鳥海山(象潟コース) 夜行バスで行く日帰り登山 ~~花と海と夕日の眺望~~

鳥海山(象潟コース) 夜行バスで行く日帰り登山 ~~花と海と夕日の眺望~~

念願だった東北の名峰、鳥海山へ日帰りで登ってきました。

富士山に山容が似ていることから「出羽富士」とも呼ばれている、東北随一の秀麗な景観を備える標高2236mの活火山。限りなく海に近いところに位置しているため、山頂からは日本海を間近に見渡すことができます。

白山同様、鳥海山もずいぶん前から登りたいと思っていた山で、ようやく悲願叶った山旅。序盤の湿地帯から鳥海湖の雄大な眺め、穏やかな稜線にお花畑、そして火山特有の迫力ある外輪と岩の山頂。色々な山の美味しいところを全て持ち合わせたような景観で、日帰りで登るには勿体ないとさえ思えた山でした。

麓の象潟海岸は夕日の名所でもあり、旅の終わりに見た夕日も印象的でした。短い時間ながら山に海に食に温泉と色々楽しめた1日。期待通りの魅力あふれた山だったので、またいつか季節を変えて登りに行きたいと思います。

 

山と海が広がる東北の名峰、鳥海山―――

 


にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ

 

いつかの記事で書いた気がするけど、何年も前から行きたくて仕方がなかったのに毎年天気に泣かされて行けなかった山。

それが白山鳥海山

白山については7月の最終週に待ちに待った晴れが巡ってきたので、前々回の記事でも書いた通り無事に登頂。これ以上ないくらいのベストシーズンに花と稜線の旅を満喫できました。

 

残るのが鳥海山。本当なら鳥海山も7月中に登りたいとは思っていたんだけど、7月ってどこの山でも高山植物の最盛期を迎えるから、とにかく行きたい山が多すぎて、全部回ろうとすると休みが到底足らない。

特に今年は7月の最初に快晴の中で秋田駒ヶ岳早池峰山の花の旅を十分満喫してしまったので、7月中の東北遠征はもういいやってなって、鳥海山は8月以降に持ち越し。さらに梅雨明け早々に白山の壮大な景色に巡り合ってしまったもんだから、この2回の旅だけで夏山はだいぶ満足してしまった。

なので、去年までに比べるとそこまで鳥海山に執着はしていなかったんだけど、いい流れってのは続くもんで白山登山の翌週、8月最初の週にチャンスが巡ってきました。

 

~~ 2015年8月5日 鳥海山日帰り登山(鉾立から象潟口コース) ~~

今回も高速夜行バスを利用。

抑えるバスは東京―本庄間で運行されている「ドリーム鳥海号」。鳥海と名がついているけど鳥海山まで直通というわけではなく、途中の象潟駅で下車して、そこからさらにバスに乗り換える必要があります。

 

このドリーム鳥海号は週末はあっという間に埋まってしまうし、夏休み期間に入ると帰省客も増えるので平日もすぐ埋まる。

白山・荒島岳の旅が終わって気持ちが高揚している中、「この勢いで来週鳥海山に行っちゃうか!」と軽いノリですぐにバスの予約を目指したけど、その時点で空いていたのが8月4日の便だけでした。あとはお盆過ぎまで満席だったので、仕方なく平日に1日夏休みをもらって、今年はこの日に賭けた。ダメならまた来年ってことにして。

 

そんな軽い気持ちで迎えた前夜。ニコニコ顔で東京駅に降り立つ( ̄▽ ̄)

梅雨明け10日がギリギリ間に合ったようで、何とか晴れ予報が出てくれましたよ。毎年延期慣れしていた鳥海山だから、うれしい気持ちはありつつも、いざ決行ってなるとそれはそれで焦る。こんな突発的な感じで行っていいものなのかと……

写真を見てもらうとわかる通り、ドリーム鳥海号は登山バスではないので登山客なんてほとんどいないです。見たところ自分以外でザックを持っていたのは3,4人でした。

 

秋田駒ヶ岳、白山に続いて3回連続の3列シートバス。別に割増料金出しているわけじゃなくて、ドリーム鳥海号はこの仕様。こんな感じでカーテンもあるので、バス慣れしてない人でも寝やすい空間になっています。

