毛無山~雨ヶ岳 冬の雪山登山 樹氷と富士山の大展望

毛無山~雨ヶ岳 冬の雪山登山 樹氷と富士山の大展望

山梨県と静岡県にまたがる標高1964mの毛無山へ登ってきました。

富士山周辺には同名の山がいくつかありますが、今回登ってきたのは天子山塊の最高峰。富士山のちょうど西側に聳える日本二百名山の1つにもなっている山です。

朝霧高原を起点に毛無山~雨ヶ岳と縦走してきましたが、2日間の降雪直後に登ることができたので、稜線上はまさかの樹氷天国。青空に映える白き樹氷は北八ヶ岳の雰囲気さえ感じさせる雪景色が広がっていました。

途中からトレースがなくなり思わぬラッセルを強いられた箇所もありましたが、静かな登山道をひたすら満喫。富士山の展望はもちろん、駿河湾や伊豆半島まで見渡す展望豊かな縦走路でした。

 

樹氷に彩られた雪の毛無山―――

 


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毛無山』、名前から察するに山頂部が禿げた山が多いと思われるこの山名。

見てくれのわかりやすさからなのか、この名がつけらえた山は日本中にたくさんあって、富士山周辺だけでも何座か存在します。2年前の秋に登った十二ヶ岳の隣にあった山もその1つ。

今回の毛無山は、富士山の西側に聳える標高1964mの山。日本の数ある毛無山の中ではこの山が最高峰になります。日本二百名山にも選定されているのを踏まえると、一応この山が毛無山代表ということになるんでしょうかね。

 

どれだけ禿げ散らかった山頂なのか楽しみにしつつ、毛無山代表へ登ってきました。

 

~~ 2017年2月11日 毛無山~雨ヶ岳縦走登山 ~~

毛無山へバスを利用していくなら、朝霧グリーンパーク入口というバス停が最も登山口から近いようです。バスは富士宮駅と河口湖駅のどちらからも出ています。

自分は別件で前日のうちに富士宮市内にいたので、行きだけタクシー使って登山口近くまで行きました。

 

早朝7時、麓から眺める毛無山。山全体は黒々としていますが、前日まで2日連続で雪が降ったので道路わきには雪が薄っすら積もってました。

さらに上の方を良く見ると、霧氷のように樹々が真っ白となっているのが見えて、この後の展開に期待が持てた瞬間でした。

 

登山口に向かう途中にあった毛無山登山者駐車場

車利用で毛無山単発ならここからスタートできますが、今回のように毛無山~雨ヶ岳と縦走する場合、両者の登山口が割と離れているので、ここに停めると戻ってくるのが結構面倒だと思います。他の方の記録を見る限りでは、朝霧高原あたりに車を停めて周回するのが良さそうです。

 

登山口手前にあった、ふもとっぱらオートキャンプ場

流石に冬場は閑散としてました。

 

毛無山直下まで林道をひたすら歩いていきます。

この山は富士山周辺では稀に見る急登地獄となっていて、山まで限りなく標高を上げずに近づいてそこから一気に急斜面を登り切るという短期決戦タイプ。

富士山界隈の中では割と体力が求められる山だと思います。

 

こちらが毛無山登山口のゲート。この脇にも駐車スペースがあって、5,6台ほど停まってました。

毛無山のピストンなら、このゲート脇まで車で来れれば無駄な林道歩きは省けます。

 

登山口からすでに積雪あったので、軽アイゼン(チェーンスパイク)着用。

正直なところ、山頂部くらいしか積もってないだろうと思ってたので軽登山用の靴で来てしまったけども、この後の展開を考えると普通に冬山用の靴でもいいくらいでした。

 

スタート早々に見つけた滝まであと15分の看板。この滝というのは、先にある不動の滝のことですが、15分という時間には少し疑ってかかったほうがいいです。

15分で到達するには結構急がないと無理な気がするんだ……。

 

控えめに立てられた毛無山一合目の標識。この先、稜線に出る九合目までひたすら急登が続きます。

 

しばらく樹林帯の淡々とした道を登って行くと、はさみ石という岩場に突入。

 

