冬の平標山~仙ノ倉山へ電車とバスを利用して登ってきました。
歩いたのは冬季限定のヤカイ沢ルート。バックカントリーで有名なコースなのでスキーヤーが大半ですが、登山でもスノーシューかワカンがあれば登ることができます。
全国的に快晴予報が出た1日だったので入山者も多く、比較的楽に仙ノ倉山へ行くことができました。もう何度も歩いていますが、平標山~仙ノ倉山の雄大な稜線はやっぱり大好きです。
もう何度目かの平標山&仙ノ倉山。
毎年のように訪れている場所になってしまっていますが、ここの稜線はやっぱり自分好み。直近では去年の6月、ハクサンイチゲの季節に登りに行ってました。
雪の時期にも過去に一度訪れているのですが、今回は冬季限定のヤカイ沢ルートへ。さらに前回はガスに阻まれて一望することが叶わなかった雪の雄大な稜線をこの目に焼き付けるべく、遥々東京から電車とバスを乗り継いで行ってきました。
2019年2月24日 平標山~仙ノ倉山 日帰り雪山登山
例によって平標山登山口までのバスが出ている越後湯沢駅へ。
冬季はかぐらスキー場や苗場スキー場へのバスもここから出るので、夏のバスターミナルとはえらい違いで混雑します。
登山口へ向かうバスは西武クリスタル行きの1番乗り場。通常の登山バスは夏に比べて冬の方が本数が減りますが、ここに至ってはスキーリゾート地なだけあって冬の方が増便してくれています。あくまでスキー客のためですが、雪山登山者としてもこれは非常に有り難いところ。
ただ、同じバス停から発着しているスキー場への急行便には乗らないように注意。方向は同じですが、スキー場にしか停まってくれず途中下車はできないようになっています。
7時45分発のバスに乗って、8時半ごろに平標山登山口バス停に到着。駅では登山者の姿もチラホラ見えたのですが、ここで降りたのは自分の他に1人だけでした。
ただ、車の数がすごかった。駐車場が雪で埋まっているので、冬は写真のように路駐することになるようですが、かなり遠くまで列ができていました。
身支度を整えて早速出発。
いつもは松手山コースで登りますが、今回は冬季限定のヤカイ沢ルートへ。平元新道登山口方面の林道をまずは歩いていきます。
除雪されているのは最初だけで、すぐに登山道と変わらない雪道になります。
人が全然入っていなければここからラッセル大会が始まることもありそうですが、この日は先行者もいるのでしっかり踏み固められておりました。
雪で埋まった橋を通過。
後ほどすぐ前を歩くソロの登山者を追い抜くことになるのですが、どうも地元の方だったようで、このルートを何度も歩かれているような感じでした。
追い抜きざまに少しお話したけど、やはり今年は平標山もえらく雪が少ないらしい。
ヤカイ沢ルートへの入り口。林道は右の道ですが、ここから左の方へ進んでいきます。
ゲートの柱が目印になるかと。
最初は樹林帯ですが、要所要所で開けているので、登山道はかなり明るく快適。バリエーションルートでありながら、一般ルートの松手山コースや平元新道よりも全然展望がいいっていうね。
広い雪原エリアを進んでいく。ここら辺は降雪直後であれば樹氷が綺麗に見れそうなポイントでした。
トレースもあったので、地図やGPSを確認するまでもないコンディションでしたが、正規ルートではないので標識などは全くなし。ピンクテープも特になかったと思います。
徐々に近づいてくる平標山の白き稜線。
壁のように立ちはだかっているのを見れば先行きがだいたい想像つきますが、終盤はなかなかの急登が待っています。
すでに時刻は朝の10時ごろ。もう登り終えて滑っているスキーヤーもチラホラいて、天然のゲレンデにシュプール描いておりました。
一瞬で下りれるのがただただ羨ましい。
だいたい標高1600mくらいの所まで来たら、右手に見えてくる尾根に取りつきます。
ここから尾根に這い上がるまでがなかなかの急坂。
久しぶりにスノーシューを持ってきたのですが、完全に履くタイミングを見失い、ツボ足で急登に挑むという謎の展開。すれ違ったおじさんからも「ツボ足で登るとはすごいねぇ~」と変に感心される始末。。
