4月下旬のゴールデンウィークに富士山へ残雪登山に行ってきました。
積雪期に登るのはこれが3回目ですが、今回のルートは初めて歩く”富士宮コース”。スカイライン五合目駐車場からスタートして、富士山の最高地点・剣ヶ峰を目指しました。
今年は雪解けがかなり進んでいて、アイゼンを履いたのは八合目を過ぎてから。風もなく汗ばむほどの陽気でしたが、雪の急斜面を登り切って目の当たりにした富士山の大火口が圧巻の光景!
南アルプスや海の展望もあり、日本最高峰に相応しいダイナミックな景色に出会うことができました。
長らく続いた屋久島の登山記録も終わって、時期はあっという間にゴールデンウィークに突入。
GW前半の4月下旬の連休は、日本最高峰・『富士山』へ日帰りで登ってきました。
歩いたルートは静岡側から登る富士宮コースですが、GWあたりになると富士山スカイラインがちょうど開通するので、富士宮口五合目駐車場まで車で上ることができます。
振り返ってみたら富士山山頂を目指すのは5年ぶり。久しぶりの日本最高峰の地で、今シーズン最後の雪山登山を敢行してきました。
2018年4月29日 富士山 残雪日帰り登山
例年のごとく4月になってもなお雪と戯れていましたが、それも今回で最後。アイゼンとピッケルを持っての雪山登山は、これでおしまいとなります。
スタート地点となるのがここ、富士宮口五合目。
見上げている山がまさに富士山になりますが、中盤あたりまで全く雪がなく黒々している状態。例年に比べると圧倒的に積雪量が少なく、通常であればGWの時期ならもう少し下の方まで白いはずです。
深夜に都内を出発して、五合目駐車場で軽く仮眠。明るくなってきた5時過ぎに出発となりました。
GWはまだ山小屋などは営業していないですが、スカイラインのマイカー規制がまだかかっていない時期でもあるので、ここまで車で上がって来れる利点があります。
それを狙ってか、自分たちと同じく深夜入りしている車も多かったです。
(ちなみにご一緒させてもらうメンバーは、久しぶりのご登場のまさき先生ときりちゃん。どうぞよろしゅう)
まだ薄っすらと夜の気配が残る時間帯。下山後に観光客がたくさんいた展望台も、この時間帯は閑散としています。
展望台からの眺め。富士山の南側に位置しているので、ご来光こそ見えないものの、淡く染まる朝焼けが綺麗でした。
日の出を見たいのであれば、こことは反対側の富士吉田口の方がおすすめです。
富士宮口五合目より登山開始。
車ですでに標高2400m地点まで上がってきていますが、相手となるのは日本最高峰・標高3776m。1400mほどは自分の足で登ることになります。
山小屋などはまだ営業していないので、途中の公衆トイレも閉鎖中。駐車場にあるトイレで済ませておきましょう。
5年ぶりに始まった富士登山。すでに森林限界を突破しているので山の上まで見通せますが、あれがまた結構遠い……
最初は雪が全くないので、夏道と変わらないルートを登って行きます。
気温も4月下旬にしては暖かく、この瞬間だけを切り出せば夏の富士登山と全く変わらない状況。冬山登山靴が無駄に重たいっす。
登り始めて20分ほどで山の陰からご来光。
地平線から昇る朝日ってわけじゃなかったけど、山で迎える日の出はいつだって美しい。
最初に到着した山小屋が六合目の雲海荘。
五合目と六合目の間は短く、30分もあれば登って来れる距離です。
雲海荘と言う名の通り、ちょうどいい具合に見事な雲海を見ることができました。
薄っすらと見える山なみもどこか幻想的。
太陽が昇って登山道が一気に明るくなり、気温もみるみる上昇。
もはや半袖で十分な状況になって、これじゃ夏の富士登山。
おかしい、、、今シーズン最後の残雪登山をキメにきたんだが……
雪があれば直登できるところを、夏と変わらず蛇行しながら道に沿って進まなきゃいけないのがもどかしい。
はるか上に真っ白く輝く山の姿は見えていたので、早くアイゼンが履けるところまで到達したい。
しばらくは我慢の時間帯。
単調な登りでも確実に標高を上げており、登山道わきの雪も徐々に増えていきます。
序盤はアイゼンを履いていないので、できるだけ雪を避けて登って行く。
気温が高いと言っても、さすがに明け方の早い時間帯は、まだ雪が固まってツルツル滑ります。
新七合目の御来光山荘に到着。
小屋がたくさんある反面、水場というものが富士山には全くないので、小屋が閉鎖されていると途中で水の確保もできません。
暑さもそうだし、富士山特有の砂ぼこりで乾燥気味なのか、やたらのどが渇いた1日でもあったなぁ。
新七合目を過ぎても、この1時間ほど先に元祖七合目が待っているので、八合目はまだまだ先です。
蛇行の砂利道はもうしばらく続く。
単調な登りも後ろを振り返ってみたら絶景。
正面に見えている低い山は、富士山の展望で有名な愛鷹山。富士宮ルートから登ると、近くに見える山としてはこの愛鷹山くらいしかないので、その存在感が際立ってます。
愛鷹山から眺める富士の姿が、爆裂火口丸見えの素晴らしい姿なので、ぜひ登ってみてくだされ。
その背後に、薄っすらと影が見えている山が天城山。
東京に住んでいるというのもあって、普段は富士山の東側(山梨側)からのアプローチが主なので、静岡側の展望は新鮮に映ります。
黙々と登って、元祖七合目の山口山荘に到着。
ここも当然ながら、まだ営業開始前。天気が良いのは嬉しいけど、直射日光を避けようがないので、ひたすら暑さとの戦い。日焼け止めも汗ですっかり流されてる感じ。
暑さから逃れる意味でも、早く上に行きたい。
雪が天然のクーラーのように冷気を届けてくれるので、雪のあるなしで体感的にもだいぶ違う。
はるか下に見える駐車場がスタート地点の五合目。元祖七合目ですでに標高3000mを越えているので、だいたいここが中間地点といったところ。
八合目が近づいてくるあたりで、ようやく雪渓メインの登山道になってきました。
夏道が雪で隠れているので、ここは上に見れる小屋を目指してストレートに直登。
急斜面だけどショートカットなので、一気に標高を稼げます。
スタートして2時間ちょっと、朝の7時30分に八合目・池田館に到着。
雪が避けられない状況になってきたので、ここらでアイゼンを履くことにしました。
八合目から見上げる富士山頂方面。ここから残り標高500mくらいは、目の前の雪の斜面をひたすら直登していきます。
夏道の目印でもある鳥居も、特にくぐる必要なし。
雪の直登開始。
気温が高いので、雪はグズグズ。見下ろす感じは急でも、この日に限って言えば間違って滑っても下まで落ちるようなことはなさそうでした。
残雪の富士登山の醍醐味(?)と言えるのが、このひたすら続く雪の斜面。
変わり映えしない景色で、なおかつ標高3000mを超える高所が舞台なので、ここからがしんどいところです。
久しぶりの3000m超えなので、心臓がバクバクいっているのがわかる。
息が切れるのも早く、立ち止まったり進んだりの繰り返し。
前方には先行する登山者もかなりいました。
まだ朝の9時前ですが、もう下山してくる人もいたりします。
後ろからも続々と登山者が登ってくる。
GWの富士山ってどの程度人が入っているのか知らなかったけど、大人気なんですね。
凍結箇所がないので滑落の心配は皆無だったけど、グズグズで足を取られるのが地味に疲れる。
たまに落石や雪の塊が上から落ちてくることがあるので、足元ばかりも見ていられない。
標高3500mあたりを超えると、さらにペースが鈍足になってきた。。少し進んでは立ち止まっての繰り返し。
それでも前方の登山者との距離が変わらないのを見ていると、みんなしんどいんだなぁ~というのがわかって一安心する(笑)
序盤は全く雪がなくても、山頂に近づけばまだまだ雪と氷の世界。
岩場も完全凍結しています。
次から次へと登ってくる登山者たち。
残雪の富士山は富士宮ルートが主流なのだろうか…?5月に吉田ルートから登った時はこんなにたくさんの人はいなかったので、ちょっと予想外でした。
長い急登もようやく終わりが見えてきてラストスパート。
日本で唯一、標高3500m超えの世界を体感できる場所。久しぶりに空気の薄さを感じております。
山頂入口の鳥居。これをくぐればゴール。
10時ちょっと前に富士宮ルート山頂に到着。
山頂に到着して目の前にある頂上富士館はまだだいぶ雪に埋もれていました。
浅間大社奥宮の鳥居もこんな感じで雪に埋まっています。
これも残雪期ならではの光景。
標識もちょっとしか見えない。
富士宮山頂に到着して、少し先に見えるのが富士山最高峰の剣ヶ峰。あの尖った峰が本当の日本最高地点。
富士山にかれこれ5回ほど登っているのに、実はあの剣ヶ峰にはまだ登ったことがないので(って仲間に言ったら笑われたぜ…)、今回こそは行ってみる。
でもその前に、富士山山頂で見るべきものと言えばこれ↓
黄昏るまさきの後ろ姿
……じゃなくて↓
富士山山頂に広がる大火口。日本最高峰なだけあって、火口のスケールも文句なしに日本一!
カメラには収まりきらないほどの壮大な規模を誇ります。
断崖絶壁の火口壁。
この火口の淵を歩いていくのが富士山の御鉢巡りで、雪のない時期なら1周するのに1時間半ほど。積雪期はとても日帰りでは歩けたもんじゃないので、こうして見て楽しむだけにします。
山頂付近は見事な雪景色。
最初は雪が全くないからどうなることかと思ったけども、山頂に着いてみたらやっぱりまだまだそこは雪山でした。
小屋などもほとんど埋まっているので、夏とはまるで違って辺り一面雪原風景が広がっております。
それでも5月と言うことで全然寒くもなく、薄着でもいられるという不思議。
今回は天気に恵まれたけど、気象条件によってはGWあたりはまだ普通に雪が降ったりもするので、防寒はしっかり持ってきておくべし。
荷物をデポって富士山最高地点の剣ヶ峰を目指す。
富士宮ルートから登ると、あの剣ヶ峰が近いのが良いところ。
剣ヶ峰へ向かう登山者。
富士山でテント泊装備というのも、あまり見られない光景。大きなザックが映えてカッコ良かったので後ろ姿を撮らせてもらいました。
富士山山頂の爆裂大火口。
この大迫力の風景を横目に見ながら歩いていける。
剣ヶ峰までしばし快適な稜線歩き。
ナイフリッジと言えるほどの狭さでもないので、ここら辺は気楽に歩けました。
剣ヶ峰にある気象観測所。
日本で一番高い場所ということで、気象を調べるのには打ってつけなんでしょうかね。
10時35分、富士山・剣ヶ峰に到着。
ここが本当の最高峰(標高3776m)であり、日本で一番標高が高い地点。
高山病とかも特になく、ひとまず無事に登頂できました。
最高地点から見えたのが南アルプスの展望。手前には本栖湖も見えてます。
富士宮ルートって常に西側の展望も見えているのかと思いきや実はそうでもなく、山頂に立ってようやく南アルプスを端から端まで一望することができました。
富士山には標高で負けるも、あちらも3000m級の山々。まだまだ雪がたっぷりと残っています。
はるか奥には中央アルプスと思われる白い山脈も見えました。
海の展望も。やや霞んでいましたが、駿河湾が良く見えました。
剣ヶ峰から見下ろす火口の断崖絶壁。ビル何階建てに相当するんだってくらいの高さがあります。
よく見るとチラホラ人の姿も見えて、富士吉田側から歩いてくる強者もおりました。
人の姿と対比すると、火口がどれくらい大きく深いものなのかが改めてわかる。やっぱり、富士山はすごいわ……
こちらは先ほどまでいた富士宮ルートの山頂方面。
ご覧のように小屋の大部分はまだ雪に埋まっていて、当然ながらトイレも使用することはできません。
風が強いと逃げ場所も少ないので、富士登山は天気だけでなく風も要チェック。過去に富士山側火山の宝永山で痛い目見たので。。。
それにしても、この雪の大火口が本当に素晴らしい!
日本の象徴として君臨する富士山は、やはり他の山とは別格だと思います。
単調な登りが続くので登山としての面白さは他に比べて劣るかもしれないけど、日本最高峰に相応しい壮大なスケール感というのはちゃんと用意されています。
火口をじっくり見て見ると、氷瀑のように凍った滝を発見。
雪の時期にだけ現れる幻の滝もありました。
日本で一番高い場所なだけあって周囲遮るものが何もなく、携帯の電波も余裕で入ります。
そういえば富士山の麓には自衛隊の基地があるのですが、この日は何の訓練をやっていたのか、大砲をぶっ放すような爆音が何発も聞こえてきてました。(最初、カミナリかと思って、思わず空を見上げてしまったぞ)
剣ヶ峰から下山。
風がほとんどなくて暖かい陽気だったので、居座ろうと思えばいくらでも長居できる山頂でした。
次々と押し寄せてくる登山者たち。
富士宮ルートだけでこれだけ登ってくるんだから、吉田ルートもかなり人が入っていそう。今年のゴールデンウィーク前半は連日天気も良かったのでアルプスに集中するのかと思いきや、残雪を求めて富士山を選択する人も多いんですな。
ボードやスキーを担いで登ってくる人も結構いました。
あとドローン空撮している人もいて、たまたま下山後にその映像を見せてもらったんだけど、上空からのアングルはやはり新鮮で臨場感ありました。
下山開始。
もうすぐお昼時という時間になっても、まだまだ登山者が登ってきます。
雪の急斜面を下山。
下に人がいるので、登りよりも下りの方が神経使いました。
シリセードで降りる人も結構いる。
適度な斜面ならいいけど、この日の午後にシリセード中に骨折してヘリで救助された人がいたそうなので、滑って降りるのもほどほどに。
アイゼンを履いていたので、下山は逆に雪の残っているところを狙って下っていきました。
雪渓に気を取られると本ルートから意外と外れたりもするので、下りる方向は見失わないようにお気を付けください。
終盤は再び夏道を下山。
単調な道なので足早に下りれるけど、富士山特有の砂ぼこりで結構汚れたぜ……
13時30分、富士宮口五合目に下山完了。
往復8時間半ほどの行程でした。
昼過ぎと言うことで観光客がたくさん押し寄せて、展望デッキも賑わっておりました。
五合目でも標高2400mあるのに、照り付ける日差しが強烈で物凄い暑い……。夏だよ、夏。
下から見上げる富士山。あそこまで半日ほどで往復してきたのか、としみじみ。
思えば、自分の最初の登山だったのがこの富士山(もう10年くらい前)。登山を始めたての頃は富士山なんて1泊2日で登るもんだろ、とか思っていたけど、今では日帰りが当たり前になっちゃってますな。
下山後の温泉は御胎内温泉健康センターというところへ。日帰り入浴は700円。
初めて訪れた温泉でしたが、露天風呂がかなり広くてなかなか良かったです。キャンプ場も併設されていて、ゴールデンウィーク休暇の家族連れもたくさんいましたが、それほど混雑も感じずに入ることができました。
温泉から眺める富士山。見たところ山梨側(右側)には結構雪が残っているように見えましたが、冠雪した富士の姿を見れるのもあとわずか。しっかりと目に焼き付けておきましたとさ。
こうしてゴールデンウィークの日帰り残雪富士登山が完了。
今年は雪解けが早くてギリギリ滑り込みとなりましたが、日本最高峰の地で今シーズン最後の雪山を楽しむことができました。
雪に埋まった鳥居とか火口の氷瀑とか、夏とは一味違った景色に出会える春の富士登山も面白いもんです。山頂に立って目の前に広がる大火口も壮観な眺めでした。
残雪期はマイカー規制がかかる前なので、時間に縛られない利点もあって案外狙い目かもしれません。
日本最高峰の地に相応しい、壮大なスケールを体感できた残雪登山でした。
【日程】
2018年4月29日
【コースタイム】
5:10 富士宮口五合目
7:30 八合目・池田館
9:55 浅間大社奥宮
10:35 富士山剣ヶ峰
13:30 富士宮口五合目
コメント
みやっちさん
こんにちは
すごい。さすがGW。さすがフジヤマ。人がウジャウジャいますね。
積雪期富士山は、一時、はまりましたが
雪の上を音もなく吹っ飛んでくる落石を間近に見て以来、
怖くてダメです(/ω\)。
先にいた人が「らーーーーーーーく!!!」って、降りてきてまで
教えてくれなかったら当たってたかもでした…。
ところで、私は直近では、聖・赤石・荒川の周回?縦走?して
きましたよ~。
みやっちさんのきらい(?)な、畑薙大吊り橋→茶臼小屋のルートから。
私もあそこはきついと思っていたけど、椹島まで歩いてきてみれば
「あそこがいちばんラクだった」って感じます(^-^;。
satominさん、お久しぶりですね。
この時期に南アルプス南部の縦走とは羨ましいです。個人的には赤石~聖岳を繋げたいんですよね。稜線に上がるまでは大変ですが、時間が経つと登りに行きたくなるあたり、南アルプスはやっぱりそそられますな~
GWの富士山ですが、この日も「らーーーーーっく!」というのを何回か聞きましたし、言いました(笑)
人が多いので余計に怖かった気がします。気温が高めで凍結箇所がほとんどなかったのが幸いでした。
こんばんは。
GWでも富士山登る人結構いるんですね。
富士山って7,8月と思ってました。
やっぱり高い山だけあって、景色が素晴らしいし、怖いくらいの高度感ですね。
あの傾斜、しかも日帰り、辛いだろうなぁとも思いますが…(^^;)
また次の記事も楽しみにしています!
ゆかぽんさん、こんばんは。
GWの富士山、想像以上に人がいました。4年前の5月に吉田口から登った時は、これほどいなかったんですけどね。快晴無風という絶好のコンディションだったので、狙った人が多かったのかもしれません。
夏のシーズン前なので小屋などは一切営業していないですが、その分マイカー規制もないですし、残雪ならではの白い景色を堪能できるので、春の富士登山も良いものでした!