北アルプスの朝日岳~雪倉岳を1泊2日の小屋泊で蓮華温泉から周回登山してきました。
朝日小屋を出発した2日目。今回のメインでもある雪倉岳から眺める白馬岳、旭岳の眺めがもう絶景!これぞ夏のアルプスという山岳風景が広がっていました。
稜線にはチングルマやハクサンイチゲ、コマクサなど高山植物のお花畑も多かったです。
下山後は蓮華温泉で日帰り入浴を楽しみ、バスで糸魚川駅へと帰りました。
2024年8月2日【北アルプス】朝日岳~雪倉岳 夏の縦走登山
(1日目からの続き)
糸魚川駅からバスに乗って蓮華温泉登山口からスタート。五輪尾根を経て朝日岳に登頂し、朝日小屋に泊まったのが1日目。
2日目は朝日小屋から雪倉岳を目指します。
朝の3時半。まだ真っ暗な中、ヘッドライトを付けて朝日小屋を出発。今日の行程も長いので、できる限り早めのスタートで行ってきます。
朝日小屋は朝食営業はしてませんが、食堂を開放してくれてお湯とインスタントコーヒーのサービスがあったのが非常に良かったです。
朝日小屋からは水平歩道をしばらく歩きます。
水平と名付けられていますが、アップダウンが多くてそこまでの水平感はないのでお気を付けください。距離の割にコースタイムが長めなのも、歩いてみたら納得できると思います。
木道が出てきたあたりで空も明るくなってきました。
この水平歩道は朝日岳の巻き道ルートで部分的に道が狭いですが、後半は湿原も出てきて歩きやすくなってきます。ところどころに池塘も点在。
真っ暗な中での心細い登山も、ヘッドライトが不要になるほど明るくなれば気分も変わります。
1本の木道の先に雪倉岳が見えてきました。
一見、正面が断崖絶壁でどう登るのかわからないですが、左側から大きく回り込んでいく形になります。
頭上にある岩山も迫力満点。これが燕岩なのかな?
この岩場あたりに本ルート最後の水場があるので、しっかりと汲んでおきましょう。前日の五輪尾根登山でも語りましたが、朝日岳は本当に水が豊富ですね。
ただし、雪倉岳から先は水場が一切なく、白馬大池山荘に行くまで水は手に入らないのでご注意を。
鞍部から登り返し。左から大きく回り込むように登って行きます。
日差しも届いて、身体も一気に温まってまいりました。
振り返って見る朝日岳。
北アルプス最北端の山。あの後ろは日本海です。
なかなかの登り坂。
真夏のアルプス登山ですが、まだ朝の6時過ぎなので吹く風は涼しく、快調に登れてます。
眼下に見えているのが雪倉池。
その奥にそびえている山々は妙高山とか火打山などの北信五岳です。
雪倉岳までの山頂が意外と遠い。
登山道自体は非常に明瞭で難しいところはなく、鎖場やハシゴなんてものもありません。ひたすら体力勝負な道。
日本海とそれを撮るわたくし。
登るにつれて富山湾も綺麗に見えてきました。
朝の7時15分に雪倉岳に登頂。日本二百名山にも選定されている標高2611mの山です。
9年ぶり2回目。まだ朝早かったので、到着時点では誰もいませんでした。
雪倉岳山頂からの眺めが絶景!
