【八ヶ岳】冬の編笠山 雪山登山 幻想的な樹氷と雲の世界

登山
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南八ヶ岳の編笠山(標高2524m)へ行ってきました。

冬でも通年営業の山小屋が多いということで、雪山登山として人気の高い『八ヶ岳』。穏やかな森と高原が広がる北八ヶ岳に対して、岩山が多い南八ヶ岳は雪山としてのハードルはあがりますが、その中では比較的登りやすいと思われるのが今回の編笠山。序盤から急登が続きますが、危険個所は少ないです。

思い付きが先行しての強行登山だったので天気はそこまで良くなかったですが、降雪直後ということもあってモフモフの雪の世界を堪能。南八ヶ岳とは思えない樹氷広がる美しい銀世界の森がそこにはありました。

さらに今回一番印象的だったのは躍動感のある雲の移り変わり。厄介でしかないと思っていた雲も、捉え方によっては幻想的な風景を見せてくれる存在だと気づけた山行でもありました。

 

樹氷と雲、白銀の世界が広がる南八ヶ岳へ―――

 

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正月早々の仙丈ヶ岳で1月の登山はだいぶ満足したけども、やはり2週間経つと雪山へ繰り出したくなる。

この翌週に遠征登山を予定していたので、本当ならお休みしても良かったんだけど、久しぶりに日曜日に時間が取れたもんだから急きょ決行。

場所は八ヶ岳。何だかんだ毎年冬に一度はお世話になっている、馴染みのある山域です。

その中で今回選んだのは南八ヶ岳南端に位置する編笠山。雪山としては未踏の山でした。赤岳~横岳~硫黄岳権現岳はすでに冬の時期にも登っていたので、ここで編笠山は正直なところ今更感もありましたが、登りたい冬山リストにずっと名を残していた一座。

2017年を迎えてようやく登りに行くことができました。

 

~~ 2017年1月22日 編笠山(八ヶ岳) 雪山登山 ~~

冬の編笠山へ日帰りで登る場合、大抵は富士見高原からのスタートになります。

高速インターからのアクセスも良く、さらに駅からもそれほど離れていないので、終電で小淵沢駅に来てそこから歩いて登山を開始するという強者の記録もあったりします。

こういうことをする人とはとても仲良くなれそう(笑)

 

早朝6時に富士見高原の登山口に到着。まだ1月なのでこの時間帯でも空は暗いですが、登山口近くには富士見高原スキー場があるので、周辺は割と明るさがありました。

それでもヘッドライトを装着しての登山は久しぶり。

 

しばらくの間、道なりに真っ暗な中を歩いていくと五叉路分岐というところに到着。

編笠山は隣の西岳との周回ルートも組めるので、西岳から登るのであればここを左へ。今回は余裕があれば編笠山の後に西岳へ行こうかとも思ったけども、山頂に着いて今回は見送ることにしました。

 

明るくなってきたのは6時30分を過ぎた頃。明け方まで雪が降ってましたが、前日分のトレースが残っていてくれたので助かりました。

 

森の中から迎える朝焼け。赤く染まる雲が綺麗で、今思えばこの後の展開を暗示するような景色でもありました。

 

臼久保岩小屋。小屋という名の巨岩。

ここら辺までは道も比較的緩やかです。

 

降雪直後なので、道を外せば膝上まで埋まるほど。

最近では八ヶ岳でもそれほど雪が降らなくなってきてますが、この日に限ってはスノーシューがあっても十分楽しめるコンディションでした。

 

しばらく登ると見えてくる標高カウントの標識。

この標高1900mあたりから道が一気に急登になります。

 

早朝の誰も歩いていない静かな森。

2000mを越えたあたりでようやく上から降りてくる登山者とすれ違いましたが、過去登った八ヶ岳の中では一番静かな山歩きだったと思う。おそらく事前の天気予報がそこまで良くないからだと思うけど、八ヶ岳とは思えない閑散とした登山道でした。

 

標高2100m地点。急登な分、標高を上げるスピードは速い。

 

時折平坦な箇所も出てきてくれるので、かなり登りやすい道です。

 

標高2300m地点、山頂まであと1時間。確か2200~2300mだったと思うけど、一区間だけやたら長く感じた箇所がありました。こういうこまめなカウントの標識はわかりやすい反面、変に先を意識して急かされてるように感じてしまうところがある……。

それでも時刻はまだ8時過ぎなので、午前中には降りれてしまいそう。

 

 

登るにつれて目に見えて雪の量が増えてくる。

モフモフした雪のお化けが登山道わきにたくさん現れるようになってきました。

 

