GWのニュージーランド旅行、2泊3日でマウントクックへ行ってきました。
2日目はセアリーターンズトラックとケアポイントへ。セアリーターンズはひたすら階段地獄が続く登山道でしたが、山頂からのマウントクックの眺めが素晴らしかったです。
鏡のような池、そこに映る雪山も壮観な眺めで、ミュラー湖から草原まで大自然の眺望を楽しめたトレッキングとなりました。
GWのニュージーランド旅行も9日目。前日にテカポから移動してアオラキ/マウントクック国立公園へ。
1日目はレッドターントラックを半日登山。湿原広がる山頂とアルプスを思わせる山岳風景が美しいトレイルでした。
2日目はマウントクックの雄姿を拝めるべく、屈指の展望地とも言えるSealyTarns/セアリーターンズトラックに登りました。
これがニュージーランドでの最後の登山。旅もいよいよ終幕へ。
5月5日 マウントクック・セアリーターンズトラック
本来であればミュラーハットに宿泊予定だった1日目。登山道の凍結によりアタックを断念し、YHAの暖かい布団から2日目がスタート。
朝の7時過ぎ、宿を出てみると空が淡く染まるマジックアワータイム。
この日も薄曇りながらも、まずまずの天気。
目の前の雪山がご来光によってモルゲンロートの輝きを見せる。
こちらは標高3157mのマウントセフトン。今日、これから向かうトレッキングルートはマウントクックの展望地とされていますが、あのマウントセフトンもかなり近くで見ることができます。
セフトンさんの氷河帯も見どころの1つ。
YHAで自炊のおにぎりとコーヒーで朝食タイム。
ニュージーランドに来て9日経ちますが、お米は定期的に食べれてるし野菜や果物も結構食べているので、なかなかの健康生活を送れてます。体重も10日の海外生活では全く変わらなかった。
9時過ぎ、YHAを出発して本日のトレッキング開始。向かうのはマウントクック の中でも人気の高いSealyTarnsTrack/セアリーターンズトラック。
調べてもらえればわかりますが、山頂までひたすら階段地獄が続くコースです。
途中、ひときわ目立つホテルを通り過ぎる。
こちらは『ハーミテージホテル』 。マウントクックの中ではおそらく一番お高い高級リゾートホテルです。紳士淑女がガラス張りのレストランで優雅にバイキングを食っておったぞ。
綺麗なトイレだけお借りしました。お土産屋も併設されているので、宿泊せずとも立ち寄ってみるのが良いかと。
ホテル脇に建っていたこちらの銅像はエドモンド・ヒラリー氏 。ニュージーランドの登山家にして英雄。人類で初めてエベレストに登頂したお方でもあります。
ニュージーランドの5ドル紙幣の肖像にもヒラリーさんが採用されているので、山野郎へのお土産は5ドル札が喜ばれるかもしれません。
ホテルを過ぎれば、景色は一転して草原風景。
マウントクックの街(村)は小さく、少し街を離れればもう自然しかありません。
そして早速見えたのがニュージーランドの最高峰・マウントクック。 正式名称はアオラキ/マウントクック。アオラキというのはマオリ語で「雲の峰」という意味らしい。
標高は3724m。富士山(3776m)とほぼ同等の高さを誇る山ですが、登頂は非常に難しい山。一般ルートは存在せず、それなりの力量を持った人だけが立ち入ることのできる領域。ヒラリーさんもエベレスト登頂に向けて、あのクック山で色々と訓練を積んだらしい。
草原に敷かれた1本の木道を進んでいく。
前を見ても後ろを見ても山ばかり。マウントクックを取り囲むここら辺の山々はニュージーランドの南アルプス山域。
厳しい自然環境のため、標高4000mに満たないながらも氷河帯が多く残っています。
セアリーターンズトラック周辺の地図。
左にMuellerHut/ミュラーハットと書かれていますが、これが初日に自分たちが行こうとした山小屋。セアリーターンズトラックはその途中までの区間になります。
前日のレッドターンズ(RedTarns)と同じく、Tarns(池塘)と名が付けられているとおり、今日も行く先に綺麗な池が待っています。
途中にKeaPoint/キアポイントという展望地がありますが、それは下山後に寄るとして、まずはセアリーターンズへ。