3列シートの小ネタとしては、毎日アルペン号は一番後ろの席が若干空間広くてアタリなんて言うけど、3列シートは逆にハズレ。そこだけ4列になっているので他より若干窮屈な感じで、リクライニングも最大限まで倒せない。あと、ドリーム鳥海号の座席にコンセントはついてないのでご注意を。秋田駒ヶ岳で乗ったレイク&ポート号には完備されていたので、てっきりついているもんだと思ったのが失敗。

出発前に携帯使いすぎて、残バッテリー30%で旅スタート……

 

例によって途中一度も目を覚ますことなく、あっという間に秋田県にかほ市入り。

早朝5時過ぎ、バスが止まったと思ったら象潟駅に着いてました。(「きさかた」って読みます)

ここは海沿いの駅。日本海もすぐ近く。

前回の勝原駅ほどではないけど、ここの駅前も特に何もなくて、良くこんな駅に高速バスが止まるな~とさえ思った。

ここから登山口まで行くバスは6時20分発なので1時間近く時間つぶす必要があります。コンビニは徒歩15分ほどの所にローソンとセブンイレブンがありました。

 

象潟は鳥海山と俳句のまちだそうです。俳句というのは松尾芭蕉の「象潟や 雨に西施が ねぶの花」という奥の細道の一句。「西施」というのはとある美女のことで、下山後にご対面することになる。

 

ちょうど朝日が出る時刻。象潟は日本有数の夕日の名所でもあり、それを見るのも今回の旅の目的の1つ。

だからこそ、今回は日帰り登山とはいっても、夜行バスで来て夜行バスで帰るという0泊2日の行程。

鳥海山に憧れを持ったのが3年前。3年前に計画を立てたときは寝台列車「あけぼの」で現地入りする手もあったんだけど、この列車は去年廃止になったので、現在公共交通で早朝入りするなら夜行バスしかない。機を逃すと、こういうことにもなるんだな。。

 

駅前に周辺地図があったので載せておきます。こんな感じで鳥海山と日本海に挟まれた、山と海のまち。

海岸近くにキャンプ場もあるので、これを利用する手も考えたんだけど、今回は都合で1日しか休みが取れなかったので行き帰り夜行バス利用のやや強行。それでも現地にほぼ丸一日滞在できるので、それなりに楽しめると踏んでる。

 

ここから「鳥海ブルーライナー」という登山バスに乗り換える。このバスは事前予約必須なのでご注意ください。見ての通りバスと言っても大型タクシーみたいなもんで、予約人数によって台数を決めてるんだろうね。時間になるとどこからともなく登山客が集まってきて、この日の乗客はちょうど1台定員の10人でした。

この登山バスも3年前と劇的に変わった。当時は片道料金1850円だったのに、今は3000円。。。往復6000円のバス代は流石に痛い。

この出費を避けるなら、南側の登山口の湯ノ台口コースを利用する手が一応ある。酒田駅からバスを乗り継いて登山口まで行けるけど、これだと11時近くにスタートになるので日帰り登山は無理。逆に山小屋泊って割り切るならありかもしれないです。

 

朝7時に象潟コースの登山口、鉾立(ほこたて)に到着。

鳥海山は四方に登山ルートがあるけど、一番登られているのがこの鉾立からの象潟コース。駐車場も広くて、山荘やビジターセンターもあります。

地図上には水場マークがあるけど、ざっと探してみたところ水場は見つけられなかった。すでに3L持っていたので特に問題はなかったけど、水はあらかじめ用意しておいた方がいいかもしれないです。

 

登山ポストは登山口の脇にあります。

真上は青空なんだけど、山頂方面はまだガスに覆われた時間帯。朝から晴れ予報だったのに若干不安な中での登山スタート…。

 

この象潟口ルートは親切すぎるほどよく整備されています。樹林帯と言えるような場所もほとんどなくて、最初から最後までほぼ展望の良い道が続く。

 

スタート早々にあったTDK小屋(東雲荘)。TDKはDVD-Rとか作ってるあの電気機器会社のことらしい。会社の保養所になっているんだとか。

一般の人も泊まれるようだけど、駐車場からあまりに近いので登山客で泊まる人はそんなにいない気がする。

 