南側に見えるのが白馬岳(左)と旭岳(右)。特に突き出た旭岳の存在感が絶大で、そのフォルムが最高に美しい。
旭岳の奥には剱岳~立山も見えました。
剱岳も綺麗な三角形をしているので、この位置からでもよく分かります。
雪倉岳から望む朝日岳。その向こうは海です。
白馬岳からほど近い山ですがなかなか来れない山域なので、展望をじっくり楽しみます。
しばらく休んで登山再開。
雪倉岳からさらに稜線を先へと進んでいきます。
そしてこの先に待っているのが、今回の縦走登山で一番とも言える絶景ポイント。
それがこちら。
雪倉岳の稜線、その先にそびえる白馬旭岳。北アルプスの壮大なスケールを感じられる最高の場所です。
これが見たかった!本当に美しいことこの上ない。
雪倉岳からはいったん激下り。
白馬岳側から登る場合は最後にこの急登が待っているので、どちら側から登るにせよ雪倉岳は侮れないです。
時刻も8時近くになってきて、おそらく白馬山荘から出発してきたと思われる人たちともすれ違うようになってきました。
何度も撮ってしまうこの景色。
山の白さと稜線の緑のコントラストがとても綺麗です。
これぞ夏のアルプスという感じ。
下った先にあるのが雪倉岳避難小屋。
展望も良くてロケーション最高ですが、基本的に宿泊はNGで非常時のみ利用可能。
中を覗いてみましたが、内部はとても綺麗でした。
場所がいいだけに、ここに泊まること前提で登りに来る人もおそらくいるんだろうな。
水場は残念ながらありません。
避難小屋からは登り返し。
こういう広くてなだらかな道、大好きです。
振り返って見る雪倉岳。
白いビーチのような稜線。ハイカーを入れると山岳感増します。
気温も上がって暑くなってきました。
急登というわけではないですが、地味に続く登り坂が意外としんどい。
そんな中での癒しが足元に咲くチングルマやハクサンイチゲ。
ここら辺は一面がお花畑になっていて、すごい規模の群生が広がっています。
前日の朝日岳もそうでしたが、雪倉岳も花の名峰。
途中、蓮華温泉へと下りる鉱山道ルートとの分岐があります。
鉱山道は廃道ではないものの、あまり歩かれていない上級者向けのルートらしいので行く場合はお気を付けください。
朝日小屋に宿泊していた登山客が山小屋スタッフにこの道のことを聞いてましたが、「まだ雪渓が残っていて通れるかわからないよ」とのことでした。
私は白馬大池経由で下りるのでさらに先へ。
白馬岳~小蓮華山の稜線と合流するまで、まだまだ登りは続きます。
体力的にはきついですが、登山道が白さを増してより一層綺麗に見えます。
白馬岳、旭岳も近づいてきました。
ここら辺で9年前の登山を思い出す。前回は秋の紅葉シーズンで、ここから眺めた紅葉が凄まじく綺麗だったのを覚えてます。
同じルートでも季節によって見れる景色は全然違う。これだから登山はやめられないぜ。
さらに進むと眼下にコバルトブルーの池が見えてきました。あれが長池。
登山道は通っていないので、この距離から見て楽しみます。
コバイケイソウもまだ咲いていてくれました。
数年おきにしか咲かない花。
2024年もコバイケイソウの当たり年というわけではなかったようで、来年に期待します。
山頂稜線との合流地点が三国境。その名の通り3つの県(新潟、富山、長野)の県境です。
そこまでがなかなか遠い。
バテたら歩みを止めて後ろを振り返る。
白砂ビーチの稜線、山を挟んでその奥が日本海。
岩場とかは一切ない、自分好みの稜線でございます。
三国境の手前を少しトラバースして、白馬岳と小蓮華山を結ぶ稜線と合流。
ここから正面奥に見えている小蓮華山を目指します。
この稜線は栂池・白馬大池方面から白馬岳目指す登山者の通り道。
雪倉岳あたりに比べると、行き交う人が増えて賑やかになりました。
振り返って眺める白馬岳がまた素晴らしい!