名前の通り、岩に挟まれた狭い所を登って行く。

ここも結構急斜面なので、部分的にロープが設置されています。

 

岩場を過ぎて二合目に到着。スタート時の標識で案内された滝が全然見当たらないと思っていたら、この先に展望ポイントがありました。

 

こちらが毛無山の不動の滝。展望台から滝まではかなり距離が離れており、この写真もカメラの限界までズームしたもの。

遠い上に、水が凍結しているのか、流れてる気配がなくてあまり滝という感じはしませんでした。

 

 

この先も樹林帯の急登をひたすら上へと登って行く。雪がない岩場もたまに出てくるので、チェーンスパイクくらいが登るのにはちょうどよかったです。

 

途中を大幅にすっ飛ばして七合目に到着。標識がどれも控えめに低い位置に設置されているので、注意していないと見落とします。

一合目からここまで、やや早めのペースで登って1時間。たった1時間でもひたすら登りなので、そこらの里山よりは全然疲れる。。

 

相変わらず登山道の景色は代り映えしないですが、着実に標高を上げているのが雪の量からも良くわかる。

毛無山山頂までは先行者がいてくれたので、有り難くトレース使わせてもらいましたが、そのあとまさかのラッセルを強いられることになるとはこの時は全然思ってなかったなぁ、、

 

稜線も間近というところで、富士山展望台に到着。

ここまで登ってきて、ようやく景色が開けます。

 

展望台からの富士山の眺め。

前日までの降雪から、街全体も雪景色になって冬らしい景観が広がっていました。

ここら辺は冬場でも降雪量が少ないので、これはこれで良いタイミングだったのかもしれない。

 

登山口から登ること1時間半、息を切らしながら稜線に到着。90分間登りっぱなしは結構疲れました。。。

富士山界隈は冬でも積雪が少ないので、1年を通して手軽に登れる山が多いけど、ここは他とはちょっと事情が違う。たとえ雪がなくてもこの急登がある限り、手軽なハイキングというわけにはいかないです。

 

稜線に出てからは、山頂までは緩やかな横移動。急登は終わりましたが、積雪量が一気に増えてまさかの膝下まで埋まる事態に。

軽登山靴で来てしまったので、後半は雪がしみ込んできて足が重くなりました。完全になめておった……

 

 

稜線を進んでいき、視界が開けたところが山頂。

 

9時15分、毛無山山頂に到着。

下から見ていた通り、山頂部は白銀の世界が広がってました。

 

青空に映える樹氷。

朝の早い時間帯だったので、まだほとんど溶けずに綺麗な形で残っていてくれました。

 

樹氷越しの富士山。

富士山方面は開けているので、富士の姿はもちろん見ることができますが、まさかセットで樹氷がついてくるとは思ってなかった……。

予想外に素晴らしい雪の絶景!富士山界隈で樹氷を見れたことはこれまでなかったので、余計に嬉しかったです。

 

頭から湯気を立たせる富士山。この後、雲にどんどん覆われていくので、この時が一番綺麗に見えてました。

 

思いがけない雪景色が広がっていた毛無山山頂。

誰もいない天辺を独り占めできて、しばし休憩。

 

ここからは来た道を戻らず、稜線を進んで雨ヶ岳方面へ向かいます。

雨ヶ岳までの縦走区間はこんな感じの注意書きがありました。この日に限ってはクマザサは全部雪で覆われてたので問題なかったけど、その代わり途中からラッセル地獄を見ることに……

 

たとえ雨ヶ岳まで行かないにせよ、この先の大見岳までは行っておいて損はないと思います。

樹氷が一番綺麗だったのがこの区間で、山頂以上の白銀の世界が待ってました。

 

もうちょっとでスノーモンスターとも呼べそうな樹氷もあったり、大小さまざまな樹氷が立ち並んでいた毛無山の稜線。

 

樹氷と富士山。山頂から先も富士山を見渡せるポイントはたくさんあります。

 

想像以上の雪の世界。北八ヶ岳と言われても信じてしまいそうな積雪量と雪景色。

完全に雪山と化してました。

 

美しすぎる樹氷。

麓から眺めた時に山頂部が白くなっているのは見えたけど、これほどの雪景色になっているとは思ってなかったです。

 

雪のトンネル。

急速に気温が上がって、樹に積もった雪がパラパラと降り落ちてくる。それもまた綺麗。

 

展望が開けるとまた絶景!

