GWのニュージーランド旅行、8日目からは2泊3日でアオラキ/マウントクックへ。
初日はテカポから移動してレッドターントラックを半日登山。ひたすら登り坂が続きましたが、山の上に広がる池塘と湿原、そこから眺める山岳風景が素晴らしかったです。
下山後は例によってYHAに宿泊。旅もいよいよ終盤へ……
5月のGWニュージーランド旅行は8日目。いよいよ旅も終盤に突入。
今回からは2泊3日のマウントクック編。そして、ここが最後の観光フィールド。
クイーンズタウンから始まってルートバーントラックやテカポ……、ここまで色々なことがありましたが、マウントクックでもそれなりに色々とありました。
特に初日は、本来のスケジュールから変更してのレッドターントラック。予定通りにいかない難しさを感じつつも、そこもまた海外旅行の面白さでもあったり。
満を持してニュージーランド最高峰の地へ赴く。
5月4日 マウントクック・レッドターントラック
現在いるのはニュージーランド南島のほぼ中央に位置するテカポ。
前回の記事でも書きましたが、ミルキーブルーの湖とマウントジョンからの山岳風景が絶景で、個人的にはとても気に入った場所でした。
『世界一美しい星空』とも言われているテカポ。教会から見上げる星空は確かに素晴らしかった!
クイーンズタウンからマウントクックへ移動するまでの中継地点的な扱いだっただけに、余計に感動したのもあります。今回の旅のダークホースは間違いなくテカポ。
そんなテカポから8日目はスタート。
朝7時30分のマウントクック行きのバスに乗るべく、6時過ぎに起床。
朝7時ごろ、朝食を食べ終えて外を眺めたら、ご覧のような素晴らしい朝焼け。
宿泊しているYHAは湖からも近いので、食堂のテラスからこの眺めを見ることができます。
こちらは前日に登ったマウントジョン。
日の出前の淡い空模様に染まる山が、昨日見た景色とはまた一味違って綺麗でした。
こんな綺麗な朝焼けは滅多にない、とYHAスタッフさんも言っていた朝の空。本当に素晴らしかったです。
ドピーカンの快晴ももちろんいいけど、多少雲があった方が風景としては綺麗に見えるのかもしれない。
到着から出発まで、色々な景色を見せてくれたテカポ。良い街でしたよ、ホント。1泊というのはあまりにも短かったかもしれないですが、GWも残り少ないので次へ向かいます。
7時30分に予約していたマウントクック行きのバスに乗車。テカポからマウントクックまで55$、約4000円。
事前に日本からインターネットで購入済みだったので、名前を言うだけでOKでした。
バスは中型。クックコネクションというバスで、こちらの公式サイトから事前予約が可能になっています。
ちらほら空席もありました。
マウントクックまでの所要時間は2時間15分。
途中、プカキ湖からこれから目指すマウントクックの山脈が見えました。
マウントクックはニュージーランド最高峰の山(標高3724m)。観光地としても有名な場所です。
遠くに見えていた山なみが迫ってきたらマウントクックも近い。
遠目で見た通り、山の上は薄っすらと雪化粧になっています。
予定通り10時前にマウントクックに到着。正式名称はアオラキ/マウントクック。 アオラキというのはクックのマオリ語名。マオリ族に対する敬意も込めて、雑誌やパンフレットなどではアオラキ/マウントクックと表記されています。
そして、マウントクックにも良い具合にYHAがあります(笑)。もう馴染みのある黄緑色の看板。バスもこのYHA前で下ろしてくれます。
ただ、実はこの日はYHAに泊まる予定はなく、ミュラーハットという山小屋(避難小屋)に宿泊予定。下山後の翌日にYHAに宿泊予定だったので、とりあえず荷物だけ置かせてもらって、今からミュラーハット宿泊手続きに向かいます。
ミュラーハットの予約は事前にインターネットからはできませんでした。(たぶんオフシーズンの5月に入ったからだと思うけど……)
マウントクックの街歩き。
街と言ってもほとんどが観光客向けのモーテルとかの建物で、これまでの観光地に比べるとかなり静かな雰囲気でした。
一応、小さいながらもスクールがあったので地元の方も多少は住んでいるとは思うけど、事前に思っていた感じとはだいぶ違う。国内最高峰のマウントクックの割には人がやたら少ない印象でした。
そして、ここマウントクックにはスーパーや飲食店が一切ないのでご注意ください。YHAのような自炊スタイルのユースホステルに泊まるのであれば、食料は全て持ってくる必要があります。観光地なのにどうして?と思いましたが、どうも環境面への配慮でそうしているようです。それなら、しゃーない。
やってきたのはマウントクックビジターセンター。Department of Conservation、通称DOC/ドック。
ここでミュラーハットの宿泊手続きを済ませます。
……んがっ!!