人生で初めて登った白馬岳の感動はいまだに忘れない。もう12年前のことですが、大雪渓を登ってたどり着いたお花畑天国と美しい稜線、日本にこんな場所があったのかと衝撃を受けたのを覚えています。
それ以来、「北アルプスの中では白馬岳が一番好き」と言ってますが、それは今でも変わらない。
白馬岳の山頂もさることながら、やっぱりこの南北に延びる稜線が穏やかで美しくて大好きです。
何度でも歩きたくなる道。
こうして午前10時に小蓮華山に到着。標高2766mは雪倉岳よりも高く、新潟県の最高峰でもあります。
白馬大池から登ってきた人たちの絶好の休憩ポイントであり、とても賑わってました。
小蓮華山からの展望も最高。
遥か正面奥には槍ヶ岳まで見渡せる絶好の展望がここにはあります。
小蓮華山、蓮華岳、三俣蓮華岳。北アルプスで蓮華と名の付く山は、得てして展望が素晴らしい。
西側に並行するように走る稜線には雪倉岳と朝日岳。今朝からずっと歩いてきた道です。
そしてその奥は一面の海、富山湾。
小蓮華山から白馬大池方面へ下山。
すぐに巨大な池が見えてきました。青空を映し出すオーシャンブルーの水面がとても綺麗。
写真には取れなかったですが、白馬大池に行く途中でライチョウに出会えました。
そして足元にはまだコマクサの姿も。
高山植物の女王、8月でも健在です。
11時15分、白馬大池に到着。湖畔に建つのは白馬大池山荘。
白馬岳登山のオアシス的存在です。
山小屋の周辺は見事なお花畑で、特にチングルマの群生が凄まじいです。湖畔にこれでもかというくらいたくさん咲いてました。
日本でも有数の群生ポイントかもしれない。
白馬大池山荘で少し休憩。とても賑わっておりました。
美しい池とお花畑に囲まれた最高のロケーション。テント場もありますが、非常に人気でしかも予約制なのでなかなか泊まれない。
星空とかも綺麗に見れそうなので、チャンスがあれば泊りに来たいですが、たぶんかなり前から予約しておかないと無理なんだろうな~。コロナ以降、テント場も予約制が多くなって、「天気を見て直前に行き先決定!」というのがしづらくなったのは残念。逆に予約さえできてしまえば、人数制限をしてくれているので非常に快適に泊まれるのは良くなったところ。特に小屋泊。昔は布団1枚に2人とかもあったし。
白馬大池から蓮華温泉に下山するか栂池に下山するか。公共交通で来たのでどちらでも大丈夫。
到着した時間によって決めようと思ってましたが、蓮華温泉からのバスに間に合いそうだったので蓮華温泉へ下ることにしました。
電車・バスのアクセスはこれができるのが大きい。
結果的には今回も蓮華温泉を基点に周回コースとなりました。
ここから蓮華温泉までの道は単調な下り坂で難しいところは特にありません。
途中にあった天狗の庭。
山の斜面が開けた場所で展望には恵まれていますが、この時間帯の日差しは強烈なので休憩するならむしろ日陰の樹林帯。
ノンストップで通過しました。
こうして13時過ぎ蓮華温泉に下山完了。
前回は野天風呂の温泉に入りましたが、今回は身体も洗いたかったので蓮華温泉ロッヂの内湯へ。
17時まで日帰り入浴やっています。
思っていたよりも時間があったので温泉後の食堂でカレーを食す。
ガッツリ歩いた下山後は米が欲しくなります。
こうして14時50分発のバスに乗って糸魚川駅へと帰りました。
この日は金曜日。到着するバスも満車でおそらくキャンプ場に前泊して翌日から登ろうとしている人たちだったと思いますが、行きとは比べ物にならないくらいの混雑っぷりで驚きました。
帰りの便も満車で、1台臨時便が出るほど。蓮華温泉のバスってそれなりに混むようなので、早めに並んでおきましょう。
1泊2日の朝日岳~雪倉岳縦走登山がこうして終了。電車、バスの公共交通利用で蓮華温泉から周回ルートで歩いてきました。
有名どころの高山植物は全て見たんじゃないかってくらい夏の花がたくさん咲いてました。行程は長いですが水場も豊富で歩きやすかったです。
展望に関しては雪倉岳から眺める白馬旭岳!これがもう最高でした。
この景色を求めて、またいつか登りに行きたいと思います。
【日程】
2024年8月2日
【コースタイム】
3:30 朝日小屋
7:15 雪倉岳
8:00 雪倉岳避難小屋
10:00 小蓮華山
11:15 白馬大池山荘
13:20 蓮華温泉
コメント
体がねじれるくらいうらやましい。
栂池→白馬岳→朝日岳→蓮華温泉(だいたい逆ルートですね)のコースで行く予定でした。前々から小屋の予約もして、1週間前には唐松岳に練習登山までしたのに。予定の4日前になんとぎっくり腰で歩行困難になってしまいました。こんなのあり?
