北穂高岳(北アルプス) GW残雪登山 涸沢テント泊

北穂高岳(北アルプス) GW残雪登山 涸沢テント泊

1日目の槍ヶ岳の続き。

2日目は槍沢キャンプ場から涸沢に移動して、北穂高岳へアタック。この日の行程も10時間超えの長丁場で、加えて前日の13時間の山行の疲れが取れていなかったので、なかなか厳しい登山となりました。

標高3106m、国内第9位の高峰”北穂高岳”。槍ヶ岳よりは低い山ですが、北穂高岳のほうがまだ雪が相当残っていました。ルートも夏場とは異なり、積雪のこの時期は北穂高沢の雪渓をひたすら直登するコース。

緩んだ雪に足元崩されながら、振り返ると肝を冷やすほどの高度感ある急斜面。苦手意識の高い穂高連峰の初戦として、ビビりながらも山頂を目指した2日目の旅。

2015年GW北アルプス残雪登山、後半の記録です。

 

2日目、北穂高岳目指して―――

 


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2009年に登った富士山を最初の登山とするなら、もう今年で登山は7年目。

最初は近場の奥多摩や丹沢といった低山しか登らなくて、アルプスなんて憧れの山域でしかなかった。装備も少しずつ様になってきて、初めて北アルプスに足を踏み入れたのが2011年の夏。

その時は焼岳の日帰りだったけど、初めて上高地に来たということもあって、エメラルドグリーンに輝く梓川や野生の猿にとことん感動。正直、山の知識なんて全然なくて、焼岳の山頂に立って周りの山々を眺めたけど、どれが何ていう山なのかも全然わからなかった。

それでも偉大な北アルプスを肌で感じて、もっと知りたい、登りたいと思って、それ以降は何度も計画を立てては色々なところに登った。

 

昨年の裏銀座~雲ノ平周回も無事に済ませて、北アルプスの名峰と言われるところは大抵周ったけど、その中で唯一残ったのが今回登る穂高連峰

北アルプスの中でも割と王道の山で、最初のうちに登る人も多いんだろうけど、何故かこの山とは相性が悪くて、これまで行く機会に恵まれなかった。唯一近づいたのは、2年前の冬の西穂高独標くらい。

あの有名な涸沢にさえ行ったことがない。

 

だから、今回の北穂高岳登頂を目指すのは、割と強い思い入れがあった。いよいよか、、、という感じで。

 

そんな思いがあっての、2015年のGW北アルプス登山後半戦。

 

~~ 2015年5月3日 涸沢・北穂高岳 ~~

前日の13時間の長旅を終えたのが、18時も過ぎた時刻。長丁場を終えて夕食を取り、翌日のスケジュールを確認して寝たのが21時頃。雪上だったけど、風もなく寒さも全然感じなくて非常に快適なテント泊でした。

 

4時半ごろに起きて、テントから顔を出すと、この日も朝はいい天気。

 

ほとんどがこれから槍ヶ岳へ向かう人たちで、みんな雪渓方面へと歩いて行く中、自分たちはゆっくり朝ごはん食べてテント撤収。

テント泊の時はどうしても朝ごはんが食べれなかったんだけど、それはやっぱりよろしくないので、今年からは少しでも何か口にするようにしている。雑炊はすんなり食べれたので、持って行って正解でした。

 

5時50分、一晩過ごした槍沢キャンプ場に別れを告げて、来た道を戻る。

涸沢へ向かうため、いったん横尾まで下山。

 

20分歩いて槍沢ロッヂに到着。ここの宿泊者も続々と槍ヶ岳へ向かい始めてました。

前日の空きっぷりが嘘なくらい、この日の槍ヶ岳は混んだのかもしれない。

 

朝の梓川がまぶしくて心地良い。すでに気温は高めで、この日も相当暑くなりそうな予感でした。

 

途中、前日登った槍ヶ岳が見えた。

少し下りてきただけのはずなのに、もうはるか遠くに感じる槍の穂先…。あそこまで1日で良く一気に登ったもんだなと改めて思う。

そして、今日もまたまだまだ先が長いんだった、、というのを思い出す。

 

