長野県・菅平高原の根子岳へ登ってきました。
冬は積雪量が多く、なだらかな山容というのもあって、スノーシューハイクやバックカントリーで有名な根子岳。今回初めて登ってみましたが、かなりいいですね、この山。すごく気に入りました。
北アルプスや八ヶ岳などの展望は文句なしですが、それ以上に素晴らしかったのが樹氷・スノーモンスター!
山頂付近は摩訶不思議な雪の世界が広がっていました。
東京都内から電車とバスで行く、冬のスノーシュー雪山登山。
自分の中ではスノーシューハイク=樹氷・スノーモンスター、みたいなところがあるので、スノーシュー持って出かける場合はたいてい東北、もしくは新潟あたりが多いのですが、今回は長野県。
四阿山の隣にある根子岳が舞台であります。
四阿山については7年前の冬に同じくスノーシュー持って登ったことがあったのですが、その隣の根子岳は今まで登ったことがなく今回が初。
こちらも樹氷が綺麗と聞いていたのですが、まさかの東北を彷彿させるスノーモンスターに出会えるとは思っても見ませんでした。
2020年2月7日 根子岳 樹氷・スノーモンスター雪山登山
根子岳へは公共交通利用でも十分に登ることができます。夏はもちろん、冬でも。
麓に菅平高原スキー場があるので、冬の間も最寄りの上田駅から1時間に1本くらいの頻度でバスを運行してくれています。
菅平高原行きの始発便は朝の7時5分。上田駅までは東京から新幹線1本で来れますが、それだとこの始発便に間に合いません。
個人的にお勧めなのが夜行バスで長野駅まで行って、そこからしなの鉄道に乗って上田駅まで来る方法。これだと新幹線よりも安いし、この始発便にも余裕で乗ることができます。
今回自分が取った移動手段がこれ。夜行バス慣れの方にはぜひともおすすめしたい。
平日の始発便ということで乗客もあまりなく、1時間ほどの乗車時間で菅平高原・ダボスバス停に到着。根子岳に登るなら、このバス停が最寄になります。
バスを良く利用する身として1つ言わせてほしいのが、上田駅から1時間近くもかけて運んでくれたっていうのに、バス運賃は驚異の500円!!安すぎるっ!
夜行バスと電車と路線バスを駆使してここまで5000円程度。お得すぎるぜ。
ダボスバス停にあったのがこちらの女神像。この手の銅像は次に来た時の記憶の起爆剤にもなるので、ぜひ記念に撮っておきましょう。「あぁ、こんなのあったなぁ~」と。
後ろの建物はトイレとバス待合スペースです。登山の格好して乗り降りしたのは自分だけでした。
ここから奥ダボススノーパークというスキー場に向かうのですが、バス停から地味に距離があります。
標識に従って道路わきをひたすら歩いていきましょう。
朝の8時過ぎ、まだ冷え切った空気の中、太陽の光を浴びて歩くのも心地よい時間。
平日ということもあって、スキー場へ向かう車も全然通りません。
林道歩きは長いですが、道路わきにはすでにこの段階から美しい雪原風景。
近隣には菅平牧場もあるので、こういった開けた景色というのは結構多いです。
さらに上を見上げれば真っ白な霧氷!
前日の降雪のおかげで、樹々が綺麗に輝いておりました。
ダボスバス停から歩くこと30分、奥ダボススノーパークに到着。
もっと近いと思っていたので意外と歩かされましたが、良い準備運動にはなりました。何より到着したのが8時30分、ちょうどリフトが動き出す時間帯だったので結果オーライってことで。
ゲレンデ自体はかなり小さいスキー場です。入口のリフト券売り場で1回券(500円)を購入しましょう。この券は下山時に返却すると100円戻ってくるので、実質400円です。
まだ無人のゲレンデを眼下に、悠々とリフトで標高を稼ぐ。文明の利器は偉大ですな。
登山当初はこういうリフトやゴンドラを使うのに抵抗があった時期もありましたが、今は全くありません。利用できるものは利用するスタンス。
ゲレンデ脇の霧氷ツリーも綺麗でしたよ。
リフトトップに降り立って、本日目指す根子岳を視界に捉える。奥のこんもりした山が根子岳です。
手前にあるキャタピラーが搭載された車はスノーキャットという乗り物。これに乗れば根子岳山頂付近まで連れてってくれるんですが、それなりお値段するので観光客用です。
リフトを下りて何より感動したのがこの景色!
