長野県の鉢伏山へ日帰りで雪山登山に行ってきました。
八ヶ岳にほど近い山で、北アルプスの屈指の展望地ともいわれている鉢伏山。広大な山頂からはアルプスの山並みはもちろん、富士山や諏訪湖なども見渡せて、まさに展望の山でした。
そしてさらに素晴らしかったのが霧氷と雲海!真っ白い雲海の上に広がる真っ白な樹々の風景。ここにもまた素敵な雪景色がありました。
今回の山は長野県の鉢伏山。
日本三百名山の1つにも選定されている山ですが、この山が特に世に知られることになったのが数年前の痛ましいヘリコプター事故。消防防災ヘリが訓練中に鉢伏山に墜落、9人もの犠牲者を出した事故です。
事故の詳細はネットで調べればいくらでも出てくるのでそこは割愛して、鉢伏山自体は美ヶ原のような広大な山頂を有する山。
展望地の地として知られていて、登ることに関してはさほど難しくありません。
冬山に関していえば霧氷が特に有名。お仲間さんの誘いもあって行ってきたのですが、雲海と合わせて確かに凄い景色が広がっていました。
2020年2月11日 鉢伏山 雪山登山
鉢伏山、冬以外の時期であれば山頂近くまで車で行けてしまうので、観光客でも登れてしまう山です。頂上付近には牧場もあって、ファミリーハイキングにも打ってつけの観光地。
冬は林道(鉢伏高原スカイライン)が閉鎖されるので、麓の扉温泉から登ることになります。
登山口のすぐ近くの駐車場は小さく、こんな感じで林道わきに駐車する形になります。
幸い自分たちは到着が早かったので駐車スペースに停めることができました。
こちらが扉温泉登山口。標識に従って登山道に入っていきます。
山の北側からのアプローチになるので、陽が当たらない登山道はツルッツル。登山口から凍結箇所があったので、チェーンスパイク履いてスタートしました。
スタート早々いったん沢まで下って、そこからしばらくは沢沿いを緩やかに登っていきます。
特にピッケルは不要な山ですが、凍結箇所が多いのでアイゼンは必須。軽アイゼン、チェーンスパイクで十分かと。
朝の7時過ぎ、まだ陽が昇って間もない時間帯。
日陰の沢は雪と氷に覆われて、見ているだけでブルブルしてくる。
序盤は本当に足慣らしという感じで、緩やかに登っていきます。
「このままの調子で本当に山頂に着くの?」って言うくらいなだらか。
中盤になってようやく登りも本格的になってきます。
道も思っていたよりも積雪がありましたが、先行者のトレースもあったので難なく登れました。
トレースないとワカンかスノーシュー必要だったかもしれません。
しばらく登って山頂が近づいてきたところでこの標識がありました。
冒頭でも軽く語った防災ヘリコプターの事故現場。立ち入り禁止となっていたので現場までは行けませんでしたが、標識が建てられていたので後々開放されるのでしょうか。
標識を過ぎてしばらく登ると、ようやく景色が開けてきます。
そして、それと同時に現れたのが真っ白な霧氷!
太陽の日で光り輝く樹々がなおのこと美しい。もう今シーズン何度目かの「ムヒョー!」連呼でございます。
積雪も増えて、一段と雪山感を増した登山道。
モフモフの斜面をトラバースするように進んで行きます。
振り返れば霧氷の樹々。紅葉も綺麗なカラマツが豊富にある鉢伏山、霧氷風景を作り上げる上でも好条件なんでしょうね。カラマツの木って素敵です。
奥に見える平たい台地は、あの有名な美ヶ原です。
明け方のわずかな時間しか見れない霧氷。だからこそ、足を止めて見入ってしまう。
太陽の光が創り出す樹々のシルエットも美しい。
毎度のことながら、霧氷の枝というのは幾何学的であり、表現悪く言えば血管のように見えてしまう。
「真っ白な毛細血管やぁ~」
さらに進んで行くと、北部の方には雲海が広がっているのがわかりました。
ほとばしるように沸き立つ雲、そのはるか奥に光り輝くように見えているのが北アルプスです。
北アルプスの展望は山頂に行ってのお楽しみということで、ここでは軽く見るに留めておく。