その裏手にあったのが展望台。ここから晴れていれば鳥海山の秀麗美を目の前に見ることができるって聞いてたんだけど……

 

何か若干黒い雲も出始めて、「あれ、、?やっちまったかな…」と思った。

後光が差して無駄に神々しい風景だったけど、早く雲が取れてほしかった。

 

どうも天気に関しては前回の荒島岳の続きという感じ。雲がすぐ近くで取れそうで取れない。

山頂に行けば雲海が広がっているんだろうけど、この標高だと雲の直下。この時期は全国的に熱中症警報が出ていたので、水も多めに持ってきてたんだけど、日差しがないので全然涼しかった。

 

途中に秋田・山形県境の標識があります。特にピークでも稜線でも峠でもない珍しいパターン。

秋田県から登りはじめて数分で山形入り。

 

早く雲の上に出たいと思ってさっさと登ってたけど、それより先に雲が取れてきてくれた。徐々に見えてくる青空~

晴れを狙って3年も延期したんだから、晴れてくれなきゃそりゃ困るぜ!

 

7時50分、1つ目の絶景ポイント、賽の河原に到着。

一面お花畑というわけじゃないけど、小さな沢が流れていてとても穏やかな風景が広がっていました。ここは落ち着く場所だった。こういうだだっ広いところは大好き。

 

賽の河原ではチングルマがまだ咲いてました。8月に入るとチングルマの花ももうあとわずか。

 

ほとんどは穂に姿を変える。これはこれでまた綺麗。

チングルマ1つで季節の移り変わりを感じられる。

 

こちらはチョウカイアザミ。その名の通り鳥海山の固有種。花は7月の秋田駒ヶ岳と白山で十分満足したので、鳥海山では2つの固有種が見れればいいやと思ってた。そのうちの1つ、無事に発見。

この花もレッドリストに加えられているけど、割とたくさん咲いていました。

 

ここから先も緩やかな道。鉾立からのルートであれば、出だしはかなり楽です。終盤にたくさん登る感じ。

 

少し登ったところから賽の河原を振り返って見る。標高2000m足らずでこの開放的な景観はやっぱり東北ならではだと思う。

さらに今回は背後に一面の海が広がる絶景。最初の1時間程度でこれだけの展望にありつける鳥海山はやっぱりスケールが違う。

 

コバギボウシ

 

シロバナトウウチソウ

 

石段が続く登山道わきには色々とまだ花が咲いていました。高山植物の最盛期は7月なので8月に入ると枯れているものも結構あったけど、逆にお初の花もチラホラ見かけました。

 

登るにつれて目の前に広がってくる日本海。

これだよ、これ!!花もいいけど鳥海山と言えばやっぱり海。海の果ての地平線まで臨める山は早々ない。

 

歩きはじめて2時間ほどで御浜小屋に到着。夏季のみ宿泊可能な山小屋で、売店もありました。

ここも山頂小屋にも水場はないので、水分必要なら買うしかない。

 

御浜小屋からスタートの鉾立駐車場。こんな感じで草原のような場所をずっと歩いてこれます。あんまり登ってきた気がしないけど、標高的にはすでに半分登っている不思議。

登山道が楽しいと疲れも全然感じない。

 

この小屋で吹浦口ルートと長坂道ルートと合流。休憩中の人もたくさんいて、一気ににぎやかになる。

景色もまた一変するところ。

 

雲がちょうど切れていくところで、遠くにようやく山頂が見えた。

この時間は風がかなり強くて雲の動きがとにかく早かった。

 

ここでの見どころと言えばこの鳥海湖。鳥海山の1つのシンボルにもなっている場所で、山頂まで行かずにここまで登りに来る人もいるらしい。鳥海ブルーラインのドライブ記事なんかを見ると、この鳥海湖だけ見て帰るって人も見かけました。

湖の周りには周回コースもあるけど、とりあえず今は眺めるだけにして帰りに寄ってみる。

 

長坂道方面の稜線。左のこんもりした丘は鍋森という山。地図を見た限りでは登山ルートは無さそうだけど、形が目立つので遠くからでもなかなかの存在感ありました。

 