横尾まではほぼ平坦。朝の足慣らしにはちょうど良くて、脇を流れる梓川がとにかく綺麗で癒される。昨日通った道でも、ここら辺はまだまだ楽しんで歩けます。

 

対岸の屏風岩。あの岩を回り込んだ先に、念願の涸沢・穂高岳が待っているらしい。

自分としては初の領域。早く行きたい。

 

7時40分、横尾まで戻ってきた。ここまで来ると人もたくさん増えて、かなり賑やかになる。もう少し遅くなると、この日の朝イチで上高地入りするマイカー・バス組も加わるから、できるだけ早く通過したかったところ。

 

涸沢まで6km。ここから先は歩いたことがないから、どの程度の登りが待っているのかわからないけど、1つ言えるのが、歩き始めて2時間程度なのに、すでに疲れが出始めてるってこと…(^^;

涸沢の水場の状況を事前に調べていなかったので、ここで2L汲んで担いで行ったけど、結果的には涸沢ヒュッテにしっかりと水場があったので不要でした。

疲れた身体に無駄に鞭打って、プラス2Lの水を背負って出発。

 

ついに、この横尾大橋を越える!個人的には歴史的瞬間。

涸沢は紅葉時期に行こうと思って計画したのが過去に2回。どちらも雨にやられて、行くことができず。まさか最初に横尾大橋を越えるのが残雪期になるとは、、、

人生どういう巡り合わせがあるかわかったもんじゃない。

 

いよいよ涸沢へ。疲れもあったけど、ここから先は未踏の地だから、何が待っているのか楽しみでしかたなかった。

 

横尾大橋の上からの梓川。何度眺めても、水の透明度には感嘆するしかない。

昨日苦労して登った槍沢の雪渓。そこの雪解け水がこうして下を流れて、上高地まで続いていく。

 

足元には豊富なフキノトウ。昨年山菜取りを体験したこともあって、山菜にも結構興味わいてきた。ここまで綺麗にたくさん咲いていると、少しくらい持って帰りたくなる衝動に駆られる。

 

横尾から先もしばらくは平坦な道。重い装備には優しい道だけど、たまにいやらしい残雪が落とし穴を作っていたりして、細かいことで体力が削られていく…。

 

真下から見上げる屏風岩。涸沢へ行くもう1つのパノラマコースってのは、この目も前の岩を越えて行くらしいから、相当登ることになるんだろうね。

大変そうだけど、あの岩の上からの展望も見てみたい。パノラマっていうくらいだから、さぞ開放感があるんでしょうね、きっと。

 

穂高・屏風岩はクライマーの聖地らしくて、その道の人からしたら憧れの場所なんだとか。

素人目にはどこをどうやったら登れるのか、さっぱり見当がつかない。

 

たびたび言ってるけど、僕は岩場が大の苦手なんで、穂高岳とかはいわば苦手ジャンル。だからある意味では、今こうして歩いている長くて体力勝負なルートのほうが性に合ってるのかもしれない。

 

この時間帯は涸沢から下山する人も多くて、すれ違いも多い。

道を譲っていると、大抵「ありがとう」と言われるけど、こういうキツい登山の時は貴重な休憩時間を確保しているだけなんで、むしろこっちが助かる(笑)

そんなすれ違いの中で出会ったのが、宝永山とかを一緒に登った岳。数日前から涸沢入りしていたそうで、自分たちとは入れ替わりで下山してました。

 

どんな山であっても、知り合いと会えるのはうれしい。元気もらえて少しだけ気持ちも楽になった。

そうして、到着したのが本谷橋。夏場だと橋が架かるらしいけど、GWはまだそんなものは架ける必要もなく、このまま雪渓を直登していくことになります。

 

1日目に続き、再び雪渓上の登山。傾斜は前日の槍沢に比べるとかなり緩くて、涸沢までだったらアイゼンなくても歩けるくらいでした。

地獄の急斜面が待ち構えているのは、涸沢から先。ここら辺でヒィヒィ言っているようでは話にならないけど、すでに絶好調なくらい息切れ起こしております( ̄^ ̄)ドヤッ

照り返しは相変わらず強烈で、雪の上にいながらかなり暑い…。

 