ここでちょっとした問題発生。
小屋が満室……とかではなく、登山道の状態。ミュラーハットは標高1800mの地点にあるのですが、そこまでのルートがかなり凍結していてアイゼンが不可欠とのこと。
ちなみにルートバーンで登った最高地点のコニカルヒルが標高1500m程度。それより高いので、まぁ多少は予想してたけど、やっぱりか~って感じ。
ここ数日天気は良かったですが、数日前に積もった雪が溶けずに残っているようです。
しばしDOCのスタッフさんから情報を聞く。
山小屋は空いてるし、ガスは止まっているけど水も使える。けど、ラスト200mくらいはアイゼンがないと無理とのこと。ここで仲間と考える。どうしたものか……。
ちなみに上の地図の×××は、ミュラーハットとは全然別のフッカーバレートラックというマウントクック一番人気のハイキングコース。3月頃の大雨で橋が流されて通行止めになってました。これは事前にDOCの公式サイトに情報が載っていたので知ってはいたのですが、結局5月になっても復旧はしませんでした。
そのフッカーバレーが行けない意味でも、ミュラーハットという選択をした我々一行。数日先までの天気予報も張り出されていて、これがまた微妙な天気。。。
まぁ行けなくはないけど、晴れも期待できるか五分五分のコンディション。
ルートバーン、テカポ、ここまで雪景色として楽しませてくれた数日前の降雪が、ここに来て我々を阻む存在に。
それでもまだ青空も見えてたし、とりあえずミュラーハットは保留にして、アイゼンが借りられるアルペンガイドまで向かいました。
軽アイゼンを誰も持ってきていなかったので、登るにしろアイゼンが人数分レンタルできないと話にならない。
こちらがルートガイドや登山装備のレンタルを受け付けているアルペンガイド。
5人分のアイゼンはあるかね~~?
…と入っていったのですが、受付のおばちゃん。我々一同を見渡して、そんな靴では登れんよと。(わしら、機動性重視のトレランシューズでございました)
てっきり軽アイゼンがあればいいのかと思ってたけど、おばちゃんの話している感じでは、本格的な雪山装備(12本アイゼンと冬靴)が必要とのこと。ピッケルはさすがにいらずにストックで行けるそうですが、レンタル料が思っていたよりもかかって、どうしたものかとまた仲間と相談……。
別に旅行だし金の問題というよりもどうしたいかだったんだけど、やっぱり天気が怪しいよな~……と。上は寒そうだよな~……と。(でも、おばちゃんにビビっていると思われたくないよな~……と)
・・・・・・
YHAに戻ることにしました(笑)
つまりミュラーハットはやめることに。マウントクックは日帰りで登れるトレッキングルートもいくつかあるので、そっちを楽しむことに決めた。おばちゃんに「素人がっ!」とか思われてたら癪ですが、まぁ道具持ってこなかったんだから文句は言えない。
そうと決まれば、次はYHAが泊まれるかどうか。
5人分のベッドはあるかね~~?
