山梨県の秀麗富嶽十二景・扇山へ日帰り登山に行ってきました。
降雪直後というタイミングだったので、登山道は最初から最後まで雪景色。ラッセルありの完全な雪山登山となりましたが、モノクロの霧氷風景から、青空が広がってからの富士山の展望!文句なしの景色を見ることができました。
ルートは四方津駅からの往復。電車のみでアクセス可能なので、公共交通機関でもかなり登りやすい山です。
果たして待っている人がいるのかわからないですが、お待たせしました。
久しぶりの秀麗富嶽十二景シリーズです。
かつて、このブログが始まった当初に通うように登り詰めていた山域、それが山梨県の「秀麗富嶽十二景」。大月周辺に点在する、富士山の展望に恵まれた低山たちです。
それぞれNo1〜No12までナンバリングされていて、今回登るのはNo6の扇山。秀麗富嶽の中でも人気の高い山です。
南岸低気圧が通過した直後の祝日。これはもう山に行くしかないでしょ!ということで、近場の山を選定。丹沢と迷いましたが、空いている山がいいということで、あんまり人がいなさそうな扇山の四方津駅コースにしてみました。
あわよくばラッセルなんかもしちゃってね。
とか期待してましたが、本当にその通りになった冬の扇山の登山記録。
2022年2月11日 四方津駅〜扇山 冬の雪山登山
本当に久しぶりの秀麗富嶽十二景。
記事にするのはどうやら4年ぶりとのことで、すっかりご無沙汰な山域となっていました。
自分の登山の原点とも言える場所がここなんです。アルプスや東北なんでまだ全然知らない青っちい自分が、「富士山すげぇ!」と目を輝かせて登っていたのはもう10年近くも前のこと。
そんな感傷に浸りながら乗っていた、久しぶりの中央本線。
ただ車窓から見る景色が、これまでの秀麗富嶽とはまるで雰囲気が違う。目的地の駅に到着して見た景色が、自分の知っている秀麗富嶽のそれではありませんでした。
降り立ったのは四方津駅。時刻は朝の7時、下車したのは自分だけでした。駅近くにコンビニや商店などは一切ないので、買い出しは事前に済ませておく必要があります。
高尾から4つ先の、限りなく東京に近い山梨県。
なのに、いきなり目にしたのはこの景色。
ガスに包まれた幻想的な風景。雪の白さも相まって、ここはどこの雪国かと。
電車から別世界に放り出されたかのような、とても不思議な雰囲気に包まれていました。
(おかしい、朝から晴れる予報だったんだが……)
気を取り直して四方津駅よりスタート。
まずは標識に書かれている大野貯水池というところを目指します。
登山口までは約70分の道路歩き。少し長く感じるかもしれませんが、バス要らずの限りなく東京寄りからスタートできるとあって、コスパは最強です。
ここは8年前にも一度歩いたことがあるのですが、道中の大半は覚えてませんでした。
途中で見た雪景色の一コマ。
ここが都心から1時間の風景というのが俄かに信じられない。何度も言うけど、どこの雪国に来ちまったんだと。
深い霧に包まれているが故に、余計にそう感じるのかもしれません。まだ街中なのに、雲との距離が限りなく近い。
20分ほど歩いて、大野貯水池に到着。
ここで見た景色がまた神秘的。霧氷に覆われた山が鏡のように水面に投影されるダムの池。
晴れていれば何てことはない景色なんだろうけど、思わず息を呑んだ瞬間です。
その後も、時間が止まったような静寂の雪景色の中を進んでいく。朝イチだからか、歩いている人も誰もいない。
さながら映画「ミスト」のような、深い霧に包まれておりました。
事前の天気予報では朝から晴れマークがついていただけに、このガスっぷりは正直困惑したけど、これはこれで滅多に見れない景色だから良かったのかもしれない。
大野貯水池の次に目指すのが中央道の陸橋。
標識に書いてある通り、談合坂のすぐ近くを通っていきます。
都心から登山に行く人なら誰でも一度は利用したことがあるのではないだろうか談合坂SA。ほとんどは帰りの渋滞に巻き込まれての休憩ポイントだとは思いますが、その周辺にある山の1つが扇山なので、よければ今度見てやってください。
中央道も深い霧に包まれて、先が全く見通せない。
なんだろうか、本当に不思議な雰囲気でした。高速が近づいてきたあたりでは車の音こそ聞こえていたものの、それ以外はシンと静まってただ静寂なモノクロの世界。
つまらないと思っていた序盤の道路歩きも、全然そんなことはなかった。
四方津駅から1時間ほどで犬目に到着。バス停と書いてある通り、本数は限りなく少ないですが、時間を合わせればここまでバスで来ることもできます。
道中、コンビニなどはなかったです。秀麗富嶽を登っていてつくづく思う、駅近くにコンビニや日帰り温泉を作って欲しいと。
この犬目でよく覚えているのが、この空という文字が刻まれた巨大な石の球体。
登山口手前の宝勝寺にあるので、通れば間違いなく気づくと思います。
こうして扇山・四方津駅コースの登山口に到着。写真だとわかりづらいですが、この右の道路脇から登山道に入ってきます。
ここから登るのも実に8年ぶり。
時刻は8時過ぎ。入り口を見て察しましたが、期待していたノートレース!