本当に素晴らしい景色。大見岳に至るまで、ひたすらこのような樹氷ワールドが続いていたので、ぜひとも雪の時期は歩いてみてほしいです。

 

何度写真に納めたかわからない樹氷と富士山のショット。

本来の主役は富士山であるはずが、この日に限っては間違いなく樹氷の方に目が行ってしまってました。

 

樹々の間を縫うように稜線を進んでいく。

 

季節外れのクリスマスツリー

 

進むにつれて良く見えるようになってきたのが駿河湾伊豆半島

富士山周辺のトレッキングは何度も歩きにきているけど、静岡側の山はそう多くは登ってないので、こんな形で伊豆半島が見えるのは少し新鮮でした。

 

もう少しで大見岳ってところで、先行者が戻ってきました。

雪が深くなってきたのもあったのか、見切りをつけたようで毛無山へと引き返していきました。

そういうわけで、ここからはトレースなき道を歩いていく。

 

この2日間でだいぶ降り積もったらしい毛無山。

明け方はサラサラの粉雪でしたが、この日の日中は気温も上がってどんどん溶けて靴に水がしみ込んできた。これが終盤で地味にきつかったです。(まぁ、冬靴を持ってこなかった自分が悪いんだが……)

 

見下ろすように立ち並ぶ大きな樹氷群。

 

雪の中でも赤い実が健気に実っていました。

 

大見岳に到着。ここは展望の全くない樹林帯に囲まれた山頂でした。

 

ここから先の稜線。

トレースも一切なく、雪がいっそう深くなる。展望もないので、こういうところはさっさとやり過ごしたい。

 

自分の足跡だけが残る雪の縦走路。

静かな中で山歩きができるのは嬉しいけど、この積雪は想定外だったので、ずっとこのプチラッセルが続くようなら引き返そうと思っていたところ……

 

割と早い段階で笹の道に出れたので、雨ヶ岳まで行ってみることにしました。たぶん、もう少し樹林帯が続いていたら嫌になって引き返していたと思う……。

ずっと樹林帯だと気が滅入るけど、笹の道は開放感あって明るいので気分的にも楽になります。日当たりの良い場所は雪の量も若干減ってる気がしました。

 

振り返ってみる毛無山。一見すると山全体が樹に覆われているので、どうして毛無という名がついたのかは不明。

山頂部もここからだと全然ハゲているようには見えない。

 

 

こちらに来ても樹氷が立ち並ぶ。背が高いので威圧感が半端ない。

 

 

笹に囲まれた稜線を歩いていく。この笹の開放感ある道は富士山周辺のトレッキングコースにはたくさんあるので、この山域もたまに歩きたくなってしまいます。

雪がない時期はクマザサに覆われて藪漕ぎになる箇所もあるのかもしれないですが、この日は雪のおかげでそんなことにはならなかったです。ラッセルに加えて部分的に傾斜がきついところもあったので、ずっと快適というわけでもなかったですが……

 

縦走途中にあるタカデッキのピークから望む南アルプス方面の眺め。

この日は稜線上は雲に覆われていたので、残念ながら山の姿はほとんど見れませんでした。

 

アルプスが見えないので、この日は毛無山~雨ヶ岳の樹氷を楽しむことに徹する。

小麦粉をまぶしたような白い山肌がとても美味しそうで、何度も稜線上から振り返って見てしまったわい。

 

 

毛無山から1時間半ほどで雨ヶ岳山頂に到着。

ここも富士山側の展望が開けていて、気持ちよく休憩できた山頂でした。

 

雨ヶ岳山頂からの富士山。毛無山から見た時よりもだいぶ雲の量が増えてました。

空模様だけで見ると、モクモクした雲が漂っていて夏のような陽気にさえ感じる。

 