西の方角には真っ白な北アルプスを一望することができました。位置的にも展望に恵まれてるって聞いてたけど、こりゃ~すごいわぃ。
ここでゆっくり登山準備。
東京から遥々持ってきたスノーシューを装着。今シーズン初のスノーシューハイクになります。
久しぶりの重さに、大した行程でもないのに筋肉痛になったのは後日談。
9時過ぎ、スキー場のゲレンデとはお別れして根子岳山頂に向けて登山開始。
一見するとまだゲレンデのようにも見えますが、先ほどのスノーキャットが往復できるように圧雪された広い道がしばらく続きます。
正直なところ、この時根子岳を見て思ったのは「雪少ねぇ!」ってこと。もっと真っ白になっているかと思いきや、意外と樹々は黒々としてました。
この段階では大して足も埋まらず、スノーシューの恩恵をあまり感じないですが、ぐいぐい進んで行く。
何よりこの日登山者としては一番乗りだったようで、綺麗な雪原を足跡付けて進んで行くのがかなり心地良かったです。
振り返れば北アルプスの絶景よ!
まず目指すのは少し先にある避難小屋。
一人でトボトボ歩いていると、背後から轟音を立ててキャタピラーのスノーキャットが追い越していきました。
お客さんは誰一人乗っていなかったので、営業前の試運転だったようです。
こちらが標識にあった避難小屋。登山道から少し離れたところにあったので、特に立ち寄りませんでした。
先ほどのスノーキャットが来れるのもここまでなので、ここから先は圧雪されてない天然パウダーな道に変わります。
パウダー雪原へ、いざ足を踏み入れる。
バフッバフッ!っとね。
あんまり埋まらなかったけど、このスノーシューで雪を踏みしめる感覚が懐かしい。
正直、スノーシューってかさばるし、これ持って電車やバス移動ってかなり面倒なんだけど、頑張って持ってきて良かったです。
振り返ればいつでもそこに北アルプス。
白馬岳を中心に北アルプス北部の名峰をズラッと一望することができます。
登るにつれて霧氷もどんどん綺麗になってきました。
やはり青空の下での霧氷はすこぶる映える。
依然登山道は広いですが、こんな感じでダボスまでの案内標識が随所に立てられているので、それを目印に進みましょう。
登りは問題ないですが、下山時が意外と迷いやすいです。ホワイトアウトともなれば余計にリスクあるのでご注意を。
さらに登っていくと、北アルプスのさらに北に真っ白い山々が見えてきました。(写真右奥)
彼らは高妻山とか妙高山とか、北信五岳の山域。年末あたりは暖冬少雪で妙高あたりも全然雪がないって聞いてましたが、ここから見る分には北アルプスに引けを取らないくらい真っ白でした。
前に誰もいない広大な雪原風景の登山道。
自分の赴くままに雪道を歩いていくのが本当に気持ちいい。
このあたりになると、スノーシュー履いていても結構埋まるようになっていて、ツボ足では難儀しそうな積雪量になってきました。
そしてそれと同時に現れたのが、この樹氷群。
スノーモンスター予備軍という感じの細身でしたが、それでも立派な樹氷風景が広がってきました。
ここから先、立ち止まっては樹氷を見つつ、後ろを振り返って北アルプスを見つつ、の繰り返し。
同じような写真を何枚も撮ってしまった。
歩いているのは峰の原高原コースと呼ばれるルートですが、展望良好で視界が遮られることがないです。
そうして、もう少しで山頂かっていうところで景色が一変。
先ほどまでの小ぶりな樹氷が一気に巨大化!
この景色の変貌っぷりが本当に突然でびっくりした。
雪に覆われてぶっとく成長した樹氷。これはもうスノーモンスター・アイスモンスターと言って良いレベルではなかろうか。
樹氷越しの北アルプス
大きすぎる……!これは間違いなくスノーモンスター。
巨大な雪のモニュメントが立ち並ぶ、摩訶不思議な森に到着。道もモフモフになって、スノーシューが大いに役立ってきました。
下から見た感じは黒々していたので全然期待してなかったけど、山頂付近一帯は樹氷・スノーモンスターの巣窟になっていました。
実際目の当たりにすると、そりゃ~もうすごい迫力でしたよ。見上げるほど巨大でした。
ただこの樹氷、ちょっとだけ見せかけなところがあって……
モンスターの裏側に回り込んでみるとこんな感じ……
見事に北側だけに雪が凍り付いていて、南側から見ると全然モンスターには見えない。
背中がお留守になっておるぞ。
やはり積雪量でいえば東北には適わないようだけど、それでもこのアングルから見た育ちっぷりはなかなかのもの。背中側は見てないことにしました。
最後は樹氷の合間を縫うように進んで行きます。
森を抜けて再び景色が開けると、もう山頂も近い。
ここに来ていきなり強風が吹き付けて、かなり寒かったです。
11時20分、根子岳山頂に到着。
御覧の通り360度開けたピーク。祠と小さい鐘がおしゃれポイントです。
ここら辺は風の通り道になるようで、山頂まで来ると逆に雪は減って地面カリカリでした。
こちらは根子岳から眺める四阿山。右奥には浅間山の顔も見えてます。
近隣の日本百名山たち。すぐ隣の四阿山が有名なので、ここ根子岳がやや霞んでしまいますが、実際登ってみたら間違いなく名峰。
山容も緩やかなので、スノーシューハイクに打ってつけでした。
写真で見ると薄っすらですが、富士山もしっかりと見えました。
八ヶ岳や南アルプスもバッチリ。
展望としてはやっぱり北アルプスが素晴らしい!