キアポイントはほとんど平坦な道を進むだけなので、誰でも手軽に立ち寄れる展望ポイントになっています。標識にもある通り、この分岐から15分ほど行った先です。
そして始まるセアリーターンズの階段地獄。
山頂まで往復3時間ほどの道のり。高低差500mほどですが、その道中の大半がこんな感じの階段が続きます。
ひたすら上を目指して登り進める。
道は単調ですが、展望は序盤から開けているので、景色を楽しみながら登れます。
後ろを振り返ればマウントクックの雄姿を一望。
そして目の前に広がるのがミュラー湖。氷河が溶け込む美しい湖……、という感じかと思いきや実際はあまりそうでもなく。。
何となく工事現場感があるのは曇天だからか……?湖の真ん中に浮いているのは砂ではなく、一応氷です。(どす黒いけど)
上へ行けば行くほど、このミュラー湖はどんどん大きく見えてきます。
湖の美しさは上に行けば変わるだろうという期待を込めて、この段階ではその周りに広がる雄大な山々を堪能する。
目の前に広がるのは名前もわからない岩山。おそらく標高は2000mもないんだろうけど、日本の穂高岳に近い山岳感があります。森林限界が低いので、少し登るだけでこの景色よ。
時間はたっぷりあるので、景色を見ながらのんびり登る。
途中、このピンクシャツおばちゃんがエンジン全開でガンガン登って行きました。おじちゃんは下で待機中の模様。
あの元気っぷりは見習いたい。
年を重ねてもあの機動力は持ち合わせていたい。
最初に歩いてきた草原風景。
山の谷間にポツンとある街も、ここから見たら小さくてよくわからない。マウントクックはもっと観光地っぽくなっているかと思ってたんだけど、実際に来てみたら全然そんなことはなく、大自然の中に放り出されたような感じ。
良い意味で裏切られた。
階段はまだまだ続きますが、日差しもなく風も涼しいのでかなり快適な環境で登れてます。YHAに不要な荷物も全部置いてきているので、気分としてはハイキングに近い。
今日で9日連続のトレッキングになっていますが、登山という感じで登り歩くのは今日で最後。
そう考えると少し寂しい気もした。
少し登っては振り返っての繰り返し。
ミュラー湖の工事現場感は相変わらず。 テカポのミルキーブルーを見ているだけに、水もかなり濁っているように見えてしまう。
前日のレッドターントラックと比べると、セアリーターンズトラックに登っている人はかなり多かったです。高低差で言えばこちらの方がキツイと思いますが、マウントクック屈指の展望地ということで人気も高いルートのよう。
YHAに一緒に宿泊していた三浦雄一郎に激似のおじさんも頑張って登っておられました。
ミュラー湖の向こうに、もう1つ湖が見えるようになってきた。
あれがフッカー氷河湖。マウントクックにはフッカーバレートラックという一番人気のコースがあって、そこを歩くとあの氷河湖まで行くことができます。
ただ3月に発生した大雨でトレイル途中の橋が流されてしまい、残念ながらこの時点では閉鎖中。そういう事情もあって、このセアリーターンズに登る人が多かったのかもしれません。
フッカーバレートラックについては下山後に1つ目の橋までは行ってみます。
登り続けること80分、道が平坦になってくるとセアリーターンズも近い。
トラックの終点が見えてきた。
セアリーターンズのゴールは山の中腹にある小高い丘のような場所になっています。 そしてその手前にあるのが、このルートのシンボルともいえる池。
鏡のように山を映し出す美しい池。目の前に見えるのはマウントセフトンの氷河帯。右奥の山がマウントクック。
この池(Tarn)がセアリーターンズという名前である所以。
風もないので見事に景色を映し出す鏡池。
ニュージーランドの水の美しさにはこれまでずっと驚かされていましたが、最後の登山でもしっかりと魅せてもらいました。
このベンチがあるところがセアリーターンズトラックの山頂。
標高1500mほどに広がる絶好の展望デッキ。
マウントクックとマウントセフトン。
最高峰のクックが主役ですが、ここではすぐ目の前にあるセフトンの氷河帯が圧巻の光景!