もう見慣れてしまった白い雪渓。荷物の重さでペースが上がらない横を、小さい子どもが元気にはしゃいでいるのを見て、あの余裕がどれほどほしいと思ったことか…。

楽しそうにヒップそりもしていて、本当に山を楽しむあるべき姿というのを見た気がした。それゆえの、数時間後に行われる我らの怒涛のシリセード大会(笑)

 

広大な雪渓を2時間ほどひたすら登る。

それにしても、この白い風景が帰りには一変して荒れ果てた景色になるとはこの時思いもしなかった。。

 

涸沢ヒュッテとテント場への分岐点。大した違いはないけど、テント泊なので右に向かう。

雪の登りに関しては、この後にすごいのが待っているんでここはかなり省略しているけど、体力・時間ともに結構削られてます…。

 

シャリバテでスローペースで歩きながらも、どうにか11時すぎ。涸沢テント場に到着。

念願の初涸沢は、何とも無様な格好での到着となりました。

 

GWの混雑っぷりは毎年聞いていたけど、噂通り色とりどりのテント場並んでる。

見た感じモンベルのテントが多くて、何か目印つけてないと夜とか迷子になりそうだと思った…。

いい感じで空いているスペースを見つけたけど、広さが足りなかったのでスコップで整地。雪上のテント場ってスペースつくるだけでも結構疲れるのよ…。30分くらいかけて2張りのテントを設置した時には、正直それで満足してた自分がいた、、、(北穂高岳登らなくてもいいじゃないかと…)

 

写真で良く見た岩壁の真下に建てられた涸沢小屋。遠目でもテラスでくつろいでいる人がたくさんいるのが見えました。

涸沢といったらビール&おでんが有名だし、昼間っから呑んべぇになってる人もきっと多いはず。それが余計に誘惑になる……

 

テント場からの景色がとにかく素晴らしくて、周りを穂高の岩壁で囲まれた絶好のロケーション。

こちらは奥穂高岳。日本第3位の高峰。

今回は登る予定はないので見るだけ。この山はまた別のルートで登ろうとしているので、その時に取っておきます。

 

涸沢のテント場の料金は……、なかなかいい値段するね。

右後ろのテントが受付で、この日は12時から受け付け開始してました。

 

テントを張り終えて、何よりもお腹が空いていたので涸沢ヒュッテのパノラマ売店でお昼ご飯。山小屋の食事を頼ることにした。

ここも、すでに朝方登り終えた人がビールとか飲んでてまったりモードが漂ってました。

 

小屋のごはんと言えばカレーだよな。基本的に僕のテントの時の食事はラーメンなので、どうしてもお米が食べたかった。

テント泊のときは、基本的にお昼ご飯は行動食で済ませる派なので、小屋で食事をとることなんて滅多にない。腹が膨れればいいやと思ってたけど、これが想像以上に美味しいし、すぐに食べられるので、今後も小屋でのお昼ご飯はかなりありに思えてきた。

 

カレーを食べていると、このまま飲み始めて北穂高岳も登らなくてもいいかな~、、なんて思ったりもした。

それくらい疲れているのもあったし、前日の槍ヶ岳で十分達成感があったって言うのもあったし、、、まわりでビールとおでんで一杯やっているのを見て、やる気削がれたのもあるし。。。

 

こいのぼりをボーっと見て、コースタイムを再計算。

すでに12時半。北穂高岳まで夏の標準タイムで往復5時間。帰ってくるのは18時近くになるけど、、、考えてみたら前日の槍ヶ岳も似たようなもんだったか(笑)

翌日の天気が良ければ、もしかしたらこの日はこれで終わっていたかもしれないけど、悪天っていうのはわかっていたので、とりあえずやれるだけやってみようってことになった。まさきとあつしも行く気だったし。

 

そういうわけで、12時40分。この時間帯から登りはじめる人はほとんどいなかったけど、北穂高岳に向けてアタック開始。

前日の槍ヶ岳同様に、ここから先は荷物デポって軽装で登れるんで、多少楽になる。

 

