3月中旬に新潟の守門岳へ雪山登山に行ってきました。
冬の守門岳と言えば、稜線に造られた巨大な雪庇(せっぴ)が有名。その屈指の大きさから「東洋一」とも言われているほど。
立地上、冬はなかなか過酷な環境下におかれる山ですが、3月に入ると天候も比較的安定してきて登れるチャンスが増えてくるのでお勧めです。
新潟県にある日本二百名山・守門岳。
この守門岳も、登山を趣味としなければおそらく読めなかったであろう山の1つ。「すもんだけ」と読みます。山の漢字は難しいですね。
新・花の百名山にも選定されているあたり、初夏の花シーズンも登山には打ってつけの時期だとは思うのですが、この山が特に有名なのは冬。
誰が最初に言ったのか知らないですが、”東洋一の大雪庇”を誇る山として、雪山登山としてかなり人気の高い場所です。
自分も4年前に一度登ってますが、確かに凄かったです。
その凄いやつをもう一度見に、2回目の守門岳へ。
2021年3月20日 守門岳 日帰り登山
前回の守門岳が2017年3月12日。日程としてはほぼ同時期です。
こういう時、自分でも書いててよかったと思えるこのブログ。スタート地点1つ取っても、写真を見比べるだけで前回との雪の量の差が良くわかります。
登山口の積雪量だけ見れば、前回の半分くらい。
冬の守門岳のスタート地点は、二分橋付近の最終除雪ポイントからになります。保久礼コースを歩くことになりますが、夏場の登山口に比べるとだいぶ手前からのスタートになるので、コースタイムは多めに見積もっておきましょう。
朝5時の段階ですでに路駐が発生してました。この日は守門岳大人気で、100人以上はいたんじゃないかってくらい。下山時にははるか先まで車が連なってましたよ。
6時半ごろにスタート。道路奥の雪壁を越えたら、後はひたすら雪道です。
同行者はお馴染みのまさきとあつし、どうぞよろしく。二人は守門岳初ということなので、先輩ヅラしながら進んで行くことに決めました。
正面はるか奥に見える守門岳。結構遠く感じますが、往復7時間ほどなので日帰りで十分歩ける行程です。(※ラッセルさえなければ)
しばらくは雪に埋まった道路の上を進んで行く。
東の空がだいぶ明るくなって空の色が刻々と変わる情景、これがたまらなく美しい。
気温も3月中旬ともなればそこまでの寒さはないです。
冬の守門岳はスキー、スノボー目的のバックカントリー勢も多く、登山道には足跡や滑った跡が多数。
前回はこの段階でかなりのモフモフだったのでスノーシューを履いて登りましたが、今回は雪も少なめだったのでツボ足で事足りました。
守門の森で朝を迎える。
おはようございます。
1時間くらい歩いて少し標高を上げたら、ぜひとも振り返って見てほしい。
上信越ならでは見事な雪景色を見ることができます。西の方角に見えているのは、妙高山とか北信五岳の山域。真っ白です。
尾根に入ったらあとはひたすら真っすぐ。
最初の半分はなだらか、後半はひたすら登りが続きます。
歩きだして1時間30分ほどで保久礼小屋に到着。雪が少ないと言っても、まだ小屋の半分くらいは埋まっています。
雪がない時期だと、この小屋の手前まで車で入れるのでかなり時間短縮できます。冬しか来たことないので、夏道がどんなもんなのかは知らないですが……。
もうしばらくは平坦な道が続く。
この日はたくさんの人が登りに来てましたが、みんな総じてスピードが速くて、追い抜くよりも追い抜かされる方が全然多かった。
残雪の上信越は強者ぞろいですか?