運よく空いておりました。
ミュラーハットに泊まれなかったのは残念ですが、そこは標高1800mの極寒地帯。それに比べて今夜も暖かいベッドでゆっくり寝れるとわかって、どこかホッとした自分もおりました。
登山ってこんなもんよね。出発間際って結構不安で、中止になると残念だけどどこか安心する自分もいたり……
宿泊すると決まったので、例によって早速YHA Mt Cookを探検。
こちらはキッチン。これまで泊まったクイーンズタウンやテカポに比べると規模は小さいですが、掃除は行き届いていて清潔感にあふれています。
食器や調理器具も一通り揃ってる。
数は少なめですが、クイーンズタウンやテカポに比べたら部屋数も少ないので、まぁこれくらいあれば十分すぎるでしょ。
調味料は無料で使えるようになっています。
やっぱりすげぇよ、 YHA。自炊とはいえ、これで3000円程度で泊まれるんだから、今回の旅で本当に助けられました。
ラウンジ兼テレビルーム。木造というのもありますが、これまでのYHAでは、自分が思い描いていた中で一番近いイメージ。
日本のスキーリゾートにあるロッジのような感じ。ユースホステルってどこもこんな感じだと思ってた。むしろ、もうちょっと安っぽいイメージだったので、YHAには良い意味で裏切られました。
山の上で食べる予定だったニュージーランド式ラップロール。お昼ご飯として食堂でのんびり食べる。
ルートバーントラックでも重宝したラップロール。低コストでありながら美味しく腹にもたまるので登山向きのごはん。日本でも今度試そうかと思います。
YHAからの風景。
周りは山だらけ。これまでの宿泊地とは比にならないくらい、大自然の中に身を投じている感じがします。
山間にあっても、それほど気温が下がらずに寒くないのがちょっと不思議でした。 日中は15℃くらいはあったと思います。
まだチェックインはできない時間だったので、ロビーに荷物だけ置かせてもらって軽装でお出かけ。
向かうのはマウントクックのトレッキングルートの1つ、RedTarnsTrack/レッドターントラック 。
YHAから5分ほどで登山口に到着。
看板に書いてある通り、往復2時間のトレッキングルート。半日で完結できる手軽さですが、それなりに登ります。
入口の橋。すでに時刻は13時近くになっているので、下山してくる人もチラホラいました。
登山口からもすでになかなかの展望。
正面に見えている山はマウントクックとは反対側に位置する山々。名前もわからないですが、日本にあろうものなら人気が出ること間違いなしの面白そうな岩山でございます。
橋を渡って登山道へ。
登山道は大半がこんな感じの階段状の登りで、これが上まで続きます。行程としては短いですが、多少の体力は必要なコースになってます。
少し登ってみて振り返ると、マウントクックの街並みを一望。
ご覧のように街は小ぢんまりとしていて、コンパクトにまとまっています。国内の最高峰を有する街なので、もっと色々あっていいと思うんだけど、それは日本人の富士山的な感覚なのかもしれない。
ニュージーランドは自然環境への意識が高くて、下手にスーパーや飲食店といった(ゴミが出る)施設を作らないんだとか。
レッドターントラック、ミュラーハットの代替案として組まれたルートですが、景色としてはなかなか面白い。
緑豊富でありながら、見上げる岩山は険しい姿。これまでいた場所に比べると、標高が高めなので、ルートバーントラックとも少し違う植生に感じます。
ひたすら続く階段の坂を登って行く。
振り返れば先ほどまでいた街があれほど下に。標高を上げるスピードは、これまでで一番。ニュージーランドに入国して7日連続のトレッキングになってますが、1つ1つの登山がそれほど過酷というわけではないので、まぁ何とか大丈夫。
ミュラーハットの雪道に突っ込んでいたらどうなっていたかはわからないけど……
ある程度登って山の稜線が見えてくると、そこがゴール。
こんなような赤い池が見えてきたら、ここがレッドターントラックの終点になります。レッドターンと名の付く通り、赤い池がありました。(ターンというのが、湿原の池塘という意味)
ひたすら登りが続きましたが、時間にしたら実際は1時間程度。そこまで長くはないです。
山頂の標識。晴れていればマウントクックも見れるそうですが、あいにくクック方面は雲がかかってました。
もしかしたら雪が降っているのかもしれない空模様。ミュラーハットを選択していたら、今頃間違いなくあの雲の中に突っ込んでいたので、やめて正解だったかもしれません。
レッドターントラックはこんな感じで山頂がゴールというわけではありません。
山の中腹に広がる湿原と言った感じ。
それでも近隣の岩山が間近に迫る場所なので、迫力は抜群。