鳥海湖周辺もお花畑ゾーン。

こちらはハクサンシャジン。今回のルート上で一番多く咲いていたのがこの花でした。

 

ハクサンフウロ

 

クルマユリ

 

山頂まではまだ3時間ほど。

ここからしばらくは自分好みの稜線が続くので、さらに面白さが増すところ。

 

この山頂に向かって進んで行く感じが素晴らしく良かった。

雲がみるみる切れて山の姿が現れていくシーンは思わず足を止めて見入ってしまう。

 

南側に雲が追いやられて最初は雲海が広がっていたけど、それも徐々に取れてきた。

とりあえず天気の心配はもう無さそう。

 

鳥海山の1つの展望スポットがこの扇子森という丘からのアングル。すぐ前を歩いている人に被写体になってもらったけど、何か凛々しい風格の山に立ち向かっていく感じがたまらなくカッコよかったです。

 

平日でもかなりの登山客がいる鳥海山。写真にはそんなに写ってないけど、大抵こういう時は抜かすだけ抜かして人が少なくなった瞬間に撮っているので、すぐ後ろには団体さんが控えていたりもする。

全体的に道幅が広い登山道なので、人が多くてもそれほど窮屈には感じなかったです。

 

ヨツバシオガマ

 

色々と咲いていたけど、このハクサンシャジンの群生が他を圧倒していた。本当にたくさん咲いていました。

 

 

先ほどいた扇子森はこんな感じの丘。こういう広くて穏やかで、危険度ゼロの平和な道が何よりも好き。

そしてこの手の雄大な稜線が東北には多い印象。だから東北は好きなんだよなー

 

御苗代に到着。ここから少し行くと分岐が待っています。

道が広いので、どこでも休憩できる。大勢で登るのにも適している山だと思います。(ただし山頂が逆に狭い!)

 

徐々に岩場が多くなってくる。鳥海山は活火山。景色のうつり変わりが激しいのもまた面白いポイント。

 

こういう穏やかな稜線もいったんここまで。これ以降はいよいよ道も火山っぽくなってきます。

 

分岐の七五三掛。外輪を行くか、千蛇谷を行くか。

コースタイムは変わらないのでどちらでも良かったけど、前の人がみんな千蛇谷の方へ行ってたのでそちらにしました。

 

今回のルートで唯一危険マークがついていたのがこの箇所。左下に見える登山道まで一気に下ります。

 

急な場所だけど、ハシゴや鎖がしっかりついているので歩く分には全然問題なし。注意書きにもあるように落石がやや怖い程度のところでした。

 

何とも開放的な眺め!眼下には広大な鳥海の森が広がっている。

左に見えるのは稲倉岳。バックカントリーとして有名な山のようで、調べても3月頃の登山記録しか見つからない。夏は登山道がそもそもないのかな……?

 

ミヤマダイモンジソウ。鳥海山も花の百名山の1つ。登山道に花が尽きない。

 

こちらが千蛇谷雪渓。連日の酷暑でだいぶ雪解けが進んでいるけど、まだ踏みしめて歩ける程度の雪は残ってました。

この時間になると風も収まって気温がかなり上がってきたので、雪渓の天然クーラーが心地よかった。

山頂方面の雲もいつの間にか完全に取れた。

 

千蛇谷に下りると、周りを囲う外輪の迫力がすさまじい。

 

雪渓を渡って、こんな感じの登り坂をひたすら登っていく。大して急でもなかったけど、単調だったのでここが一番疲れたところでした。

 

横には壁のように立ちはだかる岩と緑の外輪。鳥海湖あたりの穏やかな稜線とはまるで違う雰囲気。

帰りはあの上を通って帰ります。あの上もまた展望が良さそうで楽しみ。

 

ここら辺から後ろを振り返って見る眺めがまた素晴らしい。これまで歩いてきた稜線と日本海の眺望。

山と海、緑と雪が広がる世界。

 

山頂に近づくにつれてガレ場が増えてくる。穂高・槍ヶ岳あたりの北アルプスを思わせる風景。こういうガレた道は東北では珍しい気がする。

 

10時15分、山頂手前の御室小屋に到着。200人収容の鳥海山の中では最大規模の山小屋。神社も併設されています。

 

とりあえず混み始める前にサクッと山頂へ。ここから山頂まではもうひたすら岩場。時間にして20分ほど。

東北でこんなガレ場に出くわしたのは初めて。

 

岩場の片隅で発見したのがチョウカイフスマ。チョウカイアザミと同じく、鳥海山の固有種。代表的な固有種2つを無事に見れたから、花は十分満足!