空も少しずつ開けてくる。

森の中から見るスノーツリーと青空がまた何とも綺麗です。

 

 

この手の風景はどちらかと言うと北八ヶ岳の雰囲気に近い。

南八ヶ岳エリアの南端に位置する編笠山で、これだけの雪景色を堪能できるチャンスはあまりない気もするので、良いタイミングで訪れることができたかもしれません。

去年、編笠山を断念したのも雪があまりに少なかったからだったので、やはりこれくらい積もった中で登りたかった。

 

 

この後も雪のトンネルをくぐりながら先へと進む。

フカフカの新雪は踏むのも見るのも心地良い。もう少しでスノーモンスターと呼べそうな樹氷群が広がってました。

 

見上げる空はまだ青いものの、少しずつガスも多くなってきた。

この日の天気は麓の街は晴れで山には雲がかかるという良くありがちなパターン。山頂では展望こそ遮られたものの、逆にあまりお目にかかれない幻想的な世界観に浸ることができました。

 

 

雪の量が予想以上に多く、白銀の森が最高に美しい。”八ヶ岳の森”と聞くだけで感傷に浸れるけど、雪が積もっていればなおさら。

正月の仙丈ヶ岳から見たときは、八ヶ岳全体が黒々としていたけど、その時とはまるで違う世界になってました。

 

急登も雪景色に舌鼓を打っていたらあっという間。もうすぐ森林限界を迎える地点まで来ました。

この日は朝から風速25mの暴風警報が出ていたので、森林限界を出る前に防寒装備を整えたけど、自分でも笑ってしまうくらい見事なまでに不発に終わりました……。

 

森を抜けると一面岩場となって世界観がガラリと変わる。

山頂方面のガスは予想はしてたけど、夕暮れ時のように赤みがかっていたのが想定外。太陽の光が拡散しているからなのかよくわからないけど、先ほどまでの青空とは一転して不思議な空間でした。

 

後ろを振り返ると綺麗な青空なんだけどねぇ、、、。

目の前には南アルプスが聳えているんだけども、今日はあちらも雲がかかって見えませんでした。

 

岩場に出てみて気づいた……、風が全然吹いてない(笑)

一度岩場に出てしまうと風を避ける逃げ場がないので、無風なのは大歓迎だったけどどこか拍子抜け。

風がない分、ガスが滞留して不思議空間が作られていたのかな?

 

岩場には親切なほど矢印で道が示されているので、トレースなくても迷うことはないかと思います。

一般的に岩山が多い南八ヶ岳の中では、この編笠山が雪山としては入門的な位置づけにされていますが、確かに急登を登り切る体力さえあれば、危険個所も少ないので冬も登りやすい山だと思います。

 

南アルプスは雲の中に隠れてしまってたけど、富士山はバッチリ見えました。

個人的に衝撃を受けたのがこのシーンで、躍動する雲とぼんやりと輝く太陽、その果てに聳える富士山が絶妙でした。雲の演出は狙って見れるものでもないので、こういった構図の風景に出会えると本当にうれしい。

雲の演出力を見せつけられた気がしました。

 

雲の隙間からではあるけども、仙丈ヶ岳に続いて八ヶ岳からも富士山に新年の挨拶ができました。

 

あちらは編笠山の隣に聳える西岳。八ヶ岳の主要ピークは一通り踏んだけども、唯一登頂できていないのがあの頂。

この日は向こうにも周るつもりでいたけど、結局持ち越しとなりました。

 

編笠山の1つの名物ともいえる声援標識。

一言目は「頑張って!」

 

岩場をひたすら上へと登って行く。ガスの濃さによって目の前の景色の色が白や黄色や青に変化するので、一喜一憂しながら登ってたな。

晴れてもらうのに越したことはないけど、この日に限っては珍しくガスが美しいと思えた1日でした。

 

後ろは快晴で街まで見渡せるので、開放感は抜群。

暴風対策として着込んでしまったので、陽が差すとやたら暑かったです。

 

「頑張って!」の次は「もうそこだ!」

 

標識の通り山頂はもうすぐそこ。

天気もいまだに晴れたりガスったりの繰り返し。

 

山頂目前のところで「最後だダッシュ!」の一言。

こういう遊び心は嫌いじゃない。

 

こうして9時15分、編笠山山頂に到着。標高は2524m。

岩場に出てからはあっという間でした。

 

日差しはあるのに周りは真っ白という不思議世界。

編笠山は赤岳や権現岳に比べると標高が低いので、周りの高峰たちがガスに包まれる中、ギリギリ山頂に届かないラインに雲が流れていたので、視界が真っ白く覆われるようなことはなかったです。