ロケーション的に真横に位置しているので、北から南まで長い山脈を一気に見渡すことができます。
今日は北アルプスも絶好の登山日和なようで。
北には妙高山や火打山、さらには日本海も見えました。
こちらは草津、志賀高原あたりの山かな。
東西南北、どの方角を見ても名峰ぞろいでした。
根子岳のポテンシャル、半端ない。
山頂にいたらスノーボーダーも登ってこられました。
根子岳はバックカントリーでも有名なので、滑走目的で来る方も多いです。
この後の下山中にもボード背負った人を何人か見ました。
山頂は風が強かったので、少し下った樹氷エリアまで戻ってきて休憩。
風がなくなれば日差しもあって暖かいです。
あたり一面立ち並ぶ樹氷のモンスター群。
最高のロケーションでひと時の休憩。
北アルプスの真っ白な山並みも見れて、本当に素晴らしい展望。
根子岳、初めて登りましたが一気に気に入ってしまったぞ。背が高い樹が点在していてモンスターができやすい環境なんでしょうかね。
以下、休憩中に周囲を歩きまわって撮った写真をつらつらと。
平日なので人も全然おらず、静かな雰囲気で樹氷狩りを楽しめました。
下山する頃にはチラホラ登ってきましたが、人と対比するとまた樹氷の大きさが良くわかる。
正面に北アルプスや北信五岳を眺めながら来た道を下山。
峰の原高原コースを伝って麓のスキー場まで下りていきます。
スキー場ははるか下ですが、ここら辺もゲレンデかっていうくらい横幅広い斜面が広がっています。
これならボード担いできて滑りたくなる気持ちも良くわかる。ゲレンデの延長という感じで、バックカントリーの人気スポットというのもうなずけました。
横にとにかく広いので、ホワイトアウト時は要注意。
こんなに晴れているのに、尾根を1本外して迷いそうになった自分がおりました。
再びスノーキャットの圧雪された道まで来れば樹氷もなくなり、広大な雪原エリアに。
菅平高原って歩いてみると本当に広いですね。ここら辺ももう少し傾斜があればスキー場として利用できたのかもしれません。
リフト乗り場トップまで戻ってくれば本日のスノーシューハイクも終了。
スキー場には合宿中の学生グループもいて、平日なのにかなり賑わっていました。
根子岳を振り返って見納め。
やはりこの山肌を見る限りでは、とても上に樹氷があるとは思えない。登ってみないとわからんもんですね。
下山はリフトを利用できないので歩いて下ります。
無事に雪山登山を終えてスキー場に戻ってくると、妙にホッとする。
奥ダボススキー場のロケーションも偉大。
北アルプスをすぐ近くで見れるってすごいですね。こんなところを悠々と滑っているちびっこたちが羨ましかったです。
リフト券売り場でチケット返却して保証金の100円を受け取り、あとはひたすら道路を歩いてバス停へ行くだけ。
今シーズン初のスノーシュー、5時間程度の雪山ハイクでしたが、程よい疲労感がありました。
15時過ぎのバスにタイミングよく乗れました。1時間に1本くらいのペースでバスは運行されていて、しかも最終便も18時35分なので、バス利用でも時間に余裕をもって登れます。
冬の根子岳、いいっすよ。
帰りの温泉はバスを途中下車して、「ホテル上田西洋旅籠館・ひな詩の湯」へ。「西洋旅籠館前」というバス停で下車すれば目の前にあります。
日帰り入浴750円、空いていて露天風呂もあって良い温泉でした。何よりスタッフの方がザックの置き場所を用意してくれたり、色々親切でかなり好印象でした。
温泉からは再びバスに乗ってもいいですが、上田駅まで徒歩30分ほどなので、自分は歩いて帰りましたとさ。
意外な形でスノーモンスター狩りが楽しめてしまった冬の根子岳。
北アルプスの展望も抜群で、スノーシュー持って登りに来る価値は大いにあると思います。
電車・バスを利用しても割とリーズナブルに来れるとわかったので、もっと雪が降り積もった時に再訪したいと思います。
行程も短く危険個所もほとんどないので、雪山初心者を連れての入門スノーシューハイクにも良いかもしれません。
【日程】
2020年2月7日
【コースタイム】
8:00 菅平高原・ダボスバス停
9:00 奥ダボススキー場リフトトップ
11:20 根子岳
13:45 奥ダボススキー場リフトトップ
14:40 菅平高原・ダボスバス停
コメント
良い写真とりますね!
有難きお言葉。これからも頑張ります!