雨ヶ岳からはやはり海の展望が素晴らしかったです。

だいたい富士山界隈の山に登ると山頂からはどれかしらの湖が見えることが多いけど、毛無山~雨ヶ岳に限っては湖が見れない分、海がものすごく近くに感じられます。

 

誰も来る気配がない静かな山頂で休憩。ここから先はさらに進んで端足峠から登山口へと下山します。

標識にある通りそのまま竜ヶ岳へ登ることも可能です。

竜ヶ岳に登ると毎回気になっていたすぐ近くにある高い山、それがこの雨ヶ岳だったんだなぁ~とこの標識見てふと思ったりもしました。

 

ここから先、地図にも書いてある通りかなりの急斜面。標高を一気に下げていきます。

雪でやたら滑るのでストックがほしかった。(ストックすら持ってきてなかった今回の山行。完全になめてますね……)

 

樹林帯に入っても、なお急坂は続く。ここら辺は積雪量が半端なく、部分的に膝上まで埋まってしまって結構焦りました。

 

この日一番のラッセルが、まさか山頂を過ぎての下山路にあったとは……

下りだったのが幸いで、慣れてくると雪にダイブする形で一気に下る。この日後続者がいたなら、ここで何が起きたのかわからないくらい派手に踏み荒らしてやりましたよ。

 

下山途中の急坂から見えた本栖湖。ここに来てようやく見れた富士五湖の1つ。

オーシャンブルーに染まってました。

 

こちらは竜ヶ岳。正月のダイヤモンド富士でも有名な富士山展望の山。もう3回ほど登ってますが、こちらから見たのは初めてでした。

 

思った以上に難儀した急坂をどうにか降りきって端足峠に到着。

色々と進む方面がありますが、自分はこのまま根原方面へと降りるので東海自然歩道へ。

 

最後はごく普通の樹林帯。

結局最後まで雪がなくなることはなかったので、軽アイゼンは最初から最後までずっと履いての登山となりました。

 

雨ヶ岳登山口に下山完了。

富士山の山頂部は雲に隠れてしまってましたが、ダイナミックな雲の空模様が絵になる風景でもありました。

 

あとは根原バス停まで標識に従って歩いて行けば、この日の登山も終了。

12時過ぎに下山は完了しましたが、思わぬラッセルも強いられて想像以上に歩き応えのあったコースでした。

 

根原バス停から河口湖駅行きのバスに乗車。本数が少ないので事前に時間は調べておいた方がいいです。

降りた時刻によっては河口湖駅ではなく富士宮駅行きのバスを利用するのもあり。都内に戻るなら、富士宮駅からも高速バスが出ているので。

 

こんな形で2月の毛無山~雨ヶ岳縦走登山が終了となりました。

 

2月は色々と立て込んでいたのもあって、結局この登山1回のみとなりましたが、なかなか濃い内容の登山だったと思います。手軽な雪山トレッキングを想定していたので、余計に歩き応えを感じたのもあります。

冬山装備で問題ないほどの積雪量がありました。

 

想定外の雪の量ではありましたが、そのおかげで富士山界隈ではあまりお目にかかれない樹氷ワールドを堪能できたので、タイミングとしては良かったと思います。

1日青空が広がってくれて、富士山はもちろん、雪景色の街並みから伊豆半島や駿河湾など、色々と展望も楽しむことができました。

登りも下りも急坂が控えているので、それだけお気を付けください。

 

冬場は晴天率の高い山域なだけに、雪が降り積もった直後というのはシーズン中に何回もあるものではないですが、タイミングが合えば樹氷広がる稜線を堪能できるコースとなっています。

個人的には雨ヶ岳の山頂が海の展望も素晴らしくて気に入ったので、毛無山と合わせて良ければ登ってみてください。

 

 

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【日程】

2017年2月11日 快晴

【コースタイム】

毛無山登山口ゲート(7:15) — 不動の滝展望台(7:50) — 毛無山(9:15~9:30) — 大見岳(10:00) — 雨ヶ岳(11:00) — 端足峠(11:45) — 根原バス停(13:00)

 

 

 

 

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