10月の紅葉時期に新潟の火打山へ日帰り登山してきました。
日本百名山にも選定されている火打山。美しい湿原と山頂からの大展望が広がる北陸の名峰は、秋の紅葉シーズンも素晴らしい景色を見せてくれました。
特に「天狗の庭」の湿原に広がる草紅葉!鏡のように景色を映し出す池塘、そこから見る逆さ火打山も見事なもんでした。
高山植物咲き誇る夏の火打山もいいですが、秋もおすすめです。
日本百名山にも選定されている新潟の名峰「火打山」。
この山に最初に登ったのは2012年の夏。山頂よりもその懐に広がる雄大な湿原に感動したのを薄っすらと覚えています。
秋にもぜひ訪れてみたいと思いつつもなかなかタイミングがなく、かれこれ月日が流れて2019年、ようやく行くことができました。
7年ぶりの火打山。
登山の面白さに目覚めたてで目をギラギラさせながら登っていた7年前の景色、その記憶を彷彿させながら、初めて見る錦秋の風景に感動しながら歩けた1日でした。
2019年10月10日 火打山 日帰り紅葉登山
今回も電車・バスの公共交通利用で登ってきました。時間的にはややシビアですが、標準コースタイムよりも巻きで登れる人なら火打山の日帰り登山も可能です。
個人的には1泊して妙高山とセットで登るのをお勧めしますが。
バスタ新宿からの夜行バスに乗って長野駅へ。そこから「しなの鉄道北しなの線」に乗って妙高高原駅へ向かいます。夜行バスが5時過ぎに到着するのに対して、しなの線は6時23分発なので、時間にはかなり余裕あり。駅近くのセブンイレブンで朝食の親子丼をガッツリ食って、赤い色の列車に乗りました。
6時23分発の電車に乗ると終点の妙高高原駅には7時7分着。これがバスとの接続にちょうどいい具合になっています。
平日というのもあって、妙高高原駅で降りた人はあまりいませんでした。
妙高高原駅から7時20分発の笹ヶ峰直行バスに乗車。1日3便往復されている登山バスで、料金は片道1000円。
自分のほかに3人乗車して妙高高原駅を出発しました。 バスの車内では特にやることはないんですが、下山後に妙高温泉に入る予定だったので、駅からどれくらいの距離なのか軽く確認。
バスで2分、徒歩でも15分程度で着きそうな距離でした。
ほぼ予定通りの8時10分に笹ヶ峰に到着。
写真に映っているのは笹ヶ峰キャンプ場の広い駐車場。登山口に近い駐車場はすでに満車で、ここも7割がた埋まっていました。
秋の火打山も大人気なようで。
こちらが登山口。この入り口は良く覚えています。
小屋のゲートをくぐって、8時20分過ぎに登山開始。
最初は緩やかな木道路。
山によってはスタート早々いきなり急登を強いられるルートもありますが、笹ヶ峰ルートはかなり身体に優しい設計。
最初はのんびりと標高を上げられる木道が続きます。
道中にはこんな感じで山頂までの目印標識があります。
良い目安にはなりますが、1区間が意外と長めなのであまり意識せず参考程度に。
30分ほど歩いて黒沢橋に到着 。
ここまでは比較的緩やかな道ですが、ここから登りがきつくなってきます。
この橋の下には綺麗な沢が流れていて、良い水場になっています。
この先の高池谷ヒュッテでテント泊する場合、そこの水場が池の水(要煮沸)になるので、綺麗な水を求めたければここで汲んでおきましょう。
そしてこの橋のすぐ先に待っているのが十二曲り。
火打山登山では避けて通れない急登区間ですが、距離は大して長くないのでビビる必要なし。
十二曲りの階段。
名前の通り12個のヘアピンカーブが用意されている区間ですが、1つ1つはかなり短く、1区間30秒くらいで踏破できるところもあります。
十二曲りが終わっても登りが終わるわけではないですが、標高を上げるにつれて登山道は徐々に紅葉風景に。
火打山の紅葉。
2019年は夏の暑さが長続きしたのもあって、例年に比べると紅葉も遅め。10月10日の時点では標高1800mくらいから色づいていました。
富士見平の分岐に来たら火打山方面へ。ここら辺から視界も開けてきて展望も良くなってきます。
すでに湿地帯なのか、部分的に泥濘が激しい箇所もあるので要注意。
登山道から見えた火打山。
左奥に見える三角形の山は焼山。今なお活発な活動を続ける活火山です。
道はどんどん開放的に。
笹の中に敷かれた1本の木道路。富士見平以降はしばらくこんな感じの緩やかな道が続くので、展望を楽しみながら歩けます。