ただ、この北穂高岳までの道。積雪時は北穂高沢の雪渓をひたすら登り詰めるんだけど、前日と格段に違うのが傾斜。

下から見ててわかってはいたけど、相当な急斜面。

 

この傾斜を山頂までひたすら登る。長丁場になりそうなのは、スタート早々察知した。。

 

もう一つのアタック方面が奥穂高岳のザイテングラート。米粒みたいに見えるのが登山客です。

あの場所で滑落死亡事故が起きてしまうのは、この2日後…。あちらも相当な急斜面だってのは、傍目で見てもよくわかった。

 

後ろを振り返ると良く分かるその傾斜。高度の上げ方が尋常じゃない。

登山道にはまだ人がいたけど、ほとんどが山頂まで登り終えて下山する人たち。登るのも大変だけど、降りるのも慎重な足取りで結構大変そうでした。

 

上からだとテント場の状況も良く分かる。なんか思っていたよりはテント少なかったです。

実際、この前日がテントの数もピークだったようで、この1.5倍くらいは張られていたみたい。

 

ある程度登ると降りる人もほとんどいなくなって静かな雪壁だけが目の前に広がる。

途中、脇で落石とかも発生していて油断ならなかったけど、幸いだったのが雪が思ってた以上には緩んでいなくてアイゼンが効いてくれたことか。

足元崩れるシーンはそんなになかったです。

 

涸沢ヒュッテとテント場をバックに登り詰める。

テントが見るからに小さくなっていくことで、高度が増しているのを自覚する。

 

北穂高岳に関してはとにかくこの急な雪渓をひたすら登るしかない。

…ってことで、ここから先は上を見上げては後ろを振り返っての繰り返し。

 

登っていると全然山頂に近づいている感じがしないんだけど、後ろを振り返ると確実に高度を上げているのが実感できる。テントももう豆粒みたいに小さい。

 

近いようで全然近づかない雪渓の登り。もうこの雪山マジックには慣れたので、特に気にしない。

歩いていればいつかは着く。

 

あっという間に14時を過ぎる。まだ山頂は遠い…。

テント場ではどこもかしこも宴が始まる頃なんでしょうね、きっと。。

 

終盤に差し掛かると、山頂を見上げるのも少しきつくなってくる。それくらいの傾斜。

写真で写っている部分は、雪がない時期は歩かないルート。夏場は途中で南稜に取り付いて岩場を登っていくことになります。

 

ようやく近づいてきた感じがする。でもまだ時間はかかる…。

それでも前日の槍ヶ岳よりも楽に感じたのは、身体が慣れてきたからかもしれない。自分が(超がつくほど)スロースターターというのは前から自覚していて、登山も後半になるころにようやくペースが上がってくる。テント泊の時も1日目よりは2日目のほうが格段に調子がいい。たとえ疲れが残っていても、1日目ほどは息切れがしない。

最初っからカッコよく飛ばして行けたら最高なんだろうけど、それができないのが非常にもどかしく情けない…。

 

たまにこういう窪みがあるのは、おそらくシリセードで降りた跡。こういうところはステップが効かないので、脇の踏み抜きがある方を登っていきます。

 

テント場を眺めていると、その数が徐々に増えていくのがわかった。

まだまだ登ってくる人たちがたくさん見える。槍ヶ岳にしろ北穂高岳にしろ、日帰りの行程で登る人は少ないから、大半は前日入りして明朝アタック。だから朝方の山頂が混む。

逆に昼過ぎにアタックすると空いている山頂を満喫できるんだけど、その分ハードスケジュールになるしガスる可能性も高くなる。自分でやっておいてなんだけど、今回のような行程はあんまり人には勧められない。

 

山頂の岩場もだいぶ近づいてきた。ラストがかなりの傾斜だけど、雪が柔らかいので最後までストック使ったほうが楽でした。

ピッケルは帰りに大活躍。

 

長かった雪渓もラストスパート。先人が作ってくれたトレースを頼りに登っていく。

 

標高3000mを越えた地点。時刻が15時を過ぎたころにようやく稜線に到着。

 

登ってきたのが松濤のコルと呼ばれる場所。まず目に付くのが目の前に現れた巨大な岩。これが松濤岩でしょうかね…?