保久礼小屋から50分ほど歩いてキビタキ避難小屋に到着。
こちらも小屋の半分以上が埋まった状態。入口がないので中がどうなっているかはわからない。
このキビタキ避難小屋から先が急登の始まりです。
山頂までひたすら登りが続く1本道。ピッケルよりもストックがあった方がいい斜面です。
標高を一気に上げていくので、30分も登れば視界が開けてくる。
そして後ろを見れば開放感抜群の雪景色!高い山こそ少ないですが、新潟なだけあって低山でも真っ白く雪に覆われてます。
ここから先は少し登っては後ろを振り返っての繰り返し。
3月らしい春霞の影響で若干ぼやけてはいるけれど、ここは新潟県。後方には日本海も見渡せます。
この登りがマジでキツイ……。
そして、暑い。
そして、周りの登山者がみんな早い。
単に自分が遅いだけなのかもしれないけど、足がパンパンになりました。
トゲトゲのように立ち並ぶ樹々が何だか可愛らしげ。
ここら辺も雪の量が多ければ樹氷になっていたりもします。
景色を堪能するポーズを取りつつ、乱れた息を整える。
下山してくる登山者とすれ違う時、なぜだかわからないけど、変に強がって澄ました顔をしたくなる自分がいます。
ゼェゼェ登ってる姿は見られたくないんだ(笑)
単調な上り坂を息を切らしながら登っていく。傾斜もなかなかのもので、スキーやボードで滑るならちょうどいいくらいの斜面。
「ここ、こんなに長かったっけ……」ってくらい長く感じた区間。雪が締まっていたのでツボ足で歩けたけど、モフモフの場合はさらにきつくなると思うのでご注意ください。
スノーシューを履いていた前回の方が、むしろ快調に歩けてた気がする。
目指す山頂がようやく見えてきた。
けど、見えてからがまた長い……。あそこに待っている絶景を知っているが故に、それだけが登るモチベーションです。
天気も昼頃から崩れる予報だったけど、まだ持ってくれている。
守門岳の最高地点(袴岳)も見えてきました。
大雪庇はあの山頂までの稜線に大規模に広がっています。ただ、残念ながらこちらとは反対側なので、登っている間は一切見れません。
「見たいもの見れたし、ここまででいいや」っていうのが守門岳では効かないのが辛いところ。雪庇が見たいなら登頂するしかない。
山頂に近づくにつれて傾斜は少しずつ緩やかになっていきます。
相変わらず背後の展望が素晴らしい。
方角的には長野方面の展望。
薄っすらと北アルプスの白い山脈が見えてるような気もしたけど、霞の影響でそこまで遠くは見えませんでした。
妙高山とか火打山といった北信五岳エリアの存在感がここでは一番。
正面の目指す丘が守門岳・大岳のピーク。
冬の守門岳登山ではあの大岳をゴールにする登山者が多いです。雪庇が見れるのもあの山頂から。
この写真を撮っている地点から山頂まで、近いようでこれもまた遠い。
左に見えるのは中津又岳。
メローな斜面が広がっております。
頑張って登ってきた1本の尾根道。
背後には雪景色と海の展望。こういう景色が見たいがために、残雪期に一度は新潟の山に登りたくなります。
こうして10時ちょうど、守門岳・大岳に到着。ブログの尺としては端折ってるけど、ひたすらの登りでだいぶ疲れたわ……
標識的なものはないですが、登り切って稜線と合流した地点が山頂です。
山頂は広く開けてますが、あまり東側(写真の左側)へ行かないようにご注意を。
せり出した雪庇の上なので、いきなり足元が崩れる危険があります。
そしてこちらが有名な守門岳の大雪庇!
4年振りのご対面。無事に青空の下で見ることができてこの上なく嬉しい。
せっかくなので、もうちょい近づいてみる。
正面に見える高いピークが守門岳山頂(袴岳)。
冬の守門岳で良く見る絵が、この大岳から山頂方面を見据えたアングル。稜線に波打つように巨大な雪庇がいくつも作られています。
これが誰が言い始めたのかわからない「東洋一の大雪庇」。
「世界一」と言うには誇張しすぎ、「日本一」と言うには畏まりすぎ、とでも思ったのか、日本よりも少し範囲を広げての「東洋一」。
なかなかいい塩梅だと思います(笑)
正直なところ、ここ数日間の新潟が晴れっぱなしで雪庇が残っているか少し心配だったのですが、何とか持ちこたえてくれてました。
前回に比べると雪は少ないものの、部分的に崩落しているところが逆に迫力を増してそれはそれで良い。
こちらは中津又岳方面の展望。ここら見ても良くわかる、スパッとせり出した雪庇。
正面奥に見える雪山は粟ヶ岳です。(現地では適当なこと言って浅草岳と勘違いしてましたが)
さらに右の遥か奥に薄っすらと見える白い山脈は飯豊山。東北のアルプス、雪の量は桁違い。