日本のアルプスに近い景観。個人的には北アルプスよりも南アルプスに雰囲気が似ている気がしました。南ア贔屓の人に是非ともお勧めしたい。
レッドターントラックには木道路も用意されているので、気軽に散策できるようになっています。
若干雲がかかりつつも、奥に広がる雪山風景は美しい。
レッドターントラックの名前の由来ともなった赤い池、その正体はこちらの赤い草でした。
池が思っていたよりも深いのか、底から伸びるように所狭しと生えてます。
水の中に生きる植物。
これは食虫植物なのか……。ちょっとグロテスクで爬虫類的な植物が紹介されてました。
レッドターントラックの正規ルートはここで終わりですが、実際はこの上も行けるようになっています。
事前にWebで調べても上まで行っている人がいたし、現地で見てもガレ場にしっかりと足跡が残っていました。
そんなわけで、自分たちももう少し上まで行ってみることに。
このガレ場の急登、かなり滑りやすいので要注意。全然踏み固められてもいなかったので、落石の危険も多少ありました。
先ほどまでいたレッドターンの湿原があんな下に。
ルートバーントラックでもそうでしたが、ニュージーランドは水が豊富で山の至る所に湿原があります。
これから向かう先にも湿原が待っているのですが、そんなことは知らずに黙々と登っております。
稜線が近づくにつれて岩とハイマツ帯エリアに。
日本のアルプスにより近い雰囲気になってきた。
天気がくっきりと分かれていて、背後の2000mを越える山々の方は雲の中。
季節は秋で、山ではいつ雪が降ってもおかしくないような季節。このレッドターントラックにももうじき雪が降ったりするのかもしれない。
レッドターンの池から40分ほどで山頂に到着。かなり広々としたところで、景色は抜群でした。
下からは全く分からなかったですが、ここも湿原になっていて池塘が点在。
そして、目の前にはぼんやりとニュージーランド最高峰を取り囲む高峰たち。ここら辺はニュージーランド南島南アルプス山脈という国内屈指の山岳エリア。
今日は若干ガスっていますが、翌日マウントクックの姿が現れると同時に、この山々の偉大さを知ることになりました。
街から2時間もかからずに登ってきた場所なのに、人間の文明が一切見当たらない自然だけが広がる景色。素晴らしい。
向こうに見えている川はタスマン川。 ここから見ると細い川に見えますが、あの川からも色々な景観を見せてくれます。付近にトレッキングルートもいくつかあります。
マウントクックの姿は見れませんでしたが、近くの山なみを一望できて良い場所でした。
街も小さいし、本当に山だらけの場所に来てしまった。見た感じ、登るともなれば険しいこと間違いなしの岩山ばかりでした。
ここから先も稜線は連なっていて、まだまだ高い位置に見上げる山があります。
この先は一見したところルートはなさそうでした。日本と違ってあまりピークハントにこだわらない登山スタイルなのか、山頂まで続いているトレッキングルートはそんなに多くはないです。
自分たちもここまでにしました。
レッドターンの池まで下山。帰りはガレ場を避けてハイマツ帯の中を行きました。若干バリエーションルートのような感じでしたが、良く見ると先行者が歩いたと思われる細い道もありました。
ただ、草むらに隠れていたこのトゲトゲ植物が厄介だった。。めちゃくちゃ痛かったです。葉っぱ自体も固くて強烈なのでご注意ください。
ヘビや熊と言った危険な動物はニュージーランドにはいないですが、植物はたまにこういうクレイジー野郎がひそんでいます。
マウントクック国立公園に広がる偉大なる山々、その片鱗を見れただけでも良かったです。レッドターントラック含めて、周辺には半日あれば楽しめるトレッキングルートが多いので、色々と楽しむことができます。
麓まで一気に下山。
レッドターントラックはマウントクックからは少し離れた場所にあって、翌日はもっとクック本体の近くにあるルートへ向かう予定。
YHAに帰ってきてチェックイン。部屋はこんな感じ。
電源コンセントあるしこれまで同様快適空間でした。乾燥室や洗濯機、共用シャワーもそれなりに数を揃えてくれているので、ストレスなく過ごせます。
こうして1日目のマウントクックは終了。
この日は残念ながらマウントクック本体の姿は見れず、かつ本来の予定とも変更してのレッドターントラックになりましたが、時間の限りハイキングを楽しめたので良かったです。
全然関係ないけど、YHAに三浦雄一郎さんに激似のフレンドリーな日本人おじちゃんがいて、夜の雑談が楽しかったです(笑)
翌日もトレッキングに勤しむべく、22時ごろには就寝。
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