 

稜線部にはテントを張っている人もいました。標高3000m地点でのテント場はやっぱり寒そう…。こういう場所でのテントは、今の自分にはまだ真似できそうにない。

 

稜線に出たら、後は山頂直下の岩場を登って山頂へ行くだけ。

この岩場部分だけ雪がなかったです。

 

そして、15時20分――

 

北穂高岳山頂に無事に到着!穂高連峰のピークとしてはこれが初。

広い山頂とは聞いていたけど、まだまだ山頂は雪たっぷりで、それほどの広さは感じませんでした。

この時間に登頂する人なんて他におらず、当然ながら貸切。

 

北穂南峰方面の岩稜帯。この時間になると徐々にガスってきちゃいましたが、岩場とガスの相性はそう悪くはなく、見る分には雰囲気出ててなかなか良かったです。

この稜線もいつか歩いて、涸沢岳や奥穂高岳に踏める日が来ればいいと思っている。

 

まぁ、何より今回のターゲットはこの北穂高岳。穂高連峰初の山頂ということで、槍ヶ岳登頂とはまた違う感慨深いものがありました。

無事に登頂できたので、もう1段先へ行けそうかな。次は西穂か奥穂か……。

 

山頂のすぐ近くにある北穂高小屋があるので立ち寄ってみることに。山頂からはこんな感じで雪の回廊を思わせる階段が掘られていました。

これを見て、山頂部にはまだ相当な雪が残っているんだとわかった。

 

標高3100m地点に建てられた北穂高小屋。避難小屋を抜きにすれば、日本で一番高い位置にある山小屋らしいです。

 

はるか眼下には涸沢のテント場も見えました。これも、頑張って登ってきたんだなぁ~と、達成感を与えてくれる景色の1つ。

これからあそこまで下りなきゃいけないわけだけが、、、。そう考える頭が痛くなるけど、帰りは帰りで素敵な時間が待ってました。

 

大キレット方面はガスってきてしまったので、残念ながら槍ヶ岳は見れませんでした。

こういう時は、山が「また来なさい」と言ってると思うことにしているので、ここにはまたルートか季節を変えて来たいと思う。あわよくば、大キレット越えなんかもありか!?

 

雲が多くなってきたけど、常念・表銀座方面は見渡すことができました。

前日も思ったことだけど、今年の表銀座は本当に雪ないなぁ~と。

 

16時、そろそろ下りないと日没を迎えてしまうので、北穂高小屋をあとにして涸沢テント場に戻ることに。

槍ヶ岳が雪が全くなかっただけに、この北穂高岳山頂の積雪量にはかなり驚かされました。少し距離が離れているだけで、こうも違うのか…。

 

短い時間だったけど、北穂高岳とお別れ。無事にピークを踏めたのでホッとしております。

後は涸沢まで下山してしまえば、3日目は上高地まで下りるだけなので、ここからの急斜面の下山が最後の頑張り。登りより危険なにおいがプンプンしたので、どうか無事に降りれますように。

 

山頂直下の岩場を下って行く。

 

そして、ここで思いがけない素敵な出会い!

 

北アルプスの癒し系ゆるキャラーー

 

ライチョウ。冬の時期は真っ白い羽を纏う雷鳥もGWは羽も生え変わり始めてました。

天気が悪いときに良く姿を見せてくれる雷鳥。ガスってもこういう恩恵が待っているから北アルプスは素晴らしい。

岩場だらけの場所に1匹だけ顔を出してくれました。

 

しっかりカメラ目線も頂きました。

とにかくこのぷっくらしたまん丸のお腹がたまらない!何度触ってモフモフしたいと思ったかわからないけど、非常に貴重な鳥なので脅かさずにそっと見て楽しむ。

 

まさかのライチョウ遭遇で、ガスった分の感動は取り返せたかな。

時刻は16時20分。ここから涸沢まで標高差700mほどを下らなきゃならないけど、下山は1時間40分ほどらしいので、どうにか日没前には降りれそう。

急斜面なのでピッケル片手に下りはじめる。

 

下りは怖いかと思ったけど、案外楽に降りられる。登ってくる人もいないので、雪を多少崩しても問題ないのが気楽。

 

広大な涸沢カール。山もガスに包まれてきたけど、下山までは持ちこたえてくれそうなのでもう安心。

ここに来てようやく気が楽になったかな。後は涸沢まで下山して、翌日は上高地まで戻るだけなので、もう実質登ることはなし。2日間の長丁場をよく耐えたなぁ~としみじみ。

 

だから、最後は楽しんで終わりましょうかね!

