年末に八ヶ岳の主峰・赤岳へ日帰り雪山登山してきました。
南八ヶ岳の窓口である美濃戸口をスタートして行者小屋まで行き、登りは地蔵尾根、下りは文三郎尾根を利用して赤岳登頂。帰りは赤岳鉱泉に立ち寄って名物のカレーとアイスキャンディーを堪能して美濃戸口へと戻りました。
稜線上は強風でしたが終日快晴で、年の締めに相応しい富士山の姿や、南・中央・北のアルプスの山々も総なめで眺めることができました。雪の阿弥陀岳や横岳の雄姿もカッコよく、降雪直後だったので行者小屋あたりの樹氷がまたこの上もなく美しい景色でした。
これが2017年の最後の登山となりましたが、充実した登り納めができて良かったです。
2017年のラスト登山は八ヶ岳の最高峰・赤岳へ。
冬でも通年営業している山小屋が多いので、雪山登山のフィールドとして非常に人気の高い『八ヶ岳』。自分自身も、冬の八ヶ岳は過去に何度か足を運んでいて、雪の赤岳に登るのも今回が2回目。
前回は日帰りで赤岳~横岳~硫黄岳というロングルートで丸一日歩き通しましたが、今回は赤岳の単発登山。赤岳のみであっても冬季はコースタイムも割増しとなるので、日帰りで歩くとなるとなかなかの時間有する登山行程となります。
コースは赤岳登山としては定番の美濃戸口を基点とした周回ルート。年末の快晴と言うことで登山者も多く、少しでも渋滞回避のために山頂までは登りで地蔵尾根、下りで文三郎尾根を利用。最後に赤岳鉱泉に立ち寄って冬の定番の”アイスキャンディー”を見て帰ってきました。
2017年12月30日 八ヶ岳・赤岳 日帰り雪山登山
これが2017年最後の登山。色々な選択肢がある中でラストに選んだのは、馴染みのある八ヶ岳でした。
赤岳ということで、その登山窓口でもある美濃戸口駐車場へ。赤岳は夏にテント泊登山でも訪れているので、ここに来るのは今年で2回目。過去を振り返ってみても、1年のうちに同じ山に2回登りに来るのは、おそらくこれが初めてだった気がします。
まだ夜明け前の4時に美濃戸口入り。冬の赤岳はそれなりの長丁場になるので、真っ暗の中でそのまま登山開始となりました。
写真は美濃戸口にあるオシャレな山カフェ『J&N』に飾られていたクリスマスツリー。ここは登山者向けの素泊まりプランや日帰り入浴も可能になっています。
さすが人気の八ヶ岳ということで、この時間帯からスタートする登山者は他にもチラホラいました。
夜明けまでまだ時間があるので、しばらくは真っ暗の中ヘッドライトを付けて歩き続ける。赤岳山荘、美濃戸山荘も暗いうちに通過。行者小屋へ行くので、登山道は南沢コースへ入っていきます。(北沢コースは赤岳鉱泉に続くのでお間違いないように)
行者小屋までのルートは何度も歩いているし、週末であればトレースもあるので、暗い中での行動もあまり心配はなかったですが……
部分的にこんなスケートリンクのような凍結もあったりするので、これが結構要注意でした。
最初の美濃戸口からの林道ですでにアイスバーンになっている箇所もあったので、可能なら12本アイゼンの他にチェーンスパイクか軽アイゼンも合わせて持って行った方がいいです。
雪のモフモフ感よりも氷のツルツル感を感じる序盤の道でした。
空が明るくなってヘッドライトが不要になったのは、もうだいぶ行者小屋まで近づいてきた頃。
明るくなって目の当たりにする八ヶ岳の森、これがまた素晴らしく綺麗。
凛と静まり返った八ヶ岳の雪の森。
八ヶ岳の森って、他の山の樹林帯とは違う独特の雰囲気を感じてしまう。八ヶ岳という響きだけでそう感じる部分もあるのかもしれないけど、暗闇から開放されていきなり広がる冬景色に、眠気も一気に醒める。
行者小屋手前でいったん展望が開けるポイントがあります。今は雪で覆われていますが、夏場は河原のような場所になっているところ。
何回もこのルートを歩くとお気づきになるかもしれんけど、この倒木ってずっと前からありますね。今では良い目印になってます。
雪に覆われた八ヶ岳の岩稜帯、その片鱗が見え始める。
雪でコーティングされて磨き込まれた美しいフォルム。どこかのテーマパークのセットのようにさえ見えてしまう完成度。
進むにつれて雪の量も増えてきて、あたりは樹氷に包まれる。
今年の八ヶ岳は雪が少ない印象でしたが、ここ数日はそれなりに降雪があったようなので、十分な雪景色を堪能できています。
樹氷については、この後の行者小屋の周りが特にすごかった!
樹氷と霧氷のコンビネーション。
あっさり飛ばしたけど、最初の数時間は暗闇の中をずっと歩いてきたので、この明るくなってからの怒涛の展開は余計に心を奮い立たせてくれちゃいましたよ。
樹氷と霧氷が美しい登山道を進むうち、やがて目指す赤岳の岩稜帯も見えてきた。
目の当たりにして実感した、稜線上の風の吹き荒れっぷり。雲のようですが、強風によって巻き上げられた雪煙です。
事前の天気予報では午前中は強風警報が出ていたので、まぁ予想はしてたけど、やっぱり強い。。。4年前の冬に登った時も天気は良かったんだけど、風がものすごい強かったのを覚えてます。
やはり雪山はそう簡単にはいかんね。
河原ポイントまで来てしまえば、行者小屋までは緩やかな道のり。序盤の単調な樹林帯を暗いうちに済ませたのは、ある意味ちょうど良かったかもしれないです。
暗いうちから歩く恩恵は見上げる空にもあったりする。1年の中で最も陽が短い時期だったので、7時を過ぎてもまだ夜と朝が共存しているような淡い空模様。
その空の変化を眺めるのもまた面白い。朝の7時なんて、何もしない休日じゃまだ寝てる時間だしねぇ。
行者小屋が近づいてくるにつれて、樹氷もみるみる育ってきます。
天然の巨大クリスマスツリーが四方から見下ろしてくるこの感じ、夏とはまるで違う世界観が広がる。
これから目指す赤岳を望む。
雪煙効果なのかバックライトが当たった感じで、山のシルエットがいつも以上にくっきり見えてる気がします。
西側からのアプローチになるので、こちらの登山道は山陰に隠れて日差しはしばらく届かない。
日陰の中で整然と立ち並ぶ樹氷たち、それを見ているだけでものすごい強烈な寒さを感じてしまうけど、これぞ冬の山というのも感じられる美しい情景だったりする。
下から見上げる赤岳山頂。山頂へ至るルートは2つあって、向かって左側から登るのが地蔵尾根ルート、右側から登るのが文三郎尾根ルート。
自分たちはどちらから登るか、まだこの時点でははっきりとは決めていませんでしたが、ヤマレコの記録を見る限りだと文三郎尾根を登りで選択する方が多い気がします。
7時45分、行者小屋に到着。美濃戸口から約3時間半ほどでした。
行者小屋も冬のシーズンは週末のみですが営業してくれているので、山小屋泊で登りに来ることが可能になっています。(隣の赤岳鉱泉は通年営業)
行者小屋から見上げる赤岳。
先ほど見た通り、雪煙が激しく舞っているのが良くわかる。これからあの中に突っ込んでいくことになるので、それまでにできるだけ弱まってほしいところ。
こちらは阿弥陀岳。山頂だけが日に照らされて煌々と輝いておりました。ここから見ると丸く可愛い形に見えますが、全然そんな乙女じゃないというのはあとでわかります。
行者小屋のテント場は冬でも使えるのでこの日もたくさん張られてたのですが、この寒い中でテントとはよくやりおる。
行者小屋は山陰に隠れる位置なので風は全くないんだけど、日差しが届かない分、冷気が溜まっている感じですごく寒い……。この後、稜線に上がりますが、この日一番寒さを感じたのは朝の行者小屋でした。
明け方の寒さが襲ってくる中で、行者小屋のベンチで山頂アタック準備。ここから12本アイゼンとピッケル出しました。
ちょうど朝の8時近くだったので、小屋に泊まっていた人も出てきて続々と登山者が出発。かじかむ手でアイゼン履いている中で、大半が文三郎尾根方面へ向かっているのを眺めてました。
すでに登頂を済ませて降りてきている人もいたので上の状況を聞いてみたけど、やっぱり相当風が強いらしい……
ここから赤岳山頂に至る2つのルート、地蔵尾根と文三郎尾根、どちらを行くか。風の影響が少なそうなのは文三郎尾根でしたが、それを見越して大半の登山者が文三郎に流れたのか、下から見ても途中で渋滞しているのが見えちゃいました。
登山道で立ち止まるのは時間がもったいないというのもあるし、停滞する寒さでトイレタイムが早まるという厄介なことも付きまとうので、自分たちは登りで地蔵尾根ルートを取ることにしました。
登山道の渋滞って、なんでか急にトイレに行きたくなるんだ……
そんなわけで、地蔵尾根方面へ。風を我慢して少しでも渋滞回避を目論んだけど、これが吉と出るか凶と出るか……
ここは4ヶ月前の夏のテント泊でも歩いた通り、中盤までは樹林帯。
登山道は完全に雪に覆われてましたが、適度に締まってトレースもあったのでスイスイ進める。
階段はご覧のような状況。
中途半端にステップが露出しているのが歩きづらいけど、手すりが問題なく使えるのでここも特に問題なし。
少し登ると左手に見えてくるのが硫黄岳と横岳。地蔵尾根の1つのポイントとしては、登るにつれて迫力を増していく横岳の岩稜帯。
登るにつれて間近に迫る岩の壁は相当の迫力があります。雪がついていたらなおさら。
徐々に傾斜もきつくなってくる。先行するお仲間さんも、少し距離を離しただけで見上げる位置に。ミニスカートを履いて登山しようものなら、パンツ丸見えの状態。
ピッケルって一応持ってはいるけど、自分が登る山レベルでは使うシーンって実はそう多くはなかったりする。お飾り的に身に着けていることも多いからこそ、こういったたまに出てくる急斜面では、ピッケルの有難さを大いに感じられます。
階段が完全に埋まっている箇所もあります。
中途半端にあるよりは、これくらいの方がむしろ歩きやすいかもしれない。
交互に登場する階段と雪の斜面を攻略して上に登って行く。
想定通り、こちらの方は先行者もほとんどいなくて、時折上から降りてくる人とすれ違う以外は立ち止まることもありませんでした。
ある程度登ったところに絶好の展望台があります。山に囲まれた台地のように広がる南八ヶ岳の森、そこに大きな影として映し出される赤岳のシルエット。
さらに目の前に広がる展望!
ひときわ真っ白に輝くのが北アルプス。大きく切れ落ちた大キレットと天に突き出る槍ヶ岳はここからでもよくわかりました。
手前に美ヶ原が見えているんだけど、この時点ではまだ全然雪がなくてスノーシューハイクはとてもできそうにない感じでした。
雪がたっぷり積もれば広大な雪原エリアとなるので、スノーシューハイクをするには打ってつけの場所になります。
こちらは乗鞍岳。北アルプスに属していながら、他とは少し離れているので存在が目立ちます。
手前に見える湖は諏訪湖。映画『君の名は。』のモデルにもなったとされる湖で、映画によって知名度も格段に上がったとか。
すぐ近くにけたたましい存在感を放って聳え立ってるのが阿弥陀岳。
行者小屋から見ると丸い山に見えましたが、全然そんなことはなくて、実際はゴツゴツしてずっしりと構える横綱級の山容をしています。
夏にこの地蔵尾根を登った時は横岳の姿が印象的でしたが、冬はむしろ阿弥陀岳の方が目を引き付けられる。
森林限界を超えて足元も完全に岩場へ。
風の影響で雪がまき散らされたのか、上に登るにつれて逆に雪は少なくなっていきました。
振り返るとかなりの高度感。はるか下に行者小屋も見えています。
ここら辺から高所恐怖症の人はあまり下を見ない方がいいかも。自分もその部類なので、振り返るとおケツの穴が引き締まりました。
前を向いて進むべし。
そうすると、横岳のカッコいい岩山に心を奪われるから。
夏場も感動したけど、冬の横岳もすこぶる素敵。本場北アルプスの角が槍ヶ岳なら、八ヶ岳の角は横岳といった感じさえする。目の前の岩山が横岳のピークというわけではないので、横岳まで縦走するとなると多少時間はかかります。
ちなみに夏の横岳はこんな感じ↓
【2017/8/26-27 赤岳~横岳~硫黄岳 夏のテント泊縦走登山】
目指す稜線が近づいてきた。
上が暴風なのは相変わらずだけど、この地蔵尾根は不思議なほど穏やか。前回は確かこの時点で上から吹き降ろしてくる風が強かったから、その時に比べたらまだマシな方なのかも。
登山道は所々岩が露出している感じで、ここら辺は下りの人の方が神経使っている感じでした。こちらがすれ違いを待っていると、下山する人は急いで下りてきてくれようとするけど、全然そんなことはしなくていいのに。自分がこの地蔵尾根を下山しようものなら、確実にへっぴり腰ステップを披露することになっていただろうし……
赤岳山頂も見えてきた。
地蔵尾根にいる間は風がなくても、上が強風なのは現実で、巻き上げられる雪煙がそれを突きつけてくる。
もう間もなく、あの強風エリアに飛び込みます。
最後まで岩と雪のミックスは続く。以前からお伝えしている通り、この手の岩場は大の苦手だけど、とりあえず登りならどうとでもなる。手すりもあるので有り難く頼らせてもらいます。
あかん、また振り返ってしもうた、、
帰りは文三郎尾根で下る予定なのでここは通らないけど、果たして文三郎の下山はいかがなものか……
こうして行者小屋から1時間ほどで地蔵の頭に到着。 地蔵尾根という名の通り、上に登るとお地蔵さまが見守ってくださっております。なでなでしたくなるその頭に一礼して、今年1年の山締めの挨拶を済ませました。
ここまで登ってきて、初めて陽の光を浴びる。
と同時に、東側の展望がようやく開けます。目に前に見えているのは奥秩父の山々。西側の北アルプスの展望に比べたら地味かもしれませんが、東京に住む自分にとっては身近に感じる山域です。
今年は全然雪が降っていないようで、まだ黒々としていました。雪が降った後の金峰山とかすごく綺麗なんだけどね~、、
こちらは赤岳。そして稜線に立って初めてお目にかかれる日本最高峰・富士山の姿。
登山者越しの富士の姿が良い絵になったので思わず1枚。
雪山に挑む登山者はこの上なくカッコいい。
こちらは横岳方面の展望。4年前に冬の赤岳に登った時には、日帰りで赤岳~横岳~硫黄岳と縦走したけど、今更ながらよくやったもんだな~と思ったわ。
今日はゆっくりと赤岳のみを単発で登ります。
こちらは先ほどから見えていた北アルプスの展望。
この時期にしては珍しく、北アルプスもほぼ1日快晴で輝いておりました。手前の美ヶ原の雪の少なさに憐れみを感じてしまうほど、北アルプスは真っ白ですね。
阿弥陀岳のどっしりとした佇まいも相変わらずの迫力。
阿弥陀岳って赤岳山頂から見ると、不思議なくらい小さく見えるんだけど、ここから見る分にはまだ十分にでかい。
稜線を伝って赤岳へ向かう。すぐ先に見える小屋までいったん退避。
風も想像していたほど強くはなく、日差しも加わったので体感的には先ほどまでよりも暖かく感じます。
こちらが冬の赤岳天望荘。”展望”ではなく”天望”なのでお間違いなく。もしかしたらすごい拘りがあるのかもしれないので。
通年営業ではないですが、冬季シーズンも期間限定で営業してくれます。(営業期間はこちらを参考に)
年末年始は大抵営業しているので、ここで年越しをする人も多いのでは。
風が弱まったので余裕だろうと思っていた矢先、小屋を過ぎてすぐの辺りが暴風でした。
油断すると身体持っていかれるし、細かい氷が突き刺すように飛んできて、イテェ……
暴風区間は不思議と一瞬だけで、またすぐに弱まってくれた。
稜線上の風の強さは登山道にもよく表れていて、雪が吹き飛ばされて氷のように固まった雪だけが残っている状態。砂利もかなり露出していました。
稜線上から見る八ヶ岳の展望。横岳から北の硫黄岳、さらには北八ヶ岳エリアの天狗岳、北横岳、蓼科山まで見渡せます。
右下のガスっぽいのが、暴風が吹き荒れていた不思議空間。あそこだけ風の通り道なのか、雪煙がずっと舞い続けていました。
あそこに佇んでいれば、滝行に近い荒修行ができると思います。
北八ヶ岳の天狗岳、北横岳、蓼科山。雪が少ないって聞いてたけど、十分ありますね。
北八ヶ岳は南八ヶ岳よりも危険個所が少ないので、冬場でも特に人気の高いエリア。下手したら夏より冬の方が人気があるんじゃなかろうか。特に北横岳なんかはロープウェイもあるので、初心者向けの入門の雪山となっています。今日もたくさんの人が登ってるんでしょうね。
山頂直下の岩場に突入。鎖が出ているので登る分にはあまり難しいところはなく、部分的には雪が完全に溶けて夏道と変わらない箇所もありました。
ここら辺は降雪状況によって難易度が大きく変わるところかと思います。
右手に見えてきたのが中央アルプスの展望。手前に見えるスキー場は富士見パノラマリゾート。あのスキー場からのライブカメラが、八ヶ岳の積雪状況をざっくり見るのに役立ったりします。
北アルプスや南アルプスと比べると、山域自体は小さいものですが、あちらにも木曽駒ヶ岳という通年営業のロープウェイを使って登れる山があるので、冬場でも登山者の多いエリアです。
個人的には昨年の残雪期に登った三ノ沢岳という山が衝撃的でした。安易に勧められる山ではないけども、そのシルエットは最高レベルにカッコ良かった!
【2017/4/30 冬の中央アルプス・三ノ沢岳 雪山登山】
赤岳山頂目指して岩の稜線を登って行く。
ここら辺まで来ると、風も歩行には支障ないレベルまで落ち着いてきてくれました。
ここら辺の道幅狭い稜線で暴風はやや危険もあったので、良いタイミングでした。
赤岳先生、わかっていらっしゃる。
こうして難なく赤岳頂上山荘に到着。ここは通年営業ではなく冬季閉鎖しているので、この時期は泊ることができません。
風が強い時の風凌ぎとして活用しましょう。
赤岳頂上山荘から赤岳までは目と鼻の先。
稜線のビクトリーロードを伝っていけば山頂に着きます。
こうして10時45分、無事に赤岳山頂に到着。
2017年最後の登山で、見事な八ヶ岳ブルーをゲットできました。
山頂に立って改めて眺めてみる阿弥陀岳。ここから見ると背はちっこく見えるけど、山容はカッコいいんだよな。本当に”ずっしり”と構えていて何事にも動じない感じ。阿弥陀岳という名前もカッコいいし。
背後に北アルプスや中央アルプスを従えているあたりも、阿弥陀っぽい崇高な感じがしますよ。
先ほどから見えてはいたけど、山頂に来てよく見えるのが御嶽山。
2014年に噴火してもう3年が経過。もう少し落ち着いたら、山頂まででなくてもいいから登りに行きたいとは思っていますが、果たしていつになることやら。
こちらは赤岳山頂に来て初めて見ることのできる、キレットと権現岳、編笠山。背後に見えるのは南アルプス。中央、北に比べると南アルプスは雪がずいぶん少ないですね。
この展望は少し懐かしさがあって、自分が初めてテント泊登山に挑んだのが、この編笠山、権現岳からキレットを越えて赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳と進んでいったルート。
赤岳キレットについてはそれ以降歩いていないので、だいぶ記憶も薄れている場所。いつの日かまた歩きたいとは思っています。
富士山の展望も当然ながら見事なもの。
先ほどと同様に、登山者が入ると絵になるもんですな。名前もわからない登山者だけど、カッコいいです!
2017年の登山納めと同時に富士山も見納め。
今年一年、充実した山登りができてありがとうございましたm(__)m
風はもうすっかり弱くなってきたけど、山頂の環境の厳しさはこの発達したエビの尻尾を見ればよくわかる。
山頂の祠も完全に凍結しておりました。
ひとしきり展望は満喫したし、山頂に長居しても寒いだけなので、そそくさと下山開始。
帰りは来た道は戻らずに、予定通り文三郎尾根で下山します。
自分にとってはここからがむしろ本番であり核心部。
岩場苦手の身にとって、雪と岩がミックスされたデンジャラスルートを下るなど、相当ハードル高いもんです。
それでも、登ってくる人が多かったので、すれ違い待ちも兼ねてゆっくり進めたのは幸い。
こちらが待っているのを見て「ありがとうございました」と言って下さる方が大半だったけど、スタスタ降りれないへっぴり腰スタイルなので、むしろこちらの方が「ありがとうございました」と。
待ち時間に景色も楽しむ余裕も出る。
特に赤岳山頂直下は雪が岩に張り付いて、なんか泡立っているようにも見える不思議な景観でした。
こちらは改めてみる権現岳と背後に聳える南アルプス。
冬の南アルプスについては、2017年の最初の登山が仙丈ヶ岳でもあったので、山納めにこうして眺めることができて良かったです。仙丈ヶ岳という華々しいスタートを切れたのもあって、今年は九州遠征や東北遠征など、天気にも恵まれて充実した1年になった気もするし。
【2017/1/5~1/7 南アルプス・仙丈ヶ岳 雪山登山】
過去の余韻にも浸りつつ、下山は慎重に。
上手い人(普通の人?)はこういった手すりなんて利用しないで下るんだろうけど、自分はこういったものがあればフル活用。ピッケルも駆使して謎の4点確保という(動けない)荒技も披露して下っていきますよ。
下山時だけでいいから、腕がもう一本あれば理想的なんだがな、、、
見上げる赤岳の岩が、お城のように天に伸びている。
同じ山でも見るアングルによって全然印象が変わるのが登山の面白いところでもあり、行きと帰りで違うコースを歩く醍醐味でもあったりする。
阿弥陀岳とまさき先生。何だかんだ、2017年の山納めもこのお方とご一緒することになりました。
雪山は登山者を入れる方が、挑んでいる感じがひしひしと伝わってきてやっぱりいいな。
横岳と硫黄岳。
登ってきた地蔵尾根も見えているはずなんだけど、どこをどう登ってきたのか全く分からない。
我ながらよく登ってきたなぁ~というような岩の壁が立ちはだかっております。
赤岳に登って毎度思うのが、この山に囲まれた空間。「〇〇高原」とかいう名前がついていてもおかしくない広大なフィールドは、その場に立ってみるとなかなかのスケール感があります。
行者小屋がロケーション的には北アルプスの涸沢とも呼ばれているそうだけど、あながち間違っていないと思う。
標識に従って行者小屋方面へ下山。
ここまで来れば、もう危険個所も少ないので一安心。
さよなら、赤岳さん。
2017年は2回も登らせてもらって大変お世話になりました。
阿弥陀岳も見納め。赤岳は夏場も含めればもう4,5回登っているのに、阿弥陀岳はいまだに最初の1回だけなので、だいぶ山頂の記憶も薄れつつある場所になってしまいました。
一応、2018年の登りたい山リストには加えてあります。
雪の斜面をトラバースするように下っていく。
時刻は11時過ぎですが、まだこの時間でも続々と登山者が登ってきていました。
後は一気に下山しようと思ったけど、目の前に立ちはだかる横岳~赤岳の岩の壁が強烈な迫力で、いちいち見入ってしまう。
そして、この怖くもある岩壁に立ち向かう勇士を発見。
岩に張り付いて、何というところを登っているんだ……。
立ちはだかる岩壁はあまりにも大きく、人間がものすごいちっぽけな存在に見えたけど、ああいう1歩1歩の歩みが山頂まで至らせるって思うと、人間強しって思うわ。
文三郎尾根も階段がやや露出しているところがありましたが、地蔵尾根に比べると雪の量も多かった気がします。
こんな感じで階段を避けて雪の道ができてる箇所もありました。
下に見える樹氷群がまた眩しいことこの上ない。
横岳方面の岩稜帯もこれで見納め。
心配していた風も結果的にはそこまで気にならず、楽しい山頂アタックとなりました。
樹林帯に入ってからの樹氷の美しさがまた格別だった!
特にここら辺は明け方は陽が差していなかったので薄暗く見えていましたが、明るくなるとこんなに煌びやかな樹氷が立ち並ぶ景色だったんですな。
行者小屋まで降りると一層それを体感することになりました。
12時15分、行者小屋に下山完了。
改めてテント場を見てみると、冬場でも大盛況ですね。寒いのが苦手なので雪上でのテント泊はあまりしてみたいとは思わないけど、冬は冬ならではの楽しさっていうのがあるんでしょうね、きっと。
行者小屋に戻ってきて、改めて見た樹氷風景。
明け方来たときとはまるで違う美しい世界観。日差しも届いて眩しいほどの白銀の景色に包まれてます。
怖ろしさしか感じなかった雪の岩稜帯も、明るくなるだけで少し優しくなったようにも見える。
樹氷の癒しの力ってすごいね。
光り輝く霧氷もあったり、ここは天国か!
雪に樹氷に太陽の光と、とにかく眩しい景色が広がってました。この状態がずっと続くなら、この場所でのテント泊も悪くはないと思った。
明け方の寒さも吹き飛んで、薄着でいられるほど日差しが暖かかったです。
日帰りであればこのまま南沢ルートで下山するのが普通かもしれませんが、自分たちは少し寄り道してここから赤岳鉱泉へ移動。
地蔵尾根に入ると、また赤岳山頂へ向かう無限ループになるのでご注意ください。
行者小屋から赤岳鉱泉区間は30分くらいの樹林帯がひたすら続きますが、ここも樹氷が綺麗でした。
雪のある時期は展望がなくても楽しめるから面白い。
赤岳鉱泉に到着。ここは通年営業している山小屋なので、年間を通して登山客の多い場所です。
テント場も行者小屋に負けずに賑わっておりました。
赤岳鉱泉まで来た目的は、名物のカレーライス! これを食いたいがためにわざわざ寄り道しました。
ご覧のように赤岳鉱泉はカレーのメニューが豊富で、アジア各国のカレーが取り揃えられています。パスタも山小屋とは思えないほど、豊富な種類取りそろえられていますね。
シンプルなビーフカレー。コクがある本格派で美味しかったです。
辛さがそれぞれ違うので、具材より辛さで選ぶのもありかもしれません。仲間それぞれ違う種類を頼んでいたので食べ比べしてみたけど、個人的にはタヒチカレーの辛さが一番好きでした。
赤岳鉱泉のもう1つの名物と言えるのが、この冬場に設置されるアイスキャンディー。
ペロペロ舐める飴ではなく、アイスクライミング練習用の巨大な氷柱で、見ているだけで楽しめる赤岳鉱泉のアトラクションになってます。
上からスプリンクラーのように水を流して徐々に巨大化させているようです。
カレーとアイスキャンディーを堪能して、もう思い残すこともなく下山開始。
帰りは北沢コースで美濃戸口へと戻ります。
序盤は沢沿いを歩いていきますが、橋もすっかり雪に埋もれてました。
北沢コースは後半はひたすら林道。
ここまで来ると積雪量も大したことはないのですが……
明け方に歩いた林道と同様に、こちらもアイスバーンになっている箇所がたくさんありました。
何もつけずに歩くのは危険で、かといって12本アイゼンをつけるほどの積雪量でもないので、やはり軽アイゼンかチェーンスパイクを持ってくるのが良いかと思います。
だいぶ長くなってきたので下山は省略。15時過ぎに美濃戸口に戻ってきました。
出発時は冷え切って寒かったけど、下山時は全く違う場所にいるかのような暖かさ。年末年始を八ヶ岳で過ごす人も多いので、下山してもなお駐車場はほぼ満車状態でした。
こちらがスタート時にクリスマスツリーが飾られていたJ&N。見ての通りオシャレなロッジで、レストランの他に宿泊や日帰り入浴もできます。
自分たちは少し移動して、八峯苑・鹿の湯で入浴を済ませました。日帰り入浴600円、露天風呂あり。年末年始も休まずに営業してくれていました。
帰りに韮崎のくら寿司で寿司をたんまり食ってこの日は終了。
こうして2017年最後の登山を八ヶ岳・赤岳で締めてきました。
最後がコケると微妙な終わり方になってしまうので、今回はいつもより天気にこだわったけど、強風ながらも終日快晴で見事な八ヶ岳ブルーの中で登山を楽しむことができました。
展望もさることながら、個人的には行者小屋あたりの樹氷の美しさに心奪われた感じです。
夜明けの樹氷と昼間の樹氷、光と影のような対照的な光景がこの上なく綺麗で、同じ場所にいながら全然違う雰囲気に浸ることができました。
降雪直後の八ヶ岳は序盤の森からすでに見どころ尽きない山歩きができるので、何度でも登りに行きたくなります。
今回は赤岳に登りましたが、八ヶ岳は冬の時期でも登る山、歩くルートが豊富で、さらに通年営業の山小屋もたくさんあるので、自分のスタイルや難易度に合わせた選択が可能になっています。
冬季でも一部区間でバスが運行していたりと公共交通利用も可能になっているので、雪山を慣れ親しむ場所として八ヶ岳は非常におすすめ。自分も時間があれば、今シーズンにもう1回くらいは八ヶ岳に繰り出したいと思っています。
2017年最後の山納、八ヶ岳・赤岳雪山登山でした。
これにて、2017年の全登山記録終了。
読んでくださってありがとうございました。
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【日程】
2017年12月30日
【コースタイム】
4:15 美濃戸口
7:50 行者小屋(地蔵尾根)
10:45 赤岳
12:15 行者小屋(文三郎尾根)
12:50 赤岳鉱泉
15:10 美濃戸口
コメント
こんにちは。
雪山の赤岳、堪能させて頂きましたm(_ _)m
夏と違う景色で雪山は圧巻だし、とても綺麗ですね。
寒いのが苦手で雪山に行こうとはなかなか思えないんですが、いつもみやっちさんのブログで迫力の雪山写真を楽しませてもらい、感謝です次の記事も楽しみにしております!
ゆかぽんさん、こんにちは。
2017年のラスト登山はもう何度も登っている八ヶ岳となりましたが、どの季節に訪れても楽しい場所です。
晴天に恵まれて展望も良かった中で、今回は特に樹氷の美しさに感動させられました。夜明けと日中、同じ場所なのに時間が経過するだけで見栄えも全然違って見えましたよ。
しばらく雪山が続くかと思いますが、こうした天気に今後も恵まれていってほしいです!
雪の赤岳いいですね!
私は過去2回トライしましたが、いずれも途中で吹雪になり行者小屋で撤退しました。
いつか八ヶ岳ブルーの中、冬の赤岳登頂してみたいです。(^^)
村ポチ☆
はたぼーさん、こんにちは。
ありがとうございます。どうにか山頂まで行けましたが、あのまま強風が続いていたら、登れていたかは微妙なところでした。
はたぼーさんも、いつか赤岳山頂に立って絶景を手中に収めてください!
ホントだ晴れだ~。
冬の赤岳登頂おめでとうございました!
楽しすぎです みやっちさん!
冬の赤岳いいですねー。
けっこう登っていらっしゃる方いるんですね。テントの数にもびっくりしました。
あんな狭い所強風でなくて良かったです。
下りは怖そう。よく下れるなぁと思いながら読ませて頂きました。冬山であそこまでの所には行きませんが、確実にへっぴり腰になります。私はよく4点支持になります笑笑!
冬の北アルプスから南アルプス、富士山まで見れて ・・綺麗ですね。青空だし、樹氷も綺麗だしテンションあがります。
テンションあがったと言えば、アイスキャンディー。何それー。あれだけのものを作るってすごいですね。登れないくせにやってみたいという・・・。
白に赤く映えるまさきさんが挑んでる感じで素敵です!登山て景色もそうですが、一緒に登る相方の存在も大事で大きいですよね。
今回も十分堪能させて頂きました。
無事で何より。ありがとうございました。
YUIさん、こんにちは。
YUIさんのテンションを上げられて良かったです(笑)
年末と言うことで八ヶ岳で年を越そうという日とも多かったようですね。テント場も小屋もかなり人が入っていました。
明け方の強風がずっと続いていたら、もっと過酷で写真も撮る余裕なんてなかったかもしれませんが、稜線に上がった時にはだいぶ弱まってくれたのが幸いでした。
景色を楽しむ余裕もありましたし、苦手な岩場の下山も4点支持を駆使してゆっくり降りれましたよ(笑)
アイスキャンディーは初めて見る人にとってはかなり驚きのものかもしれません。よくあれだけの巨大な氷の塊を作るなぁ~と思いますね。
アトラクション感覚で見るだけでも十分楽しめると思いますよ!
久しぶりのお仲間さんもいて、無事に一緒に2017年の登山を締めれて良かったです。2018年もこうした快晴を狙っていきたいです!
下りでの「4点支持」、おもわず笑っちゃいました。
通勤往復2時間、労働12時間の毎日でなかなかパソコンを開く余裕も山へ行く時間もありませんが、いつもこのページに癒されております。八ヶ岳ブルーと樹氷のコントラスト、堪能しました。雪の少ない美ヶ原・ホワイトアウトの入笠山・雨降る冬の上高地と、展望と天気に恵まれたことのない私に、すてきな冬山の「気」を届けていただき、ありがとうございます。
今年も快晴の山行のレポ、楽しみにしています。
くみちゃんさん、こんにちは。
お仕事大変なようですね。。。少しでもこのブログが気の紛れになってくれたら幸いです。
この前の登山が焼岳でホワイトアウトだったので、赤岳に関してはとにかく天気にこだわりたかったです。2017年最後の締めというのもありましたし。
下山は案の定、へっぴり腰っぷりが炸裂しましたが、樹氷と展望、どちらも見事で充実した山行となりました。2018年もこういう天気の中で登山を続けていきたいです。