2月に谷川岳の向かいにそびえる白毛門(標高1720m)へ雪山登山に行ってきました。
日帰りで登れる雪山として人気が高く、ルートは土合駅(土合橋)からの往復一択。山頂まではひたすら急登が続く辛い道のりですが、それに見合うだけの景色はちゃんと用意されており、眼前に広がる谷川連峰が凄まじい迫力!
まさにアルプスにさえ匹敵するスケール感です。
冬でも電車やバスがあるので、公共交通だけでも登りに行くことができます。
7年ぶり2回目の冬の白毛門。
前回は3月でしたが、今回はまだ冬山真っただ中の2月中旬。
雪の量も前回より多く、空気も澄んでいたので谷川岳の眺めが一層映えていました。
これが今シーズン最初の雪山登山だったもんだから、もう久しぶりの冬靴が重いわ重いわ。。。アイゼンも加わって急登とのダブルパンチで、下山中には足がプルプル。
数日間、筋肉痛に苛まれました。
そんなプルプル登山の記録。
2023年2月18日 白毛門 雪山登山
都心からも一年を通して電車・バスの公共交通アクセスが良い谷川岳。
そこら辺も人気の理由の一つなんでしょうね。白毛門も登山口はすぐ近くなので、アクセス面では非常に恵まれています。
この日もたくさんの人が登ってました。
朝の土合駅。谷川岳、白毛門の最寄り駅で、三角形の駅舎がトレードマークです。
ここは知る人ぞ知る、「日本一のモグラ駅」と称される駅。下り線のホームが地下深くにあって、そこに至るまでのトンネルや階段がまさに遺跡。洞窟探検のようなワクワク体験できるので、ぜひ時間があれば合わせて観光してみてください。
(土合駅の詳細はこちら↓)
そんな土合駅から白毛門登山口へと向かう。
下からすでに山頂は見えていて、白く輝くあの天辺が今日の目指すところ。
あそこまではストレートな1本道。まどろっこしい登り返しなどがないかわりに、ひたすら急登が続きます。
土合駅から徒歩5分ほどで登山口に到着。
ここが土合橋バス停で、新幹線を利用して上毛高原駅からバスでここまで来ることもできます。
雪もたっぷりありそうだったし、序盤から急登も始まるのでここからアイゼン履いて行くことにしました。
少し進んだこちらの橋が白毛門の最初のチェックポイント。
登山道への入口で、この橋に残る雪の具合からだいたいの積雪量を推しはかることができます。
場合によっては平均台のようになっていることもあるので、地味に慎重を期すところ。
すぐ下は川が流れているのでお気を付けください。
そして早速始まる急登の登山道。
前を行く人を見上げるくらいの急斜面。こんな状況で写真を撮ると、どうしても先行者のヒップラインが際立ってしまいます。
白毛門の終盤、特に下りはピッケルが不可欠な箇所がありますが、ここら辺はストックがあった方がいいです。
2月にしては暖かった日。
天気も快晴で、序盤の序盤で一気に汗だくになりました。
時折現れる平坦な箇所に来ては休憩を繰り返す。なんせ今シーズン最初の雪山。冬靴が重いわ重いわ……
道中の所々に、こんな感じの緊急時用の現在地点を示す標識があります。
登るのに必死で、A-3、A-4くらいしか確認できませんでしたが。
ゼェゼェ言っては立ち止まっての繰り返し。
修行のようなツライ登りが続きますが、標高を上げるスピードもその分早いので、時折後ろを振り返ってみましょう。
比較的序盤から、樹々の合間から谷川岳が見えるようになってきます。
あの迫力ある岩壁を一望したい!それが白毛門に登る最大のモチベーション。
尾根道に入ると多少傾斜が緩やかになります。
ここら辺はラッセルであればきついでしょうか、先行者のトレースがしっかりあるのでだいぶ楽に歩けました。
右側が雪庇になっているのでお気を付けください。
動物は雪庇なんて意に介さないようで。