途中のアルプス展望台からの眺め。
目の前に見えている山脈は北アルプス。火打山は新潟県の海に近い場所にあるので、北アルプスさえも南側に見えます。
今日は全国的に快晴なようで風も穏やか。
10時30分、高谷池ヒュッテに到着。御覧のような三角形が特徴的な山小屋です。
2019年現在は一部改装中で宿泊者数も制限されています。
そしてこちらが小屋の目の前に広がる高谷池。
秋のこの時期は湿原一面が美しい草紅葉で覆われます。火打山山頂もここからしっかりと見える。
高谷池のほとりには小さいながらテント場もあります。
7年前に火打山に登ったときは自分もこのテント場に泊まって、妙高山と合わせて登りました。
一応、水場はありますが池の水になるので要煮沸。気になるようであれば序盤の黒沢で水を汲んでおきましょう。
高谷池ヒュッテのトイレ。
見ての通り、かなり綺麗でした。
高谷池ヒュッテからは池を周回するように木道を行く。
ここら辺からは、もう樹林帯に入ることもなく、ひたすら湿原エリアを歩いていくことになります。
高谷池の湿原と草紅葉
高谷池ヒュッテの対岸まで来た。
こんな感じで湿原は広く、池塘もたくさんあります。空を映し出す池が美しい。
山頂目指して、さらに木道路を行く。
ここら辺は夏場であれば高山植物が咲くお花畑ロード。今は紅葉の色づきが綺麗。
登山道わきにふと目をやると、チングルマの穂がまだ残っていました。
あとひと月もすれば火打山にも雪が降り始める季節。チングルマもこれで見納めか。
紅葉に彩られた登山道をひたすら進んでいく。
火打山がどんどん近づいて、その姿が大きくなってきます。
山頂手前に広がっているのが、この天狗の庭 。
高谷池よりも広大な湿原が広がっている、火打山のメインスポットです。
天狗の庭の池塘と火打山
ここも1本の木道に沿って、湿原を大きく迂回するような形で進んでいきます。
一面に広がる草紅葉と大小無数の池が美しい景色。
山の上に広がる楽園ではないかっ!
池に映る逆さ火打山
ここの池が一番きれいに逆さ火打が見えました。
火打山に登っていて一番楽しく歩けるのが、やっぱりこの天狗の庭。
夏の緑と花のシーズンも良いですが、秋の紅葉も素晴らしく綺麗な景色を見せてくれます。新潟県というのもあって、ここら辺は苗場山あたりに近い雰囲気。
天狗の庭の湿原を抜けたら、山頂までの最後の登り。
山頂はすでに見えていますが、ここからの登りが地味に応えます。
10月にしては気温が高く、秋とは思えないくらい汗だくになったわ……
登るにつれてまた1つ景色も変わってきて、迫力ある岩壁も見えてきます。
雷菱の大岩壁。
山頂まで登り坂。
目の前に見えているのは偽ピークで、まだその先にもう一登り待っています。
左手に常に見えている北アルプスの展望。
一番手前が白馬岳あたり。時期的にはそろそろ北アルプスにも雪が降り始める季節。今年の夏も何度か北アルプスで遊ばせてもらいました。
後ろを振り返ってみると、先ほどいた天狗の庭の湿原を一望できます。
そして中央奥に見えてきた山がお隣の妙高山。
山頂手前にあるライチョウ平に到着。登り坂の足安めにちょうどよい休憩ポイント。
名前の通り、雷鳥が現れる場所のようですが、火打山にはまだ雷鳥が残っているのだろうか……。年々数を減らしているようなので、ここで会えたらかなり幸運だと思います。
ライチョウ平から山頂までの最後の登りへ。
木道がない日陰はぬかるみ激しい。どんなにスマートに歩こうとも、靴はおそらく泥だらけになります。
最後はこんな感じの階段。
序盤は快調に歩けていましたが、ここら辺はだいぶ足が重くなってきました。
12時ちょうど、火打山山頂に到着。
平日にもかかわらず結構な人がいました。
山頂の標識。
山頂は結構広く、360度の展望が見渡せます。
北側はもう目の前が海!日本海です。
山頂から海が見渡せるってのは、やっぱりいいですね。
こちらは歩いてきた方角。眼下には天狗の庭の湿原、奥に顔を出しているのが妙高山。
火打山と妙高山、どちらも日本百名山に選定されているので、合わせて登る人が多いかと思います。
西側に聳えているのが焼山。
見た目からもわかるように絶賛活動中の火山です。火打山からは片道2時間ほどの距離ですが、登山道は現在通行止め。
南側には北アルプスの山並み。
左手前に見える山は高妻山かな。どこもいい天気です。
