高山植物咲く花の登山ルーティン

高山植物咲く花の登山ルーティン

春から夏にかけて、山の上では様々な花が咲き誇る登山のハイシーズン。

高山植物に関してはだいたい6月ごろから見頃を迎え始めますが、3月には桜やツツジなどの開花も始まり、雪山から徐々に夏山へとシフトしていきます。

毎年、「この時期にはこの花を見たい」というのが通例になりつつあるので、そこら辺のお話を。

 

高山植物の女王・コマクサ

 


今でこそ山に行けば、登山道の傍らに咲く花に目を奪われますが、山を始めた当初はそんなことは決してなく……

花の名前はおろか、その存在すらも軽くスルーしていたことがしばしばあります。

 

例えば、人生初めてのテント泊で登った6月の八ヶ岳。もう9年前です。

 

【八ヶ岳】編笠山~権現岳 夏の花満開!6月の日帰り登山

この時期の南八ヶ岳は登山道にツクモグサが咲いている季節でしたが、テント背負って歩くことにウヒャウヒャして、花になんてほとんど目もくれていませんでした。

今考えたら何ともったいないことを、と思いますが……。

 

アルプスやら東北の山を何度も登っていくうちに、自然と高山植物に触れる機会も増えて徐々に花の名前を覚えていった私。

「その山でしか咲かない花」とか「花にも当たり年があるんだ」とか、そういうのを知る中で、この時期はこの花を見に行こう、と花が主体で登山に行くことも増えてきました。

それをさらに繰り返していくと、だいたい4月のこの時期はあの花、6月初旬ならあの花、とか。もう恒例行事となってきているのが今の状態です。

 

そんな登山における、花のルーティンのまとめ。

 

4月 桜

香貫山の桜

4月の花と言えばやっぱり。街も山もこれは一緒。

ただ、最近は山の上でさえ桜の開花が早くなってきて、桜のハイシーズンは3月なんじゃないかという気さえしています。

桜が見れる山というのは都内近郊にもかなり多くて、この前行った沼津の香貫山もその1つ。他にも山頂に桜が咲く棒ノ折山とか三浦半島の大楠山とか。

 

富士山と桜と五重塔

あとは海外観光客にも絶大な人気を誇るのが、山梨の新倉山。富士山と五重塔とサクラ、これぞ日本と言える情景が広がっています。登山であれば三ツ峠山まで縦走することも可能なので、良ければどうぞ。

他には群馬の妙義山とかも桜が有名ですね。

 

丹沢・松田山の河津桜と菜の花

時期柄、菜の花と開花が重なるというのもあって、黄色い絨毯との共演も良く見る風景になりつつあります。

早咲きの河津桜は2月に満開を迎えるので、雪山登山の息抜きとしても最適。丹沢の松田山は桜まつりも開催されてかなり楽しかったです。

 

5月 ツツジ

奥多摩のシロヤシオ

ツツジと一口に言っても、アカヤシオ、シロヤシオ、レンゲツツジなどなど色々ありますが、自分の中では5月のシロヤシオに一番惹かれるものがあります。

有名なところで言えば西丹沢の畦ヶ丸とか日光の社山とか高原山とか。

 

シロヤシオとミツバツツジ

ミツバツツジと開花時期が重なるので、紫と白のコントラストも素敵です。

今年も丹沢か日光に行くつもりだったのですが、調べてみたら奥多摩にも咲いているところがあったので今年はそちらへ行ってみました。

次の登山記事がそのシロヤシオになると思うので、良ければ読んでやってください。

 

湯ノ丸山のレンゲツツジ

6月に入ると朱色のレンゲツツジが主役になります。

有名どころでは湯ノ丸山とか。畑に栽培しているかのような群生は見事なもんでした。

5月として紹介しましたが、3月のアカヤシオからツツジはスタートするので、色は違えどかなり長い期間楽しめる花となっています。

 

6月 ハクサンイチゲ

谷川岳のハクサンイチゲ

6月はいよいよ高山植物が咲きだす季節。梅雨にも差し掛かるので天気とのタイミングが難しい時期でもありますが、自分の中ではかなりの登山ハイシーズンと位置付けています。

中でもやっぱり見ておきたいのがハクサンイチゲ。この花が咲き始めると、いよいよ山にも「夏が来たかぁ~」という感じがします。

 

