に戻ってくると、どこの誰が置いたのかわからない雪の達磨、文字通りの雪だるまがありました。
下山する前に景色を見納めしておく。
今後もおそらく登りに来るであろう冬の谷川岳。毎回こういうすっきりとした晴れのタイミングで訪れたいものです。
スパッと突き出たオキの耳。その奥には巻機山などの越後の名峰たち。
新潟の山は雪の量が桁違い、どこの山も真っ白でした。
こちらは尾瀬の方面。右奥に小さく燧ヶ岳も見えてます。
この時期にここら辺一帯が全部晴れているというのも珍しい。
肩の小屋まで戻ってお昼休憩。
ロープウェイ使ったしトレースもバッチリだったので大して疲れなかったけど、シーズン1発目の雪山登山としてはこれくらいでちょうど良かったです。
久しぶりの冬靴とアイゼンはやっぱり重く感じましたよ。
主脈を眺める人たち。
景色を眺める人の後ろ姿って、なんか好きだわ。
肩の小屋から下山。横に広い尾根なので、そこまで気を付ける箇所もなくサクサク下れる。
今回もそうでしたが、毎度のことながらピッケルはお荷物のまま終わりました。毎度ストックで事足りるので、天神尾根ではいらないんじゃないかとすら思ってしまう。
日が傾くと山の雰囲気もガラっと変わるのが面白い。
行きに見た景色も帰りは淡い光に照らされて、何となく優しい感じに映りました。
14時過ぎにスキー場まで戻ってきました。
例によってリフトは動いているものの、滑っている人はほとんど見当たらなかったです。
14時半過ぎにロープウェイ乗り場まで戻ってきて今日の登山も終了。
帰りのロープウェイは並ぶかと思ったら、5分ほどで乗れたので良かったです。最初は登山者が多くて少し心配したけど、結果的には自分たちの思うように動けたので全然問題なかった。
年末の谷川岳の人気を知れた1日でもありました。
麓の街に下りたら温泉前に寄り道。ワインと日本酒専門店の「瀧澤・Takizawa」というお店で正月用の地酒を購入。谷川のめぐみを頂きました。
帰りの温泉はここ。谷川岳登山ではお馴染みの1つ「鈴森の湯」へ。日帰り入浴800円。
ロープウェイ以上に待たされたのが実はここで、駐車場が満車で路上に待ちの列ができてました。他に選択肢もないので待ったけど、10分ほどで入れたので良かったです。
夕食の天丼を食して完パケです。
4回目の冬の谷川岳登山が無事に終了。
そしてこれが2020年最後の登山となりました。
今更書くのも何ですが、無事に怪我無く2020年の山登りを終えられて良かったです。もう何度も登っている谷川岳でしたが、ここは何度来ても楽しめます。
ロープウェイで標高稼げて、時間に余裕を持って登れるのはやっぱり大きい。
きっとまた近いうちに登りに行くと思います。
おしまい。
【日程】
2020年12月29日
【コースタイム】
9:50 ロープウェイ山頂駅(天神平)
10:50 熊穴沢避難小屋
12:05 肩の小屋
12:20 トマの耳
12:40 オキの耳
14:40 ロープウェイ山頂駅(天神平)
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