編笠山の背がちっこくて助かった。

 

周辺に立ち込める雲と雪が合わさって、文字通り白銀の世界。太陽が完全に顔を出すと眩しいくらい目の前の景色が輝く。

日差しの強弱が瞬く間に変化するので、空の移り変わりを見ているだけでも面白い。

 

編笠山の山頂に立ったのは2012年の夏以来、5年ぶり。自分が初めてテント泊をしたときに、重たい装備を背負って登った最初の山がこの編笠山。

あの時はテント泊の重量に身体がついて行かず、かなりしんどい思いをして登った記憶があります。

今回は雪山とはいえ日帰り装備なので、かなり楽に登れてしまったけど、5年ぶりの懐かしい山頂はやはり感慨深いものがある。前回のようにここから赤岳や権現岳を望むことはできなかったけど、日帰りであれば3時間もあれば登ってこれてしまうとわかったので、また次のお楽しみに取っておきます。

 

モノクロの雪景色も乙なもの。

ガスが取れそうで取れない、そんな状況が続くので1時間近く粘ってみたけど、どんどんガスが濃くなる一方だったので編笠山からは引き上げることにしました。

 

こちらは青年小屋へ降りるルート。

時間もあるし西岳に周回して帰ろうと思ったけど、少し進んでやめた。

 

トレースがあんまりないし、向こうに行っても展望も期待できそうになかったので、西岳も次回のお楽しみとして持ち越しにしました。

本当にスノーシューで遊びたくなる積雪量。年々雪の量が減ってきてるって言われてるけど、毎年これくらいの雪はしっかりと降ってほしいよ、、、

 

西岳も編笠山以上におチビなので、最後までガスにかからず姿を見せてくれてました。

 

しばらく山頂で雪景色を楽しんで下山。山頂で会ったのは到着時にいた2名だけで、その二人が降りてからは誰もいない貸し切りでした。

下山する頃にようやく予報通り風が強くなってきたので、暗いうちから登っておいて良かったと思います。

 

何とも不思議な雲の世界でした。理屈はわからないけど、ガスの色が白から赤に変化したり、夕暮れ時のような印象さえ抱かせるシーンもあったり。

時間の感覚が狂う貴重な体験。基本的に快晴予報が出た時にしか動かない質だけど、今回の経験でガスも見ようによっては楽しめるもんだと思いました。

 

本当に手が届きそうなほど、すぐ上を雲が流れる。

それゆえ山頂からだと富士山は裾あたりまでしか見えず、少し下ったところからが一番きれいに見えました。

 

来た道をそもまま戻る。風が急速に強まってきたので、登ってきた時につけたはずのトレースはほぼ消えかかってました。

 

 

降りてきて再びお目見えとなった富士山。この日は富士山も山頂部だけ笠雲を被ってました。

森林限界を越えてからは雲の躍動感を存分に堪能できた時間でした。最後はその雲がどす黒い色に変わり始めたのを見て、森へと退避しました。

 

森に入ってからの下山は非常に快適。

やっぱり雪山の下りは速いです。軽快に一気に下まで降りれました。

 

登山口近くは行きは真っ暗だったので、この時になってどういう景色が広がっていたかを知る。

写真では撮れなかったけど、下山中にシカを5,6匹見ました。

 

12時20分、登山口のゲートに到着。

 

林道を道なりに進んで富士見高原スキー場方面へ。

日差しはありますが、この時間になると雪もパラパラ降ってきました。

 

こちらは登山者用の駐車場。道中では全然人に会わなかった割に、車の数は多かった気がします。

 

登山口のすぐわきにある富士見高原スキー場。スキー場がそばにあると場合によってはお食事処なんかも頼れるし、道の除雪も行き届いているので、アプローチもしやすくいいことづくめ。

毎シーズンなんだかんだ1回は滑りに行ってたけど、今年はボードをすることはないかもしれないな……

 

麓から眺める編笠山。最後までしぶとく雲に包まれずにその姿を見せてくれました。

下から見るとそこまで雪が積もっているように見えないけど、近年の八ヶ岳としては恵まれたほどの積雪だったと思います。

 

登山口にすぐ近くにある「八峯苑・鹿の湯」で温泉を楽しんで、この日の登山もおしまい。

 

実質6時間程度の登山でしたが、これだけの短時間で雪山登山を楽しめるのは南八ヶ岳では編笠山くらいしかないと思うので、この手軽さが気に入りました。

山頂まではほとんど急登続きなのでそれなりの体力は求められるけど、そこまで危険個所もないので八ヶ岳の中ではやはり入門的な位置づけだと思います。

 