鉢伏山のビクトリーロードを選ぶとしたら、個人的にはここら辺。
トラバース路を抜けて、平らな山頂部が見えてきた瞬間はかなりワクワクしたぞ。
真横にはちょうど美ヶ原が並ぶ位置関係。
良く見れば、美ヶ原山頂に立てられた鉄塔やらホテルなどの建物も確認できました。
っていうか美ヶ原、2月っていうのに雪少ねぇ……
ビクトリーロードを伝って鉢伏山の山頂高原に到着。
まだ山頂までは30分くらいかかりますが、ここまで来ればあとは展望開けた丘の上を歩くような感じ。
前鉢伏山との分岐点から鉢伏山山頂へと向かいます。
ここに来て初めて開けた西側の展望。
小さいですが中央奥には鉢伏山荘という山小屋もあります。冬季は閉鎖していますが、5月から11月までの営業期間中は宿泊も可能。
鉢伏山の特徴ともいえる、広大な高原有する山頂部。
所々に点在する霧氷の樹々がこれまた綺麗です。
真っ白い雪の丘を登っていく。
ツボ足で難なく歩けましたが、少し道を外すと股下まで埋まる箇所もあったので、豪雪シーズンであれば格好のスノーシューフィールドにもなりそうでした。
山頂に行く途中にあった展望台。
東側の展望が特に良く見えます。
例によって正面には美ヶ原のテーブルマウンテン。
眼下を見ると、道路が山の上まで伝っているのがわかります。冬の時期以外はあの林道を伝って山頂付近まで簡単に上がってこれるので、誰でも登ることができる鉢伏山。
6月あたりはレンゲツツジの群生も見れるらしいので、グリーンシーズンも良さそう。
少し視線を右側にずらすと、八ヶ岳の山々も見えました。
中央奥に見える丸いピークが蓼科山。
展望台を過ぎて山頂目指してさらに進んで行く。
脇にあるのは避難小屋的なものですかね?
ひとたび山頂に出れば、ひたすら風通しの良い高原地帯。今日は風もそこまでなく穏やかな環境ですが、吹雪なんかにさらされたら逃げ場がないので、防寒対策は抜かりなく。
背後を振り返れば北アルプスの山並みも見えてきました。
数日前に登った根子岳でも北アルプスは見ていますが、やはりあの純白な山の連なりは何度見ても惚れ惚れします。
全国的に暖冬少雪と言われている2020年シーズンですが、八ヶ岳や南アルプスと比べたら圧倒的な白さ。
この先も真っ白い雪原を進んで行く。
明け方はかなり冷え込んでくれたおかげで、9時を過ぎてもまだ霧氷が綺麗に残ってくれていました。
流石に昼ぐらいになると溶けてなくなってしまっていたので、やはり霧氷を見るなら早い時間帯が勝負ですね。
霧氷もさることながら、樹々の影も乙なもので1つの風景として成立している。
これだけ落葉松があったら、紅葉時期に来てもさぞ綺麗な景色が見れそうです。
前方に霧氷、後方に雲海と北アルプス。
鉢伏山が展望の山というのを、この時点で深く納得してしまう。
正直なところ、自分は鉢伏山は完全ノータッチで、お仲間の提案でこの山の存在を思い出したくらい。
予備知識もあまりなかったけど、この山のポテンシャルも凄いものがありますね。特に山頂がこんなに広いとは思っていませんでした。
美ヶ原と比べても遜色ないくらい。
雪原の果てに広がる霧氷風景。
「ここ、北海道の美瑛です」とか言っても信じてもらえそうな雪景色がここにはありました。
鉢伏山の最高地点に到着。
山頂付近も平原のような場所で、どこがピークかいまいちわからないですが、標識に従って進んで行くと、この山最高の展望地があります。
ここに来て新たに見えてきたのが中央アルプス(左)と御嶽山(右)。
手前の雲海が合わさって御嶽山なんかは雲の上に浮いているようにさえ見える。
しかし、本当に広い山頂だわ。
美ヶ原同様、冬の鉢伏山はスノーシューハイクにも打ってつけの山のように思えました。これだけ開けた山頂っていうのも、なかなかお目にかかれない。
こうして進んだ先に鉢伏山山頂に到着。
実際は先ほどのピークからほんの少し下ったところにある場所ですが、この標識があるところからの展望が絶品!
特に中央にある建物、その屋根に上がれるようになっていて周囲の展望を見渡せるようになっています。
ちなみに小屋(?)の中は入れるようになっていて、内部はこんな感じ。
風よけには最適の逃げ場で、周囲に窓も取り付けられていて明るくいい感じのシェルターでした。
そしてこちらが山頂から改めて眺める北アルプスの展望。南は乗鞍岳から、北は白馬界隈まで、ずらーっと一望することができます。
なるほど、こりゃ~北アルプスの展望地だわって感じ。
位置的には常念岳が特に近くに見えるので、実際登ったら確認してみてください。
こちらは南側の展望。中央に富士山、左側に八ヶ岳、右側に南アルプス。
この3つの山域は都内からもアクセスしやすいので馴染みあるものですが、これくらいの近さで八ヶ岳、富士山、南アルプスという並びで見るのは結構珍しいかも。
北アルプスの展望地でありながらも、富士山もバッチリ良く見えます。
雲海の果てには中央アルプスも。
雲はちょうど中央アルプスとの直線上を境に切れていました。
富士山側の展望、少しアングルを変えれば眼下には諏訪湖も一望できます。
山だけじゃなく湖まで見渡せるって、鉢伏山からの展望凄すぎでしょ。
さらに霧氷というオプション付き、最高です。
北アルプス乗鞍岳~焼岳~穂高連峰・槍ヶ岳などなど、南部の山々。
その南部からさらに視線をずらすと、鹿島槍ヶ岳~五竜岳~白馬岳などの北部の領域。
北アルプス総なめでございます。
雲海の果てに見えるっていうのがまたいいわ。
シェルターの屋根の上はこんな感じ。
ここの山頂がいかに広いかというのを改めて体感できます。
右の霧氷地帯が、雪原に広がるオアシスという感じでまた良かったです。
山頂に来たら誰でも撮りたくなるこの風景。
北アルプスの展望地ながら、富士山と南アルプス、そして諏訪湖の眺めも抜群なのでぜひ登ってみてくだされ。
近隣の高ボッチ山というところからは、さらに諏訪湖を近くで見れるので、いつかそちらも行ってみたいです。
鉢伏山、登って納得の素晴らしい山でした。
冬は麓の扉温泉から登ってこないといけないですが、それでも高低差はそこまでないので日帰りでも余裕で登ってこれます。
ここはぜひとも再訪したい。
山頂を去る前に抑えておきたいのがこのアングル。
鉢伏山は山岳信仰の山でもあって、山頂にはこんな感じで鳥居もあるのですが、この鳥居がまた絵になる存在でして。
鳥居越しの北アルプスというのは、この山だけの特権ともいえるのでぜひ見ておいてください。
自分も何度かこの鳥居と北アルプスの写真は見たことがあったのですが、どこから見た景色なのか今までわからず、ここに来てようやく「そうか、鉢伏山だったのか」と知りました。
山頂で展望を満喫した後に下山。
山頂付近では他の登山者と入れ違いになったりもしましたが、それでも10人に満たないくらいの静かなもんでした。
もっと有名になってもおかしくないポテンシャルを感じた鉢伏山。ここ最近は新規の山よりも過去に登った山を再訪する方が多いですが、探せばまだまだ面白い山っていうのはたくさんありますね。
帰りも雪原を好き勝手に歩いていく。
やはりここはスノーシュー魂を駆り立てられる。いつの日か、もっと雪が積もった時にバフバフ踏み荒らしたいです。
霧氷と雲海、晴れていても見れるかわからない景色だっただけに、この2つに出会えた意味でも良いタイミングで登れた気がします。おそらく例年に比べたら、ここもかなり雪が少ないんだろうけど、初訪問としては十分楽しめた。
北アルプスがスレスレで見える位置をキープしてくれた雲海様にも感謝じゃ。
こうして山頂の高原を後にし、来た道へと下山。
山頂分岐点にもこんな感じでヘリコプター事故現場への標識が建てられていました。
昼にもなれば、明け方見えていた霧氷もなくなる。
霧氷見るなら早朝の数時間が勝負です。
こうして13時に登山口へと下山完了。路駐の車もスタート時より増えてました。
トレースもあったので、結局最初から最後まで軽アイゼン(チェーンスパイク)だけで歩き通せました。
下山後の温泉は登山口にある扉温泉へ。「桧の湯」というのが日帰り入浴もやっていて、しかも300円!シャンプーなどは備え付けていないので、必要であれば買いましょう。
露天風呂もあっていい温泉でした。秘湯感ある佇まい、隣にはお食事処もあってまさに登山後には打ってつけの温泉でした。(ちなみに、このお食事処のテレビを見て、ノムさんがお亡くなりになったことを知りました……)
初登頂となった長野県の鉢伏山。
広大な山頂から見渡せるアルプスの山並み、富士山の展望、そして美しい霧氷風景。
山容もなだらかで冬の雪山登山としての面白さが詰まった山でした。
【日程】
2020年2月11日
【コースタイム】
6:50 扉温泉登山口
9:50 鉢伏山・前鉢伏山分岐
10:35 鉢伏山
13:00 扉温泉登山口
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