 

それにしても山頂付近は岩だらけ。。。鳥海山の山頂がこんな感じになっているとは知らなかった。

岩場苦手の自分でも難なく登れているので、危険は全くないです。マーカーも親切なほどついています。

 

岩の裂け目。山頂へ通じる門みたく、この合間を入っていきます。

初夏の早い時期だとこの岩の裂け目に残雪が残っていて、やや通りづらいようです。

 

岩の洞窟のようなアトラクションチックな場所。色々と楽しませてくれる鳥海山、素敵ですな!

 

あとは道なりに岩場を登ったら山頂。

 

10時40分、鳥海山山頂到着。標高2236m。

登り3時間40分、日帰り登山としてはちょうど良いくらいのコースタイムでした。

 

朝に比べると若干霞んできたけど、日本海と秋田の街並み。

見ての通り近隣に山が全くなく、完全な独立峰。出羽富士たるゆえん、傍から見たら富士山のように見えるのも納得できる。

 

海とは逆の東側は外輪が遮っているので良く見えない。後で向こう側に登るので、その時見渡してみることにする。

 

山頂はそんなに広くはないです。10人もいられない狭い岩のピーク。

鳥海山山頂というのは、厳密にはこの新山という山が最高峰。眺めで言えばここも良いけど、途中の扇子森、それにこれから歩くことになる外輪の行者岳も良かったです。

周りの景色見渡して「すげーすげー」言ってるから、地元民じゃないってわかったんだろうね。写真に写っている方から

「どこから来たの?」

「東京です!」

「おぉ~!遥々よく来たね。どこから登ってきた?」

「象潟口からです!」

「おぉ~!私はあそこに住んでいるんだよ(と麓の街を指さして)」

自分が秋田側から登ってきたのがうれしかったのか、色々と声かけてもらえました。象潟名産の岩カキも今が旬でオススメとのことなので、下山後に食べることが決定。

 

念願の鳥海山!記念の1枚。 この写真を撮るために3年かかったからなぁ~……。感無量とはこのこと。

ずっと天気との相性が悪かった鳥海山だったけど、こうして晴れてくれたんだから何も言うことはなし。序盤の曇り空も嘘なくらいに登山日和となりました。

強かった風も山頂に着くころには収まってた。

 

狭い山頂であんまり長居していても迷惑なので、いったん山小屋まで下山。短いけど小屋から新山までは周回路になっているので下山は別ルートで帰ってみます。

 

こっちには胎内くぐりという安産の神様がおりました。

 

山仲間では出産の予定のある人はいないけど、せっかくなのでどこかの誰かの安産を祈願して通っていく。

ここ、実際通ろうとするとかなり狭くて、テント泊用のザック背負ってたらたぶん通れなかったと思う。祈願して通ってみようとしたけど、挟まって動けません!。。。とか、一番やってはいけないパターンなので、通る際はお気を付けください。

 

胎内くぐりを出て小屋に戻るまでにたくさん咲いていたのが、このイワブクロ。東北の火山系の岩場に多い高山植物らしいけど、秋田駒ヶ岳でも早池峰山でも見なかった気がする。岩場に咲いているのでひときわ目立って綺麗でした。

 

外輪への道はいったんスルーして山小屋へ戻る。登山バッチは集めているわけじゃないけど、鳥海山のバッチだけはぜひ買っておきたかったんでね。

 

その前にお参り。鳥海山大物忌神社が小屋の裏手にあります。

晴れてくれたことへの感謝っ……!圧倒的感謝っ…!!

