福島県の会津駒ヶ岳へ日帰り登山に行ってきました。
登ったのはGWの5月初旬。山の上はまだ深い雪に包まれていて、暖かい春の日差しの下で雪山登山を楽しむことができます。
山頂に出てからの広大な稜線!尾瀬や東北の雪景色、麓の街では桜並木に新緑など、この時期ならではの景色に出会えます。
福島県の会津駒ヶ岳。
山域としては尾瀬に属するものの、日本百名山の中では割とアクセス難で有名な山ですかね。
会津駒ヶ岳は過去に2回登りに行っていて、最初に登ったのはGWの同じ季節。もう8年前になります。
あの時は山小屋泊でゆっくり登りましたが、今回は日帰りでサクッと登ってきました。
2022年5月4日 会津駒ヶ岳 日帰り残雪登山
会津駒ヶ岳は高速を降りてからの下道が長い。
バスも一応運行されていますが、バス発着の最寄り駅(会津高原尾瀬口駅)に行くまでも大変なので、なかなかアクセスのハードルが高い山です。
早朝4時に登山口駐車場に到着。
夏場であればもう少し上まで行けるのですが、まだ林道が開通されていない時期ので麓の国道352わきの登山者用駐車場からスタートすることになります。
御覧のようにテニスコート(?)が開放されて駐車場になっている場所。かなり広いのでゴールデンウィークでも満車になるということはなさそうです。
この時期はもう4時過ぎに明るくなるので、早々に準備を済ませて5時前にスタート。
駐車場からまずは林道歩きを経て、登山口を目指します。
御覧のように林道はまだ雪で埋まっている状態。これじゃ、確かに車は通れないっすね……。
あらぬ方向に滑って、雪解け水が流れる沢にドボンしないようにだけご注意を。
この林道が思っていた以上に雪残っていました。
ルートとしては道路沿いではなく樹林帯を歩くショートカットコースもあるのですが、入口がよくわからず行き帰り共に林道を進みました。
雪の大規模な崩落個所もあり。
この時期は雪解けが急速に進んでいるタイミングでもあるので、こういった雪の崩落や雪崩が怖いです。
実際にこの日、雪崩ではないですが、下山時に滑落事故が発生してました。
駐車場から1時間ほど歩いて滝沢登山口に到着。
この登山道へと続く階段が目印です。8年前に初めて登った時から、この階段だけは妙に印象に残って覚えています。
夏場であればここまで車で上がってこれるので、序盤の林道歩きは省略できます。
スタート直後はまだ雪がなくノーアイゼン。
残雪期はこれがあるから靴のチョイスが難しい。序盤は土、後半は雪。
その年の雪の降り方によって雪の残り具合も大きく変わり、どのタイミングでアイゼンが必要になるかは行ってみないとわからない。
この日は登り始めて30分くらいで完全な雪道に変わったのでアイゼン着けました。
この会津駒ヶ岳、稜線こそ広い湿原でアイゼンの必要性は薄いですが、序盤の樹林帯はアイゼン、もしくはチェーンスパイクは絶対にあった方がいいです。
意外と急斜面で、特に下山が厄介。滑落事故が起きたのも下山時でした。
アイゼンさえ履いてしまえば登りはサクサク。
まだ早朝の早い時間帯だったので雪も締まっていて歩きやすい。部分的に急登ですが、その分標高を稼ぐスピードも速いです。
場所によってはこういう緩やかな部分もあり。
見た目はただの樹林帯なのでそれほど危険に感じないかもしれません。実際、私も過去に登っていたはずなのに会津駒ヶ岳はほとんど危険個所はないもんだと思ってました。
それが雪の状況によって印象が変わるんだから、やっぱり雪は恐ろしいっすわ。
載せている写真は平坦で緩やかな道ばかりですが、急斜面は登るのに必死で写真を撮っておらんのです。。。
なので強く言っておきますが、序盤の樹林帯はこんな緩やかな道ばっかりじゃなく、急登も多々あります。
単調な樹林帯を経て、ようやく森林限界を超えたのは登山口から登って2時間半が経過したころ。
なかなかタフな登りで疲れましたが、この東北らしい雄大な稜線を目の当たりにすれば疲れた気分も一気に吹き飛びます。
一転して青空と雪の世界!会津駒ヶ岳の山頂稜線も見えてきました。
パッと見は同じ福島県の西吾妻山あたりに雰囲気が似てますね。
厳冬期に訪れれば、ここら辺の樹々もスノーモンスター(樹氷)となるのだろうか。
ここからは一面雪景色!