ハクサンイチゲ

ハクサンイチゲの名峰はたくさんあって、すぐに思いつくのは東北の焼石岳とか不忘山とか。

登りやすい山で言うと谷川連峰の平標山とかも良かったです。6月に開花を迎えますが、場所によっては7月でもまだまだ健在なので、夏を通して楽しめる花だと思います。

 

ハクサンコザクラ

ハクサンイチゲが咲いている山は得てして花の名峰。

当然、他にも出会える高山植物は多くて、紫色の小さく咲くハクサンコザクラとかも好きですね。

時期的にも陽が一番長い季節。気温もまだそこまで高くはなく、山登りには最適な時期かもしれません。

 

6月 ワタスゲ

ワタスゲ

個人的に6月の登山でもう1つ外せないと思っているのがワタスゲ

6月中旬ごろから湿原に咲く真っ白なホワホワ君です。

この花に強烈なインパクトを与えられたのが、忘れもしない尾瀬の田代山でした。

 

ワタスゲの群生

木道わきに無数に咲く真っ白なホワホワロード。「これは絵本の世界か?」とも思える天国風景が強烈なインパクトで、それ以降6月にはどこかしらの山でワタスゲが見たくなりました。

この花は結構当たり年、ハズレ年(裏年)があると思っていて、群生の規模もその年によって大きく異なったりします。

 

一切経山とワタスゲの群生

昨年(2020年)は当たり年だったようで、一切経山の湿原に広がる見事なワタスゲを見ることができました。

今年の出来栄えは果たして……

見れるかわからないですが、タイミングが合えば今年もどこか巡りたいところです。

 

7月 コバイケイソウ

コバイケイソウ

ワタスゲ同様、アタリorハズレの年があるのがコバイケイソウ

咲くときと咲かない時の差が特に顕著な花の1つだと思っています。

自分が過去に見た中で印象に残っているのが北アルプスの双六岳とか北陸の白山あたり。

 

コバイケイソウ

オリンピックのように4年に一度しか群生が見られない、とも聞いたことがあるコバイケイソウ。

そもそも毎年咲く花ではないので、余計にその群生が見れた時は嬉しいものです。

 

7月 チングルマ

白馬岳のチングルマ

7月はいよいよ夏本番。高山植物も一斉に咲き出して、北アルプスの白馬岳あたりなんかではもう何種類の花が見れるんだ、ってくらい色々な花を見ることができます。

中でも代表格がやっぱりチングルマか。時期としてはハクサンイチゲが終盤に差し掛かるところで、入れ替わるように満開を迎える感じ。

 

チングルマの群生

チングルマの群生が見れる山はアルプスや東北にたくさんありますが、秋田駒ヶ岳ムーミン谷は特に凄かった記憶があります。

秋田駒ヶ岳はこれまで登った花の名山の中でも特に好きな山で、時間と金さえあれば毎年でも行きたいくらい。花の時期はもちろん、紅葉も素晴らしく綺麗です。

 

チングルマの穂

チングルマの素敵なところが、その姿が時期によってガラリと変わるところ。8月にもなると花から穂へと姿を変えて、晩夏の哀愁を感じさせる存在になります。

場所によっては9月までその姿を楽しめる、夏山を代表する高山植物の1つです。

 

7月 コマクサ

高山植物の女王・コマクサ

高山植物を語る上で外せないのがコマクサ。なんたって「高山植物の女王」と呼ばれている花ですから。

コマクサで思いつくのは北アルプスの燕岳か。非常に繊細な花で咲く場所も限られているので、これまで紹介した花に比べると希少性も高く、見つけたら必ず写真に収めたくなる存在です。

 

コマクサの群生

花の特徴柄、コマクサの咲くところにライチョウあり、という感じがするのは自分だけでしょうか。

気品漂う、まさに女王の名にふさわしい立ち振る舞いで登山者を感動させてくれます。

 

春から夏にかけての登山において、もはや定例化しつつある花のルーティン。

もちろん他にも高山植物はたくさんあって、ハクサンチドリとかミヤマリンドウとか、良く見るあたりではニッコウキスゲなんかもありますね。

春に咲く花だって桜以前にも梅やらミツマタやらカタクリやら……

上げたらきりがないですが、とりあえず酒を飲みながらこの記事を書いている段階で思いついたのが上記の花たちでした。

 

タカネシオガマ

登山において天気は重要。さらにそこに花の開花タイミングを合わせるとなると、なかなか好条件で見るのは難しいのかもしれませんが、そういうところが山登りの面白さだったりもします。

 

まさにこれからが花のハイシーズン。

今年はどこに行こうか……

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