ほんの少ししか高度が違わないように見えても、自分たちがいる場所とはまるで違う雪と氷の世界。この上のミュラーハットもあんな感じかと思えば、そりゃ~本格雪山装備が必要だわな、と思った。
マウントクックとミュラー湖。
5月のニュージーランドは秋。夏が終わって山間では一番雪と氷が少ない時期になります。12月や1月の初夏の時期に来れば、湖に大きな氷のブロックも結構残っているようです。
地元のおじちゃん曰く、年々ここの氷河の氷も減ってきているらしい。小さい頃はもっと氷に覆われていたと。。温暖化の影響か、日本では年々少雪が加速している感じだけど、ニュージーランドでもそれは同じみたい。
こっちの方角の展望も個人的にはかなり好き。
なんか荒涼とした大地に山が聳え立つ、ニュージーランドの思い描いていた世界観に近しい景色。映画『ロード・オブ・ザ・リング』の舞台になった国でもあるので、やっぱり映画の中の世界がこの国のイメージ。
ここら辺もロケ地として使われたのだろうか。
セアリーターンズトラックの池から、マウントクックとマウントセフトン。
薄曇りながらも水墨画のような色彩美は乙なもの。絶景でございます。
例によって山頂ではお昼ご飯としてニュージーランド式のラップロール。
もう何度目かのラップロールですが、飽きずに食えるのが不思議。そして悲しいことに、このラップロールを食べるのもこれが最後……。
山頂はベンチ以外にも休憩できるスペースが結構あるので、たくさんの人がのんびり休んでクックを眺めてました。
日差しも出てきて、心地よい時間。
眼下に広がるミュラー湖。白濁という表現はあまりに失礼なので、ここでは敬意を込めて豆乳色=ソイミルクと呼ばせてもらいます。
ソイミルクな湖も不思議ちゃんな見栄えで良いではないか。
まったり休んでいる間にどこからともなく乱入者出現。
こ、、こいつはっ…!?
ルートバーントラックでも見かけたケア。ここで会ったがなんとやら、久しぶりじゃないか。
こいつはニュージーランドのオウム。羽の色が独特で、くちばしが鋭い。
単独潜入してきたケアの撮影大会が始まる。
人間に危害を加えるような感じではないですが、食べ物はしっかりと狙っているのでご注意ください。
ケアとマウントクック。
日本に帰る前に1枚撮ってけ、と言わんばかりにキメてくれました。
1時間以上休憩して下山。
時刻は昼過ぎですが、まだまだたくさんの人が登ってきます。
セアリーターンズトラックの終点は山の中腹。まだ上まで続くルートもあります。
このルートが、前日に登ろうとしたミュラーハットまで続くコース。見たところしばらくは雪もなさそうでしたが、まだ300m以上登るので、その先はアイゼンが不可欠なんでしょうね。
すれ違った中には、重装備でミュラーハットを目指そうとしている人も何人かいました。
階段が続くので下山はあっという間。
ソイミルクな湖に飛び込む感じで一気に下る。
登山口の分岐点まで戻ってきたら、お次はケアポイント(キアポイント)へ。
セアリーターンズトラックは多少の体力が必要ですが、ケアポイントまでは平坦なので誰にでも歩けるルートになっています。
……あれ、そういえばさっき見たオウムの名前がケア(Kea)。KeaPointってあの鳥と関係があるのかな?トレッキング中は全く気にならなかったけど、このブログ書いてて少し気になった。
マウントクックに限りなく近い場所、ケアポイントへ赴く。
10分ほどでKeaPoint/ケアポイントに到着。
上から見たミュラー湖のほとりにある広場のような場所です。
ミュラー湖越しに目の前に聳えるマウントクック。ニュージーランドの最高峰、ずっしりと構えつつも山頂の尖がり具合がカッコいい。