この風景を堪能したかった・・・。花、水場、展望・・・。
まあ、いつもタイミングの悪い私ではありますが、やっぱりみやっちさんとのご縁?があるんですね。今日も写真を眺めながら、心をなぐさめます。
それにしても、このコースでこのタイムとは!速い!
蓮華温泉にバスがあるとは、知りませんでした。私たちの予定では車使用のため、栂池→蓮華温泉への車配送に結構お金がかかりました。
帰りは栂池に降りた方が交通の便はよさそうですが、栂池のバス停の温泉がなくなっちゃったからなあ・・・。栂池→白馬八方(温泉)→長野から新幹線?
→バスで新宿?
今度のチャンスに備えて研究します。
くみちゃんさん、こんばんは。
なんと、ぎっくり腰大丈夫でしょうか?山の中でならなくてよかった半面、やっぱり予定していた山行が行けなくなるのはつらいですね……。特に今ではどこの山小屋も予約必須で前々から予約入れておかないといけないのでなおさら。
どうかお大事になさってください。
栂池と蓮華温泉、どちらにもバスがあったので到着時間によって決めようと思ってましたが、まさに栂池はバス停のところの温泉がなくなってしまったので、できれば蓮華温泉に下りたいと思ってました。前はロープウェイ乗り場のところにあったんですけどね…。
蓮華温泉のバスは本数が少ないですが、下りたところに温泉がありますし、糸魚川駅から新幹線で東京に戻れるので栂池よりも公共交通アクセスが楽でした。
お身体をゆっくり休めて、次のチャンスにぜひ登りに行ってみてください!
はじめまして。
いつもブログを楽しく読ませていただいております、saiと申します。
みやっちさんのブログを知ったきっかけは昔すぎてちょっと忘れてしまったのですが(おそらく10年ほどは経っております)ずっと携帯のブックマークに入っておりまして、ふとまだブログやっておられるのかな、と思い訪ねてみたところまだ続いていたことに嬉しくなりそこからどっぷりとハマってしまいました。
素敵な写真と文章のセンスに魅了されまして、毎日本当に楽しく読ませていただいております。過去記事全部読みたいと思っているところです。(今2019年まで来ました!)
私は全く登山をしませんが、みやっちさんのブログを読ませていただくうちにまるで登山経験者であるかのように用語や山の名前など詳しくなっている自分にびっくりしました。そして素敵な景色を自分の目でも見たいなと憧れを持つようになりました。(体力には自信がありません。でもそう思わせてくれてありがとうございます。)
これからも、怪我などのないようお身体には気をつけてください。素敵な投稿を楽しみに待っております。突然このような長文コメントを失礼致しました。
saiさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。そしてそんな以前からブログ知っていてくださりうれしい限りです!
登山をされていない方にも読んで頂けているとは驚きました。
このブログも気づけばもう15年目に突入してます。飽き性な自分にとっては登山もブログも良く続いているなぁと我ながら思います。
ここ最近はどうにも仕事が忙しくてあまり山には行けてないですが、9月に入ってから落ち着いてくると思うので、また色々と登りに行きたいところです。
今回コメント頂いた朝日岳~雪倉岳は、今のところ今年一番の景色と言えるくらい素晴らしいものが見れました。過去に一度登ったコースではありましたが、季節が違ったので新鮮な気持ちで歩くことができて良かったです。
幸いこれまで大きなケガや事故もなく楽しめているので、今後も安全第一で登りに行きたいと思います。
ブログは今後も続いていくと思うので、また読みに来てください!