ある程度傾斜が緩くなった滑走地点にスタンバイ。

 

あとは涸沢まで一気にシリセ~ド~!!(((((((((((っ・ω・)っ

この時のために山頂でレインウェアに着替えておいた。ピッケルがないとスピード付きすぎてリアルに滑落する危険があるので、ブレーキかけながらね。

シリセードには過去最高にちょうどいい傾斜。一気に標高下げられて、笑いが止まらなかったわ(笑)

 

結局30分ほどで下山完了!登りで3時間かかったところを下りは30分って、、、

あまりの速さに、もう少し山頂でゆっくりしても良かったとさえ思ってしまったよ。呆気なさすぎる下山でしたとさ。

 

装備がかなり濡れたけど、予定よりだいぶ早く降りれたのは結果オーライ。

さっさと着替えて、売店前のテラスで2日間の打ち上げじゃ~!

 

涸沢ヒュッテ名物のおでん。17時で販売終了してしまっていたけど、売店の綺麗なお姉さんがコッヘルあれば売ってくれると言ったので、ビール&おでんを堪能できました。しいたけはサービスしてもらっちったぜ。

 

そのあとは夕食もかねて19時半くらいまで飲んでたかな。とにかく翌日は下山だけだったので気楽でした。仮に3日目も晴れてたら、奥穂高岳に登りたくなる衝動が出たかもしれないけど、(都合よく…?)悪天だったので割り切ることができた。

 

夜の涸沢テント場。この日もそれほど寒くなく風もなく、穏やかな夜でした。

どこのテントもまだ明かりが点いていて、綺麗だったな。賑やかすぎて山の上の、しかも雪のテント場とは思えないくらいでした。

 

さっきまでいた北穂高小屋の明かりも下からはっきりと見えた。GWはまだ2日目。みんな思い思いに山旅を楽しんでいるようでした。

自分たちもテントに戻って、しばらく飲んでこの2日間を振り返ったりしたな。たかが2日間だったけど、槍ヶ岳も北穂高岳も長旅だったから、本当に色々なことがあった。3人とも精根尽き果てるほど疲れたけど、ここに来てようやく安心感も味わえた。無事にスケジュール通りにこなせて、後は下りるだけ。

 

翌日は5時くらいに起きて、早めに下山できたらしようって軽い取り決めだけして、21時過ぎに就寝。

 

怒涛の2日間がこうして終了。

 

最終日の3日目へ……

 

~~ 2015年5月4日 涸沢キャンプ場から上高地へ下山 ~~

3日目の朝。起きたのは予定通り5時すぎだけど、真夜中に大雨が降ってたまに目が覚めた記憶あり。自分は決して寝つきが良い方ではないと思ってるけど、テントとバスの中だけは人並み以上に熟睡できるタイプなんで、少しうるさくてもあんまり問題なし。

逆に寝坊が怖いけど、これだけテントが多いと5時にもなれば周りも行動を初めて騒がしくなるので、自然と目が覚める。

 

テントの外を覗いてみると、あいにくの曇り空。

でも、雨は上がってくれていたのでテント撤収は楽でした。

 

昨日見えていた北穂高岳も山頂はガスの中。

それでも北穂や奥穂にアタックしている人がたくさんいました。奥穂高岳ザイテングラートで滑落死亡事故が起きてしまったのが、この翌日の朝。テント場からも登山道がしっかりと見えていたから、滑落の瞬間を目撃していた人もいるのかな。。

GWの北アルプスは暖かくなってくる時期ではあるけど、山の上はまだまだ雪の世界。天候が少しでも崩れれば厳冬期並みの寒さが押し寄せるし(昨年の表銀座で経験済み)、ある意味足場も脆さは真冬以上に厄介だから決して油断ならない。それでもせっかくのGWだから登頂したい気持ちってのも良く分かるし、、そのジレンマがあり続ける限り登山事故はなくならないだろうね。