その手前の断層のようになっている砂壁。やはりどこかの工事現場感は否めない。。
こちらはマウントセフトン。
氷の壁のように立ちはだかる大きな山。マウントクックよりもこちらの方が迫力ありました。
このケアポイントは翌朝、ご来光時にもう一度来ることになるのですが、そこでも素晴らしい景色を見ることができました。今回の旅の最後の絶景とも言えたので、次の記事にでも書こうかと思います。
翌朝の下見も兼ねてのケアポイント見学終了。
まだ日没まで時間はあるので、帰りがけにもう1つフッカーバレートラックにも立ち寄ってみることに。
途中にテントが張れる広いキャンプ場がありました。
トイレや炊事場もしっかりとしていたので、キャンプで泊まりに来るのもいいかもしれません。
前回の記事でも書きましたが、マウントクックの街にはスーパーが一切ないので、買い出しはここに来るまでに済ませておく必要があります。ご注意を。
そしてこちらがフッカーバレートラック。マウントクックを調べればわかりますが、このフッカーバレーが一番人気のコースになっています。先ほどのケアポイントよりもさらにマウントクックに近づくことができます。
右下に見える橋が入口の第1の橋なのですが、残念ながら3月の大雨の影響でこの先の橋が流されて封鎖されていました。
DOCの公式サイトにトレッキングルートの情報が載っているので事前に見ておいた方がいいです。
ミュラー湖とマウントセフトン。
クックも良かったけど、セフトンも綺麗だったなぁ~と心底思えた1日。切り立った岩壁を見るに、あの山も登ろうとすればかなりの難易度なんでしょうね。
フッカーバレーの入り口近くにあったのがマウントクックの慰霊碑。
マウントクックは一般的な登山道が存在しない難易度の高い山で、普通の趣味レベルの力量では登頂しえない山。気象条件も厳しく晴れも少ない。
挑戦して亡くなった方も多く、慰霊碑にはたくさんの方の名前が綴られていました。日本人も現在までに何名か命を落としています。
草原を抜けて街へと戻る。
トレッキング中は鳥以外の動物はほとんど見かけませんでしたが、翌朝真っ暗な中ここら辺を歩いていたらウサギを見かけました。
ニュージーランドには熊がいないのが安心。天敵のヘビもいないのでなお安心。
途中のビジターセンターに寄り道。
前日にミュラーハットまでの情報を聞いた場所です。建物の中はかなり広くて、マウントクックの資料館にもなっています。
お土産も売っているので、滞在中はぜひ一度立ち寄ってみるのをお勧めします。
エドモンドヒラリーさんのことも結構書かれています。実際に使ったピッケルや登山靴が置いてあったり。
見ればすごい雪庇じゃないか。あれは素人には到底無理だな……
地下のフロアではビデオ上映もされていて、なかなか面白かったです。マウントクックが神秘の山というのが良くわかりました。
色々と周っていたので何だかんだ16時過ぎの良い時間にYHAに戻る。
今日もここに1泊して、明日の朝ここを発ちます。
そして、お仲間さんとも明日現地解散のような形でお別れすることに。日本に戻るのはこの2日後ですが、なんだか最後の夜という感じがしました。
1日目には見れなかったマウントクック。
2日目に見事な雄姿を拝めることができて満足の1日でした。セアリーターンズトラックに加えてケアポイント、入り口までですがフッカーバレートラックも立ち寄れて巡れるところは一通り回った感じです。
セアリーターンズは階段続きの登山道ですが、普段から山登りしている方にとってはそんなにキツくもないルートだと思うのでぜひ登ってみてください。
こうして9日目が終了。おそらく次がニュージーランド編の最後のブログ記事になるかと思いますが、良ければまた読みに来てください。
コメント