心配していた天気も持ってくれて、青空があるうちに登ってこれました。
気温も春の陽気で半袖でも問題ないほど暖かい。風もないので、たくさんの登山者が好きな場所で思い思いに休憩してました。
ここから袴岳までは片道1時間30分ほど。この時間から行けない距離ではないけど、この大岳で満足してしまったので今回もここまで。
そんな登山者も多いはず。大岳に登って守門岳山頂を見ると、「結構距離あるなぁ~」って感じちゃうんだよね。そしてここから見る景色を堪能して「満足、もういいや」ってなる。
絵になる登山者と守門岳の雪庇。
袴岳まで行かないにしても、少し近づくだけで雪庇も良く見えるようになるので、安全の範囲内で色々と歩きまわってみてください。
薄っすらと北アルプスと北信五岳方面の展望。
3月は天気が安定する反面、気温も上がって空気が霞むのがややネックなところか。
稜線の上で適当に休憩。
長閑な雰囲気です。雪山にいながら暖かい日差しの下で薄着で休憩するって、いかにも3月の残雪登山っていう感じ。
と、山頂で休んでいたら突然ヘリがどこからともなく現れて、頭上を飛んでいきました。
誰か遭難したのか……
と思ったけど、なんかグルっと旋回して街の方へ行ったので、違うのかな。
こんな日はヘリからもさぞ綺麗な雪景色が見れるんでしょうね。警察24時、的な感じで捜索ヘリにもカメラ搭載して見せてほしい。山のドキュメンタリー番組は大好きです。
粟ヶ岳方面の展望もしっかりと目に焼き付けておく。
左側には海も見える絶好の展望地。
海が近いのと、稜線が南北に連なっているあたりに、巨大な雪庇が作られる条件が揃っているんでしょうね。
守門岳、東洋一の大雪庇も見納め。
右下に小さく見える黒い点は2名の登山者です。
こうしてみると、その横のせり出した雪庇がいかに巨大かが良くわかる。
今回もいいもの見させてもらいました。
ひとしきり景色を楽しんで下山。
守門岳お初のお仲間さんたちも、雪庇には満足されたようで。
登りは単調な道が続きますが、それでも新潟の山の中ではそれなりに短時間で登れる雪山。またしばらくしたら登りに来たいと思います。
来た道を戻る。
「なんだ、天気全然崩れないじゃないか」っていう余裕からくる不満を口走りながら。
驚いたのが昼を過ぎても登りに来る人が多かった所。
自分たちが下山完了するあたりですれ違う人もいました。山頂で夕日でも見るつもりなのだろうか。
下山だけ一応チェーンスパイク履いたけど、もう気温が高くてグズグズ。
汗びっしょりになるという、残雪登山らしい下山スタイルでした。
スタート地点近くの橋の上から。
これから1ヶ月もすれば雪も溶けて、花の季節へとシフトしていく季節。昨年は4月、5月はコロナの影響でどこも登れなかったので、今年はできる限り動きたいところです。
13時ちょうどに駐車場に下山完了。
すれ違った人数から予想してた通り、路駐が凄いことになっていて登山口からかなり離れたところまで列ができていました。
下山後の温泉は長岡方面へ行って「越後とちお温泉・おいらこの湯」へ。露天風呂はないですが、日帰り入浴400円。
設備綺麗でいかにも温泉というトロットロの湯。気持ち良かったです。
長岡方面に来た本当の目的はこの栃尾のあぶらあげ。お仲間のあつしのリサーチで油揚げが名物と言うことだったので、道の駅「とちお」にやってきました。
栃尾あぶらげ。3種類あったけど、ここはやっぱりねぎ付きで。
目の前で挙げてくれた油揚げをサクサクと切って、ネギと醬油をかけて頂く。
なかなかのボリュームだったけど、これで350円とはコスパ良し。そしてすごく美味かった!ビールか日本酒と一緒に頂きたくなる一品でした。
味に惚れ込み、お土産分も購入して道の駅を後にする。守門岳麓の栃尾は油揚げが名物なので、ぜひ下山後に立ち寄ってみてください。
こうして4年ぶり2度目の守門岳登山が終了。
春の日差しが降り注ぐ残雪登山。融雪が進んでいる中でも、東洋一を誇る大雪庇を見れたので満足のいく1日となりました。
冬の守門岳、特に3月はかなり人気の雪山となり晴れた週末は登山者も多くなります。日帰りでも割と時間に余裕を持って歩けるので、ぜひ機会があればシンボルの大雪庇をお目当てに登ってみてください。
何年後かにまた登りに行きたいと思います。
おしまい。
【日程】
2021年3月20日
【コースタイム】
6:25 駐車場
8:05 保久礼小屋
8:50 キビタキ避難小屋
10:00 守門岳・大岳(~11:00)
13:00 駐車場
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