雄大な稜線似つかわしい、1フレームでは収まり切らない広々とした風景が広がっています。
横を見れば尾瀬の盟主・燧ヶ岳。
ここから見ると、山頂が猫の耳のように双耳峰になっているのがよくわかります。
雄大な稜線を歩いて行く。
見上げれば雲1つない見事な青空。照り返しが強烈なので日焼け止めは必須です。
道が広いがゆえにガスると迷いやすいので、そんな時は登山道のポールを目印にしながら進みましょう。
背後には歩いてきた雪原、その奥は日光方面の山々。
写真には人があまり映っていないですが、GWの会津駒ヶ岳は結構人気の雪山で、かなりの人が登りに来ていました。
右奥のこんもりとした山が山頂になります。
一見すると緩やかにも見えますが、部分的に息が上がる坂もあったり。
「見えてからが遠い」というのは登山ではよくあること。時間もまだ9時前なのでのんびり行きます。
歩くごとに着実に標高を上げているのはわかって、向かって左手には見事な雪山が見えてきました。
方角としては飯豊山とか新潟方面の山々。日本屈指の豪雪山域は流石なもんで、5月にしてもなおこの雪の量。
見た目は厳冬期の雪山と大して変わらないです。
こうして9時ちょうどに駒の小屋に到着。
会津駒ヶ岳唯一の山小屋であり、8年前に泊まったのがまさにここです。
事前の予約必須、かつ食事の提供はない山小屋ですが、ご夫婦がとても気さくな方でとても良い印象を持った小屋。
今回は日帰りですが、ここに泊まってゆっくりと会津駒ヶ岳を回るのも良いと思うので、ぜひ機会があれば泊まってみてください。(GWは常連さんも多く、予約を取るのが結構大変ですが)
小屋から山頂までは、雪があっても15分程度。
最後に坂がありますが、それでもピッケルなんかは特に必要もなく、スキーヤーやスノーボーダーにとっては格好のゲレンデとなっています。
そういえば、残雪期の会津駒ヶ岳ってバックカントリー勢も多いのですが、この日に限っては滑っている人は少なかったです。
小屋から山頂までのこの道。
今は一面雪道ですが、夏に来れば美しい湿原が広がるお花畑ゾーンになっています。
池塘も広がる尾瀬らしい風景の夏の会津駒ヶ岳。鏡のような池も、5月はまだ雪に埋まった状態。
山頂直下の登りに差し掛かると、辺りの風景も真骨頂。
特に燧ヶ岳の存在感は凄まじいです。
こうして9時20分、会津駒ヶ岳山頂に到着。麓の駐車場をスタートしてだいたい4時間半ほどの行程でした。
山頂の標識は御覧のように、上部のわずかだけ顔を出している状態。会津駒ヶ岳の「会」の字だけが見えています。
雪がない時期に来るとこんな感じ。
実際のところは背丈を軽く超える標識、それがほぼ上部まで埋まってるんだから、5月にしてこの積雪量はやっぱりすごいですね。
三角点くらいしかない背丈の山頂標識を登頂の証として、みんな身をかがめて写真を撮る。
草木もほぼ雪の下に埋まっているため、夏に比べると展望もかなり開けています。
改めて見る尾瀬方面の展望。
正面に見えるのが燧ヶ岳、右奥に見えるのは至仏山か。
尾瀬を代表する日本百名山の名峰を一望できます。
こちらは、会津駒ヶ岳から先の中門岳へと続く稜線。
真っ白な稜線の果てに見えるのは福島の会津朝日岳、さらに奥にうっすらと見えるのは吾妻山とかか。
ここら辺は5月でもまだ真っ白。麓の村では桜も咲いて新緑も芽吹く時期ですが、山の上はまだまだ白銀の世界が広がっています。
そしてさらに真っ白な世界を見せてくれるのが飯豊山方面の展望。
こちらはまだまだガッツリ雪山。
本当にあと数ヶ月で夏を迎えられるのか、って言うくらい真っ白です。
会津駒ヶ岳から中門岳へと続く稜線。
ここは時間があればぜひ歩いてみてください。この時期は中門岳の標識は完全に埋まっているので山頂がどこかはわかりづらいですが、目の前のこんもりとした丘がたぶんそれです。
向かって右側が雪庇になっていたのでそれだけご注意を。
空は晴れていますが、山頂は意外と風が強かったのである程度景色を楽しんで早々に下山。
まだ時刻は10時前、続々と登山者が登ってきます。
燧ヶ岳に向かうように下りるこの道が好き。
夏場は木道敷かれた湿原が広がっているので、また違った風景を楽しめますよ。
スノーシューを履いている人は、バフバフ雪原に足跡を残して登る人も。