 

5時45分、下山開始。標高としてはまだ2300mの地点、残りは下山だけとはいえ、上高地までは5時間ほどかかる距離。

それでも荷物はだいぶ減ってくれているので、1,2日目よりかは出だしもだいぶ楽。

 

ただ、この後すぐに昨夜の大雨の威力を知ることになる…。

 

登ってくるときには、真っ白い雪渓が広がっていた登山道。

それが土砂崩れやら落石で見るからに荒れ果ててた。一晩でこうも景色が一変するのかと、ただただ驚くしかなかった。もし登ってくる時に雨が降っていたら、この土砂崩れが直撃していた可能性だってありえる。

帰り際で山の怖さを垣間見た瞬間でした。

 

6時半、本谷橋へ戻ってきた。ここら辺もだいぶ荒れてました。

ここから先は雪もなくなるので、アイゼンを外してひたすら長い平坦な道のりを上高地まで下って行きます。

 

途中の屏風岩。霧があることで風格が増して、迫力ありました。

 

GW3日目ともなると、登ってくる人も少な目。涸沢からの下山も先行隊だったので、それほど混雑することなく歩けました。

 

雨上がりだったので、コケが瑞々しくて綺麗でした。

平坦で単調な道でも見どころは豊富。

 

7時半、横尾に到着。予報よりは天気良くて、たまに陽がさしたりもしました。

湿度が高いので、かなり蒸し暑かったが…。

 

横尾まで来たら、後は沢沿いにひたすら長い平坦な道を戻るだけ。

 

特に目新しい風景もなかったので、樹と苔でカメラの練習でもしてみた。

ここら辺は登るときは先を急いでいたので、ゆっくり景色を眺めて歩くにはちょうど良かった。霧の苔むす森、もののけの雰囲気漂っていました。

 

徳沢に近づくにつれて人も徐々に増えてくる。長く単調な道だけど、木漏れ日差す林間コースが気持ち良かったです。

 

霧と陽の光で幻想的に映る上高地の森。

 

9時少し前に徳沢に到着。ここまで来ると完全に観光地化して、雨合羽して林道を散策する人もたくさんいます。

 

…で、絶対に外せないのが登りでも触れた、徳沢のソフトクリームね。

 

ここのソフトクリームはコーンがサクサクで美味しい。ソフトクリーム行列ができるほど、この日も人気でした。

 

軽く休憩して、徳沢のキャンプ場を出発。

 

上高地までは残り2時間。脇に咲く花を鑑賞しながら進む。

綺麗な花がたくさんあったけど、いかんせん名前がわからない。。。例えばこの写真の花は何ですかね??

 

曇っていたからなのか、苔むす森が一層綺麗に見えました。葉の緑と幹の茶色が良いコントラスト。

 

水も滴るいいお花。花に目を向けられるようになったのも、1つの成長。以前だったらひっそりと咲くこの手の花はスルーしてただろうし。

 

上高地名物の猿も道脇にたくさんいました。

かなり人間慣れしているので、普通に顔色一つ変えずに真横を歩いて行く。

 

10時10分、明神館に到着。ここに着いた時だけ、一時的に雨に降られたけど、それでもすぐに上がってくれてザックカバーもそんなに意味をなさずに上高地まで歩いて行きました。

今回の旅で一番濡れたのは、間違いなく2日目の北穂高岳からのシリセード(笑)

 

11時、長い道のりを終えて上高地に戻ってきた~!

梓川と河童橋。お昼に差し掛かる時間帯だったので、この天気でも観光客がたくさんいました。

 

こうして上高地バスターミナルに無事に帰還!涸沢から約5時間の下山だったけど、足もどうにか持ちました。

3日間通してお疲れ様!!