なかなか大胆なところを攻めやがる。
樹林帯を抜けて空が一気に開けると、再び急登。
照り返しも眩しく、日焼け止めしてても顔が火照ってくる感じ。
雪もゆるくて、コンディションとしては残雪期の山に登っているような感覚でした。
後ろを振り返れば素晴らしい開放感。
止まるたびに前後の登山者と入れ替わり、あいさつを交わす。展望を眺める余裕を見せつつ、実際は息を整えるので精いっぱい。
他の登山者に息絶え絶えで登っている姿をひた隠し、澄ました顔で振舞うのが俺流の登山スタイルだ。
すでに谷川岳の岩壁を一望できるくらいまでは登ってきました。
これでも実際はまだ1/3程度のところ。
時刻は10時過ぎ、谷川ロープウェイも動き出して、あっちの登山道はきっとすごい人の列になってるんでしょうね。
(2020/12/29 谷川岳 日帰り雪山登山 より谷川岳の大行列)
晴れた週末の谷川岳は尋常ではない混雑っぷりです。
夏でもこんなに混まないんじゃないかってくらいの行列。日本百名山のブランド力は伊達じゃないです。
こちらもそれなりに登山者はいましたが、谷川岳と比べたら全然空いているほう。背後から煽られることもなく、自分のペースで歩けてます。
そして向かう先に目指す山頂が見えましたが、まだまだ遠い。。。
「これ、絶対に筋肉痛になるやつ」とこの時点で悟りました。
右手に広がるだだっ広い雪面。
スキー場なら中級者くらいの斜度?
片側が切れ落ちているわけじゃないので、そこら辺は安心して歩ける白毛門の登山コースです。
登山というのは得てしてそうですが、山頂が見えてからが遠い。
黙々と一本道の尾根を登り続けて、ようやく山頂直下の直登が近づいてきました。
絶好の場所にテントも張られているので、あそこらで休憩。
白き谷川連峰を眺めながら小休止。
山の上で食べるブラックサンダーが格別の旨さ。
一息ついてラストスパートの直登開始。
ここから先がこの白毛門で最も急な上り坂で、まさに這って登るような感じ。
写真で伝わっているか微妙ですが、かなりの急登を強いられます。
振り返って見てもなかなかの高度感。
ここは下山時が特に要注意で、ピッケルがないと心細いかもしれません。
見上げる先が山頂、……ではないのですが、あそこまで登ってしまえば残りはわずかなので、ここは頑張りどころ。
アイゼンが頼もしく思えるほど、急な足場を支えてくれます。
だいぶ登ってきた。
時刻は11時。この時間帯になると下山する人も多く、この辺りは下山者の方が気を使って時間かけている感じでした。
急登に挑むロケーションとしては最高で、谷川岳に見守られながらみんな頑張っております。
谷川馬蹄形の稜線もだいぶ目線の位置に見えてきました。
白毛門と言えば、やっぱり谷川岳を繋ぐ馬蹄形ルートが有名。いつかは歩いてみたいと思いつつ、いまだに歩けずにいる区間です。
急登を経てたどり着いたところ。
山頂はもう目前で、右手のお山の奥が白毛門の頂です。
そしてこの地点で見えてきたのが、白毛門から先の山々。左奥に見えているのは笠ヶ岳と朝日岳。
真っ白い山肌が美しい。
そしてそれ以上に白い輝きを放っていたのが、あちらの稜線。
武能岳あたりの区間かな。あの平坦で身体に優しそうな稜線はぜひとも歩きたい。
白毛門の山頂はこんな感じでちょこんと尖ってます。
この右手は巨大な雪庇になっているので、くれぐれも足を踏み入れぬよう注意を。
凄い壮観な眺め!
標高2000mに満たない山とはとても思えない、アルプスにさえ匹敵するスケール感がここにはあります。
これを見れば、谷川岳や白毛門が冬の雪山として人気なのも納得です。
山頂手前にある鎖場。
足元が岩場で滑りやすいので慎重に。
鎖場を登り切った先が白毛門の山頂。
めちゃくちゃ疲れましたが、どうにか無事に登頂!