 

登頂祝いのジュースと念願の登山バッチゲット!登山バッチは自分にとって特別印象に残った山やそう簡単には登りに来れない山だけ買うようにしていて、これで5つ目。

今のところ、屋久島飯豊山伯耆大山白山、そして鳥海山。我ながらいいラインナップ。北海道の大雪山は単純に買い忘れ……orz

アルプスはその気になればいつでも簡単に登りに行けるので今のところ買ってない。ただ、南アルプス南部の聖岳あたりは手に入れたいところ。

 

少し休憩して、続いては外輪ステージへ。外輪へ登る崖もやや落石の危険があったので注意ポイント。

 

外輪を登ったところ。外輪の先にあるのが七高山(標高2229m)。 鳥海山の中では2番目に高いピーク。

 

こちらが山頂からは見えなかった東側の景色。当然ながらこっちにも周囲に山と呼べる山はなかった。良く見ると南の方向に近隣の月山は薄ら見えたんだけど、気温上昇で視界が霞んでいたので写真にはあまり良く映らなかった。

目の前に何もないので、夕日はもちろん、ここからの朝日もさぞ素晴らしい景色になりそう。次に鳥海山に登るに来るときは、ゆっくり山小屋泊もありかもしれない。

 

こちらが七高山。せっかくなので立ち寄ってみました。

 

七高山から見る新山。遠くから見ると富士山のように綺麗な円錐形に見えても、実際に登ると外輪があったりいくつものピークがあったりと、やや複雑な山容でした。

 

さらにもう少し先まで外輪が続いていたので、先端まで行ってみた。

 

こちらが外輪の先端。割れた石碑が散乱している場所でした。

この外輪の先端方面にも登山ルートが2つあって、こちら側から登ってくる人もチラホラ。鳥海山は本当にルートが豊富。

 

外輪の先端から外輪全景を見渡してみる。これがまた爽快!ビクトリーロードのような駆け抜けたくなる弧を描いてますな。

 

山の上から見る地平線。こんなに目の前に海が広がる景色は初めて。

空気が澄んだ秋ならより一層綺麗な地平線が見れそう。

 

帰りのバスの時間もあるので、外輪を伝ってゆっくり戻る。

早くも雲がプカプカ浮かび始めた。

 

外輪からの山頂御室小屋。見ての通り山頂付近だけが火山特有のガレ場。

あの山小屋からだと周囲の展望が効かないので、朝日も夕日も山頂か外輪まで登ってこないと見れないです。

 

どの景色も捨てがたいけど、個人的には外輪と千蛇谷、さらに稜線と海を一望できるこの眺めが一番良かったかな。雪も程よく残っていて岩と緑も豊か、これほどいろんな要素が織り交ざった景観は、他では見ることができないと思う。いいところ詰め合わせの鳥海山。

 

途中の文珠岳あたりまではほぼ平坦な稜線道。快適に歩けます。

 

外輪山の1つ、行者岳。ここは新山の絶好の展望台になってました。

ラストの写真もここから撮ってもらったもの。

 

しばらく続く外輪ハイク。千蛇谷は景観は良かったけど、歩いていて楽しかったのは外輪ルートだったな。

はるか先まで見渡せる登山道はやっぱり気持ちがいい。

 

伏拝岳にあった湯ノ台口コースへの分岐点。このコースの麓にある鳥海山荘に15:55までに下りられればそこからバスに乗って帰ることも可能。これなら鳥海ブルーライナーの3000円という運賃を払わなくて済むし、実際まだ12時過ぎだったので時間も間に合いそう。ペース早めで歩く方なら、行きは鳥海ブルーライナーで登って、帰りは鳥海山荘へ降りるのもありかもしれないです。(ただし時間に追われるのは目に見えているのでオススメはできない)

 

この湯ノ台口コースもお花畑広がってて何とも平和な道でした。他のコースを見るたびに後ろ髪を引かれる思い。次はどこのコースを歩こうかと色々考えてしまう。

鳥海山は絶対にまた登りに来る山だしね。

 

外輪最後のピーク、文珠岳に到着。12時を過ぎると早くも雲が出始めてきました。

 

雲も展望さえ遮らなければいい。これはこれで夏らしい景観。

ここまで来れば千蛇谷との分岐もすぐで、あの稜線天国に再び戻っていきます。

 

御田ヶ原分岐。帰りは鳥海湖のほとりまで行ってみるので、目の前の扇子森へは登らずに分岐を左へ。

 

鳥海湖までは木道敷かれた道だったけど、木道が斜めになっていたりしてやや歩きづらかった。

ここら辺はニッコウキスゲなんかが良く咲いてました。

 

不思議とこちら側に来る人は誰もいなくて、一気に静かになってやや寂しかった…。

 

鳥海湖のほとりに到着。なかなかの広さを誇るカルデラ湖。白山の御池ほどではなかったけども、澄んだ水が空を映し出していました。

 

周辺は木道敷かれた散策路が用意されています。

 

花もたくさん。特にこの黄色い花が一面にたくさん咲いていたけど、名前が良く分からなかった。
(※コメント頂いた谺拓山さんからキンコウカと教えていただきました。ありがとうございました!)