 

バスも混雑していて並ぶのが面倒だったので、帰りもタクシー使って沢渡まで行きました。

 

温泉は近くの「さわんど温泉 梓湖畔の湯」で済ませました。露天風呂はあるけど、洗い場も浴槽もそこまで広くはないので、大人数には不向きかもしれません。

上高地近くの温泉で、他にいいところあったら教えてください。

 

帰りがけ、5月にもなったということで上高地付近でも新緑が綺麗でした。

今回は北アルプスの残雪登山ということで雪景色が大半だったけど、ここから先は新緑がメインの登山になりそう。

 

松本市へ下りてくると青空も見えて、すっかり夏の空模様。山には雲がかかっていたけど、結局この日以外はまた翌日から北アルプスも晴れたので、今年のGWは天気に恵まれた年だったね。よかったよかった!

 

帰りに少し寄り道しました。「カモシカスポーツ松本店」。

建物自体がオシャレで、店前の庭園には花も咲かせておりました。

 

これはエベレストかな…?

 

特に何も買わなかったけど、登山初期から使っているオレンジマムートのレインウェアがいい加減ボロボロだから買い替えたい。後は40Lのザックがそろそろ壊れそう。

山の装備は揃ったとしても次々とダメになっていくから、お財布に優しい趣味とは言えないよな。。。

 

徳沢のソフトクリーム以降何も食べてなかったので、猛烈な空腹!寿司、焼き肉、どんぶり……、登山後はあらゆるものが食べたくなるけど、今回はたまたま目に入った松本市内のインドカレー屋でバイキング。失ったカロリーを一気に取り戻す。

 

こういうことを毎回繰り返すので、山に登っていても決して痩せることはないのさ……。

 

3日間にわたる北アルプスの山旅が終わり、東京へ戻る。すでに渋滞がひどかったけど、日付変わる前には自宅に帰れました。

山に登ったのは1日目と2日目だから、登山は実質2日間か。両日ともに10時間超えの長丁場で相当しんどい思いをしたけど、怪我もなく無事に終われたんで、めでたしめでたし!

これは余談だけど、GW最終日が山友の結婚式で、特にまさきとあつしは2次会の司会を任されてたから、到底怪我なんてさせられず。車内でもかなり練習してたけど、そちらも無事に終わったので、めでたしだな!

山にも行けたし、幸せムードで終われて今年もゴールデンウィークでした。

 

色々書きたいことは山ほどあるけど、相変わらず長くなってしまったので、サラッとまとめると……

後半の北穂高岳編のハイライトは、やっぱり初の涸沢でした。

 

写真で何度も見た北アルプス涸沢。名高い穂高岳に周囲を囲まれたキャンプ場、ここが人気になる理由がよくわかりました。

夜景も綺麗だったし、ここもまた山の上の楽園と呼べる場所。涸沢と言えば紅葉が有名なので、いつの日か秋にも訪れてみたい。混んでる山はあんまり行きたくないけど、ここの紅葉だけは仕方ないと思ってる。平日でも激混みらしいからね。

 

また来た時は、きっと今回の山行を思い出すことだろう。山旅なんてそんなもん。

 

過去の山旅の中でも、行動時間で言えばトップ3にランクインするほど長かったけど、まさきとあつしがいてくれたおかげで最後まで頑張れた。3日間通して一緒に登ってくれた、まさき、あつしサンクス!!今年の雪山を何度も一緒に登った二人だったんで、長丁場でも足並みそろえて登れましたよ。

 

アップがだいぶ遅くなってしまってもう5月も終わりだけど、この槍・北穂以降も今月は調子よく山に登れたので、順次アップしていこうかと思います。

しばらくアルプスが続いたけど、次回からは雪景色も減って新緑や花メインの登山になるので、気が向いたらまた読みに来てください。

 

2015年GW 槍ヶ岳~北穂高岳残雪登山(完)

 

おしまい

 

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毎度読んで頂きありがとうございます

 

【日程】

2015年5月3日 晴れのち曇り

【コースタイム】

・2日目

槍沢キャンプ場(5:50) — 横尾(7:40) — 涸沢(11:10~12:40) — 北穂高岳(15:20~16:00) — 涸沢(16:50)

・3日目

涸沢(5:40) — 横尾(7:30) — 徳沢(9:00) — 上高地バスターミナル(11:00)

 

 

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