残雪期のような日差しと気温でめちゃくちゃ暑かった…。我はバカでした。
灼熱登山で汗だくになりながらも、展望は確実に良くなってくる。
冬季限定コースならではの林間を縫うように進んでいく面白さもあって、隣の平元新道よりは確実に楽しい道です。
ヤマレコでは山滑走の記録がほとんどだったけど、周りを見れば普通の登山者も結構いました。
尾根と合流したあたりで手ごろなスペースがあったので小休憩。
後ろを振り返れば見事な雪景色で、苗場スキー場も良く見えました。
中央奥に見えるひときわ目立つ山が浅間山。その奥にはアルプスの山なみも見える。
ちょうどフランス人スキーヤー御一行が休憩中で、浅間山の名前を周りの人に聞いてました。「マウントアサマ!ボルケーノ!」って具合に。
やっぱり独立峰は目を惹くんですな。
右奥に見える平らなテーブルマウンテンが苗場山。輝くほどの純白な姿をしておりました。
そういえば、スノボーばかりしていた学生時代、苗場スキー場にはよく遊びに行ってたけど、苗場スキー場と苗場山がだいぶ離れた位置にあると知ったのは登山を始めてからでした。(どうでもいい小話)
急登がひと段落したところで、ようやくスノーシュー装着。
たぶんツボ足でも登れただろうけど、せっかく持ってきたので久しぶりに履いてみた。
少し歩いただけでわかるけど、やっぱり機動力が違うわ。
山頂までラストスパート。
ここから先は樹々もなくなり、ひたすら続く雪の斜面。
山頂がだいぶ近づいてきたところで平標山の主稜線と合流。
下の方には小さく平標山の家も見えました。
ヤカイ沢ルートは途中の尾根からの合流になるので、特に下山時は間違って稜線を突き進まないように。(あっちに行っても降りれるとは思うけど)
やがて見えてきたのが平標山~仙ノ倉山の稜線と真っ白な山肌。
青空と雪山が美しいコントラスト。深い空の色に小宇宙を感じるじゃないか~
霧氷の残骸
平標山までの最後の直登。
この山頂が見えてから最後の坂が地味にきつい。部分的にずぼっと踏み抜いている箇所もあったので、ここら辺はスノーシューの恩恵を最大限に感じました。
仙ノ倉山の丸みを帯びた山容が美しい。
時間的に今日は仙ノ倉山まで行けそうなので、早くあの稜線を歩きたい。
夏は木道の階段が敷かれた道も、冬は一面雪なのでどこを歩くのも自由。
ルート上に切り立った崖のような箇所はないので滑落の心配もほとんどなく、ここではピッケル・アイゼンよりもストック・スノーシュー(orワカン) が重宝します。
急坂を登り切って平標山に到着。
暑さにやられて結構疲れましたが無事に登頂。360℃遮るものがないので景色は格別!
こちらは松手山コース側の展望。
冬場は松手山経由で登る人はあんまりいないと思ってましたが、あちらからも結構な人が登ってきてました。
背後には相変わらずの白さを放つ苗場山。
雪国ならではの冬景色。
雲1つない快晴で遠目には日本海も見えています。
フランス人スキーヤー御一行も余裕の登頂。
この快晴を引き当てるとは持っていますね。
そしてこちらが今回の目当ての景色でもあった仙ノ倉山へ至る稜線!うひょ~!
もう何度も見ているけどこの雄大さがたまらなく好き。
しかも雪景色に関しては前回訪れた時はガスがかかってはっきりとは見えなかったので、ようやくお目にかかれた風景。感無量でございます。
続々と登ってくる登山者。BCの名所なだけあってスキーヤーやスノーボーダーが多かったけど、登山者もそれなりにいました。
背後には浅間山はもちろん、肉眼では八ヶ岳の背後から薄っすらと富士山の姿も見えました。
標識後ろのえびの尻尾も育っております。
今年の冬はどこの山も雪が少ないって言うけれど、やっぱりあるところにはしっかりある。
上信越方面の山は、傍目で見る限りはどこもしっかり積もっていて真っ白でした。
ここからはお待ちかねの稜線ハイク。
今日は天気が崩れる心配もないので仙ノ倉山まで行ってみます。
誰もいない無人の稜線。
だだっ広い雪原だけが広がる雄大な道。これがたまらん!
