飯豊山 テント泊縦走登山 (飯豊山荘~石転び沢~北股岳~大日岳~飯豊本山~三国岳~弥平四朗) 【前編】

飯豊山 テント泊縦走登山 (飯豊山荘~石転び沢~北股岳~大日岳~飯豊本山~三国岳~弥平四朗) 【前編】

今年の夏山の1つのピーク。それが今回の飯豊山縦走。2泊3日で歩いてきました。

山形、新潟、福島の県境になっている飯豊連峰。東北アルプスとも言われているほどでかい山容で、とにかく山深くてアクセス難。日本屈指の豪雪山域でもあり、真夏でも雪がとけずに雪渓ルートがあるほど。

飯豊山の最大の魅力は、何といっても穏やかでスケールの大きい稜線!雪渓と緑のコントラストは抜群に綺麗で、高山植物もこれでもかというくらい豊富。妄想を膨らませていたら、いつの間にか天国の山となってた(笑)

稜線フェチとしてはずっと行きたいとは思ってたんだけど、これまで行った山とは比べ物にならないほどアクセスが悪くて、行くに行けず、なかなか実行に移せなかった山。

それが同志も見つかってようやく行けた……。これまで以上に準備も調査も大変だったけどさ。

でも、そこはやっぱり天国だったよ!!見るもの、出会う人、全てが最高の旅となりました。

 

【前編】 飯豊山難ルートの石転び沢雪渓から天国の稜線へ―――

 


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久しぶりに長い旅となったので、前編と後編2回に分けての記事。まずは前編、1日目の石転び沢雪渓。

 

……と、その前に。出発までのあれこれを。

 

まず、今回は過去最高ってくらい準備が大変だった。。。天気にも翻弄された。。

もともと7/19(土)、7/20(日)、7/21(月)の三連休+予備日として7/22(火)を取ってたんだけど、週間天気を見ていたら土日の天気がどうも怪しい。予報が悪くても行ってみなきゃわからないって考えもあるけど、飯豊山の場合はそうもいかず……、大雨だとすぐに登山道までの道が封鎖されてしまう。。。つまり登ることさえできない。

例年、台風が来ると土砂流入で道が長期封鎖されてるし、実際、この前週も大雨で封鎖されたし。。。登山口に行くまでが1つの核心部なのよ、この山(笑)

幸い、封鎖は13日あたりにいったん解除されたんだけど、天気悪いしどうすっかなぁ~と、メンバーと緊急会議したのが水曜日。すでにかなり前から準備してたし、モチベーションがすでに飯豊山しか行く気になれなかったので、道路が封鎖されない限りは行ってしまおうと。

 

そう決めたはずだったんだけど…、、、

 

迎えた出発の7/18(金)。土日の天気がやっぱり悪い。月曜も微妙。。(↑普段参考にしている天気予報はこれじゃないけど…)

このまま突っ込んでもいいことなさそうだったので、再度相談して昼間に慌てて夜行バスとデマンドバスをキャンセル。急いで出発を翌日に変更。

 

こんな感じで天気に翻弄されながら、予定を1日ずらして日月火でアタック。

他にも登山口に行くまでと帰るまでに色々と調べなきゃいけないことが多いんで、要所要所で書いていきます。

車があれば楽だけど、車の回収のために周回だけで終わるのは勿体ない。かといって公共交通だけで行こうとするとリスク高め。そんな山でした。

 

前置き長くなったけど、こうして旅はスタート。

 

~~ 7/20~7/22 飯豊連峰テント泊縦走登山 ~~

【1日目】

7/20:飯豊山荘~石転び沢雪渓~北股岳~梅花皮小屋(テント泊)

 

7/19(土)の夜、東京駅でメンバーと合流。

米沢行きのドリーム号という高速バスに乗車。3連休でバスの予約を直前で切り替えられたのは奇跡的。手数料もたったの100円だったし。

登山ザック持っているのはもちろん自分たちだけ。しかも、もれなくピッケル付き♪ 周囲の視線が少し痛いけど気にしない。

 

登山でバスを使うことはこれまでもかなりあったけど、東京駅から乗ったのは初めてだった。しかも3列シートってのも初。これがホントに快適でさ!リクライニングも十分すぎるほど倒せた。3列シート、病みつきになりそう!

23時に東京を出発。

しばらく都会の喧騒とはお別れ~~

 

途中2ヶ所のトイレ休憩も全く気づかず爆睡。目が覚めたら米沢駅でした。時刻は4:30、あっという間に山形県入り。

普段の夜行バスなら降りてすぐ登山口っていうパターンだけど、今回はここからが長い。

 

まず、始発のJR米坂線が5:57発。1時間ちょっと空き時間があるので、少し歩いたところのセブンで買い出し&朝食。米沢牛食べたいなぁ~なんて言ってたけど、下山ははるか南の福島側に下りるから無理なんだ。。

 

5:57、始発の米坂線に乗車。この4番ホームが少し見つけづらいのでご注意を!1番ホームの延長にあります。危うく乗り遅れるところだったよ。。

Suicaはもちろん使えません!(キリッ)

 

普通ならこの電車で小国駅まで行けばいいんだけど、そうは問屋が卸さず、、、

 

途中の今泉駅で代行バスに乗り換え。これは先日の雨で電車の一部区間が運休だから。今泉駅で降りないと代行バスに乗れずに旅が詰むのでご注意くだされ。

この飯豊山はとにかく雨に弱い。台風なんて来たらもちろん登山口までの道は封鎖されるし、短時間の大雨でもどこかしらの道がふさがると思っていた方がいいです。

前日まで登山口までの道路状況チェックがとにかく大変だった。。。大雨降らないでくれよと。。

 

7:30小国駅に到着。ここから飯豊山荘行きのバスが出るのが8:05。30分くらい時間があるので周辺散策。もう来ることがない駅かもしれないからね。

 

と言っても、駅前には特に何もなし。でも、通学中?(日曜だけど…)の小学生たちがみんな元気にあいさつしてくれた。小国のちびっ子、フレンドリー!

いい散歩になったよ。

 

8:05、妙に可愛いバスが到着。一瞬見たとき、幼稚園のスクールバスかと思ったぜ。

でも、行先にはようやくスタート地点の飯豊山荘の文字がっ!登山口まであと少し…

 

バスの乗客は自分たち3人だけ。穏やかな田園風景を超えて、徐々に山に入っていく。

 

そして、9時。ようやく飯豊山荘に到着。

列車で代行バスが出てたくらいで、道も封鎖されずに無事に来れました。とりあえず1つ目の核心部はクリア(笑)

東京駅を出発したのが23時だから、時間にしたら10時間の長旅。時間的には凄い長く感じるけど、実際は乗り継ぎもそんなに待たされた感じはしなくて、全然苦痛ではなかったよ。むしろ、電車とバスにのんびり乗って旅してる感覚が楽しかった!

 

ブラリ途中下車の旅はここまで。登山届を提出して、9時過ぎに登山開始。流石にこの時間に登山を開始している人は他にいなかったな。

駐車場は30台ほど停められるスペースがあって、7割ほど埋まってた感じです。

 

飯豊山荘から梅花皮小屋へ至るルートが2つあって、通常の「梶川尾根」か破線ルートの「石転び沢雪渓」。そのルートの分岐がこのゲートを超えたとこ。

正直、天候が怪しいしゲートを超える時点でもまだどうするか迷ってた。安全だけど時間がかかる梶川尾根か、少々危険だけど短時間で登る石転び沢か……。

 

結論は梶川尾根入口で決まった!いきなり悪路の急登から始まる。これ、登りたくない……

 

ってことで、石転び沢雪渓へ(笑)

まぁ、こっちの方が面白そうだし、装備も雪渓に合わせてきたからね。挑戦してみようってことになった。

 

そういうわけで、林道を進んで石転び沢方面へ。森林セラピーロードなる道をしばらく歩く。

ちなみに今回のメンバーは3月の唐松岳メンバー、たくみーとあつし。2人とも飯豊山にかなり行きたがってたので、計画についてはずいぶん前から決まってた。飯豊山登りたいって仲間、初めて聞いたよw 同志見つかってホント良かった。

 

30分程度はほとんど平坦な道を歩いていく。この沢が上に行くにつれて雪渓に。

 

このダムの脇が石転び沢ルートのスタート地点。この先、道は明瞭だけど狭いところが多いのでご注意くだされ。

 

石転び沢出合までは約3km。沢の脇の樹林帯を登りつつ、たまに沢を渡ったり。道も狭くて急登もあるので、ここがかなり疲れるポイントだったなぁ、、、。3kmがやけに遠く感じた。

 

歩き始めて2時間くらいでようやく見えてきた雪渓の残骸。残り方がダイナミックで、いつ崩れ落ちてもおかしくない感じでした。

 

登り始めて2時間半ほど経過した頃にようやく見えてきた、石転び沢雪渓。標高は1500mにも満たないけど、流石は豪雪地帯!7月でも雪がたっぷり残ってる。

そして遠目によく見てみると、なんと先行隊がおった!!!核心部を前にこれは勇気づけられる。

 

12時ちょうど、石転び沢出合に到着。ここからアイゼン&ピッケル装着。

ちょうど下山してきた方がいらっしゃったので、話を聞いてみたら、なんと先行隊はテレビクルーだそうで!通りで下から見ていても進みが遅いわけだ。。

 

石転び沢アタック開始。ここから先は緊張が続くとこ。

足元には石というより岩が散乱してる。

 

序盤はまぁまぁ緩やかな登り。

 

少し歩いてテレビクルー後方隊に追いついた。カメラの方向的に

「ご覧ください、この崩れた岩壁!こういうところから落石は発生するんですよっ!!!」

的な画を撮っていると思われる。

 

テレビクルー先行隊。一番前にいるのがガイドさん。その後ろに女優さんがいたらしいんだけど、顔見えなかったから誰かわからなかった。

 

テレビクルーとしばらく並走しつつ、終盤付近で撮影が始まったので追い抜く。その時、ガイドさんからアドバイスを頂く。

この先は落石多発地帯だからノンストップで登ること、目の前の中の島(草付き)にできる限り早く取りつくこと、と。後半から傾斜がきつくなるけど、ここから先は止まれない。

 

振り返ってみるとなかなかの高度感。そして、登っているときにはあんまり気づかなかったけど、思った以上の傾斜。ピッケルないと結構怖いよ、ここ。

途中雨にも降られたけど、天気が回復傾向だったのは救い。

 

北股沢出合。間違って右に進まないように要注意。こういう分岐がいくつかあって、落石だけじゃなく道迷いも危険ポイント。

今回は登るにつれてガスが引いて行ってくれたので良かったけど、ここを真っ白な中進むとかなり迷いそう。

 

石転び沢雪渓ルート上、最大の落石ポイントへ。石と岩の数が半端なくて怖かった。見た目以上に急で疲れるけど、止まりたくても止まれない。。

早く目の前の島に取り付きたいぜ。。

 

幸い周辺で落石もなく、静かな通過。この傾斜だと、岩がどこまで落ちるかわかったもんじゃない……。確かにここは破線ルートだわ。

 

太ももパンパンになったけど、どうにか無事に島に取り付く。

テント泊装備でこの雪渓はえぐかったわ。

 

草付き。ここから少しだけ島を登って、最後の核心部へ。このあたりまで来ると、稜線上に梅花皮小屋も見えてきて、心が少し軽くなる。

 

草付きからのトラバース。ここが最後の核心部。

…と言っても、この時期はもうトラバース距離が7mくらいしかなかったので、かなり拍子抜け。。。「えっ?ここ??」っていうくらいなんでもない箇所でした。

 

ただ、ここが有名な傾斜45℃のトラバース。例年、滑落も発生しているそうなんで油断禁物。

あと、間違って直登する人もいるそうなんで、トレースないときにはお気をつけて。左に巻いていく感じです。

 

15時半過ぎ、予定より早めに梅花皮小屋に到着。雪渓自体は3時間半ほどで通過できました。テント泊装備でなければもっと早く到着できそう。

小屋の主人がテレビクルーを心配そうに待ってるのが印象的だった。実際、僕たちの少し後ろを歩いていたはずなのに、クルーご一行が到着するのはかなり遅かったです。天気が回復してきたし、撮り直しでもしてたのかな。

 

小屋のすぐ隣には北股岳。夕方晴れたら登る予定ってことにして、とりあえずテント設営。

ちなみにこの山を含めて、この稜線が県境。山の右側が山形県、左が新潟県。

 

テント料は500円。飯豊山の場合、地図上にテント可能マークがなくても大抵のところでは幕営OK。普通に張り紙で「テント○○円」って書いてあるし。

ただ、どの小屋もテント場はそんなに広くはないです。幸い、この日のテント利用は自分たちだけだったので、張る場所には困らなかったけど、MAX10張りも張れないんじゃないかな。それくらいの広さ。

 

ずっと雪の上を歩き続けてクタクタだったけど、ここからは一転、花の世界~!小屋の前がすでにお花畑。

 

ニッコウキスゲ

 

イブキトラノオ

 

ヨツバシオガマ

 

雨上がりで瑞々しい感じが、またいいね!しばらくお花の観賞を楽しみつつ、夕食。

各小屋の水場の状況は、まだ利用できない場合もあるので事前に調べておいた方がいいです。ここ梅花皮小屋の水場は心配することがないくらい豊富でした。

 

そして、夕食作ってたら、いつの間にか青空見えてきてんぞっ!!!

 

急いで外へ。

 

梅花皮岳。明日はこの山を越えて行く。

 

西側(新潟側)の風景。一番高いピークが飯豊連峰の最高峰、大日岳(標高2128m)。稜線が何とも緩やかで気持ちよさそうじゃないか~!

今回のルートでかなりの数のピークを踏むけど、あの山だけが完全に新潟県に属している山。他は山形、新潟、福島、いずれかの県境。

 

東側。登ってきた石転び沢の雪渓を一望。こっちは山形県。

上から見ると真っ直ぐ登ってくればいいので、あんまり迷うようなポイントはなさそうだけど、実際歩くと細かい枝分かれで道迷いの危険があるらしい。落石と合わせてお気をつけてくだされ!

 

ちょうど日没間近だったので、北股岳へ登ることに。小屋から山頂まではずっとお花畑の天国ロード!

 

クルマユリ

 

イワギキョウ

 

白のヨツバシオガマ

 

シナノキンバイ

 

飯豊山の真骨頂をいきなり見せられた感じ。1種類の花の群生ではなく、色々な花が咲き乱れてました。

 

山頂に着くころには、再び霧がかかり始めたけど、これが何だか幻想的でさ…

光の中へ導かれる感じ。

 

こんな感じでね。

 

天に召されながらの山頂到着。

 

標高2025mの北股岳。山頂に鳥居が建てられ、バックの夕日と合わせて感動的な風景。雪渓を無事に登り終えたご褒美か!

 

山頂にも花が咲く。露の水滴と花の色が、夕日でより鮮やかに。

 

夕焼けに染まる雲。もはや思い描いてた天国の風景、そのもの。

 

う~ん、、これだけ見ると山の上にいるようには見えないけどね。鳥居がいい雰囲気造り出してました。

 

次第に雲海。標高2000m程度ですでに雲の上。

 

お花畑も山頂からの眺めも堪能して下山。すぐ下では霧がうごめいていて、山の稜線にまとわりついてた。すぐ下にあるはずの小屋も見えない……

 

でも、夜になればこれもすぐに取れてくれて……

 

夜は満点の星空~!天の川もバッチリ。

翌日に期待が持てそうな星空でした。

 

こうして1日目が終了。今回のルートの核心部と言える登山口までの交通手段と石転び沢雪渓の通過を無事に終えられて、だいぶ肩の荷が下りた初日。

明日がいよいよ飯豊山の魅力を一番堪能できるコース!楽しみすぎてなかなか寝付けなかったけど(あと夜行バスで寝すぎたせいもある……)、21時過ぎには眠れて、翌日に備える。

 

2日目へ続く……

 

 

 

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