みんな、思い思いにゴールデンウィーク登山を謳歌している。
小屋まで戻ってきて小休止。
風もここまで下って来るだけで静かなもんです。小屋では協力金を払えばトイレも借りられるので、本当のこの小屋の存在は有難い。
お土産品も売っています。
昼に差し掛かってきて気温も上昇。
足元の雪もだいぶぐずってきてアイゼンが効いているのかいないのかわからないですが、ここら辺は駆け降りるように下山していきます。
バックカントリーの人にとっては格好の斜面かと。
樹林帯に入る前に会津駒ヶ岳の稜線を目に焼き付けておく。
次にいつ来れるかわからないですが、次に来るとすればまだ登っていない秋の紅葉シーズンに来てみたいですね。
樹林帯に入ってからは暑さとの戦い。
長い道をただ下りるだけかと思ったのですが、この樹林帯がかなり曲者でユルユルの雪の急斜面がアイゼンもそれほど効かずかなり神経使いました。
そんな状況で起こったのが、雪道も終盤に差し掛かった頃。
登山道脇にポツンとザックだけが置かれていて、何だろうと思って辺りを見たら少し道を外れたところで滑落事故が発生していました。どうやらザックは救助に向かっている同行者のだった模様。
幸い付き添いがいたので自分たちはそのまま下山しましたが、翌日にはニュースにもなってました。
ニュースを見て知りましたが、会津駒ヶ岳での滑落事故は3日連続だったらしいので、どうかくれぐれもご注意ください。どれも死亡事故ではなかったのが不幸中の幸い。
アイゼンはもちろん、ストックもあった方がいいです。
雪がなくなり土の上に出てからは一安心。
あとは登山口の階段まではすぐでした。
林道に出てからは早朝に歩いた道をそのまま戻る。
雪解けが進行したのか、朝よりも道路の雪が減っている感じがしました。
こうして12時過ぎに下山完了。
標識に書かれている「お疲れさまでした」が何気なくともうれしい一言。
5月初旬は東北ではまだまだ桜の季節。
麓の檜枝岐村に降り立つと、綺麗な桜並木が広がっていました。
登っているときのすれ違いの数から想像はしていましたが、駐車場はかなりの車が入っていました。
それでも、まだ空きはあるほどのキャパシティがここにはあります。駐車場の満車を気にしなくていいというのは、連休登山では助かりますね。
下山後の温泉はこちら、「燧の湯」。午後の営業が13時からだったので15分ほど待ちましたが、その甲斐あって一番風呂いただけました。
過去の会津駒ヶ岳登山では別の温泉だったので、ここに来たのは初めてでしたが綺麗で露天風呂もあって良かったですよ。
そしてもっと良かったのが、その後の食事。
そばが食べたいということで、近くの「開山」という蕎麦屋さんにやってきましたが、これが大当たりでした。
檜枝岐村名物の「裁ち蕎麦」を食べれるうえに、ぜひともお勧めしたいのが天ぷら!
海老をはじめ、地元の山菜などがふんだんに盛られた天ぷら+そばがもう最高でした。
是非ご賞味ください。
こんな感じでゴールデンウィークの会津駒ヶ岳、日帰り雪山登山が無事に終了。
良く晴れた1日で展望も文句なし!
楽しい1日でした。
記事中にも書きましたが、序盤から中盤の樹林帯が割と危険ポイントになりやすいので、緩い雪に足元取られないようにご注意ください。
GWでも尾瀬辺りはまだまだ雪がたっぷり。夏とはまるで違う白銀世界が眩しい景色でした。
【日程】
2022年5月4日
【コースタイム】
4:50 登山者用駐車場
5:50 滝沢登山口
9:00 駒の小屋
9:20 会津駒ヶ岳
9:50 駒の小屋
11:45 滝沢登山口
12:25 登山者用駐車場
コメント
はじめまして、ほんとの空と申します。
6年前から楽しく拝見しています。
地元福島の山が時々登場して、嬉しく思っています。
登山は全くやらないので、あの山はどうなってんのかな〜っていう疑問に対して、キレイな写真とともに丁寧に回答してくださるので感激します。これからも福島の山をよろしくお願いします。
初めまして、ブログ読んでくださってありがとうございます。
福島の山はたびたび訪れていて、先月も磐梯山近くの山へ遊びに行きました。
1つ1つの山がとても綺麗で、会津駒ヶ岳や磐梯山、安達太良山あたりはもう何度も登りに行っています。夏だけではなく、冬も登れる山が多いのが福島の魅力ですね。また遊びに行きたいと思います。