どんどん進む。
道は思っていたほどモフモフではなく、カリカリのクラスト状態。
部分的に木道が見えている箇所もありましたが基本的に目印になりそうなものはないので、ホワイトアウトした際はご注意を。
稜線から振り返ってみる平標山。
後ろから数人登山者が来るのが見えました。
道中のあちらこちらに雪と氷のモニュメント。
奇跡的なまでの無風でしたが、こういうのを見ると普段の過酷な自然環境が垣間見える。
仙ノ倉山が見えてきた。
真っ白な小高い丘が連なる風景。鋭さは微塵もなく、優しい山容しています。
やっぱり自分は尖った岩稜帯より、この手の山の方が好きだな。
夏は一面高山植物のお花畑が広がる稜線も、今は雪と氷だけの世界。
夏は夏で素晴らしい道が広がっているし、秋の紅葉も綺麗なので、ここは一年を通してお勧めしたい場所。
さっきまでの賑やかさが嘘のような静かな道。
バックカントリーが目的の人は基本的に仙ノ倉山までは来ないようなので、平標山とは打って変わって静かな山歩きが楽しめます。
途中ですれ違った登山者。
結局仙ノ倉山までの稜線上で出会ったのは2人だけでした。
仙ノ倉山を正面に捉える。
平標山と同様に、こちらの山も穏やかな形をしています。
仙ノ倉山までの登りでは階段が一部露出。
スノーシューが久しぶりなもんで結構重たく感じて、この短い距離の登りでもなかなか疲れましたよ……。
12時ちょうど、仙ノ倉山に到着。標高は谷川岳よりも高い2026m、日本二百名山にも選ばれています。
自分の他には誰もいない、山頂貸し切りという贅沢な登頂でした。
仙ノ倉山まで来たらまずは見ておきたいこの景色。
さらに先へと続く谷川主脈の稜線。4年前に一度日帰りで縦走したことがあるルートだけど、細かいアップダウンが多くてタフな道でした。
谷川岳も快晴なので、今日はあちらも賑わってそうですね。(下山後のTwitter見たら、登山道の一部で渋滞が発生していたらしい)
上信越方面の山の白さがやっぱりすごい。
北アルプスに匹敵する山岳感あり。あの界隈では守門岳は特におすすめ。
歩いてきた稜線。
平標山~仙ノ倉山間は特に雪が深いところもなかったので、夏道と時間的にはそれほど変わりませんでした。
誰もいないのでしばらく休憩、冬の仙ノ倉山を心行くまで堪能する。
冷えたブラックサンダーが旨かった。
仙ノ倉山から眺める冬の谷川連峰
歩いてきた道を戻る。
平標山へと続く1本道。
帰りはあっという間でした。
平標山まで戻ってきて稜線ともお別れ。
稜線上は思っていたよりも雪がなかったので、次はもっとフカフカに降り積もった時に来てみたい、という贅沢な願望も出てくる。
この稜線は好きな場所なので、近いうちにまた来ると思います。
平標山から下山。
スキーヤーは下るのがあっという間なので、昼過ぎにもなれば途端に人も減って静かな雰囲気でした。
帰りもヤカイ沢ルートを下山。
きつかった登りも下りはあっという間。平標山から1時間程度で林道まで出れてしまいました。
最後の林道歩きも平元新道に比べたら全然短い。
ヤカイ沢ルート、想像していたよりも展望が良くて楽しい道でした。先行者のトレースで楽して登れたことに感謝。
14時過ぎに下山完了。
出発時に行列となっていた路駐もだいぶ減っていました。
14時20分のバスにタイミングよく乗れたので帰りもスムーズでした。
冬場は帰りのバスもなかなかの混雑っぷりで、自分の乗ったバスは途中のかぐらスキー場で満員となり、乗れないお客さんも結構いました。16時以降のバスはさらに混むと思うので、人数集まればタクシーという選択肢も用意しておいた方がいいかもしれません。
越後湯沢駅に着いたら温泉へ。駅から徒歩7分くらいの所にある湯沢東映ホテルで日帰り入浴を済ませました。
冬場はスキーヤーで駅が大混雑になるので、駅併設のぽんしゅ館は入れたもんじゃないです。ここは1300円と少し高めですが、日帰り入浴の看板も大きく出ていないので結構穴場です。
16時台に入りましたが案の定がら空きで、広い露天風呂がまさかの貸し切りでした。選択肢の一つとしてどうぞ。
こんな感じで冬の平標山~仙ノ倉山の日帰り雪山登山が終了。
前回初冬に訪れた時に見れなかった雪の稜線、今回は狙い通りバッチリ見れたので満足いく山歩きができました。やっぱりこの穏やかで雄大な稜線は自分好み。何度でも訪れたくなる大好きな場所です。
それと帰りのバスが予定していたよりも1本早いのに乗れたので、温泉にゆっくり入れたのも良かった。こういうところが上手くいくのも、公共交通利用登山を計画する上では地味に嬉しいところだったりします。
冬の平標山に関しては積雪量が多いので、スノーシューかワカンはあった方がいいです。今回は先行者のトレースもあったので楽に登れましたが、ここを平日に一人で歩こうとすれば結構難易度高いかもしれません。
平標山~仙ノ倉山は夏は夏で高山植物広がる素晴らしい稜線風景広がる場所なので、グリーンシーズンもおすすめです。
【日程】
2019年2月24日
8:40 平標山登山口バス停
11:10 平標山
12:00 仙ノ倉山
12:45 平標山
14:00 平標山登山口バス停
コメント
スノーシューで行きたい山が増えました!来シーズン以降のぜひ行きたいと思います!
こうさん、こんばんは。
冬の平標山はスキーヤーが大半ですが、スノーシューハイクでも十分楽しむことができます!真っ白な仙ノ倉山への稜線も乙なのでぜひ行ってみてください。