久しぶりに快晴予報が出ているわけでもなく突っ込んだので、展望が見れなかったのはまぁ仕方ないと割り切れました。西岳まで回れなかったのは少し残念ではあったけども、それ以上に今回は雲の演出に魅了された1日でした。

幻想的という言葉が当てはまる不思議な世界観。ガスは毛嫌いしていて、今でももちろん晴れてくれるに越したことはないと思っているけど、雲もあればあったで見事な景色を見せてくれると教えられた感じです。

 

雲の躍動感を存分に感じられて、二度と見れないような景色も見れた気がする。半ば強行ではあったけども、勢いに身を任せて登りに行って良かったです。

次は山頂から青空の下で赤岳や権現岳の冬景色を見たいので、またこの山へは近いうちに登りに行こうと思います。

 

冬の南八ヶ岳・編笠山の記録でした。

 

おしまい

 

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【日程】

2017年1月22日 曇り時々晴れ

【コースタイム】

富士見高原駐車場(6:00) — 臼久保岩小屋(7:00) — 編笠山(9:15~10:30) — 富士見高原駐車場(12:30)

 

 

 

コメント

  1. トルコキキョウ より:

    朝焼けの淡い赤の景色がキレイですね。新雪もなめらかでモフモフ感が伝わります。雪を踏みしめる感触、もう長い間味わってないなあ~としみじみ。モノクロの雪景色好きでした。

    2週間もしたら雪山にもう繰り出したい、そしてもう翌週にも登山の予定があるというのに登れてしまうって(*_*)体力続くのがすごいですね~。そのバイタリティーが欲しいです!大好きなことだから疲れも苦にならないのかなあ。今回も貴重な景色をありがとうございます(*^_^*)

    • みやっち より:

      トルコキキョウさん、こんばんは。

      仙丈ヶ岳に登った時には八ヶ岳に全然雪がなくて心配していたのですが、1月の寒波のおかげで雪がたっぷり積もってくれてました。
      雪山のシーズンは長いですが、ここ最近は雪があまり降らないので、なるべく雪が降った直後を狙いたく、こういう突発的な形になってしまいます(^_^;)

      雲が多いなりに普段見れない景色を見れたので、今回も楽しい山登りができました!

  2. somei より:

    みやっちさんこんばんは^_^
    なかなか良いガスに出会えたようで、貴重な体験でしたね。日向山の砂浜と同じで、理由を知らないからこそ、尚更幻想的に感じれるのかもしれませんね。
    私も過去にガスられたことはありましたが、そのおかげでブロッケン現象を見ることができたのは良い思い出です。

    ガスの中の幻想的な写真はもちろんですが、雪に足突っ込んでる写真を撮ってあることに感動しました笑
    私はヤマレコに写真載せようとするとほぼ景色しかないので、あまりきれいな記録を残せてないです(-_-)
    ブログにどう載せようかイメージしながら登ってるんですかね??
    その感覚、養いたいものです…

    今回もお疲れ様でした、ありがとうございました!

  3. みやっち より:

    someiさん、こんばんは。

    展望こそなかったものの、なかなか楽しい山登りができました。こういう幻想的な雰囲気もそうですが、ブロッケン現象なども狙って見れるものでもないので、そういう景色に出会えると感動もひときわ大きいですよね!

    雪にズボッとハマった写真は、撤退を決めた瞬間だったので記念に撮っておきました(笑)
    雪が積もっているのを狙ってはいましたが、想定以上の積雪でなかなかの登り応えでしたよ。最近の八ヶ岳では稀な降雪だったと思うので、タイミングも良かったです。

    編笠山は初めてのテント泊で登ったというのもあって思い入れも強いので、また雪山としても登りに行こうと思います!

  4. ゆかぽん より:

    こんばんは。
    モフモフの雪世界、綺麗ですね。
    編笠山、登りやすそうですね。まだ登ったことがないので、今度登ってみたいです。(夏に(^^;))
    曇りがちだったのに、富士山が見れたなんて、さすがみやっちさん!

    • みやっち より:

      こんばんは。コメントありがとうございます!

      今回の編笠山は降雪直後ということもあってモフモフワールドでした。
      久しぶりに山頂でガスりましたが、霧がかった景色もいいもんですね。普段は見れない景色を堪能できて、快晴登山と変わらない充実した山登りとなりました。
      何とか富士山は拝めることができてよかったです(^_^;)

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