 

ヒナザクラ。この子もたくさん咲いてました。

 

鳥海湖と鳥海山。隣にはチビ鳥海湖。

 

鳥海湖からは御浜小屋まで戻って鉾立に下山しても良かったけど、せっかくバス利用なので登山口と下山口は変えてみる。

帰りは吹浦口コースへ。

今回は登らないけど、写真の稜線の果てに見えている山が笙ヶ岳(しょうがたけ)。あそこに至るまでの道も稜線脇に湿地帯があったりして楽しそうなので、次来たときに歩いてみたいところ。

 

吹浦コースは象潟コースと似たような雰囲気で、途中には賽の河原のような小さい沢が流れた湿地帯がありました。

道も石段で歩きやすい。

 

お花畑はもしかしたらこちらの方が豊富だったかもしれない。チングルマは穂よりも花のほうが多くて、イワカガミなんかもたくさん咲いていました。

 

象潟ルートに比べるとまるで人がいない吹浦ルート。両方とも地図上では水場マークがあるけど、どちらもそれほど期待しない方がいいです。8月に入って枯れかけていたからかもしれないけど、飲み水に適しているようには見えなかったので、よっぽどのことがない限りは頼りにしない方が賢明。

 

最後のポイントの見晴台に到着。

 

下に見えているのが大平山荘。その手前に大平登山口駐車場があって、そこで鳥海ブルーライナーに乗る予定。バスの時刻までしばらく時間があったので、この見晴台で帳尻合わせで昼寝した。

 

見晴台から登山口まではひたすらこんな感じの狭い樹林帯。これはそこそこ登らされるし、大して面白くないのであまりお勧めできない。初めて登るのであれば、鉾立からのピストンでいいかと思います。

 

15時半に大平登山口駐車場に下山完了。帰りの鳥海ブルーライナーも予約が必要で、乗り場をこの大平口にしちゃったけど、それがちょっと失敗でした。本当に何もないので、照り付ける日差しが暑すぎた……。

鉾立に正直に降りるか、もしくは15分下ったところの大平山荘まで下りてそこからバスに乗るのが賢明。太平山荘に行けば自販機もあったみたいだし。

最初だから、まぁこれがわかっただけでもいい収穫。吹浦口コースで登ることはたぶんもうない気がする。

 

16時10分にやってきた鳥海ブルーライナーに乗車。

結局ここで乗ったのは自分一人で他の人はみんな鉾立から乗ってきました。そして、みんな揃って象潟駅で降りて行った。

 

自分が降りたのは終点の道の駅「ねむの丘」。 帰りも夜行バスなのでそれまでここで時間をつぶす。温泉もあるし、レストランもあるし、お土産屋もあるし、海岸沿いだし、、時間つぶしには打ってつけ。

 

象潟名産、天然岩カキ。物産展も併設されていて、地元産の海鮮や野菜もたくさん売られてました。

山頂のおじいちゃんだけじゃなく、鳥海ブルーライナーの運転手にも岩カキを勧められたので、650円の大きめのを頂いた。

 

その場で殻をむいていただけます。

臭みが全くなくて身がトロトロ。これは旨すぎる!食べ過ぎ注意って言われたけど、これは確かに止まらなくなるな。5,6個は食べたかったけど、値段がお高かったので踏みとどまれた(笑)

 

道の駅には温泉も入っているので、そこでサッパリする。目の前が海なので、風呂からの展望も最高でした。

 

風呂のあとは引き続き物産展で土産物を物色しつつ、夕日のタイミングを伺って海岸へ。

 