テント泊でもしていたのか、山頂には雪の遺跡も残ってました。
待望の山頂。まず眺めるべきは、やっぱりこちら。
白毛門から眺める谷川岳の雄姿よ!最高に美しい景色です。
辿った道にできた巨大な雪庇(せっぴ)も冬の白毛門の名物の1つ。普段の豪雪っぷりを垣間見れます。
あの雪庇、地味に好きなんだよね。
白毛門から先の稜線。
真っ白な笠ヶ岳と朝日岳を眼前に望めます。
切り立った岩壁有する谷川岳とはまた違った美しさ。時間があればあちらまで行く人もいます。
縦に広い白毛門山頂。
風は多少あったものの、そこまで寒くなかったのでゆっくり休憩。
ヒィヒィ言いながらの登りでしたが、見たい景色を無事に見れてご満悦でございます。
谷川岳に向かって下山する人の後姿もカッコいいっすね。
良く晴れた週末。たくさんの登山者が登ってましたが、谷川岳ほどは混雑せず、登っている間も程よい距離間保てて非常に快適に登れました。
やっぱり他の登山者いると安心するし、何よりトレース泥棒で快適に登れるのが良き。
あちらは上州武尊山かな。肉眼では尖った剣ヶ峰もしっかりと見えました。
他にも日光方面の山なども一望。
2月だったので前回登った時よりも空気が澄んでいて、周りの景色がより鮮明に見えた気がします。
しばし休憩して下山開始。
この日は午後から天気が崩れる予報でしたが、下山するまで青空広がってくれて良かったです。
下山は谷川岳を眼前に見据えながら歩いて行く。
正面にこの景色だから、同じルートでも歩いていて非常に気持ち良いです。
やっぱり標高2000m程度の山とは思えない、この絶大な迫力よ!
山頂直下の急斜面は下山時が特に要注意。
登ってくる人もまだいるので雪を落とさないようにしつつ、自分自身も転げ落ちないように。
他の山でもあまり体感できない斜度なので、かなり慎重になりました。ビビりな自分にはピッケルが非常に心強かったです。
急登に挑む登山者と雪の谷川連峰。
登りでテントがあった場所まで下りてきました。
ここから先も部分的に急斜面があるので、ピッケルは最後まで手放さなくて良かったです。
この景色とももう間もなくお別れ。
午後になって日差しが傾いたからか、谷川岳の山肌も淡く見えてどことなく優しさを感じました。
樹林帯に入ってからも急斜面がいくつかあるので、最後まで気を抜かぬようにご注意を。
なんか登りよりも下山の方が慎重になって、どっと疲れた感じです。気温上昇も合わさって水分消費も下りの方が多かった。
こんな感じでクレバスさながらの落とし穴もいくつかありました。
2月に入って暖かい日が多かったからか、残雪期のような雪の緩さ。
13時過ぎ、登山道入口の橋に無事に下山完了。
急斜面に神経使い、汗びっしょりになりました。今この瞬間は、かなり身体が絞られたと思います。
帰ってからの暴飲暴食ですぐ元通りにはなりますが……。
土合駅まで歩いて戻りました。
予報通り、登頂時の青空はすっかりなくなって今にも雪が降りだしそうな空模様。
この土合駅が観光地としても有名な「日本一のモグラ駅」。
ちょうどいい具合に下り列車に乗せそうなタイミングだったので、越後湯沢経由で帰ることにしました。
改札をくぐった先の駅構内。
昭和の雰囲気がそのまま残る味わい深い空間が広がっています。
こちらが下りホームへと続く階段。
地の底まで連れていかれるんじゃないかってくらい、先が見えない不気味な洞窟です。
地下ホームまでは切符を買わずとも見学することが可能なので、時間があれば下山後に観光してみてください。
興味があればこの時の探検記事も合わせてどうぞ。
こうして冬の白毛門の雪山登山が終了。
7年ぶりということでだいぶ忘れかけていましたが、やはりここの登山道は急登でした。
足もプルプルでした。
鈍った身体も合わさってだいぶ辛い思いをしましたが、それでも登りたくなるのは山頂からの展望!
笠ヶ岳~朝日岳の稜線、そして眼前にそびえる谷川岳の白き山なみ。
間近で見る大岩壁は迫力絶大で、谷川連峰のスケール感をまざまざと感じられる展望がここにはあります。
白毛門は好きな山の1つでもあるので、何年後かにまた登りに行きたいと思います。
【日程】
2023年2月18日
【コースタイム】
8:35 土合橋
10:00 松ノ木沢ノ頭
11:15 白毛門
13:30 土合橋
13:45 土合駅
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