山頂でしばらく休憩して下山。
登りが辛かった階段も帰りは楽ちん。天狗の庭の湿原目指して下りていきます。
再び草紅葉の楽園へ。
天狗の庭の草紅葉と火打山の展望を改めて楽しむ。
東北のような派手さはないですが、火打山の紅葉もなかなかいいですぜ。
平日にも関わらず結構な人が登りに来ていました。
海外のトレッキングツアー団体も来ていたり、割と賑やか。この週末に猛烈な台風19号が上陸予定だったので、みんな慌てて登りに来たんですかね。
当然、自分も慌てて登りに来たうちの一人です。
高谷池ヒュッテまで戻ってきた。
時間に余裕があれば燕温泉の方に下りようかとも思っていましたが、なんか意外と疲れたので、このまま来た道を戻ります。
明け方は涼しかったですが、日中は気温高め。
体感的には夏山と変わらない感じでした。
なんか朝よりも色づいている気が……
湿原あたりの紅葉はピークからやや終わりかけの状態でしたが、登山道の紅葉はまだまだこれから。10月下旬あたりまで楽しめそうです。
下の方はまだ緑美しいブナの森。
道が平坦になってきたら登山口も近いです。
15時過ぎ、笹ヶ峰登山口に下山完了。16時の帰りのバスには余裕で間に合いました。
16時の妙高高原駅行きのバスに乗車。
乗車人数は4人だけでした。
駅の1つ手前の妙高温泉で下車。せっかくなので温泉にも入ってから帰ります。
やってきたのはバス停から歩いてこれる「香風館」。日帰り入浴700円、館内は綺麗で露天風呂もあって、かなりお勧めです。
国内、海外色々と巡り歩いているというおっちゃんの旅行談義を聞きながら入りました。
温泉から駅までは徒歩で15分ほど。
夕焼けに浮かび上がる妙高山のシルエットが印象的でした。
こうして妙高高原駅まで戻ってきてこの日の登山も終了。
お疲れさまでした。
こんな感じで東京からでも夜行バス利用の公共交通のみで火打山の日帰り登山は可能です。標準タイムよりは少し早いペースで歩かないといけないので、初めて登るのであれば1泊して、妙高山とセットで登るのが良いかと。
紅葉時期の火打山は初めてでしたが、なかなか綺麗な景色が見れました。特に天狗の庭の湿原!黄金色に染まる草紅葉と美しい池、そこに敷かれた1本の木道、楽園感ありました。
台風によって3連休はつぶれてしまいましたが、チャンスがあればもう1,2回くらいは遠出してどこか登りに行きたいです。
【日程】
2019年10月10日
【コースタイム】
8:20 笹ヶ峰登山口
9:50 富士見平
10:30 高谷池ヒュッテ
12:00 火打山
13:10 高谷池ヒュッテ
15:05 笹ヶ峰登山口
コメント
初めてメッセージします。行きのバスに乗ってた3人のうちの一人です。たぶんバスタから一緒です(笑)。駅とかバシャバシャ撮ってましたね。まさかみやっちさんとは!
あの日は超秋晴れで本当に気持ちいい山歩きが楽しめました。思いがけずみやっちさんのブログで追体験することができました。うんうんと納得したり、これは気づかなかったぁとちょっと悔しがったり。
こちらは高谷池でテント泊して翌日燕温泉に下山予定でしたが、明け方の雨に心が折れて笹ヶ峰に下山。妙高山に行けなかったのは心残りでしたがまた来る口実ができたかなと。
そうそう、らいちょう平の少し上のハイマツで雷鳥の生息を調査している人たちがいました。伺ったところこの山域には30個体の雷鳥がいるそうですよ。
コメントありがとうございます。
おぉ、同じ日に火打山に登っていた方からコメントいただけるとは。しかもバスタから一緒のバスに乗っていたとは奇遇ですね。
お互い台風前に滑り込みで登れましたね!しかも秋晴れの見事な快晴の中で。
ライチョウ平の情報ありがとうございます。年々アルプスでも生息数を減らしているので、火打山にはひょっとしたらもう雷鳥がいないのではないかと心配でしたが、安心しました。30個体の中で出会えたら相当幸運ですね。私も妙高山は今回登らなかったので、来年以降で再訪しようと思います。
夜行バスを使って、電車バスで日帰りで行けるんですね。驚きました。
秋の火打山も良い雰囲気で、素敵ですね!
ゆかぽんさん、こんばんは。
コースタイムがややシビアですが、日帰りで行けないこともないです。ただ、ここなら1泊して火打山と妙高山をセットで登るのがお勧めです。
夏の花の時期も良かったですが紅葉もすごく綺麗でした!