長野県の飯盛山へ電車を使って登ってきました。
歩いたコースは野辺山駅から清里駅へと抜ける縦走ルート。信州では稀の、駅から登って駅へ下りれる公共交通利用でもアプローチしやすい山です。
そこまで標高は高くない山ですが、前日に雪が降ったので登山道のほとんどは雪道でした。
ここの魅力は何といっても八ヶ岳の眺望!屈指の展望台となっています。
『飯盛山』。文字通り、飯を盛ったような綺麗な三角形からその名が付けられています。
同名の山は日本各地にあるのですが、今回登るのは長野県南佐久にある飯盛山。標高は1643m、八ヶ岳の展望がとにかく素晴らしい山です。
ここは8年前に一度登っていて今回が2回目。前回は車で訪れたのですが、この山は公共交通でもアクセスしやすいことで有名で、駅から登って駅へと下れるコース取りができます。電車のみ、バスさえ不要なアクセスの良さ。
下山時刻も特に縛られず、のんびりと日帰りハイキングを楽しめる山ですぜ。
2021年3月14日 飯盛山 日帰り雪山登山
飯盛山に登る場合、基点となる駅は野辺山駅と清里駅。どちらをスタートとゴールに設定しても問題ないですが、今回は野辺山駅スタートにしました。
どちらもJR小海線の駅で、都内を朝発で向かうと10時半過ぎに現地に到着できます。登山としてはやや遅めだけど、コースタイムが短いのでこれでも特に問題なし。
そんなわけで都内を朝一で出発して、10時41分に野辺山駅に到着。
小海線って、初めて乗りました。この沿線は基本的に切符を買わないといけませんが、うまい具合に野辺山駅と清里駅だけはsuica使えます。
標識にも書かれていますが、野辺山駅はJRの標高最高駅。標高1345mという、丹沢で言えば大山は軽く超えている駅です。
野辺山駅の駅舎。乗客の中で登山目的っぽい人は、周りを見る限りでは自分だけでした。
飯盛山は2回目ですが、前回はマイカー利用で清里駅から往復したので、この野辺山駅に来たのは今回が初めて。
駅前は広いロータリーになってますが、タクシーもおらず、営業しているような店もなくて、かなり物寂しい感じでした。
野辺山駅から飯盛山までは、駅前の道路を左手にひたすら真っすぐ歩いて行きます。
途中、踏切も通過しますが、線路沿いの道を行くとJR鉄道最高地点の標識があるので興味があれば立ち寄ってみてください。
登山口までは1時間近く歩くことになりますが、右手には間近に八ヶ岳を望むことができます。
この日はあいにく八ヶ岳一帯にだけ雲がかかり、その全貌が見れたのは昼過ぎになってからでした。電車利用による遅めのスタートは、この日に限ってはちょうど良かったのかもしれない。
国立天文台、文化情報交流館という施設を過ぎたあたりの分岐を右に曲がって、後はひたすら登り坂。
道路沿いに歩いて行くだけとはいえ、登山口までそこそこ登らされます。途中、コンビニのような買い出し可能な店は全くないのでご注意を。
坂を登り切ったところにあるのがこちらの広い駐車場。
登山者のものと思われる車が停まっていました。
ここが飯盛山登山口の1つ、野辺山高原・平沢峠。
駅から徒歩50分ほどでした。時刻はすでに12時になろうかという時間ですが、まだ八ヶ岳は雲の中。
辺りは青空なのに、あの雲だけが妙にしつこかったです。(ヤ〇テンめ、外しおったな…笑)
ちなみにこの地点は分水嶺になっているようです。
奥に積もった雪も、左側は日本海へ、右側は太平洋へと流れるんですかね。
ここからようやく登山開始。こういった標識があるので、見落とすことがないとは思いますがご承知おきください。
マイカー利用の場合は、この平沢峠登山口がおそらく最短で登れるコースかと思います。
登山道に入るといきなり雪道。
普段なら喜ぶところなんだけど、3月の暖かい日差しでもう溶けかけのぐちょぐちょ……。登山靴の床下浸水が半端なかったです。(ちなみに、今日は冬靴ではない)
長靴で登りたいほどの水分たっぷりの雪道でした。
それでも登山道はよく整備されていて道も明瞭。展望も割と良くて、ここら辺は厳冬期に来れば綺麗な樹氷も見れそうな感じでした。
左手には歩いてきた野辺山駅方面の平野が広がっています。
左奥に小さく見える雪山は浅間山。
大して急登もないまま、平沢山と飯盛山の分岐に到着。
平沢山は展望がものすごくいいのでぜひとも登ってほしい山ですが、ここではいったん飯盛山方面のトラバース路へ進みました。
トラバース路に入って見えてきたのが南アルプス。
スタートの野辺山駅は長野県ですが、下山する清里駅は山梨県。位置的には南アルプスも凄く近い場所にあります。
そして行く手には目指す飯盛山も見えてきた。
左の雪をかぶった正三角形。その特徴的な形から、見ればすぐにわかります。
正面奥には薄っすらと富士山の姿も。
展望が一気に開けた瞬間でしたが、このトラバース路は完全に失敗だった。。
登山道がもう水浸し。雪が積もっていてくれたらよかったのですが、登山者がそれなりに入ったようで踏み跡は泥だらけでした。
道幅も結構狭い。
トラバース路に後悔してから平沢山へ登り返すことに。
山頂までは5分もかからないですが、この上には素晴らしい展望が待っています。
こちらが平沢山山頂。
かなり開けた山頂で広々としているので、休憩するには打ってつけのピーク!