ねむの丘のシンボル、西施像。松尾芭蕉の俳句に出てくる西施というのがこの方。中国の悲劇の美女らしいです。

その物語は石碑に書かれているので、興味があれば読んでみてください。

 

象潟海岸の夕日。 日本の夕陽百選にも選ばれている景観だそうです。

この夕日を見たいのもあって夜遅くまで滞在できる夜行バスプランにしたけど正解だった。これを見ずに帰るのは勿体なさすぎる。

山の上からこの展望を眺められると考えたら、なお鳥海山を山小屋泊で登りに来る価値はあると思う。

 

今回は初めてということで日帰りにしたけど、一通り見たいものは見れました。

 

夕食は本当なら海鮮系を食べる予定だったけど、さっきカキを食べたし秋田の比内地鶏を推されたので、結局肉にしました。やっぱり登山後一番欲するのは肉か。

ねむの丘で夜行バスまでの時間をつぶすなら、レストランより売店が先に閉まるので、先にお土産品を物色しておいた方がいいです。地酒やらご当地ワインを買っておきました。

 

20時ごろにねむの丘も閉館。帰りのバスが象潟駅22時20分発。ねむの丘から象潟駅までは徒歩20分ほどなのであと2時間をどうするか……。

自分は撮った写真見直したり、ぶらぶら近くを散歩して時間つぶしたけど、ねむの丘の前に海鮮系の店とガストがあったので、そこで時間つぶすこともできます。

駅に行くまでにはローソンとセブンくらいしかなかった。

 

22時、象潟駅に戻ってきた。これだけ見ると、こんな寂しい駅に本当に高速バスが来るのか若干不安になる。

 

それでも時間になるとチラホラ人も集まってきて、時間通りにバス到着しました。

山旅の帰りに夜行バスを利用するのはこれが初めて。今回は現地でゆっくりしたかったってのもあるけど、何より鳥海山から電車で帰るとなるとコスパ悪すぎる。特急と新幹線を乗り継いでも5時間近くかかるので18時には現地を発たないといけない。費用も馬鹿にならないので、事前に帰りのドリーム鳥海号も予約しておきました。

帰りのドリーム鳥海号は行きとは違ってかなり空いてた。ザックを背負ったのも自分一人で、そもそも鳥海山の帰りに夜行バスを利用する人ってのは少ないのかもしれない。

 

こうして夜行バスに乗って朝6時過ぎに東京に戻ってきた。

1日しか休みを取ってなかったのでこの後普通に仕事に行ったけど、夜行バスで寝れる体質ってのは役に立つもんで、十分すぎるほど睡眠時間取れて疲れも全然残らなかった。……いや、むしろ普段よりも寝れたので、妙にすがすがしい朝でした(笑)

 

夜行バスに乗り慣れた方なら、往復バス利用が公共交通利用では最安値なのでぜひ試してみてください。この手を使えば休み1日で鳥海山を満喫できますので。

 

3年かかってようやく行けた鳥海山だったけど、期待通りの山でした。最初から最後まで見どころの連続で、色々な山の美味しい部分をコンパクトにまとめたような感じです。1つの山に登っているとは思えないほどの景観の移り変わりで、そこが最高に面白いところでもあったりする。

他の山では滅多に見られない一面日本海の眺望も一級品。海岸線に沈む夕日も素晴らしい絶景なのでぜひ合わせて見てください。

 

鳥海山も遠いのでそう簡単に行ける山ではないけど、コースや季節を変えてまた登りに行きたいと思います。

 

念願の鳥海山を目指す旅(完)―――

 

 

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ(←ランキング参加中!)

 

 

【日程】

2015年8月5日 晴れ時々曇り

【コースタイム】

象潟駅(6:20) — バス — 鉾立(7:00) — 御浜小屋(8:15) — 七五三掛(9:00)— 山頂小屋(10:15) — 鳥海山山頂・新山(10:30~10:45) — 山頂小屋(11:00~11:15) — 七高山(11:25) — 行者岳(12:00) — 七五三掛(12:50) — 鳥海湖(13:30) — 見晴台(14:40~15:15) — 太平登山口(15:40~16:15) — バス — ねむの丘(17:10)

 

 

 

      にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ

 


にほんブログ村 にほんブログ村へ
↑↑応援クリックよろしくお願いします↑↑