この日のトップバッター切らせて頂きます。
相変わらずガスが取れないですが、見上げる霧氷がとにかく綺麗。
帰りにはすっかりなくなっていたので、深夜までの降雪と明け方の濃霧のおかげか。
誰も歩いていない登山道をひたすら突き進んでいく。思っていた以上にしっかりとした雪景色、なんとなく八ヶ岳の森にも見えてきます。
山登り自体が久しぶりなもんで、山の静かな雰囲気と踏みしめる雪の感触がなんとも心地よかった。
序盤の積雪量はこんな感じ。
たまに膝下まで埋まるくらいで、予想よりもだいぶ積もってました。
行きも帰りもアイゼンは使わなかったです。
それにしても稀に見る霧の濃さ。
まだ標高は500m程度なのに、どれだけ低い雲なんだ……
期待していた青空が見え始めたのは、登り始めて1時間ほど経った頃。
視界が遮られているので分かりづらいですが、標高800mくらいのところで雲の上に出ました。
木の合間から見えた雲海を、もっと開けたところで見たかった。
見上げれば一面霧氷!これが見たいがために来たようなところがあるので、用意していた「ムヒョー!」を叫ばせてもらいました。
青空の下で見る霧氷風景、本当に好きだわ。
登山道に太陽の光が届くと、気分も一気に変わる。
高度を上げるにつれて雪も深くなってきたけど、一人でラッセルするにはちょうどいいくらいの積雪量。
後ろを振り返れば自分の足跡だけ。
バフバフ好き放題踏み荒らしながら進んでいく。
ムヒョ〜
分岐の尾根に到着。
いつもだったら扇山から百蔵山へと縦走して帰るのですが、今回は行き帰り往復のピストン。帰りは標識に書かれている見晴台経由で四方津駅へ戻りました。
稜線に出て積雪量がまだグッと増える。
部分的に太ももまで埋まることもあって、なかなかタフなラッセルでしたよ。
相変わらず見上げる霧氷が美しい。
ガスがなかなかしつこくて、ここから一気に晴れるだろうと思っていたらまたガスり出しました。
この日の天気予報は完全に外れてたな。
鳥沢駅との分岐点に到着。
扇山に登る場合、この鳥沢駅が登山口からの最寄り駅になります。なので大半の人はこちらから登ると思うのですが、足跡一つありませんでした。
ここで、山頂までのラッセルが確定。静かな山を求めて選んだわけだけど、まさか誰一人いないとは思ってなかった。
どこぞの雪山かと思うほど、本格的な冬山登山。
高低差自体はそこまでないのと、道も明瞭で危険箇所もないので、ラッセルさえ嫌でなければ一人でも問題なく歩き通せます。
再びあたりが霧に包まれて、幻想的な霧氷の景色。
このモノクロの世界に今日は何度引き込まれたか。しんと静まりかえった森の雰囲気が心地よくも、少し不気味でもありました。
最後まで先行者なしのノートレース。
ここら辺は雲が取れるのをまってあえてゆっくり歩いてましたが、それがなくてもそんなにスピードは出せなかった。
約3ヶ月ぶりの登山は装備の全てが重く感じる。
こうして11時頃に扇山山頂に到着。開けた場所なので、ここもガッツリ積もっていました。
そして雲は一向に取れず、まさかの虚無世界のままゴール。こんなはずではなかったんだが……
久しぶりの秀麗富嶽十二景、No6・扇山に登頂。
本当ならこの向こうに富士山が見えるはずなんだけど、ガスってるやん。
それにしても、ここまで雪が積もった秀麗富嶽は初めて。
扇山も過去に何度か来ているけど、これまでの山の雰囲気とは全然違うわ。人がここまで少ないのも初めてで、自分とは反対側の百蔵山方面から何人か登ってくる程度でした。
はて、どうしたもんかと思ったのも束の間。
急に雲が切れて一気に青空が広がり始めた。
そして、奇跡的にぽっかり雲の穴が開いて、待望の富士山とご対面。
おぉ!これこそ秀麗富嶽。周りの樹氷も加えて、見事な冬の情景に出会えました。
山頂にいた全員(といっても他に2人)がこのチャンスを逃すまいと、富士山へシャッターを切る。
この後、結局晴れてくるのですが、この時は一瞬の幸運だと思っていたので本当に嬉しかった。登りに来て良かったと心から思えました。
太陽に照らされて、樹氷もいっそう映える。
これが見たくて来たんですよ。
山頂付近をしばし散策。
自分以外の人はみんなこちらの百蔵山方面から登りに来ていました。
やっぱり四方津駅からだと道路歩きが長いからか。
青空広がる扇山山頂。
これほど雪が積もることもそうそうない貴重なタイミング。山頂にいくつかあるベンチは全部埋まっています。
改めて扇山の山頂標識と富士山の展望。
駅から登れるアクセスの良さとこの富士山の眺め、さらに広くて快適な山頂。扇山が秀麗富嶽の中でも人気なのがよく分かります。
ひたすら霧氷を撮り続ける。
もうこの時点で十分満足したので、百蔵山までの縦走は今回はなしにしました。
最後に富士山を見納め。時刻も昼に差し掛かると、続々と登山者が登って来ました。
冬の扇山登山、最高に面白かったよ。
帰りは来た道を引き返して四方津駅方面へ。
結局、こちらから登ってくる人は誰一おらず、自分がつけた足跡だけがきれいに残っていました。
帰りは見晴台の方へ行ってみます。
この手前あたりでようやく1人の登山者とすれ違いました。静かな山歩きを楽しみたいなら、四方津駅ルートはおすすめです。
こちらがその見晴台。
地図にも書かれていますが、山頂以上に素晴らしい展望が見れる場所になっています。
富士山はもちろん、麓の街を一望。しっかり雪が積もってました。
正面に見えるのは丹沢かな。雲は相変わらず低くて、都心方面は雲海っぽくなっていました。
午後になってから気温も上昇。こうなると、木に積もった雪が急速に溶けて、ミストシャワーのように頭上から水が降って来ます。
本来ならザックカバーをしたほうがよかったんだけど、途中からするのも面倒なのでそのままずぶ濡れになりながら下りました。
持って来ても使うのが面倒になってしまう、それがザックカバー。
日が当たれば装備も乾く。
こちらのルートは展望の良い箇所もあって、都心方面をこの日初めて綺麗に見渡せました。
登山口に下山完了。
民家の脇道に出ました。この後道路沿いに歩いていけば、朝歩いてきた道と合流します。
来た道を辿って四方津駅方面へ。
明け方、深い霧に包まれていた中央道・談合坂もすっかり晴れ渡り、朝とはまるで違う雰囲気。
気温が高く、路面の雪はすでにだいぶ溶けていました。
こうして14時に四方津駅に下山完了。
ちょうど良いタイミングで電車が来てくれたので、16時前には自宅に着けました。
久しぶりの秀麗富嶽十二景。
冬の扇山へラッセル雪山登山、これにて無事に完了。
序盤は幻想的なまでの霧に包まれてどうしようかと思ってましたが、後半見事に晴れてくれて良かったです。期待していた霧氷も存分に見ることができました。
四方津駅からのルートは道路歩きが長い反面、人が少なくて静かな山歩きが楽しめるので、混雑を避けたい人にはかなりおすすめです。
何よりバスも使わず、高尾から4駅先の場所からスタート。都心からのコスパも最強です。
滅多に見れない、たっぷりと雪が積もった秀麗富嶽・扇山でした。
雪が積もったタイミングを狙えば、近場の低山でも一味違った山登りが楽しめる。危険個所もなく、初心者にもお勧めできる雪山入門の山という印象でした。
チャンスがあればまだどこか行きたいところです。
【日程】
2022年2月11日
【コースタイム】
7:00 四方津駅
7:20 大野貯水池
8:10 登山口
10:55 扇山
12:45 登山口
13:20 大野貯水池
13:50 四方津駅
コメント
いつもブログを楽しみにしています。文章のリズムというか読みやすくて写真も綺麗で、気分転換させて頂いてます。
プラタナスさん、こんばんは。
読んでくださってありがとうございます。
今後も更新していくと思うので、気が向いたときに見に来ていただけたら幸いです。気分転換していただける記事になるよう、頑張りたいと思います!