中央にはちゃんと標識あります。
標高1653m、実は飯盛山よりもこちらの方が標高が高いです。
ここは前回のブログ記事を見る限りでは立ち寄っていたようですが、全然覚えてませんでした。
なので初見のような感動!
目の前には雪をかぶった八ヶ岳を一望。ようやくすっきりと雲が取れてその姿を現してくれました。
降雪直後でこちらは汚泥まみれだったけど、こうして雪化粧の八ヶ岳を見れたのであれば報われる。
南アルプスももちろん望めます。
甲斐駒ヶ岳や北岳が良く見えてる。昨年は南アルプス全域で山小屋が休業となってしまったけど、2021年は北部は営業する方針だそうで。
北アルプスに比べると少し玄人向けな感じがする南アルプス。個人的には好きな山域です。
登ってきた方面を見ると、平野の雪景色の彼方に浅間山。
ど真ん中には、かなりの存在感を放っている円盤の電波望遠鏡がありました。宇宙と交信しているのか。
こちらは飯盛山方面の展望。
やっぱりどこから見ても良くわかる綺麗な三角形。雪をかぶっているとなおさら目立つ。
次はあちらへ行きます。
東側には金峰山や瑞牆山などの奥秩父の山域。
遠目で見ても稜線が真っ白だったので、この日は綺麗な霧氷が見れたのではなかろうか。
雪の金峰山もかなり楽しかったので、お勧めしたいところです。
周囲360℃見渡せるけど、やっぱりここに来たからには八ヶ岳が一番。
本当に凛々しくて壮観な眺めでした。
平沢山から下りて飯盛山へ。
あの三角形の頂点を目指します。
振り返って見る平沢山と八ヶ岳の主峰・赤岳。
こんな感じで向かい合うように位置している絶好の展望スポット・平沢山。位置的には飯盛山よりも八ヶ岳に近いので、平沢山はぜひスルーせずに合わせて登ってほしい山です。
飯盛山の山頂直下。
木道階段の影がトップまでの道しるべ。Sカーブしているあたりに道を敷いた人のセンスを感じます。
山頂に誰かいるかと思ったけど、標識でしたよ、あれは。
12時45分、飯盛山山頂に到着。
8年ぶりの登頂。懐かしいというにはあまりにも記憶が薄れているけど、確かにこの立派な標識はありました。
山頂から見る八ヶ岳。これだけ間近で見れる場所というのも、早々ないと思います。
右側に見えている小高い丘が平沢山。御覧のように向こうの方が八ヶ岳に近いので、八ヶ岳を正面で見据えたいならぜひあちらもどうぞ。
右側の丘は飯盛山の隣にある展望台です。
あそこも登っておいて損はないところ。この飯盛山が見事な三角形であることを知れる絶好の場所なので。
後で行きます。
飯盛山から眺める富士山。
綺麗な円錐形で行ったら、まさに大先輩のお方。今年は1月あたりは雪の少なさも心配された富士山でしたが、それ以降雪も降ってくれたおかげで、山頂付近はしっかりと白くなってました。
そしてだいぶ遅くなってしまったけど、これが山から見る2021年の初富士となりました。
飯盛山の山頂標識と八ヶ岳
南アルプス
山頂は風が強かったので、少し下の広場まで下りてきて休憩。
すでに昼過ぎなので、山頂付近には誰もおらず静かなもんでしたよ。
下山する前に隣の展望台へ寄ってみることに。
この鹿よけの柵はよく覚えてました。「なんでこの区画だけ?」という気もしますが、雪解け後は高山植物が色々咲くようで。
調べてみたらニッコウキスゲとかも咲くそうなので、ここは初夏の時期に訪れても楽しいかもしれません。
冬は一転してスノーシューハイクに打ってつけのフィールド。
もっと雪が積もればさらに面白そう。
雪の遊歩道を歩いて見晴台に到着。
ここからの眺めも文句なしで、何よりも見るべきは飯盛山。
先ほどまでいたピーク。
こうして俯瞰してみると見事なまでの三角形。「飯を盛ったような山=飯盛山」、そう命名する気持ちも良くわかる山容です。
見晴台から眺める八ヶ岳。
右手前の丘が平沢山。
見晴台の見学も終えて下山。
帰りは清里駅へ下りるため、平沢登山口という方へ向かいます。
こちらの道がまた凄く歩きやすくて、かなり快適に下れました。
急斜面は全くなし、なおかつ泥濘もなかったので装備も汚れずスイスイ歩けましたよ。
途中にあった東屋。
こういった休憩ポイントも、8年も経てば全く覚えていない。
東屋からは再び標識に従って登山道へ。
登山道の大半は雪道でしたが、気温が高かったので凍結箇所もなく、アイゼンを履くようなことはなかったです。
山頂から30分ほどで登山道近くにあるロッジまで下りてきました。
舗装路まで下りてきたら、八ヶ岳へ向かうように清里駅方面へ。
ここから駅まで40分ほどは歩くので、まぁまぁ距離あります。
街中に下りてきましたが、高原地帯ということでまだ標高は1000m超。今回のルートであれば、スタートからゴールまで標高1000m以下になることはないです。
少しわかりづらいですが、登山口から10分くらいのところに登山者用の駐車場が用意されてました。
ナビにどうセットしたらいいのかはわかりません……。8年前の自分たちも駐車場の位置がわかりづらそうだったので、結局清里駅近くに停めて駅からスタートにしました。
流石はJRで一番標高が高いエリア。
駅までも登らされます。
こうして清里駅に帰還。記憶していたよりも舗装路歩きが長かったです。
駅舎が特徴的な形してますが、これも全然覚えてなかった。
覚えていたのは、この駅前にあったSL。
そしてこの駅前のシャッター街。
一昔前には色々な店が軒を連ねていたであろう清里駅も、利用者が減っているのか物寂しい雰囲気は相変わらずでした。
ただ、野辺山駅と違ってコンビニが1軒あるので、これだけは救い。
清里駅スタートにするのであれば、ここで買い出しも可能です。
清里駅から眺める飯盛山。中央のこんもりした真っ白な山がそれです。
雪をかぶっていると遠目からでもわかりやすい。駅から登れる山として本でも紹介されている飯盛山。私もようやくそれをなぞるように公共交通で歩き通せました。
ちなみに、帰りの温泉は駅から徒歩20分くらいのところに「天女の湯」があったので、そこに行こうかと思ったのですが、ファミマで飯食ったりしてたら電車が来る時間になったのでそのまま帰ることにしました。
こうして、今回の飯盛山も無事に終了。
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と行きたかったのですが、実はここからが大変でした。
この日、JR中央線の武蔵小金井駅で信号機故障があり、それが中央本線にまで波及して、7時間以上電車の中に閉じ込められるという事態に。。。
15時過ぎに清里駅を発ったのですが、17時ごろに塩山駅で足止め。停まったのが塩山って……。
大菩薩嶺とか甲武信ヶ岳行きのバスが出ているので何度か利用したことがありますが、周りにコンビニの類が一切ない駅。
バスの振替輸送なんてないし、身動きが取れず、食料の買い出しもできず……。持ってきた小説1冊、簡単に読み終わっちまったよ。
JRから緊急災害用の非常食が配られるという事態になって、「あっ、これ帰れないやつだ……」と悟りました。
塩山駅に停まっていたのは確か17時から24時くらいまでだったかな。後々知りましたが、自分の乗ってるのが東京方面へ行けた最後の列車らしくて、それより後の電車は甲府止まりになったんだとか。
結局、立川駅に着いたのが深夜2時ごろ。そこから最終の東京行きが臨時で出るっていうので、それに飛び乗ってあとはタクシー。早朝4時近くに何とか帰宅できました。
登山行程よりもはるかに長い、12時間以上に及ぶ帰路の旅でしたとさ。
飯盛山、今後登ることがあれば、八ヶ岳の展望とセットでこの帰宅難民体験を思い出すであろう1日でした。
山自体は簡単に登れて展望抜群なので、ぜひ機会があれば登ってみてください。
おしまい。
【日程】
2021年3月14日
【コースタイム】
11:00 野辺山駅
11:50 平沢峠登山口
12:25 平沢山
12:45 飯盛山
14:40 清里駅
コメント
綺麗な写真ですね。癒されました。桜も散り次は新緑の季節ですね。桜を見ると日本人で良かったといつも思います。
無農薬野菜を使った料理のレシピを公開して売り上げの一部を震災復興のために寄付しています。
微力ですが頑張ってます。
お互いに頑張りましょう。
福島県下郷陽平町祭実行委員会
初めまして。僕も18きっぷで京都から帰宅途中に武蔵小金井のそれに巻き込まれ塩山駅で最初の足止めを食らいました。一本前の電車かもしれませんですね。因みに八王子駅着いたのが0:50頃で急遽駅前の東横INNに泊まりました。1泊2日が2泊3日になってしまいました
はこだてライナーさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
同じく巻き込まれましたか。最初はすぐに復旧するもんだと思っていましたが全然動かず、まさか早朝帰宅になるとは思っても見ませんでした。私の場合はギリギリ帰れただけマシですが、登山よりもはるかに疲れた電車帰宅となりました(汗