GWのニュージーランド旅行。2泊3日でルートバーントラックを歩いてきました。
今回の旅のメインでもあるルートバーン。1日目はディバイドをスタートしてマッケンジー小屋まで。高低差はそこまでなかったですが、途中のキーサミットから眺める壮大な山岳風景、圧倒的な自然の迫力がそこにはありました。
前日の降雪によって山が雪化粧になっていたのも良かったです。
巨大なアーランド滝と虹のコラボ、水と緑が豊かな苔むす森、最初から最後まで見どころ尽きないトレイルでした。
前回の準備編からの続き
旅もいよいよ4日目に入って、今回からルートバーントラックのトレイル編。
ニュージーランド旅行のメインイベントでもあった2泊3日の縦走登山「ルートバーン」。”世界一美しい散歩道”と称させるミルフォードトラックと並んで世界的に人気の高いコースで、今回一番楽しみにしていたところでもあります。
個人ウォークで歩く場合は事前の申請や予約が少し面倒でしたが、それに見合った素晴らしい景色が待っていたので、もう何も文句はなし。
天気にも恵まれて充実した3日間となりました。
4月30日 ルートバーントラック 1日目
ニュージーランドに来て4日目。旅はいよいよ本番。
これから始まる2泊3日のルートバーントラック。5時すぎに起床して、YHAで仲間たちと朝食を済ませる。
3泊お世話になったYHA・クイーンズタウンレイクフロント。ルートバーンから下りてきて、またここに1泊することにはなりますが、いったんこの宿ともお別れです。
不要な荷物は預けられるとのことだったので、必要な登山装備だけ持って出発。3日間の食料が多かったので、大変助かりました。
予約していた朝6:55クイーンズタウン発のバスに乗車。ルートバーン登山口のディバイドへ向かいます。バスは普通の大型バス。やはりオフシーズンということで、席は半分も埋まっていませんでした。
空が明るくなってきたのは8時くらい。車窓からの草原風景とたくさんの羊たちがのどかな眺めでした。
そういえば、この時に初めて見たニュージーランドの羊。噂通りすごい数がいました。(ちなみに前夜は美味しく頂いたラム肉のステーキ…)
2時間半ほど走って、途中のモスバーンというところで休憩。このカフェ以外は特に目立った店はないところでした。
パイやサンドウィッチなど、簡単な軽食が売られているのでここで朝食を済ませることもできます。
15分ほどの休憩でしたが、ここで大半の乗客がバスを乗り換えていきました。どこか別の観光地に向かったようで、クイーンズタウンからルートバーンに向かっていたのは、どうも自分たちだけだったようです。
引き続きニュージーランドの雄大な自然の中をバスは走ってゆく。
道が本当に1本道で、途中に目立った街もほとんどなし。のどかな風景が続きます。
近づいてくる山を見ると、どこもかしこも上の方は雪化粧。やはり前日の冷たい雨は山の全域に雪を降らせていたようで、見る分には十分綺麗ですが、果たして自分たちが歩くルートに雪はあるのかないのか……
アイゼンは持ってきておりませぬ。
さらに1時間ほど車を走らせて、テ・アナウに到着。
有名なミルフォードサウンドやルートバーンなど、フィヨルドランドにアクセスする際の拠点となる街です。トレイルを計画する上では、必ず知ることになる地名です。
通常であれば、ここのDOC(Department of Conservation)でルートバーンの山小屋の宿泊手続きを済ませることになります。自分たちは前日にクイーンズタウンのDOCで行っていたので、特にここでは何もする必要ありませんでした。
(※5月に入るとDOCでの手続きが必要になるのでご注意ください。詳細はこちら)
DOCの目の前にあったのが、テ・アナウ湖。
ニュージーランドで2番目に大きい湖で南島では最大だそう。クイーンズタウンのワカティプ湖もそうでしたが、どの湖も水が透き通っていてとても綺麗です。
ここでバスを乗り換え。奥に停まっているのがここまで乗ってきた大型バス。
ここから中型バスに乗り換えです。ザックは後ろのボックスに積めます。
自分たちの他にこのバスに乗ったのは4人くらい。全員が日帰りの行程でデカいザック背負った人は他にいませんでした。
テ・アナウからさらに1時間ちょっとかけて、ようやくルートバーンのスタート地点「The Divide/ディバイド」に到着 。11時ちょっと前、時間通りでした。旅全体を通してもニュージーランドのバスの時間はかなり正確でしたぜ。
運転手さん曰く「君たちが、今シーズン最後のお客さんだ」とのこと。明日から5月、今日でバスの定期便も終了になります。
そして何を隠そう、今日が平成最後の日でもあります。平成から令和に切り替わる瞬間はルートバーンで迎えることになりました。
トイレなどを済ませていよいよルートバーントラックスタート。
こちらが夢のトレイルの入口。何か月も前から計画していたプラン、決行するときが来たと思うとワクワクしたぜ!
念願の第1歩を踏み出す。
最初は緑豊かな森のトレイルロード。ディバイドの標高は530mほどですが、ニュージーランドのフィヨルドは標高800mもすれば森林限界を迎えるので、すぐに景色が良くなります。
800mが森林限界ってすごすぎる。
序盤は苔むす森。ありきたりな言い方をすれば、ジブリに出てくるような世界観。屋久島にも近しい雰囲気があります。
木漏れ日の中に小鳥のさえずりも聞こえる平和な空間。この先たくさん見ることになりますが、ルートバーンは可愛げな鳥とも多く出会うことができます。
1時間も歩かないうちに、早くも空が開けてきた。
そしてニュージーランドの壮大な自然景観が早くもお目見え。
展望が開けてからの山岳景観が凄まじい!突如として現れたデカい山々。
前日に降った雪のおかげで白銀に輝く山の姿。山岳感が一層際立ってます。
景色が開けてきたところで、KeySummit/キーサミットとの分岐点に到着。
標識にもある通り、ここから1時間ほど登ればキーサミットと呼ばれる山頂に行くことができます。
ルートバーンの代表的展望スポットでもあるので、ここは絶対に外せないところです。
キーサミットまでの登り道。
ここから劇的に開けていく展望がもう素晴らしかった。
どこを見ても立派な山が連なる風景。一律上の方は雪が積もっていて、どの山も白く輝いちょる。
天気も雲1つない絶好の登山日和。
山脈に切り開かれた渓谷と川。
この向こうに有名なミルフォードサウンドがあります。
登山道にあった赤い実。
1粒食べてみたけど、甘くておいしかった。 GWに訪れていますが、ニュージーランドの季節は実りの秋。
周囲360℃、どこを見ても素晴らしいとしか言いようがない景色。
ニュージーランドと言えば映画『ロード・オブ・ザ・リング』の撮影地にもなった場所。あの映画の中の世界観、それに近しい雄大な自然は確かにありました。
ちなみに有名な観光地でもある「ホビットの村」は、こことは全然別の北島にあります。今回は時間がなくて行けませんでした。
画になる海外トレッカー。
世界中の人がこぞって訪れるニュージーランドのトレイル。人気が出るのもわかるわ、こりゃ。
ニュージーランドで現地合流したお仲間たち。
座っているのがクイーンズタウンに在住してミルフォードトラックをガイドしている龍太郎先生。ここまでの晴れは早々ないとのことなので、本当に運が良かった。
シーズン最終日なので、これほどの快晴でも歩いている人はそれほど多くはなかったです。すれ違ったほとんどが日帰りでした。
山頂が近づいてくるとさらに色々と見えてくる。
見ている山は雪山でも、自分たちが歩いているのは緑豊かなトレイル。見ている世界と身を置く世界が全く違うのが少し不思議な感覚。
前日に雪が降ったのが信じられないくらい気温も暖かく、15℃はあったと思います。体感的には初夏のアルプスと言ってもいいくらい。
山頂が近づいてくると木道も出てきた。
信じられないけど、この時点で標高はまだ900m程度。1000mにも満たない場所でこれだけ壮大な自然が広がるのがニュージーランド。
日本の北海道よりも森林限界は低いです。
キーサミット一帯は高層湿原。
ルートバーンのことを色々と調べていると、こんな感じの木道を歩くシーンをちょくちょく見ることになると思います。公式のDOCのサイトにも写真が載っていますが、その木道があるのがこのキーサミット。
キーサミットの中でも最も美しいポイントがこの池からの風景。
水面に逆さに映る尖がった山のシルエットが美しくカッコよい。日本の山を持ち出したがりで申し訳ないですが、これは北アルプスの鏡池と槍ヶ岳に似ておるな。
キーサミットまでは意外と奥行きがある。
道もなだらかで最高のトレイルが続きます。
13時、キーサミット山頂に到着。
スタート地点のディバイドからここまでゆっくり歩いて2時間ほど。縦走せずにここまでを日帰りで往復する人も結構いるみたいです。
確かにこの区間だけでも十分楽しめる。
山頂にあった標識。
先ほどから気になっていた目の前の尖がった山の名前は「Mt.Christina/クリスティーナ山」。鋭利な尖った姿をしてますが、とても女性的な名前でした。
クリスティーナさんが初登頂でもしたのかな?
とても高い山に見えますが、標高は2502m。高峰感満点なので、3000mに満たないというのがにわかに信じがたい。
山頂で少し遅めの昼休憩。
お昼ごはんはニュージーランド式ラップロール。手軽に美味しく食べられてローコスト。ニュージーランドの登山中のお昼ご飯は基本的にこれでした。
何と贅沢な眺めでのお昼休憩か。
山頂一帯は湿原になっていて小さいな池が点在する癒しポイント。立ち止まっていても全然寒くない暖かい日差し、穏やかな風景が広がっています。
時間の限り居座りたかったけど、まだこの先も結構長いので、30分ほどして下山開始。
午後に入ってますが、今日の所は天気の崩れの心配はなさそうです。
緑豊かな森のすぐ背後に雪山があるっていうのがやっぱり不思議な感じ。
GWの5月は日も短くなってきていますが、こういう雪化粧した景色を見れるチャンスがあるのもこの時期。
5月のルートバーンも全然悪くない。
クリスティーナ山。日本で言うところの槍ヶ岳のような鋭い尖がりっぷり。
1つ1つの山が岩々しくて、登ろうと思ったらさぞ大変なんでしょうね。
ニュージーランドの登山スタイルとしては山頂に特にこだわらないという考え方のようですが、調べてみるとあの山に挑戦している人ももちろんいました。
向こうの山々も1つ1つがえらくゴツゴツしていて、稜線を縦走しようものならかなりしんどそう。
ルートバーントラックは基本的に山々を眺めるだけで、合間の渓谷や森を歩いていくことになります。ピークもこの先1つ踏むだけ。
それでも景色はまだまだ素晴らしいものが控えています。
分岐点まで戻って、引き続き森の中の縦走路を歩いていく。
差し込む光が心地よい。
ルートバーンには鳥も多い。
中でも人懐っこくて近寄ってきてくれたのが、こちらの「ロビン」。写真撮れるくらい近づいてきてくれて可愛かったです。
14時過ぎ、Howden Hut/ハウデン小屋に到着。
今日泊まるのはこの先のマッケンジー小屋。ここは通過するだけで、トイレだけ借りました。
小屋の前に広がるハウデン湖。
森の湖畔に広がる静かな山小屋。小さめの小屋でしたが悪くないロケーションでした。
引き続き森の中をトレッキング。ガイドの龍太郎曰く、ミルフォードトラックの方は基本的にこんな感じの森の中を歩くらしい。
先ほどのキーサミット含めて、登山としての面白さはルートバーンの方があるって言ってたので、山の展望を見たければこちらの方がいいのかもしれないです。
ミルフォードにしかない森の美しい景観というのはもちろんあるんだろうけど、ルートバーンも苔の緑と水の豊かさは十分に体感することができます。
登山道のすぐ近くを流れる小川。部分的に渡渉もあるので、豪雨の後は大変なことになりそうですが、この日は有り難い水場でした。
流れる水はとてもおいしく、日本の水場と変わらずそのまま飲めます。登山中、水は500ml程度しか持たなかったし、基本的に現地の水を美味しく頂くスタイルで乗り切りました。
景色は再び大きく変わる。
見上げると断崖絶壁の巨大な岩山。そしてそこから流れ落ちる巨大な滝。
こちらはアーランド滝。落差80mを誇る見上げるほど巨大な滝です。
水しぶきをもろに受ける、その滝つぼまで近寄ることができます。
滝つぼには綺麗な虹のアーチが出来上がっておりました。
もう画に描いたように自然の綺麗どころを詰め込んだトレイル。見どころの連続で感想が追いつかない。
アーランド滝の全貌。
この他にも周りの山々を良く見てみると、大きく流れ落ちる滝がたくさん確認できます。
森を抜け架け橋を渡りつつ、先へと進む。
ここら辺はほとんど平坦なので、全然疲れることなく歩けます。ミルフォードに比べてルートバーンの方が起伏があるようですが、普段から登山をしている人なら、体力的にはかなり余裕で歩けるコースだと思います。
途中に1か所トイレあり。
16時を過ぎてだいぶ陽も傾いてきた。
先ほどから見上げる岩山がすごい迫力。ここにも良く見てみると上の方に流れ落ちる巨大な滝があります。
今見上げている山も、地元の人は登ったりしてんのかな。地図を見る限りでは、どこも正規ルートはなさそうな感じでしたが。
もうじき陽が沈みかける17時過ぎ、ようやく目的地の小屋が見えてきました。
マッケンジーロッジ。
ガラス張りのえらく綺麗な小屋。こちらは残念ながらツアー客用のロッジで、個人ウォークの小屋は少し先。
このロッジ、調べてみるとわかりますが、ホテルのように綺麗でシャワーも付いてるし洗濯もできてしまいます。食事にはフォークとナイフ、ワイングラスまで出てきちゃうんだぜ。まさにブルジョワ登山だ。
今シーズンのツアーはすでに終了していたので、カーテンも閉ざされて誰もいませんでした。
自分たちが泊まるのはこっちの山小屋。Mackenzie Hut/マッケンジー小屋。
食事や寝袋は自分たちで持参する、日本の避難小屋に近い形態の山小屋ですが、こちらも十分綺麗。
ここのシーズン営業も今日で最後です。
小屋の前にあるのがマッケンジー湖。
鏡のように雪山を映し出して綺麗でした。翌朝の景色も見事だったので、それはまた次の記事にでも。
ここにはテントサイトもありますが、小屋から徒歩10分くらいと少し離れています。
こちらが寝床。マットレスはこんな感じで備え付けのものを利用できます。
なので持ってくるのは寝袋のみでOK。荷物もそこまで重くならないので助かります。
見ての通りマットレスは分厚いかなり立派なもので、クッション性は抜群。すぐに眠れましたよ。小屋も満員になることなく、2人分のスペースを1人で使えた感じです。
こちらは小屋備え付けのガスコンロ。シーズン中はガスが通っているので、自由に使うことができます。日本の小屋ではまず考えられないスタイル。
ガスが使えるのは4月末までなので今日がラスト。翌日の小屋ではガスが使えなくなるので、自分たちは1日分のためにガスを持ってくる必要がありました。
行程が5月に差し掛かる場合はご注意を。
夕食はパスタと赤ワイン。
GWということで、自分たちの他に日本人の方も2人ほどいました。自分たちとはルートが逆で、明日歩く予定の箇所を今日歩いてきたそうですが、一部凍結箇所があった模様。
でもアイゼンなしで歩いたと言っていたので、何とか大丈夫そうで一安心。チェーンスパイクくらいは持ってきて良かったのかもしれません。
夜の19時くらいになるとレンジャースタッフがやってきて宿泊リストのチェック。「今宵が今シーズン最後の夜ですぞ!」みたいなことを高らかに言っていましたが、我々からしたら平成最後の夜でもあったわけだが。
そんな気合が入っていたのか、このあとルートバーンの自然やら鳥やらのガイダンスが始まったのですが、それがもうやたら長くてしんどかったです。結果的に2時間近くしゃべり通していたんじゃないのかな。
退屈だったので途中で退出して、外に星空を見に行きましたとさ。英語あんまりわからんし……
外へ出てみたらまた感動!
頭上には天の川が広がっていました。南半球のニュージーランド・ルートバーンから眺める天の川。
気温は低かったですが、その分空気も澄んでいて鮮明に見えました。特に撮影テクニックを持ち合わせていない自分でもこれだけの写真が撮れたので、撮る人が撮ればすごい画になったんではなかろうか。
3月に購入したRICOH・GRⅢで撮影した初めての星空となりました。
流れ星もたくさん見れました。
この先も色々なところで星空を見ますが、もしかしたらここが一番綺麗だったかもしれないです。
最初から最後まで天気に恵まれて、良いもの見させてもらった1日でした。
星空観賞後、平成最後ということで日本国民らしく大貧民に興じる。
ジョーカー2枚、2も2枚。最強である。8切りからの革命である。
こんな感じで1日目が終了。
キーサミットの高層湿原からの山岳風景、苔の森、アーランド滝と虹のコラボ、もう初日でかなりお腹いっぱいな感じでしたが、さらにすごかったのが2日目。標高もここからぐいぐいと上げて、ルートバーンの最高地点を目指します。
コメント
みやっちさん、こんにちは。
itachiです。
冠雪した山、きれいですね。なんか、空気澄んでますよね。明るいから、秋というより、日本だと残雪の初夏のアルプスな感じ?
何よりも、星空が凄いですね。あれはほんとに見てみたいな〜。
にしても、ニュージーランド、ピーク踏むよりトレイルですか?日本の感覚だと、そうなの?という感じはありますかね、、日本は登山道がしっかりあって恵まれてるのかもですね。
では〜。
itachiさん、こんばんは。
ニュージーランドのスタイルとしてはピークにはあまり拘らないようです。現地の地図を眺めた限りは山頂までの正規ルートもあまりなかったので、トレイルを楽しむ感じのようですね。
空気の澄み具合は秋という感じでしたが、気温は初夏のような陽気でした。それでいて周りの山は雪景色だったので、なんか変な感じでしたね。日程がずれていたら雪が降る中歩くことになっていたかもしれないので